(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5857054
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】水素および一酸化炭素を含有した還元ガスを供給源として用いて直接還元鉄を製造する方法並びに装置
(51)【国際特許分類】
C21B 13/02 20060101AFI20160128BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
C21B13/02
F27D17/00 101A
F27D17/00 104G
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-530805(P2013-530805)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-544960(P2013-544960A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】IB2011002264
(87)【国際公開番号】WO2012042352
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】UD2010A000177
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(73)【特許権者】
【識別番号】512025539
【氏名又は名称】エイチワイエル テクノロジーズ、エス.エー. デ シー.ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志
(72)【発明者】
【氏名】マルティニス アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】コンドスタ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】センデハス−マルティネス エウヘニオ
(72)【発明者】
【氏名】デュアルテ−エスカレーニョ パブロ エンリケ
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/037587(WO,A2)
【文献】
国際公開第2010/006905(WO,A1)
【文献】
特表平10−510590(JP,A)
【文献】
特表2001−520310(JP,A)
【文献】
特開平07−277701(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/146112(WO,A1)
【文献】
特開昭56−062912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 11/00−13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素および一酸化炭素を主成分とした高温還元ガスによって酸化鉄を還元して、金属鉄を含有するDRI(直接還元鉄)に変換する上部還元ゾーンと、排出コーンを有する下部排出ゾーンとを具備する移動床式の還元反応器を備え、さらに、ガス・ガス熱交換器と、ガス冷却・クリーニングステーションと、CO2分離ユニットと、燃焼ゾーンを少なくとも有するガス燃焼室と、流量調整手段を有する燃焼ゾーン迂回手段と、を備える還元プラント内において、一酸化炭素と水素を含有する冷却された補給還元ガスの供給源を用いたDRI製造方法であって、
前記還元反応器の前記還元ゾーンから300℃〜600℃の温度で高温使用済み還元ガス・ストリームを取り出し、
該高温使用済み還元ガス・ストリームを前記熱交換器に通し、前記使用済み還元ガス・ストリームの温度を200℃〜400℃の範囲内のレベルに低下させ、次いで、前記ガス冷却・クリーニングステーションに通し、前記使用済み還元ガス・ストリームの温度を100℃未満のレベルに低下させて、低温使用済み再循環ガス・ストリームとし、
前記冷却された補給還元ガス・ストリームを前記低温使用済み還元ガス・ストリームの少なくとも一部分と混合し、
該混合ガスを前記CO2分離ユニットに通し、CO2リーンガス・ストリームとCO2リッチガス・ストリームとを形成し、
前記CO2リーンガス・ストリームを、第1の加熱ステージとして、前記熱交換器において、前記還元反応器から排出される前記使用済み還元ガスから回収した顕熱を使用して、いかなる燃料燃焼も行うことなく、450℃を超えないレベルに予熱し、
