特許第5855874号(P5855874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855874
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】車両用インジケータランプ点灯回路
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20160120BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60R16/033 B
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-189037(P2011-189037)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49374(P2013-49374A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】外村 和義
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−032540(JP,U)
【文献】 特開2000−275070(JP,A)
【文献】 米国特許第04074226(US,A)
【文献】 特開2010−047117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のイグニッションスイッチのオン中に電力を供給するイグニッション電源からインジケータランプへの給電経路上に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第1スイッチングトランジスタと、
前記第1スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第2スイッチングトランジスタとを備え、
前記第2スイッチングトランジスタのベースには、前記インジケータランプの点灯により報知すべき状態の発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位となり、前記状態の非発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースの非バイアス電位となる制御信号の信号線が接続され、
前記第1スイッチングトランジスタと前記インジケータランプとの接続点は、前記車両の+B電源(常時電源)に選択的に接続されると共に、
前記+B電源(常時電源)と前記接続点との間に介設され、前記+B電源(常時電源)によりプルアップされたベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第3スイッチングトランジスタと、
前記第3スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、該ベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第4スイッチングトランジスタとをさらに備え、
前記第4スイッチングトランジスタのベースには、該第4スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位と非バイアス電位との間で切り替わる副制御信号の信号線が接続され、
バイアス電位の前記副制御信号による前記第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオン中に、前記+B電源(常時電源)が前記接続点に接続される、
ことを特徴とする車両用インジケータランプ点灯回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のコンビネーションメータ等において各種状態報知のために用いられるインジケータランプの点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のコンビネーションメータにおいては、各種の状態をインジケータランプによって報知することが行われている。その場合は、イグニッションスイッチのオンによりバッテリに接続されるインジケータランプの給電回路上にスイッチングトランジスタを介設する。そして、報知する状態に応じて信号状態が変化する制御信号によりスイッチングトランジスタをオンオフさせる。
【0003】
なお、このようなインジケータの点灯回路の中には、制御信号の信号線の断線時にもインジケータランプによりこれを報知できるように、スイッチングトランジスタのベース電位をスイッチングトランジスタの電源によりプルアップして、信号線のオープン状態時にインジケータランプを点灯させるものもある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した点灯回路では、スイッチングトランジスタのベース電位を電源でプルアップすることから、インジケータランプで状態を報知できるのは、スイッチングトランジスタが電源に接続されるイグニッションスイッチのオン中に限られる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、車両のイグニッションスイッチがオンのときに、車両の状態の報知や、そのために用いる制御信号の信号線のオープン状態の報知に用いるインジケータランプを、イグニッションスイッチがオフのときにも必要に応じて点灯させることができる車両用インジケータランプ点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明の車両用インジケータランプ点灯回路は、以下のような事情を考慮して案出したものである。
【0008】
例えば、メータユニット中のインジケータランプによって報知する状態が、車両のコントロールユニット(ECU)からの制御信号で通知される場合は、その制御信号の信号線をスイッチングトランジスタのベースに接続する。これにより、制御信号をベース電位のバイアスに用いて、スイッチングトランジスタをオンオフさせることができる。
【0009】
