特許第5855324号(P5855324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855324
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】微細な水中油型エマルション
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/894 20060101AFI20160120BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20160120BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   A61K8/894
   A61K8/06
   A61K8/31
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/44
   A61K8/86
   A61K8/891
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2007-132019(P2007-132019)
(22)【出願日】2007年5月17日
(65)【公開番号】特開2007-308497(P2007-308497A)
(43)【公開日】2007年11月29日
【審査請求日】2010年4月5日
【審判番号】不服2014-16689(P2014-16689/J1)
【審判請求日】2014年8月22日
(31)【優先権主張番号】0604406
(32)【優先日】2006年5月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 美香
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 松浦 新司
【審判官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/006871(WO,A1)
【文献】 特開平9−100222(JP,A)
【文献】 特開2005−103421(JP,A)
【文献】 特表2005−526865(JP,A)
【文献】 特開2000−313808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)分子量が10000以上の少なくとも1つのシリコーン界面活性剤、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重縮合体から選択される少なくとも1つの非イオン性共界面活性剤、及び少なくとも1つのアニオン性共界面活性剤を含む乳化システム、並びに(2)2から6個の炭素原子を含む少なくとも1つの一価アルコールを含み、油性相の油が前記一価アルコールに可溶性であり、
前記非イオン性共界面活性剤の量が、組成物の総重量に対して、0.01重量%から0.5重量%の範囲にあることを特徴とする、水性相中に分散した油性相を含む、水中油型エマルションの形態をとる組成物。
【請求項2】
前記シリコーン界面活性剤が、オキシエチレン化基及びオキシプロピレン化基を含むポリジメチルシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン界面活性剤の量が、当該組成物の総重量に対して、0.05重量%から4重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アニオン性共界面活性剤が、リポアミノ酸及びその塩から選択されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
アニオン性共界面活性剤の量が、当該組成物の総重量に対して、0.01重量%から0.5重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記一価アルコールがエタノールであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
一価アルコールの量が、当該組成物の総重量に対して、0.1重量%から60重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
シリコーン界面活性剤の量に対する油の量の重量比が0.5から20の範囲にあることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
一価アルコールの量に対するシリコーン界面活性剤と油の量の重量比が0.01から1の範囲にあることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水の量に対する一価アルコールの量の重量比が0.01から0.2の範囲にあることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記油が、フェニルトリメチコーン、ペンタエリスリトールエステル、オクチルドデカノール、イソヘキサデカン、イソドデカン、シクロポリジメチルシロキサン、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
油性相の量が、当該組成物の総重量に対して、0.5重量%から10重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
−室温で、水、非イオン性共界面活性剤、アニオン性共界面活性剤、及び一価アルコールを除く親水性化合物を混合する工程;
−室温で、油、親油性活性剤、シリコーン界面活性剤、及び一価アルコールを混合する工程;
−低速攪拌で油性相を水性相中に注入する工程;
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な水中油型エマルションの形態をとる局所的適用のための組成物、それを調製する方法、並びに、特に皮膚、外皮(毛髪、睫毛、爪)、及び/または粘膜の処理、ケア、メイクアップ、及び/または洗浄のための使用に関する。当該組成物は、特に化粧用及び/または皮膚科学用組成物であって良い。
【背景技術】
【0002】
特に使用中のより良い快適性(柔軟性、軟化性等)に関わる各種の理由ために、現在の化粧用または皮膚科学用組成物は、通常水中油(O/W)型のエマルションの形態をとる。すなわち、連続的な溶剤水性相と非連続的な分散した油性相とからなるエマルションである。