前記予熱後のCO2リーンガス・ストリームを、第2の加熱ステージとして、第1のガス・ストリームと第2のガス・ストリームとに分割し、前記第1のガス・ストリームを分子酸素含有ガスと共に部分燃焼または完全燃焼させるのに適切なバーナーを備える前記ガス燃焼室内の前記燃焼ゾーンにおいて部分燃焼または完全燃焼させるとともに、前記第2のガス・ストリームを前記燃焼ゾーン迂回手段によって前記燃焼ゾーンを迂回させ、前記第1のガス・ストリームと前記第2のガス・ストリームの流量比率を前記流量調整手段により制御しながらこれらを前記燃焼室の外部および/または内部で合流させて前記還元ゾーン内での鉄鉱石還元に適した700℃〜1100℃まで昇温し、
前記昇温後のCO2リーンガスを前記還元反応器の還元ゾーンに供給し、
前記還元反応器の下部からDRIを排出する
ことを特徴とするDRI製造方法。
【請求項2】
前記還元反応器に供給される還元ガス・ストリーム中の還元剤と酸化剤との比率は、(H2+CO)/(H2O+CO2)体積%として定義して、少なくとも7である請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項3】
前記還元反応器に供給される還元ガス・ストリームの還元指数は、(H2+CO)/(H2+CO+H2O+CO2)体積%として定義して、少なくとも0.87である請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項4】
前記CO2分離ユニットはPSAまたはVPSA吸着ユニットであることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項5】
前記CO2分離ユニットは化学吸着ユニットであることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項6】
前記分子酸素含有ガスは工業的純度の酸素であることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項7】
前記分子酸素含有ガスは酸素富化空気であることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項8】
前記CO2リーンガスと前記分子酸素含有ガスの流量は、前記燃焼室内での部分または完全燃焼が顕著なスス発生なしに実施されるように制御されることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項9】
前記燃焼室の前記燃焼ゾーンに供給される前記第1のガス・ストリームの分量は、前記CO2リーンガス・ストリームの総量の50%〜70%であることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項10】
前記DRIは、閉回路内で再循環される冷却ガスを循環させることにより前記還元反応器の前記排出コーン内で冷却されることを特徴とする請求項1記載のDRI製造方法。
【請求項11】
さらに、前記DRIの炭素含有量を増加するために、前記閉冷却回路に炭化水素含有非酸化冷却ガスを供給することを特徴とする請求項10記載のDRI製造方法。
【請求項12】
前記冷却ガスはコークス炉ガスであることを特徴とする請求項10記載のDRI製造方法。
【請求項13】
前記炭化水素含有冷却ガスは前記還元反応器下部ゾーンに直接供給されることを特徴とする請求項10記載のDRI製造方法。
【請求項14】
水素および一酸化炭素を主成分とした高温還元ガスによって酸化鉄を還元して、金属鉄を含有するDRIに変換する還元ゾーンと、排出ゾーンとを有する還元反応器を含む還元プラント内で、還元ガス源として、一酸化炭素と水素を含有する冷却されたガス・ストリームを用いてDRIを製造する装置であって、前記還元ゾーンはガス流入口とガス流出口とを有し、さらに、
前記還元反応器からの流出高温使用済みガスから回収された顕熱を活用することにより、いかなる燃焼も行うことなく、還元ガスを予熱するガス・ガス熱交換器と、ガス冷却・クリーニング手段と、ガスコンプレッサと、CO2分離ユニットと、燃焼ゾーンと混合ゾーンとを有する燃焼室と、反応器の前記還元ゾーンのガス流出口を熱交換器に連結する第1のガス導管手段と、前記熱交換器の流出口をガス冷却・クリーニング手段に連結する第2のガス導管手段と、ガス冷却・クリーニング手段をコンプレッサに連結する第3のガス導管手段と、コンプレッサを前記CO2分離ユニットに連結する第4のガス導管手段と、CO2分離ユニットを前記熱交換器に連結する第5のガス導管手段と、前記熱交換器と前記燃焼室との間にいかなるガス加熱手段を介在することなく、前記熱交換器を燃焼室に直接連結する第6のガス導管手段と、前記燃焼室の前記燃焼ゾーンを迂回する第7のガス導管手段と、前記燃焼室を前記還元ゾーンの前記ガス流入口に連結する第8のガス導管手段と、酸素または分子酸素含有ガスを前記燃焼室内に導入する導管手段と、前記還元ゾーンのガス流入口での所望のガス・ストリーム温度に応じて分子酸素含有ガスの量を制御する第1の制御手段と、前記燃焼室の前記燃焼ゾーンを迂回する還元ガスの量を制御する第2の制御手段と、を備える
