特許第5855768号(P5855768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5855768軸流ターボ機械のための翼リングと当該翼リングの最大流量を調整するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855768
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】軸流ターボ機械のための翼リングと当該翼リングの最大流量を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/16 20060101AFI20160120BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   F01D17/16 A
   F01D9/04
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-555097(P2014-555097)
(86)(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公表番号】特表2015-506439(P2015-506439A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2012071992
(87)【国際公開番号】WO2013113415
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】12153630.4
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・デ・ラッツアー
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−75104(JP,U)
【文献】 特開昭54−99810(JP,A)
【文献】 実開昭60−112603(JP,U)
【文献】 米国特許第5683225(US,A)
【文献】 特開昭55−43289(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第805015(GB,A)
【文献】 国際公開第2008/065447(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/16
F01D 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ターボ機械(1)のための翼リングであって、
外部リング(24)に設けられるとともに径方向内側に向けられた外部面(2)と、内部リング(23)に設けられるとともに径方向外側に向けられた内部面(3)と、を有し、当該外部面と内部面は、リング状であり、かつ、前記軸流ターボ機械(1)の主たる流れ方向(17)において先細になっている流れ通路(4)を画定するとともに、互いに同心状にかつ平行に設けられており、
前記翼リングはまた少なくとも一つの調整翼(7)を有しており、当該調整翼は前記流れ通路(4)においてガイド装置(14,15)を用いて前記面(2,3)のうちの一つの母線(6)に対して平行に移動可能に設けられているとともに、前記リング(23,24)の少なくとも一つにおいて、所定の位置に固定可能である、翼リング。
【請求項2】
前記外部面(2)と前記内部面(3)とは円錐面である、請求項1に記載の翼リング。
【請求項3】
前記外部面(2)と前記内部面(3)とは個々の母線(6)に沿って、前記流れ通路(4)の軸に対して垂直な各断面において、セグメントごとに等しい曲率半径を有しており、それによって、前記調整翼(7)を移動させる際に、前記調整翼(7)と前記面(2,3)との間の径方向間隙の拡がりが一定に保たれる、請求項1に記載の翼リング。
【請求項4】
前記外部面(2)と前記内部面(3)との断面のそれぞれは、前記流れ通路(4)の軸に対して垂直に、それぞれ多角形から、あるいは直接的に隣接して設けられている複数の円弧から形成されている、請求項3に記載の翼リング。
【請求項5】
前記翼リング(11)は、前記軸流ターボ機械(1)の斜流の段である、請求項1から4のいずれか一項に記載の翼リング。
【請求項6】
前記翼リング(11)は複数の翼を有しており、当該翼は交互に、前記調整翼(7)と、前記外部面(2)および/または前記内部面(3)に固定的に取り付けられた翼である、請求項1から5のいずれか一項に記載の翼リング。
【請求項7】
