(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5856987
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】パワートレインモジュール
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20160128BHJP
B60K 17/02 20060101ALI20160128BHJP
B60K 17/10 20060101ALI20160128BHJP
F16H 41/24 20060101ALI20160128BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20160128BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20160128BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20160128BHJP
【FI】
B60K6/40ZHV
B60K17/02 F
B60K17/10 G
F16H41/24 B
B60K6/48
B60K6/387
B60K6/26
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-16737(P2013-16737)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154870(P2013-154870A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】13/362,037
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503136222
【氏名又は名称】フォード グローバル テクノロジーズ、リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ アナトール フレイト
(72)【発明者】
【氏名】キース エー.デブロー
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−126460(JP,A)
【文献】
特開2006−137406(JP,A)
【文献】
米国特許第06258001(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0240430(US,A1)
【文献】
米国特許第06340339(US,B1)
【文献】
国際公開第2013/114731(WO,A1)
【文献】
特表2002−523275(JP,A)
【文献】
特開2009−101730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、
前記入力部を支持するバルクヘッドと、
トルクコンバータケースが駆動可能に接続されたロータサポートと、
前記バルクヘッドに支持されたステータと、前記ロータサポートに接続されたロータとを含む電動機械と、
前記入力部と前記ロータサポートとの間の駆動接続を交互に開閉するクラッチと、
前記入力部に支持され、前記クラッチを作動させるサーボ機構とを備え、
前記ロータサポートは、
前記ロータと前記クラッチとに固定された管と、
前記管に固定されるとともに、第2ベアリングによって前記バルクヘッドに支持されて回転する脚部をさらに含み、
前記入力部に駆動可能に接続されたクラッチハブをさらに備え、
前記クラッチは、
前記クラッチハブに固定された複数の第1板と、
前記管に固定された複数の第2板と、
前記クラッチハブによって形成されたシリンダとをさらに含み、
前記サーボ機構は、
前記入力部の近傍に位置し、前記入力部に支持されるバランスダムと、
前記入力部に支持されるとともに前記シリンダ内で移動可能であり、前記第1板および第2板を互いに摩擦係合させることによって前記クラッチを係合させるピストンと、
前記入力部に支持されるとともに、前記ピストンを前記第1および第2板から離して前記第1および第2板の係合を互いに解消させることによって前記クラッチを切り離すリターンスプリングとをさらに含み、
前記クラッチハブは、前記サーボ機構を支持し、
前記入力部および前記クラッチハブに形成され、油圧によって前記サーボ機構と連通する複数の油圧ラインをさらに備えることを特徴とするパワートレインモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のパワートレインモジュールにおいて、
前記入力部に接続されるとともに、エンジン出力部に接続可能なダンパをさらに備え、
前記ダンパは、前記エンジン出力部と前記入力部との間のトルク伝達経路に位置することを特徴とするパワートレインモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のパワートレインモジュールにおいて、
前記バルクヘッドに嵌合して前記入力部の回転を支える第1ベアリングをさらに備えることを特徴とするパワートレインモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のパワートレインモジュールにおいて、
