特許第5855460号(P5855460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァスキュラー グラフト ソリューションズ リミテッドの特許一覧 ▶ ザ メディカル リサーチ, インフラストラクチャー, アンド ヘルス サーヴィシーズ ファンド オブ ザ テル アヴィヴ メディカル センターの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855460
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】外部ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/06 20130101AFI20160120BHJP
【FI】
   A61F2/06
【請求項の数】25
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2011-537010(P2011-537010)
(86)(22)【出願日】2009年11月24日
(65)【公表番号】特表2012-509703(P2012-509703A)
(43)【公表日】2012年4月26日
(86)【国際出願番号】IL2009001105
(87)【国際公開番号】WO2010058406
(87)【国際公開日】20100527
【審査請求日】2012年11月15日
(31)【優先権主張番号】61/193,398
(32)【優先日】2008年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/186,046
(32)【優先日】2009年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/244,138
(32)【優先日】2009年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511125973
【氏名又は名称】ヴァスキュラー グラフト ソリューションズ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】509142793
【氏名又は名称】ザ メディカル リサーチ, インフラストラクチャー, アンド ヘルス サーヴィシーズ ファンド オブ ザ テル アヴィヴ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】オリオン, エヤル
(72)【発明者】
【氏名】バチャル, イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ベン−ガル, ヤナイ
(72)【発明者】
【氏名】ラパポート, アヴラハム
(72)【発明者】
【氏名】シブルスキ, ジラッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィンシュテイン, ロニー
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−509406(JP,A)
【文献】 米国特許第03626947(US,A)
【文献】 特開2003−024453(JP,A)
【文献】 特表2006−507092(JP,A)
【文献】 特表2004−535896(JP,A)
【文献】 特表2001−500033(JP,A)
【文献】 特表2010−508971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を含む細長い軸体を備えた外部静脈支持体であって、前記軸体が前記軸に対する伸縮、曲げ、捻り、およびそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つによって塑性変形可能であり、前記軸体が第1の緩和状態の変形前構成を有するものにおいて、
前記軸体が、静脈を少なくとも部分的に被覆するために前記静脈を被鞘しかつ前記静脈に沿って装着されるように適応され、前記軸体が、その塑性変形により、前記第1の緩和状態の変形前構成とは異なる第2の緩和状態の変形後構成を有し、前記軸体が、外部静脈支持体が患者の血管系中の前記静脈を被覆しかつ支持するように前記静脈の外側に取り付けられるために適した態様で、前記軸に対して前記第2の緩和状態の変形後構成を維持すること、前記軸体が、前記静脈を手術者が選択した形状または進路に整形、または輪郭形成するために前記静脈を包囲するように前記静脈を被鞘するための径方向に拡張されたモードで構成されること、及び前記軸体が、少なくとも1つの塑性変形可能要素及び複数の非塑性変形可能要素を含むことを特徴とする外部静脈支持体。
【請求項2】
前記軸体は軸体の長さに沿って複数の箇所のうちの少なくとも1箇所で径方向に弾性である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項3】
前記静脈支持体は、前記塑性変形によってある範囲の長さから所望の長さに伸縮されて、伸縮力の除去後に前記所望の長さに維持されるように適応されている、請求項1または2に記載の外部静脈支持体。
【請求項4】
前記軸体は軸体の長さに沿って複数の箇所で直径が固定的に変形可能である、請求項1〜3いずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項5】
前記静脈支持体は、隣接する解剖学的構造または外科材料によってそれに付与される変形力に耐えるように適応されている、請求項1〜4のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項6】
塑性変形可能要素は塑性変形可能な繊維である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項7】
少なくとも1つの塑性変形可能な繊維は、軸体に沿って螺旋状に交絡される、請求項6に記載の外部静脈支持体。
【請求項8】
前記軸体は、固定的に変形された複数の箇所の少なくとも1つで径方向に弾性である、請求項4に記載の外部静脈支持体。
【請求項9】
前記軸体は、第1平均直径では前記軸体の軸に対する反発力が、第2平均直径の場合より実質的に大きくなるように構成された複数の繊維を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項10】
前記軸体は、以前に固定的に変形した支持体が径方向弾性を有するように構成された複数の繊維を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項11】
前記非塑性変形可能要素の少なくとも1つは弾性繊維である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項12】
前記軸体は、変形前の緩和状態の長さから、変形前の緩和状態の長さとは異なる変形後の緩和状態の長さになるように操作可能である、請求項1〜11のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項13】
前記変形後の緩和状態の長さは、前記変形前の緩和状態の長さより大きい、請求項12に記載の外部静脈支持体。
【請求項14】
前記変形後の緩和状態の長さのときに前記軸体の外周を介する自然細胞成長を利用して、複合グラフトを形成するように構成される、請求項12または13に記載の外部静脈支持体。
【請求項15】
前記軸体はさらに、選択された実質的に非線形の輪郭経路をもたらすように変形可能である、請求項1〜14のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項16】
前記細長い軸体は、第1端と第2端とを有し、それらの間にチャネルを備え、チャネルは、軸体が変形前構成状態のときに、チャネルの軸が前記静脈の軸に沿って延びるように、前記静脈を自由に受容する大きさに作られ、前記軸体の変形は血管系に応じて選択され、変形後構成のチャネルは、所望の流れの組織反応誘発閉塞を阻止するように、静脈をその中に受容して支持する、請求項1〜15のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項17】
前記第2の緩和状態の変形後構成において、前記支持体は、前記静脈以外の組織への静脈支持体のいかなる付着とは独立して、前記静脈のレイアウトを画定する、請求項1〜16のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項18】
200mmHg以下の圧力下で前記静脈を支持するように適応されている、請求項1〜17のいずれかに記載の外部静脈支持体。
【請求項19】
以下のものを含む、請求項1〜18のいずれかに記載の外部静脈支持体:
前記静脈と接触しかつ第1長手軸を有する第1略管状セグメント;
前記静脈と接触しかつ前記第1長手軸に対して第1角度に位置する第2長手軸を有する第2略管状セグメント;および
前記第1および第2略管状セグメントと係合し、それによって前記第1長手軸と前記第2長手軸の間に第2角度を選択的に設定することを可能にする少なくとも1つの塑性変形可能部材。
【請求項20】
外部静脈支持体の前記軸体を伸縮することからの弾性スプリングバックが0.5%〜5%である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項21】
外部静脈支持体の前記軸体を伸縮することからの弾性スプリングバックが2%〜10%である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項22】
前記少なくとも1つの塑性変形可能要素が金属繊維である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項23】
前記複数の非塑性変形可能要素のうちの少なくとも1つが金属繊維である、請求項1に記載の外部静脈支持体。
【請求項24】
前記繊維が生体適合性金属を含む、請求項22または23に記載の外部静脈支持体。
【請求項25】
前記繊維が生体適合性ポリマ材を含む、請求項22または23に記載の外部静脈支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国仮特許出願No.61/193,398(2008年11月24日出願、発明の名称「SHAPABLE GRAFT CASTING DEVICE」)、米国仮特許出願No.61/186,046(2009年6月11日出願、発明の名称「METHOD AND APPARATUSES FOR SHAPING BODY CHANNELS」)、及び米国仮特許出願No.61/244,138(2009年9月21日出願、発明の名称「EXTERNAL STENT」)に関するものであり、その開示内容は参考として本明細書に組み入れられる。上記文献の全ての内容は、本明細書に完全に述べられているように参考として組み入れられる。
【0002】
技術分野
本発明は、その一部の実施形態では、人間または動物の身体の導管のための支持体に関し、特に体内のグラフト血管のための支持体に関する。
【背景技術】
【0003】
冠動脈心疾患(CHD)は、男性および女性両方の死亡の主因の1つとみなされる。該疾患の病態生理は、血管が部分的に、または完全に閉塞するほどの血管におけるコレステロールプラークの蓄積が関係する。
【0004】
閉塞した冠血管を治療するための公知の2つの技術は、開通を確実にするために通常ステントの配置を伴う、バルーンカテーテルにより狭窄領域を開通するための経皮的冠動脈形成術(PTCA)、および閉塞血管をグラフトインプラントによりバイパスするための冠動脈バイパスグラフト(CABG)術である。幾つかのタイプの(自己)冠動脈バイパスグラフト、例えば内胸グラフト、撓骨および右胃大網動脈グラフト、ならびに伏在静脈グラフトが知られている。これらのグラフトは一般的に大動脈またはその分岐に由来するか、または構成グラフトである。合成グラフトは一般的に自己グラフトの代替物とみなされるが、それらの全体的性能および開通性は依然として研究中である。
【0005】
グラフト血管内の血流は、血管の長さ、径、形状、角度、血流パターン等のような複数の因子に依存する。標的血管(グラフトの遠位端が接続される血管)に対するグラフト位置も血流に重大な影響を及ぼす。バイパスを介して標的血管への正常な血流のために、グラフトは一般的に、狭窄または乱流のような血流障害無く、実質的に開通していることが要求される。
【0006】
米国特許第4743251号「VEIN PROSTHESIS AND METHOD FOR PRODUCING SAME」は、「大動脈冠動脈バイパスまたは他の動脈の別のバイパスを形成するために人間の患者に移植するように意図された」プロテーゼに関する。「プロテーゼは、多孔質可撓性シースによって包囲された、患者自身から取った正常な非変質生体静脈を含む。シースの内径は、移植後に静脈の外径がシースによって静脈の最大可能径未満の値に維持されるように、かつ静脈の内径がレシーバ動脈の直径に適するように選択される。」
【0007】
米国特許第5755659号「METHOD OF MAKING A VASCULAR PROSTHESIS」は、「人間または動物の身体から取った置換用血管(3)の部分およびこの血管部分を覆う線維性弾性組織管(2)から構成された、人間または動物の身体における血管の置換用血管プロテーゼ」に関する。「管を形成するその交差糸(1)は管の長手軸の周りを螺旋状に巻回し、線維性弾性組織管(2)は直径を変えながら長手方向に少しずつ延長され、または圧縮され、それによってその全領域にわたって均等に置換用血管と接触する。」
【0008】
米国特許出願公開第2004/0215309号「COVERING ELEMENT FOR VEINS, METHOD FOR THE PRODUCTION AND USE THEREOF IN SURGERY」は、「シームレスの管状の基本的にパイルレスの編物を形成することによって構成され、基本的に多角形の大きく開いた穴を有する、繊維網の形の外科用移植片として使用するための自然血管を強化するためのシースを利用可能にする」ことに関する。
【0009】
米国特許出願公開2007/0293932「COMPLIANT BLOOD VESSEL GRAFT」は、「ステントおよびステントを使用するための方法を提供する。本発明のステントは、内部に配置された血管セグメント用の外部支持構造を提供する。ここでステントは動脈のコンプライアンス性を模倣するように弾性拡径が可能である。ステントは、必要なコンプライアンス性をもたらすように形成された編網または編組網から形成することができる。ステントおよび内部に配置された静脈セグメントを持つ静脈グラフトであって、動脈のコンプライアンス性を模倣することのできるグラフトを提供する。小型化のためにステントを選択する方法および小型化および平滑化において本発明のステントを使用する方法を提供する。動脈の一部分を、本発明のステントを含む静脈グラフトに置換する方法を提供する。本発明のステントを使用する静脈グラフトにおける移植静脈セグメントの内膜肥厚を低減する方法を提供する」ことに関する。
【0010】
米国特許第6071306号「EXTERNALLY STENTED VEIN SEGMENT AND ITS USE IN AN ARTERIOVENOUS BYPASS GRAFTING PROCEDURE」は、「グラフト静脈の周りに非拘束性有孔ステントが設けられて成る、静脈セグメントを哺乳類被験者の動脈循環内に移植する動静脈バイパスグラフト手順」に関する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一部の実施形態の1態様では、軸を含む細長い軸体を備えた外部静脈支持体であって、軸体が軸に対する伸縮、曲げ、捻り、およびそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つによって塑性変形可能であるように軸方向可塑性を備えて成る外部静脈支持体を提供する。任意選択的に、軸体は軸体の長さに沿って複数の箇所で直径が固定的に変形可能である。任意選択的に、軸体は、固定的に変形した複数の箇所の少なくとも1箇所で径方向弾性を有する。
