(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のフラットケーブルの巻取装置の一形態を示すものである。この従来のフラットケーブルの巻取装置101は、フラットケーブル2の一端側を巻き取るとともに他端側を導出させる装置であり、車体フロアに配置され、フラットケーブル2の他端側がスライドシートに取り付けられた電子機器に接続され、該電子機器に電力を供給するために用いられるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のフラットケーブルの巻取装置101は、フラットケーブル2を複数枚重ねて収容するケース130と、該ケース130内に固定されるとともにフラットケーブル2の一端側が固定される中心軸131と、該中心軸131を中心として回動自在に設けられる回転テーブル104と、該回転テーブル104をフラットケーブル2の巻取方向Rに付勢するコイルばね(図示しない)と、中心軸131の周方向に沿って設けられる複数のローラ106と、を備えている。また、これら複数のローラ106のうち1つは、他のローラ106より大径な反転ローラ106Aとされ、該反転ローラ106Aは、ケース130の外側から巻き取られたフラットケーブル2を中心軸131に向かって反転させる。複数枚のフラットケーブル2は、厚み方向に重ねられて用いられている。
【0004】
上述した従来のフラットケーブルの巻取装置101は、複数枚のフラットケーブル2を重ねた状態で他端側を巻取反対方向に反転させ、反転ローラ106Aに沿って屈曲させ、フラットケーブル2を複数のローラ106に沿って巻き付け、ケース130の外側に導出し、フラットケーブル2の巻き取りや引き出しを行っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のフラットケーブルの巻取装置101においては、フラットケーブルは複数のローラ106に沿って巻かれていたので、複数のローラ106間に位置する、例えば3枚の重ねられたフラットケーブル102
1、102
2、102
3は、
図6(B)に示すように、内側のフラットケーブル102
1が直線的に巻かれ、外側のフラットケーブル102
3が弛んで巻かれることがあり、回転テーブル104の周方向における内側のフラットケーブル102
1と外側のフラットケーブル102
3との長さに差を生じ、この内外周差で内側のフラットケーブル102
1における巻かれた部分の他端側が弛み易くなる。内側のフラットケーブル102
1の他端側に弛みを生じた場合には、この弛み部分102Aがケース130の外側に設けられた配策部材などに引っ掛かり、フラットケーブル102の巻き取りや引き出しがスムーズに行われず、このため、弛み部分102Aが損傷してしまう虞れがあるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、複数枚のフラットケーブルを重ねて用いた際においても、フラットケーブルの内外周差に起因する弛みによる損傷を防止し、フラットケーブルの巻き取りや引き出しがスムーズに行うことができるフラットケーブルの巻取装置、及びフラットケーブルの配策構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、フラットケーブルの一端側を巻き取るとともに他端側を導出させるフラットケーブルの巻取装置であって、前記フラットケーブルを複数枚重ねて収容するケースと、該ケース内に固定されるとともに前記フラットケーブルの一端側を固定する中心軸と、該中心軸を中心として回動自在に設けられる回転テーブルと、該回転テーブルを前記フラットケーブルの巻取方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記回転テーブルには、前記ケースの外側から巻き取られた前記フラットケーブルを前記中心軸に向かって反転させる反転ローラと、前記回転テーブルの周方向に沿って前記反転ローラと並ぶ少なくとも1つのブロック体と、が設けられ、
前記ブロック体は、前記回転テーブルの周方向に沿って前記反転ローラと並ぶ複数箇所に設けられ、各ブロック体は、前記回転テーブルの径方向にスライド自在に設けられ、前記ブロック体は、前記中心軸を中心とする円弧に沿うとともに、前記フラットケーブルが巻かれる巻き付け面を有することを特徴とするフラットケーブルの巻取装置である。
【0009】
