特許第5855845号(P5855845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5855845汚泥処理剤、それを用いた汚泥処理方法、及び汚泥処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855845
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】汚泥処理剤、それを用いた汚泥処理方法、及び汚泥処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20160120BHJP
   C02F 11/14 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   C02F11/00 FZAB
   C02F11/14 D
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-107519(P2011-107519)
(22)【出願日】2011年5月12日
(65)【公開番号】特開2012-236160(P2012-236160A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】安永 利幸
(72)【発明者】
【氏名】槙田 則夫
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−283225(JP,A)
【文献】 特開2002−219500(JP,A)
【文献】 特開2010−110666(JP,A)
【文献】 特開2006−101714(JP,A)
【文献】 特開2005−000764(JP,A)
【文献】 特開2006−305518(JP,A)
【文献】 特開2007−283254(JP,A)
【文献】 特開2002−028696(JP,A)
【文献】 特開2005−073942(JP,A)
【文献】 特許第4189479(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0020929(US,A1)
【文献】 米国特許第06495096(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00
C02F 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性繊維素材に亜硝酸塩、亜硫酸塩及びソルビン酸塩から選ばれる少なくとも1種の静菌剤が含浸され、含水率が20〜80質量%であり、前記吸水性繊維素材の少なくとも繊維内部に前記含水率にて静菌剤が水とともに繊維に吸着され、汚泥または水に投与したときに15〜60分間は溶出されない状態であることを特徴とする汚泥処理剤。
【請求項2】
前記吸水性繊維素材はセルロース系繊維であることを特徴とする請求項1記載の汚泥処理剤。
【請求項3】
前記吸水性繊維素材の長さが1mm〜20mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥処理剤。
【請求項4】
汚泥に、請求項1〜のいずれか1項に記載の汚泥処理剤を、静菌剤の汚泥に対する添加量が10〜2000mg/リットルとなるように添加し、次いで凝集剤を添加して凝集させた後、脱水処理することを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項5】
汚泥に、静菌剤の汚泥に対する添加量が10〜2000mg/リットルとなる量の請求項1〜のいずれか1項に記載の汚泥処理剤と、凝集剤とを同時に添加して凝集させた後、脱水処理することを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項6】
汚泥に対する汚泥処理剤の添加率が、汚泥中のSS成分に対して0.1〜20質量%であることを特徴とする請求項または記載の汚泥処理方法。
【請求項7】
汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、
吸水性繊維素材に亜硝酸塩、亜硫酸塩及びソルビン酸塩から選ばれる少なくとも1種の静菌剤が含浸され、含水率20〜80質量%であり、前記吸水性繊維素材の少なくとも繊維内部に前記含水率にて静菌剤が水とともに該繊維に吸着され、汚泥または水に投与したときに15〜60分間はで溶出されない状態である汚泥処理剤を汚泥に注入する注入装置と、
汚泥及び前記汚泥処理剤を混合し、混合物を得る混合装置と、
前記混合物と凝集剤溶液とを混合し、凝集汚泥を調製する凝集装置と、
前記凝集汚泥を脱水し、分離液と、臭気が抑制され含水率が低減された脱水ケーキを得る脱水装置と、