【0012】
本発明の一部の実施形態では、軸体は実質的に不均一な直径を備える。任意選択的に、軸体は、第1平均直径では前記軸体の軸に対するスプリングバックが、第2平均直径の場合よりかなり大きくなるように構成された複数の繊維を含む。任意選択的に、直径が縮小すると、スプリングバックの割合が低減する。任意選択的に、スプリングバックの割合は0.5%から50%の範囲である。
【0013】
本発明の一部の実施形態では、軸は軸体の長手軸である。任意選択的に、軸は軸体の横軸である。加えて、または代替的に、直径が縮小すると反発力が低下する。任意選択的に、直径が縮小すると、反発力が増大する。
【0014】
本発明の一部の実施形態では、軸体は、以前に固定的に変形した支持体が半径方向弾性を有するように構成された複数の繊維を含む。任意選択的に、軸体は少なくとも1つの塑性変形可能要素を含む。任意選択的に、塑性変形可能要素は塑性変形可能な繊維である。加えて、または代替的に、少なくとも1つの塑性変形可能な繊維は、軸体に沿って螺旋状に交絡される。
【0015】
本発明の一部の実施形態では、軸体は複数の非塑性変形可能要素を含む。任意選択的に、非塑性変形可能要素の少なくとも1つは弾性繊維である。
【0016】
本発明の一部の実施形態では、支持体はさらに、軸体の端部に取り付け可能な延長部を含む。任意選択的に、延長部は第1開口および第2開口を含み、第2開口は第1開口に対して斜交し、前記軸に対して0ないし20度および80度の角度を形成する。加えて、または代替的に、軸体の端部は軸に沿って長手方向に弾性変形可能である。
【0017】
本発明の一部の実施形態の1態様では、静脈を取り付ける方法であって、血管系の少なくとも2つの別々の箇所に静脈を付着させるステップと、静脈に血液を流入させて静脈を拡張させるステップと、流動中に静脈に取り付けられた静脈支持要素を成形するステップとを含む方法を提供する。任意選択的に、静脈支持体の成形は、支持体を軸に沿って伸縮させることによって、軸体を塑性変形させることを含む。任意選択的に、静脈支持体の成形は、支持体を軸に沿って圧縮することによって軸体を塑性変形させることを含む。任意選択的に、静脈支持体の成形は、支持体を軸方向に屈曲させることによって、軸体を塑性変形させることを含む。
【0018】
本発明の一部の実施形態では、該方法は、軸体の長さに沿って径方向弾性部分を含めることを含む。任意選択的に、該方法は、直径を縮小することによってスプリングバックを低減することを含む。
【0019】
本発明の一部の実施形態の1態様では、編組角度を形成するように交差する少なくとも2つの塑性変形可能要素を有する拡張可能なステントであって、角度がステントの第1のあまり拡張していない位置における大きい角度から、ステントの第2のより大きく拡張した位置における小さい角度に減少するにつれて、ステントの1つ以上の軸における可塑性が増加するように構成されたステントを提供する。任意選択的に、編組角度は、30度から150度までの間である。任意選択的に、軸は長手軸、放射軸、および横軸のうちの1つ以上である。代替的に、または追加的に、角度がステントの第1のあまり拡張していない位置における大きい角度から、ステントの第2のより大きく拡張した位置における小さい角度に減少するにつれて、ステントの1つ以上の軸における可塑性は減少する。例示的実施形態では、ステント角度が減少すると、ステントは長手軸および/または横軸の可塑性の増大を達成する一方、径方向可塑性が低下する(例えば径方向弾性が高くなる)。
【0020】
本発明の一部の実施形態の1態様では、前記ステントを第1のあまり拡張しない位置から第2のより大きく拡張した位置まで拡張させることにより編組角度を減少させることによって、編組角度を形成するように交差する少なくとも2つの塑性変形可能要素を有する拡張可能なステントの可塑性を増大させる方法を提供する。
【0021】
本発明の一部の実施形態の1態様では、静脈に沿ってそれに取り付けるための静脈支持体であって、静脈を少なくとも部分的に被覆し、かつ静脈に沿ったその直径の変化に弾性的に抵抗するように適応された本体を備え、本体が静脈に沿って延びる少なくとも1つの細長い塑性変形可能な構造を含む、支持体を提供する、
【0022】
本発明の一部の実施形態の1態様では、第1直径部で支持体の弾性変形がスプリングバックを引き起こし、かつ第2直径部で塑性変形がスプリングバックを軽減させるように構成された複数の繊維を含む管状インプラントを提供する。
【0023】
本発明の一部の実施形態の1態様では、細長い静脈支持要素を提供するステップと、静脈支持体をそれに沿って少なくとも2つの異なる直径を持つように固定的に変形させるステップとを含む、静脈支持要素を静脈直径に整合させる方法を提供する。任意選択的に、該方法は、支持体によって支持体の直径の変化に弾性的に抵抗することを含む。
【0024】
本発明の一部の実施形態の1態様では、静脈に支持体を取り付けるステップと、その後で前記支持体の長さをその非弾性変形によって、静脈の複数の吻合領域を少なくともカバーするように整合させるステップとを含む、静脈を支持する方法を提供する。
【0025】
本発明の一部の実施形態の1態様では、支持体を静脈に取り付けるステップと、その後で支持体を非弾性変形させて、静脈以外の組織への支持体の付着とは独立して、静脈のレイアウトを画定するステップとを含む、静脈を支持する方法を提供する。
【0026】
本発明の一部の実施形態の1態様では、支持体を静脈に取り付けるステップと、その後で支持体の直径を静脈と整合するように変形させるステップとを含む、静脈を支持する方法を提供する。任意選択的に、変形ステップは、支持体に沿って異なる直径を提供することを含む。
【0027】
本発明の一部の実施形態の1態様では、少なくとも部分的に静脈をカバーし、静脈に沿ったその直径の変化に弾性的に抵抗するように適応された本体を備え、本体が、静脈に沿って延びる少なくとも1つの細長い塑性変形可能な構造を含む、静脈に沿ってそれに取り付けるための静脈支持体を提供する。
【0028】
本発明の一部の実施形態の1態様では、静脈支持体の少なくとも一部分を静脈に取り付けるステップと、当該部分の直径を調整するステップと、静脈支持体の連続的軸方向部分の調整を繰り返すステップとを含む、静脈支持体を静脈に適応させる方法を提供する。任意選択的に、調整ステップは、当該部分の軸方向長さを変えることによって直径を変更することを含む。
【0029】
本発明の一部の実施形態の1態様では、患者の血管系における第1箇所と血管系における第2箇所との間に所望の血流を提供するための方法および装置を提供する。「所望の血流」は、グラフトの径方向および/もしくは軸方向および/もしくは横方向の変形、もしくは任意の他の種類の変形、またはそれらの任意の組合せを回避することによって達成することができる。そのような変形は、動脈圧下での静脈グラフトの膨張、静脈グラフトとホスト動脈との間の直径の不整合、および/または内膜/内側肥厚によって生じることがある。該方法は、静脈を静脈支持体の管腔内に配置するステップと、静脈を血管系に組み込むように静脈の第1端を第1吻合により血管系の第1箇所に取り付けるステップと、静脈の管腔が選択的に再成形されて所望の血流がもたらされるように、血管系に応じて静脈支持体を変形させるステップとを含む。「血管系に応じて」とは、例えばバイパスを接続し、その中の血流を可能にした後に測定された動脈圧に応じて、外科医はグラフトの直径、長さ、および全体的形状をより正確に決定し、グラフト/静脈支持体の特定の変形前および/または変形後の特性を導出することができることを意味するかもしれない。任意選択的に、静脈支持体は、静脈支持体の長さを変形前の緩和状態の長さから変形前の緩和状態の長さとは異なる変形後の緩和状態の長さに変化させる静脈支持体の塑性変形をもたらすように、充分に静脈支持体を操作することによって変形され、静脈支持体の操作は、静脈が静脈支持体に配置されている間に実行される。任意選択的に、静脈支持体の長さは、塑性変形が直径を変形前の緩和状態の直径から変形前の緩和状態の直径とは異なる変形後の緩和状態の直径に変化させるように、静脈支持体の断面直径に結合され、変形後の直径は静脈の直径に応じて選択される。加えて、または代替的に、静脈は、静脈の第1の軸方向位置の静脈径および静脈の第2の軸方向位置の別の静脈径を有し、静脈支持体の操作は、静脈支持体が第1の軸方向位置に隣接する静脈支持体直径、および第2の軸方向位置に隣接する第2静脈径に対応する第2静脈支持体直径を有するように実行される。
【0030】
本発明の一部の実施形態では、静脈支持体は、第1箇所と第2箇所との間の管腔の経路を第1の緩和状態の軸方向経路から第2の緩和状態の軸方向経路まで変化させる静脈支持体の塑性変形をもたらすように、静脈支持体を充分に操作することによって変形され、静脈支持体の操作によって静脈内の層流が促進されるように、第2経路は第1箇所で隣接する血管系に対して第1経路とは異なる角度を画定し、静脈支持体の操作は、静脈が静脈支持体に配置されている間に実行される。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、静脈支持体は血流に関連付けられる生理的ストレスに対して弾性的に反応し、静脈支持体は静脈支持体の変形に関連付けられる手動的に加えられた応力に対して塑性的に反応し、静脈支持体の反応は、血管系の自然動脈のコンプライアンスとは著しく異なる。
【0032】
本発明の一部の実施形態の1態様では、静脈を血管系に組み込むことによって患者の血管系の第1箇所と血管系の第2箇所との間に所望の血流をもたらすのを助けるように、静脈と共に使用するための静脈支持体であって、静脈支持体は、第1端と第2端とを有しそれらの間にチャネルを備えた長尺体を含み、長尺体は緩和状態の変形前構成を有し、チャネルは、本体が変形前構成状態のときに、チャネルの軸が静脈の軸に沿って延びるように、静脈を自由に受容する大きさに作られ、本体は変形前構成から血管系に応じて選択された緩和状態の変形後構成になるように手動的に操作可能であり、変形後構成のチャネルは、所望の流れの組織反応誘発閉塞を阻止するように、静脈をその中に受容して支持する。
【0033】
本発明の一部の実施形態では、軸体は、変形前の緩和状態の長さから、変形前の緩和状態の長さとは異なる変形後の緩和状態の長さになるように操作可能である。任意選択的に、変形後の緩和状態の長さは、変形前の緩和状態の長さより実質的に大きい。任意選択的に、変形後の緩和状態の長さは、変形前の緩和状態の長さより実質的に小さい。加えて、または代替的に、変形後の緩和状態の長さはグラフトの長さと実質的に等しい。任意選択的に、グラフトは伏在静脈グラフトである。任意選択的に、軸体は、変形前の緩和状態の長さのときに略管状である。任意選択的に、軸体は、変形後の緩和状態の長さのときに略円錐形である。加えて、または代替的に、軸体は、変形後の緩和状態の長さのときに略管状である。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、軸体を変形後の緩和状態の長さに操作することにより、軸体の外周を介する自然細胞成長が可能になり、それによって複合グラフトが自然に生成される。任意選択的に、複合グラフトは略剛性である。任意選択的に、複合グラフトは、少なくとも1つの機械的性質がヒトの自然冠動脈とは実質的に異なる。加えて、または代替的に、複合グラフトは、少なくとも1つの機械的性質の点でヒトの自然冠動脈を実質的に模倣する。任意選択的に、機械的性質は径方向のコンプライアンスである。任意選択的に、複合グラフトの長さは、変形後の緩和状態の長さと略同一である。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、外部静脈支持体は、変形後の緩和状態の長さのときに軸体の外周を介する自然細胞成長を利用して、複合グラフトを形成するように構成される。任意選択的に、静脈支持体は、3〜30%/100mmHgの範囲のコンプライアンスをもたらすように弾性拡径が可能である。任意選択的に、静脈支持体は、5%/100mmHg未満のコンプライアンスをもたらすように、弾性拡径が可能である。
【0036】
本発明の一部の実施形態では、軸体はさらに、選択された実質的に非線形の輪郭経路をもたらすように操作可能である。任意選択的に、複合グラフトの輪郭は、選択された実質的に非線形の輪郭経路と略同一である。
【0037】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0039】
図1A-1B】図1Aは、本発明の実施形態に係る例示的静脈支持体を模式的に示す等角図である。図1Bは、本発明の実施形態に係る図1Aの静脈支持体における塑性変形可能な編組繊維および複数の変形可能な繊維を模式的に示す拡大図である。
【0040】
図2図2は、本発明の一部の実施形態に係る例示的静脈支持体の模式図である。
【0041】
図3図3は、本発明の一部の実施形態に係る例示的静脈支持体の模式図である。
【0042】
図4図4は、本発明の一部の実施形態に係る例示的静脈支持体の模式図である。
【0043】
図5A-5B】図5Aは、本発明の一部の実施形態に係る例示的変形可能なステントの模式図である。図5Bは、本発明の一部の実施形態に係る図5Aのステントの一部分を模式的に示す拡大図である。
【0044】
図6図6は、本発明の一部の実施形態に係る、複数のリングを有する成形可能なベローズカバー支持体の模式図である。
【0045】
図7A-7C】図7Aは、本発明の実施形態に係る、静脈ベースのバイパス手術で静脈支持体を使用する方法の模式図である。図7Bは、本発明の実施形態に係る、静脈ベースのバイパス手術で静脈支持体を使用する方法の模式図である。図7Cは、本発明の実施形態に係る、静脈ベースのバイパス手術で静脈支持体を使用する方法の模式図である。
【0046】
図8A-8C】図8Aは、本発明の一部の実施形態に係る、静脈支持体を使用する例示的グラフトセグメント用の1つの支持パターンを模式的に示す側面図である。図8Bは、本発明の一部の実施形態に係る、静脈支持体を使用する例示的グラフトセグメント用の別の支持パターンを模式的に示す側面図である。図8Cは、本発明の一部の実施形態に係る、静脈支持体を使用するさらに異なる例示的グラフトセグメント用の別の支持パターンを模式的に示す側面図である。
【0047】
図9A-9B】図9Aは、本発明の一部の実施形態に係る、第1自由端および臓器の動脈に接続された第2端を有する例示的遊離血管の模式図である。図9Bは、本発明の一部の実施形態に係るモジュール式静脈支持体の模式図である。
【0048】
図10A-10C】図10Aは、本発明の一部の実施形態に係る静脈支持体の端部に適用された例示的スリーブの模式図である。図10Bは、本発明の一部の実施形態に係る静脈支持体の端部に適用された例示的カバリングの模式図である。図10Cは、本発明の一部の実施形態に係る静脈支持体の端部に適用された別の例示的スリーブの模式図である。
【0049】
図11A-11D】図11Aは、本発明の一部の実施形態に係る、端部が溶接された塑性変形可能な繊維の例示的端部の模式図である。図11Bは、本発明の一部の実施形態に係る、端部が溶接された塑性変形可能な繊維の例示的端部の模式図である。図11Cは、本発明の一部の実施形態に係る、端部が溶接された塑性変形可能な繊維の例示的端部の模式図である。図11Dは、本発明の一部の実施形態に係る、図11A〜11Cに示した繊維の端部が接続部で溶接された例示的支持体の模式図である。
