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第1の導体ピンと第2の導体ピンと支持基板とを有し、前記第1の導体ピンと前記第2の導体ピンの一端側に前記支持基板が接続され、前記第1の導体ピンと前記第2の導体ピンの他端側に半田を介して電子部品を電気的に接続することができる実装用基板であって、
少なくとも前記第1の導体ピンは、側面が少なくとも前記他端側の第1の側面と前記一端側の第2の側面とで構成され、前記第1の側面と前記第2の側面とが交線部で、外側に膨らむように構成され、
少なくとも前記第1の導体ピンの他端側に接続されている前記半田は、前記他端側から這い上がっており、前記交線部で前記半田の這い上がりが止まっており、
前記第1の導体ピンの少なくとも前記交線部の周辺は、被覆材で覆われており、
前記被覆材は、前記第1の導体ピンを構成する材料よりも、前記半田に対して濡れ性が低い導体からなり、前記交線部を覆う部分が部分的に厚くなっている、
ことを特徴とする実装用基板。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子デバイス、及びそれを構成する実装用基板を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子デバイス、及びそれを構成する実装用基板を示す断面図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第2の導体ピンを示す図である。
【
図3B】
図3Aに示す第2の導体ピンを挿入端側から見た図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第1の導体ピンを示す図である。
【
図4B】
図4Aに示す第1の導体ピンを挿入端側から見た図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図5B】
図5Aに示す第1の導体ピンを実装端側から見た図である。
【
図5C】第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図6A】本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの形状の詳細を示す図である。
【
図6B】本発明の実施形態に係る交線部周辺を覆う被覆材を示す図である。
【
図7A】比較例に係るストレートピンと電子部品との接続部を示す図である。
【
図7B】比較例に係る半田の這い上がりを説明するための図である。
【
図8A】比較例に係るストレートピンについて、半田這い上がりの説明図である。
【
図8B】本発明の実施形態に係る第1の導体ピンについて、半田這い上がりの説明図である。
【
図9】比較例に係るストレートピンと本発明の実施形態に係る第1の導体ピンとの各々について、半田這い上がりを示すグラフである。
【
図10A】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板を準備する工程を説明するための図である。
【
図10B】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板に孔を形成する工程を説明するための図である。
【
図11A】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、先端近傍に、軸に平行なストレート側面を有する導体ピンを準備する工程を説明するための図である。
【
図11B】
図11Aに示す導体ピンをプレス加工する工程を説明するための図である。
【
図11C】
図11Bのプレス加工により形成された、先端側に交線部を有する導体ピンを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る第2の導体ピンを形成する第2の方法を説明するための図である。
【
図13A】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板の孔に導体ピンを挿入する工程を説明するための図である。
【
図13B】本発明の実施形態に係る完成した実装用基板を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、基板上に電子部品を設置する工程を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、実装用基板の導体ピンに電子部品を実装する工程を説明するための図である。
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図16A】本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図16C】本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図17A】本発明の第2の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図17C】本発明の第2の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図18A】本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図18C】本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図19A】本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図19C】本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図20A】本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図である。
【
図20C】本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る部分的にテーパした第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図22】本発明の実施形態に係るテーパ部の側面が曲面である第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの鍔部の側面が階段状になっている一例を示す図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの側面が凹凸面からなる交線部の一例を示す図である。
【
図25A】本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、鋭角な交線部を有する第2の導体ピンの一例を示す図である。
【
図25B】本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、鈍角な交線部を有する第2の導体ピンの一例を示す図である。
【
図25C】本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、実装端近傍に、曲面からなる上り坂を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図26A】本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンが角形の窪み(凹部)を有する一例を示す図である。
【
図26B】本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の窪みが形成される一例を示す図である。
【
図27A】本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンが角形の突起(凸部)を有する一例を示す図である。
【
図27B】本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の突起が形成される一例を示す図である。
【
図28】本発明の実施形態に係る、周方向に沿って、窪み(凹部)及び突起(凸部)を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図29】本発明の実施形態に係る、実装端近傍に複数の鍔部を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図30】本発明の実施形態に係る、実装端近傍に階段状の段差を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図31A】本発明の実施形態に係る、テーパ部と鍔部との両方を有する第1の導体ピンの第1の例を示す図である。
【
図31B】本発明の実施形態に係る、テーパ部と鍔部との両方を有する第1の導体ピンの第2の例を示す図である。
【
図32A】本発明の実施形態に係る、被覆材(金属膜)により部分的に覆われた第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図32B】本発明の実施形態に係る、交線部のみが被覆材(金属膜)で覆われた第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図32C】本発明の実施形態に係る、被覆材(金属膜)で覆われていない第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図33A】本発明の実施形態に係る、鍔部を有さない第1の導体ピンの第1の例を示す図である。
【
図33B】本発明の実施形態に係る、鍔部を有さない第1の導体ピンの第2の例を示す図である。
【
図34】本発明の実施形態に係る、曲がった第1の導体ピンの一例を示す図である。
【
図35A】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正四角形を示す図である。
【
図35B】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正六角形を示す図である。
【
