(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は本実施形態における熱交換器を示す斜視図、
図2は
図1のII部の拡大斜視図、図
3は
図2のIII-III線に沿った断面図、
図4は
図2の平面図、
図5は
図2の分解斜視図で
ある。
【0015】
本実施形態における熱交換器1は、例えば自動車の空調システムに組み込まれ、エンジ
ンの冷却水と、エアコンの冷媒とを熱交換させる熱交換器に用いられる。なお、熱交換器
1の用途は、これに限定されず、例えばラジエータに用いてもよい。
【0016】
本実施形態における熱交換器1は、
図1及び
図2に示すように、入口ヘッダ2と、出口
ヘッダ3と、チューブ4と、流路形成部材5と、を備えている。なお、本実施形態におけ
る入口ヘッダ2及び出口ヘッダ3が、本発明の一対のヘッダの一例に相当する。
【0017】
入口ヘッダ2及び出口ヘッダ3は、
図1及び
図2に示すように、管形状となっており、
それぞれの内部空間21,31内を冷媒が流通可能となっている。なお、本実施形態では
、外部から入口ヘッダ2の内部空間21内へ冷媒が流入され、チューブ4内を通って、出
口ヘッダ3の内部空間31から外部に冷媒が流出される。
【0018】
ここで、熱交換器1が空調システムに組み込まれる場合には、冷媒として、例えば、2
0kgf/cm
2程度に加圧されたフロンを挙げることができる。なお、入口ヘッダ2内
、出口ヘッダ3内及びチューブ4内を流通する際の冷媒の状態は、気体又は液体のいずれ
であってもよく、加圧されているか否かは特に限定されない。
【0019】
チューブ4は、
図2に示すように、入口ヘッダ2と出口ヘッダ3の間に配置され、両者
を接続している。本実施形態の熱交換器1には、複数のチューブ4が配列されており、そ
れぞれのチューブ4がロウ付けで両ヘッダ2,3に接合されている。これらのチューブ4
には、
図3に示すように、貫通孔41が形成されている。この貫通孔41は、チューブ4
の長手方向に沿って、チューブ4の一端から他端に亘って形成されている。本実施形態で
は、同図に示すように、1つのチューブ4内に8つの貫通孔41が形成されているが、貫
通孔41の数についは、特に限定されない。
【0020】
また、本実施形態では、
図4に示すように、チューブ4の一端4aが入口ヘッダ2の内
部空間21内に突出しており、貫通孔41が入口ヘッダ2の内部空間21内で開口してい
る。また、同図に示すように、チューブ4の他端4bが出口ヘッダ3の内部空間31内に
突出しており、貫通孔41が出口ヘッダ3の内部空間31内で開口している。これにより
、両ヘッダ2,3が、チューブ4の貫通孔41を介して相互に連通している。
【0021】
流路形成部材5は、
図3に示すように、隣り合うチューブ4同士の間に流通空間6を形
成する部材である。この流通空間6は、チューブ4内を流れる冷媒と熱交換する液体を流
通させるための空間である。このような液体としては、例えば、エンジンの冷却水を挙げ
ることができるが、液体であれば特にこれに限定されない。
【0022】
この流路形成部材5は、複数のチューブ4に応じて複数設けられている。同図において
は、複数の流路形成部材5をそれぞれ5A〜5Cで識別して示している。以下においては
、図中の流路形成部材5Aを代表して説明し、流路形成部材5B,5Cについては、流路
形成部材5Aと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0023】
この流路形成部材5Aは、第1のプレート51と、第2のプレート52と、を備えてい
る。これらの第1及び第2のプレート51,52は、例えばアルミニウム等の熱伝達性に
優れた材料で構成されている。
【0024】
第1のプレート51は、
図4に示す平面視において、矩形部分511と、この矩形部分
511の短手方向に沿った一辺511aから突出した突出部分512と、矩形部分511
において当該一辺511aと対向する一辺511bから突出した突出部部分513と、を
有しており、第1のプレート51の中心点Oを中心とした点対称の形状となっている。な
お、同図中においては、矩形部分511を点線で囲って示している。
【0025】
この第1のプレート51には、第1のプレート51自体の外縁51aを除いた矩形部分
511及び突出部分512,513の一面に亘って、凹部514が形成されている。本実
施形態では、この凹部514が、当該凹部514と対向するように第2のプレート52に
形成された凹部524と共に、上記の流通空間6を区画している。さらに、本実施形態で
は、第1のプレート51の外縁部分51aが、
図3に示すように、第2のプレート52の
外縁部分52a(後述)を挟み込むように屈曲しており、これにより、流通空間6が密閉
