【実施例】
【0032】
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【0033】
実施例1
表1に記載の配合比に従って、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンエラストマー(株);クレイトンD−KX401CS(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合する。該混合物に、ロチゴチンのトルエン溶液にピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。該溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるように剥離フィルム(シリコーン処理を施したPETフィルム、藤森工業)に展延する。展延後、溶媒を留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせ、所望の大きさに裁断して、実施例1の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0034】
実施例2
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにメルカプトベンズイミダゾールのメタノール溶液を用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で実施例2の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0035】
比較例1
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を配合しないことを除き、実施例1と同様の製造方法で比較例1の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0036】
比較例2
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルのメタノール溶液を用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で比較例2の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0037】
比較例3
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにトコフェロールのトルエン溶液を用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で比較例3の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0038】
比較例4
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにジブチルヒドロキシトルエンのトルエン溶液を用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で比較例4の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0039】
比較例5
表1に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにイルガノックス1010(商品名)のトルエン溶液を用いたことを除き、実施例1と同様の製造方法で比較例5の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0040】
比較例6
表1に記載の配合比に従って、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンエラストマー(株);クレイトンD−KX401CS(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合した後、ロチゴチンのトルエン溶液にピロ亜硫酸ナトリウム水溶液、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルのメタノ−ル溶液およびトコフェロ−ルのトルエン溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。次にこの溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが100μmになるように剥離フィルムに展延し、溶媒留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせた。
【0041】
【表1】
【0042】
試験例1
実施例1〜2および比較例1〜6の各試験物質について、分解生成物Aおよびその他のロチゴチン分解生成物の生成量を測定した。なお、分解生成物Aは、以下の分析条件にて測定した場合に、リテンションタイムが約18分に検出される分解生成物を示す。
5 cm
2に裁断した各試験物質を1枚ずつアルミ包材にて包装し、室温で2ヶ月間保存した。
保存後、各試験物質の剥離シートを剥がし、50
mLの遠心沈殿管に取り、テトラヒドロフラン5 mLを加え、20分間振とうし、膏体を完全に溶解させた。この液にメタノール/リン酸(200:1,v/v)5 mLを加え、20分間振とうし、完全に粘着基剤成分を凝集、沈殿させた。この上澄液を、高速液体クロマトグラフィーで定量した。
高速液体クロマトグラフィーの操作は、カラムがXBridgeTM C18(5μm,3.0mm×10cm;日本ウォーターズ株式会社製)、検出波長が270 nm、移動相が水/トリフルオロ酢酸(5000:1,v/v)(移動相A)および液体クロマトグラフィー用メタノール(移動相B)、移動相の送液は移動相Aおよび移動相Bを任意の条件で混合させ濃度勾配制御させて行った。
該方法により、各試験物質の分解生成物Aの生成量および分解生成物の総量を測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
比較例1〜6では、分解生成物Aが1.19〜1.47%生成した。一方、実施例1では、分解生成物Aおよびその他の分解生成物はほとんど生成せず、また、実施例2では、0.39%の分解生成物Aが生成した。本結果から、生成抑制剤としてピロ亜硫酸ナトリウムおよびメルカプトベンズイミダゾールを配合した本発明の貼付剤では、分解生成物Aの生成量が顕著に減少することが明らかとなった。
【0045】
実施例3
表3に記載の配合比に従って、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔クレイトンエラストマー(株);クレイトンD−KX401CS(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合する。該混合物に、ロチゴチンのトルエン溶液にピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。次にこの溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが50μmになるように剥離フィルムに展延する。展延後、溶媒を留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせ、所望の大きさに裁断して、実施例3の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0046】
実施例4
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例4の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0047】
実施例5
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例5の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0048】
実施例6
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例6の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0049】
実施例7
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液の代わりにメルカプトベンズイミダゾールのメタノール溶液を用いたことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例7の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0050】
実施例8
表3に記載の配合比に従って、メルカプトベンズイミダゾールの配合量を変更したことを除き、実施例7と同様の製造方法で実施例8の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0051】
実施例9
表3に記載の配合比に従って、メルカプトベンズイミダゾールの配合量を変更したことを除き、実施例7と同様の製造方法で実施例9の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0052】