ことを特徴とするDRI製造装置。
【請求項15】
さらに、炭化水素含有冷却ガスを前記還元反応器の下部ゾーンに導入・誘導する導管手段を含むことを特徴とする請求項14記載のDRI製造装置。
【請求項16】
さらに、コークス炉ガスを前記還元反応器の下部ゾーンに導入・誘導する導管手段を含むことを特徴とする請求項14記載のDRI製造装置。
【請求項17】
前記還元反応器は、選択的にDRIを高温または低温で排出できるようにするため、前記DRIを冷却する冷却ガス循環システムを選択的に運転し得るように適合化されていることを特徴とする請求項14記載のDRI製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素および一酸化炭素を含有した還元ガスを供給源として用いて直接還元鉄を製造する方法並びに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造コストの上昇および環境規制によって、製鋼プラントに課されるさまざまな制限により、製鋼法の効率と生産性を向上させることが差し迫ったものとなっている。
【0003】
現在普及しつつある好適な製鋼法の1つとして、粒状鉄鉱石の移動床を貫流して700℃〜1100℃の温度レベルで還元ガスを循環させることにより、製鋼業において海綿鉄としても知られている直接還元鉄(DRI)を製造するガス・ベースの鉄鉱石直接還元法がある。酸素は、高度に金属化したDRIを製造するために、化学的還元によって鉄鉱石から取り除かれる。
【0004】
直接還元プラントの利点の一つは、生産能力が大きいことであり、たとえば、金属鉄は硫黄分およびケイ素分の少ない固体形状で製造され、その結果得られるDRIは電気炉用の原材料として使用可能であって、電気炉の装入材料の全体を占め得ることである。
【0005】
さらに、提案された技術の特別な利点としては、還元反応の副生物として生成したCO
2の一部がプロセスから選択的に除去することにより、大気中に放出される総CO
2を、その他の製鋼法に比較して、大幅に低下できることである。
【0006】
直接還元プラントで使用される還元ガスは、水素および一酸化炭素であり、これらは外部触媒改質装置内での天然ガスの改質によって得られるか、または鉄還元システム内部で"その場"にて得られる。ただし、直接還元プラントは、コークス炉、溶鉱炉、石炭/石油ガス化から生じるガス、天然ガス、その他の化学/冶金プロセスなどから生じる水素と一酸化炭素を含有した排出ガスの形で得られるその他のエネルギー源が使用できるように設計することも可能である。
【0007】
還元ガスの供給源として考えられ得るものは、石炭の使用をベースとした銑鉄製造プラント(たとえば溶鉱炉または業界にてCorex(コーレックス)の登録商標で知られているプラント)と直接還元反応器の組み合わせで製造される過剰ガスである。Corexプラントまたは溶鉱炉は、ガス化された石炭を使用し、酸素含有ガスによる部分燃焼によって銑鉄を製造する。このプロセスから取り出され、H
2とCOを含有する排出還元ガスは、少なくともH
2OとCO
2の部分を取り除いた後に、還元用に使用することができる。
【0008】
Haukらの米国特許第5238487号は、溶融・ガス化炉と、第1の還元反応器および第2の還元反応器とを含んでなり、第1の反応器から流出する還元ガスを直接使用してDRIが製造されるように構成したプロセスを開示している。この特許で指摘されているように、単に浄化された後に流出する還元ガスは、脱水された使用済み還元ガスと混合され、CO
2除去ユニット内で処理される。脱炭酸ガスステーションから排出されるこのガスは、次いで、熱交換器内で加熱され、最後に、還元反応に必要な適正な温度に達するように部分燃焼される。さらに、この特許は、一酸化炭素の分解を抑止すべく、硫黄酸化物および塩素を使用することを教示している。ただし、この特許の実施形態はすべて、部分燃焼加熱ステージに先立って還元ガスを加熱するために燃料を消費する熱交換器を利用する。
【0009】
Viramontes−Brownらの米国特許第5676732号は、第1の還元反応器からの過剰排ガスを直接還元プラントで使用する、改良された方法および装置を開示している。第1の還元反応器は、溶融・ガス化炉から還元ガスを受け取る。この方法は、還元反応器に供給する前に新鮮ガスを加熱するのに必要なガスヒーター内の炭素沈着と腐食を回避するために触媒反応器またはシフタを使用して、第1の反応器から流出するガス・ストリームの組成を調整することを示唆している。COシフト変換からのH
2生成最大収量を得るために、固定床反応器内で特別な触媒が使用される。そのため、合成ガスは、触媒に有害な物質を取り除くべく、さらに処理されなければならない。
