特許第5856077号(P5856077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5856077
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】カートリッジ結合機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   A61M5/315
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-550069(P2012-550069)
(86)(22)【出願日】2011年1月19日
(65)【公表番号】特表2013-517095(P2013-517095A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】US2011021605
(87)【国際公開番号】WO2011090956
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2013年9月26日
(31)【優先権主張番号】12/689,250
(32)【優先日】2010年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506361719
【氏名又は名称】メディモップ・メディカル・プロジェクツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】カビリ,オズ
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−528676(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0097381(US,A1)
【文献】 特表2009−502273(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/044401(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/024814(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/024781(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/017052(WO,A1)
【文献】 特表2002−528234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジとカートリッジ結合機構との組み合わせであって、
内側円筒面、カートリッジ(22)に滑動的に挿入された第1の止め栓(24)、遠位端、及び、対象者に投与するための物質を有している回転方向に不動なカートリッジ(22)と、
カートリッジ結合機構(80)とを備えており、
前記カートリッジ結合機構(80)は、
第1のシャフト(84)を有している駆動プランジャー(82)と、
第2のシャフト(88)を有しているドライバ(86)とを備えており、
前記第2のシャフト(88)は、前記第1のシャフト(84)と、互いに入れ子式に動くように嵌合しており、
前記ドライバ(86)の回転により、前記駆動プランジャー(82)が、前記ドライバ(86)から遠ざけるように直線的に移動するようになっており、
回転方向に不動なカートリッジ(22)の中にカートリッジ結合機構(80)を挿入したときに、前記駆動プランジャー(82)は、前記内側円筒面との相補的反回転摩擦の関係にあり、
前記相補的反回転摩擦は、カートリッジ(22)に対しての駆動プランジャー(82)の回転を妨げる唯一の力であり、
前記ドライバ(86)の回転により、前記駆動プランジャー(82)は、前記遠位端のみに向けて、前記第1の止め栓(24)に接するまで直線的に進められ、
前記駆動プランジャー(82)は、前記カートリッジ(22)から物質を供給するため、前記第1の止め栓(24)を前記遠位端に向けて推し進める、
ことを特徴とするカートリッジとカートリッジ結合機構との組み合わせ。
【請求項2】
前記ドライバ(86)が、歯車を備えていることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記第2のシャフト(88)が、前記第1のシャフト(84)の空洞部分内で螺合的に受けられることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項4】
中間シャフト(90)が、更に前記第1のシャフト(84)の空洞部分で螺合的に受けられ、
前記第2のシャフト(88)が、前記中間シャフト(90)の空洞部分で螺合的に受けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記駆動プランジャー(82)が、前記第1のシャフト(84)の遠位端にあることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記カートリッジ結合機構(100)の遠位端から突出しているねじ締め部(102)であって、プランジャー(124)の中に形成されているねじ穴(126)に嵌合する前記ねじ締め部(102)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記ドライバ(86)が第1の回転方向に回転することを許容し、前記ドライバ(86)が当該第1の回転方向とは反対の方向である第2の回転方向に回転することを防ぐロック機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記ドライバ(86)は、壁(105)および第1のロック歯(106)の範囲によって規定される凹部(104)を伴って形成され、
