(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記制御部は、前記増台制限時間の経過した時点で増台条件が成立しており、この増台条件成立に基づいて増台が実行されると、次に設定される増台制限時間を、直前の値より短くする
  ことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の給液装置。
  前記制御部は、前記増台制限時間が経過した時点で増台条件が成立していても、当該増台制限時間が経過した時点で運転しているポンプの運転周波数が減少傾向にある場合は、増台を制限する
  ことを特徴とする請求項2〜5のうちのいずれか1項に記載の給液装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
  本発明の一実施形態に係る給水装置を、
図1〜13を用いて説明する。給水装置は、本発明で言う給液装置の一例である。給水装置10は、液の一例である水を受給側に供給する。
図1は、給水装置10を示す概略図である。
図1に示すように、給水装置10は、受給側の一例である、第1,2の蛇口1,2に水を給水する。
 
【0018】
  給水装置10は、給水配管システム20と、圧力タンク30と、第1のポンプユニット40と、第2のポンプユニット50と、第3のポンプユニット60と、第1の流量スイッチ70と、第2の流量スイッチ80と、第3の流量スイッチ90と、吐出圧力センサ100と、制御盤110と、電源装置200とを備えている。
 
【0019】
  給水配管システム20は、後述されるポンプユニット40〜60から吐出された水を、第1,2の蛇口1,2に導く。給水配管システム20は、第1の上流側分岐配管21と、第2の上流側分岐配管22と、第3の上流側分岐配管23と、合流配管24と、第1の下流側分岐配管25と、第2の下流側分岐配管26とを備えている。
 
【0020】
  第1の上流側分岐配管21は、例えば管部材から形成されている。第1の上流側分岐配管21は、例えば、受水槽や水道本管などの給水側に連結されている。第1の上流側分岐配管21は、給水側から給水される水を第1,2の蛇口1,2側に導くことが可能に形成されている。
 
【0021】
  第2の上流側分岐配管22は、例えば管部材から形成されている。第2の上流側分岐配管22は、給水側に連結されている。第2の上流側分岐配管22は、給水側から給水される水を第1,2の蛇口1,2側に導くことが可能に形成されている。
 
【0022】
  第3の上流側分岐配管23は、例えば管部材から形成されている。第3の上流側分岐配管23は、給水側に連結されている。第3の上流側分岐配管23は、給水側から給水される水を第1,2の蛇口1,2側に導くことが可能に形成されている。
 
【0023】
  合流配管24は、例えば、管部材から形成されている。合流配管24は、上流側分岐配管21〜23の下流端が連結されている。合流配管24は、上流側分岐配管21〜23から流入した水を、第1,2の蛇口1,2側に導くことが可能に形成されている。
 
【0024】
  第1の下流側分岐配管25は、例えば、管部材で形成されている。第1の下流側分岐配管25は、合流配管24の下流端と第1の蛇口1とに連結されている。第1の下流側分岐配管25は、合流配管24を流れる水を第1の蛇口1に導くことが可能に形成されている。
 
【0025】
  第2の下流側分岐配管26は、例えば、管部材で形成されている。第2の下流側分岐配管26は、合流配管24の下流端と第2の蛇口2とに連結されている。第2の下流側分岐配管26は、合流配管24を流れる水を第2の蛇口2に導くことが可能に形成されている。
 
【0026】
  図に示すように、第2の下流側分岐配管26は、複数の湾曲部27を有している。これは、第2の下流側分岐配管26が、第2の蛇口2が設けられる場所に合わせて形成されるためである。第2の下流側分岐配管26の湾曲部27の上端部には、空気層28が存在する。この空気層28は、第2の下流側分岐配管26を施工する際に、第2の下流側分岐配管26内にたまった空気によって形成されている。
 
【0027】
  第1のポンプユニット40は、第1のポンプ41と、第1の駆動部42とを備えている。第1のポンプ41は、第1の上流側分岐配管21中に設けられている。第1のポンプ41は、例えば、第1の上流側分岐配管21に連通するハウジングと、当該ハウジング内に収容される羽根車とを備えている。この羽根車は、回転することによって、給水側から供給される水を増圧して下流側に吐出することが可能に形成されている。
 
【0028】
  第1の駆動部42は、第1のポンプ41の羽根車を回転可能に形成されている。第1の駆動部42は、例えば、電動モータである
  第2のポンプユニット50は、第2のポンプ51と、第2の駆動部52とを備えている。第2のポンプ51は、第2の上流側分岐配管22中に設けられている。第2のポンプ51は、例えば、第2の上流側分岐配管22に連通するハウジングと、当該ハウジング内に収容される羽根車とを備えている。この羽根車は、回転することによって、給水側から供給される水を増圧して下流側に吐出することが可能に形成されている。
 