【特許文献1】EP-A-728460
【特許文献2】EP-A-1297824
【特許文献3】EP-A-0774482
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、O/W型エマルションに適した乳化界面活性剤を用いてO/W型エマルションを安定化する。この界面活性剤は、その両親媒性構造により、油性相/水性相の界面に位置するようになり、従って水性相中に分散した油滴を安定化する。乳化剤の存在にもかかわらず、エマルションは相分離の傾向を有し得る。従来のO/W型エマルションの安定性についての問題を解決するために、いくつかの解決策が知られている。例えば、1つ以上の水溶性のゲル化剤を用いて、連続相(水性相)の粘性を増大させることが可能である。しかしながらこの解決策は、流体、または、「化粧水」とも称されるトニックとローションを構成する製品等のまさに流動製品を得るには適切ではない。
【0004】
増粘剤を添加することなく、またはごく少量の増粘剤を用いることにより、流動O/W型エマルションを安定化するために考慮される別の解決策は、油性相を構成する液滴の平均径が慎重に決められた範囲内、すなわち50から100nmの間にある「超微細な」O/W型エマルションを調製することにある。
【0005】
いくつかの超微細エマルションの技術が知られている。例えば、
−例えば、EP-A-728460、EP-A-780114、EP-A-1010413、EP-A-1010414、EP-A-1010415、EP-A-1010416、EP-A-1013338、EP-A-1016453、EP-A-1018363、EP-A-1020219、EP-A-1025898、及びEP-A-1172077の文献に記載されているようなナノエマルション。この技術の欠点は、機械的エネルギー及び特に高圧攪拌機を使用する必要がある点であり、これにより工程が複雑になる。
−例えば、EP-A-1297824の文献に記載されているようなPITエマルション。この技術は、相転位の範囲内の温度で機械的エネルギーを必要としない。この方法は、組成物のタイプが制限されるという欠点があり、従って、例えば、相転位の温度の変更につながるため、ポリオールとアルコールの量を変更することが困難である。この技術の別の欠点は、油性相を5%未満に低減させることができない点である。現在、ローションとトニックの場合には、大量の水と5%未満のオイル重量とを含むO/W型エマルションを有することが所望されて良い。
【0006】
超微細エマルションを調製するためのこれらの技術とともに、流体でもありうるマイクロエマルションが知られている。例えば、EP-A-0774482の文献に記載されているように、マイクロエマルションは、厳密には討論しているエマルションではないが、一般的に非常に短い炭素鎖(例えば、ヘキサンまたはデカン)を含む油で膨潤した両親媒性脂質のミセルからなり、さらに、ミセルを形成する大量の界面活性剤と共界面活性剤とが同時に存在する効果により安定化した、熱力学的に安定な分散物である。膨潤したミセルのサイズは、可溶化しうる少量の油のために非常に小さい。この非常に小さなサイズのミセルが、その透明度の理由である。マイクロエマルションは、その成分(水、油、及び界面活性剤)がその成分の添加の順序に関係なく、1つの磁気攪拌機以外の機械的エネルギーのいずれかの供給なく単純に接触した際に、自発的に形成する。マイクロエマルションの重大な欠点は、界面活性剤の高い比率に関する点であり、不寛容につながり、且つ皮膚に適用した場合にべたつき感を生じる。さらに、マイクロエマルションは一般的に配合の範囲が非常に狭い。従って、これらのマイクロエマルションは、微細エマルションではなく、前記微細エマルションの欠点を補うことができない。
【0007】
従って、安定で、且つ当該技術分野のものよりも低費用で複雑でない工程(すなわち、機械的または熱的なエネルギーに関係なくエネルギー供給を必要とせず、従って高温を伴うことなく、大量のエネルギーを供給する材料を必要とせず、当該組成物を構成する化合物の化学的安定性に影響を与えないような工程)を用いて得られる、微細で流体のO/W型エマルションを調製する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、驚くべきことに、界面活性剤と共界面活性剤の特定の選択により、並びにアルコールの存在により、エネルギーを供給することなく且つ過熱することなく、微細エマルションを調製することが可能であることを発見した。
【0009】
本発明はまた、特に化粧品の分野において、当該組成物の改良なしでの使用、または当該組成物を注入した商品という形態をとる使用に関する。
【0010】
本発明の主題は、従って、(1)分子量が10000以上の少なくとも1つのシリコーン界面活性剤、少なくとも1つの非イオン性共界面活性剤、及び少なくとも1つのアニオン性共界面活性剤を含む乳化システム、並びに(2)2から6個の炭素原子を含む少なくとも1つの一価アルコールを含み、油性相の油が前記一価アルコールに可溶性であることを特徴とする、水性相中に分散した油性相を含む、水中油型エマルションの形態をとる組成物である。
【0011】
目的たる組成物は、水性相に増粘剤が存在しない場合でさえ、及び油の含有率が非常に低い(例えば1から2%)場合でさえ優れた安定性を備えるという利点、容易に調製することができる(加熱または高圧下で攪拌する必要なく、低速で通常の攪拌をする)という利点、アルコールとポリオールの量を変更することができるという利点、非常に優れた化粧品の品質を備えるという利点、並びに眼と皮膚に優れた寛容を示すという利点を有する。
【0012】
当該組成物は、特に局所的な適用を意図している。用語「局所的な適用」とは、ここでは、ケラチン物質、つまり、特に皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、毛髪、及び/または粘膜への外部からの適用を意味することを意図する。当該組成物は局所的な適用を意図するため、生理学的に許容できる媒体を含む。用語「生理学的に許容できる媒体」とは、皮膚、唇、頭皮、睫毛、眼、爪、及び/または毛髪に適合する媒体を意味することを意図する。当該組成物は、特に化粧用及び/または皮膚科学用組成物を構成して良い。