上記構成によれば、複数枚重ねられたフラットケーブルが中心軸から反転ローラによって屈曲され、フラットケーブルの導出時には、回転テーブルがフラットケーブルを引き出す方向(巻取反対方向)に回転し、フラットケーブルがブロック体の巻き付け面に沿って巻きを解かれケースの外側に導かれ、フラットケーブルの巻き取り時には、回転テーブルが付勢部材の付勢力でフラットケーブルの巻取方向に回転し、フラットケーブルが巻き付け面に沿って引き戻されつつ巻き取られる。フラットケーブルが巻かれる巻き付け面は、中心軸を中心とする円弧に沿っているので、この巻き付け面の曲率は、従来のローラの曲率よりも小さいから、フラットケーブルが巻き付け面に接触する部分を従来のローラよりも大きくすることができる、これにより、複数のローラ間に位置するとともに内側のフラットケーブルが直線的に巻かれる部分が小さくなり、回転テーブルの周方向における内側のフラットケーブルと外側にフラットケーブルとの内外周差を小さくできる。
【0011】
上記構成によれば、ブロック体は、回転テーブルの径方向に沿ってスライド自在に設けられているので、フラットケーブルをフラットケーブルの巻取装置に配策する際には、ブロック体を回転テーブルの径方向外側にスライドさせ、中心軸からブロック体を離間させ、中心軸周りにスペースを設けることにより、フラットケーブルを中心軸に固定し易くできる。こうして、フラットケーブルを配策し易くできる。
【0012】
請求項
2に記載の本発明は、
フラットケーブルの一端側を巻き取るとともに他端側を導出させるフラットケーブルの巻取装置であって、前記フラットケーブルを複数枚重ねて収容するケースと、該ケース内に固定されるとともに前記フラットケーブルの一端側を固定する中心軸と、該中心軸を中心として回動自在に設けられる回転テーブルと、該回転テーブルを前記フラットケーブルの巻取方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記回転テーブルには、前記ケースの外側から巻き取られた前記フラットケーブルを前記中心軸に向かって反転させる反転ローラと、前記回転テーブルの周方向に沿って前記反転ローラと並ぶ少なくとも1つのブロック体と、が設けられ、前記反転ローラは孔部を有する円筒形に形成されたローラ本体と、この孔部内に挿入される軸部と、を有し、該軸部は、前記回転テーブルの径方向に沿ってスライド自在に設けられ、前記ブロック体は、前記中心軸を中心とする円弧に沿うとともに、前記フラットケーブルが巻かれる巻き付け面を有することを特徴とするフラットケーブルの巻取装置である。
【0013】
上記構成によれば、ローラ本体が装着される軸部は、回転テーブルの径方向に沿ってスライド自在に設けられているので、フラットケーブルをフラットケーブルの巻取装置に配策する際には、ローラ本体及び軸部を回転テーブルの径方向外側にスライドさせ、中心軸からローラ本体及び軸部を離間し、中心軸周りにスペースを設けることにより、フラットケーブルを中心軸に固定し易くできる。こうして、より一層、フラットケーブルを配策し易くできる。
【0014】
請求項
3に記載の本発明は、レールと、該レールにスライド自在に取り付けられる可動体と、前記レールと前記可動体とのうちいずれか一方に設けられる請求項1
又は請求項
2に記載のフラットケーブル巻取装置と、を備えたことを特徴とするフラットケーブルの配策構造である。
【0015】
上記構成によれば、請求項1と同様に、フラットケーブルが巻かれる巻き付け面は、中心軸を中心とする円弧に沿っているので、回転テーブルの周方向における内側のフラットケーブルと外側にフラットケーブルとの内外周差を小さくできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フラットケーブルが、ブロック体の中心軸を中心とする円弧に沿う巻き付け面に巻かれるので、回転テーブルの周方向における内側のフラットケーブルと外側にフラットケーブルとの長さの差を小さくでき、複数枚のフラットケーブルを重ねて用いた際においても、フラットケーブルの内外周差に起因する弛みによる損傷を防止し、フラットケーブルの巻き取りや引き出しがスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
フラットケーブルの配策構造10は、
図1に示すように、車体フロア13に配置されたレール12にスライドシート11をスライド自在に取り付け、車体フロア13からスライドシート11にフラットケーブル2を配策するための構造である。このフラットケーブルの配策構造10は、車体フロア13に配置されるレール12と、該レール12にスライド自在に設けられるスライドシート11と、レール12に設けられるフラットケーブルの巻取装置1と、を備えている。スライドシート11は、特許請求の範囲に記載された「可動体」に相当する。本発明は、スライドシート11ではなく、可動体として「スライドドア」に用いられても良い。また、フラットケーブルの巻取装置1は、レール12に設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、可動体側に設けられていても良い。
【0019】