前記バルクヘッドおよび前記脚部に固定されるレゾルバをさらに備えることを特徴とするパワートレインモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はハイブリッド電気自動車用パワートレインに関し、特に、エンジン出力部と変速機入力部との間に設置・固定が可能なパワートレインモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle, HEV)は内燃エンジンと電動機械とを備えており、それらを交互にあるいは組み合わせて用いることによって車両を推進させる。ハイブリッド自動車に使用されるパワートレインには様々な種類があり、例えば、モータが自動パワートランスミッションのトルク変換入力部を駆動しているときに、エンジンが切離しクラッチによってモータに接続されるパラレル方式などがある。この変速機の出力部は、車両の従動二輪に連結された差動装置に接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
数あるエンジンのうちの一エンジンの出力部と数ある変速機のうちの一変速機の入力部との間にモジュールを設置・固定できるようにするために、様々なエンジンや変速機に使用できるモジュール式組立部品を備えたハイブリッド電気パワートレインが業界で求められている。この構成によると、組立て後のパワートレインは様々な車両に使用できる。モジュールは、油圧作動式の切離しクラッチ、電動機械、およびエンジンと電動機械とを結んで変速機入力部に至る適切なパワー経路を備えるべきである。モジュールは、変速機の油圧系統から、クラッチ、バランスダム、および電動機械へ油圧式伝達を提供するのが好ましい。モジュールは、当該モジュールに送られる油圧油を収納する油溜めと、その油圧油を変速機の油溜めに継続的に戻すことで、変速機ポンプに継続的に確実に油圧油を供給するための経路とを必ず備える。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造及び組立てが低コストで行われ、車体の改変を必要とせず、信頼性のあるパワートレインモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
パワートレインモジュールは、入力部と、前記入力部を支持するバルクヘッドと、
トルクコンバータケースが駆動可能に接続されたロータサポートと
、前記バルクヘッドに支持されたステータと前記ロータサポートに接続されたロータとを含む電動機械と、前記入力部に駆動可能に接続されたクラッチハブと、前記クラッチハブと前記ロータサポートとの間の駆動接続を交互に開閉するクラッチとを備える。
【0006】
トルクコンバータケースは、電動機械が稼働しておらずクラッチが係合している場合は、エンジンだけで駆動可能である。エンジンが稼働していない、または、稼働中のエンジンとクラッチとが切り離されている場合は、電動機械だけで駆動可能である。また、エンジンと電動機械の両方で同時に駆動可能である。
【0007】
好ましい実施形態の適用範囲は、以下の詳細な説明、請求項、および図面から明らかになるであろう。説明と具体例は、発明の好ましい実施形態を示すものだが、例示のためだけに行われることを理解すべきである。記載された実施形態と実施例への様々な変更や修正は当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】パワートレインモジュールとエンジン出力部との前方接続を示す側方断面図である。
【
図2】パワートレインモジュールと変速機のトルクコンバータ入力部との後方接続を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0010】
図1及び
図2は、ロータリー出力部(エンジン出力部)12を備えたエンジンを搭載したハイブリッド電気自動車用パワートレインのモジュール10と、前記エンジン出力部12に固定されたねじりダンパ14と、ダンパ14の出力部20にスプライン18で固定された入力シャフト16と、入力シャフト16にスプライン26で固定されたクラッチハブ24に支持された切離しクラッチ22と、前方バルクヘッド32にボルト留めされたステータ30、および、第1脚部36とトルクコンバータケース48とで支持されて軸39を中心に回転するロータ34を備えた電動機械28と、ケース48に直接固定されたロータサポート40とを示している。前記トルクコンバータケース48には、流体動力式のトルクコンバータ49が入っている。前記電動機械28は、電動モータまたは電動モータ発電機でもよい。
【0011】
パワートレインでの使用に適したトルクコンバータは、米国特許出願番号13/325、101(出願日2011年12月14日)に開示され、当該米国特許出願の
図4a、4b、5、12および15を参照しながら説明されている。当該米国特許出願の全開示を本明細書に援用する。
【0012】
前記トルクコンバータ49は、ケース48内に位置し当該ケース48に固定された羽根付インペラーホイールと、前記インペラーによって流体動力的に駆動され、自動変速機54の入力シャフト52にスプライン50で固定された羽根付タービンと、前記タービンとステータとの間に位置するとともに、ステータシャフト56に固定された羽根付ステータホイールとを備えている。ステータシャフト56は、回転に逆らうように変速機筐体58に保持されている。
【0013】
複数のボルト68によってエンジンのロータリー出力部12に固定されたフライホイール66にはエンジン始動ギア70が保持されている。このエンジン始動ギア70は、始動ギア70とフライホイール66とに溶接されたディスク72によって固定されている。
【0014】
