特許第5855998号(P5855998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝キヤリア株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5855998-空気調和機 図000002
  • 特許5855998-空気調和機 図000003
  • 特許5855998-空気調和機 図000004
  • 特許5855998-空気調和機 図000005
  • 特許5855998-空気調和機 図000006
  • 特許5855998-空気調和機 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5855998
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20160120BHJP
【FI】
   F24F1/00 321
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-78283(P2012-78283)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-204994(P2013-204994A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥津 一人
(72)【発明者】
【氏名】久保田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】我科 賢二
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−110219(JP,A)
【文献】 実開昭58−172717(JP,U)
【文献】 実開平02−070116(JP,U)
【文献】 実開昭59−055314(JP,U)
【文献】 実開昭61−052134(JP,U)
【文献】 特開2005−164073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、熱交換器とを備えたビルトイン型空気調和機において、
前記送風機は、ファンモータベースとモータバンドにより固定されるファンモータを備え、 前記ファンモータベースは、前記ファンモータの軸方向に突出する仮掛け用爪を備え、前記モータバンドは前記仮掛け用爪が挿通可能な挿通部と、前記仮掛け用爪が挿通不可能な係合部とで構成される仮掛け用孔を備えていることを特徴とするビルトイン型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ビルトイン型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機本体を被空調室の天井裏に設置し、空気調和機本体内に収容された熱交換器により熱交換された空気を、吹き出しダクトを介して被空調室に供給する、いわゆるビルトイン型空気調和機がある。
この種の空気調和機は、本体内に空気を吸込み、熱交換された空気を被空調室へ供給するために送風機を備えている。
この送風機は、両側面に回転軸が突出する、いわゆる二軸モータであるファンモータと、このファンモータの両方の回転軸に取り付けられる多翼ファンと、この多翼ファンをそれぞれ収容するファンケーシングからなるものが用いられる。
この多翼ファンは翼に塵埃が付着しやすく、定期的にメンテナンスを行う必要がある。ビルトイン型空気調和機の場合、本体が天井裏に設置されるため、メンテナンスのために本体を天井裏から取り外すことは容易ではなく、通常、本体を天井裏に設置したままでメンテナンスが行われる。
送風機のメンテナンスのために、ファンモータをモータベースから着脱する必要があり、このとき、ファンモータが落下しないように支持する作業員と、ファンモータを上記モータベースに固定するための固定具を着脱する作業員の少なくとも二人が、空気調和機本体の近傍の天井に設けられた点検口から身体を乗り出して作業する必要があり、作業性が極めて悪いものである。
このような事情から、ファンモータの着脱に対するメンテナンス性の向上を図ったビルトイン型空気調和機が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−164073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ファンモータの着脱が容易に行え、メンテナンス性が向上するビルトイン型空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、実施形態のビルトイン型空気調和機は、送風機と、熱交換器とを備える。前記送風機はファンモータベースとモータバンドにより固定されるファンモータを備える。前記ファンモータベースは、前記ファンモータの軸方向に突出する仮掛け用爪を備え、前記モータバンドは前記仮掛け用爪が挿通可能な挿通部と、前記仮掛け用爪が挿通不可能な係合部とで構成される仮掛け用孔を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係るビルトイン型空気調和機の据付け状態を示す側面図