図35C】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正八角形を示す図である。
【
図35D】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の横断面の形状の別例としての楕円を示す図である。
【
図36A】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての十字形を示す図である。
【
図36B】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正多角星形を示す図である。
【
図36C】本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての花弁形を示す図である。
【
図37】実装用基板の全ての導体ピンとして、本発明の実施形態に係る導体ピンを適用した一例を示す図である。
【
図38】本発明の実施形態に係る導体ピンと支持基板とが連続的に形成された実装用基板の一例を示す図である。
【
図39】本発明の実施形態に係る導体ピンを、複数の支持基板を有する電子デバイスに適用した一例を示す図である。
【
図40】本発明の実施形態に係る導体ピンを有し、配線板を有さない電子デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
特許文献1に記載されるような従来のピンボンディングの接続信頼性に関して、ピンボンディングとワイヤボンディングとを比較して説明する。
【0031】
ワイヤボンディングでは、電子部品の電極が、ワイヤ(例えばアルミニウム等からなる金属線)と直接接続(溶接)される。ワイヤは柔軟性があるため、例えばパッケージを構成する各材料の熱膨張率差に起因してパッケージに歪み(熱歪み)が生じても、ワイヤは断線しにくい。
【0032】
これに対し、ピンボンディングでは、電子部品の電極が、半田を介して、導体ピンと電気的に接続される。ワイヤに比べて導体ピンは硬いため、こうした構造では、温度上昇に伴って導体ピンと電子部品との接続部分にかかる熱応力が大きくなると考えられる。このため導体ピンと電子部品との接続部分の半田に亀裂が入り易くなり、接続信頼性が低下し易くなる。
【0033】
本発明は、実装用基板の導体ピンと、これに実装される電子部品との接続信頼性を高めることができる。
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、図中、矢印Z1、Z2は、それぞれ支持基板の主面(表裏面)の法線方向、すなわち支持基板の厚み方向を指す。一方、矢印X1、X2及びY1、Y2は、それぞれ支持基板の厚み方向に直交する方向(支持基板の主面に平行な方向)を指す。支持基板の主面は、X−Y平面となる。また、支持基板の側面は、X−Z平面又はY−Z平面となる。
【0035】
導体ピンに関しては、導体ピンの一端から他端にかけて、各断面(横断面)の重心(断面が円であればその円の中心)を通る線を軸とする。軸に直交する断面(例えばX−Y平面)を、横断面という。また、軸に平行な断面(例えばX−Z平面又はY−Z平面)を、縦断面という。本実施形態では、軸が、導体ピンの長手方向の直線になる。導体ピンの長手方向は、挿入方向(例えばZ方向)に相当する。ただし、軸は必ずしも直線であるとは限らない(例えば
図34中の3つの直線から構成される軸を参照)。
【0036】
周方向とは、横断面の輪郭に沿った方向を意味し(
図4B中の方向C1参照)、横断面の輪郭が円以外の場合にも同様である。径方向とは、横断面の輪郭の任意の一点から軸に向かう方向を意味し(
図4B中の方向C2参照)、横断面の輪郭が円以外の場合にも同様である。径方向のうち、導体ピンの軸から離れる側を外側といい、導体ピンの軸に近づく側を内側という。また、軸に平行であることをストレートという。
【0037】
「挿入」には、孔径に比して十分細い部材を孔に差し込むことのほか、部材を孔に嵌入又は螺入することなども含まれる。
【0038】
「接続」には、継ぎ目がある場合のほか、継ぎ目がない場合も含まれる。継ぎ目がある場合とは、例えば別々に形成された2つの物体が接着剤等で接合されている場合をいう。継ぎ目がない場合とは、例えば2つの部分が連続的(一体的)に形成され、それらの間に何も介在しない場合をいう。
【0039】
めっきには、電解めっき等の湿式めっきのほか、PVD(Physical Vapor Deposition)又はCVD(Chemical Vapor Deposition)等の乾式めっきも含まれる。
【0040】
孔又は柱体(突起)の「幅」は、特に指定がなければ、円の場合には直径を意味し、円以外の場合には√(4×断面積/π)を意味する。
【0041】
本明細書中、導体ピンとは、特にことわりがない限り、第1の導体ピンのことを指すが、さらに第2の導体ピンに適用しても良い。
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係る電子デバイス、及びそれを構成する実装用基板を示す平面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る電子デバイス、及びそれを構成する実装用基板を示す断面図である。
【0043】
本実施形態の電子デバイス100は、
図1及び
図2に示すように、実装用基板100aと、配線板1000と、電子部品である半導体チップ201及び202と、を有する。
【0044】
本実施形態の実装用基板は、第1の導体ピンと第2の導体ピンと支持基板とを有し、第1の導体ピンと第2の導体ピンの一端側に支持基板が接続され、第1の導体ピンと第2の導体ピンの他端側に電子部品を電気的に接続することができる実装用基板であって、少なくとも第1の導体ピンは、側面が少なくとも他端側の第1の側面と一端側の第2の側面とで構成され、第1の側面と第2とが側面の交線部で、外側に膨らむように構成されている。
【0045】
本実施形態の電子デバイスは、本実施形態の実装用基板と、第1の導体ピンの他端側と、第2の導体ピンの他端側と、に半田を介して電気的に接続された電子部品と、を有する。
【0046】
実装用基板100aは、支持基板2000と、導体ピン群101〜103と、から構成される。支持基板2000は、導体ピン群101〜103の各導体ピンの一端側(Z2側)に接続されている。各導体ピンの他端側(Z1側)には、配線板1000のパッド及び半導体チップ201、202の電極が電気的に接続されている。
【0047】
本実施形態では、配線板1000が、銅配線を有するプリント配線板である。具体的には、配線板1000は、例えばセラミック基板と、その上に形成された導体層(銅配線)と、から構成される。ただしこれに限定されず、配線板1000は多層配線板であってもよく、配線の材料は銅以外の導体であってもよい。また、配線板1000に代えて、金属板を用いてもよい。半導体チップ201及び202はそれぞれ、FET(Field Effect Transistor)等のトランジスタのようなディスクリート半導体のほか、これらと組み合わせたダーリントントランジスタICなどであってもよい。
【0048】
支持基板2000のZ1側の主面は第1面F11であり、支持基板2000のZ2側の主面は第2面F12である。支持基板2000は、第1絶縁層2001と、第2絶縁層2002と、第3絶縁層2003と、から構成される。ここで、第1絶縁層2001は例えば熱可塑性ポリイミドからなり、第2絶縁層2002は例えば熱硬化性ポリイミドからなり、第3絶縁層2003は例えば熱可塑性ポリイミドからなる。ただしこれらに限定されず、支持基板2000の材料は任意である。例えば支持基板2000は、金属板又は樹脂基板であってもよい。
【0049】
支持基板2000には、複数(導体ピンに対応した数)の孔2000aが形成されている。孔2000aは、例えばスルーホール(貫通孔)であり、支持基板2000の主面に対して垂直に形成される。導体ピン群101〜103の各導体ピンの一端側(挿入部)は、孔2000aに挿入(例えば嵌入)される。導体ピン群101〜103の各導体ピンの他端側(実装部)は、支持基板2000の第1面F11に対して垂直に突出する。なお、孔2000aの内面に導体膜が形成されていてもよい。また、孔2000aは有底孔であってもよい。有底孔とは、底のある孔のことをいう。
【0050】
導体ピン群101、103は、それぞれ1種類の導体ピン101a、103aから構成され、導体ピン群102は、2種類の導体ピン10(第1の導体ピン)及び導体ピン20(第2の導体ピン)から構成される。
【0051】
本実施形態の第1の導体ピンは、複数で構成された第1の導体ピン群を構成し、第1の導体ピン群は長さが揃っている。
【0052】
本実施形態の第2の導体ピンは、複数で構成された第2の導体ピン群を構成し、第2の導体ピン群は長さが揃っている。
【0053】
本実施形態の第1の導体ピン群は、第1の導体ピンの太さが揃っている。
【0054】
本実施形態の第2の導体ピン群は、第2の導体ピンの太さが揃っている。
【0055】
導体ピン101a、103a、20は、例えば電力系のパッド又は電極(例えばトランジスタのコレクタ電極又はエミッタ電極)に接続される。一方、導体ピン10は、信号系の電極(例えばトランジスタのベース電極又はゲート電極)に接続される。導体ピン群(101a、10、20、103a)ごと、導体ピンの長さが揃っている。導体ピンの長さが揃っているとは、長さが略同一のことをいう。これにより、導体ピンの先端と、電力系のパッド又は電極との間隔が均等になるのでリフローで形成されるハンダのフィレットは類似の形状となり易い。このため、ハンダのフィレット形状のばらつきが小さくなり、導体ピンの先端とパッド又は電極との接続信頼性を高めることができる。
【0056】
また、導体ピン群(101a、10、20、103a)ごと、導体ピンの太さも揃っている。導体ピンの太さが揃っているとは、太さが略同一のことをいう。このため、ハンダのフィレット形状のばらつきが小さくなり、形成されるハンダのフィレットは同一の導体ピン群内では類似の形状となり易く、導体ピンの先端とパッド又は電極との接続信頼性を高めることができる。
【0057】
