(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主電力が遮断されたことを前記電力低下検出器によって検出した直後から、前記圧力検出部によって検出される前記容器内の気体の圧力が前記圧力記憶部によって記憶されるようになる、請求項5に記載のガスレーザ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係るレーザガス交換方法では、レーザガスが一定の周期で交換されるので、レーザガスを交換する必要がないときにもレーザガスが交換されることになる。したがって、レーザガスの消費量が増大し、ガスレーザ装置の運用コストが増大する。また、レーザガスの交換が完了するまでの間、ガスレーザ装置を待機させる必要があるので、ガスレーザ装置の起動時間が長くなる傾向にある。また、特許文献2に開示されるガスレーザ装置では、ガスレーザ装置の起動工程を効率化する点については何ら考慮されていない。
【0007】
したがって、レーザガスの交換を必要に応じて実行し、それにより起動時間を短縮するとともにレーザガスの消費量を削減できるガスレーザ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の1番目に係る発明によれば、レーザガスが封入された容器と、レーザガスを励起媒体としてレーザ光を発振するレーザ発振器と、を備えるガスレーザ装置において、前記容器内の気体の圧力を検出する圧力検出部と、前記容器内の気体を排出する排気部と、レーザガスを前記容器内に供給する給気部と、電源が遮断されても記憶情報を保持するように構成されていて前記圧力検出部によって検出される前記圧力を記憶する圧力記憶部と、前記圧力記憶部によって記憶された、当該ガスレーザ装置が急停止したときの前記容器内の気体の圧力と、前記圧力検出部によって検出される、急停止後に当該ガスレーザ装置を再起動するときの前記容器内の気体の圧力と、を比較する比較部と、前記比較部による比較結果に従って、前記容器内の気体の排出と、前記レーザガスの前記容器内への供給と、を実行すべきか否かを判定する判定部と、を備えた、ガスレーザ装置が提供される。
本願の2番目に係る発明によれば、1番目の発明に係るガスレーザ装置において、前記判定部は、前記比較部による比較結果に従って、前記
容器内の気体を排出する排気工程における前記容器内のレーザガスの圧力目標値と、排気回数と、排気時間と、のうちの少なくともいずれか1つを決定するように構成される。
本願の3番目に係る発明によれば、1番目又は2番目の発明に係るガスレーザ装置において、前記圧力記憶部が、前記容器内の気体の圧力を周期的に記憶するように構成される。
本願の4番目に係る発明によれば、1番目又は2番目の発明に係るガスレーザ装置において、当該ガスレーザ装置に対して供給される主電力が遮断されたときに前記圧力検出部に対して予備電力を供給する予備電源装置をさらに備え、前記圧力検出部が、前記主電力が遮断された直後に前記容器内の気体の圧力を検出するように構成される。
本願の5番目に係る発明によれば、4番目の発明に係るガスレーザ装置において、前記主電力が低下したことを検出する電力低下検出器をさらに備えており、前記電力低下検出器は、当該ガスレーザ装置に供給される電力、電流及び電圧のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、前記主電力が遮断されたことを検出するように構成される。
本願の6番目に係る発明によれば、5番目の発目に係るガスレーザ装置において、前記主電力が遮断されたことを前記電力低下検出器によって検出した直後から、前記圧力検出部によって検出される前記容器内の気体の圧力が前記圧力記憶部によって記憶されるようになる。
【0009】
これら及び他の本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面に表わされる本発明の例示的な実施形態の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示内容に従って上記構成を備えたガスレーザ装置によれば、ガスレーザ装置が急停止したときに記憶された圧力と、その後にガスレーザ装置が起動されるときに検出される圧力と、を比較し、その比較結果に従って、レーザガスの交換工程を実行すべきか否かが決定される。レーザガスの交換工程が必要に応じて実行されるようになるので、ガスレーザ装置の起動時間を短縮できる。また、レーザガスの消費量を削減でき、ガスレーザ装置の運用コストを削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図示される実施形態の構成要素の縮尺は、本発明の理解を助けるために適宜変更されている。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係るガスレーザ装置10の構成を示す図である。ガスレーザ装置10は、レーザガス、例えば二酸化炭素を主成分とする気体を励起媒体としてレーザ光を発生させるレーザ発振装置である。ガスレーザ装置10によって発生されるレーザ光は、ワークの加工、例えば切断、穿孔、溶接などの用途に使用される。