【0029】
  第2の駆動部52は、第2のポンプ51の羽根車を回転可能に形成されている。第2の駆動部52は、例えば電動モータである。
 
【0030】
  第3のポンプユニット60は、第3のポンプ61と、第3の駆動部62とを備えている。第3のポンプ61は、第3の上流側分岐配管23中に設けられている。第3のポンプ61は、第3の上流側分岐配管23に連通するハウジングと、当該ハウジング内に収容される羽根車とを備えている。この羽根車は、回転することによって、給水側から供給される水を増圧して下流側に吐出することが可能に形成されている。
 
【0031】
  第3の駆動部62は、第3のポンプ61の羽根車を回転可能に形成されている。第3の駆動部62は、例えば電動モータである。
 
【0032】
  なお、本実施形態では、ポンプユニット40〜60は、同じものである。つまり、ポンプ41〜61は互いに同じであり、駆動部42〜62は互いに同じである。
 
【0033】
  第1の流量スイッチ70は、第1の上流側分岐配管21において第1のポンプ41よりも下流の位置に設けられている。第1の流量スイッチ70は、第1のポンプ41から吐出された水の流量が、予め設定された所定流量以上になると、オン状態となる。第1のポンプ41から吐出された水の流量が所定流量未満であると、オフ状態となる。第1の流量スイッチ70は、オン状態になると、後述される制御盤110のマイコン111に信号を送信可能に形成されている。第1の流量スイッチ70は、オフ状態では、信号を送信しない。
 
【0034】
  第2の流量スイッチ80は、第2の上流側分岐配管22において第2のポンプ51の下流の位置に設けられている。第2の流量スイッチ80は、第2のポンプ51から吐出された水の流量が、予め設定された所定流量以上になると、オン状態となる。第2のポンプ51から吐出された水の流量が所定流量未満であると、オフ状態となる。第2の流量スイッチ80は、オン状態になると、後述される制御盤110のマイコン111に信号を送信可能に形成されている。第2の流量スイッチ80は、オフ状態では、信号を送信しない。
 
【0035】
  第3の流量スイッチ90は、第3の上流側分岐配管23において第3のポンプ61の下流の位置に設けられている。第3の流量スイッチ90は、第3のポンプ61から吐出された水の流量が、予め設定された所定流量以上になると、オン状態となる。第3のポンプ61から吐出された水の流量が所定流量未満であると、オフ状態となる。第3の流量スイッチ90は、オン状態になると、後述される制御盤110のマイコン111に信号を送信可能に形成されている。第3の流量スイッチ90は、オフ状態では、信号を送信しない。
 
【0036】
  本実施形態では、流量スイッチ70〜90は、同じものである。そして、流量スイッチ70〜90がオン状態となる所定の流量は、互いに同じ値である。
 
【0037】
  吐出圧力センサ100は、合流配管24に設けられている。吐出圧力センサ100は、合流配管24内の圧力を検出可能に形成されている。吐出圧力センサ100は、検出結果を制御盤110のマイコン111に送信可能に形成されている。
 
【0038】
  本実施形態では、給水装置10は、複数のポンプユニットを備える構成の一例として、ポンプユニット40〜60を備える構成、つまり3つのポンプユニットを備える構成である。給水装置10が備えるポンプユニットの数は、3つ以外であってもよい。3つ以外のポンプを備える構成の一例として、
図1中、4つ目のポンプユニットである第4のポンプユニット300を、2点鎖線で示している。4つ目のポンプユニットの構成は、ポンプユニット40〜60と同様である。
 
【0039】
  また、第4のポンプユニット300は、上流側分岐配管21〜23と同様の第4の上流側分岐配管29中に設けられている。第4の上流側分岐配管29は、給水側と合流配管24とに連結されている。そして、第4の上流側分岐配管29には、流量スイッチ70〜90と同様の第4の流用スイッチ400が設けられている。このように、給水装置10が、複数のポンプを備える場合、流量スイッチ70〜90のように、各ポンプの吐出流量を検出する流量スイッチが設けられる。
 
