(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855706
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】回転テーブルを備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20160120BHJP
B23Q 16/10 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23Q16/10 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-123675(P2014-123675)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-2613(P2016-2613A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2015年6月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 卓真
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】手塚 博樹
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−063651(JP,A)
【文献】
特開平04−063661(JP,A)
【文献】
特開2007−007735(JP,A)
【文献】
特開2014−030864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00−23/00
B23Q 16/00−16/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物を取り付ける回転テーブルと、該回転テーブルを駆動するモータと、前記回転テーブルの回転をクランプするクランプ機構と、該クランプ機構によるクランプ動作を解除するアンクランプ指令から次の指令を指令可能とするまでの時間を設定時間として設定するタイマと、を備えた工作機械において、
前記モータの出力軸の負荷を測定する負荷測定手段と、
前記回転テーブルの基準負荷を予め記憶する基準負荷記憶手段と、
前記回転テーブルのアンクランプ指令が出力され、前記タイマで設定された設定時間経過後に前記回転テーブルを回転させた際の負荷を暫定負荷として測定し、記憶する暫定負荷記憶手段と、
前記基準負荷と前記暫定負荷とを比較する負荷比較手段と、
前記負荷比較手段による比較の結果、前記暫定負荷が前記基準負荷を超えた場合、前記タイマの設定時間を長くする変更を行うタイマ変更手段と、を有することを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記基準負荷記憶手段は、前記アンクランプ指令が出力されてから、確実にアンクランプ状態となる所定の時間が経過した後の期間における、前記回転テーブルの回転中の負荷を測定し、該測定した負荷の最大値を記憶する事を特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記暫定負荷記憶手段は、前記タイマで設定された設定時間経過後の期間における、前記回転テーブルの回転中の負荷を測定し、該測定した負荷の最大値を記憶する事を特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
加工物を取り付ける回転テーブルと、該回転テーブルを駆動するモータと、前記回転テーブルの回転をクランプするクランプ機構と、該クランプ機構によるクランプ動作を解除するアンクランプ指令から次の指令を指令可能とするまでの時間を設定時間として設定するタイマと、を備えた工作機械において、
前記モータの出力軸の負荷を測定する負荷測定手段と、
回転動作中の負荷の最大値を、前記回転テーブルの基準負荷として予め記憶する基準負荷記憶手段と、
前記回転テーブルのアンクランプ指令が出力され、前記タイマで設定された設定時間経過後に前記回転テーブルを回転させた際の負荷を暫定負荷として測定し、記憶する暫定負荷記憶手段と、
前記基準負荷と前記暫定負荷とを比較する負荷比較手段と、
