(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
終端部に孔版原紙よりも光の透過率が小さいエンドマークが設けられた長尺状の孔版原紙が搬送される搬送経路における所定位置において、前記搬送経路の一方側に配置された発光部と、
前記搬送経路を挟んで前記発光部に対向して配置され、前記発光部による光を受光し、受光量が閾値以下である場合に検出信号を出力する受光部と、
前記発光部の発光量を制御するとともに、前記受光部の検出信号に基づき、前記所定位置における前記孔版原紙の有無および前記エンドマークの有無を判断する制御部とを備え、
前記制御部は、前記所定位置における前記孔版原紙の有無を判断する際に前記発光部の発光量を第1発光量に設定し、前記所定位置における前記エンドマークの有無を判断する際に前記発光部の発光量を前記第1発光量より大きい第2発光量に設定することを特徴とする孔版印刷装置。
前記孔版原紙がロールされた原紙ロールの交換のために前記搬送経路の一方側を開放し、交換後の前記原紙ロールが、前記孔版原紙の先端部が前記搬送経路に沿って配置されるようセットされると前記搬送経路の一方側を閉塞するよう開閉操作される圧板と、
前記圧板の開閉を検出する圧板開閉検出部とをさらに備え、
前記制御部は、前記圧板開閉検出部により前記圧板が開けられたことが検出されると、前記発光部の発光量を前記第1発光量に設定し、前記圧板開閉検出部により前記圧板が閉じられたことが検出されると、前記受光部の検出信号に基づき前記所定位置における前記孔版原紙の有無を判断し、前記所定位置に前記孔版原紙があると判断すると、前記発光部の発光量を前記第1発光量から前記第2発光量に変更し、その後前記圧板開閉検出部により前記圧板が開けられたことが検出されるまで前記発光部の発光量を前記第2発光量とすることを特徴とする請求項1に記載の孔版印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る孔版印刷装置の構成を示すブロック図、
図2は、
図1に示す孔版印刷装置の製版部および印刷部の概略構成図である。以下の説明において、
図2の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図2に示すように、前方から見て、上下左右を上下左右方向とする。また、
図2の破線矢印で示す流れを孔版原紙の搬送経路Rとする。以下の説明における上流、下流は、搬送経路Rにおける上流、下流を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る孔版印刷装置1は、製版部2と、印刷部3と、操作パネル部4と、記憶部5と、制御部6とを備える。
【0021】
製版部2は、孔版原紙に穿孔を施すことによって製版するものである。
図1、
図2に示すように、製版部2は、原紙収容部11と、圧板12と、圧板スイッチ13と、サーマルヘッド14と、サーマルヘッドドライバ15と、プラテンローラ16と、書き込みモータ17と、書き込みモータドライバ18と、搬送ローラ対19と、搬送モータ20と、搬送モータドライバ21と、カッタ22と、カッタモータ23と、カッタモータドライバ24と、原紙状態センサ25と、原紙状態センサドライバ26と、待機センサ27と、待機センサドライバ28とを備える。
【0022】
原紙収容部11は、原紙ロール29を収容するものである。原紙収容部11の原紙ロール29と後述する印刷部3のドラム31との間に孔版原紙Mの搬送経路Rが形成されている。原紙ロール29は、長尺状の孔版原紙Mがロールされたものである。孔版原紙Mは、熱可塑性樹脂フィルムと支持体となる和紙とを接着剤により貼り合せた感熱原紙であり、光の透過率が50〜60%程度の半透明部材となっている。原紙ロール29における孔版原紙Mの終端部には、
図3に示すようなエンドマークEが設けられている。エンドマークEは、光の透過率が5%以下の遮光領域となっている。
【0023】
圧板12は、搬送経路Rの上方を開放または閉塞するものである。圧板12は、回転支持ピン30を回転軸として回転可能に支持されている。圧板12は、ユーザの手動により、搬送経路Rの上方を閉塞する閉位置(
図2において実線で示す位置)と、搬送経路Rの上方を開放する開位置(
図2において二点鎖線で示す位置)との間で移動可能である。圧板12は、原紙ロール29の交換のために搬送経路Rの上方を開放し、原紙ロール29の交換後、搬送経路Rの上方を閉塞するよう開閉操作される。
【0024】
圧板スイッチ13は、圧板12の開閉を検出するものである。圧板スイッチ13は、圧板12が閉位置にある(閉じている)ときにON状態となり、圧板12が開位置にある(開いている)ときはOFF状態となる。圧板スイッチ13は、請求項の圧板開閉検出部に相当する。