実施例10
表3に記載の配合比に従って、メルカプトベンズイミダゾールの配合量を変更したことを除き、実施例7と同様の製造方法で実施例10の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0053】
実施例11
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの代わりに亜硫酸水素ナトリウムを用いたことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例11の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0054】
比較例7
表3に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を除き、実施例3と同様の製造方法で比較例7の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0055】
【表3】
【0056】
試験例2
実施例3〜13および比較例7の各試験物質について、40℃で30日間又は60日間保存し、試験例1と同様の測定法で、分解生成物Aの生成量および分解生成物の総生成量を測定した。その結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
生成抑制剤を配合しない比較例7の分解生成物Aの生成量は、1.42%〜2.96%であった。一方、生成抑制剤としてピロ亜硫酸ナトリウムを0.01〜0.15%配合した実施例3〜6の分解生成物Aの生成量は、0.00%〜0.69%であった。また、同じくメルカプトベンズイミダゾールを0.01〜0.6%配合した実施例7〜10の分解生成物Aの生成量は、0.00〜0.57%であった。さらに、同じく亜硫酸水素ナトリウムを配合した実施例11の分解生成物Aの生成量は0.00%であった。本結果から、生成抑制剤としてピロ亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩あるいはメルカプトベンズイミダゾールを0.01%以上配合した本発明の貼付剤では、分解生成物Aの生成量が顕著に減少することが明らかとなった。
【0059】
試験例3
実施例3、6、7、11および比較例1〜6にて得られた各試験物質について、ロチゴチンの結晶生成の状態を評価した。なお、評価方法は以下の通りである。
まず、幅10 cmの間隔で裁断した各試験物質をペットニウム包材にて包装し、室温で1ヶ月間又は4ヶ月間保存し、保存後のロチゴチンの結晶生成状態を目視と顕微鏡にて観察した。観察したときに、ロチゴチンの結晶生成が無い場合を○、ロチゴチンの結晶生成が有る場合を×として評価した。その結果を表5にまとめた。
【0060】
【表5】
【0061】
比較例1〜6では、保存4ヶ月後において、ロチゴチンの結晶生成が観察された。一方、生成抑制剤としてピロ亜硫酸ナトリウム、メルカプトベンズイミダゾールまたは亜硫酸水素ナトリウムを配合した実施例3、6、7、11では、ロチゴチンの結晶生成は観察されなかった。本結果から、ピロ亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩およびメルカプトベンズイミダゾールを配合した本発明の貼付剤では、貼付剤保存中におけるロチゴチンの結晶生成がほとんどなく、ロチゴチンを溶解状態で膏体層中に含有することが示唆された。
【0062】
実施例12
表6に記載の配合比に従って、亜硫酸水素ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例11と同様の製造方法で実施例12の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0063】
実施例13
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例3と同様の製造方法で実施例13の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0064】
実施例14
表6に記載の配合比に従って、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体〔シェル化学(株);カリフレックスTR−1107(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合する。該混合物に、ロチゴチンのトルエン溶液に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。該溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが50μmになるように剥離フィルム(シリコーン処理を施したPETフィルム、藤森工業)に展延する。展延後、溶媒を留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせ、所望の大きさに裁断して、実施例14の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0065】
実施例15
表6に記載の配合比に従って、亜硫酸水素ナトリウムの代わりにピロ亜硫酸ナトリウムを用いたことを除き、実施例14と同様の製造方法で実施例15の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0066】
実施例16
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例15と同様の製造方法で実施例16の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0067】
実施例17
表6に記載の配合比に従って、亜硫酸水素ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例14と同様の製造方法で実施例17の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0068】
実施例18
表6に記載の配合比に従って、ポリイソブチレン〔新日本石油化学(株);テトラックス3T(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合する。該混合物に、ロチゴチンのトルエン溶液にピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。該溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが50μmになるように剥離フィルム(シリコーン処理を施したPETフィルム、藤森工業)に展延する。展延後、溶媒を留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせ、所望の大きさに裁断して、実施例18の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0069】
実施例19
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例18と同様の製造方法で実施例19の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0070】
実施例20
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの代わりに亜硫酸水素ナトリウムを用いたことを除き、実施例18と同様の製造方法で実施例20の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0071】
実施例21
表6に記載の配合比に従って、イソプロピレンゴム〔日本ゼオン(株);nipol
IR2200(商品名)〕、水素添加ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株);エステルガムKE-311(商品名)〕および流動パラフィン〔ハイコールM352(商品名)〕をトルエン中で攪拌混合する。該混合物に、ロチゴチンのトルエン溶液にピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を混合したロチゴチン溶液を加え攪拌混合し、均一な溶解物を得た。該溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、溶媒留去後の厚さが50μmになるように剥離フィルム(シリコーン処理を施したPETフィルム、藤森工業)に展延する。展延後、溶媒を留去して薬物含有層を形成した後、支持体を貼り合わせ、所望の大きさに裁断して、実施例21の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0072】
実施例22
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例21と同様の製造方法で実施例22の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0073】
実施例23
表6に記載の配合比に従って、ピロ亜硫酸ナトリウムの配合量を変更したことを除き、実施例21と同様の製造方法で実施例23の経皮吸収型貼付剤を得た。
【0074】
【表6】