前記負荷比較手段による比較の結果、前記暫定負荷が前記基準負荷の所定の割合倍を超えた場合、前記タイマの設定時間を長くする変更を行うタイマ変更手段と、を有することを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルを備えた、マシニングセンタ等の工作機械に関し、特に回転テーブルのクランプ機構におけるアンクランプタイマを自動的に最適設定する機能を有する工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械において、インデックステーブルなどの回転テーブルが広く用いられるようになっている。特に工作機械におけるワークの割出動作を行うための各種の割出機構(一例として、タレット刃物台のサーボモータを用いた割出機構)等においては、旋回割出の後にその位置が固定されるようにクランプ機構が使用される。このようなクランプ機構において、信頼性の高い割出動作を行うためには、モータや制御だけでなく、クランプ機構も重要な要素となっている。このようなクランプ機構において、旋回割出の後に再度の旋回割出を行うときには、クランプ機構をアンクランプした後に旋回動作を行わせる。
【0003】
このような回転テーブルにおけるクランプ機構としては、空気圧や油圧で動作するものが一般的である。このようなクランプ機構においては、アンクランプが完全に行われてから、次の指令を行う必要がある。そのため、アンクランプが完全に行われたかどうかの確認を行う必要がある。アンクランプ完了の確認は、従来、専用のセンサを用いて行ったり、アンクランプの指令を行ってから所定の時間が経過した後に、アンクランプ動作が完了したものと判断して行っていた。
【0004】
特許文献1には、工作機械における主軸に対し、クランプばねの付勢力により工具を固着したり解除したりする機構において、クランプばねの劣化の状態を検出する検出装置についての技術が開示されている。
特許文献2には、工作機械のクランプ機構における旋回部材の旋回方向の位置を位置検出手段によって検出することによって、固定部材がアンクランプ状態となったことを判定するアンクランプ確認手段についての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−17830号公報
【特許文献2】特許第4923448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のアンクランプ確認用の専用のセンサを設ける場合や、特許文献1及び2に開示されている技術などの、なんらかのセンサを用いてアンクランプ動作を確認する場合は、確実なアンクランプ動作の確認は行うことができるものの、センサの調整に困難が生じたり、センサを別途設ける必要があるため、コストが上がるおそれがある。
【0007】
アンクランプの指令を行ってから所定の時間が経過した後に、アンクランプ動作が完了したものと判断する場合においては、数値制御装置等からアンクランプ指令が出されてから機械的にアンクランプが行われるまでにかかる時間を想定して、その時間が経過後にアンクランプが完了したものとしている。そして、そのアンクランプが完了するまでの期間をタイマ構造として、アンクランプ指令後に所定の時間を待ってから次の指令を受ける構造とされている。
【0008】
図4は、このようなアンクランプ動作を示すタイムチャートである。
図4(a)はアンクランプ指令を示しており、時刻t1においてアンクランプ指令がONとなり、時刻t3においてアンクランプ指令がOFFとなり、その間の期間はアンクランプタイマによって設定されている。また、
図4(c)に示されているように、アンクランプタイマが動作している時刻t1からt3の間において、インタロックがロック状態となるようにされている。
図4(b)に示されているメカクランプは、時刻t1におけるアンクランプ指令ONを受けて、クランプ状態からアンクランプ状態に状態を変化させ、時刻t2においてアンクランプ状態への変化が完了する。
【0009】
ここで、アンクランプタイマの設定時間(時刻t1−t3)は、アンクランプが終了するように、実際のアンクランプ時間(時刻t1−t2)よりも長く設定されている。そのため、アンクランプ時間が経過してアンクランプが終了していても、アンクランプタイマの動作中は、インタロックがロック状態となっていて他の指令を実行することができない。そのため、次の指令はアンクランプタイマ終了後に実行することとなる。
【0010】
逆に、部品の経年劣化や、空圧で動作するクランプ機構の場合、エアーの質が悪い場合などにはクランプ機構のピストン部のグリースが劣化して、アンクランプ指令を受けてから機械的にアンクランプが完了するまでの時間が遅くなってしまう場合がある。その際、アンクランプが完了するまでの時間があまりに遅くなってしまうと、もともと設定されたアンクランプタイマのままでは、機械的なアンクランプが完了する前に次の指令を行ってしまうおそれがある。また、アンクランプ指令の後には、回転動作指令が入るケースが多いため、実際のアンクランプ動作が完了する前に次の回転動作指令を開始してしまうと、クランプ機構を傷つけて、クランプ機構の信頼性を落としてしまうおそれがある。
【0011】
