(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交換コンポーネント兼流体流動コンポーネント(2、2’、3)と、前記交換コンポーネント(2、2’、3)が接続されている少なくとも1つの流体収集タンク(11、11’)と、前記交換コンポーネント(2、2’、3)を収容する筐体(4)とを備えている熱交換器であって、この熱交換器は、前記収集タンク(11、11’)を前記筐体(4)に固定するためのフランジ(5)を有し、前記フランジは、前記筐体(4)を固定するための周辺溝(G1)、および前記収集タンク(11)を固定するための周辺溝(G2)を備え、前記周辺溝(G1、G2)は、共通の壁(19)を備えていることを特徴とする熱交換器。
前記フランジ(5)は、前記筐体(4)にろう付けされ、前記筐体(4)は、前記フランジ(5)を保持するために、前記フランジ(5)の開口部(23)に収容されるようになっている少なくとも1つの位置決め突起(24)を有するとともに、両方の要素はろう付けされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器。
前記収集板(10)は、スカート(10a)を有し、前記スカート(10a)は前記筐体(4)にろう付けされていることを、特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の熱交換器。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車産業、より具体的には、自動車の燃焼機関などで使用されている熱交換器は、熱交換コンポーネント兼流体流動コンポーネントを有し、その中を、流体が、流体間で熱を交換しながら循環する。熱交換コンポーネントは、例えば、チューブ、板、フィン、および流動撹拌機などから構成されていてもよい。多くの構造や形状が考えられている。例えば、熱交換器は、1列または平行な複数の列で、互いに平行に配置されたチューブから成るコアを備えている。これらのチューブは、第1の流体を通すようになっているのに対して、第2の流体は、チューブとチューブとの間を流れ、第1の流体と熱を交換する。流体が、液体および/または気体かどうかにより、多くの流体の組み合わせを考慮することができる。
【0003】
熱交換器は、チューブを受容する筐体を有し、この筐体は、チューブを受け入れる容積を形成する複数の壁を有する。1つの流入収集タンク、および1つの流出収集タンクから成り、収集タンクとも呼ばれている流体収集タンクまたは流体分配タンクにチューブを接続できるように、一般に筐体の両端は、開放されている。第1の流体は、流入収集タンクから流出収集タンクに向かって、チューブの中を流れる。第2の流体は、流入パイプから流出パイプに向かって、チューブの周りを流れ、第1の流体と熱を交換する。
【0004】
熱交換器は、一般に、チューブを保持するための2つの収集板も有し、これらの収集板に、流体収集タンクが取り付けられている。チューブは、収集板に設けられている孔を通して、流体収集タンクに接続されている。
【0005】
通常、筐体に、収集板が固定され、この収集板に、例えば圧着などによって、収集タンクが固定されている。そのため、各収集板は、収集板に連結される収集タンクの端面を、収集板に圧着さることができる手段を有する。タンクに関するこのような固定方法は、例えば、特許文献1(WO2008/125309)、または特許文献2(EP2,031,338)などから公知であり、特許文献2では、収集板は、機械的に接合されている2つの要素から構成されている。
【0006】
ある種のエンジンにおいては、熱交換器を取り付ける場所に関して、利用可能なスペースに制約がある。このため、こうした制約を考慮して、熱交換器を製造する必要がある。このような制約により、例えば、比較的扁平な熱交換器を製造しなければならないことがある。このため、扁平であるが、所望の流量に適合した流体通過断面を有する、十分に大きな断面を有するチューブが提供されている。このようなチューブは、流線形の断面を有しており、また多くは、寸法が100mm×7mmの矩形断面を有している。さらに、例えば、良好な熱伝達流体である水が、チューブとチューブとの間を循環する事例においては、連続するチューブ間の間隔が狭いことが好ましく、例えば2〜3mm以下であることが好ましい。
【0007】