【0013】
本発明に係る組成物は、いずれかのpHで安定である。しかしながら、局所的な適用のために、pH 3から9を有する組成物が好ましく、さらにpH3.5から8.5を有する組成物がさらに好ましい。
【0014】
目的たる組成物は、50から1000nm、好ましくは100から500nm、とりわけ100から300nmの範囲にある数平均サイズ(直径)を有する油性相液滴を示す。この平均サイズとは、準弾性光散乱、例えばBrookhaven Instruments Corporation社の装置Model Instrument 90+を用いて測定される、強度による平均サイズである。
【0015】
油性相液滴のサイズによって、本発明に係る組成物の外観は、半透明または乳白色の様相から白色の様相まで変動しうる。本発明の微細エマルションは、通常100から900 NTU、また好ましくは200から600 NTUの範囲にある混濁度を有する。この混濁度は、携帯型濁度計HACH-Model 2100 Pを用いて測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[乳化システム]
本発明に係る組成物は、分子量が10000以上の少なくとも1つのシリコーン界面活性剤、少なくとも1つの非イオン性共界面活性剤、及び少なくとも1つのアニオン性共界面活性剤を含む乳化システムを含む。
【0017】
前記乳化システムは、当該組成物の総重量に対して、例えば、0.07重量%から5重量%、好ましくは0.1重量%から5重量%、またより好ましくは0.2重量%から3重量%の範囲をとりうる量で存在する。
【0018】
[A.シリコーン界面活性剤]
用語「シリコーン界面活性剤」とは、少なくとも1つのオキシアルキレン化炭素鎖、特に少なくとも1つのオキシエチレン化(-OCH2CH2-)、及び/またはオキシプロピレン化(-OCH2CH2CH2-)炭素鎖を含むシリコーン化合物を意味することを意図する。
【0019】
本発明に用いられるシリコーン界面活性剤は、一価アルコール、及び特にエタノールに可溶性または分散性でなければならない。それはまた、好ましくは室温で液体である界面活性剤から選択される。
【0020】
適切なシリコーン界面活性剤は、10000以上の分子量を有するものであり、それらは特に、オキシエチレン化基とオキシプロピレン化基の両方を含むポリジメチルシロキサンから選択することができる。例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドとの混合物として、Goldshmidt社製のAbil care 85という名称(INCI名:BIS-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16 ジメチコーン/カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)で販売されるオキシエチレン/オキシプロピレン末端を有するポリジメチルシロキサン、Goldshmidt社製のAbil B8832という名称(INCI名:BIS-PEG/PPG-20/20ジメチコーン)で販売されるアルファ−オメガ・ポリエーテル群(OE/OP:40/60)を含むポリジメチルシロキサン、Goldshmidt社製のAbil B88184という名称(INCI名:PEG/PPG-20/6ジメチコーン)で販売されるオキシエチレン化オキシプロピレン化ポリジメチルシロキサン、及びGoldshmidt社製のAbil B8852という名称(INCI名:PEG/PPG-4/12ジメチコーン)で販売されるオキシエチレン化オキシプロピレン化ポリジメチル/メチルシロキサン、並びにそれらの混合物から選択されて良い。
【0021】
本発明の好ましい実施態様に従い、シリコーン界面活性剤はAbil care 85である。
【0022】
シリコーン界面活性剤の量は、当該組成物の総重量に対して、好ましくは0.05重量%から4重量%の範囲にある。
【0023】
本発明の好ましい実施態様に従い、シリコーン界面活性剤の量に対する油の量の重量比は、0.5から20、またより好ましくは1から10に及び、また一価アルコールの量に対するシリコーン界面活性剤と油の量の重量比は、0.01から1、好ましくは0.05から0.3、またさらにより好ましくは0.1から0.2の範囲にある。
【0024】
本出願において、用語「油の量」とは、組成物中に存在する油の総量を意味することを意図する。
【0025】
さらに、本発明の好ましい実施態様に従い、シリコーン界面活性剤の量に対するアニオン性共界面活性剤の量の重量比は、0.01から1、またより好ましくは0.05から0.5の範囲にある。
【0026】
[B.非イオン性共界面活性剤]
本発明に係る組成物は、好ましくは15以下のHLBを有する非イオン性界面活性剤から選択される、少なくとも1つの非イオン性共界面活性剤を含む。
【0027】
乳化界面活性剤のHLB(親水性−親油性バランス)は、以下の式に従って算出される。この式中の、「m親水性」は親水性基の重量(すなわち極性部分)を表し、「TAの総m」は界面活性剤の総重量を表す。
【0028】
【数1】
【0029】
本出願において共界面活性剤として用いられて良い非イオン性の界面活性剤としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの重縮合体、とりわけポリエチレングリコールとポリエチレングリコールブロックとからなる共重合体について、例えばポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体が挙げられる。これらのトリブロック重縮合体は、例えば、以下の化学式:
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH
を有し、式中のaは2から150、bは1から100に及び、好ましくはaは10から130、bは20から80の範囲にある。
【0030】
前記非イオン性共界面活性剤は、好ましくは1000から15000の範囲にある重量平均分子量、より好ましくは1500から15000の範囲にある重量平均分子量、特に1500から10000の範囲にある重量平均分子量、またさらにより好ましくは1500から5000の範囲にある重量平均分子量を有する。
【0031】
