特許第5857039号(P5857039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5857039オルガノポリシロキサン、その製造方法、及びオルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5857039
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサン、その製造方法、及びオルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/20 20060101AFI20160128BHJP
   C08G 77/44 20060101ALI20160128BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20160128BHJP
   C08F 299/08 20060101ALI20160128BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20160128BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20160128BHJP
【FI】
   C08G77/20
   C08G77/44
   C08G77/50
   C08F299/08
   C08L83/07
   H01L33/00 420
【請求項の数】28
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2013-507624(P2013-507624)
(86)(22)【出願日】2012年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2012057969
(87)【国際公開番号】WO2012133432
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/058115
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 祐二
(72)【発明者】
【氏名】黒田 義人
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/133227(WO,A1)
【文献】 特表2005−523980(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/133229(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/024870(WO,A1)
【文献】 特開2004−331647(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/099099(WO,A1)
【文献】 特開2006−022207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00−77/62
C08F 299/00−199/08
C08L 83/00−83/16
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に1つ以上の不飽和結合含有基を含み、下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位F1、M1、Tのうち、
(i)F1とM1、
(ii)F1とT、
(iii)F1とM1とT、
の、いずれかの組み合わせの構成単位を有する、オルガノポリシロキサン。
【化1】

【化2】

【化3】

(一般式(1)〜(3)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、シクロヘキセニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基からなる群より選ばれる不飽和基結合含有基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
a、b、cはそれぞれ独立に1以上の整数を示す。
ここで、F1は環状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)〜(3)中、a、b、cが、下記式(I)を満足する、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン。
0.1≦a/(b+c)≦5 ・・・(I)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される構成単位F1中のRが、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基である、請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項4】
下記一般式(4)〜(6)で表される構成単位:D1、D2、D3のいずれかを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【化4】

【化5】

【化6】

(一般式(4)〜(6)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
ここで、D1、D2は環状オルガノポリシロキサンを構成する単位であり、D3は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。)
【請求項5】
下記一般式(7)で表される構成単位Sを含有し、当該一般式(7)で表される構成単位の含有量が、前記一般式(1)で表される構成単位F1の含有量に対して、下記式(II)を満たす請求項1乃至4のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
d/a ≦ 0.1 ・・・(II)
【化7】

(一般式(7)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。ここで、構成単位Sは環状又は鎖状オルガノポリシロキサンの構成単位を表す。)
【請求項6】
前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1のみを含有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項7】
前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1及び下記一般式(8)で表される構成単位F2を含有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
(なお、下記式(8)中、R21は、前記Rに含まれる。)
【化8】

(一般式(8)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、
Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
ここで、F2は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。)
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサンを0.1〜100質量部、さらに含有する、オルガノポリシロキサン。
【化9】

(一般式(9)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
eは1以上の整数を示し、
fは0以上の整数を示し、
e+fは3〜20の整数を示す。)
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、下記一般式(10)で表される化合物を0.01〜1000質量部、さらに含有するオルガノポリシロキサン。
【化10】

(一般式(10)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
gは1以上の整数を示し、hは0以上の整数を示し、
iは0〜20の整数を示す。)
【請求項10】
下記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサン及び下記一般式(10)で表される化合物を含有し、
【化11】

(一般式(9)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
eは1以上の整数を示し、
fは0以上の整数を示し、
e+fは3〜20の整数を示す。)
【化12】

(一般式(10)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
gは1以上の整数を示し、hは0以上の整数を示し、
iは0〜20の整数を示す。)
マトリックス支援イオン化飛行時間型質量分析法にて測定した際に得られるピーク強度から下記式(III)によって算出される、前記一般式(9)で表される化合物の含有量[WA]に対する前記一般式(10)で表される化合物の含有量[WB]の比:[WB]/[WA]の値が0.1以上20.0以下である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【数1】
【請求項11】
前記Rが炭素数1〜10のアルキル基である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項12】
前記Rがメチル基である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項13】
前記Rがアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を含み、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の官能基当量が、210〜2100g/モルである、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項14】
重量平均分子量が700〜5000000であり、25℃での粘度が50〜1000000mPa・sである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法であって、
下記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、
【化13】

(一般式(11)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、jは1以上の整数を示し、kは0以上の整数を示し、j+kは3〜20の整数である。)
さらに必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応を、
ヒドロシリル化反応触媒(d)の存在下で行う工程を有する、
オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項16】
前記付加反応を行う工程が、
前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)、
又は、
ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)
とを、含有する反応液を調製する工程と、
前記反応液にヒドロシリル化反応触媒(d)を加える工程と、
を、含む、請求項15に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項17】
前記付加反応を行う工程が、
前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)、及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)を含有する反応液を調製する工程と、
前記反応液に、ヒドロシリル化反応触媒(d)を加え、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)との付加体を生成させる工程と、
前記反応液に 前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有ジオルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)を加える工程と、
を、順次行う請求項15に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部と、
熱ラジカル発生剤0.5〜10質量部と、
を、含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項19】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部と、
光ラジカル発生剤0.5〜20質量部と、
を、含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項20】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、
シランカップリング剤0.1〜10質量部を、さらに含有する、請求項18又は19に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項21】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、
(d)ヒドロシリル化反応触媒0.001質量部以下を、さらに含有する、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項22】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、
無機酸化物0.1〜500質量部を、さらに含有する、請求項18乃至21のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項23】
請求項18乃至22のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を含む光半導体用封止材。
【請求項24】
請求項18乃至22のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を含む光半導体用ダイボンド材。
【請求項25】
請求項18乃至22のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を含むコーティング材。
【請求項26】
請求項18乃至22のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を含むナノインプリント用硬化性樹脂組成物。
【請求項27】
請求項18乃至22のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物と、着色剤と、を含むインク。
【請求項28】
請求項23に記載の光半導体用封止材を成形した光半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン、その製造方法及び前記オルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、透明な硬化物を形成し、発光ダイオード及びフォトダイオード等の光半導体素子の封止材料として好適であることが知られている。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の有機樹脂骨格のエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂組成物が、光半導体素子の分野において用いられている。
【0003】
しかし、近年の光半導体の高性能化が進むに従い、光半導体素子の封止材料に対しては、より優れた耐熱性、耐光性等が要求されており、前記従来公知のエポキシ樹脂組成物では、十分な特性が得られなくなってきている。
【0004】
上述した問題に鑑み、従来から各種光半導体用途の樹脂組成物に関する提案がなされている。
例えば、特定のシリコーン組成物をヒドロシリル化反応により硬化させる光半導体用途の熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、硬度を改善した特定のシリコーン組成物を光半導体用途へと適用する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、特定構造を有するオルガノポリシロキサンを含有する、光半導体用途の組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
さらにまた、メタアクリロキシ基含有シリコーン組成物を、光半導体用途へと適用する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
またさらに、エポキシ樹脂組成物を、感光性コーティング材やインク等に適用する技術として、脂環式エポキシ化合物とビニルエーテル化合物とを併用する技術が提案されている(例えば、特許文献5及び6参照。)。
また、エポキシ化合物とビニルエーテル化合物とを併用した材料に、更に特定のフェノール樹脂を含有させることにより、硬化物の機械特性を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−1358号公報
【特許文献2】特開2008−274185号公報
【特許文献3】特開2008−201851号公報
【特許文献4】特開2008−131009号公報
【特許文献5】特開平6−298911号公報
【特許文献6】特開平9−328634号公報
【特許文献7】特許第4235698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来提案されている技術は、下記のような問題点を有している。
特許文献1に提案されている熱硬化性樹脂組成物は、耐熱黄変性や耐光性は優れているが、硬化物の硬度が低いため傷が入りやすく取り扱いが困難である。また、ガスバリア性や基材への密着性も低く、光半導体用封止材用途へ好適に用いることができない。
特許文献2に提案されているシリコーン組成物は、硬度を高くするためにフェニル基を用いているが、そのフェニル基が耐熱黄変性や耐光性を低下させる原因となってしまうため、光半導体用封止材用途へ好適に用いることができない。