フラットケーブル2は、互いに平行な複数の芯線(図示しない)と、各芯線を被覆する絶縁性の被覆部(図示しない)と、互いに隣り合う被覆部を連結する絶縁性の連結部(図示しない)と、を備えている。上記芯線は複数の導線が撚られて構成されている。上記被覆部と上記連結部とは、合成樹脂から構成され互いに一体に成形されている。各フラットケーブル2は、上述した芯線と被覆部と連結部とを備えて帯板状に形成されている。上記フラットケーブル2は3枚重ねられた状態で、両端に一対のコネクタ9が取り付けられる。また、本実施形態では、互いに平行な複数の芯線を有するフラットケーブル2が用いられているが、本発明はこれに限ったものではなく、フラットケーブルは、断面が矩形状に形成された1つの芯線から構成されても良い。
【0020】
一対のコネクタ9のうち、一方のコネクタ9Aは電源側の回路に接続され、他方のコネクタ9Bは負荷(スライドシート11)側の回路に接続される。この一方のコネクタ9Aは、ケース部3の周壁35(後述する)の外側に設けられている。
【0021】
フラットケーブルの巻取装置1は、フラットケーブル2の一端側を巻き取るとともに他端側を導出させる装置である。このフラットケーブルの巻取装置1は、
図2に示すように、フラットケーブル2を複数枚(図示例では3枚)重ねて収容するケース部3と、該ケース部3内に回動自在に設けられる円板状の回転テーブル4と、該回転テーブル4をフラットケーブル2の巻取方向R(
図5に示す)に付勢する付勢手段としてのコイルばね5と、回転テーブル4に、該回転テーブル4の径方向にスライド自在に設けられる複数(図示例では5つ)の反転ローラ6及びブロック体7と、を備えている。また、本実施形態では、3枚のフラットケーブル2が用いられているが、本発明はこれに限ったものではなく、フラットケーブル2は2以上であればよい。
【0022】
ケース部3は、
図2に示すように、フラットケーブル2を3枚重ねて収容するロアケース30と、該ロアケース30内に設けられ、回転テーブル4を回動自在に軸支する中心軸31と、ロアケース30の上面を覆う第1カバー32及び第2カバー33と、を備えている。ケース部3を構成するケースとしてのロアケース30、中心軸31、及びカバー32、33は、合成樹脂から構成されている。
【0023】
ロアケース30は、車体フロア13に設置される基壁34と、基壁34から円筒状に立設された周壁35と、ロアケース30内に収容されたフラットケーブル2の他端側を外部に導出するためのケーブル導出部36と、を備えている。ここで、
図1、2中の矢印Yは、周壁35の立設方向、即ち鉛直方向を示している。本明細書では、この矢印Yを高さ方向と記し、
図1中における紙面方向の上方側を「上」と記し、紙面方向の下方側を「下」と記すことがある。
【0024】
基壁34には、中心軸31に形成されたスリット31aと連通する貫通孔(図示しない)と、第1カバー32をロアケース30及び車体フロア13に取り付けるための2つのボルト挿通孔34aと、が設けられている。この貫通孔は、スリット31a内に挿入された3枚のフラットケーブル2の一端側を基壁34の外面に導出する。2つのボルト挿通孔34aは、周壁35の外側に設けられている。
【0025】
ケーブル導出部36は、周壁35の外面に方体状に設けられ、その上面に、フラットケーブル2を収容するための3つの溝部36aが形成されている。各溝部36aは、周壁35の上端を切り欠いて該周壁35の内部と外部とを連通しているとともに、レール12の長手方向に沿って直線状に設けられている。
【0026】
中心軸31は、基壁34の中央に円柱状に立設され、回転テーブル4の孔部4a(後述する)内に挿通され、回転テーブル4を回動自在に支持している。中心軸31の高さは、周壁35と同じ高さに形成されている。この中心軸31には、互いに重ねられた3枚のフラットケーブル2が挿入固定されるとともに、コイルばね5の一端部が固定されるスリット31aが設けられている。このスリット31aは、中心軸31の高さ方向Yの上端から下端まで設けられているとともに、中心軸31の径方向の両端を切り欠いている。この中心軸31には、3枚のフラットケーブル2の一端側が、中心軸31の外周に沿ってL字状に曲げられた状態で固定される。中心軸31は、基壁34と一体に設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、中心軸31は、基壁34と別体であっても良い。
【0027】
第1カバー32は、周壁35の上面を覆う蓋部37と、該蓋部37の縁から立設され、周壁35の外面に重ねられる重なり部38と、該重なり部38の外側方向に連なる鍔部39と、を備えている。蓋部37には、中心軸31が設けられた位置に貫通孔37aが形成されている。この鍔部39には、前述したロアケース30のボルト挿通孔34aの縁に重ねられる連通孔39aが設けられている。この第1カバー32は、蓋部37が周壁35の上面を覆い、鍔部39が基壁34に重ねられ、互いに重ねられた孔34a、39aにボルト(図示しない)とナット(図示しない)が挿通してロアケース30及び車体フロア13に取り付けられる。
