特許第5856788号(P5856788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5856788蓄電デバイス用セパレータおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5856788
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用セパレータおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/16 20060101AFI20160128BHJP
   H01G 9/02 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
   H01M2/16 M
   H01M2/16 P
   H01G9/02 301
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-210851(P2011-210851)
(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2013-73737(P2013-73737A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】蔀 貴史
(72)【発明者】
【氏名】長久保 周平
(72)【発明者】
【氏名】和田 忠正
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−130348(JP,A)
【文献】 特開2004−139933(JP,A)
【文献】 特開2004−051791(JP,A)
【文献】 特開2005−268006(JP,A)
【文献】 特開2005−285688(JP,A)
【文献】 特表2008−523211(JP,A)
【文献】 特開2010−262785(JP,A)
【文献】 特開2011−046761(JP,A)
【文献】 特開2003−344020(JP,A)
【文献】 特開2011−154967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リオレフィン系樹脂20〜80重量%と、無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータにおいて、前記微多孔質フィルム中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを0.5〜5重量%含み、前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを特徴とする蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項2】
前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5.5〜7.5であることを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項3】
前記微多孔質フィルム中に前記カーボンブラックを0.5〜2重量%含むことを特徴とする請求項1または2記載の蓄電デバイス用セパレータ。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後、前記可塑剤の一部または全部を抽出除去してなる、前記ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%と、前記無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、前記可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータの製造方法において、前記原料組成物中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを含み、前記微多孔質フィルム中に前記カーボンブラックを0.5〜5重量%含み、前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを特徴とする蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ポリマーリチウム二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、アルミニウム電解コンデンサ等の蓄電デバイス用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂とシリカ微粉等の無機粉体(カーボンブラックを除く)と鉱物オイル等の可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後に前記可塑剤の一部または全部を有機溶剤等で抽出除去してなる微多孔質フィルムが、例えば、鉛蓄電池用セパレータとして使用されている。このようなポリオレフィン微多孔質フィルム製セパレータは、特許文献1に開示されているように、紫外線によるポリオレフィン系樹脂の劣化を防止するために、耐候性を付与するべく、微量のカーボンブラックを含ませるようにしている。つまり、前記原料組成物中に適量のカーボンブラックを配合するようにして微多孔質フィルムを得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−130348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーボンブラックを含ませるようにした前記ポリオレフィン微多孔質フィルムの場合、溶融混練製膜した可塑剤を抽出除去前(多孔質化前)の半製品シートは、黒色系のカラーを有し、可塑剤を抽出除去し50〜95%の空隙率を持たせるようにした微多孔質フィルムシートは、青色系のカラーを有する。