図2】同ビルトイン型空気調和機の縦断面図
図3】同ビルトイン型空気調和機を下方から見上げた外観斜視図
図4】同ビルトイン型空気調和機のモータベース組立を示す斜視図
図5】同ビルトイン型空気調和機のファンモータの着脱工程を説明する図
図6】同ビルトイン型空気調和機のモータベース組立の一部を拡大して示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための実施形態について図1図6を参照して説明する。
図1(a)は、本体1の背面部から天井裏Tの空気を吸込むときのビルトイン空気調和装置100の据付状態を示す側面図であり、図1(b)は、本体1の下面部から天井裏Tの空気を吸込むときのビルトイン空気調和装置100の据付状態を示す側面図である。
【0008】
ビルトイン型空気調和機100の本体1は、本体1の両側面に一対ずつ設けられた吊り金具9を被空調室Rの天井裏Tの梁材から垂設される吊ボルトFにナット等で固定することで、天井裏Tに設置される。
【0009】
本体1の正面部1fには、空気吹出し口12が設けられ、この空気吹出し口12には、少なくとも一つ以上の吹出しダクト15が接続される。この吹出しダクト15は、被空調室Rの天井面に設けられる図示しない1つ以上の天井吹出し口に連通される。すなわち、本体1から導出される熱交換空気は吹出しダクト15を通り、上記天井吹出し口から被空調室R内へ吹出されて、被空調室R内の空調が行えるようになっている。なお、被空調室Rが広い場合は、上記天井吹出し口が分散して設けられ、室内の均一な空調が図られる。
【0010】
図2は、図1(a)に示すビルトイン型空気調和機の断面図である。
本体1は、高さ方向寸法が、幅方向(紙面の表裏方向)の寸法および奥行き方向(紙面の左右方向)の寸法よりも短い薄型の矩形箱状をなす。本体1内には、本体1の幅方向に亘って、本体1を送風機室2と熱交換室3に区画する仕切り板4が設けられる。
本体1は、熱交換室3の下面部が下面板1aで、送風機室2の下面部が遮風板1eで、上面部が天板1bで、手前側の側面部が側面板1cで、奥側の側面部が側面板1dでそれぞれ構成され、各板1a〜1eはそれぞれ金属薄板を板金加工して成形される。
本体1の正面部1fには、前述の空気吹出し口12が設けられ、本体1の背面部には、空気吸込み口11bを覆うように集塵フィルタ13が取付けられる。
【0011】
送風機室2には、本体1内に天井裏Tの空気を吸込む空気吸込み口11が設けられる。この空気吸込み口11は、下面部に設けられる空気吸込み口11aと、背面部に設けられる空気吸込み口11bとからなる。すなわち、予め、本体1には、下面部および背面部に空気吸込み口11a,11bが設けられていて、据付け現場の事情に応じて、いずれか一方の空気吸込み口11aもしくは11bが選択され、他方の空気吸込み口11aもしくは11bが遮蔽板1eで閉塞される。
図1(a)に示す背面部吸込みの場合は、背面部の空気吸込み口11bに集塵フィルタ13が取付けられ、下面部の空気吸込み口11aが遮蔽板1eで塞がれる。一方、図1(b)に示す下面部吸込みの場合は、下面部の空気吸込み口11aに集塵フィルタ13が取付けられ、背面部の空気吸込み口11bが遮蔽板1eで塞がれる。
【0012】
図3は、ビルトイン型空気調和機を下方から見上げた外観斜視図であり、下面板1a、ドレンパン7および遮風板1eを取り外して本体1の内部を見せている。
送風機室2には、送風機5、電気部品箱10が配置され、熱交換室3には、熱交換器6、ドレンパン7(図2)、ドレンポンプ8が配置される。
【0013】
先ず、熱交換室3について説明する。ここに配置される熱交換器6は、図2に示すように、その両側端部に図示しない端板が配置され、この端板間に複数枚のアルミフィン6aが所定の間隙を置いて並設され、上記両端板およびアルミフィン6aに複数本の伝熱管6bが貫通されてなるフィンチューブ型の熱交換器である。
熱交換器6は、上記ドレンパン7上に、上下方向が斜めに傾斜した姿勢で載置される。これにより、薄型の本体1内に収容されながら必要な熱交換面積を確保することができる。
また、熱交換室3内における熱交換器6周辺および熱交換器6の空気吹出し口12側には、断熱材が設けられる。
【0014】
ドレンパン7は、冷房運転時に熱交換器6の熱交換作用で生成されるドレン水を受け、ドレン受け部7aに溜める。ドレン受け部7aの上方には、ドレンポンプ8(図3)が設けられ、このドレンポンプ8によりドレン受け部7aに溜まったドレン水が本体1の外部に排水される。
ドレンパン7の下面は、本体1の下面部を構成する下面板1aによって略全面が覆われる。
【0015】