そこで本発明は、これらの課題を鑑み、回転テーブルを備えた工作機械において、アンクランプタイマの設定を調整することで、クランプ機構の破損を防ぎ、部品の寿命を延ばすことができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の請求項1に係る発明では、加工物を取り付ける回転テーブルと、該回転テーブルを駆動するモータと、前記回転テーブルの回転をクランプするクランプ機構と、該クランプ機構によるクランプ動作を解除するアンクランプ指令から次の指令を指令可能とするまでの時間を設定時間として設定するタイマと、を備えた工作機械において、前記モータの出力軸の負荷を測定する負荷測定手段と、前記回転テーブルの基準負荷を予め記憶する基準負荷記憶手段と、前記回転テーブルのアンクランプ指令が出力され、前記タイマで設定された設定時間経過後に前記回転テーブルを回転させた際の負荷を暫定負荷として測定し、記憶する暫定負荷記憶手段と、前記基準負荷と前記暫定負荷とを比較する負荷比較手段と、前記負荷比較手段による比較の結果、前記暫定負荷が前記基準負荷を超えた場合、前記タイマの設定時間
を長くする変更を行うタイマ変更手段と、を有することを特徴とする工作機械が提供される。
【0013】
請求項1に係る発明では、回転テーブルのクランプ機構の劣化等の状況に合わせて、アンクランプ指令の際のタイマの設定時間
を長くする変更を行って最適設定するため、アンクランプが完了する前に次の指令を行うことによるクランプ機構の破損を防ぎ、部品の寿命を延ばすことが可能となる。また、アンクランプの完了状態を検知するためのセンサを用いることがないため、コストを抑えることも可能となる。
【0014】
本願の請求項2に係る発明では、前記基準負荷記憶手段は、前記アンクランプ指令が出力されてから、確実にアンクランプ状態となる所定の時間が経過した後の期間における、前記回転テーブルの回転中の負荷を測定し、該測定した負荷の最大値を記憶する事を特徴とする請求項1に記載の工作機械が提供される。
請求項2に係る発明では、アンクランプ指令が出力されてから、確実にアンクランプ状態となる所定の時間が経過した後の期間において、回転テーブルの回転中の負荷を測定して、測定した負荷の最大値を基準負荷として記憶するようにしたことで、確実に基準負荷を設定することが可能となる。
【0015】
本願の請求項3に係る発明では、前記暫定負荷記憶手段は、前記タイマで設定された設定時間経過後の期間における、前記回転テーブルの回転中の負荷を測定し、該測定した負荷の最大値を記憶する事を特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械が提供される。
請求項3に係る発明では、タイマで設定された設定時間経過後の期間における回転テーブルの回転中の負荷を測定して、測定した負荷の最大値を暫定負荷として記憶するようにしたことで、確実に暫定負荷の値を記憶することが可能となる。
【0016】
本願の請求項4に係る発明では、
加工物を取り付ける回転テーブルと、該回転テーブルを駆動するモータと、前記回転テーブルの回転をクランプするクランプ機構と、該クランプ機構によるクランプ動作を解除するアンクランプ指令から次の指令を指令可能とするまでの時間を設定時間として設定するタイマと、を備えた工作機械において、前記モータの出力軸の負荷を測定する負荷測定手段と、回転動作中の負荷の最大値を、前記回転テーブルの基準負荷として予め記憶する基準負荷記憶手段と、前記回転テーブルのアンクランプ指令が出力され、前記タイマで設定された設定時間経過後に前記回転テーブルを回転させた際の負荷を暫定負荷として測定し、記憶する暫定負荷記憶手段と、前記基準負荷と前記暫定負荷とを比較する負荷比較手段と、前記負荷比較手段による比較の結果、前記暫定負荷が前記基準負荷の所定の割合倍を超えた場合、前記タイマの設定時間を長くする変更を行うタイマ変更手段と、を有することを特徴とす
る工作機械が提供される。
請求項4に係る発明では、暫定負荷が基準負荷に対して所定の割合以内に収まっているかどうかを比較して、その比較結果に基づいてタイマの設定時間を変更することによって、アンクランプが完了する前に次の指令を行うことによるクランプ機構の破損を防ぎ、部品の寿命を延ばすことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、回転テーブルを備えた工作機械において、アンクランプタイマの設定を調整することで、クランプ機構の破損を防ぎ、部品の寿命を延ばすことができる工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態におけるインデックステーブルの断面図である。
【
図2-1】アンクランプタイマ時間の設定の流れを示すフローチャートである(その1)。