特許文献3に提案されている組成物は、硬度、密着性、及びガスバリア性においては優れているものの、基本骨格となるイソシアヌレートが耐熱黄変性、耐光性を低下させる原因となってしまうため、光半導体用封止材用途において必ずしも満足できるレベルには至っていない。
特許文献4に提案されているシリコーン組成物は、耐熱黄変性や耐光性は優れているものの、分子構造中に応力を緩和できる部位がないため、冷熱衝撃試験等の環境変化試験を行うと、硬化物にクラックが入ってしまう。すなわち、光半導体用途において、スイッチのON−OFFを繰り返すと樹脂にクラックが入り、断線トラブルに繋がってしまう。また、ガスバリア性や基材への密着性も満足できるレベルには至っていない。
特許文献5〜7に提案されている材料は、ガスバリア性と密着性は優れるものの、いずれも黄変を起こしやすいエポキシ樹脂組成物であるため、耐熱黄変性、耐光性の点で満足できるレベルには至っていない。
【0007】
上述したように、従来提案されている樹脂組成物は、硬度、ガスバリア性、耐熱黄変性、耐光性、耐冷熱衝撃性、及び基材への密着性の、全特性について、光半導体用途やコーティング材等の分野において要求されるレベルをバランス良く十分に満足する硬化物が得られていない。
【0008】
本発明は、硬度、ガスバリア性、耐熱黄変性、耐光性、耐冷熱衝撃性、及び基材への密着性の、全特性について、特に光半導体用途において要求されるレベルをバランス良く十分に満足する、硬化物を形成することが可能なオルガノポリシロキサン、その製造方法、及びそれを用いた硬化性樹脂組成物を提供し、さらには上記特性が必要とされる、光半導体用ダイボンド材、コーティング材、ナノインプリント用硬化性樹脂組成物、インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造のオルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕
1分子中に1つ以上の不飽和結合含有基を含み、下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位F1、M1、Tのうち、
(i)F1とM1、
(ii)F1とT、
(iii)F1とM1とT、
の、いずれかの組み合わせの構成単位を有する、オルガノポリシロキサン。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】
(前記一般式(1)〜(3)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
は炭素数2〜10の不飽和基結合含有基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
a、b、cはそれぞれ独立に1以上の整数を示す。
ここで、F1は環状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。)
【0015】
〔2〕
前記一般式(1)〜(3)中、a、b、cが、下記式(I)を満足する、前記〔1〕に記載のオルガノポリシロキサン。
0.1≦a/(b+c)≦5 ・・・(I)
【0016】
〔3〕
前記一般式(1)で表される構成単位F1中のRが、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のオルガノポリシロキサン。
【0017】
〔4〕
下記一般式(4)〜(6)で表される構成単位:D1、D2、D3のいずれかを有する、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
(前記一般式(4)〜(6)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
ここで、D1、D2は環状オルガノポリシロキサンを構成する単位であり、D3は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。)
【0022】
〔5〕
下記一般式(7)で表される構成単位Sを含有し、当該一般式(7)で表される構成単位の含有量が、前記一般式(1)で表される構成単位F1の含有量に対して、下記式(II)を満たす、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
d/a ≦ 0.1 ・・・(II)
【0023】
【化7】
【0024】
(前記一般式(7)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。ここで、構成単位Sは環状又は鎖状オルガノポリシロキサンの構成単位を表す。)
【0025】
前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1のみを含有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0026】
〔7〕
前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1及び下記一般式(8)で表される構成単位F2を含有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
(なお、下記式(8)中、R21は、前記Rに含まれる。)
【0027】
【化8】
【0028】
(前記一般式(8)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
ここで、F2は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。
【0029】
〔8〕
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、下記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサンを0.1〜100質量部、さらに含有する、オルガノポリシロキサン。
【0030】
【化9】
【0031】
(前記一般式(9)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、eは1以上の整数を示し、fは0以上の整数を示し、e+fは3〜20の整数を示す。)
【0032】
〔9〕
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、下記一般式(10)で表される化合物を0.01〜1000質量部、さらに含有するオルガノポリシロキサン。
【0033】
【化10】
【0034】
(前記一般式(10)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、gは1以上の整数を示し、hは0以上の整数を示し、iは0〜20の整数を示す。)
【0035】
〔10〕
下記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサン及び下記一般式(10)で表される化合物を含有し、
【0036】
【化11】
【0037】
(前記一般式(9)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、eは1以上の整数を示し、fは0以上の整数を示し、e+fは3〜20の整数を示す。)
【0038】
【化12】
【0039】
(前記一般式(10)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、gは1以上の整数を示し、hは0以上の整数を示し、iは0〜20の整数を示す。)
【0040】
マトリックス支援イオン化飛行時間型質量分析法にて測定した際に得られるピーク強度から下記式(III)によって算出される、前記一般式(9)で表される化合物の含有量[WA]に対する前記一般式(10)で表される化合物の含有量[WB]の比:[WB]/[WA]の値が、0.1以上20.0以下である、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0041】
【数1】
【0042】
〔11〕
前記Rが炭素数1〜10のアルキル基である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0043】
〔12〕
前記Rがメチル基である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0044】
〔13〕
前記Rが、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を含み、
アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の官能基等量が、210〜2100g/モルである、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0045】
〔14〕
重量平均分子量が700〜5000000であり、25℃での粘度が50〜1000000mPa・sである、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン。
【0046】
〔15〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法であって、
下記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、
【0047】
【化13】
【0048】
(一般式(11)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、jは1以上の整数を示し、kは0以上の整数を示し、j+kは3〜20の整数である。)
【0049】
さらに必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応を、
ヒドロシリル化反応触媒(d)の存在下で行う工程を有する、
オルガノポリシロキサンの製造方法。
【0050】
〔16〕
前記付加反応を行う工程が、
前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)、
又は、
ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)
とを、含有する反応液を調製する工程と、
前記反応液にヒドロシリル化反応触媒(d)を加える工程と、
を、含む、前記〔15〕に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【0051】
〔17〕
前記付加反応を行う工程が、
前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)、及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)を含有する反応液を調製する工程と、
前記反応液に、ヒドロシリル化反応触媒(d)を加え、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、必要に応じて前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)との付加体を生成させる工程と、
前記反応液に 前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有ジオルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)を加える工程と、
を、順次行う、前記〔15〕に記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【0052】
〔18〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部と、
熱ラジカル発生剤0.5〜10質量部と、
を、含有する硬化性樹脂組成物。
【0053】
〔19〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部と、
光ラジカル発生剤0.5〜20質量部と、
を、含有する硬化性樹脂組成物。
【0054】
〔20〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、シランカップリング剤0.1〜10質量部を、さらに含有する、前記〔18〕又は〔19〕に記載の硬化性樹脂組成物。
【0055】
〔21〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、(d)ヒドロシリル化反応触媒0.001質量部以下を、さらに含有する、前記〔18〕乃至〔20〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
【0056】
〔22〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、無機酸化物0.1〜500質量部を、さらに含有する、前記〔18〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
【0057】
〔23〕
前記〔18〕乃至〔22〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を含む光半導体用封止材。
【0058】
〔24〕
前記〔18〕乃至〔22〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を含む光半導体用ダイボンド材。
【0059】
〔25〕
前記〔18〕乃至〔22〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を含むコーティング材。
【0060】
〔26〕
前記〔18〕乃至〔22〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を含むナノインプリント用硬化性樹脂組成物。
【0061】
〔27〕
前記〔18〕乃至〔22〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物と、着色剤と、を含むインク。
【0062】
〔28〕
前記〔23〕に記載の光半導体用封止材を成形した光半導体パッケージ。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、硬度、ガスバリア性、耐熱黄変性、耐光性、耐冷熱衝撃性、及び基材への密着性の、全特性について、光半導体用途において要求されるレベルをバランス良く十分に満足する硬化物を形成することが可能なオルガノポリシロキサン及びそれを用いた硬化性樹脂組成物が得られる。
さらに、本発明によれば、上記特性を有する光半導体用封止材、光半導体用ダイボンド材、コーティング材、ナノインプリント用硬化性樹脂組成物、インク分野で有用な材料、及び前記光半導体用封止材を成形した光半導体パッケージを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0065】
〔オルガノポリシロキサン〕
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、1分子中に1つ以上の不飽和結合含有基を含み、下記一般式(1)〜(3)で表される構成単位F1、M1、Tのうち、
(i)F1とM1、
(ii)F1とT、
(iii)F1とM1とT、
の、いずれかの組み合わせの構成単位を有する、オルガノポリシロキサンである。
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
前記一般式(1)〜(3)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、
は炭素数2〜10の不飽和基結合含有基を示し、
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、
a、b、cはそれぞれ独立に1以上の整数を示す。
ここで、F1は環状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。
【0070】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、耐光性の観点から、下記一般式(4)〜(6)で表される構成単位:D1、D2、D3のいずれかを有する、オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0071】
【化17】
【0072】
【化18】
【0073】
【化19】
【0074】
前記一般式(4)〜(6)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び、置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
ここで、D1、D2は、環状オルガノポリシロキサンを構成する単位であり、D3は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。
【0075】
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(7)で表される構成単位Sを含有し、当該一般式(7)で表される構成単位Sの含有量が、前記一般式(1)で表される構成単位F1の含有量に対して、下記式(II)を満たすオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
d/a ≦ 0.1 ・・・(II)
下記一般式(7)で表される構成単位Sを多く含むと、溶媒留去時や保存時にSiHが不飽和結合と反応してゲル化するおそれがあるため、製品の安定な生産性や保存安定性の観点から、上記式(II)を満たすことが好ましい。
【0076】
【化20】
【0077】
前記一般式(7)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。
構成単位Sは、環状又は鎖状オルガノポリシロキサンの構成単位を表す。
【0078】
さらに、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、硬化物の硬度の観点からは、前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1のみを含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。これは、構成単位F1のみの場合、硬化物の架橋密度が高くなるためである。