微多孔質フィルムセパレータは、製造工程において、可塑剤の抽出除去後の完成シートを外観検査する工程において、異物の付着(虫の付着、オイルの付着等)等の欠点検出を、画像検出式の検査機で行うが、濃い青色系のカラーでは、欠点検出精度が100%にならず、欠点を検出できないケースが生じる問題があった。また、完成した微多孔質フィルムセパレータを、電極板を包む構成にするために袋状に加工する工程では、長方形に裁断した微多孔質フィルムセパレータを長手方向の真ん中で折り曲げ、折り曲げ辺を下にしてその両側端(左右辺)を、ギヤシール(被加工基材を、一対の噛み合いギアからなる加圧治具間へ通すことによって、50〜100kg/cm程度の加圧力を与えて加圧圧着し、物理的な作用で接合させるシール方法)し袋状に加工しているが、シール加工後の検査として、シール加工(封止加工)が良好か不良かを判別する工程では、ギヤシール部と非ギヤシール部との色の違いを判別してギヤシール部を検知し、ギヤシール加工が良好か/不良かを判別している。ギヤシール部は非ギヤシール部に比べて、圧力が加わった分、色が濃く(黒っぽく)なるため、これを画像検出して、ギヤシール部を特定し、ギヤシール部である所定幅の帯状のラインがセパレータ両側端部に正常に存在しているかを見ることで、シールが正常に行われたかを見ている。しかし、元々の微多孔質フィルムセパレータの暗色系が強いと、ギヤシール部と非ギヤシール部の色の差が少なくなり、ギヤシール部を正常に検出できないケースが生じる問題があった。尚、ギヤシール部が加圧されて黒っぽく(色が濃く)なるのは、空隙が潰されるためというよりはむしろ、多孔質構造のセパレータ内部に分散状態に微量存在するカーボンブラックが圧縮状態に集められ見掛け上の充填密度が高まりカーボン色が強くなるためではないかと推測している。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来の問題点に鑑み、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後、前記可塑剤の一部または全部を抽出除去してなる微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータにおいて、耐候性を付与するためのカーボンブラックを適量含ませるようにした場合にも、製造工程における欠点検出や、加工工程におけるギヤシール部検出を、画像検出式検査機にて行う際の検出不良を防止することのできる蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するべく、鋭意検討した結果、次の知見を得た。
カーボンブラックを含ませるようにした前記ポリオレフィン微多孔質フィルムの場合、溶融混練製膜した可塑剤を抽出除去前(多孔質化前)の半製品シートは、黒色系のカラーを有し、可塑剤を抽出除去し50〜95%の空隙率を持たせるようにした微多孔質フィルムシートは、青色系のカラーを有する。
まず、カーボンブラックの添加量のカラーへの影響を調査した。ただし、カーボンブラックの添加は、微多孔質フィルムに耐候性を与えるという目的であることから、微多孔質フィルムに耐候性を与えるためにカーボンブラックは0.5重量%以上添加する必要があった。よって、カーボンブラックを0.5重量%以上の範囲で添加量の影響を調査した。可塑剤を抽出除去前の半製品シートについては、カーボンブラックの添加量を変えても、何れも黒色系のカラーが強く変化がなかった。可塑剤を抽出除去し50〜95%の空隙率としたシートについては、カーボンブラックの添加量を下げると青色系のカラー(マンセル表色系の色相がおよそ3PB、彩度がおよそ2)において明度(マンセル表色系)が徐々に高く変化する傾向があった。しかし、カーボンブラックの含有量を0.5重量%の微量としても、青色系のカラーにおいて明度が5.5以上にはならず、画像検出式検査機による欠点やギヤシール部の検出不良を完全に防止するレベルには至らない。
次に、カーボンブラックの性状のカラーへの影響を調査し、カーボンブラックの粒子径に着目し、カラーへの影響を調査した。従来のカーボンブラックは、平均一次粒子径が20〜80nm程度であったが、平均一次粒子径が100nm以上の特殊なカーボンブラックを用いたところ、カーボンブラックの含有量を0.5重量%の微量としても、青色系のカラーにおいて明度が5.5以上になり、画像検出式検査機による欠点やギヤシール部の検出不良を完全に防止することができることを知見した。
【0007】
本発明は、このような知見に基づきなされた発明であって、本発明の蓄電デバイス用セパレータは、請求項1に記載の通り、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%と、無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータにおいて、前記微多孔質フィルム中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを0.5〜5重量%含み、前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを特徴とする。
た、請求項2記載の蓄電デバイス用セパレータは、請求項1記載の蓄電デバイス用セパレータにおいて、前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5.5〜7.5であることを特徴とする。
また、請求項3記載の蓄電デバイス用セパレータは、請求項1または2記載の蓄電デバイス用セパレータにおいて、前記微多孔質フィルム中に前記カーボンブラックを0.5〜2重量%含むことを特徴とする。