ベアリング74は、前方バルクヘッド32において回転する前記第1脚部36を支持する。ベアリング76は、前記入力シャフト16において回転する前記トルクコンバータケース48を支持する。
【0015】
前記ロータサポート40は軸39と平行に並ぶ管78からなり、この軸を中心とするロータ34の回転を支えるとともに、前記第1脚部36とケース48とに固定されている。管78の前端に位置する唇部99は、径方向外方に延びるように設けることでロータ34を管78に固定し、ロータ34が管に対して軸方向に変位することを防止するようにしてもよい。管78の内面は軸方向スプライン80からなり、この軸方向スプライン80は切離しクラッチ22の交互の板83と係合する。クラッチ22の複数の摩擦板84は、クラッチハブ24の径方向外面に形成された軸方向スプラインによって固定されている。
【0016】
クラッチ22を作動させる油圧式サーボ機構は、ピストン86と、バランスダム88と、リターンスプリング90と、作動圧を、ピストン86の右側に位置する圧力バランス室92と該ピストンの左側に位置する圧力制御室94とに送る複数の油圧ラインとを備える。ピストン86は、作動圧と油圧油とが圧力バランス室92に供給されるときに、反応壁88(バランスダムと呼ばれる場合もある)と切離しハブ41とに囲まれたシリンダ内を左に移動する。その結果、クラッチ22が係合し、ダンパ14、入力シャフト16、クラッチハブ24およびクラッチ22を介して、ロータ34とエンジン出力部12とが駆動可能に接続される。
【0017】
前記クラッチハブ24はスプライン26によって入力シャフト16と切離しハブ41とに固定されており、また、ピストン86とバランスダム88とリターンスプリング90とはクラッチハブ24に支持されているので、ピストン86、バランスダム88、クラッチハブ24およびリターンスプリング90の回転慣性は入力部側、即ち、クラッチ22のエンジン側に位置する。
【0018】
ロータ34は、管78、トルクコンバータケース48、および、トルクコンバータインペラーと変速機入力シャフト52に接続されたタービンとの間の流体駆動接続部からなるトルク経路を介して、変速機入力シャフト52に連続的に駆動可能に接続されている。
【0019】
レゾルバ100は、回転角を測定するための高性能タイプの回転機械であり、複数のボルト102によって前記前方バルクヘッド32に固定されるとともに、前方バルクヘッド32に支持され、また、第1バルクヘッドとトルクコンバータケース48との軸方向間に位置する。
【0020】
入力シャフト16には軸方向に延びる油圧通路が形成されている。この軸方向に延びる油圧通路は側方に延びる通路と連通し、油圧油と圧力とを変速機54の油圧系統からモジュール10に運ぶ。軸通路120と側方通路122は、油圧油と圧力を反応壁88とピストン86との間の圧力制御室94に運ぶ。軸通路124と径方向通路126は、油圧油を圧力バランス室92に運ぶ。前記前方バルクヘッド32には通路128が形成されており、この通路128は可変力ソレノイド(Variable Force Solenoid、VFS)130と油圧接続されている。その他の通路は、油圧油をロータ34およびステータ30の表面に運ぶ。それら表面はこの油圧油によって冷却される。
【0021】
前方バルクヘッド32は、変速機54の油圧系統からモジュール10に供給された油圧油を収納する油溜め132を支持している。変速機54は、変速機ポンプ134によって変速機油圧系統へ供給された油圧油を収納する油溜め136を含む。この変速機油圧系統から、油圧油と制御圧が、モジュール10、トルクコンバータ49、変速機クラッチ、およびブレーキ、ベアリング、シャフト、ギアその他へ供給される。
【0022】
前方バルクヘッド32に嵌合するベアリング140とベアリング76とが、軸39を中心に回転する入力シャフト16を支持する。前方バルクヘッド32は、ロータ34を基準にした軸方向および径方向の適切な場所においてステータ30も支持する。
【0023】
前方バルクヘッド32に嵌合するシール142は、モジュール10から油圧油が通過するのを防止する。別の運動用シール144は、エンジンコンパートメント146とモジュール10との間を汚染物質が通過するのを防止する。
【0024】
モジュール10の構成要素は、設置されてモジュールに組立てられる。組立て後のモジュールは、エンジン出力部12とトルクコンバータケース48との間に設置・接続することができる。
【0025】
ポンプ54のベアリング98は、トルクコンバータケース48を支持するとともに、軸39に対してロータ34を位置決めする。
【0026】
運転時において、エンジンによってエンジン出力部12が駆動されると、クラッチ22が係合している場合には、トルクがロータサポート40を介してエンジンからトルクコンバータケース48に伝えられる。電動機械28のロータ34は、ロータサポート40の管78を介して、連続的に駆動可能にトルクコンバータケース48に接続されている。従って、トルクコンバータケース48は、電動機械28が稼働しておらずクラッチ22が係合している場合には、エンジンだけで駆動可能である。エンジンが稼働していない、または、稼働中のエンジンとクラッチとが切り離されている場合は、電動機械だけで駆動可能である。また、エンジンと電動機械の両方で同時に駆動可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るパワートレインモジュールは、製造及び組立てが低コストで行われ、車体の改変を必要とせず、信頼性のある用途等に適用することができる。