【0025】
サーマルヘッド14は、孔版原紙Mに画像データに基づく書き込み(穿孔)を行うものである。サーマルヘッド14は、圧板12に取り付けられている。サーマルヘッド14は、圧板12が閉じているときに、プラテンローラ16に対向する。サーマルヘッド14は、圧板12が閉じている状態において、図示しないサーマルヘッド移動機構により、プラテンローラ16から離間した圧逃げ位置(
図2において実線で示す位置)と、プラテンローラ16に圧接する加圧位置(
図2において一点鎖線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。サーマルヘッド14は、書き込みを行う際、加圧位置に配置され、孔版原紙Mを介してプラテンローラ16を押圧しつつ、プラテンローラ16の回転により搬送される孔版原紙Mに書き込みを行う。サーマルヘッドドライバ15は、サーマルヘッド14を駆動させる。
【0026】
プラテンローラ16は、サーマルヘッド14に孔版原紙Mを介して圧接し、回転することで孔版原紙Mを下流側へ搬送する。プラテンローラ16は、原紙収容部11の下流側に配置されている。
【0027】
書き込みモータ17は、プラテンローラ16を回転駆動させる。書き込みモータ17は、パルスモータからなる。書き込みモータドライバ18は、書き込みモータ17を駆動させる。
【0028】
搬送ローラ対19は、孔版原紙Mをニップしつつ搬送する。搬送ローラ対19は、上ローラ19aと、下ローラ19bとからなる。上ローラ19aは、圧板12に回転可能に取り付けられている。上ローラ19aは、圧板12が閉じているときに、下ローラ19bに圧接する。下ローラ19bは、プラテンローラ16の下流側に配置されている。
【0029】
搬送モータ20は、搬送ローラ対19の下ローラ19bを回転駆動させる。搬送モータ20は、パルスモータからなる。搬送モータドライバ21は、搬送モータ20を駆動させる。
【0030】
カッタ22は、孔版原紙Mをカットするものである。カッタ22は、搬送ローラ対19の下流側に配置されている。
【0031】
カッタモータ23は、カッタ22を駆動させる。カッタモータドライバ24は、カッタモータ23を駆動させる。
【0032】
原紙状態センサ25は、搬送経路Rにおける原紙収容部11とプラテンローラ16との間の所定位置において、孔版原紙Mを検出する。原紙状態センサ25は、制御部6が、所定位置における孔版原紙Mの有無およびエンドマークEの有無を判断するために用いられる。原紙状態センサ25は、発光部25aと受光部25bとを有する透過型センサからなる。
図3に示すように、原紙状態センサ25は、孔版原紙MのエンドマークEが通過する位置を検出ポイントとしている。
【0033】
発光部25aは、上方に光を出射する。発光部25aとしては、赤外光または可視光を出射するLED等の発光素子を用いることができる。発光部25aは、原紙収容部11とプラテンローラ16との間の所定位置において、搬送経路Rの下方側に配置されている。発光部25aは、原紙状態センサドライバ26により駆動される。
【0034】
受光部25bは、発光部25aによる光を受光する。受光部25bは、受光量が予め設定された所定の閾値Th以下である場合に、ON信号(請求項の検出信号に相当)を出力する。受光量が閾値Thより大きい場合、受光部25bは、ON信号を出力しないOFF状態となる。受光部25bは、圧板12に取り付けられている。圧板12が閉じているとき、受光部25bは、搬送経路Rを挟んで発光部25aに対向して配置される。
【0035】
待機センサ27は、搬送経路Rにおけるカッタ22とドラム31との間の所定の待機位置において孔版原紙Mを検出するものである。待機位置は、待機中における孔版原紙Mの先端の位置として設定された位置である。待機センサ27は、発光部と受光部(いずれも図示せず)とを有する反射型センサからなる。待機センサドライバ28は、待機センサ27の発光部を駆動させる。
【0036】
印刷部3は、製版部2で製版された孔版原紙Mを用いて、印刷用紙に印刷を行うものである。
図1、
図2に示すように、印刷部3は、ドラム31と、メインモータ32と、メインモータドライバ33とを備える。
【0037】