また、本発明の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、請求項4に記載の通り、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後、前記可塑剤の一部または全部を抽出除去してなる、前記ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%と、前記無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、前記可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータの製造方法において、前記原料組成物中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを含み、前記微多孔質フィルム中に前記カーボンブラックを0.5〜5重量%含み、前記微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後、前記可塑剤の一部または全部を抽出除去してなる微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータにおいて、耐候性を付与するためのカーボンブラックを適量含ませるようにした場合にも、製造工程における欠点検出や、加工工程におけるギヤシール部検出を、画像検出式検査機にて行う際の検出不良を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%と、無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムであって、微多孔質フィルム中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを0.5〜5重量%含み、微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを条件とする。
また、本発明の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練して製膜後、可塑剤の一部または全部を抽出除去してなる、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%と、無機粉体(カーボンブラックを除く)20〜80重量%と、可塑剤0〜30重量%とを含み、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%で、ベース厚さが10〜500μmである微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを製造するにあって、原料組成物中に平均一次粒子径が150〜500nmのカーボンブラックを含み、微多孔質フィルム中にカーボンブラックを0.5〜5重量%含み、微多孔質フィルムの明度(マンセル表色系)が5〜8であることを条件とする。
【0010】
微多孔質フィルムの明度が5未満であると、画像検出式検査機による欠点やギヤシール部の検出において、微多孔質フィルム本体が暗色系であるため、欠点部(虫の付着、オイルの付着等)やギヤシール部(圧着部)が目立ちにくくなり、検出不良を完全に防止することができない可能性があるため、不適である。また、微多孔質フィルムの明度が8超えであると、画像検出式検査機による欠点の検出については、微多孔質フィルム本体が明色系であるため、欠点(虫の付着、オイルの付着等)は目立ちやすく、検出不良を完全に防止することができるが、画像検出式検査機によるギヤシール部の検出については、微多孔質フィルム本体は明色系であるが、ギヤシール部(圧着部)も暗色系とならずギヤシール部が目立ちにくくなり、検出不良を完全に防止することができない可能性があるため、不適である。ギヤシール部が暗色系にならない理由は、微多孔質フィルム本体が明色系である場合は、カーボンブラックの含有率が低く、セパレータ内部に分散状態に微量存在するカーボンブラックが集められ見掛け上の充填密度が高まったとしてもなお微量であるため、微多孔質フィルムを圧着したギヤシール部もカーボン色が濃くなりにくいと思われる。そのため、微多孔質フィルムの明度は5.5〜7.5であることがより好ましい。
【0011】
本発明の微多孔質フィルムは、前述の通り、高性能化が進む蓄電デバイスに用いるセパレータにあって、厚さが薄いこと、孔径が小さいこと、空隙率が高いことの要求に適合し、ベース厚さが10〜500μmで、平均細孔径が1μm以下で、空隙率が50〜95%の微多孔質フィルムである。本発明の微多孔質フィルムは、上記のような原料組成物を溶融混練して製膜後に可塑剤を抽出除去して得るものであることから、平均細孔径が1μm以下で空隙率が50〜95%である高度な微多孔性を有するものである。また、ベース厚さが10μm未満であると、セパレータとしての隔離効果を発揮しづらくなり蓄電デバイスの寿命性能に悪影響を与えたるため不適である。また、ベース厚さが500μmを超えると、セパレータの電気抵抗が高くなり蓄電デバイスの内部抵抗を高めるため不適である。鉛蓄電池用セパレータとして用いる場合など微多孔質フィルムにリブ状突起を設ける場合は、リブ状突起の形状・寸法に合わせ、ベース厚さを100〜500μmとすることが好ましい。より好ましくは、100〜300μmである。リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等のセパレータとして用いる場合など微多孔質フィルムにリブ状突起を設けない場合は、ベース厚さを10〜100μmとすることが好ましい。より好ましくは、10〜50μmである。尚、ベース厚さとは、例えば、微多孔質フィルムがリブ状突起を有する場合に、リブ状突起を含めた総厚さと区別するために用いる用語で、リブ状突起の高さを除外した(リブ状突起を設けない場合の)膜厚さを指す。
【0012】
