(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力送信効率情報を取得するステップは、電力供給の較正(キャリブレーション)のための較正電力及び前記較正電力の電力量に関する情報を前記ターゲット電子機器に伝達するステップと、
前記ターゲット電子機器から前記電力送信効率情報を受信するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器の電力供給方法。
前記生成された共振電力の電力量は、前記電力送信効率情報、前記復号化電力及び前記再生電力によって決定されることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の電力供給方法。
前記生成された共振電力の電力量は、前記電力送信効率情報、前記符号化電力及び前記再生電力又は前記電力送信効率情報、前記符号化電力及び前記再生電力の組合せによって決定されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器の電力供給方法。
前記共振電力の電力量は、前記電力送信効率情報及び前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で復号化及び再生するために必要な電力量に基づいて変更されることを特徴とする請求項7に記載の電子機器の電力供給方法。
ソース電子機器とターゲット電子機器との間の電力送信効率に関する情報を取得し、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で復号化及び再生するために必要な電力量に対応する電力を取得するソース制御部と、
前記電力送信効率情報及び前記電力に基づいて共振電力を生成する共振電力生成部と、
前記生成された共振電力を前記ターゲット電子機器に伝達するソース共振部と、
前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器に送信するマルチメディアデータ処理部と、
を備えることを特徴とするソース電子機器。
前記ソース制御部は、前記マルチメディアデータを復号化するために所要される電力量に対応する復号化電力を取得し、前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で再生するために用いられる再生電力を取得し、前記電力送信効率情報、前記復号化電力及び前記再生電力又はこの結合に基づいて前記共振電力の電力量を決定することを特徴とする請求項10に記載のソース電子機器。
前記ソース制御部は、前記マルチメディアデータを符号化するために所要される電力量に対応する符号化電力を取得し、前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で再生するために必要な再生電力を取得し、前記電力送信効率情報、前記符号化電力及び前記再生電力又はこの結合に基づいて前記共振電力の電力量を決定することを特徴とする請求項10に記載のソース電子機器。
前記共振電力の電力量は、前記電力送信効率情報及び前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で復号化及び再生するために必要な電力量に対応する電力に基づいて変更されることを特徴とする請求項14に記載のターゲット電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、例示的な実施形態に係る電子機器の電力供給システムを示す。
以下の各実施形態において、電力供給システムによって送信される電力は共振電力(resonance power)と仮定する。
【0024】
図1に示すように、電力供給システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造を有する。例えば、電力供給システムは、ソースに該当するソース電子機器110とターゲットに該当するターゲット電子機器120を備える。
【0025】
ソース電子機器110は、外部の電圧供給機からエネルギーを受信して共振電力を発生させるソース部111及びソース共振器115を備える。また、ソース電子機器110は、共振周波数又はインピーダンス整合を行う整合制御部(Matching control)113をさらに備え得る。
【0026】
ソース部111は、外部の電圧供給機からエネルギーを受信して共振電力を発生させる。ソース部111は、外部装置から入力される交流信号の信号レベルを所望するレベルに調整するためのAC−ACコンバーター、前記AC−ACコンバーターから出力される交流信号を整流することによって、一定レベルのDC電圧を出力するAC−DCコンバーター、前記AC−DCコンバーターから出力されるDC電圧を高速スイッチングすることによって、数MHz〜数十MHz帯域のAC信号を生成するDC−ACインバーターを含む。勿論、AC電力の他の周波数も用いられてもよい。
【0027】
整合制御部113は、ソース共振器115の共振帯域幅(Resonance Bandwidth)又はソース共振器115のインピーダンス整合周波数を設定する。整合制御部113は、ソース共振帯域幅設定部(図示せず)又はソース整合周波数設定部(図示せず)のうち少なくとも1つを備える。ソース共振帯域幅設定部は、ソース共振器115の共振帯域幅を設定する。ソース整合周波数設定部は、ソース共振器115のインピーダンス整合周波数を設定する。ここで、ソース共振器の共振帯域幅又はソース共振器のインピーダンス整合周波数設定に応じて、ソース共振器115のQ−ファクターを決定する。
【0028】
ソース共振器115は電磁気エネルギーをターゲット共振器に伝達する。即ち、ソース共振器115は、ターゲット共振器121とのマグネチックカップリング101によって共振電力をターゲット装置120に伝達する。ここで、ソース共振器115は設定された共振帯域幅内で共振する。
【0029】
ターゲット電子機器120は、ターゲット共振器121、共振周波数又はインピーダンス整合を行う整合制御部123及び受信された共振電力を負荷に伝達するためのターゲット部125を備える。
【0030】
ターゲット共振器121は、ソース共振器115から電磁気エネルギーを受信する。ここで、ターゲット共振器121は設定された共振帯域幅内で共振する。
【0031】
整合制御部123は、ターゲット共振器121の共振帯域幅又はターゲット共振器121のインピーダンス整合周波数のうち少なくとも1つを設定する。整合制御部123は、ターゲット共振帯域幅設定部(図示せず)又はターゲット整合周波数設定部(図示せず)のうち少なくとも1つを備える。ターゲット共振帯域幅設定部は、ターゲット共振器121の共振帯域幅を設定する。ターゲット整合周波数設定部は、ターゲット共振器121のインピーダンス整合周波数を設定する。ここで、ターゲット共振器121の共振帯域幅又はターゲット共振器121のインピーダンス整合周波数設定に応じて、ターゲット共振器121のQ−ファクターが決定される。
【0032】
ターゲット部125は、受信された共振電力を負荷に伝達する。ここで、ターゲット部125は、ソース共振器115からターゲット共振器121で受信されるAC信号を整流してDC信号を生成するAC−DCコンバーターと、DC信号の信号レベルを調整することによって定格電圧をデバイス又は負荷に供給するDC−DCコンバーターを含む。