【0050】
図12A-12B】図12Aは、本発明の実施形態に係る、ループ点で共にループを作り、静脈支持体に端部を形成する、複数の塑性変形可能な繊維の例示的端部の模式図である。図12Bは、本発明の実施形態に係る、ループ点で共にループを作り、静脈支持体に端部を形成する、複数の塑性変形可能な繊維の例示的端部の模式図である。
【0051】
図13A-13C】図13Aは、本発明の実施形態に係る静脈支持体を身体器官の吻合に付着させるためのインサートの模式図である。図13Bは、本発明の実施形態に係る静脈支持体を身体器官の吻合に付着させるためのインサートの模式図である。図13Cは、本発明の実施形態に係る静脈支持体を身体器官の吻合に付着させるためのインサートの模式図である。
【0052】
図14A-14C】図14Aは、本発明の一部の実施形態に係る、遠位吻合上に取り付けるための静脈支持体の例示的端部の模式図である。図14Bは、本発明の一部の実施形態に係る、近位吻合上に取り付けるための静脈支持体の例示的端部の模式図である。図14Cは、本発明の一部の実施形態に係る、近位吻合上に取り付けるための静脈支持体の例示的端部の模式図である。
【0053】
図15A図15Aは、本発明の実施形態に係る例示的グラフトキャスティング支持体の模式図である。
【0054】
図15B図15Bは、本発明の一部の実施形態に係る、冠動脈が移植された心臓の部分および支持体で動脈を支持する方法の模式図である。
【0055】
図16A-16B】図16Aは、本発明の一部の実施形態に係るグラフトキャスティング支持体の模式図である。図16Bは、本発明の一部の実施形態に係るグラフトキャスティング支持体の模式図である。
【0056】
図17A図17Aは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置で使用されるものに実質的に類似する延長支持体の一部分の写真である。
【0057】
図17B図17Bは、図17Aの延長支持体の一部分の拡大図である。
【0058】
図18A-18C】図18Aは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。図18Bは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。図18Cは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。
【0059】
図18D-18F】図18Dは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。図18Eは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。図18Fは、本発明の一部の実施形態に係る、CABG処置を実行する外科医が従う典型的支持体移植手順の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、その一部の実施形態では、人間または動物の身体の導管のための支持体に関し、特に体内のグラフト血管のための支持体に関する。
【0061】
本発明の一部の実施形態の態様は、例えば血管のような体管を支持するための静脈支持体であって、支持体を軸に対して塑性変形させることによって、支持体の長手軸に対して固定的に配置することのできる支持体に関する。支持体をその長手軸に対して塑性変形させることは、支持体の(弾性)スプリングバックを最小限にして(支持体を付着させる手術者の観点から、支持体は実質的に軸に対してその新しい形状を維持する)、支持体を軸に沿って塑性伸縮させること、および/または支持体を軸に対して横方向に塑性屈曲させることを含む。任意選択的に、支持体は軸に沿って複数の箇所を塑性変形させることができる。任意選択的に、支持体は軸に沿った方向に塑性逆圧縮させることができる。
【0062】
本発明の一部の実施形態では、管の形状とすることのできる支持体は、長手軸の複数の箇所に沿って固定的に変形することのできる直径を含んでよい。これは、支持体の様々な部分(セグメント)が異なる直径を有することを可能にし、任意選択的に、例えば支持された血管が不均一な断面を持つ場合のように、その長さに沿って変化する断面直径を持つ血管の一様な支持体を促進する。任意選択的に、支持体は、支持体の長さに沿って径方向弾性部分を含んでよい。径方向弾性は、セグメントの外周に沿って1つ以上の箇所に圧縮力を加えるにもかかわらず、セグメントが固定的に変形された直径を回復することを可能にする(ひとたび圧縮力が取り除かれると、セグメントは固定的に変形された直径に戻り、圧力を加えることにより変形された状態を維持しない)。径方向弾性の潜在的利点は、ひとたび圧縮力が取り除かれると、血管がその元の形状に戻り、支持体の永久変形によって「狭窄された状態」を維持しないことである。一部の実施形態では、セグメントの直径が減少し、かつ支持体の長さが増加するときに、径方向弾性は実質的に維持されるか、または増加する。代替的に、そのような状況では径方向弾性は減少する。
【0063】
本発明の一部の実施形態では、支持体は、少なくとも1つの塑性変形可能要素を有するメッシュ状表面を含む。メッシュは、編物、編組、フェルト、クローシェ編み、織物、および/または布地のニードリングを含むが、それらに限らず、織布または不織布型/設計とすることができる。任意選択的に、支持体はさらに少なくとも1つの弾性部材を含む。本発明の一部の実施形態では、支持体は、少なくとも1つの塑性変形可能要素を備えた編組を含む。任意選択的に、編組は複数の変形可能要素を含み、そのうちの幾つかは弾性変形可能としてよい。任意選択的に、塑性変形可能要素および/または弾性変形可能要素は繊維を含む。任意選択的に、繊維は生体適合性材料から作られ、かつ/または生体適合性材料により処理および/または被覆される。任意選択的に、少なくとも1つの繊維は生物分解性であり、体内で例えば治療日から3ないし18か月の間に分解および/または吸収される。任意選択的に、支持体またはその繊維の少なくとも1つは薬剤溶出能力を含む。薬剤は支持された血管外面(すなわち外膜)に向かって徐々に投与され、血管壁および/またはその内部体積内に浸透することができる。
【0064】
本発明の一部の実施形態では、塑性変形可能要素の端部(支持体の端部)は、端部による穿刺または穿通のため、血管または任意選択的に身体器官を損傷する可能性を低減するように、例えばレーザ加熱(例えばレーザ溶接またははんだ付け)を含む熱処理を通して、実質的に鈍磨される。任意選択的に、塑性変形可能要素の端部は、第2塑性変形可能要素の端部と共にループを形成することができ、端部は外向きに突出しないように支持体に付着される(例えば溶接によって)。任意選択的に、第1要素および第2要素の端部は熱処理によって一体に連結され、連結部は丸みを帯びた形状に成形される。任意選択的に、塑性変形可能要素が支持体の端部に巻き付けられ、第2塑性変形可能要素を形成するために使用される。加えて、または代替的に、要素は支持体の端部に繰返し巻き付けられ、複数の塑性変形可能要素を形成する。任意選択的に、塑性変形可能要素の端部は支持体の端部で円形ループ状に形作られる。任意選択的に、塑性変形可能要素の端部を被覆するために、支持体の端部上にスリーブが外嵌される。
【0065】
本発明の一部の実施形態では、支持体の端部は、近位および/または遠位吻合に外嵌するために斜めに構成される。角度φは軸に対して20〜80度の範囲、例えば20〜40度、20〜55度、20〜65度とすることができ、任意選択的に60度とすることができる。任意選択的に、各端部に1つずつ、2つの開口を持つ角型取付具が構成され、1つの開口は近位吻合に外嵌するように斜めに形作られ、かつ第2端は支持体の端部に付着されるように形作られる。加えて、または代替的に、支持体の端部は、近位吻合に外嵌するように構成することのできる弾性変形可能要素のみを含む。弾性変形可能要素は、長手軸に対して20〜160度の範囲、例えば20〜60度、60〜90度、90〜120度、120〜150度とすることができ、任意選択的に150度とすることのできる角度αに構成される。
【0066】
本発明の一部の実施形態の1態様では、手術者に選択されるかまたは任意選択的に予め定められた形状および/または進路(方向)に従って血管セグメントを整形および/または鋳造および/または輪郭形成することのできる、縦体管(例えば血管)用の成形可能な(整形可能な)管状支持体を提供する。用語「管状支持体」および「成形可能な管状支持体」は本書では以下、「支持体」、「静脈支持体」、および「整形可能な支持体」と互換可能に使用される。管状支持体は任意選択的に腔内で使用することができ(例えば拡張可能ステントとして)、かつ血管セグメントに設けることができ、ひとたび展開されると、現在の経路を変更するように、かつ/または特定の選択された経路をもたらすように設定することができる。代替的に、または追加的に、腔内支持体は、例えば硬化症プラークの長さおよび/または標的血管の直径に応じて、選択的に異なる長さおよび/または直径に設定することができる。本発明の例示的実施形態では、成形可能な管状支持体は、任意選択的に所望の進路を設定する前に、最初に標的血管セグメントを包囲するように展開される外部ステントまたはシースである。
【0067】
本発明の一部の実施形態では、整形は、手術者により決定されたやり方でセグメント化された血管を差別的にかつ/または徐々に押圧および/または締め付けることによって達成される。代替的に、または追加的に、成形可能な管状支持体は、手術者によって所要の形状に可鍛かつ/または塑性成形可能であるかなり広々としたフレームを提供し、フレームの一般的形状を取りながら、フレーム空間を利用するときまで、その中に生体組織が成長することができる。
【0068】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、局所的に損傷および/または罹患した血管(例えば閉塞/狭窄血管)を支持および/または任意選択的に治療するために適用される。第2の例示的実施形態では、成形可能な管状支持体は、採取または合成グラフト血管の機械的性質を支持および/または任意選択的に改善するために使用される。
【0069】
血管セグメントは任意選択的に、総血管長の少なくとも小部分とすることができ、あるいは血管の全長を実質的に含むことができる。本発明の例示的実施形態では、成形可能な管状支持体は、予め定められた通りに、またはインサイチュで、様々な長さに適合させ、かつ例えば所要の長さに適合するように切断することができ、かつ/またはそれに応じて調整可能に伸縮させることができる。
【0070】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、少なくとも1つの次元で整形および/または形を取ることが可能である。任意選択的に、成形可能な管状支持体は所要の屈曲構成、代替的にまたは追加的にねじれ構成、代替的にまたは追加的に任意の種類の湾曲構成を維持することが可能である。任意選択的に、成形可能な管状支持体は様々な3次元(3D)形状に設定することができる。任意選択的に、成形可能な管状支持体は、所要の長さに伸縮させ、伸縮力を取り除いた後、それを実質的に維持することができる。任意選択的に、手術者は特定の血管セグメントの選択された直径および/または周囲の形状を調整することができる。任意選択的に、成形可能な管状支持体と接触する血管軸に沿って、異なる形状および/または直径を設定することができる。
【0071】
本発明の一部の実施形態では、静脈支持体は、グラフトのよじれのような変形を防止し、グラフト内の血流の制約を軽減または防止するためのものである。支持体の少なくとも一部分は、支持体が体内で安定する所望の形状に支持体を整形することができるように、塑性変形可能な材料から作られる。支持体は、グラフトのよじれまたは折畳みおよび閉塞を導くかもしれないグラフトの変形を防止または軽減させるために、グラフト静脈または動脈に経路をもたらすように使用することができる。
【0072】
本発明の一部の実施形態では、静脈支持体は、例えばバイパス手術の場合のように、吻合領域を支持するために展開される。任意選択的に、静脈支持体はグラフトの少なくとも一部分およびその接続領域の少なくとも1つを局所的体管に支持する。任意選択的に、静脈支持体は、その長さに沿って成形可能なセグメントおよび非成形可能なセグメントを含む。任意選択的に、非成形可能なセグメントの少なくとも一部分は吻合領域を包囲する。
【0073】
本発明の一部の実施形態では、塑性変形可能な材料は、金属材(例えばステンレス鋼、コバルトクロム合金、アルミニウム、チタン等)、任意選択的に可塑性を有するポリマ、任意選択的にパテ状模型材料、任意選択的に、塑性変形可能な母材および/または結合材を含む複合材要素を含み、またはそれらから作られる。材料は、弾性固定手段によって一体に接着された脆弱要素および/または固体要素の組合せを含むことができる。材料は、任意選択的にインサイチュで(例えば噴射または他の被覆手段によって)塗布することのできる、任意選択的に多孔質の非硬化接着剤またはセメントを含むことができる。
【0074】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、塑性変形可能な脊椎部と、複数の間隔を置いて配置された略管状の、または管状体管を支持するために略管状の形を取ることのできる延長部とを含む、脊椎状要素として提供される。任意選択的に、延長部の少なくとも1つは塑性変形可能である。代替的に、または追加的に、延長部の少なくとも1つは弾性である(すなわち、ひとたび非降伏外力が取り除かれると、実質的に以前の形状および/または直径を実質的に回復することができる)。
【0075】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、少なくとも1つの塑性変形可能な糸を含むメッシュとして提供される。メッシュは編組、織物、編物、圧縮、および/もしくは任意の他の公知の構成、ならびに/またはそれらの任意の組合せとすることができる。少なくとも1つの糸はワイヤ、ヤーン、フィラメント、ファイバ、ロッド、ストライプ、または比較的大きい長さ直径/幅比を有するいずれかの他の長手要素とすることができ、金属、ポリマ、複合材、接着された束、またはそれらの任意の組合せを含むがそれらに限らず、任意の塑性変形可能な材料から作ることができる。
【0076】
本発明の一部の実施形態では、成形可能なメッシュ状支持体はさらに、少なくとも1つの次元の弾性特性をもたらす少なくとも1つの弾性部材(糸または任意の他の構造要素)を含む。任意選択的に、メッシュ状支持体は、その長さに沿ってその外周の少なくとも一部分に弾性特性を維持しながら、塑性屈曲可能および/または伸縮可能である(例えば、圧縮されたときに、ひとたび圧縮力が取り除かれると、その元の外周形状を実質的に回復する)。任意選択的に、メッシュ状支持体は、少なくとも1つの塑性変形可能な糸を1つの弾性変形可能な糸と編組した編組管状支持体である。
【0077】
本発明の一部の実施形態では、編組支持体は血管および/またはグラフトの外部支持体として展開可能であり、大きい直径を特徴とする第1圧縮モードから、より小さい直径を特徴とする第2伸張モードに、かつその逆に、選択的に変形することができる。任意選択的に、伸張または圧縮されている間、編組支持体は同一または同様の直径長さ比を実質的に維持する。代替的に、編組支持体の長さと直径との間に比率および/または固定比率は存在せず、これらのパラメータのいずれも実質的に独立して設定することができる。任意選択的に、編組支持体は、所要の直径および/または長さに達するまで、血管/グラフトの長さの少なくとも一部分上で伸張することができる。例示的実施形態では、ひとたび伸張すると、編組支持体は実質的にその新しい長さを維持し、スプリングバックは最小限または零である。任意選択的に、編組支持体またはそのセグメントは、名目上の伸張位置に設定された後でしか実質的に成形することができない。任意選択的に、名目上の伸張位置は、特定の許容/選択されたスプリングバック値および/またはそのようなスプリングバック値に関連付けられる。任意選択的に名目上の伸張位置は、0〜180度、任意選択的に10〜100度、任意選択的に25〜60度、またはそれ以上もしくはそれ以下、またはそれらの中間の編組角度によって特徴付けられる。