このため、幅の狭い壁によって分離されている細長い孔を有する収集板を製造する必要がある。この幅は、連続するチューブの間の間隔に相当する。この場合、孔を分離している壁は、断面が非常に細長い。すなわち、その壁は、1つの方向には非常に長いが、他の2つの方向には短い。そのため、それらの壁をどのように製造するかの問題が生じる。収集板の製造に関して、いわゆる「ストレートエッジブランキング」を有するパンチング加工により、収集板の厚さより薄い孔間の壁を、比較的厚い板から形成することは公知である。例えば、長さが60mmで、孔間の壁が2.6mmとほぼ等しい幅を有する孔を、4mmの厚さの板から形成することができる。しかし、長さが100mmで、孔間の壁が2mmの収集板を形成するとき、ストレートエッジブランキングを有するパンチング加工を行うことはできない。そのため、伝統的なチェーシング加工を使用するのが得策である。この場合、収集板の厚さは、チューブ間の壁の幅より薄い必要があり、上記の例に関しては、0.8mm〜1mmの非常に薄い板が推奨されることになる。ここで、収集板によって収集タンクを圧着する必要がある場合、この収集板は、この機能を果たすために、十分な機械強度を持たなければならない。その結果、収集板の厚さが(例として、1.5mmまたは2mmに)増加すると、伝統的なチェーシング加工を行うことができなくなるというジレンマに陥る。従って、収集板に対して、十分な厚さを確保する必要があるので、非常に細長い断面のチューブを提供することは、難しくてできそうにない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、熱交換器のコンパクトさの問題は、特に制限的であり、多くの開発における主題となっており、また種々の問題の元であることは明らかである。これらの理由から、本発明の目的は、熱交換器をよりコンパクトな構造にすることである。
【0010】
本発明は、断面が非常に細長い孔を有する収集板という、特に扱いにくい問題を解決することから生まれているが、本発明は、この問題への適用だけに限定されず、断面が適切で細長い孔を有する収集板へ適用しても、利点を発揮しうるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、交換コンポーネント兼流体流動コンポーネントと、交換コンポーネントが接続されている少なくとも1つの流体収集タンクと、交換コンポーネントを収容する筐体とを有する熱交換器に関し、この熱交換器は、収集タンクを筐体に固定するためのフランジを有し、このフランジは、筐体(4)を固定するための溝(G1)、および収集タンク(11)を固定するための溝(G2)を備え、溝(G1、G2)は、共通の壁(19)を有することを特徴としている。
【0012】
これらの溝により、筐体および収集タンクの壁を受容または収容できるようになっている。共通の壁を有する2つの溝が設けられているこの固定フランジにより、熱交換器は非常にコンパクトになっている。実際のところ、収集ボックスおよび筐体は、コンパクトに一緒に固定されているが、直接一緒には固定されてはおらず、そのため、アセンブリは確実に頑丈となり、特に良好な圧力の伝達を可能にしている。
【0013】
好ましくは、溝は反対であること、すなわち、溝は、反対方向を向いていることが好ましい。より正確には、熱交換器は全体として、熱交換器内における流体の全体的な流動軸に沿って延びており、各溝は、この流動軸の方向とほぼ直交する終端壁および横方向の周辺開口部を有し、これらの開口部は、この流動軸の方向における2つの反対方向を向いている。
【0014】
一実施形態においては、熱交換器は、交換コンポーネントを保持するための少なくとも1つの収集板を有する。
【0015】
一実施形態においては、収集板および固定フランジは、同一の要素から形成されている。
【0016】
別の実施形態においては、固定フランジおよび収集板は、互いに独立して筐体に固定される異なる要素である。これにより、チューブ保持機能と収集タンク保持機能とは切り離されている。2つの異なる要素が、これらの機能を果たしている。これらの要素は、互いに独立して筐体に固定されている。すなわち、相互間に直接の力の伝達はない。このようにして、特に、厚さが薄く(通常0.8mm)、断面が非常に細長い孔を有する収集板を提供することができる。このようにして、流線形の断面を有するチューブを形成することができ、ひいては、場所をほとんど取らない扁平な熱交換器を形成することができる。収集タンクを保持する機能は、これとは独立に、フランジによって確保されている。このようにして、きわめてコンパクトな熱交換器が得られる。
【0017】
一実施形態においては、フランジおよび/または収集板は、筐体に直接固定されている。これにより、熱交換器はさらにコンパクトになっている。
【0018】
一実施形態においては、フランジおよび収集板は、互いに接触していない。このように、相互に固定されていないだけでなく、互いに接触もしていないので、これら2つの要素間にいて、圧力の直接伝達が行われることは決してない。