なお、前記「Rを含有する構成単位」には、Rの下位概念であるR21を含有する構成単位である、下記一般式(8)〜(10)も含まれるものとする。すなわち、上記「前記Rを含有する構成単位として、前記一般式(1)で表される構成単位F1のみを含有する」とは、「一般式(1)で表される構成単位F1は有しているが、下記R21を含有する構成単位である一般式(8)〜(10)を含有していない」ことを意味している。
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、当該オルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物の粘度が低いことによる取扱性の観点からは、前記一般式(1)で表される構成単位F1及び下記一般式(8)で表される構成単位F2を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
これは、四官能のSiHの一部〜半分を二官能のSiHに置き換えたことにより、シロキサンの架橋構造の生成を抑制でき、粘度を低減化できるためである。
【0079】
【化21】
【0080】
前記一般式(8)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、R21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示し、Yは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。ここで、F2は鎖状オルガノポリシロキサンを構成する単位を表す。
【0081】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサンを、下記一般式(9)以外のオルガノポリシロキサン成分を100質量部としたとき、0.1〜100質量部、さらに含有することが好ましい。下記一般式(9)のような構造を含有することにより、硬化物の架橋密度が増加し、硬度及びガスバリア性が向上する。
下記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサンの含有量は、1〜90質量部がより好ましく、5〜80質量部がさらに好ましい。
【0082】
【化22】
【0083】
前記一般式(9)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示す。
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
eは1以上の整数を示す。
fは0以上の整数を示す。
e+fは3〜20の整数を示す。
【0084】
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(10)で表される化合物を、オルガノポリシロキサン成分を100質量部としたとき、0.01〜1000質量部、さらに含有することが好ましい。
一般式(10)で表される化合物を含むことにより、硬化物に柔軟性が付与され、耐冷熱衝撃性の向上を図ることができる。
下記一般式(10)で表される化合物の含有量は、0.03〜900質量部がより好ましく、0.05〜750質量部が、さらに好ましい。
【0085】
【化23】
【0086】
一般式(10)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。
21はアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を示す。
Xは炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
gは1以上の整数を示し、hは0以上の整数を示す。
iは0〜20の整数を示す。
【0087】
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、硬度、ガスバリア性と耐冷熱衝撃性のバランスの観点から、前記一般式(9)で表される環状オルガノポリシロキサン及び前記一般式(10)で表される化合物を含有し、マトリックス支援イオン化飛行時間型質量分析法にて測定した際に得られるピーク強度から下記式(III)によって算出される、前記一般式(9)で表される化合物の含有量[WA]に対する前記一般式(10)で表される化合物の含有量[WB]の比:[WB]/[WA]の値が、0.1以上20.0以下であることが好ましく、0.3以上18以下であることがより好ましく、0.5以上15以下であることがさらに好ましい。
【0088】
【数2】
【0089】
前記のように、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びオクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデカン基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、及びメシチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基;又は、これらの基の炭素原子に結合している水素原子の1部若しくは全部をヒドロキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、及び3,3,3−トリフルオロピル基等が挙げられる。
は、耐光性の観点から、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
また、Rは、本実施形態のオルガノポリシロキサン及び硬化性樹脂組成物の耐熱黄変性、耐光性の観点から、メチル基がより好ましい。
【0090】
前記のように、Rは、炭素数2〜10の不飽和結合含有基を示す。
例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−メチルプロペニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基等の不飽和鎖状炭化水素基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の不飽和環状炭化水素基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基等のエーテル結合含有不飽和炭化水素基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の不飽和脂肪酸エステル基が挙げられる。
これらの中で、後述する硬化性樹脂組成物としたときの反応性、すなわち熱硬化又は光硬化がしやすく速やかに反応が進行するという観点から、下記式(12)で表されるアクリロキシ基、又は下記式(13)で表されるメタクリロキシ基(これらをまとめて(メタ)アクリロキシ基という。)が好ましい。
【0091】
【化24】
【0092】
【化25】
【0093】
前記のように、Xは、炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
例えば、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CH(CH)CH−、−C(CH−等が挙げられ、特に−(CH−、−(CH−、−(CH−が原料の入手のし易さ及び反応性、すなわち熱硬化又は光硬化がしやすく速やかに反応が進行するという観点から好ましい。
【0094】
前記のように、Yは、炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示す。
例えば、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CH(CH)CH−、−C(CH−等が挙げられ、特に−(CH−、−(CH−、−(CH−が原料の入手のし易さ及び反応性、すなわち熱硬化又は光硬化がしやすく速やかに反応が進行するという観点から好ましい。
【0095】
上述したように、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、前記の構成単位のうち、(i)F1とM1、(ii)F1とT、(iii)F1とM1とT、のいずれかの組み合わせを構成単位として有している。
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、前記式(1)〜(3)中の、a、b、cが、下記式(I)を満足することが好ましい。
0.1≦a/(b+c)≦5 ・・・(I)
上記式(I)のa/(b+c)の値は、後述するオルガノポリシロキサンを用いた硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度の観点から0.1以上、耐熱黄変性と耐光性の観点から5以下であることが好ましい。
また、このような観点から、より好ましい範囲は0.12以上4以下、さらに好ましい範囲は0.15以上3以下である。
【0096】
本実施形態のオルガノポリシロキサンの具体例として、下記の化合物が挙げられる。
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】
【化28】
【0100】
【化29】
【0101】
【化30】
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】
【化35】
【0107】
【化36】
【0108】
【化37】
【0109】
【化38】
【0110】
【化39】
【0111】
【化40】
【0112】
【化41】
【0113】
【化42】
【0114】
【化43】
【0115】
前記式(13)〜(31)中、mは0〜2000の整数を表し、nは0〜20の整数を表し、rは0〜20の整数を表す。
【0116】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、耐光性の観点から、前記Rがメチル基であり、反応性の観点から、前記Rがアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基であり、原料の入手の容易さの観点から、前記Yが−(CH−又は−(CH−又は−(CH−であることが好ましい。
【0117】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、前記一般式(1)により表される構成単位F1中のRがアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基を含み、本実施形態のオルガノポリシロキサンに含まれている全アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の官能基当量は、後述するオルガノポリシロキサンを用いた硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱黄変性、耐光性の観点から210g/mol以上、硬度の観点から2000g/mol以下であることが好ましい。このような観点から、より好ましいアクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の官能基当量は250g/mol以上1500g/mol以下、さらに好ましくは300g/mol以上1000g/mol以下である。
なお、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の官能基当量は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0118】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、重量平均分子量が、後述するオルガノポリシロキサンを用いた硬化性樹脂組成物の硬化物の耐冷熱衝撃性の観点から700以上、硬度の観点から5000000以下であることが好ましく、1000以上3000000以下であることがより好ましく、1500以上1000000以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンは、オルガノポリシロキサンの25℃での粘度が、蛍光体や着色剤の分散安定性の観点から50mPa・s以上、作業性の観点から1000000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましい粘度は80mPa・s以上500000mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以上100000mPa・s以下である。
オルガノポリシロキサンの重量平均分子量及び粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0119】
〔オルガノポリシロキサンの製造方法〕
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、下記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、さらに必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応を、
ヒドロシリル化反応触媒(d)の存在下で行う方法により製造できる。
すなわち、前記(a1)と、必要に応じて前記(a2)と、前記(b1)と(c)の組み合わせ、又は(b2)と(c)の組み合わせ、との付加反応を、前記(d)の存在下で行う。
【0120】
【化44】
【0121】
前記一般式(11)中のRは、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、jは1以上の整数を示し、kは0以上の整数を示し、j+kは3〜20の整数である。
【0122】
前記一般式(11)で表される、1分子中に少なくとも1個のSiH基を持つハイドロジェンポリシロキサン(a1)としては、例えば、以下の式(32)、(33)又は(34)で表される化合物が挙げられる。
【0123】
【化45】
【0124】
【化46】
【0125】
【化47】
【0126】
前記ハイドロジェンポリシロキサン(a1)は、2種類以上の組合せでもよく、1種単独であってもよい。
【0127】
前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)としては、例えば、下記の式(35)、(36)、(37)又は(38)で表される化合物が挙げられる。
【0128】
【化48】
【0129】
【化49】
【0130】
【化50】
【0131】
【化51】
【0132】
ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサンとして、前記(a1)と前記(a2)とを任意の割合で組み合わせることにより、硬化物の硬度、ガスバリア性や本実施形態のオルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物の粘度を調節することができる。
前記(a1)の割合を多くすると、硬化物の硬度、ガスバリア性が向上し、前記(a2)の割合を多くすると、本実施形態のオルガノポリシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物の粘度を下げることができ取扱いが容易になる。
【0133】
前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)の例を下記に挙げる。
例えば、
CH=CHSi(Me)O−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−Si(Me)O−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)11−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)12−Si(Me)CH=CH
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)20−Si(Me)CH=CH
CH=CHCHSi(Me)O−Si(Me)CHCH=CH、及び
CH=CHCHSi(Me)O−Si(Me)O−Si(Me)CHCH=CHが挙げられる。
前記式中、Meはメチル基を示す。
ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)は、2種類以上の組合せでもよく、1種単独であってもよい。
【0134】
前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)の例を下記に挙げる。
例えば、
HO−Si(Me)O−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−Si(Me)O−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)11−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)12−Si(Me)−OH、
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)20−Si(Me)−OH、
が挙げられる。
前記式中、Meはメチル基を示す。
前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)は、2種類以上の組合せでもよく、1種単独であってもよい。
【0135】
前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)は、下記一般式(39)で表される。
【0136】
【化52】
【0137】
前記一般式(39)におけるRは炭素数2〜10の不飽和基結合含有基を示し、Rは炭素数1〜8の二価の炭化水素基である。
特に、Rの炭素数は1〜4が好ましい。これにより、ヒドロシリル化反応を確実に行うことができる。
一方、Rの4以下とすることにより、沸点を抑制でき、反応溶液から余剰の前記(c)を簡易に留去することができる。
前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)は、2種類以上の組合せでもよく、1種単独であってもよい。
【0138】
