(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のネジ部材は、前記螺合部が雌ネジであるのに対して雄ネジであるとともに、前記螺合部と逆方向の関係にあり、前記開口手段を動作させるための前記回転動作は、前記上蓋を開ける方向への回転であることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
前記第2のネジ部材は、前記螺合部が雌ネジであるのに対して雄ネジであるとともに、前記螺合部と順方向の関係にあり、前記開口手段を動作させるための前記回転動作は、前記上蓋を閉める方向への回転であることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る打栓式複合キャップを説明するための蓋付容器の部分断面図である。
【0046】
本実施形態に係るキャップ1は、樹脂成形されており、ボトルである容器本体50の口部50aに装着されており、蓋本体である中栓2と、上蓋であるオーバーキャップ3とを備える。キャップ1と容器本体50とは、液体を収納して保存するための蓋付容器100となっている。尚、簡単のため、キャップ1の右半分のみ図示しているが、中心軸AXを挟んだ左半分も右側と同様の構造を有している。
【0047】
中栓2は、樹脂製の一体成形品であり、開口予定部4と、嵌合部5と、注出筒部6とを備える。ここで、嵌合部5と注出筒部6とは、中栓2の本体部を構成する。中栓2は、打栓により容器本体50とともに内容物を気密又は液密に封入する密閉空間を形成する。中栓2のうち、開口予定部4は、底面を有する円筒状の外観を有する分離部でもあり、スコア7に沿って中栓2の開封即ち中栓2の最初の開栓の際に切り取られ、嵌合部5の内周側に形成された水平壁8から開口予定部4が切り離され水平壁8が残ることで開口部を形成する。また、開口予定部4の側面部4bの内側面には、オーバーキャップ3に螺合するための雌ネジ10aが形成されている(詳しくは後述する)。嵌合部5は、容器本体50の口部50aに中栓2を嵌合させることで打栓を行うための嵌合部材である。嵌合部5は、容器本体50の口部50aの周壁に密着して固定される外筒部5aと、口部50aの内壁に密着して固定される内筒部5bとを有して構成される。注出筒部6は、全体として円筒状であるが、上端部において上方に向けて口径が増大するリップ6aを有し、容器本体50内の液体を注ぎ出す際の液切れを良くする。
【0048】
オーバーキャップ3は、樹脂製の一体成形品であり、側面壁3aと、上端壁3bと、連結部3cと、シール部3dとを備える。側面壁3aと上端壁3bとは、ドーム状の外観を形成し、中栓2を埃、水気等の外部環境から保護している。連結部3cは、中栓2の開封後に中栓2から分離された開口予定部4を側面壁3a及び上端壁3bで構成されるドーム内に保持する保持手段としての役割を有する。シール部3dの内壁は、注出筒部6の上端部のリップ6aに密着する。これにより、注出筒部6の上端部が液密に保たれ、オーバーキャップ3を装着した状態で、容器本体50中の内容物が外部に漏れ出すことを防止でき、中栓2の開封後における開栓・閉栓の動作が可能となる。
【0049】
オーバーキャップ3において、側面壁3aの内側と、連結部3cの外側とには、雌ネジ11aと雄ネジ10bとがそれぞれ形成されている。側面壁3aに形成された雌ネジ11aは、容器本体50の口部50aが側面に備えている雄ネジ11bと対を成す螺合部である。雌ネジ11aと雄ネジ11bとの螺合により、オーバーキャップ3が容器本体50の口部50aに着脱可能に固定される。つまり、オーバーキャップ3の正逆の回転動作により、容器本体50に対する着脱が可能になる。一方、連結部3cに形成された雄ネジ10bは、開口予定部4に設けられた第1のネジ部材である雌ネジ10aと対を成す第2のネジ部材である。雄ネジ10bは、オーバーキャップ3の開方向即ち反時計回りの回転動作に伴って雌ネジ10aと螺合することになり、開口予定部4を引き抜くように引っ張って中栓2から切り取り、キャップ1の開口又は開封を行う開口手段である。以下、当該開口についてより詳しく説明する。
【0050】
本実施形態では、特に、一方の螺合部である一対のネジ10a、10bと、他方の螺合部である一対のネジ11a、11bとが互いに逆方向の関係になっている。つまり、例えば、雄ネジ11b側が右ネジである場合、これに対して雄ネジ10b側は左ネジとなる。これにより、オーバーキャップ3を開ける方向(反時計回り)に回すと、右ネジである一対のネジ11a、11bは、外れる方向に回転するが、左ネジである一対のネジ10a、10bは、逆に締まる方向に回転する。この関係により、雌ネジ10a即ち開口予定部4は、オーバーキャップ3の移動よりも大きな割合で
図1の紙面上方に移動する。つまり、オーバーキャップ3の開方向の回転動作により開口予定部4が、急速に上方に引っ張られる。開封された後の開口予定部4は、上蓋3に保持される。
【0051】
図2は、本実施形態に係るキャップ1の開口即ち開封がなされた状態を示す断面図である。上述のように、オーバーキャップ3の開方向の回転動作により、一対のネジ11a、11bは、互いに螺合による締結が緩む方向に回転し、一対のネジ10a、10bは、互いに螺合による締結が進む方向に回転即ち螺進する。これにより、オーバーキャップ3が徐々に上昇するとともに開口予定部4が急速に上方に引っ張られ、
図1のように薄肉部となっているスコア7に沿って開口予定部4が中栓2の注出筒部6から切り取られる(
図2参照)。切り取られた箇所に開口部OPが形成されることで中栓2が開封する。
