(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本発明は、ペリクルを収納、保管、輸送する際に用いる梱包体に関するものであるが、先ず、収納すべきペリクルについて説明する。
半導体装置や液晶ディスプレイ等の回路パターン製造時のリソグラフィー工程において、フォトマスク或いはレティクルなどの露光用基盤への異物除けの目的で一般にペリクルと呼ばれる防塵フィルムを貼付する方法が用いられている。このペリクルは露光用基盤の形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体の上縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体或いはフッ素ポリマーなどの透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という)を展張して接着し、かつ該枠体の下縁面に粘着材を塗着すると共に、この粘着材上に所定の接着力で保護フィルムを粘着させたものである。
前記粘着材は、ペリクルを露光用基盤に固着するためのものであり、露光用基盤にペリクルを固着させた際に微細な空洞が生じることが無いようミクロンオーダーの平坦性などの精度が求められる。また、保護フィルムは該粘着材がその用に供するまで該粘着材の接着力を維持するために、該粘着材の接着面を保護するものである。
【0003】
このようなペリクルは、一般的には、ペリクルを製造するメーカーと最終的にペリクルをマスク等に貼付するマスク等のメーカーとが地理的に離れている場合が多く、ペリクルメーカーからマスク等のメーカーへの運搬作業が必須となっている。そのため、ペリクルの運搬作業では、ペリクル膜等に異物が付着するのを防ぎ、あるいはペリクルが損傷するのを防ぐために該ペリクルを1つずつ、トレイとフタからなる専用のペリクル用ケースに収納し、このペリクル用ケースを複数個重ねた後にエアークッションなどの緩衝材を入れた梱包箱に梱包するのが一般的である。(例えば、特許文献1参照)。
また、LSI用の小型ペリクルの場合は、ペリクル用収納ケースを複数個重ねた後にエアークッションなどの緩衝材を入れた梱包箱に梱包する梱包形態もある。(例えば、特許文献1参照)
大型ペリクル収納ケースの緩衝材として、ケースとの接触面積を規定して緩衝能力を高めた緩衝材も提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特に液晶パネル製造用のペリクルにおいて、露光面積の大型化に伴うペリクルの大型化により、大量の緩衝材を必要と用いて輸送や取り扱い時の振動や衝撃を緩和させなければならなくなってきている。そのため梱包形態も大型化し、高価なものとなっている。
また、収納ケースと緩衝材と梱包箱が直接接する部分を設けていたため、梱包箱の衝撃が緩衝材を介して収納ケースに伝わり、擦れが生じて、ペリクル膜に異物が付着したり、ペリクルのマスク粘着材の平坦性などの精度が低下する恐れがあった。
上記以外にも大型化になると廃棄量も多くなり環境的にも良くない方向になっている。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ペリクルの輸送時に、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制し得る梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特に大型ペリクルを収納・保管する収納ケースを梱包するための緩衝材を枠体と該枠体に接着された伸縮性を有する支持膜からなる構造で衝撃を緩和させることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
梱包箱と、該梱包箱の中に収納されるペリクル収納ケースを該梱包箱内において保護する緩衝材とを含み、
前記緩衝材は、ペリクル収納ケースの上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜と、
前記支持膜が貼張される平面視略多角形の枠体と、を有し、
前記支持膜は、前記枠体の少なくとも1辺上において、当該辺1辺上の少なくとも中央部を挟んだ位置において実質的に固定され貼張されていることを特徴とするペリクル収納ケースの梱包体。
[2]
前記枠体の辺の長さ方向の少なくとも端部で前記支持膜が実質的に固定されている[1]に記載の梱包体。
[3]
前記枠体は、部分枠体と他の部分枠体とが連結されてなる[1]又は[2]に記載の梱包体。
