【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0057】
(実施例1)
(1)正極の作製
以下の正極合材層用材料:
活物質(LiCo
1/3Ni
1/3Mn
1/3O
2) ; 88質量部
固体電解質(Li
3VO
4); ; 2質量部(添加量A
pと表す)
導電助剤(カーボンブラック) ; 5質量部
結着剤(PVdF) ; 5質量部
溶媒(N−メチル2−ピロリドン(NMP)) ;100質量部
を混合し、正極スラリーを得た。正極スラリーをアルミニウム箔(厚み30μm)の正極集電体に塗布、乾燥し、正極合材層を正極集電体上に形成した。正極合材層の目付けは(片面当たり)16.5mg/cm
2であった。10×10mmの未塗工部分をリード接続用のタブとして残しつつ、塗工部分(正極合材層形成部分)を50×50mmに裁断した。また、水銀ポロシメータを用いて測定したところ、正極合材層の空孔率は40%であった。
【0058】
(2)負極の作製
以下の負極合材層用材料:
活物質(グラファイト) ; 95質量部
結着剤(PVdF) ; 5質量部
溶媒(NMP) ; 150質量部
を混合し、負極スラリーを得た。負極スラリーを銅箔(厚み10μm)の負極集電体に塗布、乾燥し、負極合材層を負極集電体上に形成した。負極合材層の目付けは(片面当たり)7mg/cm
2であった。10×10mmの未塗工部分をリード接続用のタブとして残しつつ、塗工部分(負極合材層形成部分)を52×52mmに裁断した。
【0059】
(3)電池の作製
上述のように作製した正極9枚と、負極10枚とを用いて、
図2の実施形態で示したようなリチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、正極及び負極をセパレータを介して積層し、積層体の周囲をテープで固定した。各正極集電体のタブを重ねてアルミニウム金属リードを溶接した。同様に各負極集電体のタブを重ねてニッケル金属リードを溶接した。これらをアルミラミネート外装材に封入し、正極リードと負極リードを外装材外側に出して、電解液封入口を残して密閉融着した。電解液封入口より電解液を注液し、真空含浸にて電極内部に電解液を浸透させた後、ラミネートを真空封止した。
【0060】
(4)充放電試験
上述のように作製した電池の正極リードと負極リードとを、充放電試験装置(アスカ電子社製)の対応する端子に接続し、最大電圧4.2V、電流レート2Cで45分に亘って定電流定電圧充電し、充電完了後、電流レート1Cにて2.5Vまで定電流放電させた。
【0061】
これを500サイクル繰り返した。この試験は、室温25℃の環境下で行った初回放電時に測定した容量からエネルギー密度(Wh/kg)を算出し、サイクル後の容量からサイクル容量維持率(500サイクル時放電容量/初回放電容量×100)(以下、25℃サイクル容量維持率C
Hと記載)を算出した。容量維持率は89.3%であった。また、作成された他の電池に対して−10℃の温度環境下において、同様の方法でサイクル容量維持率(以下、−10℃サイクル容量維持率C
Lと記載)の試験を行った。−10℃サイクル容量維持率C
Lは78.1%であった。
【0062】
(実施例2)
正極合材層における正極活物質量を85質量部とし、固体電解質の添加量A
pを5質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは89.6%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは78.1%であった。
【0063】
(実施例3)
正極合材層における正極活物質量を80質量部とし、固体電解質の添加量A
pを10質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは86.2%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは77.3%であった。
【0064】
(実施例4)
正極合材層における正極活物質量を75質量部とし、固体電解質の添加量A
pを15質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは85.7%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは72.1%であった。
【0065】
(実施例5)
正極合材層における正極活物質量を89質量部とし、固体電解質の添加量A
pを1質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは85.3%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは71.1%であった。
【0066】
(
参考例1)
正極合材層における正極活物質量を89.5質量部とし、固体電解質の添加量A
pを0.5質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは84.4%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは68.1%であった。
【0067】
以下、本実施例7〜12は、実施例1〜6において行った固体電解質への正極への添加に代えて、固体電解質を負極に添加したものである。
【0068】
(実施例7)
(1)正極の作製