【0052】
この場合、径の大きなオーバーキャップ3の回転動作を利用することにより、比較的小さな力でも大きなモーメントが得られ、一対のネジ10a、10bを用いて開口予定部4を引っ張って切り取るのに十分な力を得ることができる。
【0053】
図3aは、中栓2を上方から見た平面図である。ここで、輪郭OLは、
図1の薄肉部であるスコア7によって形成されている。つまり、
図1の開口予定部4、即ち
図2の開口部OPの形状は、輪郭OLに囲まれた領域に相当し、当該領域が本実施形態に係る中栓2の開口形状である。尚、
図3aでは、輪郭OLの形状を円形状としているが、輪郭OLの形状即ち開口形状はこれに限らず、輪郭OLの内側の領域に
図1等に示す一対のネジ10a、10bの構造を形成することができれば適宜変更可能である。例えば、
図3bのように輪郭OLの形状を楕円型にすることもできる。この際、図のように、輪郭OLの内部に
図3aと同様にネジ構造10a、10bを設ければよい。
【0054】
以上のように、本実施形態では、オーバーキャップ3の開方向の回転動作に伴って、開口手段として一対のネジ10a、10bの締結が進む方向に螺進させることで、開口予定部4を中栓2から切り取るので、比較的簡易な構造でありながら、上蓋たるオーバーキャップ3の回転動作に伴うキャップ1の開封即ち中栓2の開封が可能となり、一対のネジ10a、10bの螺合によって、分離された開口予定部40は上蓋3に保持される。
【0055】
また、この場合、プルリングによる開封の際に生じるおそれのあるウエルド部分でプルリングが切れて開口不能となるという事態が生じない。また、オーバーキャップ3の回転動作により中栓2の開封を行うので、比較的小さな力で簡易かつ確実に開封することができる。さらに、開口部OPの占める領域にネジ構造(具体的にはネジ10a、10b等)を形成することができればよいので、例えば、指が入る程度の大きさを確保する必要がなく、小口径の中栓にも適用可能であり、また、キャップ1のデザインの制限を回避できる。さらに、開口予定部4は、中栓2の開封後、オーバーキャップ3と一体となるので、開封後にごみを出さず、例えば食卓から片付ける必要がない。
【0056】
尚、本実施形態では、中栓2は、打栓式複合キャップであり、嵌合部5を用いて打栓により容器本体50とともに内容物を気密又は液密に封入するものとしているが、打栓に限らず、例えばスクリュー式や溶着によるシーリングによっても容器本体50の内容物たる液体の収納が可能である。
【0057】
図4は、本実施形態の変形例に係るキャップ101を説明するための断面図である。本変形例のキャップ101は、樹脂成形されており、
図1等に示すキャップ1の符号と同符号の部材については、その構造等が
図1のキャップ1と同様であり説明を省略する。
【0058】
本変形例において、オーバーキャップ103は、さらに開口手段として切断部材であるスリーブ9を有する。スリーブ9は、
図4のように、オーバーキャップ103の頂部を形成する上端壁3bの下面から垂下する環状の突起形状であり、その下端部9aの断面は、鋭角の刃先状部分を有しており、薄肉部となっているスコア7に当接又は近接している。
【0059】
図5は、本変形例に係るキャップ1による開口の状態を示す断面図である。本変形例の場合、開封において、スリーブ9は、オーバーキャップ103の開方向即ち反時計回りの回転動作とともに上方に移動するが、その移動は、開口予定部4の変位よりも小さい。この結果、スリーブ9は、スコア7の外側部分である水平壁8を開口予定部4から下側に離間させるように作用する。従って、本変形例の場合、本実施形態で説明した一対のネジ10a、10bの作用に加え、さらに、雌ネジ10aの上昇に伴うスリーブ9の作用によっても薄肉部であるスコア7に力が加わる。これにより、開口予定部4の切り取りをより確実に行うことができる。尚、本変形例において、スリーブ9は環状の突起形状であり、さらに、その下端部9aの断面は鋭角の刃先状部分を有すものとしているが、スリーブ9の形状はこれに限らず、例えば、環状又は筒状の突起部についてその下端部9aが周期的に間欠して当接又は近接するものであってもよい。また、下端部9aの断面は、例えば鋸状であってもよい。
【0060】
なお、上記実施形態において、中栓2の開封前に、開口予定部4の側面部4bに設けたネジ10aと、オーバーキャップ3の連結部3cに設けたネジ10bとを予め螺合させておくことも可能であるが、中栓2の開封に際してオーバーキャップ3の回転によって両ネジ10a,10bの螺合を開始させることもできる。
【0061】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のキャップは、ねじ込むことで開封するタイプのものである。即ち、第1実施形態では、
図1等に示すように、オーバーキャップ3の開方向の回転動作に伴って、一対のネジ10a、10bを、互いに螺合による締結が進む方向に螺進させ、開口予定部4を上方に引っ張ることで中栓2の開封がなされるが、第2実施形態では、逆に、オーバーキャップの閉方向の回転動作に伴って、中栓2の開封を行う場合について説明する。
【0062】
図6は、本実施形態に係るキャップによる開口の状態を示す断面図である。尚、樹脂成形される本実施形態のキャップ201において、第1実施形態及びその変形例についての説明に用いた
図1或いは
図4等における符号と同符号の部材については、その構造等が同様であるので説明を省略する。以下、本実施形態の特徴として、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0063】