を備え、
前記凝集汚泥を前記脱水装置により固液分離した時、該静菌剤が該分離液側へ移行するのを低減したことを特徴とする汚泥処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理剤、それを用いた汚泥処理方法、及び汚泥処理装置に関するものであり、特に、下水、し尿、産業排水等の排水処理に伴って発生する有機性汚泥の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下水処理施設、し尿処理施設、その他排水処理施設から発生する汚泥に、有機高分子凝集剤を添加し機械脱水する処理が行われているが、近年生活様式の変化等により汚泥が難脱水性となり、汚泥の含水率が低下し難いものとなっている。特に、オキシデーションディッチ処理された汚泥の脱水性は、混合生汚泥、標準活性汚泥、消化汚泥等に比較して脱水性が非常に悪い。オキシデーションディッチ法は、エアレーション時間が非常に長いため、硝化・脱窒が進み、汚泥中の繊維分がかなり分解され、凝集の核となる汚泥中の繊維分が少なくなるためであると考えられている。更には、ベルトプレス脱水機やフィルタープレス脱水機のような加圧式脱水機を使用する場合には、ろ布からの剥離性が不良になり、生じたろ布目詰まりの影響でろ過不良を起し、安定した脱水ができなくなると共に、ろ布の洗浄に時間が掛かるといった問題も生じている。
【0003】
同様に、し尿処理施設から発生する汚泥も、生物処理前段に設けられているスクリーンにより殆どの夾雑物が除去されるため、発生する汚泥には繊維分が少なくなり、汚泥の含水率低下が難しい。
汚泥の含水率を低下させる手段として、汚泥に繊維状物又はおが屑や籾殻等の植物素材を混合した後、高分子凝集剤を添加し脱水する方法が提案されている。
例えば、一次脱水汚泥と古紙等の繊維を含むものを裁断して得られた脱水助剤とを混合し、二次脱水する方法(特許文献1)、有機性汚泥に、合成繊維と凝集剤を添加した後脱水処理する方法(特許文献2)、機械的裁断によりメカノケミカル活性が付与されたセルロースファイバーを主成分とする脱水助剤(特許文献3)などである。
【0004】
しかしながら、古紙裁断物やごみ等を混合する方法では、汚泥固形物に対する添加量は一般に20〜100%程度であり、脱水可能な凝集フロックを生成させるのに高分子凝集剤添加量が増大する傾向があり、汚泥処理コストの上昇が避けられない。また、ごみの種類によっては撥水性を有するため、汚泥へ均一に馴染ませることが難しい場合がある。
汚泥に合成繊維を混合する方法では、ある程度のケーキ含水率の低減が可能であるが、合成繊維の汚泥への親水性が不十分な場合には、合成繊維を汚泥貯留槽などへ投入する場合に槽内全体を十分攪拌できる装置がない限り、汚泥中での開繊が困難で汚泥へ均一に混合することがでないこと、また、均一に混合できたとしても、脱水機内中で圧搾される時に汚泥から分離し、脱水に寄与しないため安定した処理ができない場合があるという問題がある。
【0005】
一方、汚泥に亜硝酸塩に代表される静菌剤を添加して硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を防止する方法が提案されている(特許文献4)。
この方法は、汚泥スラリーや脱水ケーキの臭気抑制を長期間にわたって持続できる点で効果的な方法である。しかしながら、臭気抑制効果を長時間持続させる目的で亜硝酸塩を多量に添加した場合には、脱水ろ液中の亜硝酸イオンが増加し、水処理工程に返送させたろ液中の亜硝酸イオンの殺菌効果により、生物処理工程に悪影響を与える可能性があり好ましくない。また、一般の脱水施設においては、亜硝酸塩と脱水用の高分子凝集剤とを、二液型として、別個に添加するので亜硝酸塩用のタンク及びポンプが更に必要となり、2種の薬品の添加量の制御をしなければならないというデメリットが発生するという問題があった。
【0006】
上記問題の解決方法として、汚泥スラリーに高分子凝集剤を添加した後、機械脱水する方法において、高分子凝集剤として、亜硝酸塩を混合した高分子凝集剤溶液を使用することを特徴とする汚泥スラリーの脱水方法が提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−121199号公報
【特許文献2】特開2002−219500号公報
【特許文献3】特開2005−248337号公報
【特許文献4】特開2001−340895号公報