導体ピン101aは、半田1000aを介して、配線板1000のパッドと電気的に接続される。導体ピン10、20はそれぞれ、半田201aを介して、半導体チップ201の電極と電気的に接続される。導体ピン103aは、半田202aを介して、半導体チップ202の電極と電気的に接続される。半田1000a、201a、202aの材料としては、例えば錫又は錫合金などを用いることができる。
【0058】
図2中、導体ピン101aと配線板1000との距離は、距離d1であり、導体ピン10、20と半導体チップ201との距離はそれぞれ、距離d20、d2であり、導体ピン103aと半導体チップ202との距離は、距離d3である。本実施形態では、導体ピン群101〜103が、互いに異なる長さの導体ピンを有する。詳しくは、本実施形態において、半導体チップ201、202は、互いに異なる高さを有する。このため、支持基板2000から、配線板1000、半導体チップ201、202までの距離は、互いに異なる。本実施形態では、導体ピン群101〜103の導体ピンの長さが、この距離の違いに対応しており、距離d1、d20、d2、d3が、互いに同等となっている。これにより、半田1000a、201a、202aによる接続層の厚さが均一になるため、リフロー時にいずれの箇所も同様に溶融するので形成されるフィレットは類似の形状となる。このため、ハンダのフィレット形状のばらつきが小さくなり、導体ピンの先端とパッド又は電極との接続信頼性を高めることができる。また、半田1000a、201a、202aの量も均一にすることができるため、半田の量の調整が不要となり、製造工程が簡素になる。距離d1、d20、d2、d3はそれぞれ、例えば10〜50μmの範囲が好ましい。
【0059】
本実施形態では、導体ピン群101〜103が、互いに異なる長さの導体ピンを有することで、支持基板2000と、配線板1000のパッドあるいは半導体チップ201、202との距離にかかわらず、距離d1、d20、d2、d3を均一にすることができる。こうした構造では、支持基板2000と、配線板1000のパッドあるいは半導体チップ201、202との距離に違いがあっても接続できる。そのため、導体ピンの先端の高さを揃えるための導体のスペーサー等を必要としないので、部品点数を減らし、製造工程数が増加しない。
【0060】
図3A及び
図3Bに、第2の導体ピン20を示し、
図4A及び
図4Bに、第1の導体ピン10を示す。
図3Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第2の導体ピンを示す図であり、
図3Bは、
図3Aに示す第2の導体ピンを挿入端側から見た図である。
【0061】
図4Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第1の導体ピンを示す図であり、
図4Bは、
図4Aに示す第1の導体ピンを挿入端側から見た図である。
図3B及び
図4B中の方向C1は周方向に相当し、
図3B及び
図4B中の方向C2は径方向に相当する。なお、本実施形態において、導体ピン101a、103aの構造は、寸法以外は、導体ピン20と同じである。
【0062】
導体ピン20は、
図3A及び
図3Bに示されるように、実装部21と、鍔部22と、挿入部23と、から構成される。導体ピン20の一端は挿入端F2であり、導体ピン20の他端は実装端F1である。導体ピン20は、挿入端F2側から孔2000aに挿入され、実装端F1側で半導体チップ201の電極と接続される。導体ピン20は、円柱状の導体である。実装部21及び挿入部23の形状は、円柱(ストレート形状)である。鍔部22の形状は、円板である。導体ピン20は、例えば銅又は銅合金からなる。上記円板は、実装部及び挿入部の円柱よりも外部に形成されている円柱部分のことをいう。
【0063】
例えば実装部21、鍔部22、挿入部23は、それぞれ直径d121、d122、d123を有する。例えば実装部21の直径d121と挿入部23の直径d123とは、同一である。鍔部22の直径d122は、直径d121、d123の各々よりも大きい。鍔部22の側面は、実装部21及び挿入部23の側面に対して径方向(外側)に突出する。このため、導体ピン20を孔2000aに挿入する際に、鍔部22はストッパとして機能する。すなわち、鍔部22により過剰な挿入が防止される。孔2000aには挿入部23が挿入され、実装部21及び鍔部22は、支持基板2000の第1面F11から突出する。直径d121は、例えば0.25〜0.6mmの範囲にあり、直径d122は、例えば0.6〜1.0mmの範囲にあり、直径d123は、例えば0.25〜0.6mmの範囲にある。
【0064】
第1の導体ピン10は、
図4A及び
図4Bに示されるように、実装部11と、鍔部12と、挿入部13と、から構成される。そして、第1の導体ピン10の表面には、被覆材10aが形成されている。被覆材10aは、第1の導体ピン10全体を覆っている。
【0065】
第1導体ピン10の一端は挿入端F2であり、第1の導体ピン10の他端は実装端F1である。第1の導体ピン10は、挿入端F2側から孔2000aに挿入され、実装端F1側で半導体チップ201の電極と接続される。第1の導体ピン10は、円柱状の導体である。挿入部13の形状は、円柱(ストレート形状)である。鍔部12の形状は、円柱(ストレート形状)であり、鍔部12の大きさは実装部11及び挿入部13よりも大きい。そして、本実施形態では、実装部11が、実装端F1近傍(実装部11)で、実装端F1に向かうほど細くなるようにテーパ形状をしている。
図4A中、長さd114、d115、d116はそれぞれ、実装部11、鍔部12、挿入部13の長さである。例えば長さd114は0.8〜3.0mmの範囲にあり、長さd115は0.1〜0.6mmの範囲にあり、長さd116は0.4〜2.0mmの範囲にある。
【0066】
実装部11(ストレート部P12)、鍔部12、挿入部13は、それぞれ直径d111、d112、d113を有する。鍔部12の直径d112は、直径d111、d113の各々よりも大きい。鍔部12の側面は、実装部11及び挿入部13の側面に対して径方向(外側)に突出する。このため、導体ピン10を孔2000aに挿入する際に、鍔部12はストッパとして機能する。すなわち、鍔部12により過剰な挿入が防止される。孔2000aには挿入部13が挿入され、実装部11及び鍔部12は、支持基板2000の第1面F11から突出する。実装部11の直径d111は、0.25〜0.6mmの範囲にあることが好ましい。挿入部13の直径d113は、例えば直径d111と同一である。鍔部12の直径d113は、例えば0.6〜1.0mmである。
【0067】
第1の導体ピン10は、実装端F1近傍の側面F3に、交線部P1を有する。交線部P1は、第1の導体ピン10の外周を周回する。第1の導体ピン10は、側面F3が他端(実装端F1)側の第1の側面F31と一端(挿入端F2)側の第2の側面F32とで構成される。第1の側面F31と第2の側面F32とは、交線部P1で外側に膨らむように接続されている。また、第1の導体ピン10(詳しくは実装部11)は、実装端F1近傍に、実装端F1側から挿入端F2側に向かうほど導体ピン10の軸Cから遠ざかる側面(第1の側面F31)を有するテーパ部P11(上り坂部:テーパー状に形成されている第1の側面)と、第1の導体ピン10の軸Cに平行な側面(第2の側面F32)を有するストレート部P12と、を有する。本実施形態の交線部P1は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、側面F3の傾斜が、第1の導体ピン10の軸Cに対して外側(軸Cから離れる側)への傾斜(テーパ部P11)から、より内側(軸Cに近づく側)への傾斜(ストレート部P12)へと変わる部分である。交線部P1は、テーパ部P11とストレート部P12との境に位置し、テーパ部P11、交線部P1、及びストレート部P12は、実装端F1側から挿入端F2側に向かってこの順で、連続的に形成されている。交線部P1は、テーパの開始位置に形成される。
【0068】
図5Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板に用いられる第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図5Bは、
図5Aに示す第1の導体ピンを実装端側から見た図であり、
図5Cは第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0069】
図6Aは、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの形状の詳細を示す図であり、
図6Bは交線部周辺を覆う被覆材を示す図である。
図7Aは比較例に係るストレートピンと電子部品との接続部を示す図であり、
図7Bは比較例に係る半田の這い上がりを説明するための図である。
【0070】
図8Aは、比較例に係るストレートピンについて、半田這い上がりの説明図であり、
図8Bは、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンについて、半田這い上がりの説明図である。
【0071】
図9は、比較例に係るストレートピンと本発明の実施形態に係る第1の導体ピンとの各々について、半田這い上がりを示すグラフである。
【0072】
図5A及び
図5Bに、導体ピン10の実装端F1近傍を拡大して示す。
図5A中、距離d11は、実装端F1(他端側端面)と交線部P1との距離である。距離d11は、0.2mmの範囲にあることが好ましい。すなわち、交線部P1は、第1の導体ピン10の他端側端面から第1の導体ピン10の軸方向に0.2mmまでの範囲にあることが好ましい。交線部P1がこうした範囲にあれば、後述する半田の這い上がりを抑制し易くなる。
【0073】
第1の導体ピン10は、半田201aを介して、半導体チップ201の電極と電気的に接続される。
図5Cに、第1の導体ピン10と半導体チップ201との接続部を示す。半田201aは、第1の導体ピン10と半導体チップ201との間に接続層S201を形成するとともに、接続層S201の周囲にフィレットS202を形成する。
【0074】