前記固定的に取り付けられた翼のそれぞれは、前記内部リング(23)および前記外部リング(24)と一体的に、または前記内部リング(23)のセグメントおよび前記外部リング(24)のセグメントと一体的に製造されている、請求項6に記載の翼リング。
【請求項8】
前記ガイド装置は前記内部リング(23)および/または前記外部リング(24)にスライド溝(14)を有するとともに、前記調整翼(7)の径方向外面(9)および/または径方向内面(10)にプラグ(15)を有しており、当該プラグ(15)は前記スライド溝(14)に係合している、請求項1から7のいずれか一項に記載の翼リング。
【請求項9】
前記ガイド装置は前記スライド溝(14)の少なくとも一つにおいて、前記軸流ターボ機械(1)の前記主たる流れ方向(17)の下流にストッパ(29)を有しており、当該ストッパにより、前記調整翼(7)は所定の位置に固定可能となっている、請求項8に記載の翼リング。
【請求項10】
前記ガイド装置(14,15)は、前記少なくとも一つの調整翼(7)が他の調整翼と交換可能であるように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の翼リング。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の翼リング(11)を有する軸流ターボ機械。
【請求項12】
前記軸流ターボ機械(1)の最大流量は、前記翼リング(11)の最大流量によって規定されている、請求項11に記載の軸流ターボ機械。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の翼リング(11)の最大流量を調整するための方法であって、
前記翼リング(11)の最大流量の目標値を設定するステップと、
前記翼リング(11)の最大流量の実際値を検出するステップと、
前記翼リング(11)の最大流量の目標値を前記翼リング(11)の最大流量の実際値と比較するステップと、
前記少なくとも一つの調整翼(7)を、前記ガイド装置(14,15)を用いて前記母線(6)に対して平行に移動させ、それによって最大流量の前記目標値が最大流量の前記実際値と等しくなるステップと、
前記調整翼(7)を前記ガイド装置(14,15)によって固定するステップと、を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸流ターボ機械のための翼リングと、当該翼リングを有する軸流ターボ機械と、当該翼リングの最大流量を調整するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンの効率的な運転を実現するためには、蒸気発生器、例えば発電所の最大可能なプロセス蒸気質量流量が蒸気タービンにおいて膨張させられ得ることが重要である。蒸気タービンを設計するにあたり、蒸気タービンを介して送出可能である最大のプロセス蒸気質量流量は重要な数値の一つであり、蒸気タービンの最大流量と称される。蒸気タービンのガイド翼リングは多数のガイド翼を有しており、当該ガイド翼は円周にわたって均等に配分されて設けられており、ガイド翼同士の間には翼通路が形成されている。径方向において翼通路は、ハブ側でハブ輪郭によって画定されており、ハウジング側でハウジング輪郭によって画定されている。蒸気タービンの最大流量は第一のガイド翼リングの最大流量によって決定的に影響され、当該第一のガイド翼リングの最大流量は、第一のガイド翼リングの翼通路の全ての有効断面の全体によって概ね決定されている。
【0003】
新しく製造された蒸気タービンの最大流量は、蒸気タービンの構成部材の製造許容誤差および組立許容誤差ゆえに、ある程度の不正確さを持たされる。最大流量はまた、構成部材の劣化ゆえに変化する。従って蒸気タービンを再び定格状態で運転可能にするために、蒸気タービンの最大流量を修正することが必要となる場合が多い。このために運転中のガイド翼は、蒸気タービンの最大流量に関して改善された断面形状を有するガイド翼と交換される。通常は該当する翼リングの全てのガイド翼が交換されるが、これは非常に手間がかかるとともにコストが嵩む。代替的にガイド翼の後縁が短縮され得る。