【特許文献5】特開2005−764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の方法では一液型の薬剤とすることで薬注制御の問題は解決されたが、亜硝酸塩に代表される静菌剤の効果を発現させるには汚泥スラリーとある程度の接触時間が必要であるが、上記の方法での接触時間は凝集槽中の滞在時間に限定されるので装置によっては十分な接触時間が得られず、亜硝酸塩がそのままろ液側に移行し無駄に添加された亜硝酸塩が発生してしまう可能性がある点において今だ完全とは言えない。
本発明は、上記従来の技術の問題点を解消し、有機性汚泥に添加された亜硝酸塩等の静菌剤を有効に利用することができ、しかも有機性汚泥と静菌剤の接触時間が短くても脱水ケーキを消臭ことができ、且つ脱水ケーキ含水率を低減できる汚泥処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のとおりである。
1)吸水性繊維素材に静菌剤が含浸され、含水率が15〜80質量%であることを特徴とする汚泥処理剤。
2)前記吸水性繊維素材はセルロース系繊維であることを特徴とする上記1)の汚泥処理剤。
3)前記吸水性繊維素材の長さが1mm〜20mmであることを特徴とする上記1)又は2)の汚泥処理剤。
4)前記静菌剤は亜硝酸塩、亜硫酸塩、ソルビン酸塩のいずれかであることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか1項の汚泥処理剤。
)汚泥に、上記1)〜4)のいずれか1項の汚泥処理剤を添加し、次いで凝集剤を添加して凝集させた後、脱水処理することを特徴とする汚泥処理方法。
)汚泥に、上記1)〜4)のいずれか1項の汚泥処理剤と、凝集剤を同時に添加して凝集させた後、脱水処理することを特徴とする汚泥処理方法。
汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、
吸水性繊維素材に静菌剤を含浸させた状態の汚泥処理剤を汚泥に注入する注入装置と、
汚泥及び前記汚泥処理剤を混合し、混合物を得る混合装置と、
前記混合物と凝集剤溶液とを混合し、凝集汚泥を調製する凝集装置と、
前記凝集汚泥を脱水し、分離液と、臭気が抑制され含水率が低減された脱水ケーキを得る脱水装置と
を備え
前記凝集汚泥を前記脱水装置により固液分離した時、該静菌剤が該分離液側へ移行するのを低減したことを特徴とする汚泥処理装置。
【0010】
本発明の特徴は、静菌剤を吸水性繊維素材に含浸させた状態の汚泥処理剤を汚泥に添加することで、静菌剤を徐々に吸水性繊維素材から滲み出させるようにして、凝集汚泥を固液分離したときに静菌剤のろ液側への移行を防止乃至低減したことである。そのため汚泥と薬剤の接触(攪拌)時間が数分であったとしても次の脱水工程中あるいは脱水ケーキとなった後からでも静菌剤が徐々に滲み出すことで長期にわたって抑臭効果が持続できる。しかも添加された汚泥処理剤の吸水性繊維素材は脱水助剤としても作用するので得られる脱水ケーキは含水率が大きく低減されたものとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以下の効果を有する。
(1)汚泥と汚泥処理剤の接触時間が短くても抑臭効果が発現する。
(2)汚泥処理剤から静菌剤が除放されるので効果が長時間持続する。
(3)ケーキ含水率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る装置の構成の一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を説明する。
初めに、本発明の汚泥処理剤について説明する。
本発明の汚泥処理剤は、吸水性繊維素材に静菌剤が含浸され、含水率が15〜80質量%である。
本発明において、汚泥処理剤の含水率とは、以下の測定方法で得られる値である。
下水道試験法に準拠して、試料(汚泥処理剤)を蒸発乾固し105〜110℃で2時間加熱乾燥したときに残留する蒸発残留物の質量を測定して、試料に対する蒸発残留物の割合を算出し、以下の式から質量百分率で表す。
含水率(%)=100−蒸発残留物(%)
本発明では、含水率は15〜80%が好ましく、20〜40%が更に好ましい。
また、本発明では、静菌剤を吸水性繊維素材に含浸させることにより、吸水性繊維素材の少なくとも繊維内部に上記含水率にて静菌剤が水とともに該繊維と十分に吸着されているので、汚泥あるいは水に投与したときに15〜60分間程度はほぼ溶出されないか、溶出しても微量である状態が可能である状態にさせることができる。
本発明の汚泥処理剤を保管する場合、汚泥処理剤は、温度、湿度が管理された低温、高湿環境に保管するか、汚泥処理剤の水分が蒸発しないように包装がされていることが望ましい。
【0014】
本発明において、汚泥処理剤で処理される汚泥とは、下水、屎尿、厨芥、産業排水などの有機性物質を処理する工程で排出された、初沈汚泥、メタン発酵汚泥、腐敗汚泥、余剰汚泥や初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥等の有機性汚泥をいう。