ここで、信号線に断線や接続不良が生じると、報知対象の状態をインジケータランプで正しく報知することができなくなる。そこで、コンビネーションメータの組立工程においては、断線や接続不良により信号線がオープン状態となっていないかどうか、検査することが重要となる。
【0010】
信号線のオープン状態を組立工程において検査する際には、インジケータランプを点灯させて実際に点灯するかどうかを確認する必要がある。しかし、そのインジケータランプが、異常状態であることを点灯により報知するものである場合は、検査時点で擬似的に異常状態を発生させることができない限り、インジケータランプを制御信号によって点灯させることができない。
【0011】
そこで、断線や接続不良により信号線がオープン状態となったときにも、スイッチングトランジスタがオンするように、スイッチングトランジスタのベース電位をプルアップすることが考えられる。
【0012】
この場合、イグニッションスイッチのオン時にメータユニットに接続されるイグニッション電源(メータ電源)をプルアップ電源に用いると、イグニッションスイッチのオン中には、スイッチングトランジスタのベース電位をプルアップしてインジケータランプを点灯させることができる。言い換えると、イグニッションスイッチのオフ中には、信号線に断線や接続不良が発生していなくても、インジケータランプを点灯させることができない。
【0013】
そこで、イグニッションスイッチのオフ時には、常時電源(+B電源)をインジケータランプの給電回路に通電させることで、スイッチングトランジスタのベース電位をバイアスすることが考えられる。この場合は、イグニッションスイッチを介さずに+B電源をインジケータランプの給電回路に接続することになる。したがって、イグニッションスイッチのオフ中にも、信号線に断線や接続不良が発生していなければ、インジケータランプを点灯させてそのことを確認することができる。
【0014】
しかし、スイッチングトランジスタのベース回りには、プルダウン抵抗を含むバイアス抵抗が存在するので、+B電源を給電回路に直接接続すると、これらのバイアス抵抗を通じて暗電流が給電回路を常時流れることになる。イグニッションスイッチのオフ中にはオルタネータによるバッテリの充電が行われないので、その状態で暗電流を給電回路に流し続けるのは、バッテリの消耗が早まるため好ましくない。
【0015】
上述した事情を考慮して、前記目的を達成するために、請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路は、
車両のイグニッションスイッチのオン中に電力を供給するイグニッション電源からインジケータランプへの給電経路上に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスをかけることでエミッターコレクタ間がオンする第1スイッチングトランジスタと、
前記第1スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスをかけることでエミッターコレクタ間がオンする第2スイッチングトランジスタとを備え、
前記第2スイッチングトランジスタのベースには、前記インジケータランプの点灯により報知すべき状態の発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位となり、前記状態の非発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースの非バイアス電位となる制御信号の信号線が接続され、
前記第1スイッチングトランジスタと前記インジケータランプとの接続点は、前記車両の+B電源(常時電源)に選択的に接続される、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路によれば、イグニッションスイッチのオン中に、報知すべき状態が発生していないと、制御信号が非バイアス電位となり第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからないので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0017】
これにより、第1スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、インジケータランプは点灯しない。
【0018】
一方、イグニッションスイッチのオン中に、報知すべき状態が発生していると、制御信号がバイアス電位となり第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0019】
また、イグニッションスイッチのオン中に制御信号の信号線がオープン状態になると、イグニッション電源によるプルアップで第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0020】
したがって、これらの場合は、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオンにより、第1スイッチングトランジスタのベースに逆方向バイアスがかかり、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオンする。よって、インジケータランプが点灯する。
【0021】
ところで、イグニッションスイッチのオフ中には、イグニッション電源によって第2スイッチングトランジスタのベースがプルアップされないので、第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからず、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0022】
これにより、第1スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、イグニッションスイッチのオフ中に制御信号が非バイアス電位に固定される場合には、インジケータランプを制御信号やイグニッション電源によって、イグニッションスイッチのオフ中に点灯させることができない。
【0023】
しかし、第1スイッチングトランジスタとインジケータランプとの接続点に車両の+B電源(常時電源)が接続されれば、+B電源(常時電源)からの電力によってインジケータランプが点灯する。