しかしながらこれにより、ガイド翼リングの最大流量が単に増大可能なのであり、短縮によってガイド翼の空気力学的特性が劣化するとともに、機械的強度が低下する場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は軸流ターボ機械のための翼リングと、当該翼リングを有する軸流ターボ機械と当該翼リングの最大流量を調整するための方法であって、上記の問題が克服され、特に軸流ターボ機械の最大流量が修正的な方法で変化可能であるものを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る軸流ターボ機械のための翼リングは、外部リングに設けられるとともに径方向内側に向けられた外部面と、内部リングに設けられるとともに径方向外側に向けられた内部面とを有し、当該外部面と内部面は、リング状であり、かつ、軸流ターボ機械の主たる流れ方向において先細になっている流れ通路を画定するとともに、互いに同心的かつ平行に設けられており、本発明に係る軸流ターボ機械のための翼リングはまた、少なくとも一つの調整翼を有しており、当該調整翼は流れ通路においてガイド装置を用いて前記面のうちの一つの母線に対して平行に移動可能に設けられているとともに、前記リングの少なくとも一つにおいて、所定の位置に固定可能である。
【0006】
母線は、前記二つの面のうちの一つに設けられているとともに、個々の面の仮想の先端に向けられていることを特徴とする。
【0007】
流れ通路の直径は、内部面および外部面が先細る方向において減少する。少なくとも一つの調整翼がガイド装置を用いて先細る方向に向かって移動されるとき、当該調整翼が翼リングにおいて隣接して設けられている翼に対して周方向において有する距離は減少し、これにより流れ通路を貫流する流体に対する流れ通路の閉塞は増大し、それに応じて翼リングの最大流量は減少する。同様に、少なくとも一つの調整翼がガイド装置を用いて先細る方向と反対に移動されることにより、最大流量は増大され得る。このように翼リングの最大流量は好適に、ガイド装置を作動させながら、容易に変更可能である。これは例えば、軸流ターボ機械の構成要素の劣化に基づいて翼リングの最大流量が変化するとき、または、例えばプロセス蒸気質量流量が変えられるなど、変化する一般条件に最大流量が適合させられるべきときに必要となり得る。さらに新たに製造された軸流ターボ機械の製造許容誤差または組立許容誤差を補償するために、最大流量の修正が行われ得る。内部リングがディスクとして形成されていることも考えられる。
【0008】
外部面と内部面は好適に円錐面である。外部面と内部面は代替的に、好ましくは個々の母線に沿って、流れ通路の軸に対して垂直な各断面において、セグメントごとに等しい曲率半径を有しており、それによって、調整翼を移動させる際、調整翼と面との間の径方向間隙の拡がりが一定に保たれる。このとき外部面と内部面の断面のそれぞれは、好適に流れ通路の軸に対して垂直に、それぞれ多角形から、あるいは直接的に隣接して設けられている複数の円弧から形成されている。
【0009】
翼リングは好適に軸流ターボ機械の斜流の段である。斜流の段は好ましくは、二つの円錐面によって画定されている流れ通路を有している。翼リングは好ましくは、固定されているとともに回転しないガイド翼と、固定されているとともに回転しない内部面および外部面とを有するガイド翼リングである。
【0010】
好適な実施の形態において翼リングは、複数の翼を有しており、当該翼は交互に、調整翼であり、外部面および/または内部面に固定的に取り付けられた翼である。固定的に取り付けられた翼のそれぞれは好適に、内部リングおよび外部リングと一体的に、あるいは内部リングのセグメントおよび外部リングのセグメントと一体的に製造されている。これにより好適に、翼リングの高い剛性が生じる。二つの翼につき一つが固定的に取り付けられていることにより、翼リングを製造する際に好適に、製造器具が翼リングに良好にアクセスできる。
【0011】
ガイド装置は内部リングおよび/または外部リングにスライド溝を有するとともに、調整翼の径方向外面および/または径方向内面にプラグを有しているのが好ましく、当該プラグはスライド溝に係合している。ガイド装置は好ましくはスライド溝の少なくとも一つにおいて、軸流ターボ機械の主たる流れ方向の下流にストッパを有しており、当該ストッパにより、調整翼は所定の位置に固定可能となっている。このとき調整翼は軸流ターボ機械の運転時に、流れ通路内を流れる流体により、ストッパに押し付けられ、これにより調整翼の固定が行われる。流れ通路における調整翼の位置は、例えばスペーサをストッパに取り付けることによって規定され得る。スペーサは例えば雌ネジおよび/または外部リングおよび/または内部リングにおける溶接点を介して固定的に取り付けられ得る。
【0012】
好適にガイド装置は、少なくとも一つの調整翼が他の調整翼と交換可能であるように構成されている。これにより、少なくとも一つの調整翼は、他の空気力学的特性を有する他の調整翼と交換され得る。最大流量の適合も、好適な交換により、例えば他の調整翼が比較的短い弦長、あるいは比較的長い弦長を有する断面形状を有していることにより、実施され得る。
【0013】