[4]
前記連結の位置が、前記枠体の辺の長さ方向における中央部に存在する[3]に記載の梱包体。
[5]
前記枠体の開口部面積が、ペリクル収納ケースの底面面積の1.1倍以上3.0倍以下である[1]から[4]のいずれかに記載の梱包体。
[6]
前記枠体平面視上の幅が、4mm以上である[1]から[5]のいずれかに記載の梱包体。
[7]
前記枠体の側面の高さが、前記ペリクル収納ケースの高さより大きい[1]から[6]のいずれかに記載の梱包体。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の梱包体を用いたペリクル収納ケースの梱包方法であって、一対の前記緩衝材を用いて前記ペリクル収納ケースを上面側及び底面側から支持することを特徴とする梱包方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ペリクルの輸送時に、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制し得る梱包体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「本実施形態」と略記する)について詳細に説明する。なお、本発明は、下記本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
図1は、梱包体の一の実施形態を示す概略斜視図である。本実施形態にかかる梱包体1は、梱包箱2と、該梱包箱2の中に収納されるペリクル収納ケース3を該梱包箱内において保護する緩衝材4とを含む。
梱包箱2は、平面視略矩形状の底面と、当該底面の周縁から上方に立設される側面と、当該側面上端縁を周縁として形成される略矩形状の開口部を有している。また、開口部を形成する一対の平行辺上には舌片状の蓋部21が形成され、当該蓋部が折りたたまれることにより前記開口部が閉塞し、ペリクル収納ケース3及び緩衝材4が梱包箱2内部に収納されるようになっている。
【0012】
梱包箱2の材質としては、ダンボールや強化段ボール、プラスチックダンボールなどが使用できる。梱包箱2の内寸は緩衝材4の枠体42が動かないように枠体42の外寸とほぼ同サイズであることが好ましく、梱包箱2の内寸高さはペリクル収納ケース3を緩衝材4で包装したときの高さに対して1〜0.9倍の高さであることが好ましく、こうすることで伸縮可能な支持膜41がしっかりと展張されてペリクル収納ケース3への衝撃を吸収することができる。梱包箱2の内寸が過度に大きい場合には、緩衝材4と梱包箱2との隙間にダンボールやエアキャップなどで作成したスペーサーを介在させても良い。角部においては支持膜41の張力等により梱包箱2が変形する可能性があり、このような変形を防止する目的で、緩衝材の下面側の支持膜2の上面か下面に板状物を配置してもよい。この板状物の素材としては、段ボール、強化段ボール、樹脂、発泡スチロール、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等何でもよく、支持膜41に固定されていても固定されていなくても良い。
【0013】
ペリクル収納ケース3は、ペリクル(図示しない)を載置するトレイと、当該トレイ上に被せるフタとを有している。トレイは、例えば厚みのある略方盤形状を有し、上面に水平上面としての載置面が形成されている。また、フタは、平面から見て方形状に形成され、フタがトレイに被せられたときに、トレイと周縁部で密着するように形成されている。なお、トレイやフタの材質は、特に限定するものではないが、エンジニアリングプラスチック、強化プラスチック、金属等が挙げられる。軽量化、成型性の観点から、プラスチック素材が選択される場合が多く、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等を用いることができる。更に上記樹脂以外に、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂等を用いることもできる。上記の樹脂には、静電気による異物付着を防止するために制電性を付与しても良い。また、繊維強化プラスチックも用いることが出来る。金属を選択する場合、軽量化の観点から、アルミニウムを用いてもよい。
また、ペリクル収納ケース3のトレイやフタの寸法は、収納されるペリクルの大きさに応じて設定される。大型ペリクル収納ケースの面積は、底面積が1000cm
2以上あり、3000cm
2以上、7000cm
2以上、更に大型になると15000cm