【0033】
ソース共振器115及びターゲット共振器121は、ヘリックス(helix)コイル構造の共振器又はスパイラル(spiral)コイル構造の共振器、又はメタ構造(meta−structured)の共振器から構成される。
【0034】
図1に示すように、Qファクターの制御過程は、ソース共振器115の共振帯域幅及びターゲット共振器121の共振帯域幅を設定し、ソース共振器115とターゲット共振器121との間のマグネチックカップリング101によって電磁気エネルギーを前記ソース共振器115から前記ターゲット共振器121に伝達することを含む。
ここで、ソース共振器115の共振帯域幅は、ターゲット共振器121の共振帯域幅よりも広くか、又は狭く設定される。即ち、ソース共振器115の共振帯域幅がターゲット共振器121の共振帯域幅より広くか、又は狭く設定されることによって、ソース共振器のBW−ファクターと前記ターゲット共振器のBW−ファクターは互いに不平衡の(unbalanced)関係を保持する。
【0035】
共振方式の無線電力送信において、共振帯域幅は重要なファクターである。ソース共振器115とターゲット共振器121との間の距離変化、共振インピーダンスの変化、インピーダンスミスマッチ(不整合)、反射信号などを全て考慮したQ−ファクターをQtとする場合、Qtは式(1)のように共振帯域幅とBWの逆数の関数となる。
[数1]
(Δf/f
0) =(1/Qt)
=(Γ
S,D) +(1/BW
S) +(1/BW
D)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0036】
式(1)において、f
0は中心周波数、Δfは帯域幅、(Γ
S,D)は共振器の間の反射損失、BW
Sはソース共振器115の共振帯域幅、BW
Dはターゲット共振器121の共振帯域幅を示す。本明細書において、BW−ファクタは(1/BW
S)又は(1/BW
D)を意味する。
【0037】
一方、ソース共振器115とターゲット共振器121との間の距離が変わるか、2つのうち1つの位置が変化するなどの外部からの影響によって、ソース共振器115とターゲット共振器121との間のインピーダンス不整合が発生することがある。インピーダンス不整合は、電力伝達の効率を低下する直接的な原因になり得る。
整合制御部113は、送信信号の一部が反射して戻ってくる反射波を検出することによって、インピーダンス不整合が発生したと判断し、インピーダンス整合を行う。また、整合制御部113は、反射波の波形分析によって共振ポイントを検出することで共振周波数を変更する。ここで、整合制御部113は例えば、反射波の波形で振幅が最小である周波数を共振周波数として決定する。
【0038】
以上、
図1の例におけるソース共振器115及び/又はターゲット共振器121は、後述する
図7ないし
図14の何れかに示す構造を有し得る。
【0039】
図2は一実施形態に係るソース電子機器の構成を示す図である。
図2を参照すると、ソース電子機器200は、ソース制御部210、共振電力生成部220、ソース共振部230及びマルチメディアデータ処理部240を備える。
【0040】
ソース電子機器200は、マグネチックカップリングによって共振電力をターゲット電子機器300(後述)に伝達し、マルチメディアデータをターゲット電子機器300に送信する。ここで、マルチメディアデータは、映像、音声、テキストデータ、文書データ、テレビ放送信号などを含む。
【0041】
ソース制御部210は、ソース電子機器200とターゲット電子機器300との間の電力送信効率に関する情報を取得する。また、ソース制御部210は、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器300で復号化及び再生するために必要な電力量Ptを取得する。例えば、ソース電子機器200とターゲット電子機器300との間の電力送信効率に関する情報は、ターゲット電子機器300から算出された値を受信することによって取得される。
【0042】
ソース制御部210は、電力供給の較正(calibration)のための較正電力をターゲット電子機器300に送信する。例えば、送信はマグネチックカップリングによって行われてもよい。ソース制御部210は較正電力を、ソース共振部230を介してターゲット電子機器300に送信する。ソース制御部210は、前記較正電力の電力量に関する情報を前記ターゲット電子機器300に送信する。即ち、ソース制御部210は、前記較正電力の電力量を
図2に示す通信部247又はデータ送信部を介してターゲット電子機器300に通知する。
【0043】
ソース制御部210は、マルチメディアデータの復号化を行うために必要な電力量(Psde)を取得する。即ち、ソース制御部210は、マルチメディアデータ処理部240でマルチメディアデータを復号化するために消耗される電力を測定することによってPsdeを取得する。
また、ソース制御部210は、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器300で再生するために必要な電力量Ppを取得する。Ppは、ターゲット電子機器300でマルチメディアデータをディスプレイし、スピーカを介して出力するために必要な電力である。Ppは、ターゲット電子機器300で支援される解像度、ターゲット電子機器300に備えられたスピーカの容量などを考慮して決定される。Ppはソース電子機器200に予め格納されるか、又は、ソース電子機器200とターゲット電子機器300との間の初期チューニングによって取得される。
【0044】
ソース制御部210は、前記電力送信効率情報、前記電力Psde及び前記電力Ppに基づいて共振電力生成部220で生成される共振電力の電力量Poutを決定する。例えば、Poutは下記の式(2)により決定される。
[数2]
Pout=(Psde+Pp+M)/E
ST (2)
【0045】
式(2)において、Mはターゲット電子機器300でマルチメディアデータの復号化及び再生の他に消耗される電力量、E
STはソース電子機器200とターゲット電子機器300との間の電力送信効率である。Mは事前テストを介してソース電子機器200に予め格納された値である。
【0046】
ソース制御部210は、マルチメディアデータの符号化を行うために必要な電力量Psenを取得する。即ち、ソース制御部210は、マルチメディアデータ処理部240でマルチメディアデータを符号化するために消耗される電力を測定することによってPsenを取得する。ソース制御部210は、前記電力送信効率と前記Psde及び前記Ppに基づいて共振電力生成部220で生成される共振電力の電力量Poutを決定する。例えば、Poutは下記の式(3)により決定される。
[数3]
Pout={(Psen×T)+Pp+M}/E
ST (3)
【0047】
式(3)において、Tはマルチメディアデータの符号化に必要な電力量と、マルチメディアデータの復号化に必要な電力量との比を示す。Tは、事前テストを介してソース電子機器200に予め格納された値である。
【0048】
一方、マルチメディアデータを復号化して再生するために必要な電力量Ptはリアルタイムで変わり得る。即ち、時間−Poutグラフは特定の曲線で表現され、ソース制御部210は時間−Poutグラフの特定曲線に応じてPoutの電力レベルを制御する。
