特許第5855872号(P5855872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5855872レンジフード排気口調整装置およびレンジフード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855872
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】レンジフード排気口調整装置およびレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   F24F7/06 101Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-188033(P2011-188033)
(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公開番号】特開2013-50261(P2013-50261A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏村 桂一
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−155549(JP,U)
【文献】 特開2006−029680(JP,A)
【文献】 実開昭64−012140(JP,U)
【文献】 実開昭61−116936(JP,U)
【文献】 実開昭49−070752(JP,U)
【文献】 実開昭61−123353(JP,U)
【文献】 実開昭58−009639(JP,U)
【文献】 実開昭60−135553(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0297928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F16L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ダクトとレンジフードの排気口を接続するレンジフード排気口調整装置であって、
前記排気口調整装置は、角形排気口部材と受け部材を有し、
前記受け部材は、角形の開口部を有した平板であり、
前記角形排気口部材は、角形排気筒と前記角形排気筒の一端にフランジ部を備え、
前記角形排気筒の縦外径は、前記開口部の縦内径より小さく、
前記角形排気筒の横外径は、前記開口部の横内径と略等しく、
前記フランジ部の上辺部と下辺部における前記フランジ部の巾は、前記開口部の縦内径と前記角形排気筒の縦外径の差より大きく、
前記受け部材は、前記レンジフードの側面に取り付けられ、
前記角形排気口部材は、前記角形排気筒が前記受け部材の前記開口部にスライド可能に嵌合し取り付けられ
前記受け部材は、さらに2以上の突起部を有し、
前記フランジ部は、前記突起部が嵌合する短径を有する長孔を有し、
前記長孔の長径は、前記開口部の縦内径と前記角形排気筒の縦外径の差に略等しくまたはより大きく、
前記長孔の長径方向は、前記角形排気筒が前記開口部の中を前記角形排気筒の縦外径が前記開口部の縦内径より小さいことにより移動する方向と略同じである、
ことを特徴とするレンジフード排気口調整装置。
【請求項2】
前記受け部材は、前記レンジフードの側面の外側から前記レンジフードに当接し取り付けられ、
前記角形排気口部材は、前記突起部が前記レンジフードの側面を介して前記長孔に嵌合し、前記レンジフードの側面の内側から取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンジフード排気口調整装置。
【請求項3】
排気ダクトとレンジフードの排気口を接続するレンジフード排気口調整装置であって、
前記排気口調整装置は、角形排気口部材と受け部材を有し、
前記受け部材は、角形の開口部を有した平板であり、
前記角形排気口部材は、角形排気筒と前記角形排気筒の一端にフランジ部を備え、
前記角形排気筒の縦外径は、前記開口部の縦内径より小さく、
前記角形排気筒の横外径は、前記開口部の横内径と略等しく、
前記フランジ部の上辺部と下辺部における前記フランジ部の巾は、前記開口部の縦内径と前記角形排気筒の縦外径の差より大きく、
前記受け部材は、前記レンジフードの側面に取り付けられ、
前記角形排気口部材は、前記角形排気筒が前記受け部材の前記開口部にスライド可能に嵌合し取り付けられ、
前記受け部材は、さらに2以上の突起部を有し、
前記フランジ部は、前記突起部が嵌合する短径を有する長孔を有し、
前記長孔の長径方向は、前記角形排気筒が前記開口部の中を前記角形排気筒の縦外径が前記開口部の縦内径より小さいことにより移動する方向と略同じであり、
前記受け部材は、前記レンジフードの側面の外側から前記レンジフードに当接し取り付けられ、
前記角形排気口部材は、前記突起部が前記レンジフードの側面を介して前記長孔に嵌合し、前記レンジフードの側面の内側から取り付けられる、