2以上にもなり、重量も補強材等を除いたケースと蓋とで1kg以上、4kg以上、更に大型になると10kgにもなる。
【0014】
本実施形態において、緩衝材4は、ペリクル収納ケース3の上面、及び底面を支持するよう一組として用いられ、梱包箱2内においてペリクル収納ケース3を宙吊りに固定するよう配置されている。なお、緩衝材4は必ずしも一対として用いる必要は無く、ペリクル収納ケース3の上面、又は底面を支持するよう一つだけ使用することも可能である。
なお、ペリクル収納ケース3の上面側を支持する緩衝材4の上面側に更に天板を配置し、蓋部21が折りたたまれてペリクル収納ケース3が梱包箱2内に収納された際に、蓋部21と緩衝材4とを隔離することも可能である。このような天板は、梱包箱2の変形を抑制することも可能である。また、補強を考えて、梱包箱2自体を2重にしてもよい。
天板の材質は特に限定するものではないが、ダンボールやプラスチック板などが使用でき、また、梱包箱2の内寸と一致する寸法であることが好ましい。
また、ペリクル収納ケース3をクリーン袋等で包装してもよいし、収納としては、一組でも2組、3組、4組等の複数個でも収納できる。
【0015】
図2は、緩衝材の一の実施形態を示す概略斜視図である。緩衝材4は、ペリクル収納ケース3の上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜41と、支持膜41が貼張される平面視矩形状の枠体42とを有する。そして、支持膜41は、枠体42の各辺上において、当該辺上の中央部43を挟んだ位置において実質的に固定され貼張されている。
【0016】
伸縮可能な支持膜2の素材は、特に限定するものではないが、柔軟で弾性がありかつケースが滑りにくい材質が好まれる。例えばポリウレタンやポリエチレン、ゴムなどの高分子フィルムやシート、あるいはネット状に織られた織物や積層フィルムやアロイ、コンポジットなどの高機能ポリマーフィルム等が使用できる。密着性、異物発生の観点からポリウレタンやポリエチレン、ゴム等フィルムやシート等が特に好ましい。
支持膜2は前記開口部に対し、全面に存在していてもよく、部分的に存在していもよい。部分的に存在する場合は、各辺の長さ方向の実質的に端部で支持膜2は固定されていることが好ましい。ペリクル収納ケース3が長方形状の場合は、少なくともケースの短辺側に支持膜が存在することが好ましく、正方形の場合は、どちらか一対の辺に支持膜が少なくとも存在することを意味する。もちろん、部分枠体を利用する場合はこの限りではない。
【0017】
枠体42の各辺の内寸は収納するペリクル収納ケースの辺長より大きいほうが好ましく、1.05〜3倍の範囲であることが好ましい。更に、該枠体42各辺の外寸は緩衝材4を収納する梱包箱2の内壁からペリクル収納ケース3までの距離が3cm以上離れるような長さに設計することが好ましく、より好ましくはペリクル収納ケース3と梱包箱2の内壁までの距離が3cm以上20cm以下になるように長さを設計することが好ましい。
【0018】
枠体42の開口部の形状としては特に限定されず、平面視形状として、正方形、長方形といった四角形や六角形、八角形等の略多角形状であることが好ましい。当該略多角形状の頂部は鈍角に形成されても良いし、
図2に示すように円弧状で形成されていても良い。また、平面視形状は円形状であっても良い。
なお、
図2に示すように、枠体42の高さHは、緩衝材4でペリクル収納ケース3を収納した際に、ペリクル収納ケース3が支持膜41を介して梱包箱2の底部または梱包箱2の天部に接触することなく、宙吊りになる高さであることが好ましい。従って、収納するペリクル収納ケース3の高さより高いほうが好ましく、より好ましくはケース厚みの1.1倍以上が好ましいが、輸送効率を考慮すると1.1倍〜10倍の範囲にあることが好ましい。
また、枠体42には、枠体42の高さ方向下部位置に、辺の長さ方向に沿って一定の領域面積を有する底面を有することが好ましい。
【0019】
枠体42の開口部面積としては、ペリクル収納ケース3の底面面積の1.1倍以上3.0倍以下であることが好ましい。より好ましくは1.15倍以上2.5倍以下、更に好ましくは1.2倍以上2.0倍以下である。1.1倍以上とすることは、ペリクル収納ケース3と枠体41との距離を適度に保ち、ペリクル収納ケース3を支持膜41に保持したときに、剛性の高い角部の影響でペリクル収納ケース3が水平に保持されずにペリクル収納ケース3の角部がゆがむ可能性を抑制することが可能となる。一方、3.0倍以下とすることは、枠体42と離れすぎず、ペリクル収納ケース3を支持膜41に保持したときに支持膜41が伸びすぎてケースが沈み込むようなことが抑制され、上面側の支持膜41との接触部位が減少し、上面方向からの抑制が減少することを抑制し得る。大型化になりすぎないことは、ハンドリング性の確保にも繋がる。