されている。
【0026】
また、凹部514の底面515aには、
図3及び
図4に示すように、上記の一辺511
aから他の一辺511bに亘って、チューブ4の形状(
図3中におけるチューブ4の上側
半分)に沿った凸部514aが形成されている。言い換えれば、
図3に示すように、第1
のプレート51の背面515bに、当該凸部514aに対応する溝部514bが形成され
ている。本実施形態では、この溝部514bと、第2のプレートにおける溝部524b(
後述)との間にチューブ4が挟み込まれている。
【0027】
また、本実施形態では、この凸部514aの一部分に、チューブ4の扁平部分を露出さ
せる露出開口516が形成されており、この露出開口516を介して、凹部514(流通
空間6)内を流れる液体がチューブ4の表面に直接的に接することができるようになって
いる。
【0028】
本実施形態では、
図5に示すように、第1のプレート51における露出開口516の周
囲部分517が、チューブ4と密着している。これにより、凹部514内を流れる液体が
、露出開口516を介して外部に漏れることを抑制している。
【0029】
矩形部分511は、
図4に示す平面視において、ヘッダ2,3の間に配置されている。
詳細に説明すると、矩形部分511の一辺511aから中心点Oまでの距離L1が、接続
部分P2(ロウ付け部分)から中心点Oまでの距離L2よりも短くなっており(L1<L
2)、矩形部分511の一辺511bから中心点Oまでの距離L3が、接続部分P1(ロ
ウ付け部分)から中心点Oまでの距離L4よりも短くなっている(L3<L4)。このた
め、接続部分P1,P2が、矩形部分511に形成された凹部514よりも外側に配置さ
れるようになっている。これにより、凹部514(流通空間6)と接続部分P1,P2と
が互いに隔離されるため、仮に、この接続部分P1,P2から冷媒が漏れ出したとしても
、漏れ出した冷媒と、流通空間6内を流れる液体とが混ざり合うことが抑制される。なお
、接続部分P1は、チューブ4と入口ヘッダ2の接続部分であり、接続部分P2は、チュ
ーブ4と出口ヘッダ3との接続部分である。
【0030】
突出部分512は、
図4に示す平面視のように、出口ヘッダ3の図中左側に位置してい
る。この突出部分512には、熱交換器1の長手方向(同図中Y方向)において、出口ヘ
ッダ3と実質的に同一の位置に入口開口512aが形成されている。本実施形態では、こ
の入口開口512aを介して、液体が流通空間6内に流入するようになっている。なお、
上記の「出口ヘッダ3と実質的に同一の位置」とは、平面視における出口ヘッダ3の中心
から、出口ヘッダ3の半径分ずれた位置を含み、厳格に同一の位置である点に限定する趣
旨ではない。
【0031】
一方、突出部分513は、
図4に示す平面視のように、入口ヘッダ2の図中右側に位置
している。この突出部分513には、熱交換器1の長手方向(図中Y方向)において、入
口ヘッダ2と実質的に同一の位置に出口開口513aが形成されている。本実施形態では
、この出口開口513aを介して、液体が流通空間6外に流出するようになっている。な
お、上記の「入口ヘッダ2と実質的に同一の位置」とは、平面視における入口ヘッダ2の
中心から、入口ヘッダ2の半径分ずれた位置を含み、厳格に同一の位置である点に限定す
る趣旨ではない。
【0032】
第2のプレート52は、
図3〜
図5に示すように、その外縁部分52aを除いて、第1
のプレート51と実質的に同一の構成となっている。つまり、第2のプレート52には、
第1のプレート51の凹部514と同様の凹部524と、第1のプレートの凸部514a
(溝部514b)と同様の凸部524a(溝部524b)と、第1のプレート51の入口
開口512aと同様の入口開口522aと、第1のプレート51の出口開口513aと同
様の出口開口523aと、第1のプレート51の露出開口516と同様の露出開口526
が形成されている。
【0033】
本実施形態における第2のプレート52の外縁部分52aは、
図3に示すように、平坦
に形成されており、上述したように、第1のプレート51の外縁部分51aに挟み込まれ
ている。
【0034】
また、
図5に示す第1のプレート51と同様に、第2のプレート52における露出開口
526の周囲部分527が、チューブ4と密着している。これにより、凹部524内を流
れる液体が、露出開口526を介して外部に漏れることを抑制している。
【0035】
ここで、本実施形態における熱交換器1では、第1及び第2のプレート51,52に露
出開口516,526を形成したが、特にこれに限定されない。
【0036】
また、特に図示しないが、
図3中の凸部514a,524aの表面に突起を設けてもよ
い。これにより、チューブ4上を流れる液体に乱流を積極的に生じさせることができる。