ことを特徴とするレンジフード排気口調整装置。
【請求項4】
前記長孔の長径は、前記開口部の縦内径と前記角形排気筒の縦外径の差に略等しくまたはより大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載のレンジフード排気口調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のレンジフード排気口調整装置を備えるレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフード排気口調整装置およびそのレンジフード排気口調整装置を備えたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キッチンに設置されているレンジフードを交換するリフォームが増えてきている。既設のレンジフードを交換する場合、既設のレンジフードを取り外した後に、新しいレンジフードを設置する。この際、調理により発生した油煙や臭気等を屋外へと排気するためにレンジフードの排気口と排気ダクトとの配管接続が必要となる。しかし、レンジフードは機種毎に排気口の位置が異なるため、既設のレンジフードが接続されていた排気ダクトにそのまま接続することはできないので、住宅側の排気ダクト位置を変更するために排気ダクトを配管し直し、キッチンの壁もしくは天井の張り替えが必要になるなどの作業が必要であった。
【0003】
また、フード内部に送風機を備える平型レンジフードと呼ばれるタイプのレンジフードの場合には、排気口の位置がフード左側、右側または後方の側面のいずれかになることが多い。したがって、既設のレンジフードがこの平型レンジフードである場合には、交換されて取り付けられる新しいレンジフードの左側、右側または後方の側面のいずれかに既設の排気ダクトが位置している場合がほとんどである。そして、右側面、左側面のいずれかに排気ダクトが位置している場合には、排気ダクトが位置している側はキッチンの壁であり、レンジフードを挟んで反対側にはキッチンキャビネットが配置されていることが多く、新しいレンジフードの側面に排気口を突出させた状態では取り付けが不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、レンジフードの排気口と排気ダクトとを接続することができるレンジフード排気口調整装置およびそのレンジフード排気口調整装置を備えたレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、排気ダクトとレンジフードの排気口を接続するレンジフード排気口調整装置であって、その排気口調整装置は、角形排気口部材と受け部材を有し、その受け部材は、角形の開口部を有した平板であり、その角形排気口部材は、角形排気筒とその角形排気筒の一端にフランジ部を備え、その角形排気筒の縦外径は、その開口部の縦内径より小さく、その角形排気筒の横外径は、その開口部の横内径と略等しく、そのフランジ部の上辺部と下辺部におけるそのフランジ部の巾は、その開口部の縦内径とその角形排気筒の縦外径の差より大きく、その受け部材は、そのレンジフードの側面に取り付けられ、その角形排気口部材は、その角形排気筒がその受け部材のその開口部にスライド可能に嵌合し取り付けられ、その受け部材は、さらに2以上の突起部を有し、フランジ部は、突起部が嵌合する短径を有する長孔を有し、その長孔の長径は、開口部の縦内径と角形排気筒の縦外径の差にほぼ等しくまたはより大きく、その長孔の長径方向は、角形排気筒が開口部の中を角形排気筒の縦外径が開口部の縦内径より小さいことにより移動する方向とほぼ同じであることを特徴とするレンジフード排気口調整装置が提供される。
これによれば、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、レンジフードの排気口と排気ダクトとを接続することができ、さらに受け部材に対して角形排気口部材の位置をより容易に調整することができ、調整後確実に固定することができるレンジフード排気口調整装置を提供できる。
【0006】
さらに、その受け部材は、そのレンジフードの側面の外側からそのレンジフードに当接し取り付けられ、その角形排気口部材は、その突起部がそのレンジフードの側面を介してその長孔に嵌合し、そのレンジフードの側面の内側から取り付けられることを特徴としてもよい。
これによれば、受け部材と角形排気口部材とがレンジフード側面の部材を両側から挟み込むことにより、レンジフードの側面に受け部材と角形排気口部材を確実に取り付けることができる。
【0007】