【0040】
  圧力タンク30は、合流配管24設けられている。圧力タンク30は、合流配管24に連通している。圧力タンク30内には、空気層31が設けられている。空気層31は、圧力タンク30において、水が満たされていない部分であり、空気が収容されている。合流配管24内の圧力が急激に変動すると、圧力タンク30内の空気層31によって、圧力タンク30内の水が、合流配管24内に流入する、または、合流配管24内の水が圧力タンク30内に流入する。このことによって、合流配管24内の急激な水量の変化が吸収される。
 
【0041】
  制御盤110は、第1のポンプ41の第1の駆動部42に供給される電力の周波数を調整可能に形成される第1のインバータ43と、第2のポンプ51の第2の駆動部52に供給される電力の周波数を調整可能に形成される第2のインバータ53と、第3のポンプ61の第3の駆動部62に供給される電力の周波数を調整可能に形成される第3のインバータ63と、インバータ43,53,63を制御可能に形成されるマイコン(制御部)111とを有している。
 
【0042】
  第1のインバータ43は、電源装置200に接続されている。第1のインバータ43は、電源装置200から供給される電力の周波数を、マイコン111の制御によって調整可能であり、調整後の電力を第1の駆動部42の供給可能に形成されている。
 
【0043】
  第2のインバータ53は、電源装置200に接続されている。第2のインバータ53は、電源装置200から供給される電力の周波数を、マイコン111の制御によって調整可能であり、調整後の電力を第2の駆動部52に供給可能に形成されている。
 
【0044】
  第3のインバータ63は、電源装置200に接続されている。第3のインバータ63は、電源装置200から供給される電力の周波数を、マイコン111の制御によって調整可能であり、調整後の電力を第3の駆動部62に供給可能に形成されている。
 
【0045】
  流量スイッチ70〜90の検出結果と、吐出圧力センサ100の検出結果は、マイコン111に送信される。マイコン111は、流量スイッチ70〜90の検出結果と、吐出圧力センサ100の検出結果と、ポンプ41〜61の運転周波数とに基づいて、インバータ43〜63の運転を制御可能に形成されている。
 
【0046】
  ポンプ41〜61の運転周波数は、ポンプ41〜61の各々の羽根車の回転数である。ポンプ41〜61の羽根車の回転数は、インバータ43〜63から駆動部42〜62に供給される交流電力の周波数に対応している。マイコン111は、インバータ43〜63から駆動部42〜62に供給される交流電力の周波数の情報に基づいて、ポンプ41〜61の羽根車の回転数を算出する。言いかえると、ポンプ41〜61の運転周波数を算出する。
 
【0047】
  このように、本実施形態では、制御盤110のマイコン111は、ポンプ41〜61の運転周波数を検出する機能を有する。他の例としては、例えば、ポンプ41〜61の各々に、羽根車の回転数を検出する検出部が設けられてもよい。この場合、この検出部の検出結果が、制御盤110のマイコン111に送信される。
 
【0048】
  制御盤110のマイコン111は、第1〜14の機能を有している。第1の機能は、運転するポンプの運転周波数を決定する機能である。具体的には、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力センサ100の検出結果が、設定圧力値となるように、可変速運転状態のポンプの運転周波数を決定する。設定圧力値は、給水装置10が第1,2の蛇口1,2から予め設定される一定の圧力およびこの圧力の近傍の値で水を吐出するために設定される値である。このように、本実施形態では、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力、言い換えると吐出圧力センサ100の検出結果をフィードバックすることによって、可変速運転状態のポンプの運転周波数を決定する。
 
【0049】
  可変速運転状態のポンプについて、具体的に説明する。制御盤110のマイコン111は、給水配管システム20内の吐出圧力が設定圧力値になるように、複数台のポンプを並列運転する場合がある。例えば、第1,2のポンプ41,51が運転される。この場合、先に運転を開始しているポンプの運転周波数は、最大運転周波数で固定される。つまり、先に運転を開始しているポンプは定速運転を行う。そして、最後に運転を開始したポンプの運転周波数が調整されることによって、給水配管システム20内の圧力が調整される。可変速運転状態のポンプとは、このように、運転周波数が調整されるポンプのことである。
 
【0050】
  第2の機能は、ポンプの運転台数の増台条件の成立を判定する機能である。具体的に、制御盤110は、吐出圧力センサ100の検出結果と、流量スイッチ70〜90のうち、運転しているポンプの下流に設けられる流量スイッチの検出結果と、ポンプ41〜61のうち運転しているポンプの運転周波数とに基づいて、増台条件が成立した否かを判定する。
 
【0051】
  より具体的には、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力検出結果が設定圧力値未満であり、可変運転しているポンプの運転周波数が最大運転周波数であり、可変速運転状態のポンプの下流に設けられる流量水スイッチがオン状態であると、増台条件が成立したと判定する。
 
