(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加硫戻り防止剤が、1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(CAS No.:151900−44−6)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第二の混合ステージにおいて、ゴム添加剤、及び更には加硫添加剤を、140℃未満で添加し、前記ゴム混合物を、前記第一の混合ステージと前記第二の混合ステージの間に冷却すること特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
驚くべきことには、80℃を超える第一の混合ステージにおいて、加硫戻り防止剤をシリカ及びシランと組み合わせて、その混合物のムーニーML1+4粘度を実質的に高めることなく使用することが可能であって、従ってそのゴム混合物を更に加工することが可能であるということが見出された。
【0015】
加硫戻り防止剤を、第一の混合ステージ中で、少なくとも二つのサブステップにおいて、好ましくは少なくとも二回に分割して添加するのが好ましい。
【0016】
従来技術においては、1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(CAS No.:151900−44−6)(Vulcuren(登録商標))を、最終混合ステージにおいてシリカ含有ゴム混合物中で使用する場合には、過加硫を防止するためにその硫黄含量を下げなくてはならず、このことは、配合の適切な順応化を必要とする。
【0017】
驚くべきことには、第一の混合ステージにおける加硫戻り防止剤の本発明に従った使用においては、硫黄含量を下げる必要がない。加硫時間を顕著に短縮することが可能で、それによって、かなりのコスト低減が可能となり、例えば最終製品としてタイヤのための製造プロセスにおける採算性が向上する。
【0018】
本発明によるプロセスのために使用するゴムとしては、好ましくは、ジエンをベースとするものが挙げられるが、具体的な例は、二重結合を含み、ゲル含量を実質的に含まず、DIN/ISO 1629に従えばRゴムと呼ばれているゴムである。前記ゴムは、主鎖の中に二重結合を有している。好適に使用されるゴムの例は、以下のものをベースとするものである:
・ NR:天然ゴム
・ SBR:スチレン/ブタジエンゴム
・ BR:ポリブタジエンゴム
・ IR:ポリイソプレン
・ SIBR:スチレン/イソプレンゴム
・ NBR:ニトリルゴム
・ IIR:ブチルゴム(イソブテン/イソプレンゴム)
・ HNBR:水素化ニトリルゴム
・ SNBR:スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルゴム
・ CR:ポリクロロプレン
・ XSBR:カルボキシル化スチレン/ブタジエンゴム
・ XNBR:カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム
・ ENR:エポキシ化天然ゴム
・ ESBR:エポキシ化スチレン/ブタジエンゴム
及びそれらの混合物。
【0019】
本発明においては、二重結合を含むゴム成分としては、DIN/ISO 1629に従えばM−ゴムであり、飽和の主鎖と共に、側鎖に二重結合を有しているものが挙げられる。それらの中には、例えばEPDMがある。
【0020】
本発明において好ましいゴム成分は、NR、BR、SBR、IIR及びEPDMである。
【0021】
特に好ましいのは、NR及びBR、更にはスチレン/ジオレフィン、そして更には前記のゴムの混合物である。
【0022】
スチレン/ジオレフィン(特にブタジエン)ゴムは、溶液法SBRゴム(これの略号はSSBRである)、更にはエマルション法SBRゴム(これの略号はESBRである)と理解するべきである。SSBRは、ビニル芳香族化合物と共役ジエンをベースとして溶液プロセスで製造されたゴム状ポリマーを意味している(H.L.Hsieh,R.P.Quirk,Marcel Dekker Inc.,New York−Basle,1996;I.Franta,Elastomers and Rubber Compounding Materials;Elsevier,1989,p.73〜74,92〜94;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic chemistry],Thieme Verlag,Stuttgart,1987、Volume E 20,p.114〜134;Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A 23,Rubber 3.Synthetic, VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.239〜364、及び更には、仏国特許第2295972号明細書)。好適なビニル芳香族モノマーは、スチレン、o−、m−及びp−メチルスチレン、工業グレードのメチルスチレン混合物、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及びジビニルナフタレンである。