重縮合体としては、特にUnigema社製の「Synperonic(登録商標)」という名称で販売されるポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体、例えば、Synperonic(登録商標)PE/L 64(ポロキサマー184)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(13 OE/30 OP/13 OE)(分子量:2900)、Synperonic(登録商標)PE/L 62(INCI名:ポロキサマー182)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(8 OE/30 OP/8 OE)(分子量:2500)、Synperonic(登録商標)PE/L 121(INCI名:ポロキサマー401)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(6 OE/67 OP/6 OE)(分子量:4400)、Synperonic(登録商標)PE/F 38(INCI名:ポロキサマー108)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(46 OE/16 OP/46 OE)(分子量:5000)、Synperonic(登録商標)PE/F 108(INCI名:ポロキサマー338)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(128 OE/54 OP/128 OE)(分子量:14000)、Synperonic(登録商標)PE/L 44(INCI名:ポロキサマー124)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(11 OE/21 OP/11 OE)(分子量:2200)、Synperonic(登録商標)PE/L 42(INCI名:ポロキサマー122)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(5 OE/21 OP/5 OE)(分子量:1630)、Synperonic(登録商標)PE/F 127(INCI名:ポロキサマー407)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(98 OE/67 OP/98 OE)(分子量:12000)、Synperonic(登録商標)PE/F 88(INCI名:ポロキサマー238)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(97 OE/39 OP/97 OE)(分子量:10800)、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0032】
BASF社製のLutrol(登録商標)F68(INCI名:ポロキサマー188)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(75 OE/30 OP/75 OE)(分子量:8350)、並びにBASF社製のPluracare L64(INCI名:ポロキサマー184)という名称で販売されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシド縮合体(13 OE/30 OP/13 OE)(分子量:2900)も用いることができる。
【0033】
前記非イオン性共界面活性剤は、好ましくは15以下のHLBを有するポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体(ポロキサマー)、特にポロキサマー184、ポロキサマー182、及びポロキサマー401、並びにそれらの混合物から選択される。
【0034】
非イオン性共界面活性剤の量は、当該組成物の総重量に対して、好ましくは0.01重量%から0.5重量%の範囲にある。
【0035】
本発明の好ましい実施態様に従い、油の量に対する非イオン性共界面活性剤の量の重量比は、0.001から1、より好ましくは0.005から0.5、またさらにより好ましくは0.01から0.2の範囲にある。
【0036】
[C.アニオン性共界面活性剤]
本発明に関連して用いることができるアニオン性共界面活性剤は、好ましくは中和されたアニオン性脂質を含む群から選択される。それらは、特にリポアミノ酸、及びその塩、例えば、アシルグルタミン酸一ナトリウム及びアシルグルタミン酸二ナトリウム等(例えば、味の素社製のアシルグルタミン酸HS21PまたはアミソフトHS21Pという名称で販売されるN-ステアロイルL-グルタミン酸の二ナトリウム塩、味の素社製のアシルグルタミン酸LS11またはアミソフトLS11という名称で販売されるN-ラウロイルL-グルタミン酸の一ナトリウム塩)から選択することができる。
【0037】
アニオン性共界面活性剤の量は、当該組成物の総重量に対して、好ましくは0.01重量%から0.5重量%の範囲にある。
【0038】
[一価アルコール]
本発明に係る組成物は、2から6個の炭素原子を含む少なくとも1つの一価アルコールを含む。一価アルコールとは、ただ1つのOH官能基を含む第一級アルコールのことである。
【0039】
一価アルコールの量は、当該組成物の総重量に対して、例えば、0.1%から60%、好ましくは5%から30%の範囲をとることができる。
【0040】
好ましくは、水の量に対する一価アルコールの量の重量比は0.01から0.2に、また油の量に対する一価アルコールの量の重量比は0.05から0.2の範囲にある。
【0041】
一価アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びそれらの混合物が挙げられる。一価アルコールは好ましくはエタノールである。
【0042】
[ポリオール]
前記一価アルコールに加えて、当該組成物は1つ以上のポリオール(例えばグリセロール、ポリグリセロールまたはソルビトール)、並びにグリコール(イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びヘキシレングリコール等)、並びにそれらの混合物を含んで良い。
【0043】
ポリオールの量は、当該組成物の総重量に対して、例えば、1%から50%、好ましくは2%から30%、またより好ましくは5%から30%の範囲をとることができる。