【0049】
共振電力生成部220は、電力送信効率及び前記Ptに基づいて共振電力を生成する。即ち、共振電力生成部220は、前記式(2)又は式(3)によって決定されたPoutだけの共振電力を生成する。例えば、共振電力は、式(2)又は式(3)によって決定された電力Poutと実質的に同一の値を有する。様々な実施形態において、共振電力生成部220は、トランス221、整流部223、定電圧制御部225及び電力変換部227を備える。
【0050】
トランス221は、外部装置から入力される第1周波数のAC信号の信号レベルを所望するレベルに調整する。ここで、第1周波数は、例えば、数十Hz帯域にある。
【0051】
整流部223は、トランス221から出力されるAC信号を整流することによってDC信号を出力する。
【0052】
定電圧制御部225は、ソース制御部210の制御により一定レベルのDC電圧を出力する。定電圧制御部225は、一定レベルのDC電圧を出力するための安定化回路を含んで構成され得る。定電圧制御部225から出力されるDC電圧の電圧レベルは、前記式(2)又は式(3)によって決定されたPoutに対応する値を有する。
【0053】
電力変換部227は、第2周波数帯域のスイッチングパルス信号によって前記一定レベルのDC電圧をAC電力に変換する。従って、電力変換部227は、AC/DCインバータを含んで構成される。ここで、第2周波数は、数MHz〜数十MHz帯域にある。例えば、第2周波数帯域は2MHz〜20MHzにある。AC/DCインバータは、定電圧制御部225から出力されるDC信号をAC信号に変換することによって共振電力を生成する。
即ち、AC/DCインバータは、第2周波数帯域のスイッチングパルス信号によって定電圧制御部225から出力される一定レベルのDC電圧をAC電圧に変換する。AC/DCインバータは、高速スイッチングのためのスイッチング素子を含む。ここで、スイッチング素子は例えば、スイッチングパルス信号が「ハイ」(例えば、ピーク値又はその近傍)であるときオンになり、スイッチングパルス信号が「ロー」(例えば、最小値又はその近傍)であるときオフになるように構成される。
【0054】
ソース共振部230は、前記生成された共振電力を例えばマグネチックカップリングによってターゲット電子機器300に伝達する。ソース共振部230は、
図1に示した整合制御部113&ソース共振器115を備え得る。
【0055】
マルチメディアデータ処理部240は、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器に送信する。マルチメディアデータは、外部から受信されるか、又は、マルチメディアデータ処理部240内に予め格納されている。マルチメディアデータ処理部240は、インターフェース&格納部241、デコーダ&エンコーダ243、マルチプレクサ&変調部245、及び通信部247を備える。
【0056】
インターフェース&格納部241は外部からマルチメディアデータを受信し、受信されたマルチメディアデータをマルチプレクサ&変調部245又はデコーダ&エンコーダ243に出力する。また、インターフェース&格納部241は、マルチメディアデータを格納する。インターフェース&格納部241に格納されたマルチメディアデータは、ストリーミング形態又はファイル形態でターゲット電子機器300に送信される。外部から受信されたマルチメディアデータは、マルチプレクサ&変調部245を経てターゲット電子機器300に送信される。インターフェース&格納部241に格納されたマルチメディアデータは、デコーダ&エンコーダ243で符号化された後ターゲット電子機器300に送信される。
【0057】
図2を参照すると、インターフェース&格納部241には、ケーブルTVの放送信号、衛星TVの放送信号、DVDプレーヤーの動画データ及び外部のUSB(universal serial bus)装置に格納されたデータが入力される。
【0058】
デコーダ&エンコーダ243は、マルチメディアデータを復号化し、及び/又は、マルチメディアデータを符号化する。例えば、デコーダ&エンコーダ243は、外部から受信されたマルチメディアデータを復号化し、インターフェース&格納部241に格納されたマルチメディアデータを符号化する。外部から受信されたマルチメディアデータを復号化する過程によって、前記Psdeがリアルタイムで取得される。インターフェース&格納部241に格納されたマルチメディアデータを符号化する過程によって前記Psenが取得される。
【0059】
マルチプレクサ&変調部245は、様々な種類のマルチメディアデータを多重化、又は、パケット化して通信部247に出力する。また、マルチプレクサ&変調部245は、ターゲット電子機器300とのシグナリングのためのシグナリングデータを多重化して通信部247に出力する。ターゲット電子機器300に送信されるデータの変調が必要な場合、マルチプレクサ&変調部245は、ターゲット電子機器300に送信されるべきデータを変調する。
【0060】
通信部247は、マルチプレクサ&変調部245から出力されるマルチメディアデータを前記ターゲット電子機器300に送信する。通信部247は、例えば、GHz速度で高速データ送信、無線ラン(LAN)、近距離データ送信技術などを用いてターゲット電子機器300と通信を行う。
【0061】
図3は、
図2に示すデコーダ&エンコーダ243の構成例を示す図である。
図3を参照すると、デコーダ&エンコーダ243は、映像データ201を符号化する第1エンコーダ41を備える。デコーダ&エンコーダ243は、オーディオデータ203を符号化する第2エンコーダ51を備える。デコーダ&エンコーダ243は、電力データ205を符号化する第3エンコーダ61を備える。ここで、電力データ205は例えば、共振電力生成部220でその時点に生成されるPoutに対応する値である。
【0062】
第1エンコーダ41から出力されるデータは第1パケット化器(packetizer)43によってパケット化され、第2エンコーダ51から出力されるデータは第2パケット化器53によってパケット化され、第3エンコーダ61から出力されるデータは第3パケット化器63によってパケット化される。第1パケット化器43、第2パケット化器53、及び第3パケット化器63の各々から出力されたデータは、マルチプレクサ&変調部245に送信されて多重化される。
図3に示すように、ソース電子機器200は、その時点に生成される共振電力の電力量をターゲット電子機器300に通知する。
【0063】
図4を参照すると、ターゲット電子機器300は、ターゲット制御部310、ターゲット共振部320、電圧変換部330、及びマルチメディアデータ処理部340を備える。
【0064】
ターゲット制御部310は、ソース電子機器200とターゲット電子機器300との間の電力送信効率を算出し、前記ソース電子機器200に前記電力送信効率を送信する。即ち、ターゲット制御部310は、電力送信効率を
図4に示す通信部341又はデータ送信部(図示せず)によってソース電子機器200に通知する。
ターゲット制御部310は、前記ソース電子機器から受信された前記較正電力の電力量に関する情報、及び前記較正電力の電力量に関する情報に基づいて前記電力送信効率を算出する。例えば、電力送信効率は、「P_receive/P_transfer」に定義され得る。ここで、「P_receive」はターゲット共振部320で受信された共振電力の電力量であり、「P_transfer」は前記較正電力の電力量である。
