特許第5856097号(P5856097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5856097-食器洗浄機用の食器かご 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5856097
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】食器洗浄機用の食器かご
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20160120BHJP
   A47L 15/50 20060101ALI20160120BHJP
   A47L 19/04 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   A47L15/42 J
   A47L15/50
   A47L19/04
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-82306(P2013-82306)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-204755(P2014-204755A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/049935(WO,A1)
【文献】 特開2005−334552(JP,A)
【文献】 特開2004−041686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
A47L 15/50
A47L 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器洗浄機の洗浄槽内に収納される食器かごであって、
かご本体に可倒式食器支持部が組み付けられ、この可倒式食器支持部は、複数の支持ピンを間隔を存して一列縦隊で列設したピン列を平行に2つ並設して構成され、各ピン列の支持ピンの列設方向をX方向、2つのピン列の並設方向をY方向として、各ピン列の複数の支持ピンをY方向に起伏自在とするものにおいて、
各ピン列の複数の支持ピンの基端部がX方向に長手の連結線材に固定され、
X方向のうち洗浄槽の壁部に接近する方向をX方向外方、その反対方向をX方向内方として、かご本体に、X方向外方の端部とそこからX方向内方に離隔した部分とに位置して、連結線材のX方向両端部を回動自在に挿通するX方向外方と内方の軸支部が設けられ、
連結線材のX方向外方端にX方向に直交する折り曲げ部が曲成され、
方向外方の軸支部とX方向内方の軸支部との間のX方向距離は、折り曲げ部と連結線材のX方向内方端との間のX方向距離よりも短く、且つ、各ピン列の複数の支持ピンのうちX方向最外方の支持ピンと連結線材のX方向内方端との間のX方向距離よりも長く設定され、食器かごが洗浄槽に収納された状態では、連結線材のX方向内方端がX方向内方の軸支部からX方向外方に抜け出る前に、折り曲げ部が洗浄槽の壁部に当接することを特徴とする食器洗浄機用の食器かご。
【請求項2】
前記かご本体に、前記支持ピンが起立したときに前記折り曲げ部が当接するストッパ部が設けられることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機用の食器かご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機の洗浄槽内に収納される食器洗浄機用の食器かごに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器かごとして、特許文献1により、かご本体に可倒式の食器支持部を組み付けたものが知られている。可倒式食器支持部は、複数の支持ピンを間隔を存して一列縦隊で列設したピン列を平行に2つ並設して構成され、各ピン列の支持ピンの列設方向をX方向、2つのピン列の並設方向をY方向として、各ピン列の複数の支持ピンをY方向に起伏自在としている。これによれば、支持ピンを起立させることで、支持ピン間に皿等の食器を挿入状態でセットできると共に、支持ピンを倒伏することにより、鍋やボールといった大型の被洗浄物を食器かごにセットすることができる。
【0003】
ここで、上記従来例では、各ピン列の複数の支持ピンをX方向に長手の連結線材に固定すると共に、支持ピンの基端部にカール部を形成しておき、このカール部に挿通されるX方向に長手の軸用線材をかご本体に溶接し、軸用線材に対するカール部の回動で支持ピンがY方向に起伏自在となるようにしている。
【0004】