次に、送風機室2に配置される送風機5について説明する。送風機5は、図3に示すように、後述するモータベース組立20に固定されるファンモータ17を備えている。このファンモータ17は、両側部から回転軸が突出する二軸モータである。それぞれの回転軸には、回転にともなって軸方向から空気を吸込んで周方向へ吹出す方式のファン(いわゆる多翼型ファン)18が連結され、さらに各ファン18はファンケーシング19に収容される。
ファンケーシング19の両側面には、空気を吸込むための吸込み口19aが開口され、仕切り板4側の端部には、図2に示すように、吹出しノズル19bが形成される。この吹出しノズル19bは、仕切り板4に開口される連通口21を介して熱交換室3側に突出している。このように構成される送風機5により、送風機室2内に吸込まれた風が熱交換室3側へ送風される。
【0016】
次に、モータベース組立20について説明する。
図4(a)は、モータベース組立20を分解した状態を下方から見上げた斜視図であり、図4(b)は、モータベース組立20にファンモータ17を取付けた状態を下方から見上げた斜視図である。図5(a)〜(d)は、モータベース組立20にファンモータ17を着脱する工程を説明する側面図であり、図6(a)〜(c)は、モータベース21の仮掛け用爪27とモータバンド31の仮掛け用孔33aとの掛合状態を示すためにモータベース組立20の一部を拡大して示す斜視図である。
【0017】
上述したように、モータベース組立20は、送風機室2に取付けられ、ファンモータ17を支持するモータベース21と、このモータベース21にファンモータ17を押付け固定するモータバンド31で構成される。
【0018】
モータベース21は、図4(a),(b)に示すように、左右一対のモータ支持板部22と、これらモータ支持板部22相互間に架設され、モータ支持板部22相互を一体に連結する連結板部23とを備えていて、略コ字状に折曲げ形成される。
モータ支持板部22の相互間隔寸法は、ファンモータ17を構成するモータ本体17aの軸方向長さよりもある程度大に形成され、かつ、モータ本体17aの両側面に一体に突設されるボス部17b相互の端面間寸法よりも小に形成される。
【0019】
それぞれのモータ支持板部22の下端縁には、略半円状のモータ受け部24が切欠加工されている。このモータ受け部24の曲率半径は、ファンモータ17の両側部にあるボス部17bの曲率半径と略同一である。なお、実際にファンモータ17をモータベース組立20に固定支持する際は、ボス部17bの周面に沿って防振用ゴム部材が装着されるので、モータ受け部24の曲率半径はボス部17bの曲率半径に防振用ゴム部材の肉厚を考慮した値となる。
【0020】
それぞれのモータ支持板部22のモータ受け部24と連結板部23との間の部位は、傾斜して形成されていて、この傾斜部分には、モータ支持板部22の端縁から突出する固定用爪25が一体に突設される。
【0021】
連結板部23の上部は、モータ支持板部22の上端縁よりも上方へ延出されており、上端縁から外側に向けて天板用固定片28が一体に折曲形成される。この天板用固定片28には、2つの固定用孔部28aが設けられる。
【0022】
モータ支持板部22の下端縁で、モータ受け部24を介して固定用爪25とは反対側の部位には、外側でかつ水平方向に取付け片26が一体に折曲形成される。それぞれの取付け片26には、ねじ孔からなる取付け用孔26aが設けられる。これら取付け用孔26aの近傍で取付け片26外側の端縁に、仮掛け用爪27が一体に突設される。この仮掛け用爪27は、図6(a)〜(c)に示すように、取付け片26から突出する基部27aと、この基部27aの先端部から両側に突出する突出部27bとを備え、平面視でT字状に形成される。この仮掛け用爪27は、後述するモータバンド31の仮掛け用孔33aと掛合する。
【0023】
それぞれのモータ支持板部22の連結板部23とは反対側の端縁に、内側に向けて仕切り板用固定片29が一体に折曲形成される。それぞれの仕切り板用固定片29には、上下に2つの固定用孔部29aが設けられる。それぞれの仕切り板用固定片29の上端縁には、仕切り板用爪部29bが一体に突設される。
また、それぞれのモータ支持板部22の上端縁に、内側に向けて補強用片30が一体に折曲成形される。
【0024】
モータバンド31は、図4(a)に示すように、長手方向寸法よりも幅方向寸法が小さい帯板状をなしている。モータバンド31の一端部は、モータ支持板部22の取付け片26と略同一幅寸法の取付け部32が設けられる。この取付け部32には、取付け片26の取付け用孔26aと対向する位置に取付け用孔32aが設けられる。この取付け部32の外側の端縁には、仮掛け片33が上方に向けて一体に折曲形成され、仮掛け片33と対向する取付け部32の内側の端縁には、位置決め用片34が上方に向けて一体に折曲形成される。
【0025】
