【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明の車両用インジケータランプ点灯回路は、以下のような事情を考慮して案出したものである。
【0008】
例えば、メータユニット中のインジケータランプによって報知する状態が、車両のコントロールユニット(ECU)からの制御信号で通知される場合は、その制御信号の信号線をスイッチングトランジスタのベースに接続する。これにより、制御信号をベース電位のバイアスに用いて、スイッチングトランジスタをオンオフさせることができる。
【0009】
ここで、信号線に断線や接続不良が生じると、報知対象の状態をインジケータランプで正しく報知することができなくなる。そこで、コンビネーションメータの組立工程においては、断線や接続不良により信号線がオープン状態となっていないかどうか、検査することが重要となる。
【0010】
信号線のオープン状態を組立工程において検査する際には、インジケータランプを点灯させて実際に点灯するかどうかを確認する必要がある。しかし、そのインジケータランプが、異常状態であることを点灯により報知するものである場合は、検査時点で擬似的に異常状態を発生させることができない限り、インジケータランプを制御信号によって点灯させることができない。
【0011】
そこで、断線や接続不良により信号線がオープン状態となったときにも、スイッチングトランジスタがオンするように、スイッチングトランジスタのベース電位をプルアップすることが考えられる。
【0012】
この場合、イグニッションスイッチのオン時にメータユニットに接続されるイグニッション電源(メータ電源)をプルアップ電源に用いると、イグニッションスイッチのオン中には、スイッチングトランジスタのベース電位をプルアップしてインジケータランプを点灯させることができる。言い換えると、イグニッションスイッチのオフ中には、信号線に断線や接続不良が発生していなくても、インジケータランプを点灯させることができない。
【0013】
そこで、イグニッションスイッチのオフ時には、常時電源(+B電源)をインジケータランプの給電回路に通電させることで、スイッチングトランジスタのベース電位をバイアスすることが考えられる。この場合は、イグニッションスイッチを介さずに+B電源をインジケータランプの給電回路に接続することになる。したがって、イグニッションスイッチのオフ中にも、信号線に断線や接続不良が発生していなければ、インジケータランプを点灯させてそのことを確認することができる。
【0014】
しかし、スイッチングトランジスタのベース回りには、プルダウン抵抗を含むバイアス抵抗が存在するので、+B電源を給電回路に直接接続すると、これらのバイアス抵抗を通じて暗電流が給電回路を常時流れることになる。イグニッションスイッチのオフ中にはオルタネータによるバッテリの充電が行われないので、その状態で暗電流を給電回路に流し続けるのは、バッテリの消耗が早まるため好ましくない。
【0015】
上述した事情を考慮して、前記目的を達成するために、請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路は、
車両のイグニッションスイッチのオン中に電力を供給するイグニッション電源からインジケータランプへの給電経路上に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスをかけることでエミッターコレクタ間がオンする第1スイッチングトランジスタと、
前記第1スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、前記イグニッションスイッチのオン中に前記イグニッション電源によりプルアップされるベースにバイアスをかけることでエミッターコレクタ間がオンする第2スイッチングトランジスタとを備え、
前記第2スイッチングトランジスタのベースには、前記インジケータランプの点灯により報知すべき状態の発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位となり、前記状態の非発生中に前記第2スイッチングトランジスタのベースの非バイアス電位となる制御信号の信号線が接続され、
前記第1スイッチングトランジスタと前記インジケータランプとの接続点は、前記車両の+B電源(常時電源)に選択的に接続される、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路によれば、イグニッションスイッチのオン中に、報知すべき状態が発生していないと、制御信号が非バイアス電位となり第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからないので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0017】
これにより、第1スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、インジケータランプは点灯しない。
【0018】
一方、イグニッションスイッチのオン中に、報知すべき状態が発生していると、制御信号がバイアス電位となり第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0019】
また、イグニッションスイッチのオン中に制御信号の信号線がオープン状態になると、イグニッション電源によるプルアップで第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0020】
したがって、これらの場合は、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオンにより、第1スイッチングトランジスタのベースに逆方向バイアスがかかり、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオンする。よって、インジケータランプが点灯する。
【0021】
ところで、イグニッションスイッチのオフ中には、イグニッション電源によって第2スイッチングトランジスタのベースがプルアップされないので、第2スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからず、第2スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0022】
これにより、第1スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第1スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、イグニッションスイッチのオフ中に制御信号が非バイアス電位に固定される場合には、インジケータランプを制御信号やイグニッション電源によって、イグニッションスイッチのオフ中に点灯させることができない。
【0023】
しかし、第1スイッチングトランジスタとインジケータランプとの接続点に車両の+B電源(常時電源)が接続されれば、+B電源(常時電源)からの電力によってインジケータランプが点灯する。
【0024】
したがって、第1及び第2スイッチングトランジスタのベースがプルアップされないイグニッションスイッチのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じてインジケータランプを点灯させることができる。
【0025】
なお、イグニッションスイッチのオン中にイグニッション電源を利用してインジケータランプを点灯させる状態が複数ある場合、その一部の状態についてのみ、イグニッションスイッチのオフ中に+B電源(常時電源)を利用してインジケータランプを点灯させるものとしてもよい。
【0026】
また、
請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路
は、
前記+B電源(常時電源)と前記接続点との間に介設され、前記+B電源(常時電源)により選択的にプルアップされたベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第3スイッチングトランジスタと、
前記第3スイッチングトランジスタのベースと接地との間に介設され、該ベースにバイアスがかかることでエミッターコレクタ間がオンする第4スイッチングトランジスタとをさらに備え、
前記第4スイッチングトランジスタのベースには、該第4スイッチングトランジスタのベースのバイアス電位と非バイアス電位の間で切り替わる副制御信号の信号線が接続され、
バイアス電位の前記副制御信号による前記第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオン中に、前記+B電源(常時電源)が前記接続点に接続される、
ことを特徴とする。
【0027】
請求項1に記載した本発明の車両用インジケータランプ点灯回路によれ
ば、イグニッションスイッチのオフ中に、副制御信号が非バイアス電位であると、第4スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかからないので、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオフする。
【0028】
これにより、第3スイッチングトランジスタのベースにもバイアスがかからず、第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオフする。よって、+B電源(常時電源)はインジケータランプに接続されず、インジケータランプは点灯しない。
【0029】
一方、イグニッションスイッチのオフ中に、副制御信号がバイアス電位であると、第4スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかるので、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間がオンする。
【0030】
したがって、第4スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間のオンにより、第3スイッチングトランジスタのベースにバイアスがかかり、第3スイッチングトランジスタのエミッターコレクタ間もオンする。よって、+B電源(常時電源)はインジケータランプに接続されて、インジケータランプが点灯する。このため、イグニッションスイッチのオフ中であっても、車両の+B電源(常時電源)を利用し必要に応じてインジケータランプを点灯させることができる。