【0052】
  第3の機能は、ポンプの運転台数の減台条件の成立を判定する機能である。具体的に、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力センサ100の検出結果と、流量スイッチ70〜90のうち運転しているポンプの下流に設けられる流量スイッチの検出結果と、ポンプ41〜61のうち運転しているポンプの運転周波数とに基づいて、減台条件が成立した否かを判定する。
 
【0053】
  より具体的には、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力センサ100の結果が設定圧力値より大きく、可変運転状態のポンプの運転周波数が最大運転周波数未満であり、可変速運転状態のポンプの下流に設けられる流量水スイッチがオフ状態であると、減台条件が成立したと判定する。なお、流量スイッチがオフ状態とは、流量スイッチが信号を送信しておらず制御盤110のマイコン111が信号を受信していない状態である。
 
【0054】
  第4の機能は、増台条件の成立を判定した後、増台を、増台待機時間Aの間、制限する機能である。増台待機時間Aは、瞬間的に生じる、圧力が上昇するような変動が収束する時間に基づいて設定されており、この収束する時間より長く設定されている。ここで言う、瞬間的に生じる圧力変動とは、例えば、給水装置10の構成に起因するものである。増台待機時間Aは、予め、例えば実験などによって得られる瞬間的な変動が収束する時間に基づいて決定することができる。本実施形態では、増台待機時間Aは、一定の値である。また、ここで言う、増台を制限するとは、増台を行わないことである。
 
【0055】
  第5の機能は、減台条件が成立したと判定した後、減台を、減台待機時間Bの間、制限する機能である。減台待機時間Bは、瞬間的に生じる、圧力が減少するような変動が収束する時間に基づいて設定されており、この収束する時間よりも長く設定されている。ここで言う、瞬間的に生じる圧力変動とは、例えば、給水装置10の構成に起因するものである。減台待機時間Bは、予め、例えば実験などによって得られる瞬間的な変動が収束する時間に基づいて決定することができる。本実施形態では、減台待機時間Bは、一定の値である。また、ここで言う、減台を制限するとは、減台を行わないことである。
 
【0056】
  第6の機能は、増台待機時間Aの経過後、増台条件が成立していると、ポンプの運転台数を1台増台する機能である。具体的には、制御盤110のマイコン111は、運転していないポンプの1つを運転するべく、運転が停止しているポンプユニットのインバータを制御する。
 
【0057】
  第7の機能は、減台待機時間Bの経過後、減台条件が成立していると、ポンプの運転台数を1台減台する機能である。具体的には、制御盤110のマイコン111は、運転しているポンプのうち、最初に運転したポンプユニットのインバータを制御して、当該ポンプの駆動を停止する。
 
【0058】
  第8の機能は、増台を開始した時点から次に減台が完了する時点までの経過時間を計測する機能である。
 
【0059】
  第9の機能は、第8の機能で計測された、増台を開始した時点から次に減台が完了する時点までの計測時間Yと、監視時間Xとを比較する機能である。監視時間Xは、給水配管システム20内の圧力変動が、給水配管システム20内の空気層28に起因するものであるか否かを判断するために設定される時間である。監視時間Xについて、具体的に説明する。
 
【0060】
  上述のように、給水配管システム20内の空気層に起因して吐出圧力が変動する場合、吐出圧力値は、急激に上昇を開始した後、低下する。上昇を開始してから低下するまでの期間は、給水装置10の構成に起因する。例えば、給水配管システム20内の空気層の体積や各ポンプユニットの性能などに起因する。このため、空気層に起因して給水配管システム20内の吐出圧力が急激に上昇してから設定圧力値未満に低下するまでの時間は、例えば実験などによってえることができる。
 
【0061】
  第10の機能は、第9の機能の比較結果が、監視時間X内に計測時間Yが含まれるというものであると、この増台条件と減台条件とは空気層に起因するものであると判断し、増台待機時間Aの経過後に、増台待機時間Aに連続して、増台制限時間Zを設定する機能である。制御盤110のマイコン111は、増台条件が成立しても、増台制限時間Z内は、増台を制限する。
 
【0062】
  これは、空気層28に起因する吐出圧力の変動である場合、しばらくすると圧力変動が収まるためである。監視時間Xは、空気層に起因する圧力変動が治まる時間に基づいて設定される値である。空気層28に起因する圧力変動が収まるのにかかる時間は、給水装置10の構成に基づく。このため、予め実験などによって、監視時間Xを決定することができる。
 