【0065】
ターゲット共振部320は、マグネチックカップリングによって前記ソース電子機器200から前記マルチメディアデータの復号化及び再生に必要な共振電力を受信する。勿論、ターゲット共振部320は、ソース電子機器200からマルチメディアデータの復号化及び再生以外のその他の動作に消耗される共振電力をさらに受信できる。また、ターゲット共振部320は、マグネチックカップリングによって前記ソース電子機器200から電力供給の較正のための較正電力を受信する。
一方、ターゲット共振部320で受信される共振電力の電力量は、電力送信効率及び前記マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で復号化及び再生するために必要な電力量Ptに対応してリアルタイムに変更され得る。ターゲット共振部320は、
図1に示した整合制御部123及びターゲット共振器121を含み得る。
【0066】
電圧変換部330は、受信された共振電力から直流電源を生成する。即ち、電圧変換部330はAC電力からDC電圧を取得し、前記取得されたDC電圧を負荷に供給する。電圧変換部420は、AC信号をDC信号に変換する整流部331及びDC信号の信号レベルを調整するDC/DC変換部333を備える。
【0067】
マルチメディアデータ処理部340は、ソース電子機器200からマルチメディアデータを受信する。マルチメディアデータ処理部340は、電圧変換部330から提供される直流電源を用いてマルチメディアデータを復号化し、復号化されたマルチメディアデータを再生する。ここで、マルチメディアデータの再生は、ディスプレイ及び/又はオーディオ出力を含む。マルチメディアデータ処理部340は、通信部341、デ(逆)マルチプレクサ&復調部343、マルチメディアデータ再生部345、ディスプレイ347、及びオーディオ出力部349を備える。
【0068】
通信部341は、ソース電子機器200からマルチメディアデータを受信したり、電力送信効率をソース電子機器200に送信する。即ち、通信部341は、ソース電子機器200との通信を介して各種データを送受信する。
【0069】
逆マルチプレクサ&復調部343は、ソース電子機器200から受信される様々な種類のマルチメディアデータを逆多重化し、ソース電子機器200から受信される変調されたデータを復調する。
【0070】
マルチメディアデータ再生部345は、ソース電子機器200から受信されたデータを復号化し、復号化されたデータを再生する。
【0071】
ディスプレイ347は映像データを表示する。従って、ディスプレイ347は、ディスプレイパネル及びディスプレイプロセッサを含み得る。ここで、ディスプレイ347は主に映像データをディスプレイするが、テキストデータ及び各種グラフィックデータも表示できる。
【0072】
オーディオ出力部349は、マルチメディアデータに含まれた音声データを出力する。従って、オーディオ出力部349はスピーカを含み得る。
【0073】
図5は、一実施形態に係る電子機器の電力供給方法を示す図である。
図5に示された電子機器の電力供給方法は、
図2及び
図4に示されたソース電子機器200及びターゲット電子機器300によって行ってもよい。
【0074】
まず、ステップ410において、ソース電子機器200は、較正(キャリブレーション)電力をターゲット電子機器300に送信する。
【0075】
ステップ420において、ソース電子機器200は、較正電力の電力量に関する情報をターゲット電子機器300に送信する。ターゲット電子機器300は電力送信効率を算出し、ステップ430において、電力送信効率をソース電子機器200に送信する。即ち、ソース電子機器200はターゲット電子機器300から電力送信効率を受信する。
【0076】
ステップ410乃至ステップ430に通してソース電子機器200は電力送信効率を取得できる。一方、
図5に示した一例において、ステップ410及びステップ420は実質的に同時に実行できる。
【0077】
ステップ440において、ソース電子機器200は、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器300で復号化及び再生するために必要な電力量Ptを取得する。ステップ450において、ソース電子機器200は、電力送信効率及び前記Ptに基づいて共振電力を生成する。
ステップ440において、ソース電子機器200は、ターゲット電子機器300に送信されるマルチメディアデータの復号化を行って、マルチメディアデータの復号化を行うために所要される電力量Psdeを取得する。また、ステップ440において、ソース電子機器200は、マルチメディアデータを前記ターゲット電子機器で再生するために必要な電力量Ppを取得する。一方、前記Psde及び前記Ppは、前記マルチメディアデータの復号化に対応してリアルタイムで取得される。
【0078】
一方、ソース電子機器200は、ターゲット電子機器300に送信されるマルチメディアデータを符号化し、マルチメディアデータの符号化を行うために必要な電力量Psenを取得する。前記Psen及び前記Ppは、前記マルチメディアデータの符号化に対応してリアルタイムに取得される。
【0079】
ステップ460において、ソース電子機器200は、生成された共振電力をマグネチックカップリングによってターゲット電子機器300に伝達する。ここで、ターゲット電子機器300に伝達される共振電力の電力量は、前記電力送信効率、前記Psde及び前記Ppによって決定される。また、ターゲット電子機器300に伝達される共振電力の電力量は、前記電力送信効率、前記Psen及び前記Ppによって決定される。
【0080】
ステップ470において、ソース電子機器200はマルチメディアデータを前記ターゲット電子機器に送信する。ターゲット電子機器300は、受信された共振電力を用いて前記マルチメディアデータを復号化し、前記復号化されたマルチメディアデータを再生する。
【0081】
ステップ480において、ソース電子機器200とターゲット電子機器300は、シグナリング信号を送受信することによって電力送信効率、消耗電力の変化などをシグナリングする。例えば、マルチメディアデータを再生する途中において、音消去機能が活性化された場合、又はディスプレイだけがターン−オフされた場合にターゲット電子機器300は、ソース電子機器200に消耗電力の減少を通知する。
【0082】
一方、前記ステップ410乃至ステップ430は、マルチメディアデータの送信中に周期的に行われ得る。従って、電力供給の較正は周期的に行われ得る。
【0083】
図5に明示していないが、ソース電子機器200は例えばリモートコントローラからターゲット電子機器を制御するための制御信号を受信し、制御信号をターゲット電子機器300に伝達する。例えば、ターゲット電子機器300がターンオフされている時に、リモートコントローラからターンオン信号を受信すると、ソース電子機器200は、ターゲット電子機器300をターンオンするための共振電力をターゲット電子機器300に送信する。ターゲット電子機器300に充電器が備えられている場合、ターゲット電子機器300はソース電子機器から制御信号を受信し、共振電力を受信することによってターンオンされる。
