特許第5855812号(P5855812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5855812電動横型ブラインドの制御装置及び電動横型ブラインドの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855812
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】電動横型ブラインドの制御装置及び電動横型ブラインドの制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   E06B9/264 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-81268(P2010-81268)
(22)【出願日】2010年3月31日
(65)【公開番号】特開2011-214247(P2011-214247A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2013年3月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508207790
【氏名又は名称】有限会社 和晃
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
(72)【発明者】
【氏名】水科 晃
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−013841(JP,A)
【文献】 特開平11−081824(JP,A)
【文献】 特開平04−085478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの直流モーターで回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸の回転に基づいて、スラットを昇降し、あるいは角度調節するスラット駆動装置と、
前記モーターをPWM制御するモーター制御部と、
前記駆動軸の回転に基づいて、前記スラットの回動速度及び回動角度を検出する検出手段と
を備えた電動横型ブラインドにおいて、
前記モーター制御部は、
前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるフィードバック制御部を備え、
前記フィードバック制御部は、
前記検出手段から出力される検出パルスと、あらかじめ設定された目標パルスとを比較して、前記検出パルスのエッジと前記目標パルスのエッジで前記回動角度と目標角度のズレを検出し、前記検出パルスのエッジで前記回動速度と目標速度とのズレを検出する第一の演算手段と、
前記第一の演算手段の出力信号に基づいて、前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるパルス信号のデューティ比を演算する第二の演算手段と、
前記デューティ比を備えたパルス信号で前記直流モーターをPWM制御するモーター駆動回路とを備え、前記スラットの回動速度が目標速度に達しても、回動量の不足分あるいは過剰分を相殺するため、前記直流モーターをPWM制御する動作が繰り返し行われることを特徴とする電動横型ブラインドの制御装置。
【請求項2】
前記第二の演算手段は、前記スラットの高さ位置に応じて前記パルス信号の波高値を調整するテーブルを備えたことを特徴とする請求項1記載の電動横型ブラインドの制御装置。
【請求項3】
検出手段から出力される検出パルスと、目標パルスとを比較して、前記検出パルスのエッジと前記目標パルスのエッジでスラットの回動角度と目標角度のズレを検出し、前記検出パルスのエッジで前記スラットの回動速度と目標速度とのズレを検出し、前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるパルス信号のデューティ比を演算し、前記デューティ比を備えたパルス信号で直流モーターをPWM制御し、前記スラットの回動速度が目標速度に達しても、回動量の不足分あるいは過剰分を相殺するため、前記直流モーターをPWM制御する動作を繰り返し行うことを特徴とする電動横型ブラインドの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つの直流モーターの駆動力でスラットの昇降操作及び角度調節操作を行う電動横型ブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動横型ブラインドの一種類として、ヘッドボックス内に配設された1つの直流モーターの駆動力でスラットの昇降操作及び角度調節操作を行うようにしたものがある。このような電動横型ブラインドでは、操作スイッチあるいは中央制御装置から出力される指令信号に基づいてモーターの動作が制御される。そして、モーターの駆動力で回転駆動される駆動軸によりスラットの昇降操作及び角度調節操作が行われる。
【0003】
ヘッドボックス内には、指令信号に基づいてモーターの動作を制御するマイコン等の制御部と、駆動軸の回転量を検出するエンコーダーが配設されている。
そして、エンコーダーの検出信号に基づいて駆動軸の回転量が検出され、その回転量に基づいてスラットの昇降高さ及び回動角度が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2634227号