【0015】
本発明の汚泥処理剤を構成する吸水性繊維素材は、吸水性の繊維素材であれば何でも使用でき、木綿、リンター、麻、わら、ヤシガラ、ジュート、ケナフ等の植物性繊維、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の木材パルプ、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、アセテート、リヨセル等のセルロース系再生繊維、絹、羊毛などの動物性繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロン等の合成繊維を親水化、中空化して吸水性を付与したもの、木材、竹、笹、わら、古紙などの粉砕物、その他オカラ、オガクズ、コーヒーカス、落葉、イネワラ、ムギワラ、野菜クズなどが挙げられる。
中でもセルロース系の繊維は吸水力が大きく静菌剤を高濃度に保持できるので好ましい。また、長さ等の形状が均質化された短繊維状物に加工できるので静菌剤を含浸させた状態での定量供給が可能となる利点を有している。短繊維状物とはフィラメントのように一本ずつの繊維の単位が区別できるものを言う。材質としてはビスコースレーヨンが最も好ましい。ポリエステルやアクリルのような合成繊維では吸水力が不十分で静菌剤が表面に付着しただけで繊維内部にまで含浸されず静菌剤を直接汚泥に添加したと同じになり、本発明の効果が発揮できない。
【0016】
本発明において使用される静菌剤には特に制限はなく亜硝酸塩、亜硫酸塩、ソルビン酸塩などが使用できるが、臭気抑制効果やコストの点で亜硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩としては、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。これらの亜硝酸塩は1種を単独で用いることができ、また2種以上を混合して用いることもできる。これらの亜硝酸塩の中では、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが効果やコストの面で好ましい。
【0017】
汚泥処理剤に含まれる静菌剤の汚泥に対する添加量は、処理する汚泥の性状にもより異なるので一概には言えないが、10〜2000mg/リットル、好ましくは50〜1000mg/リットルである。添加量が10mg/リットル未満では消臭効果が十分発揮できず、一方、2000mg/リットルを超える場合はそれ以上の消臭効果はなく経済的でないばかりでなく、水処理工程に返送された時に、生物処理工程に悪影響を与える可能性があり好ましくない。
【0018】
次に、汚泥処理剤の含水率が15〜80質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲にあることが重要である。含水率が15質量%以下では、静菌剤の効果を発現する為に汚泥処理剤の添加量を多くする必要が生じるため経済的に好ましくない。また、汚泥や高分子凝集剤溶解槽へ添加した際に混合がうまく行かず、不均一に分散された状態になり、本発明の効果が発揮できない。一方、80質量%を超えると、繊維素材に含浸していない遊離の水分が多くなり、フィーダー等で機械的に供給する場合に定量供給が困難になり、また繊維素材分の割合が少なくなり経済的に不利である。
【0019】
本発明で用いる汚泥処理剤は、例えばビスコースを常法により紡糸浴中に紡出し、延伸再生したものを切断して製造することができる。静菌剤の含浸は延伸再生工程中に静菌剤を溶解した浴中を通させるか、紡糸後に噴霧させた後、所定の長さに切断して製造することができる。また、紡糸して一旦乾燥したフィラメントを、静菌剤を溶解した浴中を通させるか、紡糸後に噴霧させた後、所定の長さに切断してもよい。
汚泥処理剤の長さは、0.1〜30mm、好ましくは1〜20mm程度としておくことが、汚泥への添加、混合また脱水時の作業性から好ましい。また、太さは0.1μm〜1mm程度でよい。
【0020】
次に本発明の汚泥処理方法及び汚泥の処理装置について説明する。