然し、このものでは、軸用線材に可動物たる各ピン列の支持ピンを取り付けた状態で軸用線材をかご本体に溶接する必要があって、溶接作業が面倒になり、食器かごに対する可倒式食器支持部の組み付け作業性が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−41686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、可倒式食器支持部を容易に組み付けられるようにした食器洗浄機用の食器かごを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、食器洗浄機の洗浄槽内に収納される食器かごであって、かご本体に可倒式食器支持部が組み付けられ、この可倒式食器支持部は、複数の支持ピンを間隔を存して一列縦隊で列設したピン列を平行に2つ並設して構成され、各ピン列の支持ピンの列設方向をX方向、2つのピン列の並設方向をY方向として、各ピン列の複数の支持ピンをY方向に起伏自在とするものにおいて、各ピン列の複数の支持ピンの基端部がX方向に長手の連結線材に固定され、X方向のうち洗浄槽の壁部に接近する方向をX方向外方、その反対方向をX方向内方として、かご本体に、X方向外方の端部とそこからX方向内方に離隔した部分とに位置して、連結線材のX方向両端部を回動自在に挿通するX方向外方と内方の軸支部が設けられ、連結線材のX方向外方端にX方向に直交する折り曲げ部が曲成され、方向外方の軸支部とX方向内方の軸支部との間のX方向距離は、折り曲げ部と連結線材のX方向内方端との間のX方向距離よりも短く、且つ、各ピン列の複数の支持ピンのうちX方向最外方の支持ピンと連結線材のX方向内方端との間のX方向距離よりも長く設定され、食器かごが洗浄槽に収納された状態では、連結線材のX方向内方端がX方向内方の軸支部からX方向外方に抜け出る前に、折り曲げ部が洗浄槽の壁部に当接することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、X方向外方の軸支部に連結線材の折り曲げ部をX方向内方から挿通した後、X方向最外方の支持ピンと折り曲げ部との間に位置する連結線材の部分をX方向外方の軸支部を通してX方向外方にスライドさせることで、連結線材のX方向内方端をX方向内方の軸支部よりもX方向外方に位置させることができ、その後、連結線材をX方向内方にスライドさせて、連結線材のX方向内方端をX方向内方の軸支部にX方向外方から挿通することができる。これにより、連結線材の両端部を両軸支部に挿通して、可倒式食器支持部を構成する各ピン列の複数の支持ピンをかご本体に起伏自在に取り付けることができる。そのため、可倒式食器支持部を面倒な溶接作業を要することなく食器かごに容易に組み付けることができる。
【0009】
尚、食器かごを洗浄槽に収納した状態では、連結線材のX方向内方端がX方向内方の軸支部からX方向外方に抜け出る前に、折り曲げ部が洗浄槽の壁部に当接するため、上述した各ピン列の取り付け状態が解除されることはない。また、食器かごを洗浄槽から取り外すと、ピン列を上記とは逆の手順でかご本体から取り外すことができる。そのため、ピン列の支持ピンが折れ曲がる等してピン列の交換が必要になったときに、ピン列を新たなものと容易に交換できる。
【0010】
また、本発明においては、かご本体に、支持ピンが起立したときに折り曲げ部が当接するストッパ部を設けることが望ましい。これによれば、折り曲げ部が、ピン列を軸支部に対し抜け止めする部位として機能するだけでなく、かご本体のストッパ部に当接して支持ピンを起立状態に維持する部位としても有効活用されることになり、合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の食器かごの斜視図。
図2】(a)図1の食器かごの第1可倒式食器支持部を組み付けた部分の拡大斜視図、(b)図2(a)のIIb−IIb線で切断した断面図。
図3】(a)図1の食器かごの第2可倒式食器支持部を組み付けた部分の拡大斜視図、(b)図3(a)のIIIb−IIIb線で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は、食器洗浄機に設けられる前方に引き出し自在な洗浄槽を示しており、この洗浄槽1内に本発明の実施形態の食器かご2が収納されている。この食器かご2は、縦横複数の線材を組み合わせて構成されるかご本体3と、かご本体3の後部上方に配置した折り畳み自在な棚部4と、かご本体3の前部の横方向一側部と他側部とに組み付けた第1と第2の2つの可倒式食器支持部5,5とを備えている。
【0013】
図2図3を参照して、各可倒式食器支持部5,5は、複数の支持ピン51を間隔を存して一列縦隊で列設したピン列50を平行に2つ並設して構成されている。ここで、各ピン列50の複数の支持ピン51の列設方向をX方向(第1可倒式食器支持部5では横方向、第2可倒式食器支持部5では前後方向)、2つのピン列50,50の並設方向をY方向(第1可倒式食器支持部5では前後方向、第2可倒式食器支持部5では横方向)として、各ピン列50は、X方向に長手の連結線材52に複数の支持ピン51の基端部を溶接等で固定して構成されている。
【0014】
また、X方向のうち洗浄槽1の壁部(第1可倒式食器支持部5に関しては洗浄槽1の横方向一側の壁部1a、第2可倒式食器支持部5に関しては洗浄槽1の前面の壁部1b)に接近する方向をX方向外方、その反対方向をX方向内方として、かご本体3に、各可倒式食器支持部5,5に対応して、X方向外方の端部に位置するY方向に離隔した各一対のX方向外方の軸支部31,31、31,31と、そこからX方向内方に所定距離離隔した部分に位置するY方向に離隔した各一対のX方向内方の軸支部32,32、32,32とが設けられている。そして、第1可倒式食器支持部材5の各ピン列50の連結線材52のX方向両端部を対応するX方向外方と内方の軸支部31,32に回動自在に挿通すると共に、第2可倒式食器支持部材5の各ピン列50の連結線材52のX方向両端部を対応するX方向外方と内方の軸支部31,32に回動自在に挿通し、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の複数の支持ピン51をY方向に起伏自在としている。尚、各軸支部31〜32は、線材をカールさせて形成している。