【特許文献2】特許第3612237号
【特許文献3】特許第3902108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電動横型ブラインドでは、1つのモーターで回転駆動される駆動軸で、スラットの昇降操作及び角度調節操作が行われる。すると、スラットの角度調節時には駆動軸が180度回転されると、スラットが全閉状態から逆全閉状態に回動される。従って、スラットの昇降操作時と同一のモーター回転速度でスラットの回動操作を行うと、スラット回動速度が速すぎて、スラットの角度を微調整することが難しくなる。
【0006】
そこで、スラットの角度調節操作時にはモーターの回転速度を低速化して、スラットの角度調節操作を容易に行い得るようにすることが望ましい。
モーターの回転速度を低速化するためには、モーターに供給する電圧を低電圧化するとよい。しかし、直流モーターに供給する電圧を低下させると、モーターの性能のばらつきにより、モーターの回転速度のばらつきが大きくなるとともに、指令信号に対するモーターの応答速度も低下する。
【0007】
回転速度のばらつきが大きいと、複数台のブラインドを並設する連装ブラインドにおいて、スラットの回動速度が不揃いとなり、スラットの回動角度を揃えることも困難となる。
【0008】
従って、1つの直流モーターでスラットを昇降操作及び角度調節操作を行う電動横型ブラインドでは、スラットの回動速度及び回動角度を正確に制御することが困難であった。
特許文献1〜3には、スラットの回動速度及び回動角度を正確に制御可能とする制御装置は開示されていない。
【0009】
この発明の目的は、1つのモーターでスラットの昇降操作及び角度調節操作を行う電動横型ブラインドにおいて、スラットの回動速度及び回動角度を正確に制御可能とする電動横型ブラインドの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1では、1つの直流モーターで回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸の回転に基づいて、スラットを昇降し、あるいは角度調節するスラット駆動装置と、前記モーターをPWM制御するモーター制御部と、前記駆動軸の回転に基づいて、前記スラットの回動速度及び回動角度を検出する検出手段とを備えた電動横型ブラインドにおいて、前記モーター制御部は、前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるフィードバック制御部を備え、前記フィードバック制御部は、前記検出手段から出力される検出パルスと、あらかじめ設定された目標パルスとを比較して、前記検出パルスのエッジと前記目標パルスのエッジで前記回動角度と目標角度のズレを検出し、前記検出パルスのエッジで前記回動速度と目標速度とのズレを検出する第一の演算手段と、前記第一の演算手段の出力信号に基づいて、前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるパルス信号のデューティ比を演算する第二の演算手段と、前記デューティ比を備えたパルス信号で前記直流モーターをPWM制御するモーター駆動回路とを備え、前記スラットの回動速度が目標速度に達しても、回動量の不足分あるいは過剰分を相殺するため、前記直流モーターをPWM制御する動作が繰り返し行われる
【0013】
請求項2では、前記第二の演算手段は、前記スラットの高さ位置に応じて前記パルス信号の波高値を調整するテーブルを備えた。
請求項3では、検出手段から出力される検出パルスと、目標パルスとを比較して、前記検出パルスのエッジと前記目標パルスのエッジでスラットの回動角度と目標角度のズレを検出し、前記検出パルスのエッジで前記スラットの回動速度と目標速度とのズレを検出し、前記スラットの回動角度及び回動速度を目標角度及び目標速度に収束させるパルス信号のデューティ比を演算し、前記デューティ比を備えたパルス信号で直流モーターをPWM制御し、前記スラットの回動速度が目標速度に達しても、回動量の不足分あるいは過剰分を相殺するため、前記直流モーターをPWM制御する動作を繰り返し行う
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つのモーターでスラットの昇降操作及び角度調節操作を行う電動横型ブラインドにおいて、スラットの回動速度及び回動角度を正確に制御可能とする電動横型ブラインドの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電動横型ブラインドを示す正面図である。
図2】モーター制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図3】スラット昇降操作時のモーター制御部の動作を示す波形図である。
図4】スラット角度調節操作時のモーター制御部の動作を示す波形図である。
図5】スラット角度調節操作時のモーター制御部の動作を示すフローチャートである。
図6】モーター制御部のフィードバック制御動作を示す説明図である。
図7】モーター制御部のフィードバック制御動作を示す説明図である。
図8】(a)〜(d)はモーターの動作を示す説明図である。