【0084】
図6は、他の実施形態に係る電子機器の電力供給方法を示す図である。
図6を参照すると、ソース電子機器200は、ステップ401及びステップ403において、ターゲット電子機器300に共振電力及びマルチメディアデータを送信する。ステップ401及びステップ403は実質的に同時に実行できる。ここで、ステップ403で送信されるマルチメディアデータはパケット化されて送信される。
図6に示すように、パケット化されたデータは、例えば、映像パケット1、映像パケット2、オーディオパケット1、及び電力送信量を含む。ここで、「電力送信量」は例えば、Poutの値である。また、「電力送信量」は映像パケット1、映像パケット2、及びオーディオパケット1をターゲット電子機器300で復号化及び再生するために必要な電力量を考慮して決定された値である。一方、映像データの処理に必要な電力量は、その時点に送信される映像パケットの特性に応じて変わり得る。従って、ステップ401で送信される共振電力の大きさはその時点に送信される映像パケットの特性に応じて調整され得る。
【0085】
ステップ405において、ターゲット電子機器300は、ターゲット共振部430によって受信された電力量をソース電子機器200に通知する。従って、ソース電子機器200は、電力送信効率をリアルタイムでモニタリングできる。
【0086】
図1を再度参照すると、電力供給システムのソース共振器115及び/又はターゲット共振器121は、ヘリックス(helix)コイル構造の共振器、又は、スパイラル(spiral)コイル構造の共振器、又はメタ構造の(meta−structured)共振器などの何れかから構成される。
【0087】
自然界に存在する多くの物質の電磁気的な特性は、各々固有の透磁率(permeability、μ(mu))及び誘電率(permittivity、ε(epsilon))で表わされる。大部分の物質は一般的に正の透磁率及び正の誘電率を有する。従って、このような物質に対しては電界、磁界、及びポインティングベクトルに対して右手法則が適用されるので、このような物質をRHM(Right Handed Material、右手系物質)という。
【0088】
一方、自然界に通常存在しない誘電率又は透磁率を有する物質又は人工的に設計された(即ち、人工の)物質はここではメタ物質(metamaterial)と称する。メタ物質は、誘電率又は透磁率の符号によってENG(epsilon negative、負のε)物質、MNG(mu negative、負のμ)物質、DNG(double negative、εとμが共に負)物質、NRI(negative refractive index、負の屈折率)物質、LH(left−handed、左手系)物質などに分類される。
【0089】
透磁率は当該物質で与えられた磁界(magnetic field)に対して発生する磁束密度(magnetic flux density)と真空中で同じ磁界に対して発生する磁束密度の比を意味する。そして、誘電率は、当該物質で与えられた電界(electric field)に対して発生する電気束密度(electric flux density)と真空中でその電界に対して発生する電束密度の比を意味する。透磁率及び誘電率は与えられた周波数又は波長における当該物質中の電波伝搬定数(propagation constant)を決定し、透磁率及び誘電率によってその物質の電磁気特性が決定される。一実施形態において、メタ物質は極めて大きい波長(wavelength)又は極めて低い周波数領域でも容易に(即ち、メタ物質からなる物体のサイズが大きく変化しなくても)共振状態に置かれ得る。
【0090】
図7は、一実施形態に係る2次元構造の共振器500を示す図である。
図7を参照すれば、一実施形態に係る2次元構造の共振器は、第1信号導体部分511、第2信号導体部分512、及びグラウンド導体部分513を含む送信線路、キャパシタ520、整合器530、並びに、導体541及び542を備える。
【0091】
図7に示すように、キャパシタ520は、送信線路の第1信号導体部分511と第2信号導体部分512との間に直列に挿入され、それによって電界はキャパシタ520に閉じ込められる。一般的に、送信線路は上部に少なくとも1つの導体、下部に少なくとも1つの導体を含み、上部にある導体を介して電流が流れ、下部にある導体は電気的にグラウンドされる。
【0092】
図7に示すように、本発明の一実施形態に係る共振器500は、2次元構造の形態を有する。送信線路は、上部に第1信号導体部分511及び第2信号導体部分512を含み、下部にグラウンド導体部分513を含む。第1信号導体部分511及び第2信号導体部分512とグラウンド導体部分513は互いに向かい合うように配置される。電流は第1信号導体部分511及び第2信号導体部分512を通じて流れる。
【0093】
また、
図7に示すように、第1信号導体部分511の一端は導体542と電気的に接続、即ち短絡され、他端はキャパシタ520と接続される。そして、第2信号導体部分512の一端は導体541と短絡され、他端はキャパシタ520と接続される。即ち、第1信号導体部分511、第2信号導体部分512、及びグラウンド導体部分513、導体541、542は互いに接続されることによって、共振器500は電気的に閉ループ(closed−loop)構造を有する。ここで「閉ループ構造」は、電気的に閉じている円形構造、四角形構造、又は多角形の構造などを含む。
【0094】
キャパシタ520は送信線路の中間部に挿入される。具体的に、キャパシタ520は第1信号導体部分511と第2信号導体部分512との間に挿入される。ここで、キャパシタ520は、集中型素子(lumped element)及び分布型素子(distributed element)の何れかの形態を有する。特に、分布型素子の形態を有する分布型キャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0095】
キャパシタ520が上記に記載されるように、送信線路に挿入されることによって共振器500はメタ物質の特性を有し得る。例えば、キャパシタ520のキャパシタンス値によっては、共振器500は負の透磁率を有し得る。その場合、本発明の一実施形態に係る共振器500は、負のμ(MNG)共振器と呼ばれる。後述するが、キャパシタ520のキャパシタンスを定める基準(criterion)は様々であり得る。例えば、共振器500がメタ物質の特性を有する基準は次の基準のうち1つ以上を含む。共振器500が対象周波数で負の透磁率を有する基準、又は共振器500が対象周波数で第ゼロ次共振(Zeroth−Order Resonance)の特性を有する基準などがある。
【0096】
MNG型の共振器500は、伝搬定数が0であるときの周波数を共振周波数として有する第ゼロ次共振の特性を有し得る。MNG共振器500が第ゼロ次共振特性を有する場合、共振周波数はMNG共振器500の物理的なサイズに対して独立的であり得る。即ち、下記で再び説明するが、MNG型の共振器500で共振周波数を変更するためにはキャパシタ520を適切に設計することで充分であるので、MNG型の共振器500の物理的なサイズの変更を要しない。
【0097】