図6Aに、本発明の実施形態に係る第1の導体ピン10の形状の詳細を示す。本実施形態では、テーパ部P11の側面が斜面(軸Cに対して傾いた平面)になっている。角度θ10は、テーパ部P11の側面の軸Cに対する角度である。すなわち、角度θ10は、導体ピン10の軸C(中心軸)を含む平面において、第1の側面F31と軸Cとのなす角度に相当する。テーパの母線と軸C(中心軸)との角度とも定義できる。角度θ10は、5〜20°の範囲にあることが好ましい。また、交線部P1において第1の側面F31と第2の側面F32とのなす角度θ1は、89〜170°の範囲にあることが好ましい。角度θ10又はθ1がこうした範囲にあれば、必要な導電性を確保しながら、後述する半田の這い上がりを抑制する効果が得られ易くなる。なお、導体ピン10の形状は、
図4A〜
図6Aに示した形状に限られない(後述の
図16A〜
図31Bなどに示す形状でもよい)。
【0075】
第1の導体ピン10は、例えば銅又は銅合金からなる。被覆材10aは、例えばニッケルからなる。ただしこれに限られず、被覆材10aの材料は任意である。ただし、被覆材10aの材料は、第1の導体ピン10の材料よりも、半田201aに対して濡れ性が低い導体(例えば金属)であることが好ましい。半田に対して濡れ性が低いとは、半田との接触角が大きいことを示す。例えば第1の導体ピン10の材料が銅又は銅合金である場合は、被覆材10aの材料がクロム又は亜鉛などであることが好ましい。第1の導体ピン10表面(厳密に言えば被覆材10a)の半田201aに対する濡れ性を低く(接触角を大きく)することで、半田201aが少し這い上がることによって第1の導体ピン10の表面(被覆材10a)において半田201aと第1の導体ピン10表面とのなす角が、接触角に到達し易くなる。その結果、半田201aの過度の這い上がりを抑制し十分な肉厚のある良好なフィレットを形成することができる(後述の
図9参照)。
【0076】
被覆材10aの、交線部P1を覆う部分は、
図6Bに示すように、部分的に厚くなっている。被覆材10aが薄くて交線部P1において下地の導体ピン10(例えば銅)が露出すると、交線部P1において半田201aの接触角が小さくなるため、半田201aの這い上がりを抑制しにくくなる。この点、本実施形態では、被覆材10aの、交線部P1を覆う部分が、部分的に厚くなっているため、交線部P1において下地の導体ピン10が露出しにくくなる。非交線部における被覆材10aの膜厚d10は、例えば3〜20μmの範囲にある。
【0077】
被覆材10aは、電解めっき膜であることが好ましい。交線部P1には電流が集中し易いため、被覆材10aが電解めっき膜であれば、交線部P1における膜厚d12を大きくすることが容易になり(
図6B参照)、交線部P1を周囲よりも厚くすることが可能になる。また、例えば、電解メッキ膜を形成後に、均等にエッチング(ソフトエッチング)をすることにより、第1の導体ピン10の交線部P1のみを覆うような被覆材10aの形成も容易になる(後述の
図32B参照)。
【0078】
本実施形態では、第1及び第2の導体ピンの挿入端(挿入端F2等)が、露出している。詳しくは、第1及び第2の導体ピンの挿入端が、例えば支持基板2000の第2面F12と一致する。しかしこれに限られず、第1又は第2の導体ピンが支持基板2000を突き抜けてもよいし、第1又は第2の導体ピンの挿入端が支持基板2000の第2面F12に届かなくてもよい。
【0079】
第1又は第2の導体ピン(導体ピン10等)の材料は、銅又は銅合金に限られず、任意である。導体ピンの材料は、例えばアルミニウム、銀、もしくは金等を主成分とする金属、又はその合金であってもよい。第1又は第2の導体ピン(導体ピン10等)の横断面の形状は、円に限られず、任意である(後述の
図35A〜
図36Cなどであってもよい)。
【0080】
第1又は第2の導体ピン(導体ピン10等)の寸法も任意である。例えば第2の導体ピンは、流れる電流が大きいものほど、太くすることが好ましい。本実施形態では、信号系の第1の導体ピン10を、電力系の第2の導体ピン20よりも細くしているため、半導体素子の電力系の第2の導体ピン20の断面積の比率を大きくすることができる。このため、第2の導体ピンを太くすることにより、電力系導体ピンからのジュール熱による発熱を小さくすることができる。
【0081】
本実施形態の実装用基板100aによれば、第1の導体ピン10と半導体チップ201との接続部における半田201aの這い上がりを抑制することができる。以下、比較例を用いて、このことについて詳述する。比較例では、交線部P1を有する第1の導体ピン10に代えて、ストレート形状の実装部を有する導体ピン(ストレートピン)を用いる。
【0082】
図7Aは、比較例に係るストレートピンと電子部品との接続部を示す図であり、
図7Bは、比較例に係る半田の這い上がりを説明するための図である。
図8Aは、比較例に係るストレートピンについて、半田這い上がりの説明図であり、
図8Bは、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンについて、半田這い上がりの説明図である。
【0083】
図7Aに、比較例に係る導体ピン500と半導体チップ201との接続部を示す。導体ピンと半導体との接続が理想的な場合には、
図7Aに示すように、十分な大きさのフィレットS202が形成され、十分な接続強度が得られると考えられる。しかし、半田201aの這い上がりが生じると、
図7Bに示すように、フィレットS202が小さくなり易い。この場合、
図7B中、半田201aの下端部Dに応力が集中し易くなり、半田201aに亀裂等が生じ易くなる。そのため、導体ピン500と半導体チップ201との接続信頼性が低下し易くなると考えられる。
【0084】
比較例に係る導体ピン500では、
図8Aに示すように、半田201aの溶融過程で、位置h0に半田201aの上端がある。このとき、半田201aと導体ピンのテーパ部P21とのなす角はθ21であり、導体ピン500と半田201aとの接触角より大きい。さらに時間が経過すると位置h2に半田201aの上端が上昇することにより、導体ピン500と半田201aとのなす角度θ22が導体ピン500と半田201aとの接触角に到達し、這い上がりが止まる。導体ピン500と半田201aとのなす角度は、導体ピンと500と半導体チップ201との接続が良好な場合には角度θ21であるが、さらに半田201aに這い上がりが発生し、導体ピンと500と半導体チップ201との接続が不十分な時はθ21よりも小さい角度θ22になる。このため、半田の上端の高さを制御しにくく、フィレット形状が悪くなり、半田フィレットに応力が集中し易くなり、半田に亀裂等が生じ易くなる。そのため、導体ピン500と半導体チップとの接続信頼性が低下し易くなると考えられる。
【0085】
一方、本実施形態に係る第1の導体ピン10では、
図8Bに示すように、半田201aの溶融過程で、位置h0に半田201aの上端がある。このとき、半田201aと第1の導体ピンのテーパ部P11とのなす角はθ11であり、第1の導体ピン10と半田201aとの接触角より大きい。さらに時間が経過すると、半田201aの上端が上昇する。位置h1に半田201aの上端がきて、第1の導体ピンのストレート部P12と半田201aとのなす角θ12が第1の導体ピン10と半田201aとの接触角よりも小さい場合、這い上がりが止まる。この場合、半田201aは、半田のリフローを十分に行っても半田の上端の高さはh1よりも上昇することがなく、半田フィレットが薄くなりにくいので、フィレット形状が良好となる。半田フィレットに部分的な応力集中が起こりにくくなり、半田に亀裂等が生じにくくなる。そのため、第1の導体ピン10と半導体チップとの接続信頼性が得られ易くなると考えられる。
【0086】
本実施形態に係る第1の導体ピン10と比較例に係る導体ピン500とを比較すると、導体ピン500よりも第1の導体ピン10の方が、半田201aの這い上がり量が小さくすることができると考えられる。以下、
図9を参照して、このことについて説明する。
【0087】
図9は、比較例に係るストレートピンと本発明の実施形態に係る第1の導体ピンとの各々について、半田這い上がりを示すグラフである。
【0088】
図9に示すように、半田201aの這い上がりが進行するほど、すなわち半田201aの上端が高くなるほど、本実施形態の第1の導体ピン10又は比較例の導体ピン500と半田201aとのなす角度は小さくなっていき、接触角θ0(θ22)に到達すると、半田201aの這い上がりが止まると考えられる。
【0089】
例えば比較例の導体ピン500では、
図9のグラフ中に線L2で示されるように、半田201aの這い上がりが進行し、導体ピン500と半田201aの上端の高さが高くなるにつれて、導体ピン500と半田201aとのなす角度が徐々に小さくなり、やがてその角度が接触角θ22に到達すると、半田201aの這い上がりが止まると考えられる。これに対し、本実施形態の第1の導体ピン10では、
図9のグラフ中に線L1で示されるように、半田201aの上端が交線部P1に到達するまでは比較例の場合と同様に接触角が小さくなるが、半田201aの上端が交線部P1に到達すると、すなわち半田201aの上端の高さが位置h1になると、第1の導体ピン10と半田201aとのなす角度が急激に小さくなる。これにより、その角度が接触角θ0以下になるので、半田201aの這い上がりが止まる。このように、本実施形態の第1の導体ピン10では、交線部P1を有するので、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。このため、本実施形態の第1の導体ピン10によれば、交線部P1の位置により、半導体チップ201実装時における半田201aの上端の位置をコントロールし易くなると考えられる。
【0090】
また、本実施形態では、
図6A及び