【0010】
還元ガスの別の供給源としてのガス化炉から得られる合成ガスに関しては、米国特許第6149859号およびJahnkeらの米国特許第6033456号が、直接還元プラントにガス化炉から得られる高圧合成ガスを供給するための統合プロセスを開示している。先行技術と同様に、上記特許は、ガスが400℃を超える温度に加熱される場合(直接還元プラントの典型的なプロセスガスヒーター内で一般に達成される状態)に際して炭素沈着を回避すべく、合成ガスの組成を変化させることを目的として、シフタ内で処理することを示唆している。このように、CO
2を取り除くための専用ユニットで処理され、直接還元回路の圧力まで膨張させられた後、調整されたガス・ストリームは、DRIプロセスへの補給ガスとして直ちに使用することができる。
【0011】
国際公開第2008/146112号は、米国特許第6149859号および米国特許第6033456号に開示されたプロセスに、ガス化炉で製造された合成ガスと還元反応器からの再循環還元ガスとの混合ガス・ストリームから酸ガス成分が取り除かれる単一の吸収ユニットを設けるさらなる可能性を開示している。
【0012】
Diehlらの米国特許第5846268号は、鉄鉱石から液体銑鉄、溶鋼半製品およびDRIを製造するプロセスを開示している。この特許に開示されたプロセスは、石炭ガス化から取り出された還元ガスが第1のシャフト型還元炉内で鉄鉱石を還元するために使用され、第1のシャフト型炉から流出する排出還元ガスが第2のシャフト型炉内でより多くのDRIを製造するために使用されるHaukらの米国特許第5238487号に開示されたプロセスに非常に類似している。この特許は、第2のシャフト型炉から流出するガス・ストリームの熱を同じガス・ストリームの一部分(その後、加熱ガスヒーターの燃料として利用される)を予熱するために利用するいくつかの方法を教示しているが、熱を還元反応器に供給される還元ガスのストリームを予熱するために使用することは教示も示唆もしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した特許はいずれも、先行技術の多くの短所を克服すると共に、ガス化炉内での石炭ガス化からの、または溶融・ガス化炉からのガスを使用してDRIを製造する効率的な方法および装置を提供する本発明の顕著な特徴を教示も示唆もしておらず、その特徴とは、たとえば、追加燃料を消費することなく、かつ鉄鋼石を効率的に還元するための還元ガス酸化度の現実的な制限範囲内で、還元反応器から流出する炉頂ガスの熱を、反応器に供給される還元ガスの加熱に使用することである。
【0014】
本発明のさらなる利点は、酸素による部分的酸化の第2の加熱ステージに先立って還元ガスの温度を引き上げる熱交換器内で燃焼が行われないため、大気中への二酸化炭素排出を減少させることができることである。
(発明の目的)
【0015】
本発明の目的は、塵埃とTARを除去するために浄化後の一酸化炭素含有量の高いガスを使用し、ガスの組成を変えるための水性ガスシフタ内部で追加的な処理をせずに、この一酸化炭素含有量の高い浄化されたガスを還元回路に直接供給することによって直接還元鉄(DRI)を製造する改良されたプロセスおよび装置を提供することである。この簡易化されたプロセス構成は、シフト触媒にとって有害な化合物の除去が不要であるというさらなる利点を有している。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、脱水された使用済み還元ガスとあらかじめ混合された合成ガス・ストリームをCO
2除去ユニット内で処理して得られた改良還元ガスが、追加の燃料を燃焼することなく、反応器の使用済みガスから回収された顕熱のみを有効活用することにより、もっぱら熱交換器内で加熱され、製造された鉄1トン当たりのエネルギーが低減されるように構成した、高温または低温のDRIを製造する改良された方法および装置を提供することである。・ストリーム(加熱されたCO
2リーンガス・ストリーム)は、反応器に供給される前に、450℃を超えない温度に加熱された後に得られ、最終的に分子酸素含有ガス・ストリームと共に燃焼室内で部分燃焼される。別の方法としては、このガス・ストリームの一部分は完全燃焼され、燃焼生成物は加熱されたCO
2リーンガス・ストリームの残りと合流される。熱交換器と燃焼室との間には追加のガス加熱手段も含まれていない。
【0017】
本発明のさらなる目的は、一酸化炭素含有量の高いガスを活用し、カーボンポテンシャル(コークス炉ガスであってよい)を有する冷却ガスを還元反応器の円錐状排出部を通して流すことによりDRIを冷却するように構成した低温のDRIを製造する方法および装置を提供することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、一般に、還元反応器を含んでなる直接還元システムにより、一酸化炭素含有量の高い還元ガス(たとえば、任意の供給源から得られる塵埃除去浄化された合成ガス)を使用してDRIを製造する方法および装置であって、還元反応器から取り出された使用済み還元ガスの少なくとも一部が、CO