【0019】
一実施形態においては、交換コンポーネントには、チューブを含んでおり、これらのチューブ内で、第1の流体(例えば気体)がタンクに流動接続されており、これらのチューブの周りを第2の流体(例えば液体)が流れている。収集板は、第1の流体と第2の流体との間のシーリング機能を果たし、フランジは、第1の流体と熱交換器の外側との間のシーリング機能を果たしている。
【0020】
一実施形態においては、収集タンクとフランジは、互いに係合されている。
【0021】
一実施形態においては、フランジは、筐体にろう付けされている。このような固定方法は、頑丈で、かつ費用がかからない。
【0022】
この場合の一実施形態における筐体は、筐体にフランジを保持するために、このフランジの開口部に収容されるようになっている、少なくとも1つの位置決め突起を有し、2つの要素はろう付けされている。
【0023】
この場合に好ましいのは、筐体を収容する溝の底面に、孔を設けることである。
【0024】
一実施形態における位置決め突起は、孔の中にこの位置決め突起を保持するために、固定壁に係合されるようになっている。
【0025】
一実施形態においては、位置決め突起は、これを孔の中に保持するために、変形できるようになっている。
【0026】
一実施形態においては、収集板は、筐体にろう付けされている。
【0027】
一実施形態による収集板は、スカートを有し、このスカートに沿った面を使用して、収集板は筐体にろう付けされている。このようにして、接触面が大きくなり、これらの要素は、確実にろう付けされるようになっている。
【0028】
パイプの全体の断面形状は、矩形が好ましく、その長さと幅の比は、5を超えることが好ましい。
【0029】
本発明は、例えば自動車の燃焼機関用の、再循環排気用の水冷却器、または給気冷却器などの、空気−水熱交換器に特によく適合する。
【0030】
本発明は、添付の図面のセットを参照して、本発明の熱交換器の好ましい実施形態についての以下の説明を読むことにより、より良く理解されると思う。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面、より具体的には、
図1〜
図6に示す第1の実施形態による熱交換器1は、熱交換コンポーネント2、2’、3と、これらの熱交換コンポーネント2、2’、3を受容または収容する筐体4と、吸気収集タンク11および排気収集タンク11’とを有する。筐体4は、水流用パイプ8、9を接続するための孔6、7を有する。この特定の例では、パイプ8、9は、熱交換器1が取り付けられている水回路に接続されている給水パイプ9および排水パイプ8である。この実施形態においては、熱交換器1の様々なコンポーネントは、係合されているタンク11、11’を除いて、互いにろう付けされている。このようなコンポーネントがろう付けまたは圧着されている熱交換器の一般的な特徴に関しては、当業者に公知である。
【0033】
熱交換器1は、いわゆる「空気−水」熱交換器である。すなわち、熱を交換する流体が空気および水である熱交換器である。例えば、自動車用の燃焼機関のいわゆる「再循環」排ガス用の水冷却器、または燃焼機関用の給気冷却器である。水は、この燃焼機関の冷却回路からのいわゆる『低温』水である。通常、水は、グリコール化されている。
【0034】
図1に示す熱交換器1の全体形状は、並列パイプ型である。従来の手法に従い、かつ説明を簡潔にするために、方向Lは、熱交換器1の最大寸法である長さ方向、すなわち流体が流れる方向である。方向lは、熱交換器1の幅方向、方向hは、その高さ(または厚さ)方向である。これ以降、これらの方向を、それらの値をもって示すこととする。すなわち、L、lおよびhは、それぞれ、熱交換器1の長さ、幅、および高さを示すとともに、熱交換器1の長さの方向、幅の方向、および高さの方向も示すものとする。さらに、各図において、これらの直交する方向を一緒にして、デカルト座標系(L,l,h)を形成している。また、以下の説明において使用する外部(もしくは外側)および内部(もしくは内側)の考え方については、熱交換器1の外側または内側における、コンポーネントの相対的位置を指している。
【0035】