本実施形態では、開口手段又は分離手段として用いる一対のネジ210a、210bと、他方の一対のネジ211a、211bとが互いに順方向の関係になっている。つまり、例えば、雄ネジ211b側が右ネジである場合、雄ネジ210b側も右ネジである。従って、オーバーキャップ203の閉方向の回転動作(時計回りの回転動作)により、一対のネジ210a、210b及び一対のネジ211a、211bは、いずれも螺合による締結が進む方向に回転即ち螺進する。
【0064】
一対のネジ210a、210bと一対のネジ211a、211bとが本実施形態の関係となる場合、雌ネジ210a即ち開口予定部204は、オーバーキャップ203の移動に応じて上方又は下方に移動する。つまり、オーバーキャップ203の閉方向の回転動作により開口予定部204が、上方に引っ張られるか、或いは、下方に押されるかすることになる。この際、さらに、スリーブ9がオーバーキャップ203の移動に伴って下方に押し下がることによって薄肉部を切断する作用が加わる。これらにより、開口予定部204が中栓202から切り取られる(
図6参照)。切り取られた箇所に開口部OPが形成されることで中栓202が開封される。尚、
図6は、開口予定部204が下方に押される場合を示しているが、開口予定部204の移動が上方となるか下方となるかは、一対のネジ210a、210bの螺合部分のピッチと、一対のネジ211a、211bの螺合部分のピッチとの大小関係により定まる。尚、雌ネジ210a即ち開口予定部204は、オーバーキャップ203の移動の際に上方にも下方にも移動しないものであってもよい。この場合、上記各螺合部分のピッチは互いに等しいものとなり、スリーブ9がオーバーキャップ203の移動に伴って下方に押し下がることによって薄肉部が切断される。
【0065】
尚、本実施形態では、上述したように、スリーブ9による作用によっても中栓2の開封を行っているが、一対のネジ210a、210b上方又は下方への移動による作用のみによって中栓2の開封を行ってもよい。また、例えば開口予定部204全体を消毒・殺菌可能であり、衛生上の問題等がなければ、一対のネジ210a、210bを設けず、スリーブ9のみによって開口予定部204を押し切り、開口予定部204を容器本体50内に落とし込むことで中栓202の開封を行ってもよい。
【0066】
図7は、本実施形態の変形例として、さらにストッパを設けた樹脂成形されるキャップ301について説明するための断面図である。
【0067】
本変形例では、
図7に示すように、オーバーキャップ303が、さらにストッパSPを備える。ストッパSPは、オーバーキャップ303の下端部に設けられる環状のバンドである。オーバーキャップ303とストッパSPとの間はスプリットSTが設けられており、つまみKNを引っ張ることで簡単に切り離し可能である。また、ここで、ストッパSPは、容器本体50に近接して配置されている。これにより、ストッパSPを外さなければ、オーバーキャップ303をこれ以上容器本体50側にねじ込む即ち時計回りに回転させることができないので、取り扱い業者等が誤って使用時でないときにオーバーキャップ303を回し、中栓202を開封してしまうことを防止することができる。尚、ストッパSPとして、オーバーキャップの開方向の回転動作を止める機構を有するものを設ければ、第1実施形態にも適用可能である。
【0068】
図8は、本実施形態の別の変形例として、再キャップ時の封止を補強するためのシールを設けたキャップ301について説明するための断面図である。
【0069】
本変形例では、図示のように、オーバーキャップ303のスリーブ9の下端部9a外周に環状の低い突起であるシールSLを設けている。この本変形例の場合、ストッパSPの取り外しによってオーバーキャップ303を初めて開封した後、再度オーバーキャップ303を器本体50側にねじ込むとき、シールSLが水平壁8の切断された先端部に強く密着してシール性を高めることができ、再キャップの感覚が分かり易くなる。尚、
図8に示すようなシールSLは、
図4及び
図5に示すオーバーキャップ103、203のスリーブ9にも設けることができる。
【0070】
図9は、
図8の変形例として、別タイプのシールを設けたキャップ301について説明するための断面図である。
【0071】
本変形例では、図示のように、オーバーキャップ303のスリーブ9の下端部9a外周に環状の比較的高い突起であるシールSLを設けている。この本変形例の場合、ストッパSPの取り外しによってオーバーキャップ303を初めて開封した後、再度オーバーキャップ303を器本体50側にねじ込むとき、シールSLが水平壁8を乗り越えて水平壁8の下側すなわち容器本体50の内部空間側に達する。この際、つまり再キャップ時にシールSLの半径方向外周が注出筒部6の内壁面に密着する。これにより、スリーブ9と注出筒部6との間に確実な液密状態を確保することができる。つまり、最初の開封後に繰り返される再使用に際して液漏れを確実に防ぐことができる。尚、
図9に示すようなシールSLは、
図4及び
図5に示すオーバーキャップ103、203のスリーブ9にも設けることができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
図10〜