前記カートリッジ結合機構(80、100)の本体(103)の近位端は、最終的な配置位置において凹部(104)にて受けられる第2のロック歯(108)を伴って形成され、
前記第1のロック歯(106)および前記第2のロック歯(108)は、傾斜壁(110、112)を伴って形成され、
前記第1のロック歯(106)および第2のロック歯(108)は、第1の回転方向には互いに滑動的に進むことができ、
前記第2のロック歯(108)は、第2の回転方向に前記壁(105)を超えて移動することはできない、
ことを特徴とする請求項7に記載の組み合わせ。
【請求項9】
カートリッジ(22)において、遠位的にプランジャー(124)を進めて、前記カートリッジ(22)から物質を押し出すために、前記カートリッジ(22)内に滑動可能に配置された前記プランジャー(124)と動作可能に結合されるカートリッジ結合機構であって、
本体(103)と、
前記カートリッジ(22)と組合せる前に、前記本体(103)の近位端に接するドライバ(86)と、
記ドライバ(86)および前記本体(103)の間に位置するロック機構であって、前記ドライバ(86)が第1の回転方向に回転することを許容し、前記ドライバ(86)が当該第1の回転方向とは反対の方向である第2の回転方向に回転することを防ぐロック機構と、
を備えていることを特徴とするカートリッジ結合機構(100)。
【請求項10】
前記ドライバ(86)は、壁(105)および第1のロック歯(106)の範囲によって規定される凹部(104)を伴って形成され、
前記本体(103)の前記近位端は、最終的な配置位置において前記凹部(104)にて受けられる第2のロック歯(108)を伴って形成され、
前記第1および第2のロック歯(106、108)は、前記第1の回転方向に互いに滑
動可能な傾斜壁(110、112)を伴って形成され、
前記第2のロック歯(108)は、前記第2の回転方向に前記壁(105)を超えて移動することはできない、
ことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ結合機構(100)。
【請求項11】
ドライバと、回転方向に不動なカートリッジ内に滑動的に配置されたプランジャーとを結合する方法であって、
内側円筒面、前記カートリッジ(22)に滑動的に挿入された第1の止め栓(24)、遠位端、及び、対象者に投与するための物質を有している回転方向に不動なカートリッジ(22)を提供する工程と、
カートリッジ結合機構(80)を、前記回転方向に不動なカートリッジ(22)に挿入する工程と、を含み、
前記カートリッジ結合機構(80)は、
第1のシャフト(84)を有している駆動プランジャー(82)と、
第2のシャフト(88)を有しているドライバ(86)とを備えており、
前記第2のシャフト(88)は、前記第1のシャフト(84)と、互いに入れ子式に動くように嵌合しており、
当該方法は、
前記ドライバ(86)を回転させ、前記駆動プランジャー(82)を前記第1の止め栓(24)に接するまで前記カートリッジ(22)内で直線的に進める工程を更に含み、
回転方向に不動な前記カートリッジ(22)の中に前記カートリッジ結合機構(80)を挿入したときに、前記駆動プランジャー(82)は、前記内側円筒面との相補的反回転摩擦の関係にあり、
前記相補的反回転摩擦は、前記カートリッジ(22)に対しての前記駆動プランジャー(82)の回転を妨げる唯一の力であり、
前記ドライバ(86)の回転により、前記駆動プランジャー(82)は、前記遠位端のみに向けて、前記第1の止め栓(24)に接するまで直線的に進められ、
前記駆動プランジャー(82)は、前記カートリッジ(22)から物質を供給するため、前記第1の止め栓(24)を前記遠位端に向けて推し進める、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、外付けのドラッグポンプに関係しており、より具体的には、カートリッジからドラッグを押し出すための機構であって、カートリッジ内で、モータ等のアクチュエータとプランジャー等の押出デバイスとの間を結合する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
外付けのドラッグポンプは、インシュリンのように経口投与したとき、消化できない大きな分子を含む物質を患者に供給するために典型的に用いられる。典型的には、そのようなポンプは、患者の腹部に接着されており、患者の皮膚に刺入してあるカニューレや注射針を通して物質を患者に供給する。
【0003】
GrossおよびCabiriによるPCT特許出願PCT/IL2008/001312(WO2009/044401として刊行)(更には米国特許出願12/244666および12/244668、これらの開示は、それを参照することによって本願に組み込まれる)は、外付けのドラッグポンプについて記載している。このポンプでは、カートリッジ対象者に投与される物質を含んだカートリッジが提供される。(「ドラッグ」および「物質」という用語は、本願の詳細な説明や請求項において、交換可能に使われており、対象者に投与されるいかなる物質も包含している。本願の詳細な説明や請求項における「カートリッジ」という用語は、形状や大きさを問わず、薬包、バイアル、注射筒、ボトル、アンプル等(ただしこれらに限定されない)のいかなるドラッグの容器をも包含している。)