【0044】
[油性相]
前記油性相は、本発明の組成物中に存在する油とすべての親油性成分とからなる。
【0045】
前記油性相は、少なくとも1つの油を含む。用語「油」とは、室温(25℃)で液体の脂肪性物質を意味することを意図する。
【0046】
本発明の組成物に用いられる油は、一価アルコールに可溶性または分散性である。用語「可溶性」とは、一価アルコールに5%の量が可溶化されるということ、すなわち、一価アルコール中、及び特にエタノール中で5重量%の溶液が透明であるということを意味することを意図する。
【0047】
前記油性相は、一価アルコールに可溶性の油のみを含む。しかしながら、それは、活性剤が油中で可溶性である限りにおいて、また、従って、油+活性剤の化合物が一価アルコール、及び特にエタノールに可溶化することができる限りにおいて、一価アルコールに不溶性の油性活性剤も含むことができる。
【0048】
さらに特に、本発明の組成物に用いることができる油は、350以下の分子量を有する油、または350より大きい分子量を有する油のどちらからか選択され、0.1以上のIOB(無機/有機バランス)値を有する。
【0049】
前記IOBパラメーターは、以下のような、いくつかの刊行物から当該技術分野において既知である。
(1)「Prediction of Organic Compounds by a Conceptional Diagram」A. FUJITA Pharm. Bull 2, pp.163-173(1954);
(2)「Organic Analysis」Fujita(1930), published by Kaniya Shoten;
(3)「Prediction of Organic Compounds and Organic Conceptional Diagram」A. Fujita(Kagaku-no-Ryoiki 11-10), pp.719-725(1957);
(4)「Systematic Organic Qualitative Analysis(Book of Purified Substances)」Fujita and Akatsuka, p.487(1970), published by Kazama Shoten;
(5)「Organic Conceptional Diagram, Its Fundamentals and Applications」Koda, p.227(1984), published by Sankyo Shuppan;
(6)「Design of Emulsion Formulation by Use of Organic Conceptional Diagram」Yaguchi, p98(1985), published by Nippon Emulsion K.K.;
(7)R. H. Ewell, J. M. Harrison, L. Berg.: Ind. Eng. Chem. 36, 871(1944)
(8)EP-A-985404
【0050】
化合物のIOBは、当該化合物の有機値に対する当該化合物の無機値の比率に相当する。
【0051】
IOB = 無機値/有機値
【0052】
化合物の有機値を算出するために、メチレン基を構成単位とみなし、炭素原子数で評価する。炭素原子または-CH3、-CH2-若しくは=CH-基は、値20とみなす(構成単位なしの値)。水素原子は計算に入れない。前記化合物中の環、分枝またはエチレン基若しくはアセチレン基を含む不飽和の存在は、前述の特に刊行物(1)のp.167の文献において既知の相当する有機値に従って、当該化合物の有機値を算出するときに計算に入れる。
【0053】
化合物の無機値を算出するために、ヒドロキシル基を標準基とし、無機値100とする。この100という任意の値は、当該アルカン中の炭素原子数の関数としてのアルカン系に対する沸点曲線と、そのアルカンと同族の直線的に飽和した第一級モノアルコールに対する沸点曲線との距離に相関する。
【0054】
置換基X(すなわち、炭素または水素以外のいずれかの原子の置換基、並びに炭素及び/または水素だけから形成される原子群以外のいずれかの原子群の置換基)の無機値(Ixと表す)は、数式の平均値により決定する。このIx値は、まず直鎖状アルカンの沸点(B.P.)と、その直鎖状アルカンを置換基Xで置換したものの同族体の沸点(B.P.X)を決めた後、ΔTX = B.P.X−B.P.の差を計算することにより、そして次に、前記同族体を第一級アルコールで置換したものの沸点(B.P.OH)を決めることにより、そしてその後、ΔTOH=B.P.OH−B.P.の差を計算することにより算出する。Ix値は、差ΔTOHに対する差ΔTXの比率に等しく、その比率をヒドロキシル基の無機値ですべて掛け算すると100に等しい。
【0055】
【数2】
【0056】
多くの置換基の無機値は、文献、特に前述の参考文献に記載されている。化合物の無機値は、当該化合物中に存在する置換基(またはすべての置換基)の無機値を加えることにより算出する。
【0057】
ある置換基、例えば、置換基-Clまたは-Fは、前述の参考文献(1)p.167に示すように、有機値と無機値の両方を有している。
【0058】
有機化合物の混合物のIOBは、当該混合物中の有機化合物の有機値の合計に対する、混合物中の有機化合物の無機値の合計の比率に等しい。
【0059】
本発明の組成物中に用いることができる好ましい油としては、例えば、以下のものが挙げられる。
−化学式R1COOR2の油等の脂肪酸エステル、ここで、R1は8から29個の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、またR2は3から30個の炭素原子を含む分枝または枝なし炭化水素に基づく測鎖を表す。例えば、イソノニルイソノナノエート(分子量=284)、パルミチン酸イソプロピル(分子量=298)、パルミチン酸2-エチルヘキシル(分子量=368;IOB=0.128)、イソステアリン酸イソプロピル(分子量=326;IOB=0.15)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(分子量=494;IOB=0.314)、及びテトラオクタン酸ペンタエリスリチル(INCI名:テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)(分子量=640;IOB=0.353)、ジ(2-エチルヘキシル)アジピン酸(分子量=640;IOB=0.353)またはC12-C15安息香酸アルキル(分子量=309;IOB=0.184)(Finsolv TN)等のペンタエリスリトールエステル;
