特許第5855238号(P5855238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855238
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】パラ−チモールを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/84 20060101AFI20160120BHJP
   C07C 39/06 20060101ALI20160120BHJP
   C07C 37/14 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   C07C37/84
   C07C39/06
   C07C37/14
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-510823(P2014-510823)
(86)(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公表番号】特表2014-523865(P2014-523865A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】EP2012059268
(87)【国際公開番号】WO2012159991
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2014年1月17日
(31)【優先権主張番号】11166843.0
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ベーガー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ホイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルツホフ
【審査官】 吉田 直裕
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01886311(US,A)
【文献】 特表2010−533738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 37/84
C07C 39/06
C07C 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下でメタ−クレゾールをプロペンと反応させる際に得られる反応混合物から4−イソプロピル−3−メチルフェノールを調製するための方法であって、
a)前記反応混合物からチモールおよび未反応のメタ−クレゾールの大部分を蒸留によって除去し、蒸留残渣を得る工程と、
b)工程a)において残った前記蒸留残渣から、結晶化によって、粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る工程と、
c)工程b)により得られた前記粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、少なくとも80重量%の炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素またはそれらの混合物からなる有機溶媒を用いて処理する工程と、
を特徴とする方法。
【請求項2】
工程a)による前記残渣が、10〜30重量%の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)において、前記結晶化を、工程a)において残った前記残渣を冷却することにより実施し、冷却の際の温度差を、30K以上とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)における冷却の際に撹拌を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)において、結晶の4−イソプロピル−3−メチルフェノールをシードとして添加することによって、前記結晶化を生じさせるか、または加速させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程b)で得られる前記粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールの純度が、75〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程b)で得られる前記粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールのフラクションが、工程b)で使用される前記蒸留残渣の中の4−イソプロピル−3−メチルフェノール含量を基準にして、60〜90重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程c)において使用される前記有機溶媒が、少なくとも80重量%の、炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素またはそれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素またはハロゲン化炭化水素が、1013hPaで30〜160℃の沸点を有するものであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素が、シクロペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、メチルシクロペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンまたはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ハロゲン化炭化水素が、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各種異性体、またはこれらの溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
洗浄を行う場合、前記粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを基準にして、0.5〜100重量当量の前記溶媒を用いて洗浄を行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
再結晶化を行う場合、前記粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを基準にして、0.5〜20重量当量の前記溶媒を用いて再結晶化を行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
再結晶化によって工程c)を実施し、前記再結晶化を、濾過助剤または活性炭を追加することによって行うことを特徴とする、請求項1〜11または13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程c)を繰り返すことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チモール製造の蒸留残渣から4−イソプロピル−3−メチルフェノール(p−チモール)を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−イソプロピル−3−メチルフェノールは、たとえば化粧料における抗菌剤および殺菌剤、歯石防止剤作用を有するうがい薬、さらには良好な皮膚適合性を有するフットケアおよびヘアケア組成物として使用されている。4−イソプロピル−3−メチルフェノールの調製法は、原理的には公知である。