本発明に係る軸流ターボ機械は本発明に係る翼リングを有している。軸流ターボ機械の最大流量は好適に、翼リングの最大流量によって決定されている。
【0014】
翼リングの最大流量を調整するための本発明に係る方法は、以下のステップを有している。すなわち、翼リングの最大流量の目標値を設定するステップと、翼リングの最大流量の実際値を検出するステップと、翼リングの最大流量の目標値を翼リングの最大流量の実際値と比較するステップと、少なくとも一つの調整翼をガイド装置を用いて母線に対して平行に移動させ、それによって最大流量の目標値が最大流量の実際値と等しくなるステップと、調整翼をガイド装置によって固定するステップとである。軸流ターボ機械の最大流量が、翼リングの最大流量によって規定されている場合、少なくとも一つの調整翼を移動させることによって、軸流ターボ機械の最大流量が変えられる。
【0015】
以下に添付の概略的な図面に基づいて、本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る翼リングの好適な実施の形態を備える軸流ターボ機械の長手方向断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図から分かるように、軸流ターボ機械1はハウジング22と、シャフト21と、複数の翼リング11から13とを有している。流体25はハウジング22内部で主たる流れ方向17を有して流れることができる。
【0018】
図において第一のガイド翼リング11、動翼リング12、および第二のガイド翼リング13が表示されており、当該第一のガイド翼リング、動翼リング、および第二のガイド翼リングはこの順序で流体25の主たる流れ方向17において設けられている。
【0019】
第一のガイド翼リング11は、ハウジング22に固定されるとともに径方向内側に向けられた円錐外部面2を有する外部円錐リング24を有し、当該外部円錐リング24の内部に、径方向外側に向けられた円錐内部面3を有する内部円錐リング23を有している。円錐外部面2と円錐内部面3は互いに同心的に設けられており、等しい円錐角18を有し、各軸方向部分において互いに平行に設けられるとともにリング状の流れ通路4を画定している。図から分かるように、内部円錐リング23と外部円錐リング24は円錐台である。しかしながら内部円錐リング23が円錐の頂点を含んでいることも考えられる。
【0020】
円錐外部面2と円錐内部面3の円錐の軸線26はシャフトの軸線27と一致する。円錐面2,3は、流れ通路4の外径28(図には半分の外径28が示されている)が主たる流れ方向17において減少するように向けられている。
【0021】
代替的に内部円錐リング23と外部円錐リング24は、円錐内部面3と円錐外部面2が個々の母線6に沿って、かつ調整翼7の幅に沿って、シャフト21に対して垂直な各断面において、セグメントごとに等しい曲率半径を有するように修正されており、それによって調整翼7を移動させる際、調整翼7と円錐面2,3との間の径方向の間隙が一定に保たれる。例えば曲率半径が無限の大きさであって、それによりシャフト21に対して垂直な円錐面2,3の断面の各々が、それぞれ多角形を形成し、当該多角形の線分の各々に、それぞれ翼が設けられていることが考えられる。主たる流れ方向17の下流において、多角形の線分の各々の長さは比較的短い。
【0022】
シャフト21に対して垂直な断面のそれぞれが、複数の円弧から形成されていることが同様に考えられる。このとき円弧の曲率半径は、流れ通路4の半径より大きくても、小さくてもよい。主たる流れ方向17の下流において、円弧のそれぞれの延伸は比較的小さく、それに対して曲率半径はそれぞれ一定に保たれる。
【0023】
円錐面2,3の断面に対しては線分または円弧のみならず、他の外形であって、当該外形の断面が母線6に沿って変化しない外形も考えられる。円錐外部面2と円錐内部面3に対して異なる外形を設けること、例えば円錐外部面2に対して多角形を設け、円錐内部面3に対して円弧を設けることも考えられる。
【0024】