−8から26個の炭素原子を含む脂肪族アルコール、特にオクチルドデカノール(分子量=300);
−イソヘキサデカン(分子量=226)、イソドデカン(分子量=170);
−シリコーン油、例えば、シクロヘキサシロキサン及びシクロペンタシロキサン(分子量=370;IOB=0.4)等のシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)等の特に揮発性シリコーン油、または例えばフェニルトリメチコーン(分子量=372;IOB=0.212)等のフェニルシリコーン;
−それらの混合物。
【0060】
本発明の好ましい実施態様に従い、油性相は、Dow Corning社製の「Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid」という名称で、Goldschmidt社製の「Abil AV 1000」及び「Abil AV 20 HS」という名称で、Shin Etsu社製の「KF 56」という名称で販売される製品等のフェニルトリメチコーン、例えば、日光ケミカルズ社製の「Nikkol Pentarate 408」という名称で、Akzo社製の「Trivent PE-48」という名称で、Uniqema社製の「Priolube 3929」という名称で、Hatco社製の「ハトコール5140」という名称で販売される製品等のテトラオクタン酸ペンタエリスリチル等のペンタエリスリトールエステル、オクチルドデカノール、イソヘキサデカン、イソドデカン、シクロポリジメチルシロキサン、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の油を含む。
【0061】
特に好ましい実施態様に従い、油性相は、ペンタエリスリトールエステルとフェニルトリメチコーンとの少なくとも1つの混合物、さらに特にテトラオクタン酸ペンタエリスリチルとフェニルトリメチコーンとの混合物を含む。
【0062】
油性相は、当該組成物の総重量に対して、例えば、0.5重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から8重量%、またより好ましくは1重量%から5重量%を示すことができる。
【0063】
[水性相]
一般に、溶剤である水性相は、水、及びいずれかの水に可溶性または水に分散性のアジュバントを含む。
【0064】
本発明に係る組成物は、多量の水を含む。この量は、当該組成物の総重量に対して、例えば、40重量%から90重量%、好ましくは50重量%から85重量%、またより好ましくは60重量%から85重量%の範囲をとることができる。
【0065】
[ポリマー]
当該組成物は1つ以上の親水性ポリマーを含むこともできる。
【0066】
親水性ポリマー、すなわち水に可溶性または分散性のポリマーは、例えば、Noveon社製の「Carbopol」(INCI名:カルボマー)及び「Pemulen」(INCI名:アクリル酸塩/C10-C30アクリル酸アルキルクロスポリマー)という名称で販売される製品等の変性または非変性カルボキシビニルポリマー;ポリアクリルアミド;選択的に、Hoechst社製の「Hostacerin AMPS」(INCI名:アンモニウム・ポリアクリルジメチルタウラミド)という名称で販売されるポリ-(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)等の架橋及び/または中和2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー並びにコポリマー;Seppic社製の「Sepigel 305」(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/ラウレス-7)という名称、及び「Simulgel 600」(CTFA名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)という名称で販売される製品等の、W/O型エマルションの形態のアクリルアミドとAMPSとの架橋アニオン性コポリマー;ガーゴム及びヒドロキシプロピル化ガーゴム等の誘導体、アルギン酸、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシポロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシエチルセルロース等の変性または非変性セルロース等の多糖類バイオポリマー(生体高分子);並びにそれらの混合物から選択することができる。これらのポリマーは、当該組成物の総重量に対して、例えば、0.001重量%から2重量%、好ましくは0.05重量%から1.5重量%の範囲にある量で存在することができる。
【0067】
本発明の好ましい実施態様に従い、ポリマーは、Carbopol 980(BF Goodrich社)、Carbopol ETD 2001(BF Goodrich社)、Synthalen K(3V Sigma社)、Carbopol 981(BF Goodrich社)、Synthalen L(3V Sigma社)、Carbopol 1382(BF Goodrich社)、Pemulen TR1(BF Goodrich社)、Pemulen TR2(BF Goodrich社)、Hostacerin AMPS(Clariant社)、より特にCarbopol 980及びHostacerin AMPSから選択される。
【0068】
[アジュバント]
本発明に係る組成物は、化粧用または皮膚科学用組成物に通常用いられるいずれかのアジュバントを含むことができる。
【0069】
本発明に係るエマルションの水性相及び/または油性相中に含まれて良いアジュバントとしては、抗酸化剤、皮膚軟化剤、化粧用または皮膚科学用活性剤、香料、保存剤、充填剤、金属封鎖剤、着色剤、染料、または考慮される分野で通常用いられる他のいずれかの成分が特に挙げられる。
【0070】