図3に示す熱交換コンポーネントは、空気を流すための扁平チューブ2を有する。これらのチューブ2の(チューブ内の全体的な空気の流れの方向である)大きな寸法は、熱交換器1の長さLの方向に平行であり、この長さLの方向に対して直交する断面の形状は矩形である。各チューブ2の断面の形状である矩形は、熱交換器1の幅lに平行な寸法と、熱交換器1の高さhに平行な寸法を有する。各チューブ2は、熱交換器1の長さLにほぼ等しい長さと、熱交換器1の幅lにほぼ等しい幅を有する。熱交換器1の高さhに平行なその寸法(これはその厚さ)は、熱交換器1の高さより低く、この特定の例においては、かなり低く、チューブ2にその扁平な形状を与えている。一例として、チューブ2の厚さは、各チューブ2に関してほぼ7〜8mmにでき、チューブ2の幅lは、約100mmである。さらに、チューブ間のスペース(すなわち、水流用のダクト3)は、例えば、3mmより小さい寸法(熱交換器1の高さhに平行)でもよく、例えばほぼ2mmである。このように、熱交換器1は、コンパクトである。チューブ2は、互いに平行に組み立てられ、チューブ2の全ては、熱交換器1の高さhの方向に積み重ねられている。これは、チューブのコアとも呼ばれている。熱交換器1の高さhに平行なコア全体の寸法は、熱交換器1の高さhにほぼ等しい。チューブ2は、それぞれ互いに平行に組み立てられ、全体として熱交換器の長さLの方向に、チューブ内における空気の循環を可能にする。
【0036】
チューブ2内に、空気の流れをかき混ぜるためのフィン2’が取り付けられており、チューブ2の壁を通して、空気と水との間の熱の交換を促進させることができる。このフィン2’は、当業者に公知であるので、詳細に説明する必要はないと思う。この例において、フィン2’は、ゆるやかに起伏しており、熱交換器1の長さLの軸における端から見ると、それらの断面は、各チューブ2の壁と壁の間でコイル状になっている。
【0037】
チューブ2とチューブ2との間に配置された水流ダクト3に、水流撹拌器(図示せず)が取り付けられている。この水流は、空気の流れに反していることが好ましい。すなわち、空気の流れの方向の反対方向であることが好ましい。撹拌器は、板状であり、チューブ2のほぼ全部の横面積(横面積は、熱交換器1の長さLおよび幅lに平行な寸法によって定められるチューブ2の面積である)にわたって、およびそれらの撹拌器がろう付けされている連続するチューブ2の間の全てのスペースに及んでいる。撹拌器は、端のチューブ2と筐体4の壁との間にも設けられている。撹拌器の形状は、熱交換を促進させるために、公知のやり方で、撹拌器を通過する水流を乱すようになっている。
【0038】
前述のように、熱交換器1は、(その長さLの方向の)その両端のそれぞれに、空気収集タンク11、11’を有する。(
図1の)右側にあるのは、吸気収集タンク11であり、左側は、排気収集タンク11’である。空気循環チューブ2の端は、空気収集タンク11、11’に接続されている。従って、チューブ2の内部容積は、収集タンク11、11’の内部容積に流動接続されている。言い換えると、チューブ2は、収集タンク11、11’に開いている。収集タンク11、11’は、熱交換器1が取り付けられている空気回路のパイプに接続されている。空気は、吸気収集タンク11によってチューブ2の中に導入され、排気収集タンク11’によってチューブ2から離され収集される。
【0039】
熱交換器の構造について、吸気収集タンク11との関連で、より詳細に説明する。これから挙げる説明は、排気収集タンク11’に関して、熱交換器に同等に当てはまるものである。吸気収集タンク11および排気収集タンク11’は、この特定の例では、同様であり、左右対称に取り付けられている。言うまでもなく、別の実施形態による収集タンクは、異なっていてもよい。
【0040】
熱交換器1は、その端に、収集板10を有する。この収集板10の機能は、チューブ2を適切な位置に保持し、収集タンク11の内部容積とチューブ2との間の空気の流れを案内し、水が収集タンク11の内部容積の方に流れるのを防ぐとともに、空気の流れと水の流れが合流するのを防ぐことである。言い換えると、収集板10は、空気と水との間を確実に密閉する。当業者は、収集板10に対して、コレクタという語を使用することが多いので、以下ではコレクタ10と呼ぶ。
【0041】
コレクタ10は、この特定の例では、ろう付けにより、その周辺端面で、筐体4に固定されている。より正確には、この特定の例では、コレクタ10は、周辺スカート10aを有し、この周辺スカート10aの側面に沿って、コレクタ10が筐体4にろう付けされている。これにより、2つの要素をろう付けする前に、それらの間の位置決めが簡単になるとともに、コレクタ10を縁に沿ってろう付けした場合より、接触面積(従って、ろう付け面積)が大きくなるので、2つの要素の間をよく保持できるようになる。
【0042】
周辺スカート10aは、コレクタ10の端を曲げることによって、この特定の例では、コレクタ10の端に沿って全周にわたって曲げることによって、形成されている。従って、スカート10aは、コレクタ10を形成する板の面全体に対して直角に延び、従って熱交換器1の長さLの方向に平行である。スカート10aは、(