【
図2-2】アンクランプタイマ時間の設定の流れを示すフローチャートである(その2)。
【
図3】アンクランプ時間の設定におけるタイムチャートである。
【
図4】アンクランプ動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、ダイレクトドライブ機構を持つインデックステーブル(回転テーブル)の断面図を示している。3はハウジングでありケース2に固定されている。1はシャフトであり、ハウジング3において主軸受(4a,4b)を介して回転自由に支持されている。5aはモータのステータであってケース2に固定されている。5bはモータのロータであり、シャフト1に固定されたロータホルダーに取り付けられて、ケース2に対して回転自由に支持されている。
【0020】
6はエンコーダ、7はシリンダ、8はリアプレートであり、いずれもケース2に固定されている。ブレーキディスク9はシャフト1に結合しており、ケース2に対して回転自由とされている。11a、11b、11cはいずれもシール材であり、外部からの切粉や切削液の浸入を防止する。10はピストンであり、シール材11a、11b、11cを介してシリンダの内部を前後に動作することが可能となっている。また、12はバネであり、クランプする方向にピストン10が動作するように付勢する。
【0021】
13aはクランプ用の空気室、13bはアンクランプ用の空気室であり、クランプをする場合にはクランプ用の空気室13aに圧縮空気が流れ込むように電磁弁によって空気の流路が制御され、アンクランプをする場合にはアンクランプ用の空気室13bに圧縮空気が流れ込むように電磁弁によって空気の流路が制御される。
【0022】
インデックステーブルにクランプ指令が入力されると、クランプ用の空気室13aに圧縮空気が流れ込んで、ピストン10がブレーキディスク9側に動作し、ブレーキディスク9をピストン10とリアプレート8によって挟み込むことによって、シャフト1が回転不能な状態となる。逆に、インデックステーブルにアンクランプ指令が入力されると、アンクランプ用の空気室13bに圧縮空気が流れ込み、ピストン10がブレーキディスク9とは反対方向に動き、ブレーキディスク9がピストン10から開放され、シャフト1が回転自由な状態となる。
【0023】
これらのクランプやアンクランプの動作の完了には所定の時間がかかる。変位センサや力センサ、流量センサなどを用いてアンクランプが完了したことを検出することも可能ではあるが、そのような機構を設けない場合には、アンクランプ指令を出してから所定の時間を設定してアンクランプが完了したものとしている。以下、アンクランプ指令を出してからの設定された所定時間を「アンクランプタイマ」、実際に機構がアンクランプするまでの時間を「アンクランプ時間」とする。
【0024】
アンクランプタイマの期間は、アンクランプが完了するであろうと設定する時間であるため、このアンクランプタイマの期間は、インタロックをロック状態として、他の指令を実行することができないようにされている。そのため、次の指令はアンクランプタイマ期間が終了した後に実行されることとなる。アンクランプタイマの期間を長く設定すると、確実にアンクランプが完了して信頼性を保つことはできるが、アンクランプ動作から次の動作へ移行するのに時間がかかってしまう。逆に、アンクランプタイマの時間を短く設定すると、アンクランプ動作の次に行う動作を早く実行することができるようになるが、経年劣化等により、実際のアンクランプ時間が長くなり、アンクランプタイマの時間よりも長い時間になってしまったりすると、アンクランプが完了する前に次の動作の実行が行われてしまうため、次の動作の実行時にブレーキディスク9がピストン10やリアプレートと接触してしまうおそれがある。
【0025】
そのため、アンクランプタイマの期間は適切に設定する必要がある。次に、本実施形態におけるインデックステーブルの負荷検知機能を用いたアンクランプタイマの期間の最適化の方法について説明する。機械的にアンクランプが完了した状態でシャフト1を回転させると、モータが受ける負荷は回転テーブル上に固定したワークや冶具のイナーシャ分となるが、機械的にアンクランプが完了していない状態において、シャフトを回転させると、イナーシャ分に加えて、ブレーキディスク9がピストン10やリアプレートに接触することによる負荷が加わって検知される。本実施形態においては、アンクランプが終了していない状態のときに、モータが受ける負荷が大きくなることを利用して、アンクランプタイマの期間を設定する。
【0026】
次に、
図2及び
図3に基づいて、具体的なアンクランプタイマの期間の設定方法について説明する。
図2は、アンクランプタイマの期間の設定の流れを示すフローチャートであり、