また、近接フィールドにおいて、電界は送信線路に挿入されたキャパシタ520に集中するので、キャパシタ520によって近接フィールドでは磁界がドミナント(dominant、支配的)になる。そして、MNG共振器500は集中型素子のキャパシタ520を用いて高いQ−ファクター(Q−Factor)を有するので、電力送信効率を向上できる。参考に付言すると、Q−ファクターは、無線電力送信において、抵抗損失の程度、又は抵抗に対するリアクタンスの比を表わすので、Q−ファクターが大きいほど無線電力送信効率は大きい。
【0098】
また、MNG共振器500は、インピーダンス整合のための整合器530を備える。ここで、整合器530は、MNG共振器500の電磁界の強度を適切に調整でき、整合器530によってMNG共振器500のインピーダンスが決定される。そして、電流はコネクタ(640、例えば、下記の
図8を参照)を介してMNG共振器500に流入するか、又はMNG共振器500から流出する。ここで、前記コネクタはグラウンド導体部分513又は整合器530と接続される。ただし、コネクタとグラウンド導体部分513又は整合器530の間には物理的な連結が形成されるか、又は、前記コネクタとグラウンド導体部分513又は整合器530の間に物理的な連結なしでカップリングを介して電力が送信される。
【0099】
より具体的に、
図7に示すように、整合器530は、共振器500のループ構造によって形成されるループ内に位置してもよい。整合器530は、物理的な形態を変更することによって共振器500のインピーダンスを調整する。特に、整合器530は、グラウンド導体部分513から距離hだけ離れた位置にインピーダンス整合のための導体531を含み、共振器500のインピーダンスは距離hを調整することによって変更できる。
【0100】
例えば、整合器530を制御できるコントローラが存在する場合、整合器530はコントローラによって生成される制御信号に従い、その物理的な形態を変更する。例えば、制御信号に応じて整合器530の導体531とグラウンド導体部分513との間の距離hが増加又は減少する。コントローラは様々なファクターを考慮して制御信号を生成できる。
【0101】
整合器530は
図7に示すように、導体531のような受動素子で具現されるか、又は、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどのような能動素子で具現される。能動素子が整合器530に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号に応じて駆動され、その制御信号に応じて共振器500のインピーダンスが調整される。例えば、整合器530には能動素子の一種であるダイオードが含まれている場合、ダイオードが「on」又は「off」の状態であるかに応じて共振器500のインピーダンスが調整される。
【0102】
また、
図7に図示していないが、MNG共振器500を貫通するマグネチックコアをさらに含んでもよい。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加させる機能を行う。
【0103】
図8は一実施形態に係る3次元構造の共振器を示す図である。
図8を参照すれば、一実施形態に係る3次元構造の共振器600は、第1信号導体部分611、第2信号導体部分612、及びグラウンド導体部分613を含む送信線路、並びにキャパシタ620を含む。ここで、キャパシタ620は、送信線路で第1信号導体部分611と第2信号導体部分612との間の位置に直列に挿入され、電界はキャパシタ620に閉じ込められる。
【0104】
また、
図8に示すように、共振器600は3次元構造の形態を有する。送信線路路は、上部に第1信号導体部分611及び第2信号導体部分612を含み、下部にグラウンド導体部分613を含む。第1信号導体部分611及び第2信号導体部分612とグラウンド導体部分613は互いに向かい合うように配置される。このような整列で電流は、第1信号導体部分611及び第2信号導体部分612を通じてx方向に流れ、このような電流によって−y方向に磁界H(w)が発生する。しかし、他の実施形態では
図8に示すものとは相異なり異なる方向(例えば、+y方向)に磁界H(w)が発生する場合もある。
【0105】
また、
図8に示すように、第1信号導体部分611の一端は導体642と電気的に接続、即ち短絡され、他端はキャパシタ620と接続される。そして、第2信号導体部分612の一端は導体641と接続され、他端はキャパシタ620と接続される。このように第1信号導体部分611、第2信号導体部分612、及びグラウンド導体部分613、並びに、導体641及び642は互いに接続されることによって、共振器600は電気的に閉ループ構造を有する。
【0106】
また、
図8に示すように、キャパシタ620は、第1信号導体部分611と第2信号導体部分612との間に挿入される。ここで、キャパシタ620は、集中型素子及び分布型素子の何れかの形態を有する。特に、分布型素子の形態を有する分布型キャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0107】
図8に示すように、キャパシタ620が送信線路に挿入されることによって、上述のように共振器600はメタ物質の特性を有し得る。
集中型素子として挿入されたキャパシタ620のキャパシタンスが適切に決定される場合、共振器600はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ620のキャパシタンスを適切に調整することによって、共振器600が特定の周波数帯域において負の透磁率を有する場合、本発明の一実施形態に係る共振器600はMNG共振器と呼ばれる。
下記で説明するが、キャパシタ620のキャパシタンスを定める基準は様々であり得る。共振器600がメタ物質の特性を有する基準、共振器600が対象周波数で負の透磁率を有する基準、又は共振器600が対象周波数で第ゼロ次共振の特性を有する基準などがあり、上述した基準のうち少なくとも1つの基準の下でキャパシタ620のキャパシタンスを決定する。
【0108】
図8に示すように、MNG共振器600は、電波伝搬定数(propagation constant)が0であるときの周波数を共振周波数として有する第ゼロ次共振の特性を有し得る。このようにMNG共振器600が第ゼロ次共振の特性を有する場合、共振周波数はMNG共振器600の物理的なサイズに対して独立的であり得る。MNG共振器600で共振周波数を変更するためにはキャパシタ620を適切に設計することで充分であるので、MNG共振器600の物理的なサイズの変更を要しない。
【0109】
図8に示すように、MNG共振器600を参照すれば、近接フィールドにおいて、電界は送信線路610に挿入されたキャパシタ620に集中するので、キャパシタ620によって近接フィールドでは磁界がドミナントになる。特に、第ゼロ次共振の特性を有するMNG共振器600は磁気双極子(magnetic dipole)に類似の特性を有するので、近接フィールドでは磁界がドミナントになり、キャパシタ620の挿入により発生する比較的少量の電界はそのキャパシタ620に集中されるため、近接フィールドでは磁界が更に最もドミナントになる。MNG共振器600は集中型素子のキャパシタ620を用いて高いQ−ファクターを有するので、電力送信の効率を向上させることができる。
【0110】
また、