図4に示す)方向に曲げることもできるし、また(
図12に示す)反対方向に曲げることもできる。言い換えると、熱交換器1のそれぞれ外側または内側に曲げることができる。曲げる側は、特に、利用可能なスペース、および以下に述べるコレクタ10とフランジ5との間の間隔によって決めることになる。
【0043】
図5に示すコレクタ10は、板状であり、チューブ2の端部を受容するために、熱交換器1の長さLの方向に対して、直角に取り付けられている。コレクタ10には、複数の孔12があけられている。各孔12は、チューブ2に関連されている。各孔12の形状は、チューブ2の断面に対応し、チューブ2の端部を収容する壁13またはカラー13または縁13によって縁取られ、これらのチューブ2を適切な位置に保持している。さらに、カラーは、コレクタ10を堅くする機能を果たしている。このカラー13は、コレクタ10を形成する板の面全体に対して、全体として直角に延び、従って熱交換器1の長さLの方向に平行に延び、これらのカラー13から突き出ている端部13’は、熱交換器1の内側の方向を向いている。このようにして、カラー13は、コレクタ10から、チューブ2の周りに延びており、チューブ2の端部の周りがそれにしっかり嵌め込まれる。チューブ2の端部は、チューブ2の周りをしっかり嵌め込むために滑り面を形成しているこれらのカラー13の中にスッと入れられる。各カラー13は、それと関係しているチューブ2の端の面との接触面を形成しており、それにより互いにろう付けできるようになっている。チューブ2は、このようにコレクタ10の開口部12を縁取るカラー13にろう付けされ、適切な位置に固定されている。従って、チューブ2の端は、カラー13によって互いに分離されており、連続するチューブ2間を分離するスペースは、水流用のダクト3を画定している。カラー13が、チューブ2の端部にろう付けされており、(熱交換器1の長さL方向に対して)直角に、チューブ2とチューブ2との間の全てのスペースを塞ぐので、これらのカラー13は、水が収集タンク11の容積に流れ込むのを防いでいる。さらに、これらのカラー13は、水がチューブ2の中に流れ込むのも防いでいる。このタイプのコレクタ10は、当業者に公知であり、これ以上詳細に説明する必要はないと思う。
【0044】
図示の実施形態において、筐体4は、L字状をなしている2つの壁15、16を有する。言い換えると、各壁15、16は、(熱交換器1の長さLの方向から見て)L字状の断面を有する。各壁15、16は、互いに直角な2つのベーン(15a、15b)(16a、16b)を形成するために、辺の周りで曲げることによってL字状に形成されている。壁15、16をL字状にするのは、熱交換器の製造を考慮すると、製造が簡単で、格納が容易であるからである(単に壁を一緒に重ね合わせるだけで格納できる)。
【0045】
より正確に述べると、この例の各壁15、16は、大きいベーン15a、16aと、小さいベーン15b、16bとを有する。大きいベーン15a、16aは、熱交換器1の長さLおよびその幅lとほぼ等しい寸法を有する矩形の板状であるのに対して、小さいベーン15b、16bは、熱交換器1の長さLおよびその高さhとほぼ等しい寸法を有する矩形の板状である。大きいベーンおよび小さいベーンという概念は、ここでは、各壁15、16のベーン(15a、15b)、(16a、16b)を、異なるものとするために導入している。
【0046】
熱交換器1への注水パイプ9および排水パイプ8は、ここでは、熱交換器1の同じ側に接続されている。この特定の例では、第2の壁16の小さいベーン16bに接続されている。
【0047】
筐体4の壁15、16は、熱交換コンポーネント2、2’、3を囲むように互いに固定されている。この特定の例において、これらはろう付けされている。このため、各壁15、16は、その小さいベーン15b、16bの自由端に、高くなった端面15c、16cを有する。これらの端面15c、16cは、他の壁16、15の大きいベーン16a、15aに固定される端面である。この高くなった端面15c、16cは、小さいベーン15b、16bを曲げて作られており、曲げの辺から、小さいベーン15b、16bに対して直角に延びている。圧着突起Rは、高くなった端面15c、16cと対応する大きいベーン16a、15aとの間の接続を確実にするために設けられている。ろう付けにより、接触面を一緒に固定し、互いに保持することができる。
【0048】
壁15、16がいったん固定されると、L字状に形成されている壁15、16のベーン(15a、15b)、(16a、16b)は、熱交換器1の4つの側面を形成する(その長さLの方向に対して、側面と呼んでいる)。
【0049】