以下の正極合材層用材料:
活物質(LiCo
1/3Ni
1/3Mn
1/3O
2) ; 90質量部
導電助剤(カーボンブラック) ; 5質量部
結着剤(PVdF) ; 5質量部
溶媒(N−メチル2−ピロリドン(NMP)) ;100質量部
を混合し、正極スラリーを得た。正極スラリーをアルミニウム箔(厚み30μm)の正極集電体に塗布、乾燥し、正極合材層を正極集電体上に形成した。正極合材層の目付けは(片面当たり)16.5mg/cm
2であった。10×10mmの未塗工部分をリード接続用のタブとして残しつつ、塗工部分(正極合材層形成部分)を50×50mmに裁断した。また、水銀ポロシメータを用いて測定したところ、正極合材層の空孔率は40%であった。
【0069】
(2)負極の作製
以下の負極合材層用材料:
活物質(グラファイト) ; 94質量部
固体電解質(Li
3VO
4) ; 1質量部(添加量A
Nと表す)
結着剤(PVdF) ; 5質量部
溶媒(NMP) ; 150質量部
を混合し、負極スラリーを得た。負極スラリーを銅箔(厚み10μm)の負極集電体に塗布、乾燥し、負極合材層を負極集電体上に形成した。負極合材層の目付けは(片面当たり)7mg/cm
2であった。10×10mmの未塗工部分をリード接続用のタブとして残しつつ、塗工部分(負極合材層形成部分)を52×52mmに裁断した。
【0070】
(3)電池の作製
実施例1と同様の方法により電池を作成した。
【0071】
(4)充放電試験
実施例1と同様の方法により試験を行い、25℃サイクル容量維持率C
H及び−10℃サイクル容量維持率C
Lを求めた。25℃サイクル容量維持率C
Hは、88.1%であり、−10℃サイクル容量維持率C
Lは88.1%であった。
【0072】
(実施例8)
負極合材層における負極活物質量を90質量部とし、固体電解質の添加量A
Nを5質量部とした以外は、全て
参考例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは92.1%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは83.1%であった。
【0073】
(実施例9)
負極合材層における負極活物質量を85質量部とし、固体電解質の添加量A
Nを10質量部とした以外は、全て実施例6と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは92.4%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは78.3%であった。
【0074】
(実施例10)
負極合材層における負極活物質量を80質量部とし、固体電解質の添加量A
Nを15質量部とした以外は、全て実施例6と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは87.3%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは73.1%であった。
【0075】
(実施例11)
負極合材層における負極活物質量を94.9質量部とし、固体電解質の添加量A
Nを0.1質量部とした以外は、全て実施例6と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは86.1%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは70.1%であった。
【0076】
(実施例12)
負極合材層における負極活物質量を94.95質量部とし、固体電解質の添加量A
Nを0.05質量部とした以外は、全て実施例6と同一条件にして電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは84.4%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは68.7%であった。
【0077】
(実施例13)
正極合材層における正極活物質量として、LiCo
0.8Ni
0.2O
2を60質量部、Li
3V
2(PO
4)
3を28質量部とし、固体電解質の添加量A
pを2質量部とした以外は、全て実施例1と同一条件にして電池を作製し評価を行った。なお、Li
3V
2(PO
4)
3は、カーボンをC原子換算で1.4質量%被覆したものを用いた。25℃サイクル容量維持率C
Hは91.2%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは78.8%であった。
【0078】
(比較例1)
正極合材層における正極活物質量を90質量部とし、固体電解質を添加しない点以外は、実施例1と同様の工程を行って電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは84.2%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは68.1%であった。
【0079】
(比較例2)
正極合材層における正極活物質量として、LiCo
0.8Ni
0.2O
2を60質量部、Li
3V
2(PO
4)
3を30質量部とし、固体電解質を添加しない点以外は、実施例1と同様の工程を行って電池を作製し評価を行った。25℃サイクル容量維持率C
Hは86.3%であった。また、−10℃サイクル容量維持率C
Lは71.5%であった。