図9】モーター制御部のフィードバック制御動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す電動ブラインドは、ヘッドボックス1から複数本のラダーコード2を介して多数段のスラット3が吊下支持されている。ラダーコード2の下端にはボトムレール4が吊下支持されている。前記ラダーコード2の上端部は、前記ヘッドボックス1内においてラダーコード吊下装置(スラット駆動装置)5に支持されている。
【0018】
前記スラット3の長手方向両端部には昇降テープ6が挿通されている。前記昇降テープ6の下端は前記ボトムレール4に接続されるとともに、その上端部は前記ヘッドボックス1内において昇降テープ巻取り装置(スラット駆動装置)7に巻着されている。
【0019】
前記ラダーコード吊下装置5及び昇降テープ巻取り装置7には駆動軸8が挿通されている。前記駆動軸8の一方の端部はモーター9の出力軸に連結されている。従って、駆動軸8はモーター9の作動により正逆回転される。
【0020】
そして、駆動軸8が回転されると、ラダーコード吊下装置5及びラダーコード2を介して各スラット3が回動される。また、駆動軸8が正転されると、昇降テープ巻取り装置7により昇降テープ6が巻き取られ、ボトムレール4が引き上げられてスラット3が引き上げられる。駆動軸8が逆転されると、昇降テープ巻取り装置7により昇降テープ6が巻戻され、ボトムレール4及びスラット3が下降する。
【0021】
前記ヘッドボックス1内には前記モーター9の動作を制御するモーター制御部10が配設され、制御配線(図示しない)で前記モーター9と接続されている。前記ヘッドボックス1の一端にはコネクタボックス11が配設され、そのコネクタボックス11には外部通信ケーブルが接続される。そして、前記モーター制御部10は、内部通信ケーブル12を介して前記コネクタボックス11に接続される。
【0022】
前記コネクタボックス11には、外部通信ケーブル13を介して操作スイッチ14あるいはコントローラー(図示しない)が接続されるとともに、複数のブラインドが連装される場合は、隣接するブラインドのコネクタボックスに接続される。そして、操作スイッチ14あるいはコントローラーから送信された指令信号が外部通信ケーブル13及び内部通信ケーブル12を介して前記モーター制御部10に供給される。
【0023】
前記操作スイッチ14は、各ブラインド毎に設置されたり、あるいは連装ブラインドでは特定のエリア毎に設置されるが、この実施形態では各ブラインド毎に個別に設置されている。
【0024】
前記ヘッドボックス1内には、前記コネクタボックス11に隣接して電源トランス15が配設されている。そして、電源トランス15には前記コネクタボックス11を介して商用電源が供給されるとともに、その商用電源が電源トランス15で所要電圧に降圧されて前記モーター制御部10の電源回路に供給される。
【0025】
前記モーター制御部10には、前記電源トランス15から出力される交流電圧を直流電圧に変換する電源回路が備えられるとともに、その直流電圧を電源としてモーター制御部10及び前記モーター9が動作する。
【0026】
前記モーター制御部10にはエンコーダー16が取着されている。そのエンコーダー16は、前記駆動軸8と一体に回転するスリットプレート17の回転角度を検出する2組の検出子を備えている。
【0027】
図2は、前記モーター制御部10の電気的構成を示す。電源回路18には前記電源トランス15で降圧された交流電圧が供給され、その交流電圧を例えば24Vの直流電圧に変換して可変電圧回路及び定電流回路19に電源として供給する。
【0028】
前記可変電圧回路及び定電流回路19は、マイコン21から出力される制御信号C1に基づいてモーター駆動回路20に供給する直流電圧を調整する機能と、モーター駆動回路20に供給する電流を一定値以下に抑制する定電流機能とを備えている。
【0029】
モーター駆動回路20は、可変電圧回路及び定電流回路19から供給される直流電圧に基づいてモーター9を駆動する。このモーター駆動回路20は、マイコン21から出力される制御信号C2,C3に基づいて前記可変電圧回路及び定電流回路19から出力される直流電圧で前記モーター9の回転速度を制御する電圧制御動作を行う。また、マイコン21から出力される制御信号C4に基づいて、図4に示すパルス信号Pをモーター9に出力して、モーター9の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御する動作を行うようになっている。
【0030】
なお、制御信号C3は前記駆動軸8をスラット引き上げ方向に回転させるか、あるいはスラット下降方向に回転させるかを制御する信号である。
前記モーター9の回転角は前記エンコーダー16で検出され、そのエンコーダー16の検出信号は前記マイコン21に出力される。
【0031】
前記マイコン21は、記憶装置22にあらかじめ格納されているプログラムに基づいて動作する。そして、前記操作スイッチ14あるいは中央制御装置から出力される指令信号CMに基づいて、スラット3の昇降動作と角度調節動作を制御する。また、マイコン21はエンコーダー16の検出信号に基づいてスラット3の昇降高さ及び角度を検出し、その現在値データを記憶装置22に一時的に格納するようになっている。
【0032】