2分離ユニットに供給される混合ガス・ストリームを製造するために、浄化された合成ガスと混合される前に浄化され、冷却されるように構成した方法および装置を提供することによって達成される。好ましくは、CO
2分離ユニットは吸着型であり、CO
2分離ユニットから、CO
2リッチガス・ストリームとCO
2リーンガス・ストリームが流出する。改良されたCO
2リーン還元ガス・ストリームは、還元反応器から取り出された使用済み還元ガスから回収された顕熱の交換のみが行われて熱交換器を通過して、いかなる燃焼も行うことなく450℃を超えない温度に加熱される。加熱されたCO
2リーン還元ガス・ストリームは、次いで、分子酸素含有ガスと共に部分燃焼させられて、その温度は反応器入口で測定して700℃を超える温度に高められるため、従来の加熱ガスヒーターのような追加加熱を必要としない。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、上述したようにして製造される所望量の炭素を含んだDRIを製造する方法および装置であって、還元反応器の下部で循環される浸炭ガスたとえばコークス炉ガスでDRIを冷却するように構成した方法および装置を提供することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の詳細な説明は、添付図面を参照して一層よく理解されよう。図面中、読者の便宜を考慮して、同一の要素には同一の符号が付されている。各図は以下を示している。
【
図1】本発明の一実施形態を組み込んだ直接還元プロセスの概略的なプロセス図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態を組み込んだ直接還元プロセスの概略的なプロセス図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態を組み込んだ直接還元プロセスの概略的なプロセス図である。
【0021】
(発明の詳細な説明)
図1は直接還元システムを示しており、図中、符号10は、還元ゾーン12を有する縦型シャフト移動床鉄鉱石ガス還元反応器を示している。還元ゾーン12には、塊、ペレットまたはそれらの任意の混合物の形の鉄鉱石15が、少なくとも1つの入口16を通って供給される。鉄鉱石15は、還元ガスと高温で向流接触しながら、重力により反応器10を通って降下する。
【0022】
還元ガスは、還元ゾーン12の下部に配置された導管46を通って反応器に導入される。還元ガスは主として水素と一酸化炭素からなり、これらは鉄鉱石と反応して直接還元鉄(DRI)18を製造する。製造された直接還元鉄は反応器10からその円錐状の下部14を通って排出される。
【0023】
反応器の頂部から300℃〜600℃の温度で取り出される使用済み還元ガス44は、再循環回路で改良処理されて、最終的に、導管46を通って還元ゾーン12に戻される。詳細には、還元能力が部分的に低下した使用済み還元ガス・ストリーム44は熱交換器42を通過する。熱交換器42では、反応器10に戻される前に還元ガス50の改良された部分を予熱するため、ガス・ストリーム44から排出された顕熱が回収される。
【0024】
熱交換器42を通過した後、部分的に冷却された使用済みガス43はクリーニングステーション38に導かれる。クリーニングステーション38では、ストリーム36として排出される水のストリーム40と接触することにより塵埃が除去され、排クリーンガス39は、通常は直接接触型である冷却ステーション30へと流れる。冷却ステーション30では、還元反応による副生水が水32との接触によって凝集され、水のストリーム54として還元ガスから取り除かれる。
【0025】
再循環回路内のN
2濃度を低く保つために、浄化および脱水された少量の使用済みガスが(圧力制御用の)圧力制御弁28を有する導管26を通って系からパージされる。パージされたガス・ストリーム26は、ガスが標準燃焼システムの燃料として使用することができる程度の量で一酸化炭素、二酸化炭素、水素およびメタンを含有している。浄化および脱水された流出還元ガスの残りの大部分は、導管27を通って、コンプレッサ24に流れ、コンプレッサ24において、その後の処理と使用に適したレベルに圧力が引き上げられる。
【0026】
圧縮された還元ガス・ストリーム29は、熱交換器または急冷タワー充填タンク22内で、冷却ステップにより処理され、圧縮後にガス温度を低下させる必要がある。得られたガス・ストリーム35は、一酸化炭素と水素を含有する補給ガス・ストリーム23、たとえば、石炭ガス化またはその他の炭化水素原料から得られる合成ガスまたは溶融・ガス化システムと関連した還元炉から流出する排ガスと混合される。