汚泥処理剤の汚泥への添加方法は、汚泥濃縮槽や汚泥貯留槽に上記範囲となるように一括投入すればよい。また、常時又は間欠的に汚泥の流入、引抜きがある場合には、汚泥の流入量、引抜き量に対して汚泥処理剤を追加添加すればよい。また、脱水機前で添加する場合には、脱水機への汚泥流量に対して汚泥処理剤が上記範囲となるように添加すればよい。汚泥処理剤の添加は、凝集剤の添加前後どちらでも構わないが、汚泥中への均一な混合の点からは凝集剤の添加前の方が好ましい。凝集剤の添加後の汚泥処理剤の添加場所としては、凝集槽内、造粒濃縮槽内、凝集ろ過後の何れも可能である。近年、ろ過濃縮機を有するスクリュープレス脱水機が開発されているが、このタイプの脱水機の場合には、ろ過濃縮後、凝集汚泥が脱水機本体に供給される箇所に、同時に汚泥処理剤を添加しても汚泥への汚泥処理剤の均一混合は可能である。汚泥処理剤は、繊維状のまま添加しても良いし、水などを使用してスラリー状にして添加しても良い。何れの場合も、形状にあった供給装置を用いて定量添加が可能である。
【0021】
本発明は、汚泥処理剤の汚泥への添加は、凝集剤の汚泥への添加と同時でもよい。その添加方法は、上記が適用される。また、汚泥処理剤と高分子凝集剤は、そのままでもそれらを一液化したものを用いてもよい。
【0022】
汚泥処理剤と高分子凝集剤を一液化する方法は特に問わない。すなわち、高分子凝集剤溶解用水に予め汚泥処理剤を所定の添加量になるように投入・混合しておき、その後高分子凝集剤の溶解を開始しても良いし、高分子凝集剤溶解後に汚泥処理剤を投入・混合しても良い。
【0023】
本発明の方法においては、静菌剤が上記範囲の添加量となるように、予め高分子凝集剤の希釈液に汚泥処理剤を混合しておき、次いで高分子凝集剤を溶解するか、高分子凝集剤溶解液に静菌剤が上記範囲の添加量となるように汚泥処理剤を投入し混合することができる。即ち、脱水時に添加する静菌剤と高分子凝集剤の量が目標値となるように、まず希釈水に汚泥処理剤を混合し、次いで高分子凝集剤を溶解すれば、高分子凝集剤溶液の汚泥に対する添加量を一定にすることで、静菌剤と高分子凝集剤を目標値通りに添加できる。脱水状態や臭気の発生状態により、希釈水に混合する汚泥処理剤や高分子凝集剤の量を変更すればよい。
【0024】
本発明の方法において、汚泥に対する汚泥処理剤の添加率は、対象となる汚泥の種類や汚泥処理剤の含水率により一概には言えないが、汚泥中のSS分に対して0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。汚泥処理剤の添加率が0.1質量%未満では、本発明の効果が得られない。一方、20質量%を超えると、汚泥中に汚泥処理剤を均一に混合させることが難しくなり、また経済的にも不利である。
【0025】
本発明において用いられる高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤及びカチオン系高分子凝集剤を好ましく挙げることができ、特にカチオン系高分子凝集剤及び両性高分子凝集剤が好ましい。また、形状は粉末状のもの、エマルジョン状のものがいずれも使用可能である。なお、脱水に際して使用する高分子凝集剤の添加量は特に問わないが、一般的には、汚泥量のSSに対して0.3〜2.0%ある。
【0026】
カチオン系高分子凝集剤としては、カチオン性モノマーを必須成分として有し、カチオン性モノマーの共重合体又はカチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体からなるカチオン系高分子凝集剤、及び分子内にアミジン単位を有するカチオン系高分子凝集剤を好ましく用いることができる。カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートもしくはこれらの中和塩、4級塩及びこれらの組み合わせなどを好ましく挙げることができる。ノニオン性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタアクリロニトリル、酢酸ビニル等及びこれらの組み合わせを好ましく挙げることができる。本発明において用いることができるカチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体からなるカチオン系高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート及び/又はジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級化物/アクリルアミド共重合体、を好ましく挙げることができる。また、本発明において用いることができる分子内にアミジン単位を有するカチオン系高分子凝集剤としては、例えば、N−ビニルホルムアミド/アクリロニトリル共重合体のアミジン化物を好ましく挙げることができる。
【0027】
両性高分子凝集剤としては、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位及びノニオン性モノマー単位の共重合体を好ましく用いることができる。本発明において用いることができる両性高分子凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート及び/又はジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級化物/アクリルアミド/アクリル酸共重合体を好ましく挙げることができる。