【0028】
第2カバー33には、第1カバー32の貫通孔37aからロアケース30内に液体や砂などの異物が侵入するのを防止する覆い部33Aが設けられている。この第2カバー33は、周壁35の外面に取り付けられ、覆い部33Aが第1カバー32の貫通孔37aを覆っている。
【0029】
回転テーブル4には、前述した中心軸31を挿通させる孔部4aと、反転ローラ6及び5つのブロック体7を回転テーブル4の径方向にスライドさせる6つのレール部41と、が設けられている。6つのレール部41は、同一形状に形成されているとともに、中心軸31を中心とした放射状に設けられ、各レール部41は、回転テーブル4の径方向に沿って形成されている。
【0030】
各レール部41は、
図2に示すように、回転テーブル4の上面から凹に形成され、中心軸31側から径方向外側に向かって延在した長穴42と、該長穴42における回転テーブル4の径方向外側の端部に設けられた円形部43と、を有している。この長穴42には、反転ローラ6及びブロック体7を回転テーブル4に取り付けるための一対の係止部44(
図4(B)に示す)が設けられている。一対の係止部44は、長穴42の幅方向の上端部から互いに近付く方向に延びているとともに、長穴42の長手方向の全長に形成されている。この長穴42は、一対の係止部44よりも下方側の空間の幅寸法が、円形部43における直径寸法と等しく形成されている。
【0031】
コイルばね5は、弾性を有する線状の金属をスパイラル状に巻いて形成されている。このコイルばね5は、一端部が中心軸31のスリット31a内に挿通固定され、他端部が回転テーブル4の下面に固定されることにより、回転テーブル4をフラットケーブル2の巻取方向Rに付勢する。
【0032】
反転ローラ6は、中央に軸部62が挿通される孔部6aを有する円筒状に形成されたローラ本体61と、この孔部6a内に挿入される軸部62と、を備えている。このローラ本体61の外径寸法は、ブロック体7における回転テーブル4の径方向の寸法と等しく形成されている。この反転ローラ6及びブロック体7が中心軸31側にスライドされると、
図5に示すように、これら反転ローラ6及びブロック体7は、回転テーブル4の周方向に沿って並ぶ位置に設けられる。
【0033】
軸部62は、円柱状の本体部63と、該本体部63から外側方向に延在し、本体部63よりも大径な大径部64と、を備えている。この大径部64は、本体部63の長手方向(高さ方向Y)の端部に設けられ、その径方向の寸法は前述した円形部43の直径寸法と等しく形成されている。また、大径部64の高さ方向Yの寸法は、長穴42の下側空間における高さ方向Yの寸法よりも小さく形成されている。
【0034】
5つのブロック体7は、
図3に示すように、同一形状に形成され、各ブロック体7は、内周面7aと、これと同心な外周面であってフラットケーブル2が巻かれる巻き付け面7bとを有し、平面視が扇形に形成されている。この巻き付け面7bは、中心軸31を中心とする円弧に沿う曲面をなしており、これら5つのブロック体7は、
図2に示すように、巻き付け面7bが中心軸31を中心とする円弧に沿うように、中心軸31周りに並べられる。各ブロック体7には、レール部41に案内される案内部71が設けられている。
【0035】
案内部71は、ブロック体7における下面の中央部に設けられ、回転テーブル4の径方向に沿って延在し、レール部41にスライド案内される。この案内部71は、ブロック体7の下面から突出し、一対の係止部44間に挿通される挿通部72と、一対の係止部44に係止される被係止部73と、を備えている。この挿通部72は、係止部44の端面に沿った所定の長さ寸法を有し、ブロック体7の回転を規制する。被係止部73は、その幅寸法が一対の係止部44間の寸法よりも大きく、レール部41の下方側の空間の幅寸法よりも小さい寸法に形成されている。
【0036】
次に、フラットケーブルの巻取装置1における回転テーブル4に反転ローラ6及びブロック体7を組み付ける方法について説明する。反転ローラ6の軸部62を大径部64側から回転テーブル4のレール部41に近付け、大径部64を円形部43の下面に重ね、大径部64を中心軸31側にスライドさせることにより、一対の係止部44が、軸部62の本体部63と大径部64との間に進入し、大径部64を係止し、軸部62を回転テーブル4に該回転テーブル4の径方向にスライド自在に取り付ける。こうして、反転ローラ6を回転テーブル4に組み付ける。そして、ローラ本体61を、その孔部6a内に軸部62を挿通することにより、軸部62に回動自在に装着する。ブロック体7を、下面側から回転テーブル4のレール部41に近付け、内周面7aが内側になるように円形部43の下面に重ね、被係止部73を中心軸31側にスライドさせることにより、一対の係止部44が、ブロック体7の下面と被係止部73との間に進入し、被係止部73を係止し、ブロック体7を、回転テーブル4に該回転テーブル4の径方向にスライド自在に取り付ける。こうして、ブロック体7を回転テーブル4に組み付ける。