この実施形態において、コレクタ10は、ろう付けを用いて筐体4に固定されていることを、ここで思い出してもらいたい。より正確には、その周辺スカート10aの外側の面が、壁15、16のベーン(15a、15b)、(16a、16b)の内側の面にろう付けされている。
【0050】
以下に、壁15、16の1つの特定の特徴について、
図7を参照して説明する。各壁15、16の小さいベーン15b、16bの高くなった端面15c、16cと、他の壁16、15の大きいベーン16a、15aとの間の接触区域の近くに、コレクタ10の丸みを帯びた隅との隙間がある区域がある(熱交換器1の対角にある2つの隙間について、同じ符号Jで示す)。この隙間Jが存在するために、そこから水が漏れる恐れがある。このために、各壁15、16は、その大きいベーン15a、16aの自由な隅のそれぞれの近くにシーリング部Pを有する。各シーリング部Pは、チューブ2の方向に、壁15、16の大きいベーン15a、16aの内側の面から突き出している形状である。この突き出し部Pは、へりまたはフィンの形状である。このような突き出し部Pは、その製造に続いて壁15、16にチェーシング加工するか、または壁15、16の製造中に直接形成することができる。接触面がろう付けされると、このシーリング部Pにおいて、確実に密閉される。
【0051】
壁15、16は、それぞれ、熱交換器1の高さhの方向に、それぞれ2つの拡大部Eを有し、それらの拡大部は、その大きいベーン15a、16aのそれぞれの端の近くに設けられていることに注意されたい。これらの拡大部Eは、この例では、壁15、16にチェーシング加工をすることにより形成されている。拡大部Eは、熱交換器1の高さh方向において、コレクタ10の寸法がL字状の壁15、16の小さいベーン15b、16bの寸法より大きいので設けられている。従って、これらは、コレクタ10を収容するための拡大部E(またはプレス部E)である。このプレス部Eは、追加の利点を有する。プレス部Eが熱交換器1の高さhの方向にコレクタ10を収容する範囲において、熱交換器1の長さLの寸法を終わらせていることである。このように、プレス部Eが、コレクタ10、従って全ての熱交換コンポーネント2、2’に対する(この方向Lの)軸方向保持手段を形成している一方で、熱交換器1のコンポーネントは、全てろう付けされている。
【0052】
さらに、熱交換器1は、収集タンク11を筐体4に固定するためのフランジ5を有する。このフランジ5は、筐体4の隣に配置されている。フランジ5は、この筐体の周辺に沿って(この特定の例ではろう付けを用いて)筐体4の端に固定されている。従って、これは、全体が矩形の周辺フランジ5であり、この特定の例では、単一の要素で形成されている。フランジ5は、コレクタ10とは独立に筐体4に固定されており、コレクタ10には固定されていない。言い換えると、熱交換器1は、フランジ5をコレクタ10に固定する手段を全く有していない。
【0053】
フランジ5は、その周辺全体に沿って(長さLの方向に)延びる内部縦壁17を有する。この内部縦壁17は、筐体4の壁15a、15b、16a、16bの内部側から延び、それらにろう付けされるようになっている。
【0054】
内部縦壁17は、外側におよび熱交換器1の方向に曲げられ、こうして内部横壁18および中間縦壁19を形成し、内部縦壁17から筐体4の壁15a、15b、16a、16bを収容するための周辺溝G1を作り、筐体4を固定する機能を果たしている。内部横壁18は、筐体4の壁15a、15b、16a、16bの端部に対する停止部になっている。
【0055】
中間縦壁19は、外側におよび周辺溝G1を形成する曲げの反対方向に曲げられ、こうして外部横壁20および外部縦壁21を形成し、中間縦壁19から収集タンク11の端の側端部11aを収容するための周辺溝G2を作り、こうして収集タンク11を固定する機能を果たしている。収集タンク11の側端部11aは、それを用いてフランジ5に固定されている収集タンク11の端であり、固定端部11aと呼ぶこととする。
【0056】
従って、フランジは、フランジ5の壁17、18、19、20、21によって形成されている2つの周辺溝G1、G2を有する。これらの溝G1、G2は、共通の壁19を有する。各溝G1、G2は、要素を保持するために、この特定の例においては、それぞれ筐体4および収集タンク11を保持するために設けられている。より正確には、筐体4および収集タンク11は、それぞれ、(熱交換器1の長さLの方向における)それらの終端の縦壁が周辺溝G1、G2の横方向の孔を通って、周辺溝G1、G2の中に縦方向に挿入されるようになっている。周辺溝G1、G2は、反対方向を向いている。すなわち、それらの孔は、熱交換器1の長さLの方向における、2つの反対方向を向いている。共通の壁19を有する周辺溝G1、G2の構造によって、周辺溝G1、G2は、熱交換器1を大幅に小型化し、保持手段が(筐体4に対する)ろう付けであろうが(収集タンク11に対する)圧着であろうが、両者4、11を強固に保持することができる。