【0028】
アニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アニオン性モノマーの共重合体、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体を好ましく挙げることができる。アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホ酸、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属塩又はアンモニウム塩を好ましく挙げることができる。アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体としては、アクリルアミド・アクリル酸共重合体、アクリルアミド・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体を好ましく挙げることができる。
【0029】
ノニオン系高分子凝集剤としては、ノニオン性モノマーの重合体又は共重合体を好ましく用いることができ、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、メタアクリロニトリル、酢酸ビニル等及びこれらの組み合わせを用いることができ、より好ましくはポリアクリルアミドを用いることができる。
【0030】
本発明の高分子凝集剤の添加工程においては、上述のカチオン系高分子凝集剤を添加した後に、さらに上述のアニオン系高分子凝集剤を添加する二剤法を用いることもできる。
【0031】
さらに、本発明においては、高分子凝集剤を添加する前に、混合した汚泥に無機凝集剤及び/又は有機高分子凝結剤を添加することもできる。無機凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、塩化第2鉄及びこれらの混合物を好ましく用いることができる。有機高分子凝結剤としては、縮合系ポリアミン、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダリン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合体、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体、ポリジメチルアジアリルアンモニウム塩・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、アクリルアミン塩共重合体などを好ましく用いることができる。
【0032】
以下、本発明の汚泥処理装置の実施態様の一例を、図1を参照して説明する。
本発明の汚泥処理装置1は、汚泥貯留槽2と、汚泥処理剤5を汚泥3に注入する注入装置6と、汚泥3及び前記汚泥処理剤5を混合する混合装置7と、凝集剤溶解装置8と、汚泥3及び前記汚泥処理剤5の混合物9と凝集剤溶解装置8にて調製された凝集剤溶液10とを混合し、凝集汚泥12を調製する凝集装置11と、前記凝集汚泥12を脱水し、分離液15と脱水ケーキ14を調製する脱水装置13とを備える。
上記装置を用いた本発明法の具体的態様としては、以下が挙げられる。
汚泥3を汚泥貯留槽2から引抜き、混合装置7に移送し、汚泥処理剤を汚泥に注入する注入装置6から汚泥処理剤を混合装置7に注入する。混合装置7にて汚泥3と汚泥処理剤5とを混合した混合物9を凝集装置11へ移送する。凝集装置11には、凝集剤溶解装置8にて調製された凝集剤溶液10が注入されるとともに前記混合物9を凝集剤により凝集処理が施され、凝集汚泥12が調製される。調製された凝集汚泥12は、脱水装置13にて脱水され、分離液15と臭気が抑制された脱水ケーキ14が調製される。上記汚泥等の移送手段としては、管、ポンプ、バルブ、コンプレッサー、等が適宜各装置間に用いられ、適宜、それら装置の制御装置が用いられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、以下に制限されないことは明らかである。
【0034】
(汚泥処理剤の製造)
セルロース繊維として市販のビスコースレーヨンフィラメント(ダイワボウレーヨン社製、1.7デシテックス)を用意した。このセルロース繊維を亜硝酸ナトリウム質量40%水溶液に1時間浸漬させた後、ローラーで挟んで水切りし含水率36%に調整後、長さ10mmに切断した汚泥処理剤A(本発明例)および長さ5mmに切断した汚泥処理剤B(本発明例)を得た。また、亜硝酸ナトリウム質量40%水溶液に1時間浸漬させた後、ローラーで挟んで水切りし含水率24%に調整後、長さ10mmに切断した汚泥処理剤C(本発明例)を得た。