上記カートリッジは、止め栓によって封印されており、互いに螺合結合する第1および第2の螺合部材(例えば、ねじおよびナット)を備えている。 この第2の螺合部材の遠位端は、第2の螺合部材を止め栓に連結する連結部を規定定義する。第1の螺合部材は、カートリッジに対して回転可能であり、第1の螺合部材の回転の間、カートリッジに対して直線的に不動である。モータによって回転される第1の螺合部材は、第2の螺合部材と止め栓とを実質的に回転させることなしに、止め栓と少なくとも第2の螺合部材の遠位端とを、カートリッジの遠位端に向けて直線的に前進させるよう構成されている。
【0004】
以下の説明は、上記のように記述された機構を容易に理解できるようにするためのものである。
【0005】
まず図1を参照する。図1は、カートリッジ22がハウジング基部に挿入されている従来技術に係るWO2009/044401のカートリッジ機構(当該出願の図4に基づく)に関連のある要素を示している。
【0006】
カートリッジ22の遠位端は、止め栓24を有するカートリッジ22の遠位端にある封止材を貫通する、カートリッジ貫通機構44に挿入されている。(止め栓は、プランジャー、ピストンまたは押出デバイスの例であり、止め栓は、プランジャーとも呼ばれる。)カートリッジ22は、その後、ハウジング基部の方に下げられる。典型的には、弾力性があり対向するアーム70が、ハウジング基部上でカートリッジを支持する。カートリッジ22がハウジング基部の方へ下げられるにつれて、第1の歯車52が、第2の歯車54とかみ合う。(ここでは示されていないが、第1の歯車52はモータで回転される。)いくつかの適用において、カートリッジ22をハウジング部に挿入する前に、第1の螺合部材26は、カートリッジの近位端から距離h分だけ突出している。第1の螺合部材(または第2の歯車54)は、丸部74を備えている。ハウジング基部の部材34は、傾斜面76を備えている。丸部74がスライドして傾斜面を通る際、第1の螺合部材は、カートリッジ内に距離h分押し込まれる。結果として、第1および第2の螺合部材26および28、並びに止め栓24は、カートリッジ22の遠位端へ向けて動かされることになる。動作中、モータ(図示されていない)は、歯車54をまわす歯車52をまわす。これにより、止め栓24はカートリッジ22の遠位端に向けて直線的に前進させられ、それによりカートリッジ22から物質を投与する。
【0007】
続いて図2を参照する。図2は、カートリッジ22が満たされる前の初期位置にあるプランジャー24とともにカートリッジ22を示している。カートリッジは、例えば、カートリッジ22(図3)の中にある隔壁17を通して、または、ドラッグポンプ(図4)のハウジング容器の中にある隔壁19を通して挿入された皮下注射針15によって、事前に製造業者によって満たされるか、使用者によって満たされる。図3に示しているように、プランジャー24は、カートリッジが満たされるにつれて、カートリッジ22の中を直線的に移動する。2つのカートリッジは、許容誤差、注入された体積が異なること、異なった直径や他の寸法、異なるプランジャーの形状、気泡その他の要因により、厳密に同じ量の物質で満たされることはない。このため、残念ながら、カートリッジ22が満たされた後のプランジャー24の確定した位置はない。このことは、プランジャー24に結合するギアおよび螺合機構(あらかじめ規定されている)の全体の長さが、満たされた場合のプランジャー24の位置(知られていない)の条件を満たさない可能性があるという問題を生じさせ、そしてそれは、物質を投与するためにプランジャー24を適切に押すことに問題を生じさせる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は概して、外付けのドラッグポンプに関係しており、より具体的には、カートリッジからドラッグを押し出すための機構であって、カートリッジ内で、モータ等のアクチュエータとプランジャー等の押出デバイスとの間を結合する機構に関する。以下で、上記について更に詳しく説明する。本発明は、従来技術に係る前述の問題を解決する。本発明は、PCT特許出願WO2009/044401を参照しているが、それ以外の他の多くの種類のモータ駆動ドラッグカートリッジに適用可能である。
【0009】
本発明の一実施形態は、内側円筒面、カートリッジに滑動的に挿入された第1の止め栓、遠位端、及び、対象者に投与するための物質を有している回転方向に不動なカートリッジと、カートリッジ結合機構とを備えている組み合わせである。カートリッジ結合機構は、外部シャフト(第1のシャフト)を含む駆動プランジャーおよび外部シャフトと互いに入れ子式に動くように嵌合している内部シャフト(第2のシャフト)を包含するドライバとを備えている組み合わせである。ドライバの回転は、駆動プランジャーをドライバから遠ざける方向に直線的に進め、カートリッジ結合機構は、カートリッジの中に挿入される。回転方向に不動なカートリッジの中にカートリッジ結合機構を挿入したときに、前記駆動プランジャーは、前記内側円筒面との相補的反回転摩擦の関係にある。前記相補的反回転摩擦は、カートリッジに対しての駆動プランジャーの回転を妨げる唯一の力である。前記カートリッジでは、プランジャーが、滑動的に挿入され、ドライバの回転により、前記駆動プランジャーは、前記第1の止め栓と接するまで、カートリッジの遠位端の方のみに向けて、直線的に進む。前記駆動プランジャーは、前記カートリッジから物質を供給するため、前記第1の止め栓を前記遠位端に向けて推し進める。また、ドライバは歯車を包含することができる。シャフトが、それぞれ入れ子式に移動可能なように、内部シャフトは、中間シャフトと嵌合し、前記中間シャフトは、外部シャフトと嵌合する。