スチレンが好ましい。共重合させるビニル芳香族の含量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。好適なジエンは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、及び1,3−ヘキサジエンである。1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。共重合させるジエンの含量は、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%である。共重合させるジエンの中のビニル基の含量は、10〜90重量%であり、1,4−trans二重結合の含量は20〜80%であり、1,4−cis二重結合の含量は、ビニル基の全体と1,4−trans二重結合の全体を補完する量である。SSBRのビニル含量は、20%を超えているのが好ましい。
【0023】
重合されたモノマー及び各種のジエンの配置は通常、ポリマーの内部でランダムな分布を有している。SSBRの定義には、ブロックタイプの構造を有するゴムもカバーするものとするが、それらは一体ゴム(integral rubber)と呼ばれている(K.−H.Nordsiek,K.−H.Kiepert,GAK rubber Gummi Kunststoffe 33(1980),No.4,251〜255)。
【0024】
SSBRという用語は、直鎖状だけではなく、分岐状、或いは末端基変性ゴムも意味しているものとする。ここでの例として、仏国特許第2053786号明細書及び特開昭56−104906号公報を挙げることができる。使用される分岐化剤には、好ましくは四塩化ケイ素または四塩化スズが含まれる。
【0025】
本発明におけるゴム混合物のためのゴム成分は特に、溶液アニオン重合、即ち、アルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースとする触媒の手段で製造される。
【0026】
溶液中で重合されたビニル芳香族/ジオレフィンゴムは、有利には20〜150ムーニー単位、好ましくは30〜100ムーニー単位のムーニー値を有する。特に、80MUを超えるムーニー値を有する高分子量タイプのESBRは、100重量部のタイプのゴムを基準にして、30〜100重量部の量のオイルを含むことができる。オイルフリーのSSBRゴムは、示差熱分析法(DSC)で測定して、−80℃〜+20℃のガラス転移温度を有している。
【0027】
「ESBR」という用語は、ビニル芳香族化合物、共役ジエン、及び場合によってはその他のモノマーをベースとして、エマルションプロセスで製造されたゴム状ポリマーを意味している(Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A 23,Rubber 3.Synthetic VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.247〜251)。ビニル芳香族化合物は、スチレン、p−メチルスチレン、及びアルファ−メチルスチレンである。ジエンは、特に、ブタジエン及びイソプレンである。その他のモノマーは、特には、アクリロニトリルである。ビニル芳香族化合物の含量は、10〜60重量%である。そのガラス転移温度は、(DSCの手段で測定して)−50〜+20℃であり、そのムーニー値は、20〜150ムーニー単位である。特に、80MUを超えるムーニー値を有する高分子量タイプのESBRは、100重量部のゴムを基準にして、30〜100重量部の量のオイルを含むことができる。オイルフリーのSSBRゴムは、示差熱分析法(DSC)で測定して、−80℃〜+20℃のガラス転移温度を有している。
【0028】
ポリブタジエン(BR)には、具体的には、二つの異なったクラスのポリブタジエンタイプが含まれる。第一のクラスは、少なくとも90%の1,4−cis含量を有し、遷移金属をベースとするZiegler/Natta触媒の助けを借りて製造される。Ti、Ni、Co及びNdをベースとする触媒形を使用するのが好ましい(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic chemistry],Thieme Verlag,Stuttgart,1987、Volume E 20,p.114〜134;Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A 23,Rubber 3.Synthetic, VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.239〜364)。このポリブタジエンのガラス転移温度は、好ましくは(DSCの手段で測定して)−90℃以下である。
【0029】
第二のクラスのポリブタジエンのタイプは、Li触媒を用いて製造され、10%〜80%のビニル含量を有している。それらのポリブタジエンゴムのガラス転移温度は、(DSCの手段で測定して)−90〜+20℃の範囲である。
【0030】
本発明においては、そのゴム成分が、スチレン/ブタジエンゴム及びポリブタジエンからなる群より選択されているのが好ましく、それらのゴムは、鉱油を用いて油展されたゴムであってもよい。
【0031】