別途セルロース繊維を純水に1時間浸漬させた後、ローラーで挟んで水切りし含水率60%に調整後、長さ10mmに切断した亜硝酸ナトリウムが含浸していない汚泥処理剤D(比較例)を得た。
セルロース繊維を10mmに切断したものに、含水率が12%となるように亜硝酸ナトリウム質量40%水溶液を均一に噴霧し汚泥処理剤E(比較例)を得た。
汚泥処理剤Aに、水道水を更に噴霧して加湿し含水率を90%に調整し汚泥処理剤F(比較例)を得た。
市販のポリエステルフィラメント(含水率1%)を10mmに切断したものの含水率が36%となるように亜硝酸ナトリウム質量40%水溶液を噴霧し汚泥処理剤G(比較例)とした。繊維は水分を吸収せず、繊維と水分が分離した状態であった。
【0035】
実施例1
下水処理場から発生する混合生汚泥スラリー(pH5.5、SS:33200mg/リットル、VSS:81.3%)200mlを300mlのビーカーに入れ、上記汚泥処理剤AをSSに対して2質量%添加してスパチュラで30秒間攪拌し混合させた。次に、高分子凝集剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩の重合体(エバグロースC−104G(商品名:水ing(株)製品、溶解濃度0.2%))をSSに対して1質量%添加した後、ビーカー間の移し変えを10回行い凝集させた。引き続き、凝集汚泥を重力脱水した後、2枚のろ布に挟みピストン型脱水機を用いて、2分間圧搾して脱水ケーキを得た。臭気測定用袋(容量:700ml)に上記脱水ケーキを入れ、ゴム栓で密栓しシリンジで600mlの無臭空気を注入した後30℃の恒温槽に保管し、所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定する。結果を表1に記載する。
【0036】
実施例2〜6、比較例1〜2
添加する汚泥処理剤の種類と量を変更した以外は実施例1と同様に試験を行った。結果を表1に記載する。
【0037】
比較例3〜8
汚泥処理剤を添加せずに脱水試験を行った(比較例3)。また、汚泥処理剤に代えて亜硝酸ナトリウム40%水溶液を亜硝酸ナトリウムとして318ppmになるよう添加して試験を行った(比較例4)。なお、この亜硝酸ナトリウム(NaNO)添加量としてのppmは、単位容量あたりの亜硝酸ナトリウムの質量の濃度であり、汚泥処理剤を用いた場合はそれに含まれる亜硝酸ナトリウム相当量の同濃度である。
汚泥処理剤Eを使用して脱水試験を行った(比較例5、6)。汚泥処理剤Gを使用して脱水試験を行った(比較例7、8)
結果を表1に記載する。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の実施例の結果はいずれも脱水直後から臭気抑制効果が発現されており、その効果も持続されている。また、脱水ケーキを目視観察すると汚泥処理剤が全面に均一に分散されていた。これに対して汚泥処理剤単独添加の場合(比較例1、2)には脱水ケーキ含水率は低下しているが臭気抑制効果は薬剤無添加の場合(比較例3)と大差ない。亜硝酸ナトリウムのみ添加した場合(比較例4)には同一添加量(実施例2、4)と比較すると脱水直後の臭気抑制が不十分で、72時間後にも臭気が発生している。汚泥に添加した亜硝酸ナトリウムの静菌効果が発現される前に汚泥を脱水ケーキにした事と、ろ液側に流出されて全量が有効に利用されていない事が原因と推測される。汚泥処理剤中の含水率を低減させた場合(比較例5、6)には汚泥への混合が不均一となりケーキ含水率が実施例と比較すると高くなったが、臭気抑制効果は十分ではない。ポリエステル繊維を使用した場合(比較例7、8)には脱水ケーキ含水率は実施例1、2と比較して若干高い程度であるが、比較例4と同様に脱水直後の臭気抑制が不十分で、72時間後には臭気が発生している。
【0040】
実施例7〜9
高分子凝集剤として前記エバグロースC−104Gを水に0.2質量%濃度に溶解中に、前記汚泥処理剤Aを0.4質量%、0.6質量%、1質量%濃度となるように添加し、30分間撹拌することで混合溶液を作製した。以下、溶解液ア、イ、ウと称する。
別途、前記汚泥処理剤Dを1%濃度になるように添加した混合溶液を作製した。以下、溶解液エと称する(後述の比較例9で使用)。いずれの場合も汚泥処理剤は均一に混合されていた。
下水処理場から発生する混合生汚泥スラリー(pH5.3、SS:29600mg/リットル、VSS:84.1%)200mlを300mlのビーカーに入れ上記作製した高分子凝集剤と汚泥処理剤の混合溶液(溶解液ア、イ、ウ)を、高分子凝集剤添加率がSSに対して1質量%となるよう添加した後、実施例1と同様に脱水試験を行った。結果を表2に記載する。