【0014】
本実施形態に係るガスレーザ装置10は、レーザガスを内部空間に封入するように概ね密閉された容器12を備えている。容器12は、
図1に示されるように、レーザガスを循環させられるように循環経路を形成している。この循環経路には、送風機14及び熱交換器16a,16bがそれぞれ設けられている。送風機14は、容器12内におけるレーザガスの循環作用をもたらす。熱交換器16a,16bには、冷媒、例えば水が循環するようになっている。熱交換器16a,16bは、容器12内を循環するレーザガスとの間で熱交換し、レーザガスを冷却する作用を有する。
図1には、レーザガスの移動経路が複数の実線の矢印によって表されている。
【0015】
ガスレーザ装置10の容器12は、排気管18を介して排気装置20に接続されている。排気装置20は、真空ポンプなどの負圧発生器を備えており、容器12内の気体を外部の系に排出する作用を有する。また、容器12には、図示されないレーザガスタンクに収容されたレーザガスを容器12内に供給する作用を有する給気装置22が、給気管24を介して接続されている。
【0016】
さらに、ガスレーザ装置10は、レーザガスを励起する励起装置26と、ガスレーザ装置10を制御する制御装置30と、を備えている。制御装置30は、励起装置26に印加される電力を制御する。また、制御装置30は、後述する圧力センサ40と協働して取得する容器12内の圧力状態に応じて排気装置20及び給気装置22を制御する。制御装置30は、制御プログラムを記憶するROM、各種演算処理を実行するCPU、CPUによる演算結果を一時的に記憶するRAM、及び不揮発性記憶装置などのハードウェア構成を備えている。
【0017】
励起装置26は、一対の電極を有する放電管28と、放電管28に電力を供給するレーザ電源32と、をさらに備えている。放電管28は、レーザ電源32から高周波電力が印加されたときに電極間において放電し、容器12内のレーザガスを励起する。1つの放電管28が図示されているものの、複数の放電管28が使用されてもよい。放電管28によって励起されたレーザガスから発生されるレーザ光は、部分透過性を有するリア鏡34及び出力鏡36によって増幅された後、出力鏡36を通って外部に放出されるようになっている。
図1において容器12内に描かれた破線は、出力鏡36を通って放出されるレーザ光の経路を表している。
【0018】
レーザ光の出力効率は、レーザガスの純度に応じて定まることが分かっている。したがって、本実施形態に係るガスレーザ装置10は、容器12内のレーザガスの純度をモニタするために圧力センサ40を備えている。例えば周囲雰囲気の気体が容器12内のレーザガスに混入した場合、容器12内に侵入した気体の分だけ容器12内の圧力が上昇する。したがって、容器12内の気体の圧力をモニタすることによって、レーザガスの純度の変化を間接的に検出することができる。
【0019】
図2は、本実施形態に係るガスレーザ装置10の制御装置30の機能ブロック図である。制御装置30は、圧力検出部50と、圧力記憶部52と、比較部54と、判定部56と、給気部58と、排気部60と、を備えている。
【0020】
圧力検出部50は、圧力センサ40(
図1参照)と協働して容器12内の気体の圧力を検出する作用を有する。圧力検出部50によって取得された圧力値は、圧力記憶部52及び比較部54に出力される。
【0021】
圧力記憶部52は、制御装置30の不揮発性記憶装置と協働して圧力検出部50によって取得された圧力値を記憶する作用を有する。したがって、圧力記憶部52によって記憶される圧力値は、ガスレーザ装置10に供給される電力が遮断されても保持されるようになっている。不揮発性記憶装置は、例えばフラッシュメモリ、又は電池を内蔵したSRAMなどであるものの、特に限定されない。
【0022】
比較部54は、圧力記憶部52に記憶された圧力値と、圧力検出部50によって取得された圧力値と、を比較する作用を有する。比較部54は、例えば圧力検出部50によって取得された圧力値から、圧力記憶部52に記憶された圧力値を減算し、その減算の結果として得られる圧力差を判定部56に出力する。
【0023】