図13は、第3実施形態のキャップの構造と動作を示す断面図である。この実施形態の樹脂成形されるキャップ401において、中栓402は、本体部420として、嵌合部405と本体側筒状部406とを有している。このうち、本体側筒状部406は、上記実施形態の注出筒部6と同様の役割を有している。この本体部420は、本体側筒状部406の下方に延設された嵌合部405の内筒部と、この内筒部の外側に延在する外筒部とによって容器本体450の口部450aを挟持するようにして嵌着されている。また、中栓402の分離部404は、本体側筒状部406に対して当該本体側筒状部406の肉厚だけ内径側にオフセットさせた分離部側筒状部404bを備えており、この分離部側筒状部404bには、その上部開口を閉塞する天井壁404cが張設されている。さらに、分離部側筒状部404bの上端には、半径方向外方へ延びるフランジ404dが形成されている。そして、本体側筒状部406の上端と、分離部側筒状部404bの下端とが、肉薄のスコア407によって連設されている。
【0073】
一方、上蓋としてのオーバーキャップ403は、上端壁403bの下面に下方に延びる環状の突出部409を備えており、この突出部の下端に、フランジ404dに係合する爪409aが形成されている。また、このオーバーキャップ403は、側面壁403aに形成された雌ネジ11aと、容器本体450の口部450aが側面に形成された雄ネジ11bとを螺合部として有している。さらに、オーバーキャップ403は、側面壁403aの下端に、バージンリングBRを備えている。バージンリングBRは、環状のバンドであり、適宜な箇所に切込みが形成されている。そして、オーバーキャップ403は、
図10に示すように、容器本体450の口部450aに螺合され、バージンリングBRの下端が容器本体450の口部450aの周面に形成された膨出部451に近接して位置される。
【0074】
このように構成されたキャップ401では、後に詳述するように、中栓405の分離部402を押下可能なオーバーキャップ403の上端壁403bによって、分離部404を本体側筒状部406から切り離すことができる。また、オーバーキャップ403に形成された突出部409と、分離部402に形成したフランジ404dとによって、分離部404をオーバーキャップ403側に保持することができ、オーバーキャップ403を回転させながら行う開封に伴って、分離部404を中栓405から分離して開口部を形成することができる。つまり、突出部409、フランジ404d、上端壁403b等は、分離部404に係合する保持手段として機能する。特に、上端壁403bについては、本体部420から分離部404を分離するための分離手段としても機能している。
【0075】
中栓402の分離部404を本体部420から切り離すには、先ず、オーバーキャップ403を締め込む方向即ち時計回りに回転させる。すると、
図11に示すように、バージンリングBRが容器本体450の膨出部451によって拡げられ、そして側面壁403aから離脱される。また、突出部409が中栓402のフランジ404dに嵌合し、爪409aがフランジ404の周縁下面に係合する。つまり、分離部404がオーバーキャップ403側に保持される。
【0076】
さらに、オーバーキャップ403を締め込むと、中栓402の分離部404がオーバーキャップ403の上端壁403bによって下方に押し込まれる。すると、スコア407が切断され、
図12に示すように、分離部404が本体部420の筒状部406に挿嵌される。つまり、分離部404が本体部420から切り離される。
【0077】
この状態で、オーバーキャップ403を緩める方向に回転させると、
図13に示すように、オーバーキャップ403に伴って中栓402の分離部404が本体部420の筒状部406から離脱される。これによって、中栓402は開封される。
【0078】
なお、上記第3の実施形態では、分離部側筒状部404bを本体部側筒状部406よりも、本体部側筒状部406の肉厚分だけ内側にオフセットさせた場合の中栓402を示しているが、分離部側筒状部404bを本体部側筒状部406よりも、本体部側筒状部406の肉厚分だけ外側にオフセットさせたものであってもよい。
【0079】
また、上記第3の実施形態の中栓402は、本体側筒状部406と分離部側筒状部404bとをスコア407によって連結することによって両筒状部間の水密を図っているが、分離部側筒状部40を本体側筒状部406に嵌合させることによって、必要な水密状態が得られるならば、スコア407は必ずしも必要ない。
【0080】
また、上記第3の実施形態では、中栓402のフランジ404dを半径方向外方に向けて形成しているが、
図14に示す変形例のように、フランジ404dを半径方向内方に向けて形成してもよい。
【0081】
また、上記第3の実施形態において、分離部側筒状部404bの外周面と本体側筒状部406の内周面との少なくとも一方に、環状の低い突起であるシールを設けることができる。このようなシールを設けることで、分離部側筒状部404bと本体側筒状部406との間に確実な液密状態を確保することができる。つまり、最初の開封後に繰り返される再使用に際して液漏れを確実に防ぐことができる。
【0082】
〔第4実施形態〕
図15a〜
図15cは、第4実施形態のキャップの構造と動作を示す断面図である。本実施形態に係るキャップのオーバーキャップは、いわゆるヒンジキャップ式のものとなっている。
図15a
等に示すこの実施形態の樹脂成形されるキャップ501において、主たる構成をなすオーバーキャップ503及び中栓502のうち、中栓502については、上記実施形態(例えば第1実施形態)に示した中栓2等と同等である。つまり、例えば、中栓502は、本体
部として、嵌合部505と本体側筒状部506とを有し、また、中栓502の開封時に切り離される分離部504を有しているが、このうち、例えば、本体側筒状部506は、上記実施形態の注出筒部6と同様の構造及び役割を有している。従って詳しい説明については省略する。