【0041】
比較例9〜12
溶解液エを使用して上記実施例7〜9と同様に脱水試験を行った(比較例9)。また、実施例7〜9において、汚泥処理剤を添加せずに脱水試験を行った(比較例10)。また、汚泥処理剤に代えて亜硝酸ナトリウム40%水溶液を亜硝酸ナトリウムとして142ppmまたは355ppmになるよう添加して試験を行った(比較例11、12)。なお、この亜硝酸ナトリウム(NaNO)添加量としてのppmは、上記と同義であり、汚泥処理剤を用いた場合も同様である。結果を表2に記載する。
【0042】
比較例13
前記高分子凝集剤エバグロースC−104Gを水に0.2%濃度に溶解中に、汚泥処理剤Eを0.4%、0.6%、1%濃度となるように添加し、30分間撹拌することで混合溶液を作製したが、分散状態は不均一で繊維の塊状が見られ、実用性に欠けるとともに汚泥処理剤分の正確な分取が困難と判断されたため脱水試験は実施しなかった。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の実施例の結果はいずれも脱水直後から臭気抑制効果が発現されており、その効果も持続されている。また、脱水ケーキを目視観察すると汚泥処理剤が全面に均一に分散されていた。これに対して汚泥処理剤単独添加の場合(比較例9)には脱水ケーキ含水率は低下しているが臭気抑制効果は薬剤無添加の場合(比較例10)と大差ない。亜硝酸ナトリウムのみ添加した場合(比較例11、12)には同一添加量(実施例7、9)と比較すると脱水直後の臭気抑制が不十分で、72時間後には臭気が発生している。前述したように、汚泥に添加した亜硝酸ナトリウムの静菌効果が発現される前に汚泥を脱水ケーキにした事と、ろ液側に流出されて全量が有効に利用されていない事が原因と推測される。
【0045】
実施例10、11
図1に示すような構成の処理装置にて実施した。
汚泥3として下水処理場から発生する混合生汚泥スラリー(pH5.3、SS:24900mg/リットル、VSS:85.1%)を汚泥貯留槽2から引抜き、混合装置4に移送し、汚泥処理剤5として前記汚泥処理剤Bを、注入装置6のスクリューフィーダーを用いて表3の量を混合装置4に注入する。混合装置4にて汚泥3と汚泥処理剤5とを混合した混合汚泥を凝集装置11へ移送する。凝集剤溶液10として、高分子凝集剤のジメチルアミノエチルアクリレート4級塩とアクリルアミド共重合体(エバグロースC−109(商品名:(株)荏原エンジニアリングサービス社製品、溶解濃度0.2%))溶液を凝集装置11にSSに対して0.8質量%となるよう添加して汚泥を凝集させた後、凝集装置11にて調製された凝集汚泥12を脱水装置11のスクリュープレス脱水機(スクリーン径300mmΦ)に供給し、スクリュー回転数0.6rpmの条件で脱水を行い、分離液12と脱水ケーキ13を得た。得られた脱水ケーキ50gを臭気測定用袋(容量:700ml)に入れ、ゴム栓で密栓しシリンジで600mlの無臭空気を注入した後30℃の恒温槽に保管し、所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定した。結果を表3に記載する。
【0046】
比較例14
汚泥処理剤Bに代えて汚泥処理剤F(含水率:90%)を使用した以外は、実施例10と同様に試験を行ったが、汚泥処理剤Fは、遊離した水分が多くホッパーやフィーダー内での付着し供給が困難であった。
【0047】
比較例15〜17
汚泥処理剤Bに代えて第1凝集槽に亜硝酸ナトリウム40%水溶液を所定量添加して脱水試験を行った(比較例15、16)。また、高分子凝集剤のみで脱水試験を行った(比較例17)。結果を表3に記載する。なお、NaNO添加量は、上記と同義である。
【0048】
【表3】
【0049】
表3の実施例の結果は、上記実施例と同様に、いずれも脱水直後から臭気抑制効果が発現されており、その効果も持続されている。また、脱水ケーキを目視観察すると短繊維が全面に均一に分散されていた。これに対して亜硝酸ナトリウムのみ添加した場合(比較例15、16)には同一添加量(実施例10、11)と比較すると脱水直後の臭気抑制が不十分で、72時間後には臭気が発生している。上記と同様、汚泥に添加した亜硝酸ナトリウムの静菌効果が発現される前に汚泥を脱水ケーキにした事と、ろ液側に流出されて全量が有効に利用されていない事が原因と推測される。
【符号の説明】
【0050】
1…汚泥処理装置、2…汚泥貯留槽、3…汚泥、5…汚泥処理剤、6…注入装置、7…混合装置、8…凝集剤溶解装置、9…混合物、10…凝集剤溶液、11…凝集装置、12…凝集汚泥、13…脱水装置、14…脱水ケーキ、15…分離液。
図1