【0078】
本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つの塑性変形可能な糸は、さらに少なくとも1つの非塑性変形可能な糸を含む管状編組パターンに相互編組される。代替的に、または追加的に、少なくとも1つの塑性変形可能な糸は管状編組パターンの周りに巻回される。任意選択的に、全ての塑性変形可能な糸は単一方向に巻回および/または相互編組される(「コイル状構成」)。代替的に、少なくとも2つの塑性変形可能な糸が対向方向に巻きつけられ、かつ/または相互編組される(「編組構成」)。
【0079】
本発明の一部の実施形態では、手術者は、第2伸張モードを血管/グラフトの外径より大きい直径に設定することによって、非拘束性血管/グラフト支持体を可能にするように選択することができる。代替的に、手術者は、血管/グラフトの外径に等しいかそれより小さい直径を選択することによって、血管/グラフトの起き得る拡張を抑制または機械的に抵抗するように選択することができる。設計に従って、編組支持体は完全な拘束性(すなわち固体特性を有し、編組の径方向拡張ができない)または部分的な拘束性(すなわち特定の弾性/コンプライアンス特性を有する)を持つことができる。編組支持体は、その長さに沿った異なる位置に上記の任意の組合せを含むことができる。任意選択的に、手術者はここで、湾曲、屈曲、ねじれ、または任意の他の変形状態とすることのできる所要の経路に合わせて編組支持体を操作することができる。
【0080】
本発明の一部の実施形態では、次の端部の少なくとも1つを可能にするように、管状血管支持体に対し特定の編組パターンおよび/または糸パラメータが選択される。
(1)少なくとも1つの支持体セグメントを選択された固定管状および/または同軸形状にインサイチュで成形することができる。
(2)少なくとも1つの支持体セグメントを選択された固定長にインサイチュで成形することができる。
(3)少なくとも1つの支持体セグメントを選択された固定直径および/または選択された固定直径斜面にインサイチュで成形することができる。
(4)少なくとも1つの支持体セグメントを、実質的に丸みを帯びた輪郭を維持しながら、選択された固定経路に合わせてインサイチュで成形することができる。
(5)少なくとも1つの支持体管状セグメントの径方向弾性を維持する。
【0081】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、拡張モード時に血管/グラフトを被鞘し、次いで選択された第2折畳みモードに設定することのできる(または代替的に、ひとたび折畳み抵抗力が取り除かれると、自己崩壊して第2モードになる)、径方向に折畳み可能な支持体として提供される。任意選択的に、支持体は第2モード構成に固定されるように設定される。任意選択的に、支持体は、支持体直径を変化させるか否かに関わらず、選択的に最大長まで伸張するように設計される。加えて、または代替的に、支持体は整形可能であり、手術者によって選択された特定の形を取るように設定することができる。任意選択的に、支持体は少なくとも1つの事前設定形状を含み、そこから手術者が選択して設定することができる。代替的に、または追加的に、支持体は少なくとも部分的に可鍛性であり、任意選択的に、インサイチュで手術者によって選択された複雑な形状を取ることができる。
【0082】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、屈曲および/または捻ることのできる少なくとも1つの塑性変形可能なジョイントを持つ、略非剛性管状要素として提供される。任意選択的に、非剛性要素は織物繊維(アラミド/ダクロン(登録商標)ファイバを含め、それに限らず)、任意選択的に軟質プラスチック/ゴム、任意選択的にナイロン、任意選択的にシリコーンを含む。任意選択的に、少なくとも1つの塑性変形可能なジョイントは、管状要素の外周に沿って特定の場所に固定される。代替的に、または追加的に、少なくとも1つの塑性変形可能なジョイントは、手術者が管状要素に沿って異なる位置に設定することができる。任意選択的に、少なくとも1つの塑性変形可能なジョイントは、非剛性管状要素の一部分を被覆するリング状またはブレスレット状要素であり、それは任意選択的に対応するスロット内で管状要素に沿って移動するように設定することができる。したがって、手術者は、成形可能な管状支持体で体管/グラフトを被覆し、次いで少なくとも1つのジョイントを選択した位置に配置し、非剛性要素および包囲された血管/グラフトの経路を変更しながら、特定の角度にそれを屈曲させることができる。
【0083】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な支持体はチューブとして提供され、少なくとも1つの自由端を有する(すなわち吻合前の)管状体管またはグラフト上に(または下から)引き被せることができるだけである。代替的に、成形可能な支持体はその長さに沿って開放され、(例えばブレスレットカフと同様に)クリップ、フック、接着剤、縫合手段、ジッパー手段のような閉鎖手段を用いて体管/グラフト上で閉鎖することができ、かつ/または充分な力を加えることによって変形可能に閉鎖することができる。
【0084】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、成形管状インプラントをインサイチュでモジュール式に形成するための複数の結合部材または「ビルディングブロック」として提供される。好ましくは、結合部材は様々な形状で提供され、例えば屈曲し、湾曲し、かつ/または任意の他の非管状形状を維持し、幾つかは直径を変化させることができる。任意選択的に、手術者は少なくとも2つの結合部材を標的血管/グラフトの外周上に連結することができ、特定の選択された経路を設定するために、特定の形状の結合部材を選択することができる。この場合、連結部材の一部またはいずれかは剛性、弾性、および/または可塑性とすることができるが、塑性変形可能部材を含むように制限されない。
【0085】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は少なくとも1つの生物分解性および/または生体吸収性要素、例えばマグネシウム、酸化マグネシウム、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ε‐カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ラクチドコグリコリド)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、およびポリヒドロキシバリレート(PHV)等を含む。
【0086】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、心臓および周辺のバイパス術をはじめあらゆる種類のバイパス手術のみならず、肝臓、腎臓、心臓、肺、消化器系の移植のような血管吻合および/または再建を含むあらゆる種類の外科処置、ならびに血管の一部分または血管吻合が上に示した理由から危険にさらされるかもしれないあらゆる種類の血管再建処置で使用することができる。静脈支持体は、他の血管外科処置および四肢再建または移植術でも有益であるかもしれない。
【0087】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、血管グラフトを受容するように適応された管腔を有するスリーブを含む。任意選択的に、支持体は脊椎および脊椎から延びる複数のループ状延長部を含む。任意選択的に、支持体は編組または織物スリーブを含む。任意選択的に、支持体はさらに、体組織に付着させるように適応された円錐状終端部を含む。任意選択的に、支持体は、任意選択的に薬理学的物質を溶出または包含するように構成された生物分解性材料から作られる。
【0088】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、
(a)体管と接触し、第1長手軸を有する第1略管状セグメントと、
(b)体管と接触し、第1長手軸に対して第1角度に位置する第2長手軸を有する第2略管状セグメントと、
(c)第1および第2略管状セグメントと係合し、それによって第1および第2長手軸の間の第2角度を選択的に設定することを可能にする、少なくとも1つの塑性変形可能部材と、
を含む。
任意選択的に、選択的設定は支持体の形状および/または体管の形状を変化させる。任意選択的に、体管は動脈、静脈、またはグラフトである。任意選択的に、支持体はステント、メッシュ状スリーブ要素、脊椎状要素、またはシース要素である。
【0089】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は体管を外側から支持する。代替的に、支持体は体管を内側から支持する。任意選択的に、第1および第2略管状セグメントは相互接続される。任意選択的に、支持体は少なくとも1つの塑性変形可能な糸を持つ編組材を含む。任意選択的に、支持体はさらに複数の弾性交絡糸を含む。任意選択的に、少なくとも1つの糸は、コバルトクロム合金、ニチノール合金、マグネシウム、マグネシウム合金、タンタル、および多相合金から成る群から選択された生体適合性金属から作られる。代替的に、または追加的に、少なくとも1つの糸は、シリコーン、ナイロン、ポリエチレン、ポリアミド、アラミド、ポリプロピレン、PTFE、およびPETから成る群から選択された生体適合性ポリマー材から作られる。代替的に、または追加的に、少なくとも1つの糸は、酸化マグネシウム、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ(ε‐カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ラクチドコグリコリド)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリヒドロキシバリレートからなる群から選択された生物分解性材料から作られる。任意選択的に、支持体はさらに、第1および第2の略管状セグメントと係合する少なくとも1つの弾性部材を含む。
【0090】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、湾曲トンネルとして、かつ/または直線状トンネルとして、および/または直径が徐々に減少するトンネル状に整形される。任意選択的に、支持体は選択された長さに塑性伸縮可能である。任意選択的に、支持体の伸縮はその内径の縮小を生じる。任意選択的に、略管状セグメントの少なくとも1つは塑性伸縮可能である。任意選択的に、略管状セグメントの1つの伸張はその内径の縮小を生じる。
【0091】
本発明の一部の実施形態では、成形可能な管状支持体は、略管状セグメント上に巻回された塑性変形可能部材を含む。任意選択的に、塑性変形可能部材は、前記略管状セグメントの周りに相互編組状(interbraidedly)に巻回される。代替的に、または追加的に、少なくとも2つの塑性変形可能部材は、略管状セグメントの周りに対向する方向に巻回される。任意選択的に、塑性変形可能部材は実質的に支持体に沿って延びる。代替的に、塑性変形可能部材は支持体の一部分に沿って延びる。
【0092】
本発明の一部の実施形態では、支持体の少なくとも一部分は径方向弾性を維持する。任意選択的に、支持体の少なくとも一部分は、非周方向外力がその周辺から取り除かれると、略円筒状の形状を回復する。任意選択的に、支持体は体管の少なくとも一部分の径方向の拡張を実質的に制限する。任意選択的に、支持体は体管の少なくとも一部分の径方向の拡張を予め定められた最大直径まで可能にする。任意選択的に、支持体は、例えば予め定められた値を実質的に模倣することによって、体管の少なくとも一部分の径方向のコンプライアンスを変化させる。
【0093】
本発明の一部の実施形態では、編組外部支持体は、
(a)体管を受容するように適応された管腔と、
(b)管腔の周りに巻き付けら得た複数の相互編組弾性糸と、
(c)さらに弾性糸と相互編組された少なくとも1つの塑性変形可能な糸と、
を含み、編組外部支持体は異なる略安定な形状に再形成されるように適応される。
【0094】
本発明の一部の実施形態では、体管を支持する方法は、
(a)体管の周りに支持体を提供するステップと、
(b)体管の一部分の上で支持体を伸張させるステップと、
(c)体管の形状を変化させるように支持体を操作するステップと、
を含む。任意選択的に、伸張ステップは、支持体に沿った2箇所の間に反対方向の力を加えることによって達成され、伸張は支持体の2箇所の間の内径の縮小を促進する。任意選択的に、支持体は、体管の吻合領域に隣接して提供される。任意選択的に、支持体は湾曲したトンネルおよび/または直線状のトンネルおよび/または直径が徐々に減少するトンネルとして整形される。任意選択的に、ステップ(a)はさらに、体管の経路を決定することを含む。任意選択的に、形状は前記決定された経路を実質的に模倣する。
【0095】
本発明の一部の実施形態では、体管を支持する方法は、
(a)体管の第1部分の周りに第1外部スリーブを設けるステップと、
(b)第1部分に隣接する体管の第2部分の周りに第2外部スリーブを設けるステップと、
(c)インサイチュで第1および第2外部スリーブを周方向に取り付けるステップと、
を含み、第1および第2外部スリーブの形状が異なる。
【0096】
発明者らは、ヒツジに対するCABG処置を含む実行可能性の研究を行なって、成形可能な管状支持体の配置手順を評価し、支持体の安全性を評価し、かつ支持体の初期性能を評価した。ヒツジは、その心血管系が人間のそれに似ているので選ばれた。ヒツジの成長速度は他の適用可能モデル(例えばブタモデル)と比較して低く、器官の大きさが実質的に変化することなく、比較的長い追跡期間が得られ、静脈採取処置は、他の適用可能モデルと比較して相対的に容易かつ効率的である。使用した支持体は、直径43ミクロンの38本の弾性変形可能クロムワイヤと直径150ミクロンの4本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤとを含み、ワイヤが編組構造を成すように対称に撚り合わされた、コバルトクロムの生体適合性編組支持体であった。支持体の配置を含むCABG処置から3ヶ月の期間後に、ヒツジを犠牲にし、グラフトおよび心臓を採取した。肉眼では、心臓の損傷は見られず、グラフト+支持体システム複合体は、術野の残部と同様に、結合組織および脂肪に包埋されていた。外部支持体は静脈グラフトに固定され、同じ長さおよび直径で、外科処置の終りに配置された場所に厳密に位置していた。
【0097】
