【実施例】
【0066】
(実施例1)
カルベジロール徐放性製剤の作製
本発明の徐放性製剤は、以下に示すように、湿式造粒とその後の圧縮によって作製される。
1、カルベジロールとその他成分(マトリックス形成ポリマーと溶解性エンハンサーを含む)の正確な分量を測定し(ステアリン酸マグネシウムを除く)、高せん断造粒機に移した。
2、工程1の成分を撹拌機に入れ、適切な撹拌翼とチョッパ速度で3分間撹拌し、混合物を形成した。
3、工程2の混合物をエタノールと水に分散させ、造粒プロセスを開始した。
4、撹拌翼とチョッパの設定及び造粒溶液の特性が監視された。
5、造粒機を使って工程4の造粒溶液を粒状化し、造粒終了点に達したとき、20〜30メッシュのふるいで篩った。
6、工程5の顆粒を60℃のオーブンで加熱し、顆粒の湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
7、ステアリン酸マグネシウムの正確な量を測定し、工程6の顆粒に混合した。
8、工程7の試料を高速ロータリー式打錠機で圧縮し、錠剤にした。
【0067】
表1〜表7に上記工程に従って作製された徐放性製剤の内容を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0068】
(実施例2)
カルベジロール徐放性製剤の溶出試験
米国薬局方(USP 31−NF 26)711、Dissolution、Apparatus IIに従って溶出が行われた。最初の120分間、塩酸(0.1N)が溶出溶媒として使用された。リン酸緩衝液を添加して溶出溶媒のpHがpH4.5に変更された。240分時、リン酸緩衝液をさらに添加して溶出溶媒がpH6.8に変更された。パドル回転速度100rpmで24時間にわたり900mlの溶出溶媒中で溶出が行われた。適切な時間間隔で試料が採取され、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によりカルベジロール含有量について分析が行われた。
【0069】
図1から
図7に表1から表7の製剤の溶出性をそれぞれ示す。これらの結果は、表1から表7に従って作製された徐放性製剤の放出時間が延長され、少なくとも24時間にわたり適切な溶出が維持されることを示している。
【0070】
(実施例3)
徐放性製剤(T1製剤)の作製
即放性サブユニット
次に示すように、即放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1、カルベジロール76.25 グラム、Flow Lac 100(ラクトース)296.25 グラムとメトセルK100LV125.60グラムを計量し、5分間撹拌した。
2、工程1の混合物を40メッシュのふるいで篩い、さらに10分間撹拌した。
3、工程2の混合物を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
4、工程3の混合物を95%エタノール200mlと水55mlに分散させ、造粒プロセスを開始した。
5、工程4の顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
6、造粒溶液をさらに20メッシュのふるいで篩った。
7、ステアリン酸マグネシウム1.5グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第1セル内の前記即放性顆粒に添加した。
【0071】
徐放性サブユニット
次に示すように、徐放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1A、カルベジロール240.0グラム 、コーンスターチ600グラム、メトセルK15M 600グラムを計量し、5分間混合した。
2A、工程1Aの混合物を40メッシュのふるいで篩い、さらに10分間混合された。
3A、工程2Aの混合物を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
4A、工程3Aの混合物を95%エタノール638.5mlに分散させ、5分間混合した。
5A、ポビドンK30を187.5グラム添加して1分間混合し、さらにポビドンK30を250グラム添加して1分間混合し、もう一度ポビドンK30を250グラム添加して3分間混合した。
6A、工程5Aの顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
7A、造粒溶液をさらに20メッシュのふるいで篩った。
8A、ステアリン酸マグネシウム6.0グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第2セル内の前記徐放性顆粒に添加した。
【0072】
徐放性製剤の形成
工程8Aの徐放性顆粒及び工程7の即放性顆粒をロータリー式ダブルデッキ打錠機で圧縮して二層徐放性製剤が形成された。この徐放性カルベジロール製剤はカルベジロールを合計約63.46mg含有する。表8に上述のプロセスで製造された徐放性製剤(T1製剤)の成分を示す。
【0073】
【表8】
【0074】
(実施例4)
徐放性製剤(T2製剤)の作製
即放性サブユニット
次に示すように、即放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1、カルベジロール76.25グラム、Flow Lac 100(ラクトース)296.25グラム、メトセルK100LV125.60グラムを計量し、5分間撹拌した。
2、工程1の混合物を40メッシュのふるいで篩い、さらに10分間撹拌した。
3、工程2の混合物を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
4、工程3の混合物を95%エタノール200mlと水55mlに分散させ、造粒プロセスを開始した。
5、工程4の顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
6、造粒溶液をさらに20メッシュのふるいで篩った。
7、ステアリン酸マグネシウム1.5グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第1セル内の前記即放性顆粒に添加した。
【0075】
徐放性サブユニット
次に示すように、徐放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1A、カルベジロール240.0グラム、コーンスターチ500グラム、メトセルK15M1500グラム、ラウリル硫酸ナトリウム50グラムを計量し、混合物を5分間撹拌した。
2A、工程1Aの混合物を40メッシュのふるいで篩い、さらに10分間撹拌した。
3A、工程2Aの混合物を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