その他の成分とゴム成分との間の比率は通常、相対的な量のphr(parts per hundred parts rubber=ゴム100部あたりの部数)で表される。ゴム成分100重量部あたりに通常使用される量は、5〜100重量部のヒドロキシル化された酸化物系充填剤(5〜100phrに相当)、0.1phr〜10phr、好ましくは0.2phr〜5phrの硫黄含有有機ケイ素化合物、好ましくはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドまたはビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、0.1〜10phrの加硫戻り防止剤、好ましくは0.2〜5phr、更には0.1〜20phrの加硫添加剤(例えばオイル、オゾンワックス、抗酸化剤)である。
【0032】
本発明における混合物が更に、1〜100phrの量のカーボンブラックを含んでいるのが好ましい。
【0033】
ヒドロキシル化された酸化物系充填剤:
使用されるヒドロキシル化された酸化物系充填剤は、好ましくは、ケイ素含有酸化物系のヒドロキシル化された充填剤、例えば特にはシリカである。このタイプのシリカ、特に親水性のシリカは、特にその表面にヒドロキシ基を担持している。
【0034】
「シリカ」(Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,「Silica」,p.635〜645)は、特にヒュームドシリカ(同書、p.635〜642)または沈降シリカ(同書、642〜645)の形態で使用されるが、本発明においては、沈降シリカが好ましい。沈降シリカは、BETに従って測定して、5〜1000m
2/gの比表面積、好ましくは20〜400m
2/gの比表面積を有している。それらは無機酸を用いて水ガラスを処理することによって得られるが、ここでは、硫酸を使用するのが好ましい。シリカは、場合によっては更に、他の金属酸化物、例えばAl、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr,またはTiの酸化物との混合酸化物の形態を取っていてもよい。
【0035】
本発明においては、それぞれの場合においてBETに従って求めて、5〜1000m
2/g、より好ましくは20〜400m
2/gの比表面積を有するシリカを使用するのが好ましい。
【0036】
本発明において使用されるヒドロキシル化された酸化物系充填剤は、100phr(100部のゴムあたりの部数)を基準にして、5〜150phr、好ましくは30〜100phrの量で使用するのが好ましいが、ここでそのヒドロキシル化された酸化物系充填剤は、使用される充填剤の合計量を基準にして、充填剤含量の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%になるようにする。
【0037】
硫黄含有有機ケイ素化合物:
硫黄含有有機ケイ素化合物は、1個または複数のアルコキシシリル基、好ましくは1個または複数のトリアルコキシシリル基を含んでいるのが好ましい。
【0038】
好ましい硫黄含有有機ケイ素化合物は、ビス(トリエトキシシリルプロピルポリスルファン)であるが、このタイプの製品は、例えば、Degussaから、シランSi75及びシランSi69(CAS No.:40372−72−3)として市販されている。
【0039】
硫黄含有有機ケイ素化合物の使用される合計量は、有利には、0.2phr〜12phrである。
【0040】
本発明においては、硫黄含有有機ケイ素化合物を、少なくとも二回に分割して添加するということが肝要である。「分割して(separate)」という用語は、一部を添加するのと次の一部を添加するのとの間に、時間間隔が存在しているということである。実務上これが意味していることは当業者には明白であり、その時間間隔における下限についてはいかなる定義も存在しない。その時間間隔は、好ましくは少なくとも約1分間であるが、それはゴム混合物及び混合装置に大きく依存する。高温(具体的には60℃を超える)での少なくとも一つの混合ステージの間に、その添加を行うのが好ましい。
【0041】
加硫戻り防止剤:
本発明において使用される加硫戻り防止剤は、好ましくは、1,6−ビス(N,N−ジベンジル−チオカルバモイルジチオ)ヘキサン(CAS No.:151900−44−6)である。
【0042】
好ましくは、それは単独でも使用できるし、他の加硫戻り防止剤、特に1,3−ビス((3−メチル−2,5−ジオキソピロ
ール−1−イル)メチル)ベンゼン(CAS No.:119462−56−5)またはヘキサメチレン1,6−ビス(チオサルフェート)二ナトリウム塩二水和物(CAS No.:5719−73−3)と組み合わせて使用することもできる。第一の混合ステージにおいて、シリカ及びアルコキシシランと組み合わせてそれらを使用するのが好ましく、それらをゴム混合物の中に、二回に分割して添加するのが特に好ましい。
【0043】
少なくとも0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%の加硫戻り防止剤を使用するのが好ましい。
【0044】
加硫添加剤:
本発明において使用される加硫剤は、具体的には、硫黄または硫黄供与体、例えばジチオモルホリン(DTDM)または2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MBSS)である。硫黄及び硫黄供与体は、ゴムの全量を基準にして、例えば0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部の量で使用する。
【0045】
ゴム添加剤:
本発明において使用されるゴム添加剤の中でも、特に使用されるのが加硫促進剤である。適切な加硫促進剤の例は、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、グアニジン、チウラムジスルフィド、ジチオカルバメート、チオ尿素、チオカーボネート、更にはジチオホスフェートなどである(Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,Vol.A23 「Chemicals and Additives」,p.366〜417)。
【0046】
加硫促進剤は、硫黄含有有機ケイ素化合物の手段によって、ヒドロキシル化された酸化物系充填剤、例えばシリカを活性化させる目的で実施されている、高温での混合ステップでは添加しないのが有利であるが、その理由は、それらによって、混合物の早過ぎるスコーチが起きる可能性があるからである。従って、それらは、硫黄含有有機ケイ素化合物を添加した後で、好ましくは100℃未満の温度で組み入れるのが好ましい。
【0047】
加硫促進剤は、ゴムの全量を基準にして、0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部の量で使用するのが好ましい。
【0048】
本発明において製造されるゴム混合物には、少なくとも1種の加硫促進剤が含まれているのが好ましい。その混合物には、多くの場合、場合によっては活性剤と組み合わせて、複数の加硫促進剤が含まれる。
【0049】
本発明において製造されるゴム混合物には、自体公知のその他のゴム添加剤が含まれているのが好ましい。
【0050】
それらの内では、具体的にはその他の充填剤、例えば特にはカーボンブラックがあるが、それは、本発明において製造されるゴム混合物において好適に使用される。
【0051】
本発明において製造されるカーボンブラック(「カーボン」または「カーボンブラック」を参照、Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,Vol.A5,「Carbon Black」,p.95〜158)は、ガスブラックプロセス、ファーネスブラックプロセス、ランプブラックプロセス、及びサーマルブラックプロセスによって製造され、ASTM新命名法(ASTM D1765及びD2516)に従うと、N110、N115、N121、N125、N212、N220、N231、N234、N242、N293、N299、S315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N375、N472、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991 S3などと名付けられているものが好ましい。本発明において使用されるカーボンブラックが、5〜200m
2/gのBET表面積を有しているのが好ましい。
【0052】
本発明においては、カーボンブラックは、0〜120phr、好ましくは1〜100phr、より好ましくは5〜80phrの量で使用するのが好ましい。
【0053】
本発明においては、ヒドロキシル化された酸化物系充填剤とカーボンブラックとを合計した量が、20〜160phr、好ましくは25〜140phrであるのが好ましい。
【0054】
場合によっては使用されるその他の充填剤としては以下のものが挙げられる:
・ 合成シリケート例えば、ケイ酸アルミニウム、アルカリ土類金属シリケート、例えば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムで、BET表面積が20〜400m
2/g、一次粒径が5〜400nmのもの、
・ 天然シリケート例えば、カオリ及びその他の天然シリケート、
・ 金属酸化物例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、
・ 金属炭酸塩例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、
・ 金属硫酸塩例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、
・ 金属水酸化物例えば、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム、
・ ガラス繊維及びガラス繊維製品(マット、ストランド、またはガラスマイクロビーズ)、
・ 熱可塑性プラスチック(ポリアミド、ポリエステル、アラミド、ポリカーボネート、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン及びtrans−1,4−ポリブタジエン、並びにセルロース及びデンプン。
【0055】