本発明の微多孔質フィルムを得る方法は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体(カーボンブラックを除く)と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜するとともに可塑剤を除去することによる。これにより、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成された膜が得られる。具体的な製造法の一例を以下に示す。まず、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤に、カーボンブラック、必要に応じて親水化剤(界面活性剤)を加えた原材料をヘンシェルミキサーまたはレーディゲミキサー等の混合機により攪拌・混合し、原料混合物を得る。次に、この混合物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、圧延・延伸等の二次加工により所定厚さのシートに成形する。次に、このシートを、適当な溶剤(例えば、n−ヘキサン)中に浸漬し、可塑剤の所定量を抽出除去し乾燥、必要に応じて熱処理すれば、目的の微多孔質フィルムが得られる。尚、延伸処理は、可塑剤の抽出処理の前工程で行っても、後工程で行っても、また、前後の工程で行うようにしてもよい。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の単独重合体または共重合体およびこれらの混合物が使用できる。中でも、成形性や経済性の面で、ポリエチレンを主体とすることが好ましい。ポリエチレンは、溶融成形温度がポリプロピレンよりも低く、生産性が良好で製造コストを抑えられる。ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が50万以上とすることにより、無機粉体(カーボンブラックを除く)を多く含んだ微多孔質フィルムにあっても、膜の機械的強度を確保することができる。そのため、ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が100万以上であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、無機粉体(カーボンブラックを除く)との混合性も良好で、微多孔質フィルムにあって無機粉体(カーボンブラックを除く)の骨格を接着機能材料として結合させながら強度を維持するとともに、化学的に安定であり安全性が高い。ポリオレフィン系樹脂は、微多孔質フィルムが耐熱性を必要とする用途の場合は、ポリメチルペンテン(4−メチル−1−ペンテン)や環状ポリオレフィン(エチレン・ノルボルネン)等の高融点または高軟化点の樹脂を併用することが好ましい。
【0014】
無機粉体(カーボンブラックを除く)としては、粒径が細かく内部や表面に孔構造を備えた、シリカ、アルミナ、チタニア、珪酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、クレー、ガラス微細粉体等の1種または2種以上が使用できる。中でも、粒子径、比表面積等の各種粉体特性の選択範囲が広く、比較的安価で入手しやすく、不純物が少ない点で、シリカが好ましい。無機粉体(カーボンブラックを除く)は、比表面積が100m/g以上であると、微多孔質フィルムの孔構造を微細化かつ複雑化して耐短絡性を高め、微多孔質フィルムの電解液保持力を高め、粉体表面に多数の親水基(−OH)を備えることにより微多孔質フィルムの親水性を高めるため好ましい。そのため、無機粉体(カーボンブラックを除く)の比表面積は150m/g以上であることがより好ましい。また、無機粉体(カーボンブラックを除く)の比表面積は400m/g以下であることが好ましい。無機粉体(カーボンブラックを除く)の比表面積が400m/gを超える場合は、粒子の表面活性度が高く凝集力が強くなるため、微多孔質フィルム中で無機粉体(カーボンブラックを除く)が均一分散されにくくなるため好ましくない。
【0015】
可塑剤としては、ポリオレフィン系樹脂の可塑剤となり得る材料を選択することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有し各種溶剤等で容易に抽出できる各種有機液状体が使用でき、具体的には、飽和炭化水素(パラフィン)からなる工業用潤滑油等の鉱物オイル、ステアリルアルコール等の高級アルコール、フタル酸ジオクチル等のエステル系可塑剤等が使用できる。中でも、再利用がしやすい点で、鉱物オイルが好ましい。可塑剤は、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体(カーボンブラックを除く)、可塑剤、カーボンブラックを主体とした原料組成物中に、30〜70重量%配合されることが好ましい。
【0016】
可塑剤は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体(カーボンブラックを除く)と可塑剤を主体とした原料組成物を溶融混練してシート状に製膜後、除去されることで、前記シートを多孔質化するものであるが、セパレータの目的に応じて、その全量が除去されても、一部のみが除去されてもよい。微多孔質フィルムを鉛蓄電池用セパレータとして用いる場合は、可塑剤である鉱物オイルを適量含有させておくことで、耐酸化性の向上に寄与する。
【0017】
可塑剤を抽出除去するために用いる溶剤(溶媒)としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和炭化水素系の有機溶剤を使用することができる。
【0018】