【0024】
したがって、第1及び第2スイッチングトランジスタのベースがプルアップされないイグニッションスイッチのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じてインジケータランプを点灯させることができる。
【0025】
なお、イグニッションスイッチのオン中にイグニッション電源を利用してインジケータランプを点灯させる状態が複数ある場合、その一部の状態についてのみ、イグニッションスイッチのオフ中に+B電源(常時電源)を利用してインジケータランプを点灯させるものとしてもよい。
【0026】
また、請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路は、
前記+B電源(常時電源)と前記接続点との間に介設され、前記+B電源(常時電源)により選択的にプルアップされたベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第3スイッチングトランジスタと、
前記第3スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、該ベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第4スイッチングトランジスタとをさらに備え、
前記第4スイッチングトランジスタのベースには、該第4スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位と非バイアス電位の間で切り替わる副制御信号の信号線が接続され、
バイアス電位の前記副制御信号による前記第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオン中に、前記+B電源(常時電源)が前記接続点に接続される、
ことを特徴とする。
【0027】
請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路によれば、イグニッションスイッチのオフ中に、副制御信号が非バイアス電位であると、第4スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからないので、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0028】
これにより、第3スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、+B電源(常時電源)はインジケータランプに接続されず、インジケータランプは点灯しない。
【0029】
一方、イグニッションスイッチのオフ中に、副制御信号がバイアス電位であると、第4スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0030】
したがって、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオンにより、第3スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかり、第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオンする。よって、+B電源(常時電源)はインジケータランプに接続されて、インジケータランプが点灯する。このため、イグニッションスイッチのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じてインジケータランプを点灯させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の車両用インジケータランプ点灯回路によれば、車両の状態の報知や、そのために用いる制御信号の信号線のオープン状態の報知に用いるインジケータランプを、イグニッションスイッチのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じて、点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用インジケータランプ点灯回路の原理的な構成を示す回路図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両用インジケータランプ点灯回路の具体的な構成を示す回路図である。
図3図1に示す車両用インジケータランプ点灯回路に制御信号の供給源の制御ユニットから+B電源(常時電源)を選択的に供給する場合の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両用インジケータランプ点灯回路の原理的な構成を示す回路図である。
【0034】
本実施形態の車両用インジケータランプ点灯回路(以下、「点灯回路」と略記することがある。)は、イグニッションスイッチIGNのオン時に供給されるイグニッション電源(メータ電源。図1中の電源1)1からの電力によって、インジケータランプ(LED)3を点灯させる回路である。そして、本実施形態の点灯回路は、第1及び第2スイッチングトランジスタTR1,TR2を有している。
【0035】
第1スイッチングトランジスタTR1は、PNP接合のバイポーラトランジスタである。第1スイッチングトランジスタTR1のエミッタは、イグニッションスイッチIGNと給電経路2を介してメータ電源(電源1)1に接続されている。コレクタは、逆流防止用のダイオードD1のアノードに接続されている。ベースの電位は、プルアップ抵抗R1によってコレクタ電位にプルアップされている。
【0036】
第2スイッチングトランジスタTR2は、NPN接合のエミッタ接地型バイポーラトランジスタである。第2スイッチングトランジスタTR2のコレクタは、保護抵抗R3を介して第1スイッチングトランジスタTR1のベースに接続されている。ベースは、プルダウン抵抗R4を介して接地されている。また、ベースには、バイアス抵抗R5を介して、制御信号の信号線5が接続されている。
【0037】