モータバンド31の仮掛け片33には、前述の仮掛け用爪27が挿脱自在に掛合する仮掛け用孔33aが設けられる。この仮掛け用孔33aは、図6(a)〜(c)に示すように、仮掛け用爪27の突出部27bが挿通可能な幅寸法に形成される挿通部33a2と、この挿通部33a2から上方に向けて幅寸法が漸次減少し、仮掛け用孔33aの上端部において仮掛け用爪27の突出部27bが挿通不可能な幅寸法に形成される掛合部33a1とで構成される。
【0026】
モータバンド31は、取付け部32に連続して設けられ、半円状に形成される曲成部35と、この曲成部35の先端側の斜め直状に形成される直状部36を有している。曲成部35の曲率半径は、上記ファンモータ17を構成するボス部17bの曲率半径と略同一であり、実際の曲率半径はボス部17bの曲率半径に上述の防振用ゴム部材の肉厚を考慮した値となる。
【0027】
モータバンド31の直状部36の傾斜角度は、モータ支持板部22の固定用爪25が設けられる端縁の傾斜角度と略同一に形成される。直状部36の先端部分には、スリット37が設けられる。このスリット37は、モータ支持板部22の固定用爪25が挿脱自在に掛合する幅寸法と長さ寸法に形成される。
【0028】
次に、このように構成されるモータベース組立20のビルトイン型空気調和機100の本体1への取付けについて説明する。
本体1の組立時は、本体1を実際の設置状態とは天地を逆にして作業が行われる。すなわち、天板1bが底面側になり、この所定部位にモータベース組立20を構成するモータベース21を取付ける。具体的には、連結板部23上端に形成される天板用固定片28を本体1の天板1b上に配置する。そして、仕切り板用固定片29上端の仕切り板用爪部29bを、仕切り板4に設けられる掛止用孔(図示しない)に挿入する。同時に、仕切り板用固定片29を仕切り板4の板面に当接させてモータベース21の位置を設定する。
【0029】
この状態で天板用固定片28の固定用孔部28aが天板1bに設けられる取付け用孔(図示しない)に対向するので、これら孔部に取付け具を挿入して締付固定する。また、仕切り板用固定片29の固定用孔部29aが仕切り板4に設けられる取付け用孔(図示しない)に対向するので、これら孔部に取付け具を挿入して締付固定する。したがって、モータベース21は本体1の天板1bと仕切り板4に取付け固定されることになる。
【0030】
モータベース21を本体1に取付けた後、ファンモータ17のモータ本体17aをモータ支持板部22相互間に挿入する。必然的に、モータ本体17aの両側面に突設されるボス部17bがそれぞれのモータ支持板部22におけるモータ受け部24上に嵌る。
【0031】
次に、モータバンド31の直状部36の先端部に設けられるスリット部37をモータ支持板部22の固定用爪25に掛合する。ファンモータボス部17bにモータバンド31の曲成部35を沿わせながら、モータバンド31端部の取付け部32をモータ支持板部22の取付け片26に対向させる。このとき、モータバンド31の仮掛け用孔33aにモータ支持板部22の仮掛け用爪27を挿入し、モータバンド31の仮掛け用片部33と位置決め用片部34との間に取付け片26の両側縁が掛合することで、モータバンド31の取付け部32が位置決めされる。これにより、取付け部32の取付け用孔32aと取付け片26の取付け用孔26aとが対向する。これら孔部に取付け具38を挿入して締結固定することで、図4(b)に示すように、モータバンド31がモータベース21に固定され、ファンモータ17がモータベース組立20に固定される。
【0032】
次に、このように構成されるビルトイン型空気調和機100において、ファン19の清掃やファンモータ17の交換等のメンテナンス時におけるファンモータ17の着脱作業について説明する。ファンモータ17の着脱作業は、上述したように、本体1が設置場所に取り付けられた状態で行われる。
【0033】
先ず、メンテナンス時におけるファンモータ17の取り外し作業について説明する。
図5(a)に示すように、モータバンド31の取付け部32とモータベース21の取付け片26が取付け具38により締結固定されている。この状態から取付け具38を取り外す。取付け具38を取り外すことにより、ファンモータ17の重さにより、モータベース31の取付け部32がモータベース21の取付け片26から離間するように下方に移動する。ここで、モータバンド31のスリット37とファンベース21の固定用爪25との掛合状態は保持されたままであり、この掛合部分を中心にしてモータバンド31が下方に回動する。
ある程度回動すると、図6(a)に示すように、モータバンド31の仮掛け用孔33aの端縁部にモータベース21の仮掛け用爪27の基部27aが当接し、モータバンド31の回動が規制される。つまり、モータバンド31の仮掛け用孔33aの掛合部33a2が、モータベース21の仮掛け用爪27の突出部37bと掛合し、図5(b)に示すように、モータバンド31はモータベース21に仮掛けされた状態となる。モータバンド31の回動により、ファンモータ17も下方に降下するが、仮掛けされたモータバンド31により、ファンモータ17はファンベース21に仮固定された状態となる。このモータバンド31の仮掛け状態においては、モータバンド31の仮掛け用孔33aの掛合部33a2と、モータベース21の仮掛け用爪27の突出部37bとが掛合するため、モータバンド31がファンモータ17の軸方向に位置ずれすることがなく、仮掛け状態におけるファンモータ17の不用意な落下を防ぐことができる。