判定部56は、比較部54による比較結果に従って、容器12内の気体を外部に排出するか否かと、レーザガスを容器12内に供給するか否かと、を判定する作用を有する。例えば、判定部56は、比較部54によって計算された圧力差と、予め定められる閾値とを比較する。そして、圧力差が閾値よりも大きいときには、判定部56は、レーザガスの交換が必要であると判定し、それに従って排気工程が実行される。また、圧力差が閾値よりも小さいときには、判定部56は、レーザガスの交換は不要であると判定する。
【0024】
給気部58は、給気装置22と協働してレーザガスを容器12内に供給する作用を有する。例えば、給気部58は、給気工程の際に制御装置30の判定部56からの信号に応答して、給気装置22を起動するとともに、給気弁(図示せず)を開放する。
【0025】
排気部60は、排気装置20と協働して容器12内の気体を外部に排出する作用を有する。例えば、排気部60は、排気工程の際に制御装置30の判定部56からの信号に応答して、排気装置20を起動するとともに、排気弁(図示せず)を開放する。
【0026】
判定部56は、比較部54による比較結果に従って、排気
工程の実行態様を決定するように構成されてもよい。例えば、判定部56は、排気工程における圧力目標値を決定するように構成されうる。この場合、排気装置20による排気工程は、圧力センサ40によって検出される容器12内の圧力が、圧力目標値に到達するまで継続されるようになる。
【0027】
また、判定部56は、比較部54による比較結果に従って、排気回数を決定するように構成されてもよい。さらに、判定部56は、比較部54による比較結果に従って、排気時間を設定するように構成されてもよい。すなわち、所定の圧力目標値が実現されるまで排気工程を継続して実行してもよいし、所定の排気時間ごとに複数回に分けて排気工程を実行してもよい。
【0028】
また、判定部56は、予め設定された複数の圧力目標値、複数の排気回数、及び複数の排気時間のうちから、所定の圧力目標値、排気回数、及び排気時間を、比較部54による比較結果に従って選択できるように構成されていてもよい。
【0029】
図3A及び
図3Bは、本実施形態に係るガスレーザ装置10を起動する起動工程を説明するためのグラフである。
図3Aは、判定部56によってレーザガスを交換する必要があると判定された場合に対応する。他方、
図3Bは、判定部56によってレーザガスを交換する必要がないと判定された場合に対応する。
図3A及び
図3Bの横軸は時間経過を表しており、縦軸は容器12内の気体の圧力の変化を表している。
【0030】
図3Aに示される例において、ガスレーザ装置10は、時間T0の時点で通常運転の状態にあり、レーザ光を発振している。したがって、時間T0における圧力P1は、レーザ発振中の容器12内の圧力を表している。例えば、圧力P1は、レーザ光を発振するのに最適な圧力である。そして、ガスレーザ装置10は時間T1において急停止する。ガスレーザ装置10の急停止は、電源が不意に遮断されることによって発生しうる。ガスレーザ装置10の急停止は、例えば停電又は誤操作によって引き起こされる。
【0031】
ガスレーザ装置10が急停止した後、ガスレーザ装置10の起動工程を開始する時間をT2とする。ガスレーザ装置10が停止している間、排気弁及び給気弁などの各種弁はすべて閉塞されているものの、時間T1から時間T2までの経過時間、すなわちガスレーザ装置10の停止時間が長くなるのに従って、ガスレーザ装置10の容器12内に周囲雰囲気の気体が侵入する量が徐々に増大する。したがって、
図3Aに示されるように、時間T1から時間T2にわたって、容器12内の圧力が徐々に増大し、時間T2において容器12内の圧力がP2に達する(P2>P1)。
【0032】
前述したように、制御装置30の比較部54は、急停止時の圧力P1と、再起動時の圧力P2との間の圧力差(ΔP=P2−P1)を計算する。そして、判定部56は、比較部54によって取得された圧力差ΔPを所定の閾値と比較する。
【0033】
図3Aに示される例の場合、ガスレーザ装置10の停止時間が長く、圧力差ΔPが閾値を超えている。したがって、判定部56は、レーザガスの交換が必要であると判定する。本実施形態において、排気工程は、圧力センサ40によって検出される圧力値をモニタしながら、容器12内の圧力が所定の圧力P0(圧力目標値)に到達するまで、すなわち時間T3まで実行される。
図3Aの例では、判定部56によって決定される排気時間が、時間T2から時間T3までの時間よりも長い。したがって、1回の排気工程で圧力目標値P0まで減圧される。
【0034】
排気工程完了後、給気装置22が起動され、容器12内の圧力が急停止時の圧力P1に復帰するまで、すなわち時間T4までレーザガスが容器12内に供給される。したがって、この場合、起動工程を開始してから実際にレーザを発振できる状態に移行するまでの時間は、時間T2から時間T4までの経過時間に対応する。なお、判定部56は、給気工程における給気時間及び給気回数を決定する作用を有していてもよい。