【0063】
  第11の機能は、増台制限時間Z内で増台条件が成立すると、運転しているポンプの運転周波数を、最大運転周波数を超えた最大運転超過周波数までの範囲内で、上昇する。
 
【0064】
  ここで、最大運転周波数と、最大運転超過周波数とについて、具体的に説明する。最大運転周波数は、ポンプユニット40〜60が故障しない運転周波数に設定されている。最大運転周波数は、ポンプ41〜61の周波数の最大値ではなく、便宜上設定される上限値である。最大運転超過周波数は、ポンプ41〜61が故障しない運転周波数に設定されており、最大運転周波数よりも大きい値である。最大運転超過周波数は、ポンプ41〜61の周波数の最大値ではなく、便宜上設定される、第2の上限値である。
 
【0065】
  第12の機能は、監視時間Z内に減台すると、次に設定される増台制限時間Zを、直前の値より長くする機能である。
 
【0066】
  第13の機能は、増台制限時間の経過した時点で増台条件が成立しており、この条件成立に基づいて増台を実行すると、次に設定される増台制限時間Zを、直前の値より短くする機能である。
 
【0067】
  第14の機能は、増台制限時間Zを経過した時点で、運転しているポンプの運転周波数が減少傾向にある場合は、増台制限時間Zの経過した時点で増台条件が成立しても増台を制限する機能である。
 
【0068】
  次に、複数のポンプを稼動する場合の、各ポンプの運転周波数の変化について説明する。まず、増台を行う際の各ポンプの運転周波数を、
図2〜4を用いて説明する。なお、この説明では、稼動しているポンプの運転周波数について説明するために、増台待機時間、増台制限時間は考慮せず、増台条件が成立する直ぐに増台している。
 
【0069】
  図2は、運転しているポンプの運転周波数を示すグラフである。
図2は、第1のポンプ41のみ駆動している状態を示している。
図2の縦軸は、周波数を示している。
図2の状態では、吐出圧力センサ100の検出結果は、設定圧力値未満であり、増台条件が成立している状態である。このため、制御盤110のマイコン111は、第1のインバータ43を制御して、第1のポンプ41の運転周波数を増台させる。
 
【0070】
  図3は、
図2の状態から時間が経過した状態の第1のポンプ41の運転周波数を示すグラフである。
図3の縦軸は、
図2と同様である。
図3の状態では、第1のポンプ41の運転周波数が最大運転周波数に達していることを示している。また、
図3の状態では、吐出圧力センサ100の検出結果は、設定圧力値に達していない。このため、制御盤110のマイコン111は、第2のポンプ51を駆動するべく、第2のインバータ53を制御する。
図3では、第2のポンプ51の運転周波数が最低運転周波数であることを示している。なお、第1のポンプ41は、最大運転周波数で運転される定速運転状態となる。第2のポンプ51は、可変速運転状態である。
 
【0071】
  図4は、
図3の状態から時間が経過した状態の給水装置10の運転するポンプの運転周波数を示すグラフである。
図4の縦軸は、
図2と同様である。
図4では、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値となるまで第2のポンプ51の運転周波数が増大されたことを示している。
 
【0072】
  次に、減台を行う際の稼動しているポンプの周波数について、
図5〜7を用いて説明する。なお、この説明では、稼動しているポンプの運転周波数について説明するために、減台待機時間は考慮せず、減台条件が成立する直ぐに減台している。
 
【0073】
図5は、運転しているポンプの運転周波数を示すグラフである。
図5に示す状態では、第1,2のポンプ41,51が運転している。
図5の縦軸は、
図2と同様である。
図5の状態は、吐出圧力センサ100の検出結果が、設定圧力値を超える状態である。
 
【0074】
  図6は、
図5の状態から時間が経過した状態の、運転するポンプの運転周波数を示すグラフである。
図6のグラフは、
図5と同様である。
図6では、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値になるように、可変速運転をしている第2のポンプ51の運転周波数が減少された状態を示している。また、
図6は、第2のポンプ51の運転周波数が、最低運転周波数まで下がった状態を示している。この状態においても、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値より大きい。
図6は、減台条件が成立した状態である。このため、制御盤110のマイコン111は、先に運転している、いわゆる先発ポンプである第1のポンプ41を停止する。
 
【0075】
  図7は、
図6の状態から時間が経過した状態の運転するポンプの運転周波数を示すグラフである。
図7のグラフは、
図6と同様である。
図7では、運転が停止された第1のポンプ41の運転周波数が下がっている状態を示すとともに、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値になるように、第2のポンプ51の運転周波数が増大されている状態を示している。
 