本実施形態のオルガノポリシロキサンの製造工程における、前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)の使用量(モル量)は、SiH基を残さず最後まで反応させる観点から、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)に由来するSiH基のモル量と、必要に応じて添加した前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)に由来するSiH基のモル量との和と、前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)のビニル基のモル量又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)の水酸基のモル量との差、すなわち、〔(a1)のSiH基のモル量+(a2)のSiH基のモル量〕−〔(b1)のビニル基のモル量又は(b2)の水酸基のモル量〕に対して、余剰に添加することが好ましい。
【0139】
具体的には、[1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)のモル量]/[((a1)、(a2)に由来するSiH基のモル量)−((b1)に由来するビニル基のモル量又は(b2)に由来する水酸基のモル量)]=1.2〜3.0が好ましい。
【0140】
前記ヒドロシリル化反応触媒(d)は、特に限定されず、従来公知のものを全て使用することができる。
例えば、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の、白金系触媒以外の白金族金属系触媒が挙げられる。
ヒドロシリル化反応触媒(d)は、2種類以上の組合せでもよく、1種単独であってもよい。
【0141】
ヒドロシリル化反応触媒(d)の量には特に制限はないが、一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、さらに必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
を、付加反応することにより得られる生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して、0.01〜100ppmとすることが好ましい。
前記ヒドロシリル化反応触媒(d)の量は、その添加効果を十分に得るという観点から0.01ppm以上が好ましく、コストの観点から100ppm以下が好ましい。
【0142】
また、ヒドロシリル化反応触媒(d)は、付加反応後に活性アルミナや活性炭等の吸着材によって除去することができる。
耐熱黄変性、耐光性の観点から、後述するヒドロシリル化反応触媒(d)の量は、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、更に必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又はケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応により得られた生成物、すなわちオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.001質量部以下が好ましい。
上記硬化性樹脂組成物中のヒドロシリル化反応触媒(d)の量は、後述する硬化性樹脂組成物を分析することにより測定できる。
【0143】
本実施形態のオルガノポリシロキサンの製造工程における上記付加反応は、通常、室温〜100℃で行うことができる。
前記Rが(メタ)アクリロキシ基の場合は、(メタ)アクリロキシ基が高温で反応し易くゲル化する可能性があるため、反応温度は40℃〜70℃が好ましい。
【0144】
上記付加反応は、必要に応じて溶剤中で行う。
溶剤としては、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン及びオクタン等の脂肪族系溶剤;メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル及び酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶剤;並びに、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;又はこれらの混合溶剤を使用することができる。
【0145】
付加反応の雰囲気は、空気中、不活性気体中のいずれでもよい。得られたオルガノヒドロポリシロキサンの着色が少ない点で、窒素、アルゴン、及びヘリウム等の不活性気体中が好ましいが、前記Rが(メタ)アクリロキシ基の場合は、(メタ)アクリロキシ基の重合反応を防止する目的で少量の酸素を導入することもできる。
前記Rが(メタ)アクリロキシ基の場合は、(メタ)アクリロキシ基の重合反応を防止する目的で、反応系に、フェノチアジン,ヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、及びキノン系化合物等の重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。このような重合禁止剤の種類と量は、それらの添加によってヒドロシリル化反応の進行を妨げることなく、(メタ)アクリロキシ基、すなわち、アクリロキシ基又はメタアクリロキシ基の重合反応を防止することができれば特に限定されない。
【0146】
付加反応終了後、反応混合物を水洗や活性炭処理等の一般的な方法によって付加反応触媒を除去することができる。余剰の1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)及び溶剤を使用した場合の溶剤等は、加熱及び/又は減圧下で留去して、上記一般式(1)〜(3)に表される構成単位F1、M1、Tのうち、
(i)F1とM1、
(ii)F1とT、
(iii)F1とM1とT、
の、いずれかの組み合わせの構成単位を有する、オルガノポリシロキサンが得られる。
【0147】
また、本実施形態のオルガノポリシロキサンの製造工程において、上記付加反応は、前記ハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、必要に応じて前記ハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)、
又は、
前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上含有するポリシロキサン(b2)及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)、
とを、含有する反応液を、あらかじめ調製しておき、当該反応液にヒドロシリル化反応触媒(d)を加えることで一括合成して実施できる。
【0148】
さらに、本実施形態のオルガノポリシロキサンの製造工程における上記付加反応は、第1段階として、前記ハイドロジェンポリシロキサン(a1)、必要に応じて前記ハイドロジェンポリシロキサン(a2)、及び1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)を含有する反応液を調製しておき、反応液にヒドロシリル化反応触媒(d)を加え、前記ハイドロジェンポリシロキサン(a1)、必要に応じて前記ハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)との付加体を生成させる工程を行い、次に、第2段階として、前記反応液に前記ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン(b1)、又は前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)を加える工程とを、順次行うことでも実施できる。
【0149】
〔硬化性樹脂組成物〕
(熱ラジカル発生剤)
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その一形態として、上述したオルガノポリシロキサンと、熱ラジカル発生剤とを含有する、いわゆる熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
前記熱ラジカル発生剤は、熱によって(メタ)アクリロキシ基をラジカル重合させるものであれば特に制限されない。
例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイドのような有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬製)2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬製)、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬製)等のアゾニトリル化合物;オクタノイルパーオキシド(パーロイルO、日本油脂製)、ラウロイルパーオキシド(パーロイルL、日本油脂製)、ステアロイルパーオキシド(パーロイルS、日本油脂製)、スクシニックアシッドパーオキシド(パーロイルSA、日本油脂製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日本油脂製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド(ナイパーCS、日本油脂製)、及び3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド(パーロイル355、日本油脂製)等のジアシルパーオキサイド類;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日本油脂製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日本油脂製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日本油脂製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日本油脂製)、及びジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日本油脂製)等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日本油脂製)、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日本油脂製)、等のヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂製)等のジアルキルパーオキサイド類;α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ダイパーND、日本油脂製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日本油脂製)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日本油脂製)2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日本油脂製)、及びt−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日本油脂製)、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(トリゴノックス121、化薬アクゾ製)、t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(カヤエステルAN、化薬アクゾ製)等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
熱ラジカル発生剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0150】
熱ラジカル発生剤の含有量は、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、さらに必要に応じてケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有する前記ハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又は前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応生成物である本実施形態のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。
熱ラジカル発生剤の含有量が0.5質量部以上であれば硬化性に優れ、10質量部以下であれば耐熱黄変性に優れる硬化性樹脂組成物及び硬化物が得られる。このような観点から、より好ましくは熱ラジカル発生剤の含有量は1質量部以上8質量部以下、さらに好ましくは2質量部以上5質量部以下である。
【0151】
(光ラジカル発生剤)
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その一形態として、上述したオルガノポリシロキサンと、光ラジカル発生剤とを含有する、いわゆる光硬化性樹脂組成物が挙げられる。
前記光ラジカル発生剤は、光によって(メタ)アクリロキシ基をラジカル重合させるものであれば特に制限されない。
具体的には、特公昭59−1281号公報、特公昭61−9621号公報、及び特開昭60−60104号公報等に記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号公報、及び特開昭61−243807号公報等に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号公報、特公昭44−6413号公報、特公昭44−6413号公報、及び特公昭47−1604号公報等、並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号明細書、米国特許第2,852,379号明細書、及び米国特許2,940,853号各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号公報、特公昭37−13109号公報、特公昭38−18015号公報、及び特公昭45−9610号公報等に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号公報、及び特開昭59−14023号公報等の各公報、並びに「マクロモレキュルス(Macromolecules)、第10巻、第1307頁(1977年)」に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号明細書、ヨーロッパ特許第126,712号明細書、及び「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)、第30巻、第174頁(1986年)」等に記載の金属アレン錯体、特開平6−213861号公報、及び特開平6−255347号公報に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)、第84巻、第85・第277頁(1988年)」、及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や、特開昭59−107344号公報に記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0152】
光ラジカル発生剤の含有量は、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、更に必要に応じて、前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又は前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応生成物である本実施形態のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.5〜20質量部とすることが好ましい。
光ラジカル発生剤の含有量が0.5質量部以上であれば硬化性に優れ、20質量部以下であれば耐光性に優れる硬化性樹脂組成物及び硬化物が得られる。このような観点から、光ラジカル発生剤の含有量は、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
【0153】
(その他の成分)
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、熱や紫外線等のエネルギーに対する硬化性を促進する(感度の向上)目的で、(メタ)アクリレートモノマー類やオリゴマー類及びビニル(メタ)アクリレート等のラジカル重合性化合物等を添加してもよい。
その他、本発明の範囲を逸脱しない量的質的範囲内で、劣化防止剤、離型剤、希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、可塑剤、及び界面活性剤等の添加剤を配合することができる。
【0154】
また、本実施形態の硬化性樹脂組成物においては、ガラス、金属、珪石等の無機材料、合成樹脂等の有機材料を含有させてもよい。なお、当該無機材料や有機材料を含有させる場合、当該硬化性樹脂組成物を構成するオルガノポリシロキサンの製造工程において、前記一般式(11)で表されるハイドロジェンポリシロキサン(a1)と、さらに必要に応じて、前記ケイ素原子に直接結合した水素原子を1個以上有するハイドロジェンポリシロキサン(a2)と、
i)前記ケイ素原子に直接結合したビニル基を2個以上有するビニル基含有オルガノポリシロキサン(b1)、又は前記ケイ素原子に直接結合した水酸基を2個以上有するポリシロキサン(b2)と、
ii)前記1分子中に不飽和結合を2個以上有する有機化合物(c)と、
の付加反応により得られる生成物にシランカップリング剤を配合させることが好ましい。
前記シランカップリング剤は、1つの分子中に、ガラス、金属、珪石等の無機材料と化学結合する反応基と、更に合成樹脂等の有機材料と化学結合する反応基又は有機材料と相溶性の良い置換基を有する化合物であれば特に制限されない。
【0155】
前記無機材料と化学結合する反応基としては、メトキシ基やエトキシ基等が挙げられる。
前記有機材料と化学結合する反応基としては、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタアクリル基、アクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。