【0057】
フランジ5は、外部縦壁21の延長部に、収集タンク11をフランジ5に圧着するための突起22を有する。これらの突起22は、固定端部11aに引っ掛けられる(の上に曲げられる)ようになっている。圧着突起22は、全ての図において曲げられた状態で(すなわち、圧着位置で)示されている。従って、収集タンク11は、フランジ5に圧着されている。
【0058】
図4に示す熱交換器1の特定の例においては、コレクタ10は、フランジ5から、より正確にはその内部縦壁17の自由端17aから、空間dだけ離れて、筐体4に固定されるようになっている。
【0059】
チューブ2の保持は、コレクタ10によって確実に行われ、収集タンク11の保持は、それ自体が筐体4にろう付けされているフランジ5によって(圧着で)確実に行われている。コレクタ10とフランジ5の両方とも、筐体4にろう付けされているが、互いに独立にろう付けされており、この特定の例では、それらは、互いに接触さえしない。このようにして、収集タンク11を保持する働きによりフランジ5が受ける圧力は、筐体4およびチューブ2に接続されているコレクタ11に直接伝達されないようになっている。
【0060】
フランジ5に加えられる圧力がコレクタ11に伝達されない限り、流線形の断面を有し、狭い間隔で互いに分離されているチューブ2を受容することができるように、コレクタ11を形成することができる。特に、非常に厚さの薄い板に、従来のチェーシング加工を施してコレクタ11を形成することができる。このチェーシング加工において、コレクタ11のカラー13は、プレスされ、次いで公知のやり方で、それらの底面にパンチング加工して孔が形成される。一例として、コレクタ10を形成できる板が約1mmの厚さを有するので、コレクタ10は、チューブ間の間隔2〜3mmで、約100mm×7または8mmの孔12を有するものとすることができる。カラー13が占めるスペース(熱交換器1の長さLの方向に平行な寸法)を、ほぼ4mmにすることができる。こうして、ストラップ14の厚さ(1mm)を除くと、カラー13は、チューブ2の端部に当てるため、およびそれにろう付けをするために役立つ約3mmの面を有する。
【0061】
さらに、コレクタ10が筐体4に直接ろう付けされるので、その隅の半径は、比較的大きくなり、コレクタ10の製造は簡単になる。コレクタ10の厚さのために、コレクタ10を正しく形成することは常に容易というわけではないので、これは重要である。
【0062】
1つの追加の利点は、産業上の利用に関して、薄くあまり頑丈でない先行技術のコレクタに、単にフランジ5を追加することにより、本発明を使用することができることである。
【0063】
筐体4のベーン15a、15b、16a、16bから縦方向に突き出している位置決め突起24を受容する孔23が、フランジ5の内部横壁18(すなわち、溝G1の底面)に設けられている。各位置決め突起24は、それを支えるベーン15a、15b、16a、16bの拡大部に延びている。1つのベーン15a、15b、16a、16bは、1つまたは複数の位置決め突起24を有することができる。全てのベーン15a、15b、16a、16bまたはそれらの中の一部だけが、1つまたは複数の位置決め突起24を有してもよい。この特定の例において、熱交換器1は、筐体4の小さいベーン15b、16bのそれぞれの端の中央に位置する1つの位置決め突起24と、筐体4の大きいベーン15a、16aのそれぞれの端にある2つの位置決め突起24とを有する。
【0064】
位置決め突起24は、筐体4に対して適切な位置にフランジ5を圧着によって保持するように、屈曲または変形できるようになっている。位置決め突起24の変形作用により、位置決め突起24は、挿入される孔23の内側面に、完全にろう付けされることも確実になり、孔23の内側面との取り付けによる隙間がなくなり、そこから空気が逃げるのを避けることができる。言い換えると、孔23を確実に密閉する。このため、例えば、筐体4のベーン15a、15b、16a、16bの端面に内部横壁18が当接して、位置決め突起24が内部横壁18を押すことによって、内部横壁18に対して曲がることができる。それらの位置決め突起24は、簡単な変形により、フランジ5に対するいかなる移動も防げる限り、圧着ではなく、単に変形するだけでもよい。
【0065】
こうした位置決め突起24の働きは、熱交換器1の製造中に、特にその種々の構成要素のコンポーネントのろう付け前およびろう付け中に、筐体4に対してフランジ5の位置決めをして、保持することができるようにすることである。