【0076】
  次に、増台待機時間Aと、減台待機時間Bとについて、具体的に説明する。この説明のため、給水配管システム20内の圧力値が瞬間的に変動する場合の、第1〜7の機能による給水装置10の動作を、
図8,9を用いて説明する。
図8は、給水配管システム20内の圧力が瞬間的に上昇して、減台条件が成立する場合を示すグラフである。
図8の横軸は、時間の経過を示しており、図中右側に進むにつれて、時間が経過したことを示す。
図8の縦軸は、吐出圧力センサ100の検出結果を示し、図中上側に進むにつれて、値が大きくなることを示す。
 
【0077】
  図8に示される給水装置10の運転状態を説明する。時間t1になるまでは、第1,2のポンプ41,61が駆動されている。第1のポンプ41が定速運転を行い、第2のポンプ51が可変速運転を行っている。
 
【0078】
  時間t1のとき、瞬間的に吐出圧力センサ100の検出結果が上昇する。この上昇は、瞬間的に生じる変動の一例である。制御盤110のマイコン111は、時間t1のときに、減台条件が成立したことを検出する。しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t1から減台待機時間Bが経過するまでの間は、減台を制限する。具体的には、先に運転している第1のポンプ41の運転を停止しない。なお、上述のように、時間t1のときに生じた圧力変動は、瞬間的な変動である。このため、時間t2になると、吐出圧力センサ100の検出結果は、すぐに設定圧力値に戻る。時間t2は、時間t1+減台待機時間Bより小さい。
 
【0079】
  減台待機時間Bが経過した時間t3のときには、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値に戻っているため、減台条件が成立しない。このたため、制御盤110のマイコン111は、時間t3では、減台を行わない。
 
【0080】
  図9は、給水配管システム20内の圧力が瞬間的に減少して、増台条件が成立した場合を示すグラフである。
図9の横軸と縦軸とは、
図8と同じである。
図9に示される給水装置10の状態を説明する。
図9の状態は、時間t4になるまでは、第1,2のポンプ41,51が駆動されている。第1のポンプ41が定速運転を行い、第2のポンプ51が可変速運転を行っている。
 
【0081】
  時間t4になると、吐出圧力センサ100の検出結果は、瞬間的に減少する。このため、時間t4のときに、増台条件が成立する。しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t4のときに増台条件が成立したことを検出すると、時間t4から増台待機時間Aが経過するまでは、第3のポンプ61を制限する。具体的には、第3のポンプ61の運転を行わない。上述のように、時間t4のときに生じた圧力変動は、瞬間的な変動である。このため、時間t5になると、吐出圧力センサ100の検出結果は、設定圧力値に戻る。時間t5は、時間t4+増台待機時間Aよりも小さい。
 
【0082】
  増台待機時間Aが経過する時間t6になると、吐出圧力センサ100の検出結果が設定圧力値に戻っているので、増台条件は成立しない。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t6のときには、増台を行わない。
 
【0083】
  このように、第1〜7の機能により、制御盤110のマイコン111は、増台条件が成立すると、増台待機時間Aが経過するまでは増台を制限し、減台条件が成立すると、減台待機時間が経過するまでは減台を制限する。この結果、吐出圧力値の瞬間的な変動に起因する増台と減台とを抑制することができる。
 
【0084】
  次に、給水装置の動作を、
図10〜17を用いて説明する。第1〜7の機能の加えて、第8〜14の機能を有することによって、給水配管システム20内の空気層に起因するポンプの運転台数の増台と減台とを抑制することができる。この点について、具体的に説明する。まず、空気層28の作用ついて、
図10〜12を用いて説明する。
 
【0085】
  空気層28については、説明をわかりやすくするために、給水装置10ではなく、説明用給水装置500を用いて説明する。
図10は、説明用給水装置500を示す概略図である。
図10に示すように、説明用給水装置500は、説明用給水配管システム510と、説明用ポンプユニット520と、説明用流量スイッチ530と、説明用吐出圧力センサ540とを備えている。
 
【0086】
  説明用給水配管システム510は、給水側から受水側の説明用蛇口570に水を導く。説明用ポンプユニット520は、説明用給水配管システム510において給水側の近傍に設けられている。説明用ポンプユニット520は、説明用ポンプ521と、説明用駆動部522とを備えている。
 