【0080】
表1において、LiCoNiMnO
2を活物質として含む実施例1〜6(正極合材に固体電解質を添加した実施例)と比較例1の対比結果を示している。
【0081】
【表1】
【0082】
表1によれば、電極に固体電解質を添加しない場合(比較例1)には、サイクル後の容量維持率が固体電解質を添加したものと比べ低く、特に‐10℃サイクル容量維持率C
Lはかなり低い値を示している。
【0083】
そして、固体電解質の正極への添加量A
Pを0.5質量部のみ添加した場合(実施例6)、すなわち、微量の添加であっても比較例1と比べれば25℃サイクル容量維持率C
Hが若干高い値を示している。これにより、固体電解質の正極への添加が、サイクル特性の向上に寄与していることは明確である。なお、この微量の添加では、10℃サイクル容量維持率C
Lの値の変化はみられず、低温時におけるサイクル特性の改善の傾向はみられない。
【0084】
一方、添加量A
Pが1質量部以上である実施例1〜5の場合においては、25℃サイクル容量維持率C
H及び‐10℃サイクル容量維持率C
Lは、ともに、電極に固体電解質を添加していない比較例1の場合に比べて大きく増加している。特に‐10℃サイクル容量維持率C
Lに関しては、比較例1と比較して、最低でも3%程度高い値を示している。すなわち、サイクル特性(特に低温時のサイクル特性)が大きく改善したことがわかった。
【0085】
図3には、LiCoNiMnO
2を活物質として含む正極への固体電解質の添加量A
pとリチウムイオン二次電池の容量維持率C
H及びC
Lの関係を、25℃の環境下におけるサイクル後と−10℃の環境下におけるサイクル後に分けて示している。図を参照すれば明らかなように、容量維持率C
H及び容量維持率C
Lはともに、正極への固体電解質の添加量A
pが5質量部以下の領域においては、該添加量A
pの増加に伴い増加している。そして、正極への固体電解質の添加量A
pが5質量部より大きい領域においては、容量維持率C
H及び容量維持率C
Lは該添加量A
pの増加に伴いゆるやかに減少する傾向にある。
【0086】
特に、添加量A
pが0質量部から0.5質量部の間の領域においては、25℃サイクルの容量維持率C
Hは若干増加しているものの、‐10℃サイクルの容量維持率C
Lの値の変動はほとんど見られない。
【0087】
以上の事実を勘案すると、固体電解質の正極への添加量A
pを、0.5質量部より大きくすることが、特に低温時のサイクル特性を向上させる上で好ましいことがわかった。一方、固体電解質の正極への添加量A
pが、5質量部より大きいとした場合には、容量維持率C
H及び容量維持率C
Lはゆるやかな減少傾向にある。特に、添加量A
pが10質量部より大きい場合には、‐10℃サイクルの容量維持率C
Lの値の減少度が大きくなっている。
【0088】
本発明者らは、この理由を以下のように推測する。すなわち、上記固体電解質Li
3VO
4は、高いLiイオンの導電性を示すが、一方で電子伝導性は極めて低い、すなわち絶縁体であることが知られている。従って、Liイオンを正極内で拡散させてLi析出を防止するという観点からは、この固体電解質の正極への添加量を多量とするほど効果を得られるが、反面、この多量添加により正極の導電性が低くなって電池特性が阻害され、逆に容量維持率が低下した可能性があると考えられる。
【0089】
そして、添加量A
pが15質量部の場合(実施例4)には、容量維持率C
Lは添加量A
pが10質量部の場合(実施例3)と比較して5%以上低くなっている。そして、上述のように固体電解質の添加量が増加することで電極の電子伝導性が低下することを考慮すると、添加量A
pが15質量部より大きくなることで、より顕著な容量維持率C
Lの低下が予想されることから、添加量A
pは15質量部以下であることが好ましい。従って、添加量A
pは、0.5質量部より大きく15質量部以下とすることが好ましい。特に、表1及び
図3を参照すれば、添加量A
pが、2質量部以上10質量部以下の場合において、極めて好ましいサイクル特性を示すことが明確に理解される。
【0090】
また、表2において、正極活物質としてLiCo0.8Ni0.2Al
xO
2を含む正極を用いた実施例13と比較例2の対比結果を示す。
【0091】
【表2】
【0092】
表2によれば固体電解質を正極添加した実施例13は固体電解質を添加していない比較例2と比べて、25℃サイクルの容量維持率C
Hと‐10℃サイクルの容量維持率C
Lが大きく向上していることがわかった。
【0093】
次に、表3において、実施例7〜12(負極合材に固体電解質を添加した実施例)と比較例1の対比結果を示している。
【0094】
【表3】
【0095】
また、
図4には、負極への固体電解質の添加量A
Nとリチウムイオン二次電池の容量維持率C
H及びC
Lの関係を、25℃サイクル容量維持率C
Hと−10℃サイクル容量維持率C
Lに分けて示している。
【0096】
なお、当図においては、添加量A
Nが0質量部、0.05質量部、及び1質量部と推移する間のサイクル特性の変化が明瞭となるように、添加量A
Nが0質量部〜1質量部となる領域においては他の領域(1質量部以上の領域)に対してグラフのスケールを変更している。
【0097】
表3及び
図4によれば、固体電解質の負極への添加量A
Pを0.05質量部添加した場合(実施例12)、すなわち、極めて微量の添加であっても固体電解質を添加しない場合(比較例1)と比べれば、25℃サイクル容量維持率C