発明者らはさらに、支持体の長さ/直径安定性、および高圧/高パルスの生理学的状態に暴露された後も所望の形状を維持するその能力を確証する試験を実行した。試験は、血液が流れる動脈/静脈を模倣して、内部を水が流動するプラスチックチューブを使用する生体外試験を含んでいた。2つの異なる支持体を試験した。第1支持体は38本のコバルトクロム弾性変形可能ワイヤ(直径は各々50ミクロン)および4本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤ(直径は各々150ミクロン)を含み、第2支持体は36本のコバルトクロム弾性変形可能ワイヤ(直径は各々50ミクロン)および6本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤ(直径は各々150ミクロン)を含むものであった。生体外試験の結果は、各支持体の初期長さと最終長さとの間に相違を示さず、支持体が比較的極端な生理学的状態でその長さ/直径および形状を維持することができ、かつ4本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤを6本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤの代わりに使用することができることを示した。生体外試験の結果に基づいて、発明者らはさらに、より高い径方向コンプライアンスをもたらす支持体用の他の適切な編組構成が、直径43ミクロンの40本の弾性変形可能なコバルトクロムワイヤおよび直径150ミクロンの2本の塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤを含む編組、および試験した第1の編組と同数のワイヤを含むが直径100〜125ミクロンの塑性変形可能な焼鈍コバルトクロムワイヤの数は4本の編組を含むことができることを突き止めた。本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は必ずしもその適用が、以下の説明に記載しかつ/または図面および/または実施例で例証する構成要素の構造および配置ならびに方法の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは様々な方法で実施または実行することができる。
【0098】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0099】
塑性変形可能な例示的血管支持体
ここで図面を参照すると、図1Aは、本発明の実施形態に係る例示的静脈支持体100の等角図を概略的に示す。図1Bも参照すると、それは、本発明の実施形態に係る支持体100における編組(交絡/交織)塑性変形可能繊維102および複数の変形可能繊維104の拡大図を概略的に示す。静脈支持体100は、例えば血管(図示せず)のような体管を支持し、ここで支持体は、軸に対する支持体の塑性変形によって、軸108に対して固定的に変位することができる。支持体100は軸108に沿って塑性伸張することができ、さらに、スプリングバックを最小限または任意選択的に零にして、軸に沿って圧縮することができる。任意選択的に、支持体100は(軸108に対して直交する成分を持つ力を加えることによって)軸方向に屈曲することができ、かつ/またはスプリングバックを最小限または任意選択的に零にして、軸を中心に捻ることができる。つまり、支持体100をその以前(伸縮、圧縮、屈曲、もしくは捻れ、またはそれらの任意の組合せの前)の形状に戻そうとして支持体に働く弾性力は最小限であり、支持体は実質的に新しい形状を維持する。
【0100】
本発明の一部の実施形態では、静脈支持体100は、可変であり軸108に沿って固定的に変形する直径dを含む。任意選択的に、支持体の異なるセグメントが異なる直径を有するように操作することができる。軸108に沿って固定的に変形する直径dは、手術者が支持体の異なるセグメント、箇所、または部分を血管の変化する断面直径に合わせて調整することを可能にし、それによってより均一な支持体および実質的に均一なシースのみならず、実質的に不均一な血管も達成される。
【0101】
任意選択的に、支持体100は支持体100の長さに沿って径方向弾性部分を含むことができる。径方向弾性は、セグメントの外周に沿って1箇所以上で圧縮力を加えたにも関わらず、セグメントが固定的に変形されたその直径を回復することを可能にする(ひとたび圧縮力が取り除かれると、セグメントは固定的に変形された直径に戻り、加えられた力のため変形した状態を維持しない)。径方向弾性の潜在的利益は、ひとたび圧縮力が取り除かれると血管がその元の形状に戻り、支持体100の永久変形による「狭窄状態」を維持しない。一部の実施形態では、セグメントの直径が縮小し、支持体100の長さが増大するにつれて、径方向弾性は減少する。任意選択的に、支持体の長さが増大し、直径dが縮小するにつれて、当該部分の弾性は増大する。
【0102】
支持体100は、近位端から遠位端まで(同じく遠位端から近位端まで)延びる管腔106を有する編組管体とすることができ、例えば塑性変形可能繊維102とすることのできる少なくとも1つの塑性変形可能要素を含む。図に示す通り、支持体100は、支持体の長さに沿って、幾つかは時計回り方向に、他は反時計回り方向に螺旋状(渦巻状)に巻回された状態で示された複数の繊維102を含む。任意選択的に、繊維102は支持体100の長さに沿って1つの方向から、時計回りまたは反時計回りに、螺旋状に巻回するかもしれない。支持体100は、例えば塑性変形可能繊維102と交絡するかもしれない弾性繊維104のような複数の変形可能要素を含むことができる。任意選択的に、繊維102は他の塑性変形可能繊維と交絡することができる。
【0103】
繊維102は、金属、ステンレス鋼、またはプラスチックを含め、それらに限らず、任意の塑性変形可能な材料から作ることができる。繊維104は塑性変形可能とするか、弾性変形可能とするか、超弾性変形可能とすることができ、あるいはいずれかの他の非剛性特性を持つことができる。任意選択的に、繊維102および104は同一材料から作られるが、異なる材料調製のため、異なる機械的性質(例えば塑性特性対弾性特性)を有する。例えば、一部の実施形態では、繊維102は焼鈍金属繊維とすることができ、繊維104は冷間加工金属繊維とすることができる。任意選択的に、繊維102および/または104は生体適合性金属、例えば生体適合性超合金を含むことができ、かつ/またはコバルトクロム合金、ニチノール合金、マグネシウム、マグネシウム合金、タンタル、多相合金(例えばMP35N)、またはそれらの任意の組合せから成る群から選択される。任意選択的に、繊維102および/または104は生体適合性ポリマ材を含むことができ、かつ/またはシリコーン、ナイロン、ポリエチレン(例えばdyneema(登録商標)またはSpectra(登録商標))、ポリアミド/アラミド(例えばKevlar(登録商標)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはそれらの任意の組合せから成る群から選択される。任意選択的に、繊維102および/または104は生物分解性材料および/または生体吸収性材料であり、かつ/または酸化マグネシウム、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ε‐カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ラクチドコグリコリド)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバリレート(PHV)、またはそれらの任意の組合せから成る群から選択される。
【0104】
本発明の一部の実施形態では、支持体100は、グラフトとすることのできる体管を、その形状を維持しながら、外側から被覆かつ支持することができる。任意選択的に、支持体100は、血管の径方向拡張を完全にまたは任意選択的に部分的に抑制する、シースとして使用することができる。任意選択的に、径方向拡張は予め定められた最大直径に制限される。加えて、または代替的に、支持体100は、完全にまたは任意選択的に部分的に血管の捻れを限定するために使用することができる。任意選択的に、支持体100は、血管圧の所与の変化に応答して血管が径方向に拡張するときの血管の直径の変化率によって与えられる、血管の径方向コンプライアンスを高めるために使用することができる。加えて、または代替的に、支持体100は、収縮期および/または拡張期および/またはピーク期および/または400mmHg以下、任意選択的に200mmHg以下の拍動圧力の下で血管を支持することができる。
【0105】
本発明の一部の実施形態では、塑性変形可能繊維102は、手術者が支持体100を塑性変形させ、要求される一定の形状に操作することができるように構成される。任意選択的に、支持体100は、血管が体内(図示せず)の特定の経路で標的血管(血管の遠位端が吻合によって取り付けられる)まで進むように、かつ/または標的血管の形状に適合するように手術者によって操作することができる。任意選択的に、手術者は、標的血管を被覆する前または後で、所要の長さおよび/または最大許容長さに達するまで、支持体100を伸張させることができる。任意選択的に、伸張された支持体100は、上述と同様の圧力レジームの下で伸張された長さを実質的に維持する。任意選択的に、軸108に沿った2つの特定の箇所の間で支持体100を長手方向に伸張したときに、当該箇所間の支持体のセグメントの直径dは縮小する。任意選択的に、支持体100を軸108に沿って2箇所の間で長手方向に圧縮すると、2箇所の間のセグメントの直径dは増大する。
【0106】
本発明の一部の実施形態では、支持体100の塑性変形は、第1および第2塑性変形可能繊維102の対角交差によって形成される編組角度(例えば図11Dに示す角度θ)によって決定され、編組角度は支持体の公称長さに関連付けられる。支持体100が伸張されると、編組角度θは減少し、支持体の軸方向可塑性は増大し、任意のその径方向弾性は増大する。つまり、最大編組角度より大きい編組角度、例えば支持体100の平均直径dが訳8ミリのとき150度(角度は支持体が公称長さ未満であることをも示すかもしれない)である場合、支持体が軸108に対して固定的に置換されるのを阻止するように、支持体は弾性力によって作用される(支持体は必ずしも形状を維持しない)。編組角度が最小編組角度未満、例えば71.4度である場合、支持体100の直径dが5mm未満に縮小され、(下の実施例の節にある表1を参照されたい)(角度は支持体が公称長さを超えることをも示すかもしれない)、塑性変形可能繊維102は長手方向の長さがずっと優勢であり、その結果、前述の通り、支持体100の軸108に対するその可塑性は全体的に大きくなる。任意選択的に、公称長さは0〜180度の間、例えば10度、30度、45度、60度、90度、120度、150度の編組角度によって特徴付けられる。
【0107】
設計の原理は、最小限の決定の間で適正なトレードオフを有し、下述する通り、他の特徴の中でも特に、定義された本数の繊維、定義された直径、熱処理条件、交絡組合せを有する塑性繊維および弾性部材の組合せを選択することである。例えば、前述の通り、繊維はコバルトクロム製とすることができる。塑性変形可能繊維102は、繊維に塑性変形可能な特徴を与えるように焼鈍することができる。非塑性変形可能繊維104は、繊維に弾性特性を与えるように冷間加工することができる。
【0108】
本発明の一部の実施形態では、伸張する支持体100からのスプリングバックは、0.5%〜50%、例えば0.5%〜5%、2%〜10%、2%〜20%、2%〜30%、2%〜40%の範囲とすることができる。任意選択的に、径方向弾性のスプリングバックは2%から50%、例えば2%〜5%、2%〜10%、2%〜20%、2%〜30%、2%〜40%の範囲とすることができる。
【0109】
本発明の一部の実施形態では、塑性変形可能な繊維102は、20ないし1000μmの範囲、任意選択的に50から200μmの間、任意選択的に約75μm、任意選択的に約150μmの平均直径を有することができる。任意選択的に繊維104は弾性であり、10ないし500μmの範囲、任意選択的に20から100μmの間、任意選択的に約43μmの平均直径を有する。
【0110】
本発明の一部の実施形態では、支持体100は少なくとも4本の繊維、任意選択的に10〜20本の繊維、任意選択的に20〜50本の繊維、任意選択的に50〜100本の繊維、任意選択的に100〜200本の繊維、任意選択的に200本以上の繊維を含む。任意選択的に支持体100は3本以下の繊維を含む。任意選択的に支持体100は1本またはそれ以上の繊維102、例えば1〜10本の繊維、1〜20本の繊維、1〜50本の繊維、1〜100本の繊維、またはそれ以上を含む。任意選択的に支持体100は少なくとも1本の繊維102、例えば1〜10本の繊維、1〜20本の繊維、1〜50本の繊維、1〜100本の繊維、1〜500本の繊維、またはそれ以上を含む。
【0111】
本発明の一部の実施形態では、支持体100は36本、42本、または48本の繊維を含むことができ、そのうちの4本、6本、または8本は、75〜150μmの範囲の直径を有する塑性変形可能繊維102であり、残りの繊維は、25〜75μmの範囲の直径を有する繊維104である。任意選択的に、繊維102および/または104は、比較的円形の断面、任意選択的に多角形断面、任意選択的に平坦な断面、またはそれらのいずれかの組合せを有する。
【0112】
本発明の一部の実施形態では、支持体100は、(軸108に沿った塑性変形の前に)5ないし1000mmの範囲、任意選択的に30から500mm、任意選択的に50から100mmの事前伸張された長さを含む。任意選択的に支持体100は、10mm未満の事前伸張された長さを含む。任意選択的に、事前伸張された直径dは1から80mmの間、例えば4から30mm、5から10mmの間の範囲とすることができ、支持体の事前伸張された長さに沿って一定とすることができる。任意選択的に、直径dは編組角度に関連して縮小する。任意選択的に支持体100は、1から40mm、任意選択的に1から5mm、任意選択的に3〜4mmの最小直径に達するまで伸張(塑性変形)することができる。任意選択的に、事前伸張された長さで、編組角度は50から200度の範囲、任意選択的に120から180度の範囲、またはそれ以上もしくはそれ以下、または中間とすることができる。任意選択的に、支持体100は、直径dが平均して1mm〜15mmの間に、例えば8mm、6mm、4mm、または2mmに縮小するまで伸張させることができる。
【0113】
本発明の一部の実施形態では、支持体100は、長さおよび直径が大きく、かつその長さに沿った直径の変化が顕著である冠静脈グラフトとは実質的に異なる末梢静脈グラフト用に構成することができる。任意選択的に、支持体100の伸張状態の長さは10mmから2000mmの範囲、例えば50mm〜1500mm、100mm〜1000mm、300mm〜800mm、400mm〜600mmの範囲とすることができる。末梢静脈グラフトでは、支持体100は、支持体の伸縮後に3mm〜12mmの範囲、例えば5mm〜9mmの範囲の直径を含むことができる。任意選択的に支持体100は、伸縮後に近位端が遠位端より大きい直径を有するように、テーパを付けることができる。任意選択的に、遠位端は近位端より大きい直径を有することができる。
【0114】
本発明の一部の実施形態では、支持体100の軸方向剛性および/または径方向力は、伸張または圧縮されたときに変動する。任意選択的に、異なる伸張位置における軸方向剛性は0.1ないし30N/mの範囲、任意選択的に0.3から20N/mの間である。任意選択的に、支持体100が完全に圧縮され、かつ/またはその直径が5ないし10mm、任意選択的に約8mmのときに、軸方向剛性は0.4〜1N/m、任意選択的に約0.6N/mである。任意選択的に、支持体100がフルモードであり、かつ/またはその直径が1ないし5mm、任意選択的に約3mmのときに、軸方向剛性は10〜20N/m、任意選択的に約15N/mである。
【0115】
実施例のところで以下に示す表1は、8mmのマンドレルで150度の編組角度を使用して編組された直径が0.05mmの38本の弾性繊維から成る、本発明の実施形態に係る支持体の異なる伸張位置における計算された直径、長さ、編組角度、および軸方向剛性を示す。
【0116】