【0010】
本発明に非限定的な一実施形態によれば、内部シャフトは、中間シャフトの空洞部分内で螺合的に受けられ、中間シャフトは、外部シャフトの空洞部分内で螺合的に受けられる。
【0011】
本発明のその他の一実施形態には、ドライバとカートリッジ内に滑動的に挿入されるプランジャーとを結合する方法がある。当該方法は、カートリッジの中にカートリッジ結合機構を挿入する方法であり、当該カートリッジ結合機構は、外部シャフトを包含する駆動プランジャーと外部シャフトに対して入れ子式動くことが可能な内部シャフトを包含するドライバを包含する。そして、前記ドライバの回転は、駆動プランジャーをカートリッジの遠位端へと進ませる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、以下の図面と共に、以下の詳細な説明からより理解されるであろう。
図1図1は、従来技術のカートリッジアゼンブリの簡略図である。
図2図2は、カートリッジが満たされる前の初期位置にあるプランジャーを有する、従来技術のカートリッジアゼンブリの簡略図である。
図3図3は、カートリッジの中の隔壁を通して刺された皮下注射用の針を用いて従来技術のカートリッジを満たす様子を示す簡略図である。
図4図4は、ドラッグポンプのハウジングの中にある隔壁を通して刺された皮下注射用の針を用いて従来技術のカートリッジを満たす様子を示す簡略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態により構成および作動される駆動プランジャーを包含するカートリッジ結合機構の簡略全体図である。
図6図6は、本発明の一実施形態により構成および作動される駆動プランジャーを包含するカートリッジ結合機構の簡略断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態により、駆動プランジャーが、カートリッジのプランジャーに接する前のカートリッジ内に挿入されたカートリッジ結合機構の簡略図である。
図8図8は、本発明の一実施形態により、駆動プランジャーが、カートリッジのプランジャーに接した後のカートリッジ内に挿入されたカートリッジ結合機構の簡略図である。
図9図9は、本発明の一実施形態により構成および作動される、カートリッジ結合機構の本体部分から離されているドライバ(ギア)を用いて、カートリッジのプランジャーの中にねじ込まれる、カートリッジ結合機構の簡略図である。
図10図10は、本発明の一実施形態により構成および作動される、カートリッジ結合機構のボディー部分に接するドライバ(ギア)を用いて、カートリッジのプランジャーの中にねじ込まれる、カートリッジ結合機構の簡略図である。
図11A図11Aは、本発明の一実施形態により構成および作動される、ロック機構を示す、図9および図10の詳細図である。
図11B図11Bは、本発明の一実施形態により構成および作動される、ロック機構を示す、図9および図10の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図5および図6を参照する。図5および図6は、本発明の非限定的な一実施形態により構成および作動されるカートリッジ結合機構80を示す。
【0014】
カートリッジ結合機構80は、外部シャフト84の遠位端にある駆動プランジャー82を含んでいる。例えばギア(これに限定されない)のようなドライバ86は、内部シャフト88を包含する。内部シャフト88は、中間シャフト90の空洞部分内で受けられる。一方で、中間シャフト90は、外部シャフト84の空洞部分内で受けられ、それに螺合される。それぞれのシャフト84、88および90は、互いに入れ子式に動くことができるよう構成されている。外部シャフト84は更に、近接するOリング92を包含する。前記駆動プランジャー82およびO−ring92は、天然ゴムや人工ゴムなどのエラストマーであることが好ましい。その他の部品は、プラスチックや金属であっても良い。
【0015】
他の実施形態において、前記中間シャフト90は省略され、内部シャフト88および外部シャフト84がお互いに入れ子式に動くようしても良い。更なる他の実施形態においては、3つ以上のシャフトを備え、それらが互いに入れ子式に動くようにしてもよい。
【0016】
続いて、図7を参照する。図7は、カートリッジ22の中に挿入されたカートリッジ結合機構80を示す。駆動プランジャー82は、最初、カートリッジ22のプランジャー24から幾分か離れている。前記ドライバ86の回転(図示されていない回転モータを使用してかみ合わせる)は、内部シャフト88を回転させ、それにより、中間シャフト90を回転させて、当該中間シャフトを、矢印91で示されているように駆動プランジャー82に向かう方向であるカートリッジ機構80の遠位端に向けて直線的に進ませる。一方で、当該中間シャフト90の遠位運動は、外部シャフト84を駆動プランジャー82とともに遠位端の方へ進ませる。カートリッジ22の内壁に対する前記駆動プランジャー82の摩擦は、前記駆動プランジャー82が、回転するよりも格段に直線的に移動しやすいようにしてある。これにより、前記内部シャフト88および前記中間シャフト90の回転が、前記カートリッジ22の中で、駆動プランジャー82を、当該駆動プランジャー82がプランジャー24に接するまで、遠位的に進ませる。