当然、当業者は、本発明に係る組成物に内因的に関連する有利な性質が、考慮される添加により損なうことのない、あるいは実質的に損なうことのない方法で、本発明に係る組成物に添加する任意の化合物、その量を選択するのに注意するであろう。
【0071】
活性剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
−加湿剤、例えば、乳酸ナトリウム;ポリオール、及び特にグリセロール若しくはソルビトール、ポリエチレングリコール;マンニトール;アミノ酸;ヒアルロン酸;ラノリン;尿素及びNMF(天然加湿因子)等の尿素を含む混合物;液体石油ゼリー;N-ラウロイルピロリドンカルボン酸、及びその塩;必須脂肪酸;精油;並びにそれらの混合物;
−アンチエイジング活性剤及び角質溶解性因子(角質除去因子)、例えば、α-ヒドロキシ酸、及び特にフルーツ由来の酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸若しくはマンデル酸)、それらの誘導体、及びそれらの混合物;β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、及びその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸または5-n-ドデカノイルサリチル酸等));α-ケト酸(アスコルビン酸またはビタミンC、及びその塩等のそれらの誘導体(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム若しくはアスコルビン酸リン酸ナトリウム));そのエステル(例えば、アスコルビルアセテート、アスコルビルパルミテート及びアスコルビルプロピオネート、または例えばグリコシル化アスコルビン酸等のアスコルビン酸の糖類、並びにそれらの混合物);β-ケト酸;レチノール(ビタミンA)とそのエステル等のレチノイド、レチナール、レチノイン酸、及びその誘導体、及びFR-A-2570377、EP-A-199636、EP-A-325540とEP-A-402072の文献に記載されるレチノイド;アダパレン;カロテノイド;並びにそれらの混合物;
−ビタミン、例えば、前記のビタミンA及びビタミンC、並びにビタミンE(トコフェロール)、及びその誘導体等;ビタミンB3(またはビタミンPP若しくはナイアシンアミド)、及びその誘導体;ビタミンB5(または様々な形態のパンテノール:D-パンテノール、DL-パンテノール)、及びその誘導体と類似体(パントテン酸カルシウム、パンテチン、パンテテイン、パントテニルエチルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン、パントイルラクトース、及び同様のものを含む天然化合物(ロイヤルゼリー等)等);ビタミンD、及び例えばWO-A-00/26167の文献に記載等のその類似体;ビタミンFまたはその類似体(例えば、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和酸の混合物、及び特にリノール酸の混合物、リノール酸及びアラキドン酸、または同様のものを含む化合物等);
−抗菌性及び抗脂漏性因子、例えば、サリチル酸、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(またはトリクロサン)、3,4,4’-トリクロロバニリド(またはトリクロカルバン)、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル、及び亜鉛塩(乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドール酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、及び/または亜鉛システエート)。
【0072】
本発明の組成物は、例えば、皮膚、頭皮、毛髪、睫毛、眉毛、爪または粘膜等のケラチン物質に用いることができる。それらは、スキンケア製品として用いることができる。例えば、顔用、手用または身体用の保護、トリートメント若しくはケアクリームとして、皮膚、頭皮若しくは粘膜の保護またはケア用のボディー乳液として、あるいは衛生製品、例えば、皮膚若しくは粘膜の洗浄用製品として、あるいは他にヘアー製品として、あるいは抗日光製品として用いることができる。
【0073】
前記組成物は、皮膚及び/または毛髪をメイクアップするための製品、例えば、特にファンデーションを構成するための組成物中に混合する顔料を構成することもできる。
【0074】
本発明の主題は、上に定義するように、スキンケア製品として、衛生製品として、ヘアー製品として、抗日光製品として、及びメイクアップ製品としての前記組成物の化粧品用の使用でもある。
【0075】
本発明の別の主題は、皮膚、頭皮、毛髪、睫毛、眉毛、爪、及び粘膜等のケラチン物質の美容処理方法であり、これは上に定義するような組成物を上記ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0076】
さらに、本発明に係る組成物が適切な流動性を有する場合、当該組成物は、皮膚、睫毛、及び/または唇をケアするとき、それらからメイクアップを洗浄及び/または除去するときに用いる商品(吸湿性の高い厚手の紙等)を構成するために、水に不溶性の支持体にしみ込ませて使用することもできる。水に不溶性の支持体は、1つ以上の層を含むことができ、シート状、球状またはフィルム状の織布、不織布、泡、スポンジ、綿毛を含む群から選択することができる。それは特に、天然由来の繊維に基づく不織布(亜麻、羊毛、綿、絹)または合成された繊維に基づく不織布(セルロース誘導体、レーヨン、ポリビニル誘導体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン(登録商標)等のポリアミド、アクリル誘導体)から選択することができる。不織布については、Riedel「Nonwoven Bonding Methods & Materials」Nonwoven World(1987)に一般に記載されている。これらの支持体は、不織布を調製するための技術の通常の方法に従って得られる。
【0077】