前記有機材料と相溶性の良い置換基としては、イソシアヌレート基等が挙げられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学製)、ビニルトリエトキシシラン(KBE−1003、信越化学製)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303、信越化学製)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402、信越化学製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学製)、p−スチリルトリメトキシシラン(KBM−1403、信越化学製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−502、信越化学製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−502、信越化学製)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−503、信越化学製)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学製)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603、信越化学製)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学製)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学製)、3−トリエトキシシリル3−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(KBE−9103、信越化学製)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学製)、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(KBM−575、信越化学製)、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(KBE−585、信越化学製)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−802、信越化学製)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803、信越化学製)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE−846、信越化学製)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE−9007、信越化学製)、トリス−(3− トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(X−12−965、信越化学製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、これらシランカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。
シランカップリング剤の含有量が0.5質量部以上であれば密着性に優れ、10質量部以下であれば耐熱黄変性に優れる。このような観点から、シランカップリング剤の含有量は、より好ましくは0.7質量部以上8質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上5質量部以下である。
【0156】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、オルガノポリシロキサンの付加反応工程において、(d)ヒドロシリル化反応触媒を用いた場合、当該オルガノポリシロキサン100質量部に対して、(d)ヒドロシリル化反応触媒を0.001質量部以下、含有してもよい。
ヒドロシリル化反応触媒(d)は、上述したように、オルガノポリシロキサンの付加反応後に活性アルミナや活性炭等の吸着材によって除去することができる。
(d)ヒドロシリル化反応触媒の含有量は、耐熱黄変性、耐光性の観点から、0.001質量部以下とすることが好ましく、0.0008質量部以下がより好ましく、0.0005質量部以下がさらに好ましい。
【0157】
また、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、本実施形態のオルガノポリシロキサンに、耐熱黄変性、耐光性、硬度、導電性、熱伝導性、チキソ性、及び低熱膨張性の改良等を目的として、必要に応じて無機酸化物に代表されるフィラーを含有してもよい。
フィラーとしては、シリカ(ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及び沈降性シリカ等)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、チタニア及びチタン酸バリウム等の無機酸化物又は無機窒化物、ガラス、セラミックス、銀粉、金粉、及び銅粉等が挙げられる。
フィラーは表面処理をしているか又はしていない状態で使用することができ、表面処理をしていると、硬化性樹脂組成物の流動性が高まり、充填率を上げることができ、工業的に好ましい。
表面処理した微粒子無機フィラーとしては、例えば、メトキシ化、トリメチルシリル化、オクチルシリル化、又はシリコーンオイルで表面処理したものが挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物における無機酸化物の含有量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜500質量部である。
【0158】
〔硬化物〕
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、硬化前は、液状又は固形であり、所定の処理を施すことにより硬化物を作製することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物中に上述した熱ラジカル発生剤を含有させた場合、加熱処理を施すことにより、硬化物が得られる。硬化温度は通常100〜250℃である。
硬化性樹脂組成物の硬化方法、成形方法は、特に限定されない。硬化性樹脂組成物が液状の場合は、例えば、注型、低圧トランスファ成形、ポッティング、ディッピング、加圧成形、及び射出成形によって成形することができる。
硬化性樹脂組成物が固形の場合は、プレス機、低圧トランスファ成形機等を用いて加圧下で加熱硬化させて、成形することができる。
【0159】
本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物は、光半導体装置の封止材として好適に用いられる。
また、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、ダイボンディングペーストとして用いることができ、その硬化物は、ダイボンド材として用いることができる。
さらに、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物は、チップの周囲を被覆するコーティング材、レンズ材等の光半導体装置用途に好適に使用することができる。
この場合、光半導体としては、LEDランプ、チップLED、半導体レーザ、フォトカプラ、及びフォトダイオード等が挙げられる。
【0160】
また、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物を、光半導体の封止材として使用する前記光半導体装置は、ハウジング材と、当該ハウジング内に設けられたシリコンチップと、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物であり前記シリコンチップを封止する封止材とを具備する構成を有している。
前記ハウジング材の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフタルアミド等の芳香族ポリアミド、66ナイロン等のエニジニアリングプラスチック、セラミック等が挙げられ、ポリフタルアミドの場合、特に高い密着性が発現される。
前記ハウジング材にガラス繊維を含有させることにより接着強度が高くなり好ましい。前記ガラス繊維の含有量は、ハウジング材の質量を基準として、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。ガラス繊維の含有量がこれら数値範囲内にあると、密着性がより一層顕著に発揮される。
【0161】
上述したように、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、硬化前は液状又は固形であり、所定の光ラジカル発生剤を配合した場合は紫外線等のエネルギー線を照射することによって硬化物を作製することができる。
光ラジカル発生剤を配合した場合、硬化性樹脂組成物は、非加熱で高速に硬化することが要求される樹脂フィルム、基板等へのコーティング材としても好適に使用される。
例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)等に用いられる反射防止膜形成用コーティング材が挙げられる。
また、特に前記反射防止膜形成用コーティング材として使用する場合、屈折率1.4以下の硬化膜を形成するために、硬化性樹脂組成物には、空隙が形成された多孔質微粒子を含有することが好ましい。
前記多孔質微粒子としては、平均粒径が5nm〜1μmであるシリカ粒子が挙げられ、硬化膜の透明性の観点から、5〜100nmの平均粒径を有するシリカ粒子が好ましい。具体的な市販品としては、親水性又は表面を疎水化処理したフュームドシリカである「アエロジル」(商品名、日本アエロジル社製)や、シリカ粒子が直鎖状に連結したパールネックレス状シルカゾルである「スノーテックスPS」(商品名、日産化学社製)等が挙げられる。これらの多孔質微粒子は、硬化性樹脂組成物100質量部に対し、多孔質微粒子の合計が10〜70質量部の範囲で添加して用いることが好ましく、ホモジナイザー等を用いて硬化性樹脂組成物内に均一に分散させることが好ましい。
本実施形態の硬化性樹脂組成物をコーティング材として使用する場合の、硬化膜の形成方法としては、透明な基材(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、及びトリアセチルセルロースの樹脂基材や、ガラス等の無機材料)の表面上に本実施形態の硬化性樹脂組成物を含むコーティング材を塗布し、塗膜を光硬化することにより、反射防止膜や傷防止膜等として厚さ10nm〜1μmの硬化膜を形成させる方法が挙げられる。
基材上への塗布にあたっては、比較的薄膜を高い精度で形成する必要があることから、マイクログラビア法、ロールコート法、フローコート法、スピンコート法、ダイコート法、キャスト転写法、及びスプレーコート法等が用いられる。
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて粘度調整のために溶剤等を用いて希釈してもよいし、多孔質微粒子等を含んだゾルの形態としてもよい。溶剤等を用いて希釈した場合、及び多孔質微粒子等を含んだゾルの形態で用いた場合には、事前に溶剤成分を揮散させるために、硬化前に、50〜150℃で数分程度の加熱を行ってもよい。
【0162】
本実施形態の硬化性樹脂組成物に着色剤を添加することによって、硬化性インクとすることができる。
前記着色剤としては、有機顔料、無機顔料の種々のものが使用可能である。例えば、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトボン及び酸化アンチモン等の白色顔料;アニリンブラック、鉄黒、及びカーボンブラック等の黒色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、ハンザイエロー(100、50、30等)、チタンイエロー、ベンジンイエロー、及びパーマネントイエロー等の黄色顔料;クロームバーミロオン、パーマネントオレンジ、バルカンファーストオレンジ、及びインダンスレンブリリアントオレンジ等の橙色顔料;酸化鉄、パーマネントブラウン、及びパラブラウン等の褐色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、チオインジゴレッド、PVカーミン、モノライトフェーストレッド、及びキナクリドン系赤色顔料等の赤色顔料;コバルト紫、マンガン紫、ファーストバイレット、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;群青、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー及びインジゴ等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、エメラルドグリーン、ナフトールグリーン、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、及びポリクロルブロム銅フタロシアニン等の緑色顔料;その他各種蛍光顔料、金属紛顔料、及び体質顔料等が挙げられる。これらの着色剤の量は、硬化性樹脂組成物の全量に対して、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。
【0163】
硬化性インクには、着色剤とともに、必要に応じて顔料分散剤を用いてよい。
顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の活性剤;スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、及びフマル酸誘導体から選ばれる2種以上の単量体からなるブロック共重合体又はランダム共重合体、及びこれらの塩等が挙げられる。
硬化性インクにおける着色剤の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、及びペイントシェーカー等の各種分散機を用いる方法が挙げられる。
なお、硬化性インク中の顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離機又はフィルターを用いて所定の処理を施してもよい。
前記着色剤として顔料インクを用いる場合、顔料インク中の顔料粒子の平均粒径は、硬化性インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性等を考慮して選択するが、光沢向上、質感向上の観点から顔料粒子の平均粒径を適宜選択することが好ましい。
【0164】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その耐熱黄変性や高い透明性を活かして、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、及びプロジェクター用レンズ等のレンズ材料、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、ナノインプリント用硬化性樹脂等、各種光学部材にも好適に使用される。
【0165】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、光半導体用封止材としても用いることができ、その硬化物は、半導体パッケージ用の透明樹脂として好適であり、前記光半導体用封止材を成形することにより半導体パッケージが得られる。
前記光半導体用封止材は、プラズマ処理後にプライマー処理された被処理物に、直接ディスペンサーやスピンナー等の塗布装置を用いて塗布することにより形成される。
当該塗布された光半導体用封止材は、硬化させたり、成型機等を用いて硬化させたりしてもよい。
【実施例】
【0166】
以下、具体的な実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例においては以下の方法により測定及び評価を行った。
【0167】
<(1)SiHの反応率の算出>
サンプリングした反応溶液(後述する実施例、比較例中のオルガノポリシロキサン合成における反応溶液であって、反応開始から72時間経過後の溶液)0.05gを重水素化クロロホルム溶媒1gに溶解して測定試料とした。
この測定試料を用いて、400MHz(日本分光社製α−400)の、H NMRの測定を積算回数100回にて行い、得られた結果を解析した。
SiHの反応率は、反応前と反応後のSi−CHに由来する0.2ppmのピークとSiHに由来する4.6ppmのピークとの面積比を求め、下記式に従い、算出した。
SiHの反応率が98%以上である場合を◎、90%以上98%未満である場合を○、90%未満である場合を×と評価した。
SiHの反応率(%)=[((X1−Y1)/X1]×100
X1:反応前のピーク面積比
(反応前のSiHのピーク面積)/(反応前のSi−CHのピーク面積)
Y1:反応後のピーク面積比
(反応後のSiHのピーク面積)/(反応後のSi−CHのピーク面積)
【0168】
<(2)分子構造の同定>
後述する実施例、比較例において作製したオルガノポリシロキサン(A1)〜(A17)のサンプル20mgに対して、1gの割合で重水素化クロロホルム溶媒に溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、日本分光社製α−400でH NMRの測定を積算回数200回にて行い、得られた結果を解析した。
サンプル0.3gに対して、1gの割合で重水素化クロロホルム溶媒に溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、日本分光社製α−400で13C NMRの測定を積算回数20000回にて行い、得られた結果を解析した。
サンプル0.15gに対して、1gの割合で重水素化クロロホルム溶媒に溶解し、Cr(acac)をシリコーンに対して8質量%添加した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、日本分光社製α−400で29Si NMRの測定を積算回数4000回にて行い、得られた結果を解析した。
H NMR、13C NMR及び29Si NMRにより得られた結果を解析して、オルガノポリシロキサン(A1)〜(A17)の分子構造を同定した。
【0169】
<(3)(メタ)アクリロキシ基の官能基当量の算出>
後述する実施例、比較例において作製したオルガノポリシロキサン(A1)〜(A17)のサンプル30mgに対して、1gの割合で重水素化クロロホルム溶媒に溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、日本分光社製α−400でH NMRの測定を積算回数200回にて行い、得られた結果を解析してオルガノポリシロキサン1分子中の平均組成を求めた。