カーボンブラックは、前述の通り、平均一次粒子径が150〜500nmである。カーボンブラックの平均一次粒子径が100nm未満では、微多孔質フィルムに耐候性を付与するための最低含有量である0.5重量%の含有量で、微多孔質フィルムの青色系のカラーにおいて明度が5未満となる可能性があり、画像検出式検査機による欠点やギヤシール部の検出不良を完全に防止することができない可能性があるため、不適である。また、カーボンブラックの平均一次粒子径が100nm未満では、粒子が、凝集しやすく導電性が高くなるため不適である。電極間の電気的絶縁を担う微多孔質フィルムセパレータにあって、導電性の発現は避けなければならない。また、カーボンブラックの平均一次粒子径が500nm超えでは、材料が高価になるとともに、耐候性の付与効果が劣る可能性があるため、不適である。そのため、本発明のカーボンブラックの平均一次粒子径は150〜500nmである。更に200〜450nmであることがより好ましい。カーボンブラックは、主に、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する炭素の微粒子であり、製造法によって、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等の種類があるが、サーマルブラックが大きな一次粒子径のものを得やすいことから好ましい。
【0019】
原料組成物または微多孔質フィルムには、その他、必要に応じて、界面活性剤(親水化剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤、顔料、染料、着色剤、防曇剤、艶消し剤等の添加剤を、本発明の目的および効果を損なわない範囲で添加(配合)または含有させてもよい。
【0020】
本発明の微多孔質フィルムは、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂を20〜80重量%と、無機粉体(カーボンブラックを除く)を20〜80重量%と、可塑剤を0〜30重量%と、カーボンブラックを0.5〜5重量%含む。ポリオレフィン系樹脂の含有量が20重量%未満であると、ポリオレフィン系樹脂を微多孔質フィルム全体に均一に分散できなくなり、微多孔質フィルムの十分な機械的強度を確保できなくなるため不適である。無機粉体(カーボンブラックを除く)の含有量が80重量%を超える場合も、ポリオレフィン系樹脂の含有量が20重量%未満となるため、同様の理由により不適である。また、無機粉体(カーボンブラックを除く)の含有量が20重量%未満であると、微多孔質フィルムの寸法安定性向上効果(可塑剤の抽出除去後のシートの寸法収縮、微多孔質フィルムの高温暴露時の寸法収縮を抑える効果、つまり、微多孔質フィルムの骨格材としての効果)、微多孔質フィルムの孔構造を微細化かつ複雑化し短絡を防止する効果、微多孔質フィルムの電解液を保持する効果等が十分に発揮できなくなるため不適であるとともに、可塑剤の配合量が減少するため、微多孔質フィルムの空隙率が低下し、蓄電デバイスの内部抵抗を高めるため不適である。ポリオレフィン系樹脂の含有量が80重量%を超える場合も、無機粉体(カーボンブラックを除く)の含有量が20重量%未満となるため、同様の理由により不適である。そのため、微多孔質フィルム中のポリオレフィン系樹脂の含有量は20〜60重量%であることがより好ましく、無機粉体(カーボンブラックを除く)の含有量は40〜80重量%であることがより好ましい。尚、本発明の微多孔質フィルムは、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体(カーボンブラックを除く)と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜するとともに可塑剤を除去することによって得られるが、原料組成物中のポリオレフィン系樹脂と無機粉体(カーボンブラックを除く)の構成比率と、微多孔質フィルム中のポリオレフィン系樹脂と無機粉体(カーボンブラックを除く)の構成比率は、基本的に変わらない。また、カーボンブラックの含有量が0.5重量%未満であると、微多孔質フィルムへの耐候性の付与が十分でないため不適である。カーボンブラックの含有量が5重量%を超えると、耐候性の付与効果が頭打ちとなる一方、主要な構成材であるポリオレフィン系樹脂や無機粉体(カーボンブラックを除く)の含有量が減り微多孔質フィルムの強度が低下する等の傾向が現れるため不適であるとともに、カーボンブラックが凝集しやすくなり導電性が高くなる可能性があるため不適であるとともに、微多孔質フィルムの青色系のカラーにおいて明度が5未満となる可能性があり、画像検出式検査機による欠点やギヤシール部の検出不良を完全に防止することができない可能性があるため、不適である。そのため、微多孔質フィルム中のカーボンブラックの含有量は、0.5〜2重量%であることがより好ましい。
【実施例】
【0021】
次に、本発明の実施例について参考例、比較例と共に詳細に説明する。
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万の高密度ポリエチレン樹脂粉体100部(重量部、以下同じ)と、無機粉体(カーボンブラックを除く)として比表面積200m/gで平均粒径5μmのシリカ微粉体260部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイル590部と、カーボンブラックとして平均一次粒子径280nmのサーマルブラック2部とをヘンシェルミキサーで混合し、先端にTダイを取り付けた二軸押出成形機で加熱溶融・混練しながらシート状に押出成形し、次いで成形ロールにて圧延処理して厚さ200μmのシートを得た。次に、このシートをn−ヘキサンの槽に浸漬して可塑剤の所定量を抽出除去し、加熱乾燥して、ポリエチレン樹脂23.5重量%、シリカ微粉体61.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5重量%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータ(鉛蓄電池用セパレータとして好適)を得た。