【0003】
したがって、(特許文献1)には、ジルコニウム触媒上におけるメタ−クレゾール(m−クレゾール、3−メチルフェノール)とプロペンとの反応が記載されているが、そこでは、基本的にはチモール(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)が生成するが、多くの芳香族反応副生物もまた生成する。一つの反応副生物として、反応混合物中では2%、第一の蒸留の後では4.4%の4−イソプロピル−3−メチルフェノールが同定されている。4−イソプロピル−3−メチルフェノールの単離についての記載はない。
【0004】
(特許文献2)には、酸性亜鉛触媒上でのm−クレゾールとプロペンとの反応の際に、最高19.5%までの4−イソプロピル−3−メチルフェノールが生成することが記載されている。ここでもやはり、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの単離についての記載はない。
【0005】
(特許文献3)には、塩基性酸化アルミニウム触媒上でのメタ−クレゾールとプロペンとの反応の際に、約2%の4−イソプロピル−3−メチルフェノールが生成することが記載されている。各種の反応副生物から4−イソプロピル−3−メチルフェノールを単離することについての記載はない。
【0006】
さらに、メタ−クレゾールとイソブテンとの反応における反応副生物として4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、複雑なプロセスの手段により得ることは、(特許文献4)からも公知である。
【0007】
上述のプロセスすべてにおける一般的態様は、m−クレゾールのアルキル化の際の二次成分として4−イソプロピル−3−メチルフェノールが生成するが、その他の二次成分が非常に多いので、単離が実施されないか、または並外れて手間のかかる方法の手段によって単離が実施されるかのいずれかである。
【0008】
(特許文献5)には次のようなプロセスが開示されている:チモール製造からの反応混合物から、まず蒸留によって、チモールおよび未反応のメタ−クレゾールの大部分を分離し、その結果として残った残渣を蒸留して、非揮発性の物質または極めて実質的に非揮発性の物質を分離除去し、そのようにして得られた留出物に5重量%までの水を添加してから結晶化させるか、または、5重量%までの水を添加してから残っている残渣を結晶化させ、その結晶化させた残渣を蒸留によって、非揮発性の物質または極めて実質的に非揮発性の物質から分離する。
【0009】
そのようにして得られた4−イソプロピル−3−メチルフェノールの純度は、95.1%であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,331,879号明細書
【特許文献2】独国特許公開第2139622OS号明細書
【特許文献3】独国特許公開第2528303OS号明細書
【特許文献4】米国特許第2,603,662号明細書
【特許文献5】独国特許公開第102007035515A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、効率的な方法で、高い純度で得ることが可能となるような方法を提供する必要性が存在していた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
触媒の存在下でメタ−クレゾールをプロペンと反応させる際に得られる反応混合物から4−イソプロピル−3−メチルフェノールを調製するための方法であって、
a)反応混合物からチモールおよび未反応のメタ−クレゾールの大部分を蒸留によって除去し、蒸留残渣を得る、そして
b)工程a)によって残った蒸留残渣から、結晶化によって、粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを得る、そして
c)工程b)によって得られた粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、少なくとも80重量%の炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素またはそれらの混合物からなる有機溶媒を用いて処理する
ことを特徴とする方法が今回見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の範囲には、配合およびパラメーターの特定された範囲および好ましい範囲だけではなく、各種所望のそれらの組み合わせもまた、実務的な理由から、以下においてそれらのすべてが明示されていないとしても、包含される。
【0014】
当業者に公知の方法(たとえば、独国特許公開第3824284OS号明細書、または独国特許公開第2528303OS号明細書参照)で実施することが可能な、触媒の存在下における、プロペンを用いたメタ−クレゾールのアルキル化では、典型的には、主要量のチモールの他に、約1〜3重量%の4−イソプロピル−3−メチルフェノールも含んでいる反応混合物が生成する。
【0015】
本発明による工程a)においては、チモールおよび未反応のメタ−クレゾールの大部分は、蒸留によって反応混合物から除去される。「大部分(largely)」という用語は、本明細書では、残る残渣が、チモールおよびメタ−クレゾールを、合わせて、合計80%以下、好ましくは55%以下、特に好ましくは30%以下の割合で含んでいるということを意味している。
【0016】
本明細書において、蒸留は、自体公知の方法、たとえば非連続的または連続的に実施することができるが、大気圧に比較して低い圧力下で(たとえば1〜950hPa、好ましくは50〜950、特に好ましくは50〜150hPaとすることができる)、連続蒸留するのが好ましい。
【0017】
蒸留の際の塔頂温度は、たとえば100〜225℃、好ましくは140〜155℃であり、その塔底温度は、たとえば120〜260℃、好ましくは170〜190℃であるが、蒸留の際の塔頂と塔底の温度は、相互に関連しており、また蒸留圧力にも関連するということは、当業者には明らかである。当業者ならば、好適な蒸留条件を決めるのは容易である。
【0018】
その蒸留は、短経路蒸発器、充填物なしの塔を使用するか、または流下膜式蒸発器もしくは薄膜式蒸発器の手段で実施するのが好ましい。その蒸留では、1段の理論段で充分である。1段を超える段数も当然可能ではあるが、必要はない。
【0019】
典型的には、その残っている残渣には、4−イソプロピル−3−メチルフェノールの他に、20〜30種のさらなる低分子構造の二次成分およびポリマー性の二次成分が含まれている。蒸留の後では、残っている残渣(これは通常黒色である)の中の4−イソプロピル−3−メチルフェノールの含量は、典型的には10〜30重量%である。
【0020】
工程b)においては、工程a)に従って残った残渣から、粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールが結晶化される。これは、工程a)に従って残った残渣を冷却することによって実施するのが好ましいが、この場合、冷却の際の温度差を、たとえば30K以上、好ましくは40K以上、より好ましくは40〜100Kとすることができる。
【0021】
工程a)によって残った蒸留からの残渣は、その蒸留装置から排出された後では、典型的には140〜180℃、好ましくは120〜140℃の温度を有しており、結晶化は、その残渣を、たとえば30℃以下、好ましくは25℃以下、特に好ましくは−10℃〜25℃の間の温度に単に冷却するだけで、極めて容易に実施される。