その他の添加剤としては以下のものが挙げられる:抗酸化剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、鉱油、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、樹脂、増量剤、有機酸、加硫抑制剤、加硫活性化剤例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、更にはステアリン酸亜鉛、金属酸化物、及びその他の充填剤活性化剤例えば、トリエタノールアミン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、脂肪族トリアルコキシシラン、またはその他ゴム工業で公知のもの(Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,Vol.A23,「Chemicals and Additives」,p.366〜417)。
【0056】
それらのゴム添加物は、通常の量で使用されるが、それは、なかんずく、意図している目的に依存する。他の充填剤例えば、特にカーボンブラック及びそれぞれ鉱油を除いた、個々のゴム添加剤の通常使用される量は、例えば0.1〜50phrである。
【0057】
製造されたゴム混合物の加硫は、100〜250℃、好ましくは130〜180℃の温度で、場合によっては1〜100barの圧力下で実施するのが好ましい。
【0058】
製造されるゴム混合物は、各種のタイヤ構成成分、特にタイヤトレッド、サブトレッド、カーカス、サイドウォール、ランフラットタイヤのための強化サイドウォール、アペックス(apex)混合物などを製造するため、並びに、工業的なゴム製品例えば、制動要素、ロール被覆、コンベヤベルトカバー、駆動ベルト、紡糸コップ、ガスケット、ゴルフボールの芯、靴底などを製造するために好適である。この混合物は、タイヤトレッド、サブトレッド、カーカス及びアペックス混合物を製造するのに特に適している。ここでは、タイヤ及びタイヤ部品には更に、例えば、夏用タイヤ、冬用タイヤ、及びオールシーズンタイヤのトレッド、更には乗用車用タイヤ及びトラック用タイヤのトレッドが含まれる。
【実施例】
【0059】
以下の実施例を使用して本発明を更に詳しく説明するが、それらの実施例で本発明を限定するということは意図されていない。
【0060】
ゴム混合物は、例えば次の混合ステップで製造される:
第一混合ステージ:
・ インターナルミキサーの中にSBR及びBRを仕込んで、約30秒間混合
・ シリカの2/3、シランの2/3、更に加硫戻り防止剤の2/3を添加して、約60秒間混合
・ シリカの1/3、シランの1/3、加硫戻り防止剤の1/3、更にオイルを添加して、約60秒間混合
・ カーボンブラック、オイル、抗酸化剤、酸化亜鉛、更にオゾン劣化防止ワックスを添加して、約60秒間混合
この混合手順は、100〜170℃、好ましくは150℃の領域の温度で実施することができる。
第二混合ステージ:
第一の混合ステージが終了した後、その混合物を下流のロールミルに移し、シート、ストリップまたはペレットに成形し、室温で24時間貯蔵。
ここでの加工温度は、60℃未満である。
第三混合ステージ:
第三混合ステージには、例えばニーダー/インターナルミキサー内における、140〜170℃、好ましくは150℃での、更なる再混練ステップが含まれる。
第四混合ステージ:
加硫/ゴム添加剤、例えば加硫促進剤(1種または複数)及び硫黄を、好ましくはロール上、低温(80℃未満)で添加。
【0061】
その混合物を製造するのに好適な装置(assemblies)は自体公知であり、例えば、ロール、インターナルミキサー、そうでなければ混合エクストルーダーが挙げられる。
【0062】
言うまでもないことではあるが、加硫戻り防止剤(1種または複数)の一部をそれに続く混合ステージで使用することもまた可能であるが、第一の混合ステージで加硫戻り防止剤(1種または複数)を全部添加するのが好ましい。
【0063】
使用物質:
1. Buna(登録商標)VSL5025(LANXESS Deutschland GmbH製)
2. Buna(登録商標)CB24(LANXESS Deutschland GmbH製)
3. Vulkasil(登録商標)S(LANXESS Deutschland GmbH製)
4. Tudalen 1849−1
5. Rotsiegel亜鉛華(Grillo Zinkoxid GmbH製)
6. Edenor(登録商標)C18 98−100(Cognis Deutschland GmbH製)
7. 重合させた2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(Vulkanox(登録商標)HS/LG(LANXESS Deutschland GmbH製))
8. N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Vulkanox(登録商標)4020/LG(LANXESS Deutschland GmbH製))
9. Antilux(登録商標)654(RheinChemie GmbH製)
10. ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si(登録商標)69(Degussa Huels AG製)