【0083】
一方、本実施形態に係るオーバーキャップ503は、樹脂製の一体成形品であり、容器本体550の口部550aや中栓502に係合する取付部507と、取付部507に連結される開閉蓋508とを有する。ここで、開閉蓋508は、ヒンジ部HGを介して取付部507に連結されている。これにより、開閉蓋508は、後述する中栓502の開封動作を行った後のキャップ501の使用において、開口部を覆う閉状態と開口部を開放する開状態とに保持可能になる。
【0084】
取付部507は、側面
壁の内側に雌ネジ11aを有する。また、開閉蓋508は、上端壁503bと連結部503cとシール部503dとを有し、連結部503cの外側に雄ネジ10bを有する。前者の雌ネジ11aは、容器本体550の口部550aが側面に備えている雄ネジ11bと対を成す螺合部である。一方、後者の雄ネジ10bは、分離部504に設けられた雌ネジ10aと対を成し、雌ネジ10aと螺合することによって、分離部504を中栓502から切り取り、キャップ501の開口又は開封を行う開口手段である。ここでは、雌ネジ10aと
雄ねじ10bは、ねじ込まれることがなく、回転可能な状態で嵌め合わさっているだけのものであってもよい。尚、雄ネジ10bは、分離部504と係合する保持手段としても機能している。また、開閉蓋508は、ドーム状の外観を形成し、中栓502を埃、水気等の外部環境から保護している。
【0085】
以下、本実施形態での中栓502の開封の動作について説明する。
図15bは、開封を行った状態のキャップ501を示すものである。本実施形態では、第1実施形態等の場合と同様に、螺合部である一対の雄ネジ11bと雌ネジ11aについてねじ込みを行うことにより、分離部である分離部504が中栓502から分離されて開口部OPが形成される。つまり、
図15aに示す状態から、オーバーキャップ503を締め込む方向即ち時計回りの方向に捻ることにより、分離部504に設けられた雌ネジ10aと開閉蓋508に設けられた雄ネジ10bとがネジ嵌合即ち螺合する。これにより、分離部504が紙面上方に引き抜くように引っ張られて開口部OPが形成される。尚、この際、
図15aに示したバージンリングBRが容器本体550の膨出部によって拡げられ、そして側面壁から離脱される。以上のようにして、中栓502の開封動作がなされた後は、開閉蓋508により、
図15bに示すようにキャップ501の開口部OPを覆う閉状態と、
図15cに示すように開口部OPを開放する開状態とをとることによって開閉可能になっている。この際、中栓502の開封動作時に切り離された分離部504は、雌ネジ10aと雄ネジ10bとが螺合しているため、開閉蓋508に保持された状態となっている。また、分離部504は、開閉蓋508に保持されており、中栓502の開封後に開口部OPを塞ぐことができる内側シール栓として機能する。
【0086】
〔第5実施形態〕
図16a〜
図16dは、第5実施形態のキャップの構造と動作を示す断面図である。
図16aに示すように、この実施形態の樹脂成形されるキャップ601において、中栓602は、本体部620として、嵌合部605と本体側筒状部606とを有している。ここで、中栓602については、第3実施形態に示した
図10等に示す中栓402と同等の構成であるので詳しい説明を省略する。
【0087】
一方、本実施形態に係るオーバーキャップ603は、第4実施形態の場合と同様、ヒンジキャップ式のものであり、第4実施形態のオーバーキャップ503と同様に、容器本体650の口部650aや中栓602に係合する取付部607と、ヒンジ部HGを介して取付部607に連結される開閉蓋608とを有する。また、第3実施形態のオーバーキャップ403と同様に、オーバーキャップ603の一部である開閉蓋608は、突出部609を備えており、この突出部の下端に、分離部604のフランジ604dに係合する爪609aが形成されている。オーバーキャップ603の一部である取付部607についても、第3実施形態のオーバーキャップ403と同様の構成を有するが、さらに、本実施形態では、取付部607は、下端部内壁の拡径部の少なくとも一箇所に突起部TPを有する。これに対して、容器本体650は、口部650aの雌ネジ11aの下方に、円周上断続的に段部BPを有している。段部BPの上に突起部TPが乗った状態となることで、口部650aの雌ネジ11aと取付部607の雄ネジ11bとが深くねじ込まれないようになっている。
【0088】
以下、本実施形態での中栓602の開封の動作について説明する。
図16bは、中栓602の開封を行うためにオーバーキャップ603を捻る(例えば半回転させる)ことにより、突起部TPと、円周上断続的に設けられた段部BPとが重ならないように位置合せを行った状態を示すものである。この場合、オーバーキャップ603の取付部607の内壁に設けられた段差状の当接部WAが段部BPの上に乗る位置までオーバーキャップ603全体を押し込むことが可能となる。つまり、オーバーキャップ603の回転動作により分離部604を中栓602から分離して開口部OP(
図16d参照)を形成することが可能となる。以上のように、突起部TPと段部BPとは、オーバーキャップ603の回転動作により位置合せを行い、押し込みを行うことにより開口部OPを形成するための押込手段として機能する。また、突起部TPと段部BPとは、中栓の不用意な開封を防止できるとともに回転動作と押込動作とにより比較的簡易かつ確実に開口部OPの形成を行うことを可能にしている。
【0089】