また、上記課題を解決するために、排気ダクトとレンジフードの排気口を接続するレンジフード排気口調整装置であって、その排気口調整装置は、角形排気口部材と受け部材を有し、その受け部材は、角形の開口部を有した平板であり、その角形排気口部材は、角形排気筒とその角形排気筒の一端にフランジ部を備え、その角形排気筒の縦外径は、その開口部の縦内径より小さく、その角形排気筒の横外径は、その開口部の横内径と略等しく、そのフランジ部の上辺部と下辺部におけるそのフランジ部の巾は、その開口部の縦内径とその角形排気筒の縦外径の差より大きく、その受け部材は、そのレンジフードの側面に取り付けられ、その角形排気口部材は、その角形排気筒がその受け部材のその開口部にスライド可能に嵌合し取り付けられ、その受け部材は、さらに2以上の突起部を有し、フランジ部は、突起部が嵌合する短径を有する長孔を有し、その長孔の長径方向は、角形排気筒が開口部の中を角形排気筒の縦外径が開口部の縦内径より小さいことにより移動する方向とほぼ同じであり、その受け部材は、レンジフードの側面の外側からレンジフードに当接し取り付けられ、角形排気口部材は、突起部がレンジフードの側面を介して長孔に嵌合し、レンジフードの側面の内側から取り付けられることを特徴とするレンジフード排気口調整装置が提供される。
これによれば、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、レンジフードの排気口と排気ダクトとを接続することができ、さらに受け部材に対して角形排気口部材の位置をより容易に調整することができ、調整後確実に固定することができるレンジフード排気口調整装置を提供できる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、上記のレンジフード排気口調整装置を備えるレンジフードが提供される。
これによれば、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができるレンジフードを提供することができ、また、住宅側の排気ダクト位置の変更や、キッチンの壁・天井の張り替えが不要となり、さらには、レンジフードの右側面または左側面に排気ダクトが位置している場合でも、容易に取り付けることのできるレンジフードを提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、レンジフードの排気口と排気ダクトとを接続することができるレンジフード排気口調整装置およびそのレンジフード排気口調整装置を備えたレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施例における受け部材を示す(A)正面図、(B)背面図、(C)平面図、(D)底面図、(E)側面図。
図2】本発明に係る実施例における角形排気口部材を示す(A)正面図、(B)背面図、(C)平面図、(D)底面図、(E)側面図。
図3】本発明に係る実施例における排気口調整装置を示す(A)正面図、(B)背面図、(C)平面図、(D)底面図、(E)側面図、(F)F−F断面における断面図。
図4】本発明に係る実施例におけるレンジフードの分解斜視図。
図5】本発明に係る実施例におけるレンジフードの斜視図。
図6】レンジフードの取付状況を示す説明図。(A)レンジフードの交換前の状況を示す説明図、(B)レンジフードの側面に排気口を突出させた状態では取り付けが不可能であることを示す説明図、(C)交換後のレンジフードの排気口と排気ダクトの高さが適合しない場合を示す説明図、(D)交換後のレンジフードの排気口と排気ダクトの高さが適合した場合を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<実施例>
図1は、本発明に係る実施例における受け部材20を示す六面図(側面は右側面図のみ)である。
【0012】
受け部材20は、角形の開口部21を有した平板23であり、加工後の板厚が0.5mmの鉄板をプレス加工により開口部21と外形を打ち抜くことにより作製される。開口部21を打ち抜く際、開口部21の左側と右側において折曲部24の部分を残して打ち抜く。残された折曲部24は、レンジフードの排気口に受け部材20を取り付ける際、内径がレンジフードの側面の肉厚に等しくなるように、背面側に平板23と対向するようになるまで折り曲げられ、レンジフードの側面を挟み込む。
【0013】
折り曲げられた部分は、開口部21の左右両辺を形成し、両者の距離、即ち、開口部21の横内径はWIとして表わされる。従って、開口部21の横内径WIは、レンジフードの排気口の横径よりやや小さく、排気ダクトの横径よりも小さい。また、開口部21の上下両辺の距離、即ち、開口部21の縦内径はHIとして表わされる。開口部21の縦内径HIは、レンジフードの排気口の縦径および排気ダクトの縦径との大小は限定されないが、好ましくは、それらのいずれよりも小さい。
【0014】
受け部材20の外形は、四隅の角を落とした矩形であり、縦と横の長さは、開口部21を維持できる強度を有する程度の巾があればよく、また、縦の長さは、レンジフードの側面の縦の長さより小さく、横の長さは、レンジフードの側面の横の長さより小さければよい。
【0015】
受け部材20は、さらに4つの突起部22を受け部材20の四隅近傍に有する。突起部22の数と位置は、これに限定されないが、受け部材20をレンジフードに取り付けかつ角形排気口部材10(後述)を固定するためには、一般的にこの数と位置が好ましい。下側の2つの突起部22は折曲部24と重なる位置に、上側の2つの突起部22は折曲部24と重ならない位置にあるが、これに限定されない。