その結果、チューブ4の表層付近を流れる液体のみならず、チューブ4から離れた部分を
流れる液体を巻き込んで、チューブ4上を流れる液体全体を、チューブ4内の冷媒と熱交
換させることができる。
【0037】
次に、本実施形態の熱交換器1の作用を説明する。
【0038】
本実施形態における冷媒は、入口ヘッダ2→チューブ4→出口ヘッダ3の順番で流通す
る(
図4中の矢印Aで示す)。一方、液体は、第1及び第2のプレート51,52におい
て、入口開口512a,522a→凹部514,524→出口開口513a,523aの順
番で流通する(
図4中の矢印Bで示す。)。液体は、この流通過程において、第1及び第
2のプレート51,52に形成された露出開口516,526を介して、直接的にチューブ
4の表面に接触し、チューブ4内を流通する冷媒と熱交換する。
【0039】
ここで、本実施形態では、入口ヘッダ2とチューブ4との接続部分P1を、凹部514
,524の外側に配置させ、接続部分P1を液体から隔離させている。これにより、冷媒
が入口ヘッダ2からチューブ4に流れ込む際に、仮に、接続部分P1から冷媒が漏れ出し
たとしても、冷媒と、凹部514,524(流通空間6)内の液体とが混ざり合うことが
抑制される。
【0040】
同様に、出口ヘッダ3とチューブ4との接続部分P2を、凹部514,524の外側に
配置させ、接続部分P2を液体から隔離している。これにより、冷媒がチューブ4から出
口ヘッダ3に流れ込む際に、仮に、接続部分P2から冷媒が漏れ出したとしても、冷媒と
、凹部514,524内の液体とが混ざり合うことが抑制される。つまり、熱交換する熱
媒体同士が混じり合うことを抑制することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態における熱交換器では、仮に、両ヘッダ及びチューブの全体をケース
内に収容し、当該ケース内に液体を流通させて、液体と冷媒とを熱交換させる場合と比較
して、熱交換器自体の小型化が図られている。
【0042】
また、本実施形態では、第1及び第2プレート51,52に露出開口516,526を形
成したため、この露出開口516,526を介して、凹部514,524内を流れる液体が
、チューブ4の表面に直接的に接することができる。これにより、当該液体と、チューブ
4内の冷媒との間の熱交換を効率的に実行させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、平面視において、入口開口512a,522aが、チューブ4
の延在する延在方向に対して一方の側方に位置し、出口開口513a,523aが当該延
在方向に対して他方の側方に位置している。このため、入口開口512a,522aから
流通空間6内に流入して出口開口513a,523aから流出する液体は、必ずチューブ
4上を通過するようになっている。これにより、入口開口512a,522aから流入し
た新しい液体と、チューブ4内の冷媒とを熱交換させることができ、冷媒と液体とを効果
的に熱交換させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、熱交換器1の長手方向(
図4中のY方向)において、入口開口
512a,522aの中心が出口ヘッダ3の中心と実質的に同一の位置に配置されており
、出口開口513a,523a中心が入口ヘッダ2の中心と実質的に同一の位置に配置さ
れている。
【0045】
ここで、仮に、熱交換器1の長手方向において、入口開口が出口ヘッダよりも外側の位
置に形成され、出口開口が入口ヘッダよりも外側の位置に形成されていると、入口開口及
び出口開口が外側に配置された分だけ熱交換器自体が大型化してしまう。一方、入口開口
が出口ヘッダよりも内側に配置され、出口開口が入口ヘッダよりも内側に配置されている
場合には、液体とチューブとが接する面積が狭くなるため、冷媒と液体との間で行われる
熱交換の熱量が小さくなる。
【0046】
これに対し、本実施形態では、上記のように、熱交換器1の長手方向(
図4中のY方向
)において、入口開口512a,522aを出口ヘッダ3と実質的に同一の位置に形成し
、出口開口513a,523aを入口ヘッダ2と実質的に同一の位置に形成しているため
、熱交換器1の大型化を抑制しつつ、冷媒と液体との間で比較的大きな熱量を熱交換させ
ることができる。
【0047】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、
本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示さ
れた各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である
。