図8に示すように、MNG共振器600はインピーダンス整合のための整合器630を備える。ここで、整合器630は、MNG共振器600の電磁界の強度を適切に調整でき、整合器630によってMNG共振器600のインピーダンスが決定される。そして、電流はコネクタ640を介してMNG共振器600に流入するか、又は、MNG共振器600から流出する。ここで、コネクタ640はグラウンド導体部分613又は整合器630の何れかと接続される。
【0111】
より具体的に、
図8に示すように、整合器630は共振器600のループ構造によって形成されるループの内部に位置する。整合器630は物理的な形態を変更することによって共振器600のインピーダンスを調整する。特に、整合器630はグラウンド導体部分613から距離hだけ離隔された位置にインピーダンス整合のための導体部分631を含み、共振器600のインピーダンスは距離hを調整することによって変更され得る。
【0112】
図8には示していないが、整合器630を制御することのできるコントローラが存在する場合、整合器630はコントローラによって生成される制御信号に応じて整合器630の物理的な形態を変更できる。例えば、制御信号に応じて整合器630の導体631とグラウンド導体部分613との間の距離hが増加又は減少し、これにより整合器630の物理的な形態が変更されることで共振器600のインピーダンスが調整される。整合器630の導体631とグラウンド導体部分613との間の距離hは様々な方式で調整できる。即ち、第1に、整合器630には様々な導体が含まれてもよく、その導体のうちいずれか1つを適応的に活性化することによって距離hが調整され得る。第2に、導体631の物理的な位置を上下に調整することによって距離hが調整される。このような距離hはコントローラの制御信号に応じて制御でき、コントローラは様々なファクターを考慮して制御信号を生成できる。コントローラによる制御信号の生成については下記で説明する。
【0113】
整合器630は、
図8に示すように、導体部分631のような受動素子で具現されるか、又は、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどの能動素子で具現される。能動素子が整合器630に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号に応じて駆動でき、その制御信号に応じて共振器600のインピーダンスを調整する。例えば、整合器630に能動素子の一種であるダイオードが含まれる場合、ダイオードが「on」又は「off」の状態であるかに応じて共振器600のインピーダンスが調整される。
【0114】
また、
図8には明示していないが、MNG共振器600を貫通するマグネチックコアをさらに含み得る。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加する機能を行う。
【0115】
図9は、一実施形態に係るバルキー型(bulky type)に設計された無線電力送信のための共振器700の例を示す図である。
以下では、別途の継ぎ目なしで一体型に2以上の部分(partition)を互いに接続する類型を「バルキー型」と呼ぶ。
【0116】
図9を参照すれば、第1信号導体部分711と導体742は個別的に製造された後、互いに接続されるのではなく、一体型に製造される。同様に、第2信号導体部分712と導体741も一体型に製造される。
【0117】
仮に、例えば、第2信号導体部分712と導体741とが個別的に製造された後互いに接続される場合、継ぎ目750には導体損失が発生し得る。ここで、本発明の実施形態によれば、第2信号導体部分712と導体741は別途の継ぎ目なしで(seamless)互いに接続され、導体741とグラウンド導体部分713も別途の継ぎ目なしで互いに接続されるので、継ぎ目による導体損失を低減できる。即ち、第2信号導体部分712とグラウンド導体部分713は別途の継ぎ目なしで一体型に製造される。同様に、第1信号導体部分711と、導体742と、グラウンド導体部分713とは別途の継ぎ目なしで1つの一体型に製造される。
【0118】
整合器730は本明細書で説明される1つ以上の実施形態と類似に構成されて提供される。
【0119】
図10は、一実施形態に係る中空型(hollow type)に設計された無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
図10を参照すれば、中空型に設計された無線電力送信のための共振器800の第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842各々は内部に空いている空間を含む。ここで、「中空型」は内部に空き空間を含む構造を意味する用語として使用される。
【0120】
与えられた共振周波数において、有効電流は第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842各々の全ての部分を介して流れることなく、一部の部分(表皮厚部分)のみを介して流れるものとモデリングできる。即ち、与えられた共振周波において、第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842の厚さが各々の表皮厚(skin depth)よりも過度に厚いことは効率的ではない。即ち、それは共振器800の重量又は共振器800の製造費用を増加させる原因になり得る。
【0121】
従って、本発明の実施形態によれば、与えられた共振周波数において、第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842各々の表皮厚に基づいて第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842各々の厚さを適切に決定する。第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842各々が該当の表皮厚よりも僅かに大きい適切な厚さを有する場合、共振器800は軽くなり、共振器800の製造費用も削減できる。
【0122】
例えば、
図10に示すように、中空の第2信号導体部分812の外殻部(円で囲んだ領域960の拡大図に示す)の厚さはd(m)に決定してもよく、dは式(4)、
【数4】
によって決定される。ここで、fは周波数、μは透磁率、σは導体定数を表す。特に、第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、グラウンド導体部分813、導体841、842が銅(copper)として5.8x10^7の導電率σを有する場合、共振周波数が10kHzについては表皮厚dが約0.6mmとなり、共振周波数が100MHzについては表皮厚dは0.006mmである。
【0123】
キャパシタ820及び整合器830は上記で説明した1つ以上の実施形態と類似な構成で提供される。
【0124】
図11は、パラレルシート(parallel−sheet)が適用された無線電力送信のための共振器の例を示す図である。
図11を参照すれば、パラレルシートが適用された無線電力送信のための共振器に含まれた第1信号導体部分911、第2信号導体部分912各々の表面にはパラレルシートが適用される。
【0125】