サンプル0.15gに対して、1gの割合で重水素化クロロホルム溶媒に溶解し、Cr(acac)をシリコーンに対して8質量%添加した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、日本分光社製α−400で29Si NMRの測定を積算回数4000回にて行い、得られた結果を解析してオルガノポリシロキサン1分子中の平均組成を求めた。
H NMR及び29Si NMRにより得られた結果を解析して、(メタ)アクリロキシ基の官能基当量(官能基1モル当たりの質量)を算出した。
【0170】
<(4)重量平均分子量の算出>
後述する実施例、比較例において作製したオルガノポリシロキサン(A1)〜(A17)の測定用サンプル100mgに対して、2gの割合でクロロホルム溶媒に溶解し、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
カラム温度40℃にて、溶離液(クロロホルム)を流量1mL/分の条件下で、カラム[カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TskguardcolumnH時間−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G5000H時間、及び東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G3000H時間、東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G1000H時間の各1本ずつを直列に配置]に通した。また、Polymer Laboratories社製の分子量7,500,000、2,560,000、841,700、320,000、148,000、59,500、28,500、10,850、2,930、580の、分子量既知の単分散ポリポリスチレン標準物質、及びスチレンモノマー(分子量104)のRI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成した。
測定試料溶液の溶出時間と検出強度から、上記の検量線を用いて分子量を算出した。
【0171】
<(5)粘度測定>
後述する実施例、比較例において作製したオルガノポリシロキサン(A1)〜(A17)の測定用サンプルに対し、東機産業社製TVE−22Hを用い、温度25℃における粘度を測定した。
【0172】
<(6)一般式(9)で表される化合物の含有量[WA]に対する一般式(10)で表される化合物の含有量[WB]の比([WB]/[WA])の算出>
[WA]及び[WB]の値は、オルガノポリシロキサンのマトリックス支援イオン化飛行時間型質量分析法(以下、MALDI−TOF/MS)にて測定を行って得られる一般式(9)及び一般式(10)の各々の構造に該当する質量と、ナトリウムの質量23とを合計した質量に該当するピークの強度を表す。
なお、一般式(9)及び一般式(10)の各々の構造に該当する質量とは、前記の構造を構成する元素が同位体を有する場合には、各々の元素の同位体の質量の内、最も存在率の大きな同位体の質量を用いて算出された値のことをいう。
また、一般式(9)及び(10)に相当するピークが複数個存在する場合には、一般式(9)の構造を有する化合物の含有量[WA]及び一般式(10)で表される化合物の含有量[WB]は、各々の構造に相当するピーク強度の合計値とした。
ただし、一般式(9)及び一般式(10)の各々の構造に該当する質量とナトリウムの質量23とを合計した質量に該当するピークの最大強度に対して、3%以下の強度を有するピークの強度は、ピーク強度の合計値の算出からは除外した。
MALDI−TOF/MSの測定方法は以下の方法により行った。
<MALDI−TOF/MSの測定方法>
室温にて0.1gの後述する実施例、比較例において作製したオルガノポリシロキサン(A5)(A6)(A11)(A12)を100mLのテトラヒドロフランに溶解した溶液と、10mgのジスラノールを1mLのテトラヒドロフランに溶解した溶液とを、室温にて体積比で1対1の割合で均一に混合して溶液aを作製した。次いで、10mgのヨウ化ナトリウムを10mLのアセトンに溶解した溶液1μLを乗せたサンプルプレートに溶液aを1μL滴下し、室温にて溶媒を蒸発後、下記測定条件でMALDI−TOF/MSにて測定を行った。
(測定条件)
装置 :島津 AXIMA CFRplus
レーザー :窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:正イオン(ポジティブモード)
積算回数 :500回
【0173】
<(7)耐熱黄変性>
後述する実施例、比較例において作製した硬化物の測定用サンプルとして、厚さ3mmの硬化物を用い、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。
次に、当該硬化物をアルミホイルに包み、空気下で150℃、150時間加熱処理を行った。その後、再びコニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。
この加熱処理前後におけるYIの変化をΔYIとし、ΔYIが1.0未満を◎、1.0以上3.0未満を○、3.0以上を×と評価した。
【0174】
<(8)耐光性>
後述する実施例、比較例において作製した硬化物の測定用サンプルとして、厚さ3mmの硬化物を用い、コニカミノルタ社製、分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。
次に、当該硬化物を50℃一定にした恒温乾燥機中にセットし、365nmバンドパスフィルターを備えたUV照射装置(ウシオ電機社製、商品名:SP−7)を用いて、365nmにおける照度4W/cmで100時間照射した。
その後、再びコニカミノルタ社製分光測色計CM−3600d(商品名)でYI(黄色度)を測定した。このUV照射前後におけるYIの変化をΔYIとし、ΔYIが1.0未満を◎、1.0以上3.0未満を○、3.0以上を×と評価した。
【0175】
<(9)耐冷熱衝撃性>
20mm×20mm×2mmの平板の中央に10mmφ深さ1mmの窪みの施したポリフタルアミド樹脂(ソルベイ社製アモデル4122)の成形体であるハウジング材内に5mm×5mm×0.2mmのシリコンチップを配置した。
次に、実施例1〜17、比較例1〜6で作製した硬化性樹脂組成物を注型し、加熱又は光硬化して、シリコンチップを封止する硬化物(封止材)を形成させ、光半導体装置の試験片を得た。
得られた試験片をエスペック社製小型冷熱衝撃装置TSE−11で室温〜−40℃(15分)〜120℃(15分)〜室温を1サイクルとして、剥離が発生するまでの回数を目視で観察した。
100回サイクル以上剥離が発生しなかったものを◎、50回以上100回未満で剥離が発生したものを○、50回未満で剥離が発生したものを×とした。
【0176】
<(10)硬度>
後述する実施例、比較例において作製した硬化物の測定用サンプルとして、長さ35mm×幅8mm×厚さ2mmの硬化物を用い、アントンパール社製MCR−301で−120℃から150℃(昇温速度2℃/分)における動的粘弾性を測定した。
硬度は30℃におけるG’(貯蔵弾性率)の数値が、10以上であるとき◎、10以上10未満であるとき○、10未満であるとき×と評価した。
【0177】
<(11)密着性>
20mm×20mm×2mmの平板の中央に10mmφ、深さ1mmの窪みが形成されたポリフタルアミド樹脂(ソルベイ社製アモデル4122)の型枠内に、実施例1〜17、比較例1〜6で作製した硬化性樹脂組成物を注型し、加熱又は光硬化して試験片を得た。
得られた試験片をエスペック社製小型冷熱衝撃装置TSE−11で室温〜−40℃(15分)〜120℃(15分)〜室温を1サイクルとして、剥離が発生するまでの回数を目視で観察した。
100回サイクル以上剥離が発生しなかったものを◎、50回以上100回未満で剥離が発生したものを○、50回未満で剥離が発生したものを×とした。
【0178】
<(12)ガスバリア性>
後述する実施例、比較例において作製した硬化物の測定用サンプルとして、厚さ0.2mmの100mm×100mmの硬化物を用い、イリノイ社製、酸素透過率測定装置Model8001にて、温度23℃、乾燥条件化にて酸素透過率を測定した。酸素透過率が500cc/m/day未満を◎、500cc/m/day以上1000cc/m/day未満を○、1000cc/m/day以上を×と評価した。
【0179】
〔実施例1〕
<不飽和結合含有基を有するオルガノポリシロキサン(A1)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン27g(0.1モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−1)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン242g(0.3モル)、
(c)成分として6−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン101g(0.9モル)、
トルエン1600g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH2=CHSi(Me)2O−(Si(Me)2O)−Si(Me)CH=CH… (B1−1)
なお、前記平均組成式(B1−1)中、Meは、メチル基を表す(本明細書中の実施例、及び比較例において示す平均組成式においても同様とする。)。
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は98%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(40)で表される不飽和結合含有基を有するオルガノポリシロキサン(A1)350gを得た。
得られた不飽和結合含有基を有するオルガノポリシロキサン(A1)は、(メタ)アクリロキシ基を有していなかったが、不飽和結合含有基の官能基当量は694g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は37500であり、25℃における粘度は2800mPa・sであった。
【0180】
【化53】
【0181】
前記式(40)中、mは平均10の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0182】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−17.2ppm
M1:+8.8ppm
T:−66.2ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
a/(b+c)の値は0.78であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0183】
<硬化物の製造と特性評価>
不飽和結合含有基を有するオルガノポリシロキサン(A1)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0184】
〔実施例2〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン27g(0.1モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−2)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン242g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート118g(0.9モル)、
トルエン1600g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−2)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(41)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)370gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の官能基当量は714g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は38200であり、25℃における粘度は2600mPa・sであった。
【0185】
【化54】
【0186】
前記式(41)中、mは平均10の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0187】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
T:−66.2ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
a/(b+c)の値は0.78であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0188】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0189】
〔実施例3〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン16g(0.05モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−3)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン203g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート118g(0.9モル)、
トルエン1500g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−3)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は97%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(42)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)330gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)の官能基当量は626g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は34200であり、25℃における粘度は3500mPa・sであった。
【0190】
【化55】
【0191】
前記式(42)中、mは平均5の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0192】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
S:−32.3ppm
a/(b+c)の値は1.08であり、d/aの値は0.08であった。
【0193】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A3)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0194】
〔実施例4〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン41g(0.2モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−4)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン125g(0.2モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート76g(0.6モル)、
トルエン864g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−4)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(43)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)205gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)の官能基当量は600g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は19800であり、25℃における粘度は4500mPa・sであった。
【0195】
【化56】
【0196】
前記式(43)中、mは平均15の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0197】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
a/(b+c)の値は1.13であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0198】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A4)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0199】
〔実施例5〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン68g(0.3モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−5)で表される分子量186のビニルジメチルシロキシ末端ジメチルジシロキサン51g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート119g(0.9モル)、
トルエン795g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−5)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(44)、下記一般式(45)及び下記一般式(46)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)188gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)の官能基当量は350g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は16400であり、25℃における粘度は15000mPa・sであった。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)の[WB]/[WA]の値は1.7であった。なお、一般式(45)は一般式(9)に相当し、一般式(46)は一般式(10)に相当する。