【0027】
適切な供給源1から供給される合成ガス23は、導管2を通って、ガスクリーニングシステム6に供給される。ガスクリーニングシステム6では、塵埃、タールおよび水が取り除かれる。主に、H
2,CO,CO
2およびCH
4からなるクリーンな合成ガスのストリーム7は、最初に、合成ガスコンプレッサ20で圧縮され、反応器10の還元回路に補給ガス・ストリーム23として加えられる前に、専用装置21(熱交換器または急冷タワーであってよい)で冷却される。
【0028】
脱水された還元ガス・ストリーム35がクリーンな合成ガス(補給ガス・ストリーム23)と混合された後、ガス・ストリーム31に含有されているCO
2は、CO
2除去ユニット70内で少なくとも部分的に取り除かれる。該ユニットは、好ましくは、PSA(プレッシャースイング吸着)型またはVPSA(真空プレッシャースイング吸着)型のユニットである。PSAまたはVPSAにおいて、CO
2は、系からパージされて取り除かれ、最終的には、燃料として使用されるガス・ストリーム33に濃縮される。ガス・ストリーム33は圧力制御弁60によって調整される。吸着剤の表面を利用して、極性およびより揮発性の低い分子をブロックするPSAユニットは、ストリーム31から水およびH
2Sも取り除く。
【0029】
本発明の原理によれば、CO
2濃度が低く、さらに高い還元能力を有する改良された還元ガス50は、CO
2除去ユニットから排出され、前述の熱交換器42に供給される。熱交換器42で、(たとえば、"メタルダスティング"として知られるメカニズムに起因する)交換器42の金属材料の化学腐食反応の発生を防止すべく、450℃を超えない温度に加熱される。交換器42中では燃焼は生じないために、大気中への二酸化炭素の追加排出は行われない。
【0030】
温度値450℃未満のガス・ストリーム45の温度は、次に、第2のステージにおいて、予熱されたCO
2リーンガス・ストリームの一部分の燃焼によって所望の最終温度値まで加熱される。そのため、予熱されたCO
2リーンガス・ストリーム45は、燃焼室47に直接送られる第1の部分132に分割される。燃焼室47で、この第1の部分は、適切な供給源49から供給される、好ましくは工業的純度の酸素の分子酸素含有ガス・ストリーム48のストリームと共に燃焼される。酸素の量は、導管46を通って流れる還元ガスの所望温度レベルに応じ、弁52によって調整される。酸素の量はまた、加熱されたガス・ストリーム46内の還元剤と酸化剤の比の値(H
2+CO)/(H
2O+CO
2)が少なくとも7、あるいは還元反応器に供給されるガス・ストリーム46の(H
2+CO)/(H
2+CO+H
2O+CO
2)として計算された還元指数が少なくとも0.87であるように調整される。
【0031】
燃焼は、専用のバーナー、または燃焼室47内に配置されたインジェクションランスを通した酸素の噴射によって実施されてよい。還元ガス45の残りの部分、すなわちガス・ストリーム130は、次いで、同一の燃焼室47に供給され、部分燃焼または完全燃焼されたガス53は、残りの還元ガス130と混合されて、反応器入口で700℃を超える温度に達する。ガス・ストリーム130は、ストリーム53によって達すると考えられる高温から燃焼室の材料を保護するために、同一の燃焼室に供給されてもよい。ガス・ストリーム132の量の調整は、燃焼室の設計ならびに材料によって許容される最大温度に準拠し、反応器10の還元ゾーン12に導入される還元ガス46の所望温度に応じて、制御弁134によって制御される。一実施例において、燃焼室47内で部分燃焼または完全燃焼されるガス・ストリーム132の流量は、ガス・ストリーム45の流量の50%〜70%の範囲内にある。還元ガス132の流量と酸素48の量は、導管46を通って流れる還元ガス・ストリームの所望温度に応じ、弁134と52それぞれによって制御される。
【0032】
ガス・ストリーム130はまた、部分燃焼または完全燃焼されたガス・ストリーム53と燃焼室47の外部で合流され、合流された還元ガス・ストリームの温度が反応器10の還元ゾーンに導入されて反応器10に装入された鉄鉱石を還元するのに適切な温度値に達するように調整されてもよい。
【0033】
燃焼室47は、還元ガスと酸素の混合物が発火点以下に維持されて、爆発の危険がある混合物の形成を防止するため、好ましくは、600℃を超える温度に予熱される。
【0034】
粒状固体鉄鉱石15は、還元ゾーン12内で、導管46を通って反応器に供給される高温改良還元ガスと接触させられる。このガスと向流接触しながら流れる固体材料は、水素および一酸化炭素と反応して、直接還元鉄(DRI)を製造する。下部排出ゾーン14を通って流れるDRIは、次いで、DRIのその後の利用に応じて高温または低温で、下部排出ゾーン14を通って反応器10から排出される。
