(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5856892
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20160128BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04N7/18 H
H04M9/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-77581(P2012-77581)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207738(P2013-207738A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】伯川 美幸
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−176780(JP,A)
【文献】
特開平06−315151(JP,A)
【文献】
特開2005−094622(JP,A)
【文献】
特開2001−309362(JP,A)
【文献】
特開昭62−038690(JP,A)
【文献】
特開2010−109720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00− 9/10
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者と通話するための子機マイクおよび子機スピーカを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答して来訪者と通話するための親機音声部を備えたインターホン親機とで構成されたインターホンシステムにおいて、
前記玄関子機に、前記インターホン親機を呼び出すための呼出ボタンと、来訪者を含む玄関子機周辺の状態を撮影するためのカメラと、該カメラの周囲が暗いときに点灯させる照明灯と、前記インターホン親機からの明るさ変更通知を受信したときに、前記照明灯の明るさを調整するための制御を行う子機CPUとを設け、
前記インターホン親機に、前記カメラが撮影した映像を出画するためのモニタと、来訪者との通話を開始するための通話ボタンと、前記呼出ボタンおよび前記通話ボタンの操作に応答して前記玄関子機に前記明るさ変更通知を送信する親機CPUとを設け、
前記明るさ変更通知が、前記玄関子機で前記呼出ボタンが操作されたときに、前記照明灯を第1の明るさで点灯させる呼出時調光指令と、前記インターホン親機で前記通話ボタンが操作されたときに、前記照明灯を前記第1の明るさよりも暗い第2の明るさで点灯させる通話時調光指令とを含むことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記インターホン親機が、外部に異常を知らせるための異常報知部を備え、前記明るさ変更通知が、居住者によって前記異常報知部が操作されたときに、前記照明灯を前記第1の明るさと同等またはそれ以上に明るい明るさで点灯させる異常時調光指令を含む請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記インターホン親機が、少なくとも前記第2の明るさを変更設定するための操作部を備えた請求項1または2記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関子機に設けられた照明灯の明るさを調整する機能を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間など玄関子機の周辺が暗いときに、玄関子機に設けられた照明灯を点灯させ、子機カメラが撮影した映像をインターホン親機のモニタに見易く表示させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、玄関子機の制御部が来訪者の位置に応じて照明灯の明るさを調整する技術が記載されている。特許文献2には、夜間に照明灯への電源供給量を漸増させる夜間照明電源調整部を玄関子機に設けたインターホンシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−109720号公報
【特許文献1】特開2011−176780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のインターホンシステムによると、照明灯の明るさを玄関子機側で調整しているため、来訪者の位置検知機能を備えた子機制御部(特許文献1)や夜間照明電源調整部(特許文献2)を玄関子機に設ける必要があり、玄関子機の構成が複雑になるという問題点があった。また、インターホン親機を操作する居住者自身が、モニタの実際の表示具合に基づいて玄関子機の照明灯の明るさを変更することができないという問題点もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、玄関子機に設けられた照明灯の明るさをインターホン親機側からの明るさ変更通知によって簡易に調整できるインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、居住者と通話するための子機マイクおよび子機スピーカを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答して来訪者と通話するための親機音声部を備えたインターホン親機とで構成されたインターホンシステムにおいて、次のような特徴的手段を提供する。
【0007】
(1)玄関子機に、インターホン親機を呼び出すための呼出ボタンと、来訪者を含む周囲の状態を撮影するためのカメラと、カメラの周囲が暗いときに点灯させる照明灯と、インターホン親機から明るさ変更通知を受信したときに、照明灯の明るさを調整するための制御を行う子機CPUとを設け、インターホン親機に、カメラが撮影した映像を出画するモニタと、来訪者との通話を開始するための通話ボタンと、玄関子機に明るさ変更通知を送信する親機CPUとを設け、明るさ変更通知が、玄関子機で呼出ボタンが操作されたときに、照明灯を第1の明るさで点灯させる呼出時調光指令と、インターホン親機で通話ボタンが操作されたときに、照明灯を第1の明るさよりも暗い第2の明るさで点灯させる通話時調光指令とを含むことを特徴とするインターホンシステム。
【0008】
(2)インターホン親機が、外部に異常を知らせるための異常報知部を備え、明るさ変更通知が、居住者によって異常報知部が操作されたときに、照明灯を第1の明るさと同等またはそれ以上に明るい明るさで点灯させる異常時調光指令を含むことを特徴とするインターホンシステム。
【0009】