【0022】
(実施例2)
カーボンブラックの配合量を8部とした以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.1重量%、シリカ微粉体60.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック1.8%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0023】
(実施例3)
カーボンブラックの配合量を20部とした以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂22.4重量%、シリカ微粉体58.2重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック4.5%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0024】
(実施例4)
カーボンブラックとして平均一次粒子径280nmのサーマルブラックに代え平均一次粒子径405nmのサーマルブラックを使用した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.5重量%、シリカ微粉体61.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5重量%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0025】
(実施例5)
カーボンブラックの配合量を8部とした以外は実施例4と同様にして、ポリエチレン樹脂23.1重量%、シリカ微粉体60.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック1.8%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0026】
(実施例6)
カーボンブラックの配合量を20部とした以外は実施例4と同様にして、ポリエチレン樹脂22.4重量%、シリカ微粉体58.2重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック4.5%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0027】
参考例1
カーボンブラックとして平均一次粒子径280nmのサーマルブラックに代え平均一次粒子径120nmのファーネスブラックを使用した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.5重量%、シリカ微粉体61.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5重量%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0028】
(比較例1)
カーボンブラックとして平均一次粒子径280nmのサーマルブラックに代え平均一次粒子径29nmのファーネスブラックを使用した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.5重量%、シリカ微粉体61.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5重量%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0029】
(比較例2)
カーボンブラックの配合量を8部とした以外は比較例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.1重量%、シリカ微粉体60.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック1.8%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0030】
(比較例3)
カーボンブラックの配合量を20部とした以外は比較例1と同様にして、ポリエチレン樹脂22.4重量%、シリカ微粉体58.2重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック4.5%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0031】
(比較例4)
カーボンブラックとして平均一次粒子径280nmのサーマルブラックに代え平均一次粒子径70nmのファーネスブラックを使用した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂23.5重量%、シリカ微粉体61.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5重量%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0032】
(比較例5)
カーボンブラックの配合量を8部とした以外は比較例4と同様にして、ポリエチレン樹脂23.1重量%、シリカ微粉体60.0重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック1.8%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0033】
(比較例6)
カーボンブラックの配合量を20部とした以外は比較例5と同様にして、ポリエチレン樹脂22.4重量%、シリカ微粉体58.2重量%、パラフィン系オイル15.0重量%、カーボンブラック4.5%で構成される厚さ200μmの微多孔質フィルムからなる蓄電デバイス用セパレータを得た。
【0034】