【0016】
突起部22は、折曲部24を折り曲げた方向と同じ方向、即ち背面側に突起を有し、正面側には突起部を有さない。従って、折曲部24が挟み込んだレンジフードの側面は、突起部22に対応した位置に、突起部22を挿入できる孔を有する。突起部22は、典型的には、ネジの頭部を受け部材20と一体化させ、ネジ先を背面側に向けた、雄ネジを備えた軸である。これにより、受け部材20の正面側は、背面側にある突起部22や折曲部24などの凹凸は存在せず、平坦であり、レンジフードの取り付けの際障害となる物が無く取り付けやすく、またキッチンの壁などを傷つけるようなことがない。
【0017】
図2は、本発明に係る実施例における角形排気口部材10を示す六面図(側面は右側面図のみ)である。
角形排気口部材10は、角形排気筒11とその角形排気筒11の一端にフランジ部12を備える。角形排気口部材10は、加工後の板厚が0.5mmで中央付近に孔の空いた鉄板からプレス加工により角形の筒を形成した後筒の端部をトリミングすることで角形排気筒11を形成し、また、角形排気筒11以外の部分の周囲をトリミングしてフランジ部12を形成することにより、作製される。しかし、これに限定されず、角形排気筒とフランジ部を別々に形成し、両者を溶接等により接続することにより、作製してもよい。
【0018】
角形排気筒11は、その縦外径としてHEと表わされ、またその横外径としてWEとして表わされる。角形排気筒11の縦外径HEは、受け部材20の開口部21の縦内径HIより小さく、角形排気筒11の横外径WEは、受け部材20の開口部21の横内径WIとほぼ等しい。ここで、ほぼ等しいとは、開口部21の左右の辺と角形排気筒11の左右の外周部とが、大きな隙間を形成することなく、縦方向にガタツキなく互いに摺動できる程度に軽く当接する関係を言う。従って、受け部材20と角形排気口部材10は、相対的に互いに横方向に動くことはほとんどなく、相対的に互いに縦方向に動く。即ち、角形排気口部材10は、角形排気筒11が受け部材20の開口部21にスライド可能に嵌合した状態で、受け部材20に取り付けられる。これにより、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができる。
【0019】
フランジ部12からの角形排気筒11の立ち上り高さは、角形排気筒11が排気ダクトに嵌り排気が逆流することのない程度の高さを適宜備えればよい。一般的には、立ち上り高さは、5cm程度である。
【0020】
フランジ部12の上辺部14と下辺部15におけるフランジ部12の巾は、開口部21の縦内径HIと角形排気筒11の縦外径HEの差より大きい。これにより、角形排気筒11が、受け部材20の開口部21内を縦方向にスライドしても、角形排気筒11以外の部分で、レンジフード内部と排気ダクトとが連通することがない。フランジ部12の左辺部と右辺部は、後述の長孔13を備え、取り付けるための強度を有するに十分な巾を備えればよい。
【0021】
また、フランジ部12は、受け部材20の突起部22が嵌合する短径を有する長孔13を有する。長孔13の長径は、開口部21の縦内径HIと角形排気筒11の縦外径HEの差にほぼ等しくまたは縦内径HIと縦外径HEの差より大きい。また、長孔13の長径方向は、角形排気筒11が開口部21の中を角形排気筒11の縦外径HEが開口部21の縦内径HIより小さいことにより移動する方向とほぼ同じである。
【0022】
これにより、角形排気筒11が、受け部材20の開口部21内を縦方向にスライドする際に、突起部22が長孔13に嵌合した状態で同様に縦方向にスライドできる。即ち、そのスライド巾が長孔13の長径と一致または長孔13の長径の方が大きい、および、そのスライドの方向が長孔13の長径方向と一致することにより、角形排気筒11が開口部21内をスライドすることを妨げることがない。その結果、受け部材20に対して角形排気口部材10の位置をより容易に調整することができる。
【0023】
図3は、本発明に係る実施例における排気口調整装置1を示す六面図(側面は右側面図のみ)である。
排気口調整装置1は、住宅設備等の排気ダクトとレンジフードの排気口を接続するレンジフード排気口調整装置であって、角形排気口部材10と受け部材20を有する。角形排気口部材10と受け部材20のそれぞれは、上述した通りである。角形排気口部材10の角形排気筒11の縦外径HEは受け部材20の開口部21の縦内径HIより小さく、かつ、角形排気筒11の横外径WEは開口部21の横内径WIとほぼ等しいため、排気口調整装置1は、角形排気口部材10の角形排気筒11が受け部材20の開口部21にスライド可能に嵌合した状態で、レンジフードの側面に取り付けられる。これにより、レンジフードを取り付ける際、レンジフードの排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、レンジフードの排気口と排気ダクトとを接続することができるレンジフード排気口調整装置を提供することができる。