4A、工程3Aの混合物を95%エタノール1374mlと水1832mlに分散させ、3分間混合した。
5A、工程4Aの顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
6A、造粒溶液をさらに20メッシュのふるいで篩った。
7A、ステアリン酸マグネシウム6.0グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第2セル内の前記徐放性顆粒に添加した。
【0076】
徐放性製剤の形成
工程7Aの徐放性顆粒及び工程7の即放性顆粒をロータリー式ダブルデッキ打錠機で圧縮して二層徐放性製剤が形成された。この徐放性カルベジロール製剤はカルベジロールを合計約63.46mg含有する。表9に上述のプロセスで製造された徐放性製剤(T2製剤)の成分を示す。
【0077】
【表9】
【0078】
(実施例5)
カルベジロール徐放性製剤(T1/T2製剤)の溶出試験
米国薬局方(USP 31−NF 26)711、Dissolution、Apparatus IIに従って溶出が行われた。最初の120分間、塩酸(0.1N)が溶出溶媒として使用された。リン酸緩衝液を添加して溶出溶媒のpHがpH4.5に変更された。240分時、リン酸緩衝液をさらに添加して溶出溶媒がpH6.8に変更された。パドル回転速度100rpmで24時間にわたり900mlの溶出溶媒中で溶出が行われた。適切な時間間隔で試料が採取され、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によりカルベジロール含有量について分析が行われた。
【0079】
図8にT1/T2製剤と、対照製剤であるCoreg CR(商標)(GSKにより市販)の溶出性を示す。この結果は、表8と表9に従って作製された徐放性製剤の放出時間が延長され、少なくとも24時間にわたり適切な溶出が維持されることを示している。
【0080】
(実施例6)
徐放性製剤(T4製剤)の作製
即放性サブユニット
次に示すように、即放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1、カルベジロール4グラムと、32.5グラムのGranulac 200、メトセルK100LV13.5グラムを計量し、5分間撹拌した。
2、工程1の成分を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
3、工程2の混合物を95%エタノール20mlと水5.5mlで分散させ、造粒プロセスを開始した。
4、工程3の顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
5、造粒溶液を20メッシュのふるいで篩った。
6、ステアリン酸マグネシウム0.15グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第1セル内の前記即放性顆粒に添加した。
【0081】
徐放性サブユニット
次に示すように、徐放性サブユニットが造粒プロセスの後、圧縮によって圧縮サブユニットとして作製された。
1A、カルベジロール27.7グラム、コーンスターチ60グラム、メトセルK15M115グラムを計量し、5分間撹拌した。
2A、工程1Aの混合物を高せん断造粒機に移し、1分間混合した。
3A、工程2Aの混合物を95%エタノール63.9mlで分散させ、5分間混合した。
4A、ポビドンK30を18.8グラム添加して1分間混合し、さらにポビドンK30を15.0グラム添加して1分間混合し、もう一度ポビドンK30を1 5.0グラム添加して3分間混合した。
5A、工程4Aの顆粒を60℃のオーブンで8時間加熱し、顆粒に含まれる湿気を1.0%〜3.0%の範囲で維持した。
6A、造粒溶液を20メッシュのふるいで篩った。
7A、ステアリン酸マグネシウム0.8グラムをロータリー式ダブルデッキ打錠機の第2セル内の前記徐放性顆粒に添加した。
【0082】
徐放性製剤の形成
工程7Aの徐放性顆粒及び工程6の即放性顆粒をロータリー式ダブルデッキ打錠機で圧縮して二層徐放性製剤が形成された。この徐放性カルベジロール製剤はカルベジロールを合計約63.3mg含有する。表10に上述のプロセスで製造された徐放性製剤(T4製剤)の成分を示す。
【0083】
【表10】
【0084】
(実施例7)
カルベジロール徐放性製剤(T4製剤)の溶出試験
米国薬局方(USP 31−NF 26)711、Dissolution、Apparatus IIに従って溶出が行われた。最初の120分間、塩酸(0.1N)が溶出溶媒として使用された。リン酸緩衝液を添加して溶出溶媒のpHがpH4.5に変更された。240分時、リン酸緩衝液をさらに添加して溶出溶媒がpH6.8に変更された。パドル回転速度100rpmで24時間にわたり900mlの溶出溶媒中で溶出が行われた。適切な時間間隔で試料が採取され、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によりカルベジロール含有量について分析が行われた。
【0085】
図9にT4製剤と、対照製剤(Coreg CR(商標))の溶出性を示す。この結果は、表10に従って作製された徐放性製剤の放出時間が延長され、少なくとも24時間にわたり適切な溶出が維持されることを示している。
【0086】
(実施例8)
T4製剤のPKデータ
T4製剤対Coreg CR(商標)の非盲検2ウェイ交差試験が正常な健康被験者において実施された。この試験は関連の臨床条件下におけるT4製剤からのカルベジロールの生物学的同等性を対象としている。
【0087】
試験の設計:
体重が50kg以上かつ治験責任医師とコミュニケーションをとることができる12名の生命徴候の安定した健康な被験者がこの試験に採用された。2回の投与期間が少なくとも3日の休薬期間で隔てられた。2回の投与法は次の通りである。T4製剤25mgとCoreg CR(商標)25mgが一晩の空腹後の標準的朝食の開始から30分後に投与された。血液試料が投与の30分前(0時間)と、T4製剤及びCoreg CR(商標)投与の1.5、3、4、5、6、7、8、10、12、14、16、24時間後に採取された。
【0088】
結果:
表11に被験者がCoreg CR(商標)(対照製剤)とT4製剤の投与を受けた後のカルベジロールの平均薬物動態パラメータを示す。
【0089】
【表11】
【0090】
表12にCoreg(商標)(対照製剤)とT4製剤の薬物動態比の概要を示す。
【0091】
【表12】
【0092】
図10(A)及び
図10(B)に被験者がCoreg(商標)とT4製剤の投与を受けた後のカルベジロールの平均血漿中濃度−時間特性を示す。これらの結果は、T4製剤がカルベジロールの即時の初期投与量を提供し、カルベジロール放出時間を延長して、少なくとも24時間にわたり適切な血漿中濃度を維持することを示している。