第1信号導体部分911、第2信号導体部分912は完ぺきな導体ではないので、抵抗成分を有し、その抵抗成分によって抵抗損失が発生する場合がある。このような抵抗損失はQファクターを低下し、カップリング効率を低下する。
【0126】
本発明の一実施形態によると、第1信号導体部分911、第2信号導体部分912各々の表面にパラレルシートを適用することによって抵抗損失を削減し、Qファクター及びカップリングの効率を増加できる。
図11の円によって表示される部分970の拡大図を参照すれば、パラレルシートが適用される場合、第1信号導体部分911、第2信号導体部分912各々は複数の導体ラインを含む。この導体ラインは並列的に配置され、第1信号導体部分911、第2信号導体部分912各々の先端の部分で互いに接続(短絡)される。
【0127】
第1信号導体部分911、第2信号導体部分912各々の表面にパラレルシートを適用する場合、導体ラインが並列的に配置されるので、導体ラインが有する抵抗成分の合計は減少する。従って、抵抗損失を減らし、Qファクター及びカップリング効率を増加できる。
【0128】
キャパシタ920及び整合器930は本明細書でで説明される1つ以上の実施形態と類似の構成で提供され得る。
【0129】
図12は、一実施形態に係る分布型キャパシタを含む無線電力送信のための共振器1000の例を示す図である。
図12を参照すれば、無線電力送信のための共振器に含まれるキャパシタ1020は分布型キャパシタである。集中型素子としてのキャパシタは相対的に高い等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)を有し得る。集中素子としてのキャパシタが有するESRを減らすための様々な提案があるものの、本発明の実施形態は分布型素子としてのキャパシタ1020を用いることによってESRを低減する。参考に、ESRによる損失はQファクター及びカップリング効率を低下する。
【0130】
分布型素子としてのキャパシタ1020は、
図12に示すように、ジグザグ構造の導体ライン及び誘電体で実現される。
【0131】
それだけではなく、
図12に示すように、本発明の実施形態は分布型素子としてのキャパシタ1020を用いることによって、ESRによる損失を低減でき、複数の集中素子としてのキャパシタを並列的に用いることによってESRによる損失を低減できる。なぜなら、集中型素子としてのキャパシタ各々が有する抵抗成分は並列接続によって小さくなるので、並列的に接続された集中型素子としてのキャパシタの有効抵抗も小さくなり、従って、ESRによる損失を低減できる。例えば、10pFのキャパシタ1つを用いることを1pFのキャパシタ10個を用いるもので代替することによってESRによる損失を低減できる場合がある。
【0132】
図13は
図7に示す2次元構造の共振器500で用いられる整合器530の一例を示し、
図14は
図8に示す3次元構造の共振器600で用いられる整合器630の一例を示す。
【0133】
図13は整合器530を含む
図7に示した2次元共振器の一部を示し、
図14は整合器630を含む
図8に示した3次元共振器の一部を示す。
【0134】
図13を参照すると、整合器530は、導体531、導体532、及び導体533を含み、導体532及び導体533は送信線路のグラウンド導体部分513及び導体531と接続される。導体531とグラウンド導体部分513との間の距離hにより2次元共振器のインピーダンスが決定され、導体531とグラウンド導体部分513との間の距離hはコントローラによって制御される。導体531とグラウンド導体部分513との間の距離hは様々な方式で調整でき、導体531になり得る様々な導体のいずれか1つを適応的に活性化することによって距離hを調整する方式、導体531の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがある。
【0135】
図14を参照すれば、整合器は、導体631、導体632及び導体633を備え、導体632及び導体633は送信線路のグラウンド導体部分613及び導体631と接続される。導体631とグラウンド導体部分613との間の距離hにより3次元共振器のインピーダンスは決定され、導体631とグラウンド導体部分613との間の距離hはコントローラによって制御される。2次元構造の共振器に含まれる整合器530と同様に、3次元構造の共振器に含まれる整合器でも導体631とグラウンド導体部分613との間の距離hは様々な方式で調整できる。例えば、導体631になり得る様々な導体のいずれか1つを適応的に活性化することによって距離hを調整する方式、導体631の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがあり得る。
【0136】
一実施形態において、整合器は能動素子を含んでもよく、能動素子を用いて共振器のインピーダンスを調整する方式は上述した内容に類似する。即ち、能動素子を用いて整合器を通じて流れる電流の経路を変更することによって、共振器のインピーダンスを調整できる。
【0137】
図15は、
図7に示した無線電力送信のための共振器500の等価回路を示す図である。
図7に示された無線電力送信のための共振器500は、
図15に示した等価回路でモデリングされる。
図15に示す等価回路でC
Lは
図7に示す送信線路の中部に集中素子の形態に挿入されたキャパシタ520を示し、L
Rは電力送信ラインのインダクタンスを示し、C
Rは電力送信ライン及び/又はグラウンド間のキャパシタンスを示す。
【0138】
例えば、
図7に示す無線電力送信のための共振器500は第ゼロ次共振特性を有する。即ち、電波伝搬定数が0である場合、無線電力送信のための共振器500は ω
MZR を共振周波数として有すると仮定する。ここで共振周波数 ω
MZR は下記の式(5)のように表す。ここで、MZRは「Mu Zero Resonator」(μゼロ共振器)を意味する。
【数5】
【0139】
式(5)を参照すれば、共振器500の共振周波数 ω
MZR は L
R/C
L によって決定され、共振周波数 ω
MZR と共振器500の物理的なサイズは互いに独立的であることが分かる。従って、共振周波数 ω
MZR と共振器500の物理的なサイズが互いに独立的であるので、共振器500の物理的なサイズは十分に小さくなり得る。
【0140】
本発明の一実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行できるプログラム命令の形態で実現され、かかるプログラム命令は、コンピュータ読み出し可能媒体に記録され得る。前記コンピュータ読み出し可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合わせたものを含み得る。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計して構成されたものか、又は、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知、且つ使用可能なものである。
【0141】
以上のように本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0142】
従って、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものによって定められる。