信号線5は、不図示の制御側(例えば、車両のECU等)に接続されている。制御信号はこの制御側から出力される。制御側では、インジケータランプ(LED)3の点灯により報知する状態を検出している。報知する状態としては、例えば、車両のコンビネーションメータにおいてウォーニング表示する事項等がある。本実施形態では、制御信号の電位は、報知すべき状態の発生中に高電位(バイアス電位)となり、非発生中に低電位(非バイアス電位)となる。なお、信号線5は、プルアップ抵抗R2を介して第1スイッチングトランジスタTR1のコレクタにも接続されている。
【0038】
インジケータランプ(LED)3のアノードは、保護抵抗R6を介してダイオードD1のカソードに接続されている。インジケータランプ(LED)3のカソードは接地されている。保護抵抗R6とダイオードD1のカソードとの接続点7には、ダイオードD2のカソードが接続されている。ダイオードD2のアノードには信号線9が接続されている。この信号線9には、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、必要に応じて、不図示の+B電源(常時電源)が接続される。
【0039】
なお、インジケータランプ(LED)3と保護抵抗6との配置を逆にして、インジケータランプ(LED)3と設置との間に保護抵抗6を直列に接続してもよい。
【0040】
以上に説明した構成の本実施形態の点灯回路では、イグニッションスイッチIGNのオン中に、報知すべき状態が発生していないと、信号線5の制御信号が低電位(非バイアス電位)となり第2スイッチングトランジスタTR2のベースにバイアスがかからないので、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッターコレクタ間がオフする。
【0041】
これにより、第1スイッチングトランジスタTR1のベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッターコレクタ間もオフする。よって、メータ電源(電源1)1がインジケータランプ(LED)3に接続されない。このため、イグニッションスイッチIGNのオン中に、報知すべき状態が発生していない場合は、インジケータランプ(LED)3は点灯しない。
【0042】
一方、イグニッションスイッチIGNのオン中に、報知すべき状態が発生すると、信号線5の制御信号が高電位(バイアス電位)となり、第2スイッチングトランジスタTR2のベースに順方向バイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッターコレクタ間がオンする。
【0043】
また、イグニッションスイッチIGNのオン中に信号線5が断線や接続不良等によりオープン状態になると、メータ電源(電源1)1によるプルアップで第2スイッチングトランジスタTR2のベースに順方向バイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッターコレクタ間がオンする。
【0044】
したがって、これらの場合は、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッターコレクタ間のオンにより、第1スイッチングトランジスタTR1のベースに逆方向バイアスがかかり、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッターコレクタ間もオンする。よって、バッテリ(電源1)1がインジケータランプ(LED)3に接続される。このため、イグニッションスイッチIGNのオン中に、報知すべき状態が発生している場合や、信号線5がオープン状態になった場合は、インジケータランプ(LED)3が点灯する。
【0045】
これに対して、イグニッションスイッチIGNのオフ中には、第2スイッチングトランジスタTR2のベースがメータ電源(電源1)1によりプルアップされないので、第2スイッチングトランジスタTR2のベースにバイアスがかからず、第2スイッチングトランジスタTR2のエミッターコレクタ間がオフする。
【0046】
これにより、第1スイッチングトランジスタTR1のベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタTR1のエミッターコレクタ間もオフする。よって、イグニッションスイッチIGNのオフ中には、メータ電源(電源1)1がインジケータランプ(LED)3に接続されず、インジケータランプ(LED)3がメータ電源(電源1)1によって点灯されることはない。
【0047】
そして、信号線9に不図示の+B電源(常時電源)が接続されていない状態では、ダイオードD2、保護抵抗R6、インジケータランプ(LED)3に電流が流れない。よって、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、信号線9に不図示の+B電源(常時電源)が接続されていないと、インジケータランプ(LED)3は点灯されない。
【0048】
一方、イグニッションスイッチのオフ中に、信号線9に不図示の+B電源(常時電源)が接続されると、ダイオードD2、保護抵抗R6、インジケータランプ(LED)3に電流が流れる。よって、イグニッションスイッチIGNのオフ中であっても、信号線9に不図示の+B電源(常時電源)が接続されれば、インジケータランプ(LED)3が車両の+B電源(常時電源)によって点灯される。
【0049】
したがって、本実施形態の点灯回路によれば、第1及び第2スイッチングトランジスタTR1,TR2のベースがメータ電源(電源1)1によりプルアップされないイグニッションスイッチIGNのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じてインジケータランプ(LED)3を点灯させることができる。
【0050】
次に、上述した本実施形態の点灯回路における、報知すべき状態が発生した場合に+B電源(常時電源)を信号線9に限定的に接続する部分の具体的な構成例について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る車両用インジケータランプ点灯回路の具体的な構成を示す回路図である。
【0051】
図2に示す点灯回路では、+B電源(常時電源。図2中の電源2)11からの電力でインジケータランプ(LED)3を点灯させるために、第3及び第4スイッチングトランジスタTR3,TR4を用いている。