【0024】
さらに、受け部材20の4つの突起部22は、フランジ部12の突起部22が嵌合する短径を有する長孔13に長径方向にスライド可能に嵌合する。そして、長孔13の長径は、開口部21の縦内径と角形排気筒11の縦外径の差にほぼ等しく、またはその差より大きい。また、長孔13の長径方向は、角形排気筒11が開口部21の中を角形排気筒11の縦外径が開口部21の縦内径より小さいことにより移動する方向とほぼ同じである。また、突起部22は雄ネジを備えた軸であるので、角形排気筒11が開口部21にスライド可能に嵌合し、かつ、突起部22が長孔13に嵌合した状態で、後述するように、雌ネジが突起部22の軸先から挿入され締められる。これにより、受け部材20に対して角形排気口部材10の位置をより容易に調整することができ、調整後確実に固定することができるレンジフードの排気口調整装置1を提供することができる。
【0025】
なお、受け部材に突起部が備えられなくともよい。その場合は、受け部材と角形排気口部材は、両者を位置合わせした後、受け部材の開口部の周辺部と角形排気口部材のフランジ部を接着剤や両面テープ等で固定してもよいし、受け部材にバーリング加工等により雌ねじ部を備えておき、ねじ止めにより固定してもよい。また、突起部はレンジフードの側面に内向きに突出するように備え、受け部材には突起部が挿通する貫通孔を備える構成としてもよい。その場合には、レンジフードの側面に内向きに突出している突起部を受け部材に備えられる貫通孔に挿通するように受け部材をレンジフードの内側から取り付ける。
また、突起部は角形排気口部材側に、長孔は受け部材側に備えられてもよい。その場合は、レンジフードの側面にも角形排気口部材の長孔に対応して同形同大の長孔を備える。
【0026】
図4は、本発明に係る実施例におけるレンジフード2の、右斜め下から見た分解斜視図である。レンジフード2は、フード3と、フード3の内側上面中央に組み込まれたモーター4と、モーター4に接続されたファン5と、フード3内であってファン5の下方に取り付けられるフィルター6と、フード3の左側面にある排気口Eに取り付けられる排気口調整装置1とを備える平型レンジフードである。排気口Eは、フィルター6の下方にあるコンロ等から発生し、フィルター6経由でファン5が吸引した汚染空気を、排気ダクトへ排出する。
【0027】
排気口調整装置1の受け部材20は、レンジフード2のフード3の左側面の排気口Eの周辺部に、フード3の外側から当接するように取り付けられる。また、排気口調整装置1の角形排気口部材10は、受け部材20の突起部22がレンジフードのフード3の左側面を介して長孔13に嵌合し、レンジフード2のフード3の左側面の排気口Eの周辺部に、取り付け用雌ネジ16が突起部22の軸先から挿入され締められることにより、フード3の内側から、取り付けられる。これにより、受け部材20と角形排気口部材10とがレンジフード側面の部材を両側から挟み込むことにより、レンジフード2の側面に受け部材20と角形排気口部材10を、即ち、排気口調整装置1を確実に取り付けることができる。
【0028】
排気口調整装置1のレンジフード2への具体的な取り付け方は、以下のとおりである。まず、受け部材20をフード3に設けられた排気口Eに取り付ける。より具体的には、フード3には排気口Eの周辺に突起部22と対応した孔が設けられており、その孔に突起部22をフード3の外側から挿入することにより、受け部材20の位置決めするとともに、受け部材20をフード側面に当接させる。なお、排気口Eの周辺であって、受け部材20が当接する部分は、受け部材20の厚さ分フード3の内側に凹んでいることが好ましい。これにより、受け部材20が壁に接する正面側の面と、フード3が壁に接する側面とを一致させることができる。
【0029】
受け部材20をフード3に当接させた状態で、折曲部24をフード内側に突出させた後さらに折り曲げ、排気口Eの周辺部を挟み込むようにする。こうすることにより、受け部材20をフード3に当接させた状態で仮留めされる。そして、この仮留め状態で、レンジフード2を所定の場所に設置する。受け部材20の壁に接する面およびフード3が壁に接する側面には一切凸部は存在しないので、容易にレンジフード2を設置することができる。
【0030】
レンジフード2を所定の場所に設置したこの状態では、受け部材20の開口部21を通して、排気ダクトの一部または全部を見ることができる。排気ダクトの縦内径は、通常、開口部21の縦内径HIより小さいので、開口部21を通して、排気ダクトの上または下に壁が見える。
【0031】
レンジフード2を所定の場所に設置した後、角形排気口部材10の角形排気筒11を受け部材20の開口部21に挿入し、かつ、角形排気口部材10の長孔13に受け部材20の突起部22が挿入されるように、角形排気口部材10を受け部材20に取り付ける。開口部21を通して、排気ダクトの上または下に壁が見えている場合には、壁を避けるように、角形排気口部材10を上下に適宜スライドさせて、上下方向の位置を調整する。