11. Corax N339(Degussa Huels AG製)
12. 可溶性硫黄(90/95゜Chancel(登録商標)磨砕硫黄(Solvay Barium Strontium製)
13. N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(Vulkacit(登録商標)CZ(LANXESS Deutschland GmbH製))
14. ジフェニルグアニジン(Vulkacit(登録商標)D/C(LANXESS Deutschland GmbH製)
15. 1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(Vulcuren(登録商標)(LANXESS Deutschland GmbH製)、CAS No.:151900−44−6)。
【0064】
ゴム混合物及び加硫物の試験:
ムーニー粘度の測定:
粘度は、ゴム(及びゴム混合物)を加工する際に、それらによってもたらされる対抗力から直接求めることができる。ムーニー剪断円板式粘度計の中で、溝のあるディスクが上下共に試験物質で取り囲まれていて、加熱可能なチャンバーの中で、約2回転/分の速度で回転される。この目的のために必要な力を、トルクの形式で測定し、それぞれの粘度に対応させる。その試験片は一般的には、1分間、100℃に予備加熱しておき、更に4分間かけて測定を行うが、温度は一定に保持しておく。
【0065】
粘度は、それぞれの試験条件と共に記述するが、例えばML(1+4)100℃(ムーニー粘度、大ローター、予備加熱時間及び試験時間(分)、試験温度)である。
【0066】
ムーニー剪断円板式粘度計を使用して、表1に記載のゴム混合物の粘度を測定する。
【0067】
同一の試験を使用して、混合物の「スコーチ」挙動を試験することも可能である。本特許において選択された温度は、130℃である。ローターを回転させて、トルク値が、最小値を過ぎ、その最小値(t5)に対して5ムーニー単位だけ高くなるまで続ける。値が大きくなるほど(ここでの単位:秒)、スコーチが遅い(ここでは高いスコーチ値)。
【0068】
レオメーター(バルカメーター)フル加硫時間、170℃/t95:
MDR(ムービング・ダイ・レオメーター)における加硫過程の進行と、その結果の分析データは、ASTM D5289−95に従い、Monsanto MDR 2000レオメーター中で測定する。表2は、この試験の結果を照合している。
【0069】
完全加硫時間は、ゴムの95%が架橋したところで測定した時間である。選択した温度は170℃であった。
【0070】
硬度の類似測定:
本発明によるゴム混合物の硬度を測定するために、表1の配合に従って、そのゴム混合物から作った厚み6mmのミルドシートを作製した。そのミルドシートから直径35mmの試験片を切り出し、デジタルショアー硬度試験器(Zwick GmbH&Co.,KG,Ulm製)を使用して、それらのショアーA硬度値を求めた。
【0071】
引張試験:
引張試験は、エラストマーの負荷限界を直接求めるのに役立つ。初期の長さに関連させた、破断した時の長手方向の伸びが、破断時伸びを与える。あるレベルの伸び(殆どの場合は50、100、200、及び300%)を達成するために必要とされる力を測定して、弾性率として表す(所定の300%の伸びのための引張強さ、即ち300弾性率)。
【0072】
表1に試験結果を示す。
【0073】
動的制動:
動的試験方法を使用して、周期的に変動する加重下でのエラストマーの変形挙動の特性表示をする。外部から加えられた応力が、ポリマー鎖のコンホメーションを変化させる。
【0074】
この測定によって、損失係数のtanデルタが(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との関係を使用して間接的に)決まる。
【0075】
以下の実施例を使用して本発明を更に詳しく説明するが、それらの実施例で本発明を限定するということは意図されていない。
【0076】
【表1】
【0077】
加硫戻り防止剤のVulcurenは、ゴム混合物の第一の混合ステージに対して、2通りの投与量で添加した(0.5phr及び1.0phr(100部のゴムあたりの部数))。結果からもわかるように、驚くべきことには、ムーニー粘度における上昇は、わずかである。当業者が承知しているように、150までのムーニー粘度を有するゴム混合物は、加工において極めて良好な結果を与える。これら二つの実施例は更に、驚くべきことには、比較的に大量のVulcurenを添加したときに、加硫時間を大幅に短縮することが可能であることも示している(最大80%まで;エネルギー抑制によるコスト削減及び/または生産性を上げることができる)。機械的性質、例えば硬度(ショアーA)、300弾性率、破断時伸び、引張強さ、更には摩耗についての測定値が、誤差の範囲内でほぼ一定に留まっている。最後に、動的性質についての測定データ、例えば0℃で測定したtanデルタがほぼ一定であるが、(60℃で測定した)tanデルタの値が、添加するVulcurenの量を増やすにつれて低くなっていることに注目されたい。このことは、第一の混合ステージにおいてVulcurenを添加することで、転がり抵抗性における改良が達成可能であるということを示唆している。