ドラム31は、多孔構造によるインク透過性の部材で円筒形状の外周壁が構成され、矢印A方向に回転可能に構成されている。ドラム31は、製版部2の下流側に配置されている。ドラム31の外周面には、製版された孔版原紙Mが巻装(着版)される。ドラム31の内部には、インク供給機構(図示せず)が設けられている。ドラム31が回転してプレスローラ(図示せず)との間で印刷用紙を搬送しつつ、インク供給機構から供給されるインクが、外周壁および孔版原紙Mの穿孔部分を通過して印刷用紙に転写されることで印刷が行われる。ドラム31の外周壁には、クランプ部34が設けられている。クランプ部34は、孔版原紙Mの先端部をクランプ(挟持)するものである。クランプ部34は、図示しないクランプ駆動部により開閉可能に構成されている。
【0038】
メインモータ32は、ドラム31を回転させる。メインモータドライバ33は、メインモータ32を駆動させる。
【0039】
操作パネル部4は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報等を表示するものである。操作パネル部4は、入力部41と、表示部42とを備える。
【0040】
入力部41は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部41は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。
【0041】
表示部42は、各種の情報等を表示するものである。表示部42は、液晶表示パネル等を有する。
【0042】
記憶部5は、
図4に示す発光電流値テーブル51を記憶している。発光電流値テーブル51は、孔版印刷装置1で使用可能な孔版原紙の種類ごとに、第1発光電流値I1および第2発光電流値I2を保持している。第1発光電流値I1、第2発光電流値I2は、それぞれ第1発光量L1、第2発光量L2で原紙状態センサ25の発光部25aを発光させるための電流値である。
【0043】
第1発光量L1は、制御部6が原紙状態センサ25の検出ポイントにおける孔版原紙Mの有無を判断する際に設定する発光量である。第1発光量L1は、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙MがあってエンドマークEはない状態では受光部25bの受光量が閾値Th以下となり、孔版原紙Mがない状態では受光部25bの受光量が閾値Thより大きくなるような値として設定される。
【0044】
第2発光量L2は、制御部6が、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mがある状態のときにエンドマークEの有無を判断する際に設定する発光量である。第2発光量L2は、原紙状態センサ25の検出ポイントにエンドマークEがある状態では受光部25bの受光量が閾値Th以下となり、孔版原紙MがあってエンドマークEはない状態では、受光部25bの受光量が閾値Thより大きくなるような値として設定される。第2発光量L2は、第1発光量L1よりも大きな値である。
【0045】
第1発光量L1および第2発光量L2は、孔版原紙Mの光の透過率によって異なるため、孔版原紙Mの種類によって異なる。このため、
図4に示したように、第1発光電流値I1および第2発光電流値I2が孔版原紙Mの種類ごとに設定される。
【0046】
制御部6は、孔版印刷装置1全体の動作を制御するものである。制御部6は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。
【0047】
制御部6は、原紙状態センサ25の受光部25bのON信号に基づき、原紙状態センサ25の検出ポイントにおける孔版原紙Mの有無およびエンドマークEの有無を判断する。これにより、制御部6は、孔版原紙Mが適正にセットされたか否か、および、原紙ロール29の交換時期になったか否かを判断する。制御部6は、孔版原紙Mが適正にセットされたか否かを判断する際、すなわち原紙状態センサ25の検出ポイントにおける孔版原紙Mの有無を判断する際には、発光部25aの発光量を第1発光量L1に設定する。また、制御部6は、原紙ロール29の交換時期になったか否かを判断する際、すなわち原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mがある状態のときにエンドマークEの有無を判断する際には、発光部25aの発光量を第2発光量L2に設定する。
【0048】
次に、孔版印刷装置1の動作について説明する。
【0049】
製版動作の開始前の待機中においては、孔版原紙Mの先端が待機センサ27の検出ポイントである待機位置にある。圧板12は閉じられている。サーマルヘッド14は圧逃げ位置にある。
【0050】
入力部41に対する操作により製版開始が指示されると、制御部6は、図示しないサーマルヘッド移動機構によりサーマルヘッド14を加圧位置とする。次いで、制御部6は、メインモータ32を駆動させてクランプ部34をクランプ基準位置に移動させた後、図示しないクランプ駆動部によりクランプ部34を開くよう制御する。