【0066】
熱交換器1の製造は、このようにして容易になる。チューブ2は、積み重ねられ、コレクタ10の孔と、コレクタ10の周りに配置され、圧着突起Rにより他の壁に対して適切な位置に保持される筐体4のL字状の壁15、16とに挿入される。クリンチング手段などの他の保持手段も利用することができる。フランジ5は、筐体4の端に配置され、位置決め突起24は、このために設けられた開口部23に挿入され、アセンブリの保持を確実にするために変形、屈曲、または圧着される。この場合、全てのものをろう付けすることができ、このために、公知のやり方で加熱炉に入れられる。筐体4にろう付けされることになっている面(特にコレクタ10のスカート10aの外側面および溝G1の面)は、一定の寸法を有し、接触面積が大きく、品質の良いろう付けを可能にする。次いで、この特定の例では、吸気収集タンク11および排気収集タンク11’を、熱交換器1に圧着することができる一方で、収集タンク11の固定端部11aを受容する溝G2の底面にシールリング27を配置している。これは、
図3および
図9に概略的に示すOリング27である。
【0067】
熱交換器1の1つの特定の特徴を、
図3、
図5、
図6、および
図8〜
図11に示してある。その特徴とは、フランジ5の隅の内部溝G1のところに、受容部25を有することである。
【0068】
こうした受容部25は、フランジ5の製造を容易にするため、かつ隅の面積を含む十分なろう付け面積を確保することによって、筐体4へのフランジ5のろう付け品質を向上させるために設けられている。実際のところ、フランジ5は、この特定の例においては、チェーシング加工によって形成されており、公知のように、隅にある材料を曲げるのは難しい。従って、受容部25により、隅の材料の品質は、重大ではなくなり、これにより、筐体4への品質の良いろう付けを可能にするために、隅を含めて、十分な長さを有する内部縦壁を形成するようなやり方で、それらをチェーシング加工することが可能になる。
【0069】
言うまでもなく、筐体の形状、より具体的には、筐体4の端の隅の形状は、例えば
図5に示すように、フランジ5の形状に適合している(筐体4の端は、フランジ5の内部溝G1に対して当接するようになっている)。
【0070】
収集タンク11は、各隅に、フランジ5の受容部25に対応する隆起部26を有している。この隆起部26は、受容部25に収容され、シールリング27を適切な位置に確実に保持する働きをする。この隆起部26がなかったら、シールリング27は、フランジ5の受容部25のために、隅には設けられなかったであろう。
【0071】
図12は、熱交換器1のフランジ5の第2の実施形態を示している。これについて、簡潔に説明する。前の実施形態で使用していた符号を使用し、これらの実施形態の差についてだけ説明する。
【0072】
図12に示す第2の実施形態におけるコレクタ10のスカート10aの形状は、若干異なっている。スカート10aは、第1の実施形態の例において収集タンク11の方に曲げられていたのとは異なり、熱交換器1の反対端の方向である反対側に曲げられていることが分かる。どちらにしても、コレクタ10は、筐体4の壁の内側面にろう付けされる周辺スカートの外側面を有し、この特定の例においては、フランジ5の内部縦壁17の自由端17aから空間dだけ離れた位置に、周辺スカートの外側面を有する。
【0073】
実施形態に関わらず熱交換器1の動作は、次の通りである。当業者には公知であるので、簡潔に説明する。空気が吸気タンク11に供給され、チューブ2の中を流れ(この流れは、フィン2’によって撹拌される)、排気タンク11’を通って再び熱交換器1から出て行く。さらに、水が注水パイプ9を通って熱交換器に供給され、水流ダクト3を循環し(この循環は、撹拌器によって撹拌される)、排水パイプ8を通って、再び熱交換器1から出て行く。空気と水の流れは、熱交換器1の長さLの方向で、かつ反対方向である。これは、「逆流」熱交換器と呼ばれ、このような熱交換器1の効率は非常によい。
【0074】
熱交換器1について、そのチューブ2の中を循環する空気、および撹拌器により、チューブ間を循環する水に関連して説明する。言うまでもなく、これを逆にすることができる。すなわち、水がチューブの中を、空気がチューブ間を循環してもよい。さらに、両方とも空気でもよいし、両方とも水でもよい。また他の流体でもよい。
【0075】
以上、本発明を、好ましい実施形態を挙げて説明したが、言うまでもなく、本発明は、他の実施形態も可能である。特に、上に述べた異なる実施形態の特徴を、両立不能でない場合、組み合わせることができる。