【0035】
DRIが(
図1に示したように)400℃〜750℃レベルの高温で排出される場合は、その後、貯蔵および処理用に固形化されるか、または空気輸送、もしくはタンクもしくは不活性化ベルトにより、当業者に公知の方法で製鋼炉に直接輸送することができる。
【0036】
DRIが低温で製造されるべき場合は(
図2では、
図1と同じ要素には同じ参照符号が付されているので、ここで、再度説明することはしない)、DRIは冷却ガス・ストリーム122中を向流通過して冷却されて、比較的低温で反応器10の円錐部14を通って排出される。これにより、冷却ガスの温度は高められると共に、DRIの温度は通例100℃以下に低下される。補給冷却ガス80は、たとえば、コークス炉ガス、可能であれば、天然ガスまたはその他の炭化水素含有ガスであってよい適切な供給源81から供給され、炭化水素は高温DRIと接触して分解され、所望量の炭素または黒鉛と化合したDRIが製造される。
【0037】
図3(
図1と同じ要素には同じ参照符号が付されているので、ここで、再度説明することはしない)に示した本発明の別の実施形態では、供給源81からのコークス炉ガスが浸炭・冷却ガス・ストリーム80として使用され、DRIの温度が高い所望の位置で反応器コーンに直接供給される。このように、コークス炉ガスに典型的に含有されている炭化水素が分解されて消失するために、さらなる利点が得られる。
【0038】
高温の使用済み冷却ガス・ストリーム90は冷却され、当業者に公知の方法で再循環されてよい。簡潔に言えば、冷却ゾーンの頂部から取り出された暖まったガスはクリーニングステーション92でさらに処理されて、導管95を通って排出される水93で洗浄されて塵埃が取り除かれる。クリーンガス94は冷却ステーション96で処理され、完全に脱水され、導管99を通って排出される水97と接触して冷却される。こうして得られたガス98は、導管120を通って反応器に供給される前に、コンプレッサ100によって圧縮される。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態において、DRIは400℃〜750℃レベルの高温で還元反応器から排出され、気中酸素と水による再酸化を避けるために、還元反応器10の外部にある別個のDRI冷却タンク(図示せず)内で、上述した冷却ガスシステムと同様な冷却ガスシステムにより100℃以下の温度に冷却されることができる。こうした構成によって、即時溶融を目的として高温DRIを製造するために設計された鉄還元プラントは、材料が貯蔵とその後の利用に適した温度で得られ、安全な状態でのDRIの非常排出に備えることもできる。
【0040】
高温または低温のDRIのいずれをも製造する能力を備えた直接還元プラントの別途設計により、冷却システムの作動を選択的に可能または不可能とするように設計された冷却ガスシステムを備えた還元反応器が実現される。これにより、同一の反応器が排出コーン内でDRIを冷却し、または高温でDRIを排出することができる。
【0041】
CO
2リーンガス・ストリームの第2の加熱ステージが、95%の純酸素にて、DRI1トン当たり76Nm3で燃焼される本発明の代表的な実施形態において、鉄鉱石の還元に適した838℃に加熱される還元ガスの成分の相対量は表1の通りである。
【表1】
【0042】
還元指数は(H
2+CO)/(H
2+CO+H
2O+CO
2)として計算され、各々のガス・ストリームの還元力を示す。
【0043】
表1から、本発明は、還元指数の低いH
2およびCO含有ガスと、ガスを所望の還元温度に加熱する効率的な2つのステージとを利用してDRIを製造する効率的な方法および装置を提供することが理解できる。
【0044】
本発明は、先行技術を凌駕する多くの利点をもたらす。つまり、還元ガスの温度を還元レベルまで上昇させる前に該還元ガスを予熱するための加熱炉が不要なため、より簡易な鉄鉱石還元プラントおよびプロセスが可能である。したがって、維持管理整備材料と人手を必要とする重要な1設備(加熱炉)が不要となるため、本発明を組み込んだ直接還元プラントの設備投資ならびに運転コストはより低いものである。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態に関する説明は例示を目的として行われたものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の適用として本願明細書に説明した実施形態に対し、添付した特許請求の範囲によって画定される本発明の精神と範囲を逸脱することなく、特定の実用ケースに最適な数多くの変更を行うことが可能であることは言うまでもなく理解されよう。