ここで図2、3、および4を参照すると、それらは、本発明の一部の実施形態に係る例示的静脈支持体200、300、および400をそれぞれ概略的に示す。支持体200、300、および400は、各支持体の管体が異なる編組パターンを含むという違いはあるが、図1に示した支持体100と同様である。
【0117】
図2に示す通り、支持体200は、軸208と略平行な方向に支持体の長さに沿って反時計回り方向に螺旋状に巻回された、複数の塑性変形可能繊維202を含む。任意選択的に、繊維202は支持体200の長さに沿って時計回り方向に螺旋状に巻回することができる。支持体200は、例えば変形可能繊維202と交絡して編組管体を形成する変形可能繊維204のような、複数の非塑性変形可能要素を含む。任意選択的に、繊維202は他の塑性変形可能繊維と交絡することができる。繊維202および繊維204は、図1に示した繊維102および繊維104と実質的に同一とすることができる。
【0118】
図3に示す通り、支持体300は、支持体の長さに沿って軸308と平行に延びる単一の塑性変形可能繊維302を含む。任意選択的に、支持体300は、支持体の長さに沿って軸308と平行に延びる複数の繊維302を含むことができる。支持体300は、例えば塑性変形可能繊維302と交絡して編組管体を形成する変形可能な繊維304のような複数の非塑性変形可能要素を含む。繊維302および繊維304は、図1に示す繊維102および繊維104と略同一とすることができる。
【0119】
図4に示す通り、支持体400は、支持体の長さに沿って軸408と略平行な方向に一部は反時計回り方向に巻回し、一部は時計回り方向に巻回する、複数の塑性変形可能繊維402を含む。支持体400は、例えば塑性変形可能繊維402と交絡して編組管体を形成する変形可能繊維404のような複数の非塑性変形可能要素を含む。任意選択的に、繊維402は他の塑性変形可能な繊維と交絡することができる。繊維402および繊維404は、図1に示した繊維102および繊維104と略同一とすることができる。
【0120】
ここで、全て本発明の一部の実施形態に従って、例示的な成形可能な支持体500を模式的に示す図5A、および該支持体の一部分の拡大図を模式的に示す図5Bを参照する。支持体500は、軸508、放射軸、またはそれらの組合せを含むがそれらに限らず、少なくとも1つの軸に整形することのできる任意の金属またはポリマ支持体とすることができ、かつ/または湾曲させ、かつ/または屈曲させ、かつ/または捻転させ、かつ/または手術者によって選択された特定の形に少なくとも部分的に、選択的に固定することができる。任意選択的に、支持体500は管腔内から径方向に拡張可能な支持体、および/または管腔外から径方向に折畳み可能な支持体である。任意選択的に、支持体500の直径(図示せず)は手術者によって、任意選択的に徐々に、選択的に変化させることができる。任意選択的に、支持体500は自己拡張型(圧縮状態を維持し、解放されると拡張する)または展開後折畳み式である。任意選択的に、支持体500は手動拡張型および/またはバルーン拡張型である。任意選択的に、支持体500は所要の長さに塑性変形することができる。任意選択的に、支持体500は、支持体が軸508に沿って/対して伸張したときに縮小する直径を含む。
【0121】
本発明の一部の実施形態では、支持体500は、少なくとも1つの塑性変形可能な支柱502を含む編組支持体とすることができる。任意選択的に、支柱502は、多角形、任意選択的に四角形を含むがそれに限らず、任意の形状とすることのできる開口506を画定することができる。任意選択的に、支柱502は、図1に示す繊維102の特徴と同様の塑性変形可能な特徴を含むことができる。加えて、または代替的に、支持体500は、次の方法すなわちレーザ切断、EDM、化学エッチング、マイクロマシニング、フォトエッチング、およびウォータジェットレーザ切断の1つ以上によって製造されるかもしれず、そうでないかもしれない、地金/ポリマ支持体、薬剤溶出支持体をはじめ、それらに限らず、任意の他のタイプの支持体を含むことができる。
【0122】
次に、本発明の一部の実施形態に係る、複数のリング607を有する成形可能なベローズカバー支持体600を模式的に示す図6を参照する。任意選択的に、ベローズ600は塑性変形可能であり、この開示に記載する通り、任意の湾曲および/または屈曲した形状を維持することができる。任意選択的に、ベローズ600は伸縮可能であり、軸608に沿って選択された長さを維持することができる。
【0123】
例示的処置方法
ここで、本発明の実施形態に係る、静脈ベースのバイパス手術に静脈支持体700を使用する方法を模式的に示す図7A〜7Cを参照する。記載する方法はいかなる形でも限定を意図するものではなく、該方法の実現の仕方は他にも多数存在することが、当業者には明らかであるはずである。さらに、静脈ベースのバイパス手術とは、血管グラフトを含む任意のタイプの手術を指すことができる。静脈支持体700は、図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体700は、図2、3、4、5A、または6にそれぞれ200、300、400、500、または600で示したものと同一とすることができる。
【0124】
一般的に、支持体700の展開は、CABG術のようなバイパス術中に、または任意の他の外科的介入中にインサイチュで実行することができる。任意選択的に、支持体700は、人工心肺装置の有無に関わらず、開放性手術で展開することができる。代替的に、支持体700は、最小侵襲的にかつ/または経皮的に展開することができる。任意選択的に、専用送達装置(図示せず)を使用して支持体700を体内に導入し、かつ/または支持体を標的グラフトまたは血管セグメント上に展開し、かつ/または選択された長さまで支持要素の少なくとも一部分を伸張し、かつ/または支持体を変化させることによってグラフト/血管を所要の形状に整形、輪郭形成、および/または鋳造することができる。代替的に、または追加的に、支持体700は、例えば開放性手術で手動的に導入することができる。任意選択的に、支持体700は、第1のより大きい最小径が後で任意選択的に第2のより小さい最小径に設定される間に、血管を被鞘することができる。任意選択的に、支持要素は支持要素の平均直径より広い遠位端を含むことができる。それは血管上にスリーブを設けるための前縁として働くことができる。
【0125】
グラフト721は、第1端724、第2端722、および管腔728を有するグラフト本体720を含む。任意選択的に、グラフト721は、バイパス術中に第1および第2体管752および754を含む臓器750に吻合されるバイパスチャネルである。任意選択的に、バイパス術はCABG術である。任意選択的に、グラフト721は伏在静脈グラフトであるが、自己または提供者または合成グラフトのいずれかのタイプとすることができる。任意選択的に、第1および第2血管752および754は動脈、または代替的に静脈である。
【0126】
図7Aは、支持体700をグラフト721上に配置する第1ステップを示す。ここで支持体は圧縮され(事前伸張され)、かつ/またはグラフト外径より実質的に大きい直径d1になる。任意選択的に、直径d1は3mm超、任意選択的に7mm超、またはより高いかより低いか、または中間である。好ましくは、支持体700は、グラフト721の1端(例えば第1端724)が第1吻合726を介して1つの体管(例えば第1血管754)に接続された後で展開される。
【0127】
図7Bは、グラフト721の第2端722が吻合726を介して第2体管752に接続され、それによって体管752および754の内部がグラフト管腔728を介して接続される、第2ステップを示す。任意選択的に、グラフト721は、任意選択的に血圧および血流レジーム、グラフト721の機械的性質、寸法特性、および重量を含むその特性、ならびに/または他のパラメータに従って決定することのできる、未画定の輪郭形状である。
【0128】
図7Cは、支持体700が伸張モードにあり、任意選択的に直径d1とは異なる第2直径d2を有する、第3ステップを示す。グラフト721を支持しかつ収容するように支持体700の形状を調整することは任意選択的に、グラフト内の血流の回復後に行なわれる。任意選択的に、直径d2は8mmより小さく、任意選択的に5mmより小さい。任意選択的に、支持体700は、その長さの少なくとも一部分に沿ってグラフト721と実質的に接触するように伸張される。任意選択的に、支持体700またはそのセグメントは、より小さい直径をさらに縮小するようにさらに伸張され、それによりグラフト721のセグメントを接触状態で締め付ける。代替的に、または追加的に、支持体700に沿った少なくとも1つのセグメントは、その対応する被包グラフト721のセグメントより大きい直径を有するように設定され、それによってグラフトセグメントが拡張することが可能になる(周期的拡張パターンおよび/または前進的拡張リモデリングの場合)。任意選択的に、吻合端および/またはその近辺の周囲の少なくとも1つは、支持体700の少なくとも一部分によって被覆および/または支持される(図示せず)。任意選択的に、ひとたび展開されると、支持体700は、グラフト721の被覆セグメントの少なくとも一部分に合わせて選択された輪郭形状を調整するように操作することができる。任意選択的に、完全に伸張した支持体700は、適用された輪郭形状を永久に、または外科処置の終了後の長期間にわたって、任意選択的に1週間超、任意選択的に1ヶ月超、任意選択的に1年超、任意選択的に10年超、またはそれ以上もしくはそれ以下または中間の期間だけ実質的に維持するのに充分に堅固である。
【0129】
図8A〜8Cは、本発明の一部の実施形態に係る静脈支持体800を使用する、例示的グラフトセグメント820、830、および840それぞれのための異なる支持パターンの側面図を模式的に示す。静脈支持体800は図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体700は、図2、3、4、5A、または6にそれぞれ200、300、400、500、または600で示したものと同一とすることができる。図示した例示的グラフトセグメントはいかなる形でも限定を意図するものではなく、多くの他のタイプのグラフトセグメント、および支持体800がセグメントを支持する仕方が存在することが、当業者には明らかであるはずである。
【0130】
図8Aで、支持体800はグラフトセグメント820の未画定の輪郭形状をまっすぐにするために使用され、支持体は支持体の軸808に沿って塑性変形される。図8Bで、支持体800は、まっすぐなグラフトセグメント830に選択された曲率を与えるために使用され、支持体は軸808に対し横方向に塑性変形される。図8Cで、支持体800は、その方向および/または形状を著しく変化させることなく、支持体グラフトセグメント840を支持するために使用される。図示する通り、グラフトセグメント840は直径が実質的に差別化された2つの対向端842および844を含む。任意選択的に、グラフトセグメント840は円錐形であり、端部842の直径は対向端844の直径より実質的に大きい。任意選択的に、グラフトセグメント840は少なくとも1つの側枝846を含む。グラフトセグメント840の長さの大部分または全部に沿って支持体を提供するために、支持体800は軸808に沿って漸進的に伸張され、グラフトセグメントに対応する円錐状パターンを生成し、側枝846を被覆するためにオプションのバンプを持つ。
【0131】
モジュール式血管支持体の例示的インサイチュ組立
ここで、全ての本発明の一部の実施形態に従って、第1自由端および臓器950の動脈952に接続された第2端を有する例示的遊離血管920を模式的に示す図9A、およびモジュール式血管支持体900を模式的に示す図9Bを参照する。任意選択的に、血管920は吻合926により動脈952に接続される。
【0132】
本発明の一部の例示的実施形態では、モジュール式支持体900に含まれる支持リンク900aは、図示する通り、血管920のセグメント上に固定される。任意選択的に、支持リンク900aは、前述した支持体のいずれか、例えば支持体100、支持体200、支持体300、または支持体400と同様の管状編組体である。任意選択的に、支持リンク900aは、図5に示した例示的支持体500、または任意選択的に図6に示した例示的ベローズ600としての支持要素である。任意選択的に、支持リンク900aは、下でさらに記載する例示的グラフトキャスティング装置、または任意の他の支持体またはシース型または略管状部材としての脊柱支持体である。任意選択的に、支持リンク900は塑性変形可能であり、または弾性を有し、またはそれらの任意の変形を含む。任意選択的に、支持リンク900aは略剛性である。支持リンク900aは、血管920のセグメントを同時に被覆しかつ/または締め付けるようにそれを再形成することによって、または任意の他の接続手段および/または接着材によって、血管920に固定される。
【0133】
本発明の一部の実施形態では、支持リンク900aは、インサイチュで血管920上に組み立てることのできるモジュール式支持体900の一部である。代替的に、モジュール式支持体900の一部分は、移植前に体外で組み立てることができる。図9Aに示す通り、第2支持リンク900bは血管920上をリンク900aに向かって前進し、インサイチュでのモジュール式支持体900の組立におけるオプショナルステップを示す。
【0134】
モジュール式支持体900は、900a、900b、900c、900d、および900eのような複数の相互接続されたリンクを含む。任意選択的に、モジュール式支持体900は、より多くの支持リンク(図示せず)を含むより大きいモジュール式支持体の一部分である。例示的実施形態では、異なる管形状の少なくとも2つのリンクを提供する。単なる例示を目的として、リンク900a、900b、および900dは略円筒状に設けることができる一方、リンク900cは湾曲管または屈曲管として提供され、かつリンク900eは収束(例えばベル型)管として提供される。任意選択的に、少なくとも1つのリンクは略剛性であり、適度な力が加えられた状態で、提供されたその形状を維持する。代替的に、または追加的に、少なくとも1つのリンクは略弾性であり、かつ/または弾性的に可撓性であり、その名目上の(例えば提供された)形状を自然発生的にまたは適度な強制力により回復することができる。代替的に、または追加的に、少なくとも1つのリンクは少なくとも部分的に少なくとも1つの軸で塑性変形可能である。任意選択的に、少なくとも1つのリンクは管状編組体を含み、かつ少なくとも1本の塑性変形可能ワイヤおよび/または少なくとも1本の弾性ワイヤまたは弾性的可撓性ワイヤを含む。本発明の例示的実施形態では、幾つかの可能な形状および/または輪郭形状および/または経路から手術者によって選択された1つで、モジュール式支持体900のようなモジュール式支持体に組み立てることのできる複数のリンクを含むキットが手術者に提供される。
【0135】
血管支持体の例示的端部
図10A、10B、および10Cを参照すると、それらは、本発明の一部の実施形態に従って任意選択的に吻合領域を被覆するように意図された、静脈支持体1000の端部に適用される例示的カバリングおよび/またはスリーブを模式的に示す。グラフト血管とその吻合相手との間の交差部はしばしば角張っており、かつ/または不規則であるので、支持体端部の設計には特に注意する必要があることが示唆される。静脈支持体1000は、図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体1000は、図2、3、4、5A、7A、8A、または9Bでそれぞれ200、300、400、500、700、800、または900に示すものと同一とすることができる。
【0136】