【0200】
【化57】
【0201】
【化58】
【0202】
【化59】
【0203】
前記式(44)中、mは平均25の整数を示し、nは平均0の整数を示す。
【0204】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
D2:−19.8ppm
a/(b+c)の値は1.04であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0205】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A5)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0206】
〔実施例6〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン201g(0.8モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−6)で表される分子量186のビニルジメチルシロキシ末端ジメチルジシロキサン269g(1.4モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート97g(0.7モル)、
トルエン2138g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−6)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(47)、下記一般式(48)及び下記一般式(49)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)520gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)の官能基当量は1157g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は98600であり、25℃における粘度は26000mPa・sであった。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)の[WB]/[WA]の値は10.1であった。なお、一般式(48)は一般式(9)に相当し、一般式(49)は一般式(10)に相当する。
【0207】
【化60】
【0208】
【化61】
【0209】
【化62】
【0210】
前記式(47)中、mは平均30の整数を示し、nは平均0の整数を示す。
【0211】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
D2:−19.8ppm
a/(b+c)の値は0.16であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0212】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A6)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0213】
〔実施例7〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン24g(0.1モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン13g(0.05モル)及びテトラメチルシラン0.1g(0.002モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−7)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン119g(0.2モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート53g(0.3モル)、
トルエン768g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−7)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(50)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)180gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)の官能基当量は767g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は189800であり、25℃における粘度は45000mPa・sであった。
【0214】
【化63】
【0215】
前記式(50)中、mは平均50の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0216】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
T:−66.2ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
a/(b+c)の値は0.70であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0217】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A7)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0218】
〔実施例8〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン27g(0.1モル)、
(b2)成分として下記平均組成式(B1−8)で表される重量平均分子量760のヒドロキシジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン235g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート118g(0.9モル)、
トルエン1600g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)―OH …(B1−8)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は96%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(51)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)370gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)の官能基当量は703g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は34500であり、25℃における粘度は2500mPa・sであった。
【0219】
【化64】
【0220】
前記式(51)中、mは平均10の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0221】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm
D1及びD2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
S:−32.3ppm
a/(b+c)の値は1.33であり、d/aの値は0.09であった。
【0222】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A8)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表1に示す。
【0223】
〔実施例9〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン16g(0.05モル)、
(b2)成分として下記平均組成式(B1−9)で表される重量平均分子量760のヒドロキシジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン197g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート118g(0.9モル)、
トルエン1500g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH …(B1−9)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は97%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(52)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)325gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)の官能基当量は617g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は33200であり、25℃における粘度は3400mPa・sであった。
【0224】
【化65】
【0225】
前記式(52)中、mは平均5の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0226】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm
D3:−21.2ppm
S:−32.3ppm
a/(b+c)の値は1.75であり、d/aの値は0.08であった。。
【0227】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A9)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0228】
〔実施例10〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン41g(0.2モル)、
(b2)成分として下記平均組成式(B1−10)で表される重量平均分子量760のヒドロキシジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン122g(0.2モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート76g(0.6モル)、
トルエン864g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH …(B1−10)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は96%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(53)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)201gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサンの(A10)の官能基当量は591g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は19500であり、25℃における粘度は4200mPa・sであった。
【0229】
【化66】
【0230】
前記式(53)中、mは平均15の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0231】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm
D3:−21.2ppm
S:−32.3ppm
a/(b+c)の値は1.13であり、d/aの値は0.08であった。
【0232】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A10)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0233】
〔実施例11〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A11)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン68g(0.3モル)、
(b2)成分として下記平均組成式(B1−11)で表される分子量166のヒドロキシジメチルシロキシ末端ジメチルジシロキサン45g(0.3モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート119g(0.9モル)、トルエン795g、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH …(B1−11)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(54)、下記一般式(55)及び下記一般式(56)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A11)183gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A11)の官能基当量は340g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は17600であり、25℃における粘度は14500mPa・sであった。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A11)の[WB]/[WA]の値は1.9であった。なお、一般式(55)は一般式(9)に相当し、一般式(56)は一般式(10)に相当する。
【0234】
【化67】
【0235】
【化68】
【0236】
【化69】
【0237】
前記式(54)中、mは平均25の整数を示し、nは平均0の整数を示す。
【0238】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm。
a/(b+c)の値は1.00であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0239】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A11)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0240】
〔実施例12〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A12)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン201g(0.8モル)、
(b2)成分として下記平均組成式)(B1−12)で表される分子量166のヒドロキシジメチルシロキシ末端ジメチルジシロキサン240g(1.4モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート97g(0.7モル)、
トルエン2138g、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH …(B1−12)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は93%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(57)、下記一般式(58)及び下記一般式(59)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A12)490gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサンの(A12)の官能基当量は1094g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は99700であり、25℃における粘度は25500mPa・sであった。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A12)の[WB]/[WA]の値は9.6であった。なお、一般式(58)は一般式(9)に相当し、一般式(59)は一般式(10)に相当する。
【0241】
【化70】
【0242】
【化71】
【0243】
【化72】
【0244】
前記式(57)中、mは平均30の整数を示し、nは平均0の整数を示す。
【0245】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm
a/(b+c)の値は0.15であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0246】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A12)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0247】
〔実施例13〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A13)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン24g(0.1モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン13g(0.05モル)及びテトラメチルシラン0.1g(0.002モル)、
(b2)成分として下記平均組成式(B1−13)で表される重量平均分子量760のヒドロキシジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン116g(0.2モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート53g(0.3モル)、