流れ通路4内部に調整翼7が設けられており、当該調整翼は当該調整翼の径方向外面9によって円錐外部面2に接し、当該調整翼の径方向内面10によって円錐内部面3に接して設けられている。調整翼7は当該調整翼の径方向内面9と径方向外面10とにそれぞれプラグ15を有しており、当該プラグ15はそれぞれ、内部円錐リング23内および外部円錐リング24内のスライド溝14に係合している。スライド溝14は互いに平行に設けられているとともに、それぞれ円錐面2,3の母線6に沿って延在しており、それにより調整翼7は母線6に対して平行に移動可能である。調整翼7が主たる流れ方向17において移動されると、調整翼7の周方向において、第一のガイド翼リング11内で当該調整翼に隣接して設けられている翼に対する距離が減少し、それにより第一のガイド翼リング11における流体25に対する閉塞が増大する。閉塞が増大することによって、第一のガイド翼リング11の最大流量は減少する。逆に、調整翼7が主たる流れ方向17の上流に移動されることによって、最大流量は増大され得る。調整翼7の最大可能な移動経路8は、主たる流れ方向17における流れ通路4の長さと、スライド溝14の長さとによって限定されている。最大流量を変化させるために、調整翼7が比較的短い弦長、または比較的長い弦長を有する他の調整翼に替えられることも考えられる。
【0025】
スライド溝14とプラグ15に対しては、例えばT字型、または鳩尾型などの様々な型式が考えられる。円錐内部面3におけるスライド溝14は主たる流れ方向17においてストッパ29によって画定されている、すなわちスライド溝は流れ通路4の下流にある端部5までガイドされておらず、それにより軸流ターボ機械1の運転中、調整翼7は流体25の流れによってストッパ29に押し付けられる。円錐外部面2におけるスライド溝14を主たる流れ方向17においてストッパによって画定すること、あるいは二つのスライド溝14を一つのストッパによって画定することも同様に可能である。主たる流れ方向17の上流においてスライド溝14は画定されておらず、それにより調整翼7は流れ通路4から取り出し可能であり、かつ、他の調整翼と交換可能である。
【0026】
図面からわかるように、スライド溝14における調整翼7の位置を固定するためにスペーサ16が設けられている。スペーサ16はプラグ15の下流にある側にも、プラグ15の上流にある側にも設けられている。基本的に、上流にある側にはスペーサ16を設けないことが可能である。調整翼7は運転中、下流にあるスペーサ16またはスライド溝14の端部に押し付けられるという理由による。調整翼7に対して最小可能な最大流量は、下流にある側にスペーサ16が一つも設けられないとき達成される。
【0027】
第一のガイド翼リング11における全ての翼が調整翼7として形成されており、それによって移動可能に実施されている。代替的に翼は交互に調整翼7として形成されており、円錐面2,3に固定的に取り付けられた状態で実施されていてもよい。そのとき内部円錐リング23と、外部円錐リング24と、固定的に取り付けられた翼は一体として製造されていることが考えられる。それぞれ一つの固定的に取り付けられた翼が、それぞれ一つの内部円錐リング23および外部円錐リング24のセグメントと共に一体として製造されており、それによって第一のガイド翼リング11が多数のセグメントから組立てられていることも同様に考えられる。
【0028】
調整翼7が同様に動翼リングに対して設けられていることが考えられる。このとき内部円錐リング23はシャフト21と固定的に結合されており、調整翼7は当該調整翼の径方向内面10によって、内部円錐リング23にスライド可能に設けられている。内部円錐リング23と調整翼7はすなわち、軸流ターボ機械1の回転する構成要素である。スライド可能な翼7の径方向外面9と円錐外部面2との間に、間隙が設けられていてよい。調整翼7は同様に、当該調整翼の径方向外面9によって、外部円錐リング24に係合していてよい。後者の場合、外部円錐リング24は同様に回転する構成要素であると想定される。
【0029】
第一のガイド翼リング11の最大流量を調整することは以下のように行われる。すなわち、翼リング11の最大流量の目標値を設定する。翼リング11の最大流量の実際値を検出する。翼リング11の最大流量の目標値を翼リング11の最大流量の実際値と比較する。少なくとも一つの調整翼7をガイド装置を用いて母線6に対して平行に移動させ、それによって最大流量の目標値が最大流量の実際値と等しくなる。調整翼7をガイド装置によって固定する。
【0030】
好適な実施の形態により本発明の詳細を比較的詳しく表示し、かつ説明したが、本発明は開示された例によって限定されず、他の変化形態は当業者によって、本発明の権利範囲を逸脱することなく、開示された例から導き出されてよい。
【符号の説明】
【0031】
1 軸流ターボ機械
2 円錐外部面
3 円錐内部面
4 流れ通路
5 端部
6 母線
7 調整翼
8 移動経路
9 径方向外面
10 径方向内面
11 第一のガイド翼リング
12 動翼リング
13 第二のガイド翼リング
14 スライド溝
15 プラグ
16 スペーサ
17 主たる流れ方向
18 円錐角
21 シャフト
23 内部円錐リング
24 外部円錐リング
25 流体
26 円錐の軸線
27 シャフトの軸線
28 外径
図1