当該支持体が不織布の場合、皮膚に適用したときに転がして球にならず、崩壊したり剥離したりしないように十分丈夫な、厚手の不織布が好ましく用いられる。それは、特に目からメイクアップを除去するための少なくとも1つの面において、吸収性があり且つ柔らかくあるべきである。適切な不織布としては、例えばBBA社製のUltraloft 15285-01、Ultraloft 182-008、Ultraloft 182-010、及びUltraloft 182-016という名称で、Freudenberg社製のVilmed M1519ブロー、Vilmed M 1550 N、及び112-132-3という名称で販売される製品、Jacob Holm Industries社製のNorafin 11601-010Bという名称で販売されている製品、並びにUni Flockage社製のUnivel 109及びUnivel 119という名称で販売されるフロック加工した不織布が挙げられる。
【0078】
さらに、この支持体は、同一または異なる性質を備える1つ以上の層を含み、且つ弾性と柔軟性、及び所望の使用に適した性質を有しても良い。前記支持体は、例えば、WO-A-99/13861の文献に記載されるような異なる弾性を有する2つの部分を含んでも良く、またはWO-A-99/25318の文献に記載されるような異なる密度を有する1つの層を含んでもよく、またはWO-A-98/18441の文献に記載されるような異なる質感の2層を含んでも良い。
【0079】
前記支持体にしみ込ませた組成物は、所望の目的に適したいずれかの化合物、例えば、洗浄用ワイプを得るための起泡性界面活性剤、またはスキンケア用ワイプを得るための活性ケア因子を含むことができる。それらは、例えば、顔料を含む組成物(これはファンデーションを構成しても良い)をワイプにしみ込ませることにより、皮膚をメイクアップするために用いることもできる。
【0080】
本発明の主題は、従って、水に不溶性の支持体に上に定義する組成物をしみ込ませることにより得られる商品でもある。
【0081】
本発明の主題は、また上に定義するような、皮膚、唇、及び/または睫毛をケアするとき、それらからメイクアップを除去するとき、それらを洗浄またはメイクアップするときに使用する商品を調製するための、組成物の使用でもある。
【0082】
本発明に係る組成物は、いずれかの適切な処理工程により得ることができる。本発明の好ましい実施態様に従い、それは、室温(20から25℃)で一価アルコールを除く水性相の化合物を混合する工程、室温で一価アルコールの存在下で油性相を調製する工程、並びに低速攪拌で油性相を水性相中に注入する工程を含む処理工程により好ましくは調製される。1000nm未満、また好ましくは300nm未満、例えば100から300nm、またより好ましくは130から250nmの油滴サイズ、並びに乳白色から白色の液体の外観を特徴とする非常に微細なO/W型エマルションが得られる。
【0083】
本発明の主題は、従って、上に定義するような組成物の調製方法でもある。この方法は、:−室温で、水、非イオン性共界面活性剤、アニオン性共界面活性剤、及び一価アルコールを除く親水性化合物を混合する工程;
−室温で、油、親油性活性剤、シリコーン界面活性剤、及び一価アルコールを混合する工程;
−低速攪拌で油性相を水性相中に注入する工程;
を含む。
【0084】
以下の実施例により、事実上制限することなく本発明を説明する。ここでの量は、重量についてのパーセンテージである。化合物は、そのINCI名またはその化学名により適切に示される。
【0085】
手順:
これらの実施例において、以下の手順を用いて前記工程を実施する。
<A相>: A相の化合物を、解凝タービンを備えたRayneriミキサーを用いて室温で攪拌し、水に溶解した。
【0086】
<B相>:B相の化合物を、室温でアルコールに溶解した。
【0087】
その後、低速攪拌でB相をA相に注入した。
【0088】
<実施例1>
《A相》
水 81.55%
フェノニップ(保存剤の混合物) 0.5%
グリセロール 5%
ジプロピレングリコール 3%
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 0.03%
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム 0.02%
ポロキサマー184 0.1%
【0089】
《B相》
エタノール 8%
BIS-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16 ジメチコーン
(及び)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
(Abil Care 85) 0.4%
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1.6%
【0090】
220nmの油滴サイズによって特徴づけされ、乳白色の液体の外観を有する、非常に微細なO/W型エマルションが得られた。
【0091】
<本発明に係る実施例2及び比較例1−4>
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
比較例1−4は、本出願において請求するシリコーン界面活性剤以外の界面活性剤の使用は、本発明の目的を達成し、且つ安定な微細エマルションを得ることが可能ではないことを示す。
【0094】
<本発明に係る実施例3−5>
【表3】
【0095】
<比較例5−7>
【表4】
【0096】
比較例5−7は、分子量10000未満のシリコーン界面活性剤は、本発明の目的を達成すること、すなわち、遠心分離に対して安定である微細なエマルションを得ることが可能ではないことを示す。
【0097】
<本発明に係る実施例6及び7、並びに比較例8−11>
【表5】
【0098】
比較例9−11は、比較例8と類似したものであり、水素化イソパラフィンを、エタノールに不溶性の他の油、それぞれマカダミア油(分子量500超;IOB<0.1)、イソステアリルイソステアレート(分子量=350;IOB=0.086)、ペンタエリスリチルテトライソステアレート(分子量=640;IOB<0.1)に置き換えるという実験事実が異なる。すべての場合において、エマルションを調製することは不可能である。
【0099】
<本発明に係る実施例8−10>
【表6】
【0100】
<本発明に係る実施例11、及び比較例12>
【表7】
【0101】
比較例12は、アニオン性共界面活性剤の存在が安定なエマルションを得るために必須であることを示す。