一部の実施形態では、支持体端部は軸に対して塑性変形可能であり、かつ/または少なくとも1つの塑性変形可能部材(例えば糸)を含む。代替的に、支持体端部は、所要の形状を鋳造する必要性を除外する一方、比較的「軟質」のカバリングが可能になるように、略弾性である。時折、図に1002で示すような塑性変形可能な繊維は、支持体1000の端部から突出する端部を含み、その対応する支持体セグメントにある程度の全体的可塑性をもたらす。代替的に、または追加的に、そのような突出繊維端部は、穿刺または穿通のため身体器官または血管に潜在的傷害の危険性をもたらすかもしれない。任意選択的に、スリーブまたはカバーは、支持体の端部で突出する繊維を被覆し、それによって起こり得る傷害を実質的に防止するために使用することができる。
【0137】
図10Aは、第1開口1017を介して支持体1000の端部に、かつ反対側の第2開口1015を介して吻合領域に付着させることのできるスリーブ1011を示す。開口1017は、支持体1000の端部を(任意選択的に事前伸張された形で)例えば2から5mmの間とすることのできる距離L1に沿って、スリーブの内部にはめ込むのに適した例えば8mmの内径d1を持つことができる。開口1015は、吻合の直径に応じて、吻合を距離L3、例えば10mmまでスリーブ内に嵌め込むのに適した直径d3を持つことができる。任意選択的に、吻合の直径が、例えば5mmとすることのできる直径d2に満たない場合、開口1015を開口1017から分離して、端部の縁まで吻合を端部の縁までさらなる距離L2だけ挿入することができ、それは例えば10mmとすることができる(縁部に非常に近いと繊維1002から傷害が発生するおそれがある)。スリーブ1018は例えばシリコンのような滑らかな可撓性材料から作ることができる。図10Bは、起こり得る傷害を実質的に防止するように、繊維1002の端部を被覆することのできる
可撓性材料、例えばシリコンのコーティングを含み、かつコーティングされた繊維の移動を可能にするように充分な弾性を有するカバリング1010を持つ支持体1000の端部を示す代替的な例示的実施形態である。任意選択的に、コーティングは10〜100ミクロンの範囲の厚さを持つことができ、任意選択的に2mmから5mmの端部の長さL4に沿って延びることができる。
【0138】
図10Cは、スリーブ1012が、スリーブ1011の直径d2と同様の直径d2を有する第2開口1016を介して、比較的小さい直径の吻合に付着するように構成されるという違いはあるが、図10Aのスリーブ1017と同様のスリーブ1012を示すさらに別の例示的実施形態である。スリーブ1012は、スリーブ1011のd1と同様の直径d1を有する第1開口1018によって、支持体1000の端部に付着することができる。長さL1およびL2はスリーブ1011のそれと同様とすることができる。
【0139】
本発明の一部の実施形態に係る、任意選択的に吻合領域を被覆するように意図された静脈支持体1000の例示的端部設計を示す図11A、11B、11C、および11Dを参照する。静脈支持体1100は、図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体1100は図2、3、4、5A、7A、8A、または9Bにそれぞれ200、300、400、500、700、800、または900で示すものと同一とすることができる。
【0140】
本発明の一部の実施形態では、図10A〜10Cに示した支持体1000について前述した通りカバーおよび/またはスリーブを使用することに加えて、またはその代わりに、塑性変形可能繊維1102の端部は、熱処理および/またははんだ付けを受けることができ、それはレーザ加熱を含むことができる。図11Aおよび11Bに示すように、端部が露出せず、それによって穿刺または穿通による身体器官または血管の傷害の危険性を軽減するように、2本または任意選択的にそれ以上の繊維1122の端部を単一の接続部1122で溶接するために熱処理を使用することができる。任意選択的に、各繊維1122の先端は、図11Cに1121で示すように丸みを帯びかつ/または鈍磨した形状に整形することができる。
【0141】
本発明の一部の実施形態では、繊維1122の端部は一体に溶接して、軸1108に対し角度φを成す開口1123を含む支持体1100の端部を形成する。傾斜した開口1123を持つ端部は、下でさらに図13Cに示す通り吻合領域に適合させることができる。角度φは軸1108に対して20〜80度の範囲、例えば20〜40度、20〜55度、20〜65度とすることができ、かつ任意選択的に60度とすることができる。
【0142】
図12Aおよび12Bを参照すると、それらは本発明の実施形態に係る、ループ点1220で共にループを作り、静脈支持体1200に端部を形成する、複数の塑性変形可能繊維1202の例示的端部を模式的に示す。2本以上の繊維を含む繊維1202の端点でループを作ることにより、端部の露出が実質的に防止され、その結果、穿刺または穿通による身体器官または血管の傷害の危険性が軽減される。静脈支持体1200は図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体1200は、図2、3、4、5A、7A、8A、または9Bにそれぞれ200、300、400、500、700、800、または900で示したものと同一とすることができる。
【0143】
本発明の一部の実施形態では、ループされた繊維1202の端部は、それらが端部から突出するのを防止するために、溶接または前述した手段のいずれかまたはそれらの任意の組合せを含むことのできる何らかの他の手段によって、支持体1200に付着させることができる。任意選択的に、塑性変形可能繊維1202は支持体1200の端部に巻き付けられ、第2の塑性変形可能繊維を形成するために使用される。加えて、または代替的に、繊維1202は支持体1200の端部に繰返し巻き付けられて複数の塑性変形可能な繊維を形成する。
【0144】
図13A〜13Cを参照すると、それらは、本発明の実施形態に係る、グラフト血管1353を含み、任意選択的にグラフト上取り付けられ、任意選択的にその上に被鞘する静脈支持体1300を身体器官1352の横に取り付けるための延長部1301を図式的に示す。静脈支持体1300は、図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体1300は、図2、3、4、5A、7A、8A、または9Bにそれぞれ200、300、400、500、700、800、または900で示したものと同一とすることができる。
【0145】
時折、グラフト血管1353の端部は、グラフトを標的血管、例えば身体器官1352の側部に接続させるために傾斜する。加えて、状況によっては、グラフトの第2端もまた、標的血管と平行でない第2血管に接続するために傾斜することができる。支持体1300が傾斜開口、例えば前に図11Dに示した傾斜開口1123を含まない場合、手術者は、グラフトの傾斜端部を支持体の対応する端部により被覆する問題に直面するかもしれない。
【0146】
本発明の一部の実施形態では、吻合領域に嵌るように特に設計された弾性端部として、延長部1301が支持体1300に追加される。延長部1301は任意選択的に、支持体1300が標的血管に嵌合するように取り付けられ、かつ/または伸張され、かつ/または整形された後でのみ、支持体1300の端部に接続される。延長部1301は、図13Aに示す通り、弾性繊維1304を含むフラットメッシュから作ることができ、メッシュを丸めて延長部を形成するときに、傾斜開口1301Bが支持体の軸1308に対して角度φを含むように、1端を切断される。角θは軸1308に対して20〜80度の範囲、例えば20〜40度、20〜55度、20〜65度とすることができ、かつ任意選択的に60度とすることができる。任意選択的に、延長部1301は、支持体100の繊維102と同一とすることのできる塑性変形可能繊維を含むことができる。
【0147】
本発明の一部の実施形態では、メッシュは、メッシュが丸められたときに第2開口1301Aを形成するために、傾斜開口を形成するために使用される端とは反対側の端を幅d4に切断される。幅d4は、支持体1300の管腔1306の内側に特定の距離だけ延長部1301を収容することができるような幅とすることができ、例えばd4は4から6mmの間とすることができる。
【0148】
図14A〜14Cを参照すると、それらは、本発明の一部の実施形態に係る、グラフト血管1453の傾斜端部を遠位血管(図14A)および近位血管(図14Bおよび14C)にそれぞれ取り付けるための静脈支持体1400の例示的端部1400Aおよび1400Bを模式的に示す。静脈支持体1400は、図1に示した静脈支持体100と同一とすることができる。任意選択的に、静脈支持体1400は図2、3、4、5A、7A、8A、または9Bにそれぞれ200、300、400、500、700、800、または900で示すものと同一とすることができる。
【0149】
端部1400Aは、1本以上の塑性変形可能な繊維1402から形成される1つ以上の円形ループ1402Aを含むことができ、円形ループは、それらが端部から突出するのを防止するように、溶接または前述のいずれか、またはそれらの任意の組合せを含むことのできる何らかの他の手段によって形成される。円形ループ1402Aは任意選択的に、端部1400Aが、グラフト血管1453を遠位血管(図示せず)の側部に付着させるために角度、例えば支持体1400の軸1408に対する角度φを含む開口1423Aを含むように形成することができる。角度φは、軸1408に対して20〜80度、例えば20〜40度、20〜55度、20〜65度の範囲とすることができ、任意選択的に60度とすることができる。円形ループ1402Aは任意選択的に、端部が繊維1402から突出するために標的血管に傷害を生じる可能性を防止するように、例えば繊維1404Aのような弾性繊維によって被覆することができる。
【0150】
端部1400Bは、グラフト血管1453を近位血管1452の側部に付着させるために角度、例えば支持体1400の軸1408に対する角度αを含む開口1423Bを含む角形可撓性コネクタ1404Bを形成するように構成された複数の非塑性変形可能繊維を含むことができる。角度αは軸1408に対して20〜160度、例えば20〜60度、60〜90度、90〜120度、120〜150度の範囲とすることができ、任意選択的に150度とすることができる。
【0151】
例示的「脊椎」型外部支持体
図15Aを参照すると、それは、本発明の実施形態に係る例示的グラフトキャスティング支持体1500を模式的に示す。支持体1500は脊椎部分1502を含み、そこから、グラフトを内側に固定するための管腔1508を画定する複数の円形ファスナ1506が延びる。支持体1500の長さはグラフト動脈の長さにわずかに満たないように選択することができ、管腔6の直径は、グラフト動脈を内側に収容するように選択することができる。ファスナ1506は弾性的に可撓性または塑性変形可能な材料から作ることができるが、脊椎1502は、手術者が支持体を屈曲および/または捻転させることを可能にする塑性変形可能な材料から作ることができる。各ファスナ1506は、以下でさらに説明するように、グラフト動脈の一部分を管腔1508内に収容できるように開くことができる。ファスナ1506が弾性を有する場合、静脈または動脈グラフトを管腔1508内に挿入した後、ファスナはその円形形状を弾性的に回復してグラフトを固定する。ファスナ1506が塑性変形可能である場合、ファスナは手動で円形形状に塑性変形させて、グラフトを固定することができる。
【0152】
図15Bを参照すると、それは、本発明の一部の実施形態に係る、冠動脈1520がグラフトされた心臓1552の一部分、および動脈を支持体1500により支持する方法を模式的に示す。任意選択的に、大動脈または冠動脈に吻合を実行する前、途中、または後で、静脈グラフトまたは動脈グラフト1520を支持体1500の管腔1508内に挿入することができる。
【0153】
図に示されているのは、最初の5つのファスナ1504aないし1504eによって画定される管腔1508内に挿入された、グラフト1520のセグメントである。プロセスの次のステップは、グラフト1520の追加セグメントをファスナ1504fの管腔1508内に挿入することである。ファスナ15044fは、図示する通り最初にまっすぐに伸ばされ、次いで動脈1520の下に曲げ込まれる。任意選択的に、ファスナ1504の弾性的可撓性のため、グラフト1520の下に曲げ込まれた後、ファスナ4fは弾性により、任意選択的に手術者の助けを借りて、その円形形状を回復し、グラフトを固定する。このプロセスは次いで、全てのファスナ1504がグラフト1520を固定するまで、その後の各ファスナ1504g、1504h等の各々に繰り返される。
【0154】
本発明の一部の実施形態では、脊椎1502は、手術者が支持体およびしたがって支持体によって固定された動脈または静脈グラフト1520を所望の形状に固定的に変形させることを可能にするように、充分な塑性変形性を持つ材料から作ることができる。任意選択的に、支持体1500の材料はさらに、隣接する解剖学的構造または外科器具によって逸れに加えられる変形力に耐えるように選択することができる。したがって、支持された動脈または静脈グラフトは支持体1500によって、よじれおよび/または崩壊および/または方向逸脱を防止され、グラフトの開通性および所望の経路を維持することが可能である。任意選択的に、脊椎1502および/またはファスナ1504は、例えばステンレス鋼または他の材料、何らかのプラスチック誘導体、テフロン(登録商標)、強化ダクロン(登録商標)、または他の適切な材料から作ることができる。支持体1500は、傷が安定化してから数週間のような予め定められた期間後にスリーブを吸収させるために、任意選択的に、vicrilまたは他の適切な材料のような生物分解性材料から作ることができる。脊柱1502および/またはファスナ1504は、グラフト血栓症を軽減し、グラフトまたは血管開通性を改善するために、血液凝固を防止するための薬理学的物質、例えば血管拡張材(例えば徐放ニトログリセリンまたは一酸化窒素(NO)放出物質)、抗血小板薬(例えばアスピリン、クロピドグレル)、免疫抑制剤(例えばタクロリムス、シロリムス)、抗凝固薬(例えばヘパリン、低分子ヘパリン、ヒルジン誘導体)、および任意の他の薬理学的物質を溶出することができる。支持体1500および/またはファスナ1504は、造影剤の必要無しに、X線撮影、CT、または血管撮影のような撮像処置によって観察することを可能にする、放射線不透過性マーカを含むことができる。これは、心拍ゲート式多重検出器CTまたは造影剤の使用を必要とせずに、術後のグラフトの監視、および再手術の計画を促進することができ、「リドゥ」心臓または胸部処置を実行しながらグラフトを保護する。放射線不透過性マーカはまた、冠動脈造影注にカテーテルによるグラフトの係合をも容易化することができる。
【0155】
図16Aおよび16Bを参照すると、それらは、本発明の一部の実施形態に係るグラフトキャスティング支持体1600を模式的に示す。支持体1600は、コイルまたは編組ワイヤによって形成された管腔1632を有する円筒状シャフト部分1631を備える。シャフト部分1631は、手術者が体内で維持される形状をそれに与えることができるように、塑性変形可能とすることができる。シャフト部分1631の1端または両端は、図16Bに拡大して示す円錐状終端部1630を含むことができる。円錐状終端部1630は、好ましくは吻合上で自由に、または実質的に固定せずに残すことができ、あるいはグラフト動脈の端部を付着させることのできる組織表面に支持体1600の端部を取り付けるために役立てることができる。円錐状終端部1630の付着は接着剤、フック、または円錐状終端部を組織表面に接着、掛止、または螺合することによって行なうことができる。支持体1600の長さは、グラフトの長さと同一か、それよりわずかに短くなるように選択することができる一方、管腔1632の直径は静脈または動脈グラフトを収容するように選択される。支持体1600の長さは、展開の前、途中、または任意選択的にその後で、所望の長さに切断することができる。代替的に、支持体1600は所望の長さに伸縮可能であり、所望の長さを維持するように端部が付着される。これにより、挿入中に支持体を切断する必要性が回避される。伸縮可能である場合、支持体1600は一定範囲の長さを受け入れることができるので、各支持体が異なる範囲の長さを受け入れる場合、1組の支持体が非常に広い範囲の長さを受け入れることができる。支持体1600は前述の通り、薬理学的物質を格納または溶出することができ、また部分的にもしくは完全に放射線不透過性または生物分解性とすることもできる。