【0017】
他の実施形態では、前記駆動プランジャー82は、前記プランジャー24に接するまで直線的に進む際に、幾分かの回転が許されている。その他の別の実施形態では、駆動プランジャー82は、カートリッジ22の内壁に接触している必要なく、プランジャー24に接するまで、カートリッジ22内を遠位的に進む。
【0018】
したがって、本発明では、投与する物質で前記カートリッジ22を満たした後、プランジャー24の最終位置がどこであれ、プランジャー24を押すための駆動機構は、カートリッジ結合機構80を通して、常にプランジャー24と適切に接触することになる。
【0019】
続いて、図9および図10を参照する。図9および図10は、同様の符号を同様の部材に割り当てた、カートリッジ結合機構の別の実施形態を示している。この実施形態では、カートリッジ結合機構100は、螺合接続によって、プランジャー124に接続可能である。前記プランジャー124は、ねじ穴126を伴って形成されている。カートリッジ結合機構100は、当該機構の遠位端から突出している、ねじ穴126に対応するオスねじを伴って形成されているねじ締め部102を含んでいる。前記ねじ穴126と前記ねじ閉め部102は、右回し用(時計回り)ねじを伴って形成されている。したがって、入れ子式のシャフトは、前記ねじ閉め部102の螺合用連結が前記ねじ穴126へ入るために進む方向とは逆であるように、左回し用(反時計回り)ねじを伴って形成される。カートリッジ結合機構100の入れ子式のシャフト(第1の実施形態における入れ子式シャフト84または88もしくは90等、ここでは図示されていない)は、カートリッジ結合機構(上述した)の遠位の一端に直線的に進むために、時計回り(前記ドライバ86の遠位の一端から見て)に回転される。
【0020】
前記ドライバ86(二重ギアで構成される一実施形態として図9および図10には描かれているが、そのようなギアに限ったことではない)が、図10において見られるように、カートリッジ結合機構100の本体103の近い方の一端に接するように、前記機構100の本体103内に、入れ子式シャフトすべてを入れ込んで供給することが望ましい。
【0021】
もし入れ子式シャフトが、図10に示されている位置まで本体内できつく回されていないと、組立前の輸送や出荷作業の間にシャフトが外れてしまい、カートリッジプランジャーに関する機構のための最適な位置である、図10に示されているような位置関係は維持されない。一方で、前記ドライバ86が、図10に記載の位置関係を維持するために機構100の本体に対してあまりにも強く締められてしまった場合、モータが、このきつい結合を克服するために、前記ドライバ86を回転させるための必要なトルクが増し、前記モータへ負担をかけすぎてしまう。
【0022】
上記2つの問題(入れ子式シャフトが外れてしまったり、ドライバが回転しなかったりといった)を解決するために、図11A図11Bに示されているような、前記機構100にロック機構が提供される。
【0023】
前記ドライバ86は、壁105から第一ロック歯106までの範囲によって規定される凹部104を伴って形成されている。前記カートリッジ結合機構100の、本体103に近い方の一端は、第2のロック歯108を伴って形成されている。図11A図11Bで示されている最終位置(図10の位置関係)では、第2のロック歯108は、凹部104において受けられる。第1および第2のロック歯106および108は、それぞれ傾斜壁110および112を伴って形成されている。傾斜壁110および112は、時計回り方向には互いにすべるように動くことが可能である。このことは、第2のロック歯108は、時計回り方向では、凹部104に入ったり出たり自由に動くことができることを意味する。これにより、ドライバ86は時計回りに回転し、それは、前記モータが入れ子式シャフトを遠位的に進めるために回転する方向である。しかし、第2のロック歯108は、壁105を超えて移動することはできない。そのことは、第2のロック歯が、反時計回りに凹部104を超えて動くことができないことを意味し、それにより、ドライバ86が、主体部103のうちの近い方の一端から外れてしまうことを防ぐ。
【0024】
したがって、第1ロック歯106および第2ロック歯108によるロック機構は、プランジャー124を用いた入れ子式シャフト機構の組立てを容易にし、前記ドライバ86の望ましい最終位置(すなわち、カートリッジギア最終位置)が達成され維持される。ロック機構は、輸送や作業の間に入れ子式シャフト機構が外れてしまうことを防ぎ、稼動時の小さなトルクを保証する。
【0025】
本発明は、ここで典型的に例示および記述されたものだけに適用されるものではない。本発明は、本発明に関する通常の知識を有する者が、従来技術にない前述の記載を読んだ際における修正や変更ばかりでなく、上記に記述された特徴の組み合わせおよび副次的組み合わせをも含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B