【0034】
この状態から、図5(c)に示すように、モータバンド31の取付け部32側を上方に押し上げ、図6(b)に示すように、仮掛け用孔33aの掛合部33a2と仮掛け用爪27の突出部27bとの掛合を解く。この状態で、図6(c)に示すように、モータバンド31の取付け部32側を外方に移動させる。仮掛け用孔33aから仮掛け用爪27が抜き去られ、モータバンド31の仮掛け状態が解除される。これにより、図5(d)に示すように、モータバンド31は仮掛け状態のときよりも大きく回動する。ファンモータ17は、モータバンド31によるモータベース21への仮固定が解除され、モータベース21から取り外すことができる。
【0035】
このファンモータ17の取り外し作業において、取付け具38を取り外しても、モータバンド31がモータベース21に仮掛けされた状態となり、ファンモータ17はモータバンド31に支持されるので、ファンモータ17が落下することがない。このとき、ファンモータ17を片手で支持しつつ、もう片方の手でモータバンド31の仮掛けを解除することで、ファンモータ17をモータベース21から取り外すことができる。つまり、従来のファンモータ17を支持する作業員が不要となり、従来二人で行っていたファンモータ17の取り外し作業を一人で行うことができる。
【0036】
次に、メンテナンス時におけるファンモータ17の取り付けについて説明する。
ファンモータ17を用意してモータ本体17aをモータベース21のモータ支持板部22相互間に挿入し、モータ本体17aの両側面に突設されるボス部17bをモータ支持板部22のモータ受け部24に嵌め込む。
ファンモータ17を片手で支持しながら、もう片方の手でモータバンド31を用意し、図5(d)に示すように、モータバンド31の直状部36の先端部に設けられるスリット37をモータ支持板部22の固定用爪25に掛合させる。この掛合部分を中心にしてモータバンド31を上方に回動させ、ファンモータボス部17bにモータバンド31の曲成部35を沿わせながらモータバンド31端部の取付け部32をモータ支持板部22の取付け片26に対向させる。このとき、図6(b)に示すように、モータバンド31端部の取付け部32の仮掛け用孔33aにモータ支持板部22の仮掛け用爪27を挿入する。
この状態でモータバンド31から手を離すと、モータバンド31は、自重およびファンモータ17の重さでスリット37と固定用爪25の掛合部分を中心して下方に回動し、図5(b)で示すように、モータベース21に仮掛けされた状態となる。つまり、図6(a)に示すように、モータバンド31の仮掛け用孔33aの掛合部33a2がモータベース21の仮掛け用爪27の突出部37bと掛合する。このとき、モータバンド31の取付け用孔32aとモータベース21の取付け用孔26aは対向しており、これら孔部に取付け具38を挿入し、締結固定する。取付け具38を締結することにより、モータベース31は、スリット37と固定用爪部25の掛合部を中心に上方に回動し、最終的に、図5(a)に示すように、ファンモータ17は、モータバンド31によりモータベース21に固定される。なお、取付け具38の締結の最中、モータバンド31の仮掛け用孔33aの掛合部33a2とモータベース21の仮掛け用爪27の突出部27bとの掛合が解かれるが、モータバンド31の仮掛け用片部33と位置決め用片部34との間に取付け片26の両側縁が掛合するので、モータバンド31がファンモータ17の軸方向に位置ずれすることがなく、固定具38の締結途中におけるファンモータ17の不用意な落下を防ぐことができる。
【0037】
このファンモータ17の取り付け作業においても、ファンモータ取り外し作業と同様に、モータバンド31がモータベース21に仮掛けされた状態ではファンモータ17が落下することがない。つまり、従来のファンモータ17を支持するだけの作業員が不要となり、従来二人で行っていたファンモータ17の取り外し作業を一人で行うことができる。
【0038】
以上のように本実施形態のビルトイン型空気調和機100によれば、ファンモータ17の着脱が容易に行え、メンテナンス性が向上する。
【0039】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…本体、 2…送風機室、3…熱交換器室、4…仕切板、5…送風機、6…熱交換器、17…ファンモータ、20…ファンモータベース組立、21…モータベース、22…モータバンド、27…仮掛け用爪、33a…仮掛け用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6