図16cは、オーバーキャップ603が押し込まれた状態を示す図である。この押込動作により中栓602の分離部604が本体部620から切り離される。より詳しく説明すると、押込動作により突出部609が中栓602のフランジ604dに嵌合し、爪609aがフランジ604の周縁下面に係合し、さらに、オーバーキャップ603の上端壁603bによって下方に押し込まれる。以上により、中栓602の分離部604が本体部620から切り離される。また、この際、取付部607が、容器本体650に係合した状態となる。
【0090】
以上のようにして、中栓602の開封動作がなされた後は、開閉蓋608により、
図16cに示すようにキャップ601の開口部OPを覆う閉状態と、
図16dに示すように開口部OPを開放する開状態とをとることによって開閉可能になっている。この際、中栓602の開封動作時に切り離された分離部604は、開閉蓋608の突出部609に嵌合しているため、開閉蓋608に保持された状態となっている。従って、分離部604は、中栓602の開封後に開口部OPを塞ぐことができる内側シール栓として機能する。
【0091】
〔第6実施形態〕
図17は、第6実施形態のキャップの構造を示す断面図である。本実施形態に係るキャップ701は、中栓702と、上蓋であるオーバーキャップ703とを備える。特に、本実施形態では、キャップ701は樹脂成形されており、中栓702とオーバーキャップ703とが、一物品として一体成形されたものとなっている。
【0092】
中栓702は、分離部704と、本体部720と、本体側筒状部706とを備えている。また、本体部720は、嵌合部705と本体側筒状部706とを有している。中栓702は、容器本体750とともに内容物を気密又は液密に封入する密閉空間を形成する。
【0093】
本体側筒状部706は、全体として円筒状であるが、上端部において外径が増大する形状を有し、容器本体750内の液体を注ぎ出す際の液切れを良くする。
【0094】
また、分離部704は、本体側筒状部706に対して当該本体側筒状部706の肉厚だけ内径側にオフセットさせた分離部側筒状部704bを備えており、この分離部側筒状部704bには、その上部開口を閉塞する天井壁704cが張設されている。さらに、分離部側筒状部704bの上端には、半径方向外方へ延びるフランジ704dが形成されている。そして、本体側筒状部706の上端と、分離部側筒状部704bの下端とが、肉薄のスコアSC1によって連設されている。この分離部704は、スコアSC1に沿って中栓702の開封の際に切り取られ、本体部720が口部750a側に残ることで開口部が形成される。
【0095】
また、嵌合部705は、容器本体750の口部750aに中栓702を嵌合・固定するための嵌合部材である。嵌合部705による嵌合の構造について、より具体的には、この本体部720は、本体側筒状部706の下方に延設された嵌合部705の内筒部と、この内筒部の外側に延在する外筒部とによって容器本体750の口部750aを挟持するようにして嵌着されている。
【0096】
次に、中栓702のうち、上蓋であるオーバーキャップ703は、ヒンジキャップ式のものであり、中栓702に係合する取付部707と、ヒンジ部HGを介して取付部707に連結される開閉蓋708とを有する。
【0097】
ここで、開閉蓋708は、ヒンジ部HGを介して取付部707に連結されていることにより、後述する中栓702の開封動作を行った後のキャップ701の使用に際して、つまり、最初の開封後の再使用の開閉に際して、開口部を覆う閉状態と開口部を開放する開状態とに保持可能にする。
【0098】
取付部707は、側面壁703aの内側に雌ネジ11aを有する。雌ネジ11aは、容器本体750の口部750aが側面に備えている雄ネジ11bと対を成す螺合部である。尚、開閉蓋708は、ドーム状の外観を形成し、中栓502を埃、水気等の外部環境から保護している。
【0099】
また、オーバーキャップ703の一部である開閉蓋708は、突出部709を備えており、この突出部の下端に、分離部704のフランジ704dに係合する爪709aが形成されている。また、オーバーキャップ703の一部である取付部707は、側面壁703aの下端に、バージンリングBRを備えている。バージンリングBRは、環状のバンドであり、適宜な箇所に切込みが形成されている。そして、オーバーキャップ703は、
図17に示すように、容器本体750の口部750aに螺合され、バージンリングBRの下端が容器本体750の口部750aの周面に形成された膨出部751に近接して位置される。
【0100】
さらに、本実施形態では、オーバーキャップ703の取付部707の内周面から側方に延びた突起部707aと、中栓702の嵌合部705の上端部外周とが、肉薄のスコアSC2によって連設されている。これにより、中栓702とオーバーキャップ703とは、一物品として一体成形されたものとなっている。尚、後述するように、取付部707は、雌ネジ11aの雄ネジ11bに対する回転動作に伴って、肉薄のスコアSC2に沿って中栓702から切り離される。
【0101】
このように構成されたキャップ701では、後に詳述するように、中栓702の分離部704を押下可能なオーバーキャップ703の上端壁703bによって、分離部704を本体側筒状部706から切り離すことができる。また、オーバーキャップ703に形成された突出部709と、分離部702に形成したフランジ704dとによって、分離部704をオーバーキャップ703側に保持することができ、オーバーキャップ703を回転させながら行う中栓702の開封に伴って、分離部704を中栓705から分離して開口部を形成することができる。つまり、突出部709、フランジ704d、上端壁703b等は、分離部704に係合する保持手段として機能する。特に、上端壁703bについては、本体部720から分離部704を分離するための分離手段としても機能している。