図6Bに示すように、第1の導体ピン10の交線部P1の周辺が被覆材10aに覆われる。交線部の周辺とは、例えば交線部から0.1mm以内の範囲のことをいう。被覆材10aは半田201aに対して濡れ性が低い(接触角が大きい)材料からなるため、交線部P1における半田201aの接触角θ0は大きくなる。このため、交線部P1において、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。また、本実施形態では、被覆材10aの、交線部P1を覆う部分が、部分的に厚くなり交線部P1を完全に覆っているため、交線部P1において下地の第1の導体ピン10が露出しにくい。また、被覆材10aの厚みを薄くするあるいは電解メッキで被覆材10aを形成した後に、全体を薄くエッチングすることにより、テーパ部P11及びストレート部P12で下地を露出させてもよい。
【0091】
なお、第1の導体ピン10と半田201aとの接触角θ0は、第1の導体ピン10表面の状態(酸化など)、又は第1の導体ピン10と半田201aとの結晶構造の類似性などによって決まる定数である。半田の材料としては、錫又は錫合金などが用いられる。銅もしくは金、又はそれらの合金は、上記半田材料に対して濡れ性が高く、ニッケル、クロム、又は亜鉛は、上記半田材料に対して濡れ性が低い材料である。このため、第1の導体ピン10の材料として、銅もしくは金、又はそれらの合金を用いる場合には、第1の導体ピン10の交線部P1を、ニッケル、クロム、又は亜鉛からなる被覆材10aで覆うことが好ましい。これにより、第1の導体ピン10の表面(被覆材10a)において半田201aの接触角θ0が大きくなる。その結果、
図9で説明したように、半田201aの這い上がりを抑制し易くなる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態の実装用基板100aによれば、第1の導体ピン10と半導体チップ201との接続部における半田201aの這い上がりを抑制することができる。本実施形態では、半田の這い上がりを抑制するために第1の導体ピン10の実装端F1近傍をテーパさせ、第1の導体ピン10の実装端F1近傍を細く成形した。これにより、交線部P1が形成され、半田201aの這い上がりが抑制されることは前述したとおりである。こうした構造では、実装端F1近傍をテーパさせることで、交線部P1が容易に得られる。ただしこれに限られず、第1の導体ピン10の実装端F1近傍を細くしないで、交線部P1を得るようにしてもよい(後述の
図16A〜
図17C等に示す形状にしてもよい)。
【0093】
また、半田201aの這い上がりが抑制されることで、半田201aの這い上がりに起因して半田201aのフィレットS202が薄くなることも抑制される。その結果、半田フィレット形状が良好となり、半田201aにおける応力が集中しにくくなり、半田に亀裂等が生じにくくなる。そのため、第1の導体ピン10と半導体チップ201との接続信頼性が向上すると考えられる。
【0094】
本実施形態の実装用基板100aでは、導体ピン群101〜103の中で、第1の細い導体ピン10(信号系の導体ピン)のみを、
図4Aに示すような、交線部P1を有する形状にしている。細い導体ピンでは半田201aの上端が上昇したとき、フィレットS202が薄くなり易いので、半田フィレット形状が悪くなり、半田に亀裂等が生じ易くなる。そのため、接続層S202の端に応力集中が起き易くなり、第1の細い導体ピンと半導体チップとの接続信頼性が低下する。
【0095】
本実施形態の電子デバイス100は、例えば
図10A〜
図15に示すような方法で製造される。
【0096】
図10Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板を準備する工程を説明するための図であり、
図10B本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板に孔を形成する工程を説明するための図である。
【0097】
図11Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、先端近傍に、軸に平行なストレート側面を有する導体ピンを準備する工程を説明するための図であり、
図11Bは、
図11Aに示す導体ピンをプレス加工する工程を説明するための図であり、
図11Cは、
図11Bのプレス加工により形成された、先端側に交線部を有する導体ピンを示す図である。
【0098】
図12は、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンを形成する第2の方法を説明するための図である。
【0099】
図13Aは、本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、支持基板の孔に導体ピンを挿入する工程を説明するための図であり、
図13Bは、本発明の実施形態に係る完成した実装用基板を示す図である。
【0100】
図14は、本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、基板上に電子部品を設置する工程を説明するための図である。
【0101】
図15は、本発明の実施形態に係る実装用基板の製造方法について、実装用基板の導体ピンに電子部品を実装する工程を説明するための図である。
【0102】
電子デバイス100の製造に際しては、まず、実装用基板100aを製造するとともに、配線板1000に半導体チップ201及び202を実装する。
【0103】
実装用基板100aの製造に際しては、まず、
図10Aに示すように、支持基板2000を準備する。支持基板2000は、例えば厚さ3μmの熱可塑性ポリイミドからなる第1絶縁層2001と、例えば厚さ50μmの熱硬化性ポリイミドからなる第2絶縁層2002と、例えば厚さ3μmの熱硬化性ポリイミドからなる第3絶縁層2003と、を積層し、その状態で、プレス又は熱処理等により、これらを接着することで、製造する。
【0104】
続けて、
図10Bに示すように、支持基板2000に孔2000aを形成する。孔2000aは、導体ピン群101〜103の各導体ピンの取付位置に形成する。孔2000aは、例えばドリル又はレーザにより形成することができる。
【0105】
また、導体ピン群101〜103の各導体ピンを製造する。以下、導体ピン10の製造方法について詳述する。
【0106】
第1の導体ピン10の製造に際しては、まず、例えば
図11Aに示すように、導体ピン30を準備する。導体ピン30は、実装部11aと、鍔部12と、挿入部13と、を有する。実装部11aは、テーパ加工する前の実装部11に相当し、ストレート形状を有する。すなわち、導体ピン30は、実装端F1(先端)近傍に、軸Cに平行なストレート側面F30を有する。導体ピン30の製造方法は、任意である。例えばストレート形状の導体を、金型等で変形させたり(例えば絞り成形)、又は加工機等で切削したりすることによって、導体ピン30を製造することができる。あるいは、鋳造によって、導体ピン30を製造してもよい。また、実装部11a、鍔部12、及び挿入部13の少なくとも1つを他のものと分離した状態で形成した後、溶接又は導電性接着材料等により、それらを接合することによって、導体ピン30を製造してもよい。導電性接着材料としては、例えば錫等の半田、銀ロウ等のロウ材、又は導電性ペーストなどを用いることができる。
【0107】
続けて、例えば
図11Bに示すように、実装部11(特にテーパ部P11)に対応した形状を有する金型3001を準備し、金型3001により導体ピン30をプレス加工する。詳しくは、ストレート側面F30を金型3001でプレス加工することによりストレート側面F30の実装端F1(先端)側をテーパさせる。これにより、導体ピン30の実装部11aがテーパ形状になり、
図11Cに示すように、交線部P1を有する第1の導体ピン10が完成する。第1の導体ピン10は、
図4A及び
図4Bに示すような先端がテーパの形状を有する。こうしたプレス加工によれば、テーパ部P11とストレート部P12とは、連続的(一体的)に形成される。ただしこれに限られず、例えば
図12に示すように、導体ピン30とは別に、テーパ部P11に対応した円錐台形状を有する導体30aを製造し、溶接又は導電性接着材料等により、導体ピン30と導体30aとを接合してもよい。こうした方法によっても、実装端F1(実装部11)に、テーパ部P11と、ストレート部P12と、を有する第1の導体ピン10を製造することができる。
【0108】
第1の導体ピン10の製造方法は、上記方法に限られず任意である。例えば
図4A及び
図4Bに示すような形状の反転形状を有する金型を用いてプレス加工することにより、棒状の導体から直接、第1の導体ピン10を形成してもよい。また、鋳造によって、第1の導体ピン10を製造してもよい。
【0109】
続けて、第1の導体ピン10の表面に被覆材10aを形成する。被覆材10aは、例えばめっきにより形成することができる。具体的には、例えば第1の導体ピン10全体をめっき液に浸漬することで、電解めっき又は無電解めっき等の湿式めっきにより、第1の導体ピン10全体を覆うように、被覆材10aを形成する。ただしこれに限定されず、被覆材10aは、真空蒸着又はスパッタ等の乾式めっきにより形成してもよい。しかし、被覆材10aの、交線部P1を覆う部分を部分的に厚くするためには、電解めっきで被覆材10aを形成することが好ましい。交線部P1に電流が集中し易いため、電解めっきで被覆材10aを形成すると、交線部P1における被覆材10aの膜厚d12を大きくすることが容易になり(
図6B参照)、また、第1の導体ピン10の交線部P1を周囲よりも厚く覆い、周囲では下地の導体ピンの一部を露出させるような被覆材10aの形成も容易になる。さらに、交線部P1の周囲で下地の第1の導体ピン10の一部を露出させるために、エッチングをしても良い。エッチングは均等に進行するので、交線部P1で厚く形成された被覆材10aを残し、交線部P1の周囲で被覆材10aを除去することができる。
【0110】
第1の導体ピン10以外の導体ピンは、例えば導体ピン30の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0111】
続けて、
図13Aに示すように、支持基板2000の第1面F11側から、導体ピン群101〜103の各導体ピンを孔2000aに挿入する。各導体ピンは、例えば支持基板2000の第1面F11に対して垂直となる向きで冶具にセットし、そのままの角度で孔2000aに挿入することが好ましい。各導体ピンは、嵌入しても、挿入後に半田等で固定してもよい。さらには、各導体ピンの嵌入後に、その半田固定部分を樹脂等で補強してもよい。