Hが若干向上するとともに、‐10℃サイクル容量維持率C
Lの値も向上している。従って、固体電解質の負極への添加が、サイクル特性の向上に寄与していることは明確である。
【0098】
そして、添加量A
Nが0.1質量部(実施例11)〜1質量部(実施例7)の領域においては、添加量A
Nを増加させることによる25℃サイクル容量維持率C
H及び‐10℃サイクル容量維持率C
Lの向上が顕著であることが理解される。特に‐10℃サイクル容量維持率C
Lの増加が極めて顕著である。
【0099】
また、添加量A
Nが1質量部(実施例7)〜5質量部(実施例8)の領域においても、添加量A
Nを増加させることによる25℃サイクル容量維持率C
H及び‐10℃サイクル容量維持率C
Lの向上の傾向がみられる。
【0100】
一方で、添加量A
Nを5質量部以上とすると、25℃サイクル容量維持率C
Hはまだゆるやかに増加の傾向を示すものの、‐10℃サイクル容量維持率C
L添加量を増やすごとに減少している。
【0101】
そして、添加量A
Nが15質量部の場合(実施例10)には、25℃サイクル容量維持率C
H及び‐10℃サイクル容量維持率C
Lは共に、固体電解質を添加しない場合に比べれば良好であるものの、添加量A
Nが10質量部の場合(実施例9)と比較して5%以上低くなっている。
【0102】
また、添加量A
Nが15質量部以上とすると、上述の固体電解質の添加による電極の電子伝導性低下の効果が大きくなると考えられ、25℃サイクル容量維持率C
H及び‐10℃サイクル容量維持率C
Lのより顕著な低下が予想されることから、添加量A
pは15質量部以下であることが好ましい。
【0103】
以上により、添加量A
Nは、0.05質量部より大きく15質量部以下とすることが好ましく、特に、1〜5質量部の場合において、極めて好ましいサイクル特性を示すことが明確に理解される。
【0104】
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【0105】
例えば、本実施の形態では、正極の正極活物質として、リチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物(組成:LiCo
1/3Ni
1/3Mn
1/3O
2)を主成分とするものについて説明したが、これに限られず、他の組成をとるリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物であっても良いし、より一般的にはリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物に限られず、他のリチウム複合酸化物を主成分とするものであっても良い。
【0106】
更には、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能なリチウム含有化合物であって、リン酸塩、窒化物、アルコキシド材料、フェノキシド材料、ポリピロール材料、アントラセン材料、ポリアニリン材料、チオエーテル材料、チオフェン材料、チオール材料、スルフラン材料、プルスルフラン材料、チオラート材料、ジチアゾール材料、ジスルフィド材料、ポリチオフェン材料等の有機化合物、硫化物(有機硫黄、無機硫黄を含む)、金属錯体、導電性高分子、金属等を用いることもできる。
【0107】
また、負極の活物質を構成する材料はグラファイトとしたが、他の難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、ポリアセン系有機半導体等のリチウムインターカレーション炭素材料、シリコンやスズ等の金属材料、シリコン合金やスズ合金等の合金材料、又は酸化シリコン、酸化スズ、及び酸化チタン等の酸化物材料を用いても良い。
【0108】
更に、電極に添加される固体電解質は、上記Li
3VO
4に限られず、他のリチウムイオンを伝導する他の固体電解質、特に酸化物固体電解質であって、Li
3TiO
4、Li
3NbO
4、及び/又はLi
3TaO
4を主成分とする固体電解質であっても良い。更には、酸化物固体電解質ではなく、他の高分子固体電解質、無機固体電解質、及び硫化物固体電解質を用いても良い。このように他の種類の固体電解質を用いても、それがリチウムイオンを伝導する性質を備えるものであれば、上記Li
3VO
4を用いた場合と同様にサイクル特性の良好化が得られるものと考えられる。
【0109】
また、本実施の形態では、固体電解質は、正極又は負極に分散させたが、正極及び負極の双方に分散させるようにしても良い。上記実施例の結果を考慮すれば、このように正極及び負極の双方に固体電解質を添加することで、より一層サイクル特性の向上が見込まれるものと考えられる。
【0110】
また、本実施例等においては、上記固体電解質の正極合材への添加量A
pが、正極合材全体に対して0.5質量%より大きく15質量%以下であり、上記固体電解質の負極合材への分散量が、負極合材全体に対して0.05質量%より大きく0.1質量%〜15質量%以下であることが好ましいと記載したが、これは、低温時のサイクル特性の向上が顕著になっていることを根拠として定めたものであり、特に固体電解質を少量でも正極や負極に添加することで、少なくとも25℃時のサイクル特性が向上するという作用効果が示されていることから、固体電解質を上記数値の下限以下の量添加した場合も本願発明の技術的範囲に含まれる。