【0052】
第3スイッチングトランジスタTR3は、PNP接合のバイポーラトランジスタである。第3スイッチングトランジスタTR3のエミッタは、信号線9を介して+B電源(電源2)11に接続されている。コレクタは、逆流防止用のダイオードD2のアノードに接続されている。ベースの電位は、プルアップ抵抗R11によってコレクタ電位にプルアップされている。
【0053】
第4スイッチングトランジスタTR4は、NPN接合のエミッタ接地型バイポーラトランジスタである。第4スイッチングトランジスタTR4のコレクタは、保護抵抗R13を介して第3スイッチングトランジスタTR3のベースに接続されている。ベースは、プルダウン抵抗R14を介して接地されている。また、ベースには、バイアス抵抗R15を介して、副制御信号の信号線13が接続されている。
【0054】
信号線13は、不図示の制御側(例えば、車両のECU等)に接続されている。副制御信号はこの制御側から出力される。制御側では、インジケータランプ(LED)3の点灯により報知する状態を検出している。報知する状態としては、例えば、車両のコンビネーションメータにおいてウォーニング表示する事項等がある。本実施形態では、副制御信号の電位は、報知すべき状態の発生中に高電位(バイアス電位)となり、非発生中に低電位(非バイアス電位)となる。
【0055】
なお、第2スイッチングトランジスタTR2のベースに接続された信号線5の制御信号や、第4スイッチングトランジスタTR4のベースに接続された信号線13の副制御信号が、高電位(バイアス電位)となるときにそれぞれ発生している「報知すべき状態」は、必ずしも一致(完全に又は部分的に)していなくてもよい。
【0056】
図2に示す点灯回路では、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、報知すべき状態が発生していないと、信号線13の副制御信号が低電位(非バイアス電位)となり第4スイッチングトランジスタTR4のベースにバイアスがかからないので、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッターコレクタ間がオフする。
【0057】
これにより、第3スイッチングトランジスタTR3のベースにもバイアスがかからず、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッターコレクタ間もオフする。よって、+B電源(電源2)11が信号線9を介してインジケータランプ(LED)3に接続されない。このため、イグニッションスイッチIGNのオン中に、報知すべき状態が発生していない場合は、インジケータランプ(LED)3は点灯しない。
【0058】
一方、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、報知すべき状態が発生すると、信号線13の副制御信号が高電位(バイアス電位)となり、第4スイッチングトランジスタTR4のベースに順方向バイアスがかかるので、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッターコレクタ間がオンする。
【0059】
したがって、第4スイッチングトランジスタTR4のエミッターコレクタ間のオンにより、第3スイッチングトランジスタTR3のベースに逆方向バイアスがかかり、第3スイッチングトランジスタTR3のエミッターコレクタ間もオンする。よって、+B電源(電源2)11がインジケータランプ(LED)3に接続される。このため、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、報知すべき状態が発生している場合は、インジケータランプ(LED)3が点灯する。
【0060】
なお、図2に示す、第3及び第4スイッチングトランジスタTR3,TR4を用いて+B電源(電源2)11をインジケータランプ(LED)3に選択的に接続する構成は、必須とする。したがって、+B電源(電源2)11をインジケータランプ(LED)3に選択的に接続するための構成点灯回路自身が持たない構成は、本発明の対象外である。
【0061】
例えば、図3の回路図に示すように、図1に示す点灯回路の信号線5に制御信号を供給する制御ユニット15に、+B電源(電源2)11を内部スイッチSW1のオン時に出力するポートを設け、このポートに点灯回路の信号線9を接続する構成は、本発明の対象外となる。
【0062】
この場合、制御ユニット15は、イグニッションスイッチIGNのオフ中に、信号線5に対する制御信号が低電位(非バイアス電位、報知すべき状態が発生していない状態)であっても、自らのコントロールで内部スイッチSW1をオンさせ、+B電源(電源2)11を信号線9に選択的に接続し、インジケータランプ(LED)3を点灯させることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、インジケータランプ3がLED(発光ダイオード)である場合を例に取って説明したが、インジケータランプはバルブやその他の発光体(ランプ)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、車両のイグニッションスイッチがオンのときに車両の状態の報知等に用いるインジケータランプを、イグニッションスイッチがオフのときにも利用する上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 メータ電源(イグニッション電源)
2 給電経路
3 インジケータランプ
5 信号線
7 接続点
9 信号線
11 +B電源(常時電源)
13 信号線
15 制御ユニット
D1 ダイオード
D2 ダイオード
IGN イグニッションスイッチ
R1 プルアップ抵抗
R2 プルアップ抵抗
R3 保護抵抗
R4 プルダウン抵抗
R5 バイアス抵抗
R6 保護抵抗
R11 プルアップ抵抗
R12 プルアップ抵抗
R13 保護抵抗
R14 プルダウン抵抗
R15 バイアス抵抗
SW1 内部スイッチ
TR1 第1スイッチングトランジスタ
TR2 第2スイッチングトランジスタ
TR3 第3スイッチングトランジスタ
TR4 第4スイッチングトランジスタ
図1
図2
図3