前記記憶装置22には、前記可変電圧回路及び定電流回路19の出力電圧を調整するためのテーブルが格納されている。このテーブルは、スラット3の昇降範囲を4つのブロックに分割し、図3に示すように、可変電圧回路及び定電流回路19の出力電圧Voを、スラット3を引き上げるにつれて段階的に上昇させるものである。
【0033】
また、前記記憶装置22にはスラット3の回動速度を制御するために、前記パルス信号Pのデューティ比を変更するためのテーブルが格納されている。
次に、上記のように構成されたモーター制御部10の動作を説明する。操作スイッチ14あるいは中央制御装置からスラット3を昇降操作するための指令信号CMがマイコン21に入力されると、マイコン21はスラット3の昇降高さデータに基づく制御信号C1を可変電圧回路及び定電流回路19に出力する。すると、モーター駆動回路20は、可変電圧回路及び定電流回路19から出力される直流電圧でモーター9を動作させる。
【0034】
このとき、スラット3の引き上げ操作時には図3に示す電圧制御が行われるが、スラット3の下降操作時には駆動軸8を回転させるためのトルクは小さくてよいので、図3に示す電圧制御は行われない。
【0035】
スラット3の角度調節操作時のマイコン21の動作を図5に従って説明する。スラット3を角度調節するための指令信号CMがマイコン21に入力されると、マイコン21はスラット3の現在高さ位置データを記憶装置22から取得する(ステップ1)。
【0036】
次いで、マイコン21はスラット3の現在高さ位置データに対応するチルトパラメータを記憶装置22から読み出す(ステップ2)。このチルトパラメータは、スラットの昇降高さに応じて可変電圧回路及び定電流回路19からモーター駆動回路20に供給される出力電圧Voの値であり、スラット3をスラット引き上げ方向に回動させる場合に、モーター9をPWM制御するパルス信号の波高値が設定される。スラット3をスラット下降方向に回動させる場合は、このチルトパラメータを使用せず、パルス信号の波高値を一定の定電圧とする。
【0037】
次いで、指令信号CMに基づいてモーター9にパルス信号の出力を開始する(ステップ3)。このとき、スラット3の角度調節操作を始めて行う場合には、モーター9に出力するパルス信号のデューティをあらかじめ設定された初期値(図6に示す「初」)とする。
【0038】
そして、マイコン21は出力されたパルス信号Pに基づいて駆動軸8が回転されるとき、エンコーダー16から出力されるべき目標パルスTPを生成し(ステップ4)、その目標パルスTPと実際のエンコーダー16の検出パルスEPとの比較動作を開始する(ステップ5)。
【0039】
その比較動作を説明すると、まず検出パルスEPと目標パルスTPの立ち上がり及び立下り(以下エッジという)を検出する(ステップ5,6)。設定された初期値のデューティ比でパルス信号Pをモーター9に出力している状態で、図6に示すように、マイコン21がタイミングt1で目標パルスTPの立下りを検出したとき、検出パルスEPは未だHレベルであると、マイコン21はスラット3の回動速度が目標より遅いと判断する(ステップ6,7)。
【0040】
そして、ステップ8,9に移行して、回動速度を上昇させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力してステップ5に復帰する。
【0041】
ステップ7で、スラット3の回動速度が目標より速いと判断すると、回動速度を下降させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力して(ステップ10,11)、ステップ5に復帰する。
【0042】
ステップ5で検出パルスEPのエッジを検出すると、ステップ12に移行してスラット3の回動速度と目標速度とを比較する。
図6に示すタイミングt2では、検出パルスEPのパルス幅が目標パルスTPより長いことから、スラット3の回動速度が目標速度より遅いと判定されてステップ13へ移行する。そして、ステップ13では検出パルスEPのエッジが目標パルスTPのエッジより遅れていることが検出され、回動速度を上昇させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力して(ステップ14,15)、ステップ5に復帰する。
【0043】
ステップ13において、検出パルスEPのエッジが目標パルスTPのエッジより進んでいることが検出されると、回動速度を低下させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力して(ステップ16,17)、ステップ5に復帰する。
【0044】
また、タイミングt4では、スラット3の回動速度が目標速度より速く、かつ検出パルスEPのエッジが目標パルスTPより早いと判定され(ステップ12,18)、回動速度を低下させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力して(ステップ19,20)、ステップ5に復帰する。
【0045】
ステップ18において、検出パルスEPのエッジが目標パルスTPより遅いと判定されると、ステップ21,22に移行して、回動速度を上昇させるためのデューティ比をテーブルに基づいて演算し、新たなデューティ比のパルス信号Pをモーター9に出力して、ステップ5に復帰する。
【0046】
このような動作により、図6に示すように、エンコーダー16の検出パルスEPが目標パルスTPに一致するように収束するため、スラット3の回動速度と回動位置が目標パルスTPで設定された回動速度と回動位置に収束する。