【0035】
図3Aの例とは異なり、
図3Bに示される例では、ガスレーザ装置10が急停止されてから比較的短時間で起動工程が開始される。すなわち、時間T1から起動工程を開始する時間T2’までの経過時間が比較的短い。したがって、時間T2’における容器12内の圧力P2’は、急停止時の圧力P1と比較しても顕著な差を有しない。したがって、この場合、制御装置30の判定部56は、レーザガスの交換が不要であると判定する。
【0036】
レーザガスの交換が不要である場合、本実施形態によれば、排気工程及び給気工程の少なくともいずれか一方が実行され、容器12内の圧力が急停止時の圧力P1に一致するよう調整される。そして、容器12内の圧力が圧力P1に再び到達する時間T4’において起動工程が完了し、レーザを発振可能な状態に移行する。したがって、この場合、時間T2’から時間T4’までの経過時間が起動工程に要する時間に相当する。
図3Aの例と比較すれば分かるように、起動工程に要する時間が顕著に短縮される。また、レーザガスを交換する場合に比べて容器12から排出されるレーザガスの量を最小限に抑制できるので、レーザガスの消費量を削減できる。
【0037】
なお、急停止から起動開始までに要する時間が極めて短く、起動時の圧力P2’が急停止時の圧力P1から変化していないとみなせる場合、容器12内の圧力を調整する調整工程を省略してもよい。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係るガスレーザ装置を起動する起動工程の流れを示すフローチャートである。
図4の起動工程は、
図3A及び
図3Bを参照して前述したように、ガスレーザ装置10が急停止した後に実行される。本明細書においてフローチャートを参照して説明する各種処理の流れは一例であり、必ずしも図示又は説明される順番に処理が実行される必要はないことに留意されたい。したがって、「次に」、「次いで」などの記載は便宜上使用されるものであって、本発明を限定することを意図したものではない。
【0039】
ガスレーザ装置10に対する電源が復旧し、制御装置30が起動開始信号を受信すると、その時点での容器12内の気体の圧力が圧力検出部50によって検出される(ステップS11)。ステップS11は、ガスレーザ装置10が急停止したときの状態を再現して実行されるのが好ましい。例えば送風機14を作動させた状態でステップS11が実行される。
【0040】
ステップS12において、予め記憶しておいた急停止時の容器12内の気体の圧力を圧力記憶部52から読み出す。次いで、ステップS11で取得された起動時の圧力と、ステップS12で読み出された急停止時の圧力と、の間の圧力差が比較部54によって計算される(ステップS13)。ステップS13で算出された圧力差は判定部56に出力され、ステップS14において所定の閾値と比較される。ステップS14において、圧力差が閾値よりも大きいと判定された場合、すなわちレーザガスの交換が必要であると判定された場合、ステップS15に進む。他方、圧力差が閾値以下であると判定された場合、ステップS15をバイパスしてステップS16に進む。
【0041】
ステップS15では、
図3Aを参照して前述したように、容器12内の気体圧力が所定の圧力目標値(例えば圧力P0)に到達するまで容器12内の気体が排気装置20によって外部に排出される。
【0042】
ステップS16では、容器12内の気体の圧力が急停止時の圧力(
図3A及び
図3Bの圧力P1)に到達するまでレーザガスの量を調整する。レーザガスの量の調整は、給気装置22及び排気装置20を適宜作動させることによって実行される。レーザガス量の調整が完了すると、放電管28によるレーザガスの励起が可能な状態になり、起動工程が完了する。
【0043】
図5は、第1の実施形態に係るガスレーザ装置10において、急停止時の気体圧力を取得する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、放電工程を開始してから終了させるまでの過程を表している。放電工程が開始されると、レーザ電源32から放電管28に電力が印加される(ステップS21)。次いで、ステップS22において、容器12内の気体の圧力が圧力検出部50によって検出される。
【0044】
ステップS22において取得された圧力値は、制御装置30の不揮発性記憶装置、例えば電池を内蔵したSRAMに記憶される(ステップS23)。したがって、ステップS23において記憶された圧力値は、制御装置30に対する電源が遮断されても消去されることなく保持されるようになっている。