図3は、アンクランプタイマの期間の設定におけるタイムチャートである。以下、
図2のステップごとに説明する。
【0027】
・(ステップS100)操作者の起動等によって、アンクランプ時間の最適化プログラムを起動して、アンクランプ時間自動設定を開始する。
・(ステップS101)アンクランプタイマの値t、回転中の負荷の限度値となる最大負荷Pmax、暫定負荷と基準負荷とを比較する際の割合r、アンクランプタイマの値の限度値となる最大タイマ値tmax、アンクランプタイマの最大調整回数Nを設定する。
・(ステップS102)n=0に設定する。
【0028】
・(ステップS103)基準負荷記憶プロセスを開始する(
図3(a))
・(ステップS104)アンクランプ指令を行う。
・(ステップS105)アンクランプタイマの値tを超える、確実にアンクランプが行われるだけの十分な時間を待つ。
【0029】
・(ステップS106)所定の回転動作指令を行う。
・(ステップS107)回転動作中の負荷の最大値を、基準負荷P0としてメモリに記憶させる。
・(ステップS108)P0がPmaxを超えているかどうかを判定する。超えている場合(YES)はステップS109に進み、超えていない場合(NO)はステップS200に進む。
・(ステップS109)保守を促すアラームを出す。
【0030】
・(ステップS200)暫定負荷記憶プロセスを開始する(
図3(b))
・(ステップS201)クランプ指令を行う。
・(ステップS202)所定時間経過後、アンクランプ指令を行う。
【0031】
・(ステップS203)テーブルに対し所定の回転動作指令を行う。
・(ステップS204)アンクランプタイマに設定されている設定時間t時間経過後の、回転動作中の負荷の最大値を、暫定負荷P1としてメモリに記憶させる。
・(ステップS300)暫定負荷P1が、基準負荷P0の所定の割合rよりも大きいかどうかを判定する。大きい場合(YES)はステップS400に進み、以下の場合(NO)はステップS500に進み、アンクランプタイマ自動設定を終了する。
【0032】
・(ステップS400)nが最大調整回数N以上であるか、または、tがアンクランプタイマの値の限度値tmax以上であるかを判定する。いずれかを満たす場合(YES)はステップS501に進み、いずれも満たさない場合(NO)はステップS401に進む。
・(ステップS401)tを所定の値Δtだけ増加させる。
・(ステップS402)nの値に1を加える。
・(ステップS501)クランプ機構の交換など、保守を促すアラームを出す。
【0033】
図3はアンクランプ時間の自動設定昨日のタイムチャートを示している。
図3(a)は基準負荷記憶プロセスであり、アンクランプ指令を出して、アンクランプを行うのに十分なアンクランプタイマ時間経過後に回転動作指令を出し、回転負荷動作中の最大値をP0とする。
図3(b)は暫定負荷記憶プロセスであり、アンクランプタイマ時間t経過後の回転負荷動作中の最大値をP1とする。この場合は、部品の経年劣化等で、アンクランプタイマ時間tではアンクランプが完了していないため、P1がP0の所定の割合rよりも大きくなっており、この場合にアンクランプタイマ時間の補正を行う。
【0034】
図3(c)はアンクランプタイマ時間補正後の暫定負荷記憶プロセスである。
図3(b)の場合と比較して、アンクランプタイマ時間が長くなるように補正されており、これによって、アンクランプタイマ時間tでアンクランプが完了しているため、回転負荷動作中の最大値が、基準負荷記憶プロセスにおいて記憶された基準負荷P0の値と概ね等しくなっており、この時点でアンクランプタイマ時間の設定を完了する。
【0035】
なお、本実施形態においては、暫定負荷P1が、基準負荷P0の所定の割合rよりも大きいかどうかを判定して、大きい場合にアンクランプタイマ時間tを所定の時間Δt増加させてアンクランプタイマ時間tの調整を行っているが、所定の時間Δtの大きさによっては、必要以上にアンクランプタイマ時間tの値が大きくなってしまう場合もある。そのため、アンクランプタイマ時間tを段階的に増加させて調整した後に、変更の所定の時間の値を小さな値として、段階的に減少させて最適なアンクランプタイマ時間に調整するようにすることもできる。また、本実施形態は回転テーブルとして工作機械内に設置されるインデックステーブルを用いて説明したが、テーブルの反対側から支持するゆりかご式インデックステーブルにおいても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 シャフト
2 ケース
3 ハウジング
4 主軸受
5a ステータ
5b ロータ
6 エンコーダ
7 シリンダ
8 リアプレート
9 ブレーキディスク
10 ピストン
11 シール材
12 バネ
13a クランプ用の空気室
13b アンクランプ用の空気室