【0032】
角形排気口部材10の上下方向の位置を調整し終わったら、取り付け用雌ネジ16を突起部22の軸先から挿入し、取り付け用雌ネジ16を締める。この取り付け用雌ネジ16を強固に締め付けることにより、受け部材20と角形排気口部材10が一体となり排気口調整装置1を形成し、排気口調整装置1がフード3に本留めされ完全に取り付けられる。
【0033】
なお、受け部材は、フード3の側面の内側から当接するように取り付けられてもよい。この場合、受け部材の折曲部は、正面側に折り曲げられ、フード3の側面を挟み込むとともに、受け部材の正面側に接着剤等を塗布し、フード3の排気口Eの周辺部に受け部材が取り付けられる。
【0034】
また、本実施例では、排気口調整装置1は、排気口Eがレンジフード2の左の側面に備えられているので、左の側面に取り付けられるが、これに限定されず、排気口Eの位置に応じて、レンジフードの右側面や後方(奥の方)の側面に取り付けられてもよい。
また、受け部材20および/または角形排気口部材10のフード3の側面に当接する面には、シーリングのためにウレタンフォーム等のクッション材を備えてもよい。
【0035】
図5は、本発明に係る実施例におけるレンジフード2の、左斜め下から見た斜視図である。レンジフード2は、フード3の左側面に受け部材20と角形排気口部材10を含むレンジフードの排気口調整装置1を備える。本図に示すように、排気口調整装置1をフード3に取り付けた状態では、角形排気口部材10の角形排気筒11は、フード3の側面から突出している。従って、レンジフード2がキッチンなどの所定の位置に設置された後に、本図に示す排気口調整装置1がフード3に取り付けられた状態となる。
【0036】
図6は、レンジフードの取付状況を示す説明図である。図6(A)は、レンジフードの交換前の状況を示すものである。壁Wに接してコンロCが設置され、コンロCの上方に交換前のレンジフード2Aが、壁WとキッチンキャビネットKの間に挟まれて設置されている。排気ダクトDは、壁Wを貫通し、コンロCからの汚染空気を屋外に排出する。レンジフード2Aの角形排気筒11Aは、排気ダクトDに適合している。
【0037】
図6(B)は、レンジフード2Aを取り外した後、同じ場所に新しいレンジフード2Bを取り付けようとしている状態を示し、レンジフードの側面に排気口を突出させた状態では取り付けが不可能であることを示すものである。レンジフード2Bは、レンジフード2Bを取り付ける前から、排気ダクトDに嵌める角形排気筒11Bがフードの側面から突出しているものである。すると、レンジフード2Bを取り付ける際、レンジフード2Bの横幅が壁WとキッチンキャビネットKの間の幅と等しいので、角形排気筒11Bが邪魔となって取り付けることはできない。
【0038】
図6(C)は、交換後のレンジフードの排気口と排気ダクトの高さが適合しない場合を示すものである。このレンジフード2Cは、本実施例のレンジフード2とは異なり、角形排気筒に相当するフードから突出する部材(11C)の位置が固定されているものである。この場合、レンジフード2Cを取り付けるためには、排気口から突出する部材(11C)が排気ダクトDに適合しないので、排気ダクトの位置を変える等の工事が必要となる。
【0039】
図6(D)は、交換後のレンジフードの排気口と排気ダクトの高さが適合した場合を示すものである。このレンジフード2は、本願発明に係るものであり、角形排気口部材10の角形排気筒11は、レンジフード2が取り付けられる際には、取り付けられていないのでフードから突出していることがないため容易に取り付けることができ、また、排気ダクトの位置に合わせて調整できるので、排気ダクトの位置を変える等の工事は不要となる。
【0040】
従って、本願に係るレンジフード2では、レンジフード2を取り付ける際、レンジフード2の排気口と排気ダクトとの位置の調整を容易に行うことができ、また、住宅側の排気ダクト位置の変更や、キッチンの壁・天井の張り替えが不要となり、さらには、キッチンキャビネットと壁に挟まれた古いレンジフードを交換する場合で、レンジフードの右側面または左側面に排気ダクトが位置している場合でも、容易に取り付けることのできるレンジフードを提供することができる。
【0041】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 排気口調整装置
2 レンジフード
3 フード
4 モーター
5 ファン
6 フィルター
D 排気ダクト
E 排気口
K キッチンキャビネット
C 調理台
W 壁
10 角形排気口部材
11 角形排気筒
12 フランジ部
13 長孔
14 上辺部
15 下辺部
16 取り付け用雌ネジ
HE 縦外径
WE 横外径
20 受け部材
21 開口部
22 突起部(取り付け用雄ネジ)
23 平板
24 折曲部
HI 縦内径
WI 横内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6