【0112】
以上の工程により、
図13Bに示すように、本発明の実施形態に係る実装用基板100aが完成する。
【0113】
実装用基板100aを製造する一方で、配線板1000上には、半導体チップ201及び202を実装する。半導体チップ201及び202は、
図14に示すように、配線板1000上の、導体ピン群101〜103の位置に対応した位置に実装する。半導体チップ201及び202は、例えば半田等により、配線板1000上に固定する。これにより、配線板1000のパッドと半導体チップ201及び202の電極とが、互いに電気的に接続される。
【0114】
続けて、実装用基板100aに、配線板1000、並びに半導体チップ201及び202を実装する。詳しくは、
図15に示すように、配線板1000のパッド上、並びに半導体チップ201及び202の電極上にそれぞれ、半田ペースト(半田1000a、201a、202a)を塗布した後、リフロー等の熱処理により半田ペーストを溶融し、導体ピン群101〜103の各導体ピンを半田1000a、201a、202aで接続する。これにより、導体ピン101aは、半田1000aを介して、配線板1000のパッドと電気的に接続され、導体ピン10、20はそれぞれ、半田201aを介して、半導体チップ201の電極と電気的に接続され、導体ピン103aは、半田202aを介して、半導体チップ202の電極と電気的に接続される。
【0115】
以上の工程により、本発明の実施形態に係る電子デバイス100が完成する。
【0116】
本実施形態の製造方法によれば、低コストで、導体ピンと半導体チップとの接続信頼性の高い電子デバイス100が得られる。
【0117】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。
【0118】
例えば第1の導体ピン10の実装部11の形状を、
図16A〜
図31Bに示すような形状にしてもよい。以下、
図4A及び
図4Bに示した第1の導体ピン10との相違点を中心に、これらの変形例について説明する。
【0119】
本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピンを、
図16A、16B及び
図16Cに示す。
図16Aは、本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図16Bは
図16Aに示す第1の導体ピンを実装端側から見た図であり、
図16Cは、本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0120】
この第1の導体ピンは、実装端F1近傍(実装部11)に、実装端F1側から、円柱形状を有する第1実装部P21と、円板形状を有する鍔部P23と、円柱形状を有する第2実装部P22とを、この順で有する。第1実装部P21は鍔部P23の実装端F1側に接続され、第2実装部P22は鍔部P23の挿入端F2(
図4A参照)側に接続される。この第1の導体ピンは、鍔部12(
図4A参照)とは別に、鍔部P23を有する。鍔部P23の側面は、第1実装部P21及び第2実装部P22の側面に対して径方向(外側)に突出する。鍔部P23の側面は平らではなく、外側へ膨らんでいる。鍔部P23の側面は、他端(実装端F1)側の第1の側面F21と一端(挿入端F2)側の第2の側面F22とで構成され、第1の側面F21と第2の側面F22とは、交線部P2で外側に膨らむように構成されている。交線部P2は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、第1の導体ピンの側面の傾斜が、第1の導体ピンの軸Cに対して外側への傾斜(鍔部P23の側面の上り坂)から、より内側への傾斜(鍔部P23の側面の下り坂)へと変わる部分となる。すなわち、交線部P2は、鍔部P23の膨らんだ側面(曲面)の頂点に形成される。第1の導体ピンは交線部P2で拡幅される。交線部P2は、導体ピンの周方向に沿って形成され、詳しくは導体ピンの全周に連続的に形成される。こうした第1の導体ピンでも、上記本発明の実施形態の第1の導体ピン10と同様、交線部P2により、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。
図16Cに示すように、半田201aの這い上がりは、特に交線部P2で止まり易いと考えられる。なお、
図16A中、距離d21は、実装端F1と交線部P2との距離であり、寸法d22は、鍔部P23の厚みである。距離d21は、0.2〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。寸法d22は、0.1〜0.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0121】
本発明の第2の変形例に係る第1の導体ピンを、
図17A、
図17B及び
図17Cに示す。
図17Aは、本発明の第2の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図17Bは、
図17AのA−A断面図であり、
図17Cは、本発明の第2の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0122】
この第1の導体ピンは、実装端F1近傍(実装部11)に、実装端F1側から、第1実装部P31と、第3実装部P33と、第2実装部P32とを、この順で有する。第1実装部P31は第3実装部P33の実装端F1側に接続され、第2実装部P32は第3実装部P33の挿入端F2(
図4A参照)側に接続される。第1〜第3実装部P31〜P33はそれぞれ、円柱形状を有する。ただし、第3実装部P33の幅(径)は、第1実装部P31、第2実装部P32のいずれの幅よりも小さい。このため、第3実装部P33の側面は、第1実装部P31及び第2実装部P32の側面に対して径方向(内側)に窪む。この例において、第2実装部P32の実装端F1側の端面(第1の側面F31)と第3実装部P33の側面とは90°の角度をなし、交線部P3は、第2実装部P32の端面と第2実装部P32の側面(第2の側面F32)との角に形成される。すなわち、交線部P3は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、第1の導体ピンの側面の傾斜が、第1の導体ピンの軸Cに対して外側への傾斜(90°の上り坂)から、より内側への傾斜(ストレート)へと変わる部分となる。第1の側面F31は平面であり、第2の側面F32は円柱部分の側面である。第1の導体ピンは、第1の側面F31と第2の側面F32との交線部P3で拡幅される。交線部P3の角度は、90°である。交線部P3は、第1の導体ピンの周方向に沿って外側に膨らむように形成され、詳しくは第1の導体ピンの全周に連続的に形成される。こうした第1の導体ピンでも、上記本発明の実施形態の導体ピン10と同様、交線部P3により、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。
図17Cに示すように、半田201aの這い上がりは、特に交線部P3で止まり易いと考えられる。なお、
図17A中、距離d31は、実装端F1と交線部P3との距離であり、寸法d32は、第3実装部P33の厚みである。距離d31は、0.2〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。寸法d32は、0.2〜0.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0123】
本発明の第3の変形例に係る導体ピンを、
図18A、
図18B及び
図18Cに示す。
図18Aは、本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図18Bは、
図18Aに示す第1の導体ピンを実装端側から見た図であり、
図18Cは、本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0124】
この第1の導体ピンは、実装端F1近傍(実装部11)に、実装端F1側から、第1実装部P41と、第2実装部P42とを、この順で有する。第1実装部P41は第2実装部P42の実装端F1側に接続される。第1実装部P41及び第2実装部P42はそれぞれ、円柱形状を有する。ただし、第1実装部P41の幅(径)は、第2実装部P42の幅よりも小さい。このため、第1実装部P41の側面は、第2実装部P42の側面に対して径方向(内側)に窪む。この例において、第2実装部P42の実装端F1側の端面(第1の側面F41)と第1実装部P41の側面とは90°の角度をなし、交線部P4は、第2実装部P42の端面と第2実装部P42の側面(第2の側面F42)との角に外側に膨らむように形成される。すなわち、交線部P4は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、第1の導体ピンの側面の傾斜が、第1の導体ピンの軸Cに対して外側への傾斜(90°の上り坂)から、より内側への傾斜(ストレート)へと変わる部分となる。第1の導体ピンは交線部P4で拡幅される。交線部P4の角度は、90°である。交線部P4は、第1の導体ピンの周方向に沿って形成され、詳しくは第1の導体ピンの全周に連続的に形成される。こうした第1の導体ピンでも、上記本発明の実施形態の第1の導体ピン10と同様、交線部P4により、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。
図18Cに示すように、半田201aの這い上がりは、特に交線部P4で止まり易いと考えられる。なお、
図18A中、距離d41は、実装端F1と交線部P4との距離である。距離d41は、0.2〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。
【0125】
本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンを、
図19A、
図19B及び
図19Cに示す。