【0020】
なお、枠体42の材質としては、段ボール、強化段ボール、樹脂、アルミニウム合金等の金属等を用いることができ、剛性と軽量化を付与する目的で枠体内部がハニカム構造を有していても良い。緩衝材としての重量や廃棄物等の観点から、段ボール、強化段ボール等が好ましい。枠体の平面視上の幅は、4mm以上が好ましい。ケースは上下方向から緩衝材で支持した形状で、複数個重ねた状態で梱包箱に収納される場合もあるため、4mmより小さいと下段に入る緩衝材の枠体が上段の重量に耐えられなくなり、上段と下段のケース同士が接触する恐れもある。また、枠体上での固定幅も狭くなるので、幅はいくらでも大きくすることができるが、ハンドリングの観点から、700mm以下であれば十分に前記の機能を有する。複数個重ねることを考えることと、支持膜41を固定する部位が枠体の幅の場合は、15mm以上がより好ましい幅となる。
【0021】
枠体42の平面視形状としては矩形状に限定されず、種々の平面視略多角形状を採用することができる。ここでいう平面視略多角形状とは、三角形状、四角形状、八角形状等のであり、楕円状、円形状、円弧状等も含まれてもよい。
またこの形状は、枠体42が分割されて部分枠体421’、421’となり、支持膜41が部分枠体421’、421’に固定されていてもよい。
【0022】
図3は、緩衝材の他の実施形態を示す概略斜視図である。緩衝材4’は、コの字形状を有し、コの字形状の開口部が向かい合うように対向する一対の部分枠体421’、421’が連結部44を介して結合して形成され、全体として上記枠体42と同様の形状を有する枠体形状が形成されている。特にケースの底面積が5000cm2以上もあると、部分枠体421’、421’を使った方が、剛性の面や廃棄物等の面からよい場合もある。
なお、一の部分枠体と他の部分枠体とは、同じ大きさの枠体同士を接続してもよいし、一方の部分枠体を他の部分枠体よりも少し小さめにしてはめ込み型にしてもよい。接続等は、接着剤や粘着材、テープ、ピンなどを利用してもいし、はめ込み型の場合は接着剤等を利用しなくても良い。
【0023】
支持膜41は、枠体42の各辺上において、各辺上の少なくとも中央部43を挟んだ位置において実質的に固定され貼張されている。
ここで、少なくとも中央部というのは、1辺上の中央部付近は必ず支持膜41が固定されない部分があるが、中央部付近中央部以外にも支持膜2が固定されていない部分があっても良いことを意味する。また、実質的に固定というのは、中央部付近にも少し支持膜2が固定されている場合も含む。
図2を参照し、この中央部43の、中央部43を有する辺の長さ方向に沿った長さWbが、当該辺の長さWaに占める割合としては、好ましくは10%以上70%以下であり、より好ましくは15%以上60%以下、更に好ましくは20%以上50%以下である。そうすることで、大型で重量のあるケースに対して、適度な伸張性を発揮し、ケースとの密着性がよくなるため、緩衝材として特に横方向の移動を抑制することができ好適である。
【0024】
なお、
図2において、支持膜41は枠体42の上面において固定されているが、枠体42の側面に固定されていても良い。
また、固定方法としても特に限定されず、接着剤や粘着材を用いることができ、熱接着や、ネジやビス、クリップなどで物理的に固定しても良い。
【0025】
図3において、部分支持膜411’、411’は、部分枠体421’、421’にそれぞれ貼張されている。この場合、連結部44は、少なくとも辺の長さ方向における中央部に存在することが好ましい。こうすることで、連結部44が中央部43を兼ねることができる。
【0026】
本実施形態のペリクル収納ケースの梱包体は、上記のような構成を有するので、枠体の辺の長さ方向の中央部に一番応力が加わる場合であっても、この応力を緩和することができる。即ち、辺の全面で完全に支持膜を貼張すると、ケースの大きさと重量で剛性の弱い中央付近に強い応力が加わる傾向となるため、支持膜に沿って枠体自体が中央に変形したり、支持膜の張力の低下を招き緩衝材としての機能が減少する恐れがある。そのため、1辺上の少なくとも中央部を挟んだ位置に実質的に支持膜を固定貼張することにより、支持膜の伸縮だけで中央付近の重量をカバーでき、枠体の変形がおこり難くなる。