トルエン768g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
HO−Si(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)−OH …(B1−13)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して40ppmとなる量添加した。
脱水素反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は97%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(60)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A13)170gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A13)の官能基当量は756g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は182100であり、25℃における粘度は42300mPa・sであった。
【0248】
【化73】
【0249】
前記式(60)中、mは平均50の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0250】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
T:−66.2ppm
D3:−21.2ppm
S:−32.3ppm
a/(b+c)の値は1.25であり、d/aの値は0.10であった。
【0251】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A13)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0252】
〔実施例14〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン96g(0.4モル)、
(a2)成分としてメチル1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン107g(0.8モル)、
(b1)成分として下記平均組成式(B1−14)で表される分子量186のビニルジメチルシロキシ末端ジメチルジシロキサン269g(1.4モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート97g(0.7モル)、
トルエン2138g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
CH=CHSi(Me)O−(Si(Me)O)−Si(Me)CH=CH…(B1−14)
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(61)及び下記一般式(62)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)520gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)の官能基当量は1300g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は11000であり、25℃における粘度は600mPa・sであった。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)は、原料の1分子中に少なくとも1個のSiH基を持つハイドロジェンポリシロキサン成分として(a1)と(a2)を共に用いた。そのことにより、得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)の架橋構造が低下したため、粘度を低下させることができた。
【0253】
【化74】
【0254】
【化75】
【0255】
前記式(61)中、mは平均30の整数を示し、nは平均0の整数を示し、rは平均0の整数を示す。
【0256】
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
D2:−19.8ppm
F2:+7.0ppm
a/(b+c)の値は0.16であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0257】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A14)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0258】
〔実施例15〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の製造>
第一段階の反応として、撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン27g(0.1モル)、
(c)成分として3−ブテニルメタクリレート40g(0.3モル)、
トルエン1600g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
第二段階の反応として、上述した第一段階の反応溶液に、(b1)成分として上記平均組成式(B1−1)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン242g(0.3モル)を添加し、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、上記一般式(41)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)360gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の官能基当量は714g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は38200であり、25℃における粘度は2600mPa・sであった。
Si NMR測定の結果、構成単位に相当する次に示すピークが観察された。
F1:−18.2ppm
M1:+8.8ppm
T:−66.2ppm
D2:−19.8ppm
D3:−21.2ppm
a/(b+c)の値は0.78であった。
S:−32.3ppmのピークは観察されず、d/aの値は0であった。
【0259】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)100質量部にtert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0260】
〔実施例16〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の製造>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)を、実施例2と同様の方法で製造した。
【0261】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)100質量部に、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASFジャパン社製、商品名:IRGACURE184)3質量部、2−メチル−1−[4−メチルチオ−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン社製、商品名:IRGACURE907)3質量部を混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物を、ガラス板(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)上にシリコン製のスペーサー(縦50mm×横50mm×高さ3mm)をセットして型枠とし、スペーサーの内部に硬化性組成物を流し込み、ガラス板で挟んだ。
その後、高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置(センエンジニアリング社製)を用いて、積算光量2000mJ/cmとなるように上記ガラス板側から露光した。
硬化は、温度:23℃、湿度:60%RHの環境で行った。
その後、型枠を外して硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0262】
〔実施例17〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)の製造>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)を、実施例2と同様の方法で製造した。
【0263】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A2)100質量部に、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−502、信越化学製)3質量部と、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表2に示す。
【0264】
〔比較例1〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A15)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン134g(1.0モル)、
3−ブテニルメタクリレート420g(3.0モル)、
トルエン1600g、
及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g(重合禁止剤)を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(63)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A15)405gを得た。
得られたメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A15)の官能基当量は415g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は400であり、25℃における粘度は150mPa・sであった。
【0265】
【化76】
【0266】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A15)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0267】
〔比較例2〕
<メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A16)>
下記一般式(64)で表されるメタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A16)として、信越化学製X22−164Cを用いた。
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A16)の官能基当量は2300g/molであり、GPC測定から算出した重量平均分子量は4500であり、25℃における粘度は3600mPa・sであった。
【0268】
【化77】
【0269】
<硬化物の製造と特性評価>
メタアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン(A16)100質量部に、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス121−50E、50質量%溶液)2.5質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で4時間、更に150℃で1時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0270】
〔比較例3〕
<エポキシ基含有オルガノポリシロキサン(A17)の製造>
撹拌装置、温度計、還流冷却器を取り付けた3.0Lの3つ口フラスコに、
(a1)成分として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン53g(0.2モル)、
(a2)成分としてメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン27g(0.1モル)、
(b1)成分として上記平均組成式(B1−1)で表される重量平均分子量780のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン242g(0.3モル)、
(c)成分としてビニルシクロヘキセンオキシド104g(0.9モル)、
トルエン1300g、を添加し、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら60℃に加温した。
その後、塩化白金酸のイソプロパノール溶液を、白金金属が、付加反応生成物であるオルガノポリシロキサンの重量に対して20ppmとなる量添加した。
ヒドロシリル化反応の開始を確認した後、この反応系を保温、水冷又は空冷によって55〜65℃に保ちながら、72時間攪拌した。
フラスコ内容物の分析を行ったところ、SiH基の反応率は99%であった。
その後、活性炭処理し、揮発成分を留去して、下記一般式(65)で表されるエポキシ基含有オルガノポリシロキサン(A17)310gを得た。
当該エポキシ基含有オルガノポリシロキサン(A17)は、不飽和結合含有基を有していなかった。
得られたエポキシ基含有オルガノポリシロキサン(A17)のGPC測定から算出した重量平均分子量は30500であり、25℃における粘度は5600mPa・sであった。
【0271】
【化78】
【0272】
前記式(65)中、mは平均10の整数を示し、nは平均8の整数を示す。
【0273】
<硬化物の製造と特性評価>
エポキシ基含有オルガノポリシロキサン(A17)100質量部に、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸60.5質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩1質量部を混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物を型枠に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で2時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0274】
〔比較例4〕
<硬化性樹脂組成物(A18)>
硬化性樹脂組成物(A18)は、光半導体封止材用硬化性樹脂として市販されている、信越化学製KER−2500を用いた。
【0275】
<硬化物の製造と特性評価>
市販のKER−2500AとKER−2500Bを100質量部ずつ混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で1時間、更に150℃で5時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0276】
〔比較例5〕
<硬化性樹脂組成物(A19)>
硬化性樹脂組成物(A19)は、光半導体封止材用硬化性樹脂として市販されている、信越化学製ASP−1010を用いた。
【0277】
<硬化物の製造と特性評価>
市販のASP−1010A(商品名、信越化学製)とASP−1010B(商品名、信越化学製)を100質量部ずつ混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で1時間、更に150℃で5時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0278】
〔比較例6〕
<硬化性樹脂組成物(A20)>
硬化性樹脂組成物(A20)は、光半導体封止材用硬化性樹脂として市販されている、カネカ製FX−001を用いた。
【0279】
<硬化物の製造と特性評価>
市販のFX−001A(商品名、カネカ製):40質量部とFX−001B(商品名、カネカ製):60質量部を混合し、全体が均一になるまで撹拌し、その後、脱泡して硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物をSUS316製の型枠に流し込み、100℃で1時間、150℃で1時間、更に180℃で0.5時間硬化反応を行い、硬化物を得た。
得られた硬化物の特性の評価結果を下記表3に示す。
【0280】
【表1】
【0281】
【表2】
【0282】
【表3】
【0283】
本実施形態のオルガノポリシロキサンは、分子構造中に前記一般式(1)〜(3)で表される構成単位F1、M1、Tのうち、
(i)F1とM1、
(ii)F1とT、
(iii)F1とM1とT、
の、いずれかの組み合わせの構成単位を有する。
構成単位F1、M1、Tを有することにより、耐熱黄変性、耐光性に優れるオルガノポリシロキサンが得られた。
また、構成単位F1からなる架橋構造を形成する部位と、構成単位M1若しくはTを含むシロキサンからなる応力を緩和する部位を、分子構造中に局部的に有することにより、硬度、耐冷熱衝撃性、ガスバリア性を両立することができた。
実施例1〜17によれば、耐熱黄変性、耐光性、耐冷熱衝撃性、硬度、密着性、及びガスバリア性のいずれの点でも、特に光半導体用途において要求されるレベルを十分に満足する透明な硬化物を形成することが可能なオルガノポリシロキサン及びそれを用いた硬化性樹脂組成物が得られた。
比較例1〜6は、上述した本実施形態の構成を具備していないため、耐熱黄変性、耐光性、耐冷熱衝撃性、硬度、密着性、及びガスバリア性のうちの所定の特性や、これらの特性バランスの観点から、実用上、十分な特性が得られなかった。
【0284】
本出願は、2011年3月30日に日本国特許庁へ出願された国際特許出願(PCT/JP2011/058115)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0285】
本発明のオルガノポリシロキサン及びそれを用いた硬化性樹脂組成物は、光半導体用ダイボンド材、コーティング材、ナノインプリント用硬化性樹脂組成物、インク分野における材料として、産業上の利用可能性を有している。