【0051】
次いで、制御部6は、書き込みモータ17および搬送モータ20を駆動させることにより、プラテンローラ16および搬送ローラ対19を回転駆動させ、孔版原紙Mを所定量だけ下流へと搬送させる。これにより、孔版原紙Mの先端が、待機位置からクランプ部34へと移動する。次いで、制御部6は、クランプ部34を閉じ、孔版原紙Mの先端部をクランプさせる。
【0052】
次いで、制御部6は、書き込みモータ17および搬送モータ20によりプラテンローラ16および搬送ローラ対19を回転駆動させるとともに、メインモータ32によりドラム31を回転させる。また、制御部6は、サーマルヘッド14により、プラテンローラ16との間で搬送される孔版原紙Mに、画像データに基づく書き込み(製版)を行うようサーマルヘッドドライバ15を制御する。これにより、孔版原紙Mに書き込みが行われつつ、ドラム31に孔版原紙Mが巻き付けられる。
【0053】
1版分の書き込みが終了すると、制御部6は、カッタモータ23を駆動させて、カッタ22により孔版原紙Mをカットさせる。この後、制御部6は、書き込みモータ17および搬送モータ20によりプラテンローラ16および搬送ローラ対19を回転駆動させて、孔版原紙Mの先端が待機センサ27で検出されるまで搬送する。そして、制御部6は、サーマルヘッド14を圧逃げ位置とする。これにより、製版および着版の動作が終了する。
【0054】
製版および着版の動作が終了すると、制御部6は、ファーストプリント処理を実行する。ファーストプリント処理は、製版された孔版原紙Mがドラム31に着版された後、ドラム31と図示しないプレスローラとの間に印刷用紙を通すことにより、孔版原紙Mをドラム31に定着させる処理である。
【0055】
具体的には、制御部6は、メインモータ32によりドラム31を回転させるとともに、図示しない給紙部から印刷用紙をドラム31に向けて搬送させる。これと同期して、制御部6は、孔版原紙Mが巻装されたドラム31の外周面にプレスローラを押し付けるよう制御する。そして、制御部6は、ドラム31の内部のインク供給機構からインクを供給させる。これにより、インクがドラム31の外周壁および孔版原紙Mの穿孔部分を通過して、ドラム31とプレスローラとの間を通過する印刷用紙に転写されることで、印刷用紙に画像が印刷される。
【0056】
ファーストプリント処理の終了後、入力部41に対する操作により印刷開始が指示されると、制御部6は、印刷動作を実行する。印刷動作は、上述したファーストプリント処理の動作と同様である。
【0057】
上述した製版および着版の動作においては、孔版原紙Mが原紙ロール29から引き出されつつ搬送される。この孔版原紙Mの搬送動作中において、制御部6は、原紙状態センサ25の発光部25aの発光量を、使用中の孔版原紙Mの種類に応じた第2発光量L2に設定している。そして、制御部6は、受光部25bがON信号を出力するか否かを監視している。これにより、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントにエンドマークEがあるか否かを判断する。原紙状態センサ25の検出ポイントにエンドマークEがあることは、原紙ロール29の孔版原紙Mの残量が少なくなっており、原紙ロール29の交換時期になったことを示す。
【0058】
原紙ロール29の交換は、ユーザの手動により行われる。この原紙ロール29の交換時の処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0059】
図5のステップS10において、制御部6は、製版および着版の動作における孔版原紙Mの搬送動作中に、原紙状態センサ25の受光部25bがON信号を出力しているか否かを判断する。
【0060】
ここで、前述のように、発光部25aの発光量は、使用中の孔版原紙Mの種類に応じた第2発光量L2に設定されている。このとき、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙MがあってエンドマークEはない状態では、受光部25bの受光量が閾値Thより大きく、受光部25bはON信号を出力していないOFF状態となる。原紙状態センサ25の検出ポイントにエンドマークが到達すると、受光部25bの受光量が閾値Th以下となり、受光部25bはON信号を出力する。
【0061】
受光部25bがOFF状態であると判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS20において、制御部6は、製版および着版の動作が終了したか否かを判断する。製版および着版の動作が終了したと判断した場合(ステップS20:YES)、制御部6は、