【0087】
  なお、説明用ポンプ521は、ポンプ41〜61と同じである。説明用駆動部522は、駆動部42〜62と同じである。説明用駆動部522は、説明用ポンプシステム510の制御盤が有する説明用インバータ523に接続されている。説明用インバータ523は、インバータ43〜63と同じである。説明用流量スイッチ530は、流量スイッチ70〜90と同じである。説明用吐出圧力センサ540は、吐出圧力センサ100と同じである。
 
【0088】
  説明用給水配管システム510内には、空気層560が存在する。なお、図中、空気層560は、わかりやすくするために、ハッチングを施している。このハッチングは、断面を示すものではない。
 
【0089】
  図10は、説明用給水配管システム510内の吐出圧力値が始動圧になったことによって説明用ポンプ521が運転されてから時間t7が経過した状態を示している。
図10では、説明用給水配管システム510の第1の位置P1から説明用蛇口570までの範囲に、空気層560が存在している。
図10の状態では、受水側である説明用蛇口570は、閉じられている。
 
【0090】
  図11は、説明用給水配管システム510内の吐出圧力値が始動圧になったことによって説明用ポンプ521が運転されてから時間t8が経過した状態の説明用給水装置500を示す概略図である。時間t8は、時間t7よりも時間が経過した状態である。
 
【0091】
  図11に示すように、説明用ポンプ521が運転を開始してから時間t8が経過した状態では、空気層560は、第2の位置P2から説明用蛇口570までの範囲に存在している。第2の位置P2は、第1の位置P1よりも下流の位置である。これは、説明用ポンプ521が運転されることによって、説明用給水配管システム510内の圧力が上昇したため、この圧量上昇に起因して、空気層560の体積が小さくなったためである。なお、
図11においても、説明用蛇口570は閉じている。
 
【0092】
  図12は、説明用給水装置500の説明用給水配管システム510内の、吐出圧力が始動圧になった状態からの、時間の経過に対する吐出圧力の変化を示すグラフである。
図12の横軸は、時間の経過を示し、図中右側に進むにつれて時間が経過したことを示す。
図11の縦軸は、吐出圧力を示し、図中上側に進むにつれて、吐出圧力が上昇することを示す。
 
【0093】
  図12に示すように、吐出圧力は、時間t9のときに、急激に上昇を開始する。時間t9は、時間t7と時間t8との間の時間である。時間t9は、空気層560の体積がこれ以上小さくなりにくくなった時点である。空気層560の体積が小さくなりにくくなることにより、説明用給水配管システム510内の圧力が、急激に上昇する。このように、空気層560の存在によって、吐出圧力値が急激に上昇する場合が生じる。
 
【0094】
  次に、給水装置10の動作を説明する。この説明では、空気層28に起因する、給水配管システム20内の圧力の変動と流量の変動とに対する、ポンプの運転台数の増台と減台とについて、説明する。
 
【0095】
  なお、比較のために、まず、第1〜7の機能のみを有する給水装置10による動作を説明する。言い換えると、第8〜14の機能を有していない給水装置10の動作を説明する。また、この説明では、吐出圧力の瞬間的な変動は生じないものとする。また、この説明では、第3のポンプユニット60は用いられず、第1,2のポンプユニット40,50のみが用いられる。
 
【0096】
  図13は、給水配管システム20内の空気層28に起因して吐出圧力の変動と流量が変動した場合の、第1〜14の機能のうち第1〜7の機能のみ有する給水装置10の動作を示すグラフである。具体的には、
図13は、時間の経過に伴う、給水配管システム20内の吐出圧力の変化と、第1のポンプ41の運転周波数の変化と、第1の流量スイッチ70の検出結果と、第2のポンプ51の運転周波数の変化と、第2の流量スイッチ80の検出結果とを示している。
 
【0097】
  図13のうち、給水配管システム20内の吐出圧力の変化を示す部分に符号601を付す。部分601の横軸は、時間の経過を示し、図中右側に進むにつれて時間が経過したことを示す。なお、601は、吐出圧力センサ100の検出結果である。
 
【0098】
  図13のうち、第1のポンプ41の運転周波数の変化を示す部分に符号602を付す。部分602の横軸は、時間の経過を示すとともに、図中右側に進むにつれて時間が経過したことを示す。
 
【0099】
  図13のうち、第1の流量スイッチ70の検出結果を示す部分に符号603を付す。部分603は、図中右に進むにつれて時間が経過したことを示すとともに、ハッチングが施されている部分は、第1の流量スイッチ70がオン状態であることを示す。なお、このハッチングは、断面を示すものではない。
 