【0022】
冷却の際の撹拌は実施しても、しなくてもよいが、撹拌するのが好ましい。
【0023】
本発明による方法の一実施形態においては、結晶の4−イソプロピル−3−メチルフェノールをシードとして添加することによって、結晶化を誘発させることも、加速させることもできる。
【0024】
結晶化の時間は、典型的には0.5〜200時間、好ましくは1〜48時間、特に好ましくは2〜24時間である。
【0025】
工程b)において、結晶化によって粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールが得られる。この方法で得られる粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールの純度は、約75〜90重量%、好ましくは80〜90重量%である。
【0026】
母液から粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを分離除去することは、沈降法およびデカンテーション法、濾過法、または遠心分離法、または、その他当業者公知の固液分離操作により、自体公知の方法で実施することができる。
【0027】
4−イソプロピル−3−メチルフェノールのフラクションは、工程b)で使用される蒸留残渣の中の4−イソプロピル−3−メチルフェノール含量を基準にして、約60〜90重量%、好ましくは70〜90重量%である。
【0028】
工程b)によって得られた粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを、工程c)において、少なくとも80重量%の炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素またはそれらの混合物からなる有機溶媒を用いて処理する。本発明の文脈においては、「処理」という用語は、「洗浄」および「再結晶化」、さらにはそれらのプロセスの望ましい組み合わせを意味している。
【0029】
処理のために使用する有機溶媒は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも98重量%の炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素またはそれらの混合物からなるが、使用するのに特に好ましい溶媒は、工業グレードまたは試験用グレードとして市販されている炭化水素またはハロゲン化炭化水素に限られる。
【0030】
炭化水素またはハロゲン化炭化水素は、1013hPaで30〜160℃の沸点を有するものが好ましい。
【0031】
好ましい炭化水素は、シクロペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、メチルシクロペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンまたはそれらの混合物であるが、メチルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0032】
好ましいハロゲン化炭化水素は、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各種異性体、または上述の溶媒の混合物であるが、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンが好ましい。
【0033】
洗浄を行う場合、洗浄は、粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを基準にして、たとえば0.5〜100重量当量、好ましくは0.5〜10重量当量の溶媒を用いて実施することができる。
【0034】
洗浄を行う場合、洗浄は、たとえば−10℃から使用する溶媒の沸点までで実施することができる。
【0035】
再結晶化を行う場合、再結晶化は、粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを基準にして、たとえば0.5〜20重量当量、好ましくは0.5〜10重量当量の溶媒を用いて実施することができるが、その場合、温度の関数として溶解性挙動を、考慮に入れることが可能であり、好ましくは考慮に入れる。
【0036】
当業者にとっては、いくつかの予備的な実験をすれば、洗浄、再結晶化のいずれついても好適な条件を容易に特定することが可能である。
【0037】
一実施形態においては、濾過助剤または活性炭を加えて再結晶化を行うが、その場合、1種または複数種の濾過助剤または活性炭を濾過によって再度除去した後に、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを溶媒から結晶化させる。
【0038】
場合によっては、工程c)を繰り返してもよい。工程c)に再結晶化が含まれている場合、工程c)を繰り返すことは好ましくない。
【0039】
本発明が特に利点としているのは、チモールの製造において、室温において同様に固体である極めて多数のさらなる二次成分が存在しているにも関わらず、4−イソプロピル−3−メチルフェノールを効率的、かつ二次成分として並外れて高い純度で回収することが可能であるという事実であると考えられる。その純度は、工程c)において洗浄を行う場合には、典型的には98〜99重量%、再結晶化すると、典型的には98.5〜99.99重量%、好ましくは99.8〜99.99重量%である。
【実施例】
【0040】
実施例1:
触媒の存在下でm−クレゾールをプロペンと反応させることによるチモールの製造からの、21.1kgの60℃に温めた黒色の蒸留残渣(その蒸留残渣には、21.5重量%のチモール、7.0重量%の3−イソプロピル−5−メチルフェノール、25.0重量%の4−イソプロピル−3−メチルフェノール、21.5重量%の2,6−ジイソプロピル−3−メチルフェノール、21.0重量%の2,4−ジイソプロピル−5−メチルフェノール、および約22種からなる、合計して約4重量%のその他のアルキル化クレゾールが含まれている)を、容量25Lの反応器の中で、撹拌しながら16時間かけて徐々に冷却すると、その間に4−イソプロピル−3−メチルフェノールが晶出した。沈殿した粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールを濾別した。純度83.4重量%の4−イソプロピル−3−メチルフェノールが5.26kg得られたが、これは、蒸留残渣中に存在する4−イソプロピル−3−メチルフェノールからは、82.3重量%の収率に相当する。
【0041】
実施例2:
それぞれの場合において、実施例1による粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールの50gを、吸引ロート上で撹拌しながら、20℃で150gの有機溶媒を用いて洗浄した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例2k:
それぞれの場合において、実施例1による粗製の4−イソプロピル−3−メチルフェノールの50gを85℃に加熱し、撹拌しながら188gのメチルシクロヘキサンおよび0.5gの活性炭を加え、この温度で15分間撹拌してから、活性炭を濾別した。次いでその濾液を撹拌しながら、室温にまで放冷させた。反応の間に結晶化したp−チモールを濾別し、乾燥させた。使用したp−チモールの計75重量%が、純白の針状物として得られ、その純度は99.90重量%であった。