図5のフローチャートの処理を終了する。製版および着版の動作が終了していないと判断した場合(ステップS20:NO)、制御部6は、ステップS10に戻る。
【0062】
原紙状態センサ25がON信号を出力していると判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS30において、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントにエンドマークがある状態になったと判断し、製版および着版の動作を停止させる。具体的には、制御部6は、書き込みモータ17、搬送モータ20、メインモータ32、およびサーマルヘッド14の駆動を停止させる。また、制御部6は、サーマルヘッド移動機構によりサーマルヘッド14を圧逃げ位置へと退避させる。
【0063】
次いで、ステップS40において、制御部6は、原紙ロール29の交換をユーザに指示するための原紙ロール交換指示を表示部42に表示させる。
【0064】
次いで、ステップS50において、制御部6は、原紙ロール29の交換を行うユーザにより圧板12が開けられたか否かを判断する。具体的には、制御部6は、圧板スイッチ13がOFF状態になったか否かを判断する。圧板12が開けられていないと判断した場合(ステップS50:NO)、制御部6は、ステップS50の処理を繰り返す。
【0065】
圧板12が開けられたと判断した場合(ステップS50:YES)、ステップS60において、制御部6は、発光部25aの発光量を第2発光量L2から第1発光量L1へと変更する。具体的には、制御部6は、使用中の孔版原紙Mの種類に応じた第1発光電流値I1を記憶部5の発光電流値テーブル51から読み出し、この第1発光電流値I1を発光部25aに供給するよう原紙状態センサドライバ26を制御する。これにより、発光部25aが第1発光量L1で発光する。
【0066】
ここで、ステップS40で表示された原紙ロール交換指示を見て圧板12を開けたユーザは、原紙収容部11の古い原紙ロール29を新たな原紙ロール29へと交換する。この際、ユーザは、新たな原紙ロール29から孔版原紙Mの先端部を引き出し、搬送経路Rに沿って配置する。これにより、
図6に示すように、原紙ロール29は、孔版原紙Mの先端部が搬送経路Rに引き出された状態でセットされる。このとき、孔版原紙Mの先端が、原紙状態センサ25の検出ポイントよりも下流側まで達するようにセットされる。この後、ユーザは、圧板12を閉じる。
【0067】
ステップS60で発光部25aの発光量を第1発光量L1へと変更した後、ステップS70において、制御部6は、原紙ロール29の交換作業を行ったユーザにより圧板12が閉じられたか否かを判断する。具体的には、制御部6は、圧板スイッチ13がON状態になったか否かを判断する。圧板12が閉じられていないと判断した場合(ステップS70:NO)、制御部6は、ステップS70の処理を繰り返す。
【0068】
圧板12が閉じられたと判断した場合(ステップS70:YES)、ステップS80において、制御部6は、受光部25bがON信号を出力しているか否かを判断する。
【0069】
ここで、孔版原紙Mが
図6のように適正にセットされて圧板12が閉じられた場合、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙MがあってエンドマークEはない状態となっている。この場合、受光部25bの受光量が閾値Th以下となり、受光部25bはON信号を出力する。
【0070】
受光部25bがON信号を出力していると判断した場合(ステップS80:YES)、ステップS90において、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙MがあってエンドマークEはない状態であると判断し、発光部25aの発光量を第1発光量L1から第2発光量L2へと変更する。具体的には、制御部6は、使用中の孔版原紙Mの種類に応じた第2発光電流値I2を記憶部5の発光電流値テーブル51から読み出し、この第2発光電流値I2を発光部25aに供給するよう原紙状態センサドライバ26を制御する。これにより、発光部25aが第2発光量L2で発光する。
【0071】
次いで、ステップS100において、制御部6は、孔版原紙Mの先端を待機位置まで搬送させる。具体的には、制御部6は、サーマルヘッド移動機構によりサーマルヘッド14を加圧位置とし、書き込みモータ17および搬送モータ20によりプラテンローラ16および搬送ローラ対19を回転駆動させる。そして、待機センサ27が孔版原紙Mの先端を検出すると、制御部6は、書き込みモータ17および搬送モータ20を停止させる。この後、制御部6は、サーマルヘッド14を圧逃げ位置へと退避させる。これにより、孔版印刷装置1が待機中の状態となり、一連の処理が終了する。