【0015】
また、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の連結線材52のX方向外方端には、X方向に直交する折り曲げ部52aが曲成されている。更に、かご本体3に、X方向外方の軸支部31,31のY方向外側でX方向外方にのびる線材部分で構成されるストッパ部33,33を設けている。そして、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の支持ピン51をY方向内側に倒伏した状態から起立させたときに、支持ピン51がY方向外側に若干傾いた所定の起立姿勢(図示の姿勢)になったところで折り曲げ部52aがストッパ部33,33に当接して、支持ピン51が起立姿勢に維持されるようにしている。
【0016】
図2(b)、図3(b)を参照して、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の複数の支持ピン51のうちX方向最外方の支持ピン51と折り曲げ部52aとの間のX方向距離Laは、各ピン列50の複数の支持ピン51のうちX方向最内方の支持ピン51と連結線材52のX方向内方端との間のX方向距離Lbよりも長く設定されている。また、各可倒式食器支持部5,5に対応するX方向外方の軸支部31,31とX方向内方の軸支部32,32との間のX方向距離L1は、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の連結線材52の折り曲げ部52aと連結線材52のX方向内方端との間のX方向距離L2よりも短く、且つ、各ピン列50のX方向最外方の支持ピン51と連結線材52のX方向内方端との間のX方向距離L3よりも長く設定されている。更に、食器かご2が洗浄槽1に収納された状態では、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の連結線材52のX方向内方端が各可倒式食器支持部5,5に対応するX方向内方の軸支部32,32からX方向外方に抜け出る前に、折り曲げ部52aが洗浄槽1の対応する壁部1a,1bに当接するようにしている。
【0017】
以上の構成によれば、各ピン列50の連結線材52を折り曲げ部52aがX方向に沿うように図示の姿勢から90°旋回させた状態で、折り曲げ部52aをX方向外方の軸支部31,31にX方向内方から挿通した後、各ピン列50のX方向最外方の支持ピン51と折り曲げ部52aとの間に位置する連結線材52の部分(距離Laの部分)をX方向外方の軸支部31,31を通してX方向外方にスライドさせることで、連結線材52のX方向内方端をX方向内方の軸支部32,32よりもX方向外方に位置させることができる。従って、その後に連結線材52をX方向内方にスライドさせて、連結線材52のX方向内方端とX方向最内方の支持ピン51との間の連結線材52の部分(距離Lbの部分)をX方向内方の軸支部32,32にX方向外方から挿通できる。これにより、連結線材52の両端部をX方向外方の軸支部31,31とX方向内方の軸支部32,32とに挿通して、各可倒式食器支持部5,5を構成する各ピン列50の複数の支持ピン51をかご本体3に起伏自在に取り付けることができる。そのため、各可倒式食器支持部5,5を面倒な溶接作業を要することなく食器かご2に容易に組み付けることができる。
【0018】
尚、食器かご2を洗浄槽1に収納した状態では、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50の連結線材52のX方向内方端がX方向内方の軸支部32,32からX方向外方に抜け出る前に、折り曲げ部52aが洗浄槽1の壁部1a,1bに当接するため、上述した各ピン列50の取り付け状態が解除されることはない。また、食器かご2を洗浄槽1から取り外すと、ピン列50を上記とは逆の手順でかご本体3から取り外すことができる。そのため、ピン列50の支持ピ51ンが折れ曲がる等してピン列50の交換が必要になったときに、ピン列50を新たなものと容易に交換できる。
【0019】
更に、本実施形態では、折り曲げ部52aが、各可倒式食器支持部5,5の各ピン列50を軸方向外方の軸支部31,31及び軸方向内方の軸支部32,32に対し抜け止めする部位として機能するだけでなく、かご本体3のストッパ部33,33に当接して支持ピン51を起立状態に維持する部位としても有効活用されることになり、合理的である。
【符号の説明】
【0020】
1…洗浄槽、1a,1b…壁部、2…食器かご、3…かご本体、31,31…X方向外方の軸支部、32,32…X方向内方の軸支部、33,33…ストッパ部、5,5…可倒式食器支持部、50…ピン列、51…支持ピン、52…連結線材、52a…折り曲げ部。
図1
図2
図3