次に、上記実施例1〜6、参考例1、比較例1〜6にて得られたセパレータを、以下の試験方法により評価した。結果を表1に示す。尚、以下において、MD(方向)とは、連続帯状に製造されるフィルムシートの製造時の流れ方向をいい、CD(方向)とは、MDと直交する方向をいう。
〈カーボンブラックの平均一次粒子径〉
少なくとも1.5〜2.0nmの分解能を有する電子顕微鏡により数万倍の写真を撮影し、直接測定して求めた算術平均値。
〈ベース厚さ〉
ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製 ピーコックG−6)を用いて、セパレータの任意の点、数箇所を測定した。
〈引張強度、伸び〉
セパレータから、MDおよびCD方向に、10mm×70mmの大きさで切り取って試験片とする。容量294N以下のショッパ式またはこれに準ずる引張試験機を用い、試験機のつかみの間隔を約50mmとし、試験片を取り付け、毎分200mmの引張速さで行い、試験片が切断した時の引張荷重、距離を読む。引張荷重を断面積で除し、引張強度とし、伸びは、距離を試験機のつかみの間隔で除したものとする。
〈空隙率〉
微多孔質フィルムの細孔容積(水銀圧入法)と真密度(浸漬法)から、次式により算出した。
空隙率=Vp/((1/ρ)+Vp)
但し、Vp:細孔容積(cm/g)、ρ:真密度(g/cm
〈平均細孔径〉
水銀圧入時の、圧力と水銀の容量から細孔径分布を算出した。全細孔容積の50%の容積の水銀が圧入された時点の細孔径を平均細孔径(メディアン径)とした。
〈電気抵抗〉
セパレータを70mm×70mmサイズに裁断し試験片とし、SBA S 0402に準拠した試験装置で測定した。
〈耐候性〉
セパレータを、温度65℃、湿度90%RHの環境下で、5日間紫外線を照射した後、CD方向の伸び(%)を測定し、これを耐候性とした。
〈色調(カラー)〉
色彩色差計(ミノルタ社製 CR210)を使用し、セパレータ表面のマンセル表色系(色相、明度、彩度)を測定した。
〈画像検出性〉
セパレータで電極板を包む構成にするために、長方形に裁断したセパレータを長手方向の真ん中で折り曲げ、折り曲げ辺を下にしてその両側端(左右辺)を、ギヤシール(被加工基材を、一対の噛み合いギアからなる加圧治具間へ通すことによって、50〜100kg/cm程度の加圧力を与えて加圧圧着し、物理的な作用で接合させるシール方法)し袋状に加工した。次に、シール加工後の検査として、シール加工(封止加工)が良好であったか不良であるかを判別した。これは、ギヤシール部と非ギヤシール部との色の違いを判別して、ギヤシール部を検知(検出)した後、検知(検出)したギヤシール部が正常か否かを見るもので、ギヤシール部は非ギヤシール部に比べて、圧力が加わった分、色が濃く(黒っぽく)なるため、これを画像検出式検査機にて画像検出して、ギヤシール部を特定し、ギヤシール部である所定幅・所定長さの帯状のラインがセパレータ両側端部(左右辺)に正常に存在するかを見ることで、シール加工が正常に行われたかを見るものである。例えば、左右辺の一方において、ギヤシール部である帯状のラインがまったく存在しない(シール加工そのものが施されていない)、または、帯状のラインが一部欠けている(所定幅・所定長さを有していない:シール加工は施されているが正常ではない)場合は、シール加工が不良であったと判定される。しかし、この場合、例えば、ギヤシール部である帯状のラインがまったく存在しない場合は、ギヤシール部を検知(検出)していない状態であるが、これには、ギヤシール部は存在するが、それを画像検出できなかった場合も、含まれることになる。
実施例1〜6、参考例1、比較例1〜6の各セパレータについて、上記の通り裁断した100枚のセパレータシートをシール加工し、シール加工後のセパレータシートを画像検出式検査機に流し、ギヤシール部の検知(検出)が正常に行われたか否かを判定し、100枚中の正常に検知(検出)されたものの割合を求めた。
【0035】
【表1】
【0036】
表1の結果から以下のことがわかった。
(1)実施例1〜6、参考例1、比較例1〜6のセパレータは、どちらも、同様の製造方法によって製造された、同様の膜厚さ、空隙率、平均細孔径を有し、ポリエチレン樹脂22.4〜23.5重量%、シリカ粉体58.2〜61.0重量%、鉱物オイル15.0重量%、カーボンブラック0.5〜4.5重量%から構成される微多孔質フィルムである。
(2)カーボンブラックとして平均一次粒子径が150nm以上である特殊なカーボンブラックを使用した実施例1〜6では、セパレータの明度(マンセル表色系)が5.0〜7.8であり、画像検出性は97%以上でギヤシール部の検出不良をほぼ完全に防ぐことができている。特に、カーボンブラックの平均一次粒子径が150nm以上、カーボンブラックの含有量が2重量%以下である実施例1、2、4、5では、セパレータの明度(マンセル表色系)が5.5以上であり、画像検出性は100%となる。
(3)一方、カーボンブラックとして平均一次粒子径が100nm未満である従来のカーボンブラックを使用した比較例1〜6では、セパレータの明度(マンセル表色系)が2.6〜5.3であり、画像検出性は0〜99%である。カーボンブラックの平均一次粒子径を70nm、カーボンブラックの含有量を耐候性を付与するための最低含有量である0.5重量%とした比較例4の場合に、セパレータの明度(マンセル表色系)が5.3であり、画像検出性は99%となるが、それ以外の比較例1〜3、5〜6の場合は、セパレータの明度(マンセル表色系)が2.6〜4.6であり、画像検出性は0〜88%でギヤシール部の検出不良が多く発生する状況である。そして、セパレータの明度(マンセル表色系)が5.3で、画像検出性が99%と良好であった比較例4も、カーボンブラックの平均一次粒子径が100nm未満であることから、カーボンブラックの導電性が高く、蓄電デバイス用セパレータとして用いるには、電極間の電気的絶縁性が低下する危険性があるため実用できない。