【0072】
一方、ステップS80において、受光部25bがOFF状態であると判断した場合(ステップS80:NO)、ステップS110において、制御部6は、孔版原紙Mが適正にセットされていない旨をユーザに通知するためのエラーメッセージを表示部42に表示させる。
【0073】
原紙ロール29の交換のために圧板12が開けられた後、孔版原紙Mが適正にセットされずに圧板12が閉じられた場合、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mがない状態となる。この場合、受光部25bの受光量が閾値Thより大きく、受光部25bはON信号を出力していないOFF状態となる。例えば、孔版原紙Mの先端部が搬送経路Rへと引き出されないまま圧板12が閉じられた場合や、新たな原紙ロール29が設置されないまま圧板12が閉じられた場合、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mがない状態となる。そこで、圧板12が閉じられた後、受光部25bがOFF状態であると判断した場合(ステップS80:NO)、制御部6は、上記のステップS110において、エラーメッセージを表示部42に表示させる。
【0074】
エラーメッセージを見たユーザは、孔版原紙Mのセットをやり直すため、圧板12を開ける。その後、新たな孔版原紙Mを
図6のようにセットし、圧板12を閉じる。
【0075】
これに対し、制御部6は、ステップS110でエラーメッセージを表示させた後、ステップS120において、圧板12が開けられたか否かを判断する。圧板12が開けられていないと判断した場合(ステップS120:NO)、制御部6は、ステップS120の処理を繰り返す。圧板12が開けられたと判断した場合(ステップS120:YES)、ステップS70に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0076】
以上説明したように、孔版印刷装置1では、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントにおける孔版原紙Mの有無を判断する際には、発光部25aの発光量を第1発光量L1に設定する。これに対し、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mがある状態のときにエンドマークEの有無を判断する際には、発光部25aの発光量を第2発光量L2に設定する。
【0077】
これにより、制御部6は、原紙状態センサ25の検出ポイントにおける孔版原紙Mの有無およびエンドマークEの有無を、いずれも受光部25bのON信号に基づき容易に判断することが可能になる。この結果、制御部6は、孔版原紙Mの状態の誤検出を低減できる。
【0078】
具体的には、制御部6は、原紙ロール29の交換時に孔版原紙Mが適正にセットされたか否かを判断する際には、発光部25aの発光量を第1発光量L1に設定する。より具体的には、制御部6は、原紙ロール29の交換時に圧板12が開けられると、発光部25aの発光量を第1発光量L1に設定する。その後、圧板12が閉じられ、原紙状態センサ25の検出ポイントに孔版原紙Mにおける孔版原紙Mの有無を判断し、孔版原紙Mがあると判断すると、制御部6は、発光部25aの発光量を第1発光量L1から第2発光量L2に変更する。その後、圧板12が開けられるまで、制御部6は、発光部25aの発光量を第2発光量とする。すなわち、制御部6は、製版および着版の動作での孔版原紙Mの搬送動作中において、原紙ロール29の交換時期になったか否かを判断する際には、第2発光量L2を用いる。
【0079】
これにより、原紙ロール29の交換時に圧板12が開閉される孔版印刷装置1において、原紙ロール29の交換時に孔版原紙Mが適正にセットされたか否かを、受光部25bのON信号に基づき容易に判断できる。また、孔版印刷装置1は、原紙ロール29の交換時期になったか否かを、受光部25bのON信号に基づき容易に判断できる。
【0080】
また、孔版印刷装置1では、孔版原紙の種類に応じて、第1発光量L1および第2発光量L2を設定することで、使用する孔版原紙Mの種類を変更した場合でも、孔版原紙Mの状態の誤検出を抑制できる。
【0081】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。