【0047】
検出パルスEPが目標パルスTPと一致すると、マイコン21はその状態でのパルス信号Pのデューティ比を記憶装置22に格納し、次回のスラット角度調節操作時には、その格納値をパルス信号Pのデューティ比の更新初期値として使用する。
【0048】
図7は、2回目以降のスラット角度調節操作時の動作を示す。スラット3の回動操作が開始されると、更新初期値に基づいてパルス信号Pが出力される。そして、検出パルスEPが目標パルスTPと一致している状態から、タイミングt5で何らかの負荷変動により検出パルスEPのエッジが目標パルスTPのエッジより早くなり、スラット3の回動速度が目標速度より速くなると、パルス信号Pのデューティ比が変更されて回動速度が低下する。
【0049】
タイミングt6で検出パルスEPのエッジが目標パルスTPのエッジより遅れると、パルス信号Pのデューティ比が変更されて回動速度が低下する。このような動作が繰り返されて、検出パルスEPが目標パルスTPと一致するように動作する。
【0050】
上記のような動作を図8に従って説明すると、同図(a)はスラットの回動動作の開始から回動速度が上昇し、目標速度に達した後は一定速度となる理想的な状態を示し、同図(a)に示す斜線部B1は回動量に相当する。
【0051】
図8(b)は、回動速度の上昇が遅れる場合、斜線部B2分の回動量が不足する。すると、連装ブラインドではスラットの回動角度が不揃いとなる場合がある。
図8(c)は、モーター9の起動時に回動速度が目標速度を超える速度までオーバーシュートする場合を示す。この場合には、斜線部B3分の回動量が過剰となる。すると、連装ブラインドではスラットの回動角度が不揃いとなる場合がある。
【0052】
図8(d)は、上記実施形態のモーター制御部10の動作を示す。同図に示すように、回動速度が目標速度に達するのが遅れて斜線部B4で回動量が不足すると、続いて回動速度が目標速度を超えるまで引き上げられて、斜線部B5で回動量の不足分が補われる。斜線部B5で回動量が過剰となると、斜線部B6で回動量の過剰部分が相殺され、このような動作が斜線部B7〜B9で繰り返されて、目標回動量に収束する。
【0053】
因みに、図9は検出パルスEPのエッジでのみ目標パルスTPと比較して、スラットの回動速度を目標速度に一致するようにパルス信号Pのデューティ比を変更する場合の動作を示す。
【0054】
このような動作では、検出パルスEPのエッジ毎に目標パルスTPとの速度差を検出して、検出パルスEPの周期すなわちスラット3の回動速度が目標パルスTPと一致した後は、デューティ比のそれ以上の変更を行わない。
【0055】
このような動作では、スラット3の回動速度が目標速度に達しても、回動量の不足分あるいは過剰分を相殺することができないため、目標パルスTPと検出パルスEPとのズレXに相当する回動量のズレを補正できない。従って、このような制御では、連装ブラインドのスラット3の回動角を揃えることができない。
【0056】
上記のように構成された電動横型ブラインドでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)直流モーター9をPWM制御してスラット3を角度調節する電動横型ブラインドにおいて、スラット3の回動操作時に、スラット3の回動速度と回動角度とを目標の回動速度と回動角度とに収束させることができる。従って、連装ブラインドでのスラット角度調節操作時に、各ブラインドのスラット角度を揃えることができる。
(2)検出パルスEPを目標パルスTPに一致させるように制御することにより、スラット3の回動速度と回動角度とを目標の回動速度と回動角度とに収束させることができる。
(3)目標パルスTPのエッジで検出パルスEPとの回動速度及び回動角度のずれを検出して、PWM制御を行うパルス信号Pのデューティ比を調整することができる。従って、検出パルスEPを目標パルスTPに収束させる動作を高速化することができる。
(4)検出パルスEPを目標パルスTPに速やかに収束させることができるので、スラット3の回動速度及び回動角度を目標速度及び目標角度に速やかに収束させることができる。
(5)検出パルスEPが目標パルスTPに収束した状態でのデューティ比を更新初期値として記憶装置22に格納し、次回のスラット回動操作時に更新初期値のデューティ比でモーター9を作動させることができる。従って、スラット3の回動速度及び回動角度を目標速度及び目標角度に速やかに収束させることができる。
(6)スラット3の高さ位置データに基づいて、パルス信号Pの電圧波高値を調整することができる。従って、スラット3の昇降高さが変化しても、スラット3の回動速度をほぼ一定に維持することができる。
【0057】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・モーター9の電圧制御と、PWM制御とを別個のモーター駆動回路で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
3…スラット、8…駆動軸、9…モーター、10…モーター制御部、16…検出手段(エンコーダー)、20…フィードバック制御部(モーター駆動回路)、21…フィードバック制御部(第一の演算手段、第二の演算手段、マイコン)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9