(3)インターホン親機が、少なくとも第2の明るさを変更設定するための操作部を備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインターホンシステムによれば、来訪者が居住者を呼び出したときに、呼出時調光指令により玄関子機の照明灯を相対的に明るく点灯させ、居住者にモニタの表示を見易くすることができ、居住者が通話ボタンを操作したときには、通話時調光指令によって照明灯を相対的に暗く点灯させ、来訪者が眩しさを感じることなく子機マイクに接近して通話できるなど、インターホン親機からの明るさ変更通知により照明灯の明るさを簡易に調整できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示すインターホンシステムのブロック図である。
【
図2】
図1のインターホンシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すインターホンシステム1は、来訪者が操作する玄関子機11と、居住者が操作するインターホン親機21とから構成されている。
【0013】
玄関子機11には、子機全体の動作を制御する子機CPU12と、来訪者を含む玄関周辺を撮影するためのカメラ13と、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン14と、来訪者が居住者との通話に使用する子機マイク15および子機スピーカ16と、夜間など玄関子機11の周辺が暗いときに点灯する照明灯としての白色LED17と、子機CPU12がインターホン親機21と通信するための子機I/F18とが設けられている。なお、白色LED17は、玄関子機11周辺の明るさを検出する照度センサ(図示略)、または子機CPU12の時計機能を用いて点灯させることができる。
【0014】
インターホン親機21には、親機全体の動作を制御するための親機CPU22と、玄関子機11のカメラ13が撮影した映像を出画するモニタ23と、居住者が来訪者との通話に使用する親機音声部24と、居住者が来訪者との通話を開始する際に操作する通話ボタン25と、居住者が玄関子機11に設けられた白色LED17の明るさを変更設定するために操作する操作部26と、居住者が外部に異常を知らせるために操作する異常報知部27と、親機CPU22が玄関子機11と通信するための親機I/F28とが設けられている。
【0015】
次に、上記のように構成されたインターホンシステム1の動作について説明する。来訪者が玄関子機11の呼出ボタン14を押すと、子機CPU12が子機I/F18、親機I/F28を介して呼出信号を親機CPU22に送信する。
図2に示すように、親機CPU22は、玄関子機11からの呼出信号を検出すると(S31)、モニタ23を起動し(S32)、モニタ23に玄関子機11のカメラ13が撮像した映像を出画させ、親機音声部24から呼出音を発生させ(S33)、居住者に来訪者の訪問を知らせる。
【0016】
夜間など玄関子機11の周辺が暗いときには、子機CPU12が親機CPU22に照明要請を通知する。親機CPU22は、照明要請を受けると、白色LED17の明るさを段階的に変化させるための明るさ変更指令を子機CPU12に返信する。この実施形態の明るさ変更通知には、白色LED17を最大の明るさ(第1の明るさ)で点灯させる呼出時調光指令と、白色LED17を呼出時よりも暗い標準的な明るさ(第2の明るさ)で点灯させる通話時調光指令とが含まれている。
【0017】
そして、
図2に示すように、玄関子機11から呼出信号を受信しているときに、親機CPU22は、照明要請を確認したのち(S34)、呼出時調光指令を子機CPU12に送信する(S35)。子機CPU12は、白色LED17への電源供給量が最大となるように玄関子機11の調光回路(図示略)を制御し、白色LED17を最大の明るさで点灯させる。なお、昼間など玄関子機11の周辺が充分に明るい場合は、子機CPU12が照明要請を通知しないため、親機CPU22は白色LED17を消灯させた状態で呼び出しに応答するための別処理に移行する(S40)。
【0018】
続いて、居住者が通話ボタン25をONすると(S36)、親機CPU22は通話開始信号を子機CPU12に送信し、子機CPU12が子機マイク15を有効にするための制御を行う。そして、親機CPU22は、通話時調光指令を子機CPU12に送信し(S38)、子機CPU12は、白色LED17への電源供給量が予め設定された標準値となるように調光回路を制御し、白色LED17を標準的な明るさで点灯させる。その後、親機CPU22は、玄関子機11からの終話信号を確認し(S39)、処理を終了する。
【0019】
ここで、通話時調光指令が指定する白色LED17の標準的な明るさとは、居住者がインターホン親機21の操作部26で変更可能な明るさであり、例えば、モニタ23の映像が充分に見易く、しかも、来訪者が子機マイク4に近づいて通話しても眩しさを感じない程度の明るさを適宜に設定できる。また、呼出時調光指令が指定する白色LED17の明るさは、必ずしも調光回路の最大出力である必要はなく、呼出時の明るさと最大の明るさとの中間値を居住者が操作部26にて適宜に設定できる。
【0020】
一方、居住者がインターホン親機21の異常報知部27を操作したときには、親機CPU22が子機CPU12に異常時調光指令を送信する。この異常時調光指令は、緊急を要するため、白色LED17を呼出時と同等の明るさまたはそれ以上に明るい明るさで点灯させる制御値を含み、この調光指令に応答し、子機CPU12は、白色LED17の輝度が最大またはその近くとなるように、玄関子機11の調光回路を制御する。
【0021】
したがって、この実施形態のインターホンシステム1によれば、来訪者が居住者を呼び出したときに、呼出時調光指令により玄関子機11の白色LED17を相対的に明るく点灯させ、カメラ13の映像を鮮明にし、居住者にモニタ23の表示を見易くすることができ、居住者が通話ボタン25をONしたときには、通話時調光指令によって白色LED17を相対的に暗く点灯させ、来訪者が眩しさを感じることなく子機マイク15に接近して通話でき、さらに、居住者が異常報知部27を操作したときに、異常時調光指令によって白色LED17を最も明るく点灯させることができるなど、インターホン親機11からの多様な明るさ変更通知により、白色LED17の明るさを簡易に調整することができる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、白色LED17に代えて黄色、赤色または青色LEDを含む各種の照明灯を使用するなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成または制御手順を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 インターホンシステム
11 玄関子機
12 子機CPU
13 カメラ
14 呼出ボタン
15 子機マイク
16 子機スピーカ
17 白色LED
21 インターホン親機
22 親機CPU
23 モニタ
25 通話ボタン
26 操作部
27 異常報知部