【0045】
次いで、ステップS24において、放電停止指令が入力されたか否かが判定される。放電停止指令は、例えばレーザ加工が終了したときなど、レーザ光の使用が完了した場合に入力される信号である。そして、放電停止指令が入力された場合、ステップS25に進み、放電工程を終了してガスレーザ装置10を停止させる。他方、ステップS24において放電停止指令が入力されていないと判定された場合は、ステップS22に戻り、ステップS22〜S24の処理が繰返される。これら処理が繰返される間に、制御装置30に対する電源が遮断されるなどによりガスレーザ装置10が急停止しても、ステップS23において記憶された圧力値は消去されることなく保持される。
【0046】
このように、本実施形態においては、ガスレーザ装置10が通常運転している間に、容器12内の気体圧力が周期的に検出され、不揮発性記憶装置に記憶される。そして、ガスレーザ装置10を再起動する場合には、ガスレーザ装置10が急停止した直前に検出された圧力値が、前述した比較部54における比較処理において使用される。
【0047】
図6は、第2の実施形態に係るガスレーザ装置10の構成を示す図である。本実施形態のガスレーザ装置10は、第1の実施形態に関連して前述した構成に加えて、予備電源装置70と、電力低下検出器72と、をさらに備えている。予備電源装置70は、ガスレーザ装置10の運転に通常使用される主電力を供給する主電源(図示せず)が停電又は誤操作などの原因によって遮断されたときに、制御装置30に予備電力を供給する作用を有する。予備電源装置70は、例えば任意の公知のタイプの蓄電装置である。
【0048】
電力低下検出器72は、ガスレーザ装置10に印加される電力の低下を検出する作用を有しており、それにより、主電源が遮断されたことを検出できるようになっている。電力低下検出器72は、主電源から供給される電力、電流及び電圧のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、主電力の低下を検出するように構成される。なお、「電力、電流及び電圧のうちの少なくともいずれか1つに基づいて」とは、電力、電流又は電圧の検出値を直接用いる場合のみならず、それら検出値から導出される任意のパラメータを用いる場合を含むことが意図されている。
【0049】
図7は、第2の実施形態に係るガスレーザ装置10において、急停止時の気体圧力を取得する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、放電工程が開始されてからガスレーザ装置10を急停止させ、その直後に急停止時における容器12内の気体の圧力を検出するまでの過程を表している。放電工程が開始されると、レーザ電源32から放電管28に電力が印加される(ステップS31)。次いで、ステップS32において、電力低下検出器72がガスレーザ装置10に対する電力低下を検出したか否かが判定される。
【0050】
ステップS32において電力の低下が検出されていないと判定された場合は、放電工程が継続される。他方、電力の低下が検出された場合は、ステップS33に進み、ガスレーザ装置10を急停止させる。
【0051】
次いで、ステップS34において、予備電源装置70が起動されて予備電源に切替わり、予備電源装置70から制御装置30に対して電力が供給されるようになる。続いて、ステップS35において、制御装置30の圧力検出部50が容器12内の気体の圧力を検出する。ステップS35において取得された圧力値は、急停止時の圧力値として、ステップS36において制御装置30の不揮発性記憶装置に記憶される。ステップS36において記憶された急停止時の気体圧力は、比較部54においてその後の起動時の気体圧力と比較するのに使用される。
【0052】
このように、本実施形態によれば、予備電源装置70を利用することによって、ガスレーザ装置10を急停止させる原因が生じたその直後に、容器12内の気体圧力が検出されるとともに、得られた検出値が不揮発性記憶装置に記憶されるようになる。したがって、容器12内の気体圧力を周期的に検出して不揮発性記憶装置に記憶させる必要がないので、制御装置30の処理負担が軽減される。
【0053】
以上、本発明の種々の実施形態及び変形例を説明したが、他の実施形態及び変形例によっても本発明の意図される作用効果を奏することができることは当業者に自明である。特に、本発明の範囲を逸脱することなく前述した実施形態及び変形例の構成要素を削除ないし置換することが可能であるし、公知の手段をさらに付加することが可能である。また、本明細書において明示的又は暗示的に開示される複数の実施形態の特徴を任意に組合せることによっても本発明を実施できることは当業者に自明である。