【0102】
図18a、
図18bは中栓702の開封動作について示す図である。以下、
図18a、
図18bを用いて中栓702の開封動作を説明する。
【0103】
中栓702の分離部704を本体部720から切り離すには、先ず、オーバーキャップ703を締め込む方向即ち時計回りに回転させる。すると、
図18aに示すように、バージンリングBRが容器本体750の膨出部751によって拡げられて側面壁703aから離脱される。また、突出部709が中栓702のフランジ704dに嵌合し、爪709aがフランジ704の周縁下面に係合する。つまり、分離部704がオーバーキャップ703側に保持される。
【0104】
さらに、オーバーキャップ703を締め込むと、中栓702の分離部704がオーバーキャップ703の上端壁703bによって下方に押し込まれる。すると、スコアSC1が切断され、分離部704が本体部720の筒状部706に挿嵌される。つまり、分離部704が本体部720から切り離される。
【0105】
また、オーバーキャップ703を締め込む方向に回転させることに伴って、スコアSC2が切断され、オーバーキャップ703の取付部707が中栓702から切り離される。この際、取付部707は、雌ネジ11aと雄ネジ11bとが螺合することにより容器本体750に係合する。
【0106】
以上のようにして、中栓702の開封動作がなされた後は、開閉蓋708により、
図18aに示すようにキャップ701の開口部OPを覆う閉状態と、
図18bに示すように開口部OPを開放する開状態とをとることによって開閉可能となっている。この際、中栓702の開封動作時に切り離された分離部704は、開閉蓋708の突出部709に嵌合しているため、開閉蓋708に保持された状態となっている。従って、分離部504は、中栓702の開封後に開口部OPを塞ぐことができる内側シール栓として機能する。
【0107】
なお、上記第6の実施形態では、分離部側筒状部404bを本体部側筒状部406よりも、本体部側筒状部706の肉厚分だけ内側にオフセットさせた場合の中栓702を示しているが、分離部側筒状部704bを本体部側筒状部706よりも、本体部側筒状部706の肉厚分だけ外側にオフセットさせたものであってもよい。
【0108】
また、上記第6の実施形態の中栓702は、本体側筒状部706と分離部側筒状部704bとをスコアSC1によって連結することによって両筒状部間の水密即ち液密を図っているが、分離部側筒状部704bを本体側筒状部706に嵌合させることによって、必要な水密状態即ち液密状態が得られるならば、スコア707は必ずしも必要ない。
【0109】
また、上記第3の実施形態において、分離部側筒状部704bの外周面と本体側筒状部706の内周面との少なくとも一方に、環状の低い突起であるシールを設けることができる。このようなシールを設けることで、分離部側筒状部704bと本体側筒状部706との間に確実な液密状態を確保することができる。つまり、最初の開封後に繰り返される再使用に際して液漏れを確実に防ぐことができる。
【0110】
尚、上述した各ヒンジ式のキャップについては、中栓の開封動作を防ぐために、例えば
図19a、
図19bに示すような開閉蓋708等の開蓋動作を抑止するための係止手段として帯状のカバー部材CPを用いてもよい。つまり、この場合、カバー部材CPを
図19bの矢印方向に引き剥がさないと開閉蓋708を開封することができないようになっており、これにより、開封前に誤動作や悪戯等により開蓋動作ができなくなるので、キャップによる封止の信頼性を高めることができる。
【0111】
〔第7実施形態〕
図20a〜
図20hは、第7実施形態のキャップの構造と動作を示す図である。
図20a〜
図20cは、オーバーキャップの天面を示す平面図である。また、
図20d〜
図20gは、キャップの開封動作について説明するための部分断面図である。また、
図20hは、オーバーキャップの下端に設けられたバージンリングについて説明するための平面図である。本実施形態のキャップ801は、樹脂成形されており、例えば
図20dに示すように、中栓802、オーバーキャップ803等を備えるが、バージンリングBR及び容器本体850の構造を除いて、第3実施形態におけるキャップ401の構造と同様であるので詳しい説明を省略する。なお、例えば
図20aに示すように、オーバーキャップ803の天面には、使用者に開栓方法を示すための回転方向を示す矢印と番号が表示されている。なお、この表示については、第3実施形態においても、同様にオーバーキャップ403の天面になされていてもよい。
【0112】
ここで、本実施形態の容器本体850には、
図20dに示すように、膨出部851の外側面に沿って、複数の突起状のラチェットRTが環状に等間隔で設けられている。一方、これに対して、キャップ801のバージンリングBRは、ラチェットRTの間隔に対応して、
図20hに示すように内面側に沿って環状に等間隔で爪NLが形成されている。ここで、ラチェットRTと爪NLとは、ラチェット構造を形成するものとなっている。つまり、キャップ801は、バージンリングBRの爪NLによって、ラチェットRTと噛み合った状態で容器本体850に係止されており、当該ラチェット構造により、キャップ801は、中栓802の開封時において、回転の方向を一方向に制限している。従って、この場合、ラチェットRTと爪NLとは、回転動作における回転方向を限定する回転抑止機構として機能するものとなる。
【0113】
以下、
図20e、