そして、梱包箱内におけるペリクル収納ケースの動きを効果的に抑制し得、その結果、ペリクル収納ケースと他の部位(例えば、梱包箱や緩衝材)との擦れが抑制されて、擦れに基づく塵埃等の異物の発生が抑制されるため、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
本実施形態のペリクル収納ケースの梱包体を用いれば、ペリクル輸送やそれに伴う取り扱いの際に生じる衝撃や振動からペリクルおよびペリクル収納ケースを保護し、それらの構成部材の擦れ等による発塵を防止すると共に、衝撃等による粘着剤の精度を高いレベルで維持することが可能となる。特に、大型のペリクルに置いては、緩衝材量を削減できる為に梱包箱全体を軽量化かつコンパクトにでき、廃棄物も削減できるため環境的にも良い方向になる。また、梱包箱と緩衝材が直接接触していないため、フォークリフトの爪などで梱包箱の底を突き上げた際や上方向から誤って他の物が落下してきた場合も、ペリクルケースに接触することがなくペリクルの損傷や発塵を防止することが可能となる。
【実施例】
【0027】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
【0028】
(1)衝撃値、異物状態
収納ケースにかかる衝撃を測定するため、中段の収納ケースにはペリクルを載置せず、ケースの中央に、粘着テープにてショックレコーダー(microtechno社製衝撃振動加速レコーダー 型式SR300)を取付けて(
図4(b)、(c))、落下試験を行った。
即ち、
図4(a)に示すように、梱包体の底面の1辺を15cmの高さの木箱に設置し、前記1辺の対となる1辺を高さ50cm持ち上げて斜めにし、底面全体が同時に着地するように落下させた。その上下方向の測定結果とペリクルへの異物付着状態を検査した。
また、ショックレコーダーを中段の収納ケースに取付けた梱包体を上記と同様に作成し、輸送試験を行った。宮崎から羽田を往復した。宮崎―福岡往復はトラックで、福岡―羽田往復は空輸で輸送した。その衝撃の上下方向の測定結果と異物付着状態を検査した。
【0029】
[実施例1]
図1に示すようにペリクル収納ケースを梱包体に収納した。ここで、
図3に示すような緩衝材を用いた。
より詳述すると、まず、底面が930mm×650mm、高さ40mm、重量が5kgの大きさのペリクル収納ケースを準備した。
一方、外寸が450mm×820mm×100mm、幅が40mmの部分枠体を2本用意すると共に、連結部材として長さ600mm×幅35mm×高さ95mmの直方体形状(棒状)の部材を2本準備した。
部分枠体を連結部材で連結し、一体化させて平面視四角形状の枠体を作成した。ポリウレタンフィルムの支持膜を部分枠体部分の各々の全面に貼張した。このため、連結部材位置には支持膜が無く、一体の枠体としては長辺側の中央部に支持膜の無い状態とした。
ペリクル収納ケースを緩衝材で上面側及び下面側から狭持した状態を一組として、梱包箱の中に3組収納し、最上段の上側に強化段ボール製の輸送用天板を配置しテープで封印して梱包体とした(
図4(c)参照)。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0030】
[実施例2]
図1に示すようにペリクル収納ケースを梱包体に収納した。ここで、
図2に示すような緩衝材を用いた。
より詳述すると、まず、底面が600mm×450mm、高さ40mm、重量が1.5kgの大きさのペリクル収納ケースを準備した。緩衝材の大きさは、外寸が720mm×650mm×65mm、幅が35mmの枠体を用い、幅に接着剤を塗布してポリウレタンフィルムの支持膜を全面に貼張したものを緩衝材として利用した。緩衝材を変更した以外は実施例1と同様の構造で梱包した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0031】
[比較例1]
上記の実施例1の緩衝材を変更した以外は実施例1と全く同様の構造の梱包体を作成した。すなわち、緩衝材を発泡性ポリウレタンからなる1000mm×700mm×100mmの直方体を
図4(b)のように梱包箱底面の上面に配置させ、その緩衝材の上面に発泡性ポリエチレンからなる1000mm×700mm×100mmの緩衝材にペリクル収納ケースを収納させ、
図4(b)のようにそれらを3段重ねた以外は、実施例1と同様に梱包した。結果を表1又は2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
表1、表2に示す結果から明らかなように、本実施形態の梱包体は優れた衝撃緩衝能力を有しており、輸送や強い衝撃に対して強いペリクル収納ケースの保護機能を示す。