図19Aは、本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図19Bは、
図19AのA−A断面図であり、
図19Cは、本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0126】
この第1の導体ピンは、実装端F1近傍(実装部11)に、複数の窪みP50を有する。これら窪みP50は、第1の導体ピンの周方向に沿って、任意の間隔(例えば一定の間隔)で形成される。窪みP50の内面は、例えば曲面であり、第1の導体ピンの側面に対して径方向(内側)に窪む。交線部P5は、窪みP50により形成される。詳しくは、窪みP50の内面(第1の側面F51)とその挿入端F2側の第2の側面F52とは、交線部P5で外側に膨らむように構成されている。交線部P5は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、第1の導体ピンの側面の傾斜が、第1の導体ピンの軸Cに対して外側への傾斜(窪みP50内面の上り坂)から、より内側への傾斜(ストレート)へと変わる部分となる。交線部P5は、窪みP50の挿入端F2側の縁に相当する。第1の側面F51と第2の側面F52との交線部P5は、第1の導体ピンの外周を周回する曲線に沿って形成された部分を有する。交線部P5は、第1の導体ピンの周方向に沿って複数、形成される。第1の導体ピンは交線部P5で縮幅される。こうした第1の導体ピンでも、上記本発明の実施形態の導体ピン10と同様、交線部P5により、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。
図19Cに示すように、半田201aの這い上がりは、特に交線部P5で止まり易いと考えられる。なお、
図19A中、距離d51は、実装端F1と交線部P5との距離であり、寸法d52は、窪みP50の幅である。距離d51は、0.2〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。寸法d52は、0.1〜0.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0127】
本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンを、
図20A、
図20B及び
図20Cに示す。
図20Aは、本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンの実装端近傍を示す図であり、
図20Bは、
図20AのA−A断面図であり、
図20Cは、本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンと電子部品との接続部を示す断面図である。
【0128】
この第1の導体ピンは、実装端F1近傍(実装部11)に、複数の凸部P60を有する。これら凸部P60は、第1の導体ピンの周方向に沿って、任意の間隔(例えば一定の間隔)で形成される。凸部P60の凸面は、例えば曲面であり、第1の導体ピンの側面に対して径方向(外側)に突出する。交線部P6は、凸部P60により形成される。詳しくは、凸部P60の凸面は、他端(実装端F1)側の第1の側面F61と一端(挿入端F2)側の第2の側面F62とで構成され、第1の側面F61と第2の側面F62とは、交線部P6で外側に膨らむように構成されている。交線部P6は、実装端F1側から挿入端F2側に向かって、第1の導体ピンの側面の傾斜が、第1の導体ピンの軸Cに対して外側への傾斜(凸部P60の凸面の上り坂)から、より内側への傾斜(凸部P60の凸面の下り坂)へと変わる部分となる。交線部P6は、凸部P60の頂点に相当する。第1の側面F61と第2の側面F62との交線部P6は、第1の導体ピンの外周を周回する曲線に沿って形成された部分を有する。交線部P6は、第1の導体ピンの周方向に沿って複数、形成される。第1の導体ピンは交線部P6で拡幅される。こうした第1の導体ピンでも、上記本発明の実施形態の第1の導体ピン10と同様、交線部P6により、半田201aの這い上がりが止まり易くなる。
図20Cに示すように、半田201aの這い上がりは、特に交線部P6で止まり易いと考えられる。なお、
図20A中、距離d61は、実装端F1と交線部P6との距離であり、寸法d62は、凸部P60の幅である。距離d61は、0.2〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。寸法d62は、0.1〜0.5mmの範囲にあることが好ましい。
【0129】
図21は、本発明の実施形態に係る部分的にテーパした第1の導体ピンの一例を示す図である。
図22は、本発明の実施形態に係る、テーパ部の側面が曲面である第1の導体ピンの一例を示す図である。
図23は、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの鍔部の側面が階段状になっている一例を示す図である。
図24は、本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの側面が凹凸面からなる交線部の一例を示す図である。
図25Aは、本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、鋭角な交線部を有する第1の導体ピンの一例を示す図であり、
図25Bは、本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、鈍角な交線部を有する第1の導体ピンの一例を示す図であり、
図25Cは、本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピンの変形例について、実装端近傍に、曲面からなる上り坂を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
図26Aは、本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンが角形の窪み(凹部)を有する一例を示す図であり、
図26Bは、本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の窪みが形成される一例を示す図である。
図27Aは、本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンが角形の突起(凸部)を有する一例を示す図であり、
図27Bは、本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の突起が形成される一例を示す図である。
図28は、本発明の実施形態に係る、周方向に沿って、窪み(凹部)及び突起(凸部)を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
図29は、本発明の実施形態に係る、実装端近傍に複数の鍔部を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
図30は、本発明の実施形態に係る、実装端近傍に階段状の段差を有する第1の導体ピンの一例を示す図である。
図31Aは、本発明の実施形態に係る、テーパ部と鍔部との両方を有する第1の導体ピンの第1の例を示す図であり、
図31Bは、本発明の実施形態に係る、テーパ部と鍔部との両方を有する第1の導体ピンの第2の例を示す図である。
図32Aは、本発明の実施形態に係る、被覆材(金属膜)により部分的に覆われた第1の導体ピンの一例を示す図であり、
図32Bは、本発明の実施形態に係る、交線部のみが被覆材(金属膜)で覆われた第1の導体ピンの一例を示す図であり、
図32Cは、本発明の実施形態に係る、被覆材(金属膜)で覆われていない第1の導体ピンの一例を示す図である。
図33Aは、本発明の実施形態に係る、鍔部を有さない第1の導体ピンの第1の例を示す図であり、
図33Bは、本発明の実施形態に係る、鍔部を有さない第1の導体ピンの第2の例を示す図である。
図34は、本発明の実施形態に係る、曲がった第1の導体ピンの一例を示す図である。
【0130】
上記本発明の実施形態では、第1の導体ピン10の全周がテーパする例を示したが(
図5B参照)、これに限定されず、例えば
図21(
図5Bに対応する図)に示すように、部分的にテーパした第1の導体ピンであってもよい。
図21の例では、それぞれテーパの開始位置に形成される2つの交線部P1が、互いに対向するように形成される。
【0131】
上記本発明の実施形態では、テーパ部P11の側面が斜面(軸Cに対して傾いた平面)である例を示したが(
図6参照)、これに限定されず、例えば
図22に示すように、テーパ部P11の側面が曲面である第1の導体ピンであってもよい。
【0132】
上記第1の変形例に係る第1の導体ピン(
図16A、
図16B)の鍔部P23は、湾曲した側面を有するが、これに限定されず、例えば
図23に示すように、鍔部P23は階段状の側面を有していてもよい。
【0133】
また、例えば
図24に示すように、凹凸面F5からなる交線部P24を有する第1の導体ピンであってもよい。凹凸面F5は、例えば複数の薄い鍔部P23(
図16A、
図16B)が積層した場合と同様のかたちになる。
【0134】
上記本発明の第2、第3の変形例に係る第1の導体ピン(
図17A〜
図18B)の交線部P3、P4の角度は90°としたが、これに限定されず、例えば
図25Aに示すように、交線部P4の角度は鋭角であってもよく、例えば
図25Bに示すように、交線部P4の角度は鈍角であってもよい。また、第2実装部P42の実装端F1側の端面(第1の側面F41)は平面に限られず、例えば
図25Cに示すように、曲面であってもよい。ここでは交線部P4についての本発明の変形例を例示したが、交線部P3についても同様である。
【0135】
本発明の第4の変形例に係る第1の導体ピン(
図19A、
図19B)において、窪みP50(凹部)の形状は任意である。例えば窪みP50の形状は、
図26A(
図19Bに対応する断面図)に示すように、角形であってもよい。また、
図26B(
図19Bに対応する断面図)に示すように、第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の窪みP50が形成されてもよい。