図20fを用いて本実施形態におけるキャップ801の開封の動作について説明する。まず、
図20eにおいて、中栓802の分離部804を本体部820から切り離すには、オーバーキャップ803を締め込む方向即ち時計回りに回転させる。ここで、上述のように、ラチェットRTと爪NLとによるラチェット構造のため、オーバーキャップ803の回転は、時計回りの方向にのみ可能となっている。なお、この際、例えば容器本体850の側面に貼付されるラベル等には最初の開封については番号1が表記された矢印の方向に回す旨の説明があり(不図示)、使用者は、この記載を参照することで、
図20bに示すように、オーバーキャップ803に番号表示された矢印方向のうち時計回りを示す矢印FDの方向が最初の開封のための回転方向であることを認識できる。
【0114】
以上のようにして、オーバーキャップ803を締め込むと、
図20eに示すように、バージンリングBRは、下方に移動し容器本体850の膨出部851を乗り越えながら拡げられる。また、この際、突出部809がフランジ804dに嵌合することにより、分離部804が、オーバーキャップ803側に保持される。
【0115】
さらに、オーバーキャップ803を締め込むと、
図20fに示すように、バージンリングBRが完全に膨出部851を乗り越えて、オーバーキャップ803から千切れて離脱する。また、この際、中栓802の分離部804は、下方に押し込まれ、分離部804が本体部820から切り離される。
【0116】
このように、バージンリングBRがオーバーキャップ803から離脱すると、オーバーキャップ803は、ラチェットRTによって回転方向が制限されることがなくなり、開封時とは逆方向への回転が可能となる。ここで、先ほどと同様に、使用者が不図示の説明に従って、今度は
図20cに示す矢印SDの方向に回転させることにより、
図20gに示すように、オーバーキャップ803に伴って中栓802の分離部804が本体部820から離脱される。以上のような矢印FD、SDに対応する2段階の動作によって、中栓802は開封される。なお、これにより、
図20gに示すように、開口部OPが形成される。また、開封後、再びオーバーキャップ803を締めなおした際には、
図20fに示すような状態に戻り、開口部OPは、分離部804により塞がれる。
【0117】
以上のように、容器本体850のラチェットRTと、オーバーキャップ803の爪NLとにより開封のための最初の回転動作における回転の方向を一方向にのみ可能とし、反対方向へは回転不能とすることで、開封時の誤動作を防止することができる。さらに、オーバーキャップ803の天面に回転方向を示す表示を行うことで使用者の混乱を低減することができる。なお、第5実施形態等において示したヒンジ式のキャップについても同様に上述したラチェット構造を用いることが可能である。
【0118】
図21a〜
図21eは、上述した本実施形態に係るキャップ801を用いた蓋付容器についての一例を示す図であり、
図21aは、キャップ801の中栓802を示す部分断面図であり、
図21bは、キャップ801の容器本体850を示す図であり、
図21c〜
図21eは、キャップ801を用いた蓋付容器1000を示す図である。
図21aに示す分離部804を備える中栓802は、
図21bに示す容器本体850とともに、容器本体850に収納された内容物たる液体を封入する密閉空間を形成する。密閉空間が形成された容器本体850に
図21eに示すようにオーバーキャップ803が取り付けられる。この際、オーバーキャップ803は、バージンリングBRがラチェットRTによって係止されるが、締め込まれる手前の位置で止まっている。以上のような状態で、開封前の蓋付容器1000が構成される。ここで、
図21cは、上述したキャップ801の最初の開封を行った後の状態での蓋付容器1000を示す図である。つまり、
図21eと
図21cとは、キャップ801の最初の開封前後の状態を示したものであり、
図21dは、これらを比較したものである。なお、
図21c〜
図21eから分かるように、最初の開封後においては、最初の開封のためにオーバーキャップ803が時計回りのねじ込みにより締め込まれた封止位置までオーバーキャップ803を締め込むことで、キャップ801の分離部804が、中栓802の開封後に開口部を塞ぐことができる内側シール栓として機能する。
【0119】
図22a〜
図22cは、本実施形態の変形例について説明するための図である。本変形例の場合、
図22bに示すように雌ネジ911a及び雄ネジ911bによって構成される螺合部が、通常とは反対の左ネジとなっている。つまり、この場合、開口部の形成のための回転動作の方向が反時計回り方向となっている。従って、
図22cに示すようにバージンリングBRに設けられる爪NLの向きも上述の場合とは逆方向になっており(
図20h参照)、これにより、樹脂成形されるオーバーキャップ903は、開封の時の最初の動作を行う時には反時計回りの方向にのみ回転可能となっている。つまり、この場合、通常のキャップではキャップを開ける動作となる反時計回りの回転により、オーバーキャップ903が締め込まれることになる。また、このため、
図22aに示す矢印FD、SDの回転方向についても手順を示す番号1と2の表示が
図20aに示す場合とは入れ違いになっている。この場合、開封の回転方向が、上述した開封での回転方向とは逆方向となる。これにより、結果的に開封のための最初の回転動作の方向を、反時計回りの方向にすることができ、誤動作を防止することができる。なお、第5実施形態等において示したヒンジ式のキャップについても同様に螺合部の締め込みの回転方向を反時計回り方向にすることが可能である。