【0156】
実施例
ここで、上記説明と併せて本発明の一部の実施形態を非限定的に例証する以下の実施例を参照する。
表1:直径0.05mmの38本の弾性ワイヤを8mmのマンドレル上で150度の編組角度を使用して編組した支持体のオプショナル実施例の計算による機械的性質
【0157】
例示的整形可能な外部静脈支持体およびその製造方法
図17Aおよび図17Bとして、本発明の一部の実施形態に係る例示的延長支持体の一部分、および支持体の一部の拡大図を示す写真がそれぞれ含まれる。
【0158】
支持体は、第1型の38本の弾性変形可能ワイヤ(各43ミクロン径)および第2型の4本の焼鈍塑性変形可能ワイヤ(各150ミクロン径)が編組状に対称的に交絡された、径方向弾性および軸方向可塑性をもたらす編組管状構成の42本のコバルト・クロム・ワイヤを含む。
【0159】
支持体は、様々な状況に対処する外科医により高い柔軟性を提供するために、様々な長さおよび内径に圧縮して供給することができる。装置の圧縮された形状のときの内径は、遠位吻合の完了後に、装置をバイパスグラフト上に実質的に快適に覆い被せることができるように選択される。
【0160】
したがって、支持体は任意選択的に、各々が延長前および延長後に異なる範囲の内径を有する4つの初期構成に製造することができる。
・8mm(圧縮時)→5mm(所望の長さに延長したとき)
・7mm(圧縮時)→4mm(所望の長さに延長したとき)
・6mm(圧縮時)→3mm(所望の長さに延長したとき)
【0161】
支持体はさらに、支持体と静脈グラフトとの間のその長さに沿った適切な適合を可能にするために、2cm〜35cm(延長後)の範囲の6〜8種類の最終長さに製造することができる。
【0162】
支持体は、任意選択的に実質的によじれ抵抗を持ち、軸対称に0から180度に屈曲して構成される。圧縮形態では、支持体は相対的径方向可塑性および軸方向弾性を示す一方、延長時には、その全長にわたって相対的軸方向可塑性(低スプリングバック)および径方向弾性(クラッシュ抵抗)を持つ。
【0163】
支持体の編組は、42キャリア編組機械を使用して、イソプロピルアルコールでクリーニングした304/316SSマンドレル上で実行することができる。マンドレルの直径は、支持体の延長後(最大可能伸張状態)の長さによって、例えば8mm、7mm、または6mmとすることができる。編組角度は約150度とすることができる。
【0164】
心臓/血管組織の損傷を防止するために、焼鈍ワイヤを(互いに)ループし、支持体の近位端から約5mmの距離でレーザで溶接することができる。支持体の焼鈍遠位端は30〜60度の角度で終端し、焼鈍ワイヤはループし、端部から約mmの距離でループすることができ、それは外科医がそれに適合させ、遠位吻合を被覆することを可能にする。
【0165】
移植から数週間後に、線維性組織が装置内に成長し、静脈グラフトおよび支持体を被覆しかつ一体に取り付ける。したがって、焼鈍ワイヤは少なくとも部分的に放射線不透過性であり、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中に撮像を可能にする。
【0166】
移植後に、結果的に得られたグラフト支持体は限定された径方向弾性と実質的弾性特性を有するので、支持体がクラッシュした場合、それは実質的クラッシュ前の直径に戻り、グラフトもその通常の直径に戻ることができる。さらに、径方向コンプライアンスは実質的に小さいので、径方向運動(例えばパルス時運動)は自然動脈のそれと比較してずっと小さい。例えば図17Aに示すものと同様の支持体、または図に示したものとはワイヤの本数、ワイヤの種類、もしくはワイヤの直径、またはそれらの任意の組合せが異なる変形例の径方向コンプライアンスは、典型的には0〜10%/mmHg、0〜5%/mmHg、3%/mmHg未満(静脈グラフトと共に)の範囲の1つである。幾つかの変形例では、径方向コンプライアンスは自然動脈のそれと同様の範囲内、例えば3〜30%/mmHgでもあるかもしれない(静脈支持体のため、自然動脈のそれとは異なる特性を示す)。
【0167】
例示的整形可能な静脈支持体を組み込んだ例示的CABG処置
図18A〜18Fを参照すると、それらは、本発明の一部の実施形態に従って、CABG処置を実行する外科医が従うことのできる、図17Aに示した支持体の典型的な移植処置を模式的に示す。
【0168】
図18Aに示されているのは、グラフトによってバイパスされる大動脈1852および冠動脈1854の模式図である。静脈グラフトを採取し、グラフトの側枝をクランプしたあと、外科医はそれらの長さおよび直径を測定する。
【0169】
1回目の吻合を実行した後でなければ、外科医は、グラフトの長さに関して最終的な信頼できる判断ができない。図18Bは、1回目の吻合で動脈1854の遠位端に付着されたグラフト1821を模式的に示す。グラフト1821は複数の側枝1846を持つ状態で示され、グラフト中に血流が無いので直径d1は縮小している。
【0170】
図18Bおよび18Cは、以下に記載する支持体移植処置の次の段階を模式的に示す。大動脈1852における2回目の吻合部位を選択した後、外科医はグラフト1821の正確な長さおよび/または直径を測定し、正しい支持体1800を選択する。任意選択的に、外科医は以下の例示的テーブルのような支持体移植テーブルから正しい支持体を選択することができる。
【0171】
外科医は次いでグラフト1821上に静かに支持体1800を通し、2回目の縫合を完了することができる。
【0172】
図18Dおよび18Eは、以下に記載する支持体移植処置の次の段階を模式的に示す。グラフト1821における血流1822の回復後、静脈グラフトの血流を評価し、側枝1846および吻合部位に漏れがないか確認した後、外科医は、支持体の開放を充分に制御しながら、その幅広部分を遠位部に置いて(側枝のクリップに対する損傷を回避するために)、支持体1800を所望の長さまで開放する。グラフト1821の直径は、グラフト内の血流1822の結果、直径D1から新しい直径D2に増大し、直径D2は任意選択的にD1の約3倍より実質的に大きい。
【0173】
図18Fは、処置の最後の段階を模式的に示す。外科医は近位および遠位吻合を静かに被覆し、動脈1854から大動脈1852への胸部内の所望の経路に従って、支持体1800および支持体被覆グラフト1821を整形する。処置の最後に、支持体1800は側枝1846を含めてグラフト1821の全長を実質的に比較的緊密に被覆する。支持体1800はその形状、長さ、および直径を維持し、外科医が処置を安全に終了することを可能にする。
【0174】
試験および観察
ここで、上記説明と併せて本発明の実施形態を非限定的に例証する、以下の試験および観察について言及する。
【0175】
発明者らは、成形可能な管状支持体の配置手順を評価し、支持体の安全性を評価し、かつ支持体の初期性能を評価するために、ヒツジに対するCABG処置を含む実行可能性の研究を実行した。ヒツジはその心血管系が人間のそれに似ているために選択された。ヒツジの成長速度は他の適用可能モデル(例えばブタモデル)と比較して低く、器官の大きさが実質的に変化することなく、比較的長い追跡期間が得られ、静脈採取処置は、他の適用可能モデルと比較して相対的に容易かつ効率的である。図17Aに示した支持体と実質的に同様の支持体を、CABG処置の一環として血管上に配置した。
【0176】
CABG処置のために、年齢12ヶ月、重量76kgの雌の家畜ヒツジを使用した。ヒツジは実験用動物の世話と使用のための国際的指針に従って取り扱い、食餌と水は毎日規則的に与え、ヒツジを飼っている部屋は市販の殺菌洗浄剤を用いて毎日掃除した。
【0177】
実施したCABG手術はオフポンプ処置であった。手術において、伏在静脈を両脚から採取し、2つのバイパスグラフトを形成した。静脈グラフトを吻合したヒツジの動脈は、左前下降(LAD)動脈および回旋動脈(第1辺縁)であった。外部支持体を持つ実験グラフトは、LADへのバイパス静脈グラフトであった。辺縁動脈に制御グラフトをバイパスした。実験グラフトの最初の吻合の完了後に、外科医は再びグラフトの長さおよび直径を測定し、任意選択的に支持体実現テーブルから正しい外部支持体(実験グラフトの長さは15cmであり、その直径は6.5mmであった)を選択した。制御グラフトの長さは12cmであり、その平均直径は6.7mmであった)。その後、圧縮した形の外部支持体をグラフト上に通し、第2吻合を実行した。両方のグラフトの血流を評価した後、かつ静脈グラフトの最終チェックを完了した後、それらの側枝および吻合部位両方の自然動脈を遠位吻合部位に近位から結紮した。
【0178】
グラフトへの血流の回復後に、外科医は支持体を所望の長さまで開放し、胸部内でその経路を調整した。支持体は吻合部位を完全にかつ静かに被覆する長さまで開放された。処置の最後に、胸部を閉鎖した後、ヒツジに血管撮影を実行し、それにより、両方のグラフトが良好な血流により開通したことが実証された。
【0179】
3ヶ月の追跡期間の最後に、ヒツジに2回目の冠動脈血管撮影を実行し、グラフトの開通性ならびにその内膜および内側性肥厚率(管腔の内径および内壁の輪郭形状)を評価した。実験グラフトは完全に開通し、優れた層流があることが分かった。静脈グラフトの内径は移植日と同じであり、その内壁は一様であった。
【0180】
血管撮影後に、動物を犠牲にし、グラフトおよび心臓を採取した。グラフトおよび心臓を0.9%のNaClで洗浄し、4%のホルムアルデヒド中に24時間浸漬した。顕微鏡で、心臓の損傷は観察されず、グラフトおよび支持体は、術野の残部と同様に結合組織および脂肪内に包埋されていた。外部支持体は静脈グラフトに固定されており、手術の最後にそれが配置された場所に位置しており、長さおよび直径は同じであった。
【0181】
例示的整形可能な静脈支持体の例示的生体外試験
長軸安定性の生体外試験を実行し、支持体の長さ/直径安定性、ならびに人体のそれに似せた高血圧/高パルスの生理学的状態で展開した後の所望の形状を維持するその能力に関するデータを収集した。シミュレートした生理学的状態は、体温管理(37℃)、血圧管理(収縮期および拡張期血圧)、ならびにパルス管理に関連付けられた。実験セットアップは、心臓を模した蠕動ポンプを使用することによって、閉ループ内を流体(血液を模した蒸留水)が流れる動脈/静脈を模したプラスチックチューブから構成された。監視されたシステム全体のデータおよびパラメータを、データ収集ソフトウェアによって管理し収集した。試験中に高品質PCカメラを実時間で使用することにより、いつでも支持体の長さ/直径の正確な測定が可能であった。
【0182】
支持システムの長軸方向安定性を次の表に従って試験した。
【0183】
2種類の支持体を試験した。第1支持体は38本のコバルトクロム弾性変形可能ワイヤ(各50ミクロン径)および4本の焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤ(各150ミクロン径)を含み、第2支持体は36本の弾性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤ(各50ミクロン径)および6本の焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤ(各150ミクロン径)を含む。生体外試験の結果は、各支持体の初期長さと最終長さとの間に差が無いこと、支持体がそれらの長さ/直径および形状を比較的極端な生理学的状態で維持できること、ならびに4本の焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤを6本の焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤの代わりに使用することができることを示した。生体外試験の結果に基づいて、発明者らはさらに、高い径方向コンプライアンスを持つ支持体のための他の適切な編組構成が(前述の通り)、40本の直径43ミクロンの弾性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤおよび2本の直径150ミクロンの焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤを含む編組、ならびに試験した第1編組と同数のワイヤを持つが4本の直径100〜125ミクロンの焼鈍塑性変形可能なコバルト・クロム・ワイヤによる編組を含むことができることを突き止めた。
【0184】
一般的なコメント
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0185】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。
【0186】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。この用語は、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0187】
表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、主張される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。
【0188】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0189】
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0190】
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
【0191】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0192】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0193】
本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
【0194】
本明細書で使用される場合、用語「治療する/処置する」には、状態の進行を取り消すこと、実質的に阻害すること、遅くすること、または、逆向きにすること、状態の臨床的症状または審美的症状を実質的に改善すること、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状の出現を実質的に防止することが含まれる。
【0195】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特
【0196】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
図7A-7C】
図8A-8C】
図9A-9B】
図10A-10C】
図11A-11D】
図12A-12B】
図13A-13C】
図14A-14C】
図15A
図15B
図18A-18C】
図18D-18F】
図1A-1B】
図2
図3
図4
図5A-5B】
図6
図16A-16B】
図17A
図17B