【0136】
本発明の第5の変形例に係る第1の導体ピン(
図20A、
図20B)において、凸部P60(突起)の形状は任意である。例えば凸部P60の形状は、
図27A(
図20Bに対応する断面図)に示すように、角形であってもよい。また、
図27B(
図20Bに対応する断面図)に示すように、第1の導体ピンの周方向に沿って、異なる形状を有する複数の凸部P60が形成されてもよい。
【0137】
また、
図28(
図19B、
図20Bに対応する断面図)に示すように、第1の導体ピンの周方向に沿って、窪みP50(凹部)及び凸部P60(突起)の両方が形成されていてもよい。
【0138】
上記本発明の第1の変形例に係る第1の導体ピン(
図16A、
図16B)では、鍔部P23の数を1つとしたが、これに限定されず、例えば
図29に示すように、実装端F1近傍(実装部11)に、複数(例えば2つ)の鍔部P23を有する第1の導体ピンであってもよい。
【0139】
上記本発明の第3の変形例に係る第1の導体ピン(
図18A、
図18B)では、段差の数を1つとしたが、これに限定されず、例えば
図30に示すように、実装端F1近傍(実装部11)に、階段状の複数(例えば2つ)の段差を有する第1の導体ピンであってもよい。
【0140】
上記本発明の実施形態に係る第1の導体ピンの形状と本発明の第1〜第5の変形例に係る第1の導体ピンの形状とは、任意に組み合わせることができる。例えば
図31A、
図31Bに示すように、テーパ部P11と鍔部P23とを有する導体ピンであってもよい。
【0141】
図16A〜
図31Bに示す第1の導体ピンも、前述した上記本発明の実施形態に係る第1の導体ピン10の製造方法に準ずる方法によって、製造することができる。第1の導体ピンの各部は、連続的(一体的)に形成してもよいが、別々に形成した後、互いに接合するようにしてもよい。両者を比較すると、強度の面では、連続的に形成した第1の導体ピンの方が高い強度を有する傾向にある一方、加工の面では、接合した第1の導体ピンの方が、複雑形状に対応し易いと考えられる。
【0142】
上記本発明の実施形態では、被覆材10aが第1の導体ピン10の全体を覆っている例を示したが(
図4A参照)、これに限定されず、例えば
図32Aに示すように、実装部11の一部(例えばテーパ部P11)だけが被覆材10aで覆われた第1の導体ピン10であってもよい。この場合、被覆材10aがバリア層となり、高温にさらされた際に、第1の導体ピン10の金属(例えば銅)が半田側に溶出することにより、第1の導体ピンにボイド(空泡)が形成されにくく、ボイドを起点とした亀裂が発生しにくくなるため、接続不良となることを防止することができる。バリア層とは、例えばNi、Cr、亜鉛めっきのことをいう。
【0143】
また、例えば
図32Bに示すように、交線部P1のみが被覆材10aで覆われる第1の導体ピン10であってもよい。
【0144】
なお、部分的に第1の導体ピン10を被覆材10aで覆う方法は任意である。例えば電解めっき等により、第1の導体ピン10の全体を被覆材10aで覆った後、不要な被覆材10aをエッチングしてもよいし、あるいは第1の導体ピン10の必要な部分にだけ、被覆材10aをめっきしてもよい。
【0145】
さらには、例えば
図32Cに示すように、被覆材10aで覆われていない第1の導体ピン10であってもよい。
【0146】
上記本発明の実施形態では、実装部11と、鍔部12と、挿入部13と、から構成される第1の導体ピン10を例示したが(
図4A参照)、これに限定されず、例えば
図33A、
図33Bに示すように、鍔部12を有さない第1の導体ピン10であってもよい。
【0147】
図33Aに示す第1の導体ピン10は、実装端F1近傍に、実装端F1側から挿入端F2側に向かうほど第1の導体ピン10の軸Cから遠ざかる側面を有するテーパ部P11(上り坂部)と、第1の導体ピン10の軸Cに平行な側面を有するストレート部P14と、を有する。交線部P1は、テーパ部P11とストレート部P14との境に位置し、テーパ部P11と、交線部P1と、ストレート部P14とは、実装端F1側から挿入端F2側に向かってこの順で、連続的に形成されている。
【0148】
図33Bに示す第1の導体ピン10は、実装端F1近傍に、実装端F1側から挿入端F2側に向かうほど第1の導体ピン10の軸Cから遠ざかる側面を有するテーパ部P11(上り坂部)と、実装端F1側から挿入端F2側に向かうほど第1の導体ピン10の軸Cに近づく側面を有するテーパ部P15(下り坂部)と、を有する。交線部P1は、テーパ部P11とテーパ部P15との境に位置し、テーパ部P11と、交線部P1と、テーパ部P15とは、実装端F1側から挿入端F2側に向かってこの順で、連続的に形成されている。
【0149】
上記本発明の実施形態では、直線状の導体ピン10を例示したが(
図4A参照)、これに限定されず、例えば
図34に示すように、導体ピン10は曲がっていてもよい。
図34の例では、導体ピン10がクランク状に折れ曲がっている。ただしこれに限定されず、導体ピン10は、例えばL字状又はU字状等に曲がっていてもよい。
【0150】
図35Aは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正四角形を示す図であり、
図35Bは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正六角形を示す図であり、
図35Cは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正八角形を示す図であり、
図35Dは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の横断面の形状の別例としての楕円を示す図である。
図36Aは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての十字形を示す図であり、
図36Bは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての正多角星形を示す図であり、
図36Cは、本発明の実施形態に係る導体ピンの横断面の形状の別例としての花弁形を示す図である。
【0151】
導体ピン群101〜103の各導体ピン(第1の導体ピン10等)の横断面(X−Y平面)の形状は、円(真円)に限られず任意であり、例えば
図35A、
図35B、
図35Cに示すように、正四角形、正六角形、又は正八角形等の正多角形であってもよい。なお、多角形の角の形状は任意であり、例えば直角でも、鋭角でも、鈍角でも、丸みを帯びていてもよい。ただし、熱応力の集中を防止する上では、角が丸みを帯びていた方が好ましい。
【0152】
また、
図35Dに示すように、導体ピンの横断面の形状は、楕円であってもよい。また、長方形又は三角形等であってもよい。
【0153】
また、
図36A〜
図36Cに示すように、十字形、正多角星形、又は花弁(コスモス)形など、中心から放射状に直線を引いた形(複数の羽根を放射状に配置した形)であってもよい。
【0154】
導体ピンの横断面の形状は、上記形状を組み合わせた(複合した)形状であってもよい。
【0155】
図37は、実装用基板の全ての導体ピンとして、本発明の実施形態に係る導体ピンを適用した一例を示す図である。
図38は、本発明の実施形態に係る導体ピンと支持基板とが連続的に形成された実装用基板の一例を示す図である。
図39は、本発明の実施形態に係る導体ピンを、複数の支持基板を有する電子デバイスに適用した一例を示す図である。
図40は、本発明の実施形態に係る導体ピンを有し、配線板を有さない電子デバイスの一例を示す図である。
【0156】
上記本発明の実施形態では、複数の導体ピンのうち、一部の導体ピン(第1の導体ピン10)のみが、実装端F1近傍の側面に交線部P1を有する例を示したが(
図2、
図4A参照)、これに限定されず、例えば
図37に示すように、全ての導体ピンが、
図4A及び
図4Bに示したような形状を有し、各導体ピンの実装端F1近傍の側面に、交線部P1が形成されていてもよい。
【0157】
導体ピン群101〜103の各導体ピン(第1の導体ピン10等)と支持基板2000との接続態様は任意である。上記実施形態では、導体ピン群101〜103の各導体ピン(導体ピン10等)と、支持基板2000とを別々に形成した後、互いに接合するようにしたが(
図2参照)、これに限定されず、例えば金属板を加工することにより、
図38に示すように、支持基板2000と各導体ピンとを連続的(一体的)に形成してもよい。こうすることにより、支持基板2000にピン挿入用の孔2000aを形成する工程等が必要なくなるため、工程数を削減することが可能となる。また、例えば支持基板2000の主面に各導体ピンの端面が接合されていてもよい。こうした接続方法によっても、孔2000aの形成が不要になる。
【0158】
上記実施形態では、導体ピン群101〜103の各導体ピンと接続される支持基板2000の数を1つとしたが(
図2参照)、これに限定されず、例えば
図39に示すように、支持基板2000とは別に、支持基板3000を用意し、これらに実装される配線板1000及び半導体チップ201、202を、支持基板2000、3000の間に挟み込むようにしてもよい。
図39の例では、支持基板2000に導体ピン群101、102の各導体ピンが接続され、支持基板3000に導体ピン群103の各導体ピンが接続されている。
【0159】
例えば
図40に示すように、配線板1000を有さない電子デバイス100であってもよい。
【0160】
また、例えば導体ピンの軽量化や材料削減等を図るために、不要な部分を削ったり空洞を形成したりしてもよい。
【0161】
本発明の製造方法は、上記本発明の実施形態で示した内容及び順序に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に内容及び順序を変更することができる。また、用途等に応じて、必要ない工程を割愛してもよい。
【0162】
上記本発明の実施形態及びその他の変形例は、任意に組み合わせることができる。用途等に応じて適切な組み合わせを選ぶことが好ましい。