【0037】
続いて、フラットケーブルの巻取装置1におけるフラットケーブル2の配策方法について説明する。
図4(A)に示すように、反転ローラ6及び5つのブロック体7を回転テーブル4の中心軸31から離れた側にスライドする。こうして、反転ローラ6及び5つのブロック体7を中心軸31から離間させ、中心軸31周りにスペースを設ける。この状態で、互いに重ねられた3枚のフラットケーブル2の一端側を中心軸31のスリット31aに挿通し、ロアケース30の基壁34に設けられた貫通孔内に挿通させて、ロアケース30の外部に導出する。そして、フラットケーブル2の一端部に、電源側の回路に接続されたコネクタ9Aを取り付ける。このように、中心軸31周りにスペースが設けられることにより、フラットケーブル2を中心軸31に固定し易くできる。なお、
図4(A)、及び
図5(A)において、ケース部3の周壁35とフラットケーブル導出部36とが省略されている。
【0038】
回転テーブル4を回転させ、
図4(A)に示すように、反転ローラ6を中心軸31の紙面方向の左側に位置付け、フラットケーブル2の他端側を中心軸31に巻取方向Rに巻き付け、そして、反転ローラ6のみを中心軸31側までスライドする。こうして、反転ローラ6とブロック体7との間にフラットケーブル2を挿通するためのスペースを設ける。この状態で、フラットケーブル2を反転ローラ6に沿って折り返し、反転ローラ6の巻取反対方向側のブロック体7に順次掛け渡し、フラットケーブル導出部36から導出する。この際、フラットケーブル2が弛まない様にその他端側が引っ張られるので、フラットケーブル2がブロック体7の巻き付け面7bに巻き付けられ、ブロック体7は中心軸31側にスライドされる。こうして、フラットケーブル2を配索する。
【0039】
次に、本発明の作用について説明する。3枚重ねられたフラットケーブル2が中心軸31から反転ローラ6によって屈曲され、フラットケーブル2の導出時には、回転テーブル4がフラットケーブル2を引き出す方向(巻取反対方向)に回転し、フラットケーブル2がブロック体7の巻き付け面7bに沿って巻きを解かれケースとしてのロアケース31の外側に導かれ、フラットケーブル2の巻き取り時には、回転テーブル4が付勢部材としてのコイルばね5の付勢力でフラットケーブル2の巻取方向Rに回転し、フラットケーブル2が巻き付け面7bに沿って引き戻されつつ巻き取られる。フラットケーブル2が巻かれる巻き付け面7bは、
図5(B)に示すように、中心軸31を中心とする円弧に沿っているので、回転テーブル4の周方向における内側のフラットケーブル2と外側にフラットケーブル2との内外周差を小さくでき、
図5(A)に示すように、フラットケーブル2の他端側において生じる弛み部分2Aを小さくする(弛み部分2Aをなくす)ことができる。
【0040】
上述した実施形態によれば、フラットケーブル2が、ブロック体7の中心軸31を中心とする円弧に沿う巻き付け面7bに巻かれるので、回転テーブル4の周方向における内側のフラットケーブル2と外側にフラットケーブル2との長さの差を小さくでき、複数枚のフラットケーブル2を重ねて用いた際においても、フラットケーブル2の内外周差に起因する弛みによる損傷を防止し、フラットケーブル2の巻き取りや引き出しがスムーズに行うことができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、5つのブロック体7が別体に設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、例えば、5つのうちの任意の数のブロック体7を一体としてもよく、これを2以上としても良い。
【0042】
また、上述した実施形態では、ブロック体7は、巻き付け面7bが、中心軸31を中心とした円弧に沿う曲面をなしているが、本発明はこれに限ったものではなく、巻き付け面7bが、中心軸31を中心とした円弧に沿う複数の直線部を有し、多角形状に形成されていても良い。
【0043】
また、上述した実施形態では、反転ローラ6及び5つのブロック体7の全てが、回転テーブル4の径方向に沿ってスライド自在に設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、反転ローラ6及び5つのブロック体7のうち少なくとも1つが、回転テーブル4の径方向に沿ってスライド自在に設けられていても良く、反転ローラ6及び5つのブロック体7の全てが、スライド移動不能に回転テーブル4に固定されていても良い。
【0044】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。