【0100】
  図13のうち、第2のポンプ51の運転周波数の変化を示す部分に符号604を付す。部分604の横軸は、時間の経過を示すとともに図中右側に進むにつれて時間が経過したことを示す。部分604の縦軸は、第2のポンプ51の運転周波数を示し、図中上側に進むにつれて周波数が上昇することを示す。
 
【0101】
  図13のうち、第2の流量スイッチ80の検出結果を示す部分に符号605を付す。部分605は、図中右側に進むにつれて時間が経過をしたことを示すとともに、ハッチングが施されている部分は、第2の流量スイッチ80がオン状態であることを示す。なお、このハッチングは、断面を示すものではない。
図13において、各部分601〜605の時間軸は、互いに同期している。
 
【0102】
  図13では、第1,2の蛇口1,2の全てが閉じた状態から、第1の蛇口1が開いた時点を、0としている。時間0のときに、第1の蛇口1が開かれることによって、給水配管システム20内の圧力が減少する。
 
【0103】
  時間t10が経過すると、給水配管システム20内の圧力値が始動圧力値まで低下する。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t10になると、ポンプ41〜61のうち、運転率が最も低いポンプを駆動する。この説明では、第1のポンプが最も運転率が低いポンプであるとする。制御盤110のマイコン111は、第1のインバータ43を制御して、第1のポンプ41を運転させる。制御盤110のマイコン111は、部分602に示すように、第1のポンプ41の運転周波数を最大運転周波数に向かって、上昇させる。
 
【0104】
  第1のポンプ41の運転周波数が上昇することによって、部分601に示すように、給水配管システム20内の吐出圧力値が上昇する。また、部分603に示すように、第1の流量スイッチ70がオン状態になる。
 
【0105】
  時間t11になると、部分602に示すように、第1のポンプ41の運転周波数が最大運転周波数に達する。時間t11では、第1の流量スイッチ70はオン状態である。部分601に示すように、吐出圧力値は、設定圧力未満である。このため、時間t11のときに、増台条件が成立する。しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t11から増台待機時間Aの間は、増台を制限する。なお、吐出圧力が上昇することによって、空気層28が圧縮され、最大に圧縮された後、吐出圧力が上昇を開始する。
 
【0106】
  部分604に示すように、時間t11から増台待機時間Aが経過した時間t12では、給水配管システム20内の吐出圧力は、設定圧力未満である。部分603に示すように、第1の流量スイッチ70は、オン状態である。このため、増台待機時間Aが経過後も、増台条件が維持されている。
 
【0107】
  このため、制御盤110のマイコン111は、時間t12になると、運転していないポンプのうち運転率が最も低いポンプを運転する。この説明では、第1,2のポンプ41,51のみが駆動可能であるとしているため、制御盤110のマイコン111は、第2のインバータ53を制御して、第2のポンプ51を運転する。なお、第2のポンプ51が運転されることによって、第1のポンプ41は、定速運転状態となる。第2のポンプ51は、可変速運転状態となる。
 
【0108】
  部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数は、時間t12以降、最大運転周波数に向かって上昇する。部分601に示すように、給水配管システム20内の圧力は、上昇する。部分605に示すように、第2の流量スイッチ80は、オン状態となる。
 
【0109】
  部分601に示すように、時間t13になると、給水配管システム20内の圧力は、設定圧力値に到達する。時間t13では、部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転周波数未満である。このため、時間t13になると、減台条件が成立する。減台の対象となるのは、先に運転している第1のポンプ41である。
 
【0110】
  制御盤110のマイコン111は、減台条件が成立した時間t13から減台待機時間Bが経過するまで、減台を制限する。制御盤110のマイコン111は、時間t13以降、第2のポンプ51の運転周波数を減少させることによって、給水配管システム20内の圧力を減少させる。
 
【0111】
  時間t13の近傍での吐出圧力の上昇は、給水配管システム20の空気層28に起因する圧力上昇である。この上昇は、空気層28に起因して生じる。
図10〜12を用いて説明したように、空気層28に起因して、給水配管システム20内の吐出圧力は、急激に上昇する。なお、吐出圧力の上昇の仕方は、
図12に示すグラフとは異なる。これは、説明用給水装置500と給水装置10との構造の違いのためである。
 
【0112】
  このため、時間t13以降、第2のポンプ51の運転周波数が減少されても、給水配管システム20内の吐出圧力は、上昇を続ける。
 
【0113】
  時間t13から減台待機時間Bが経過した時間t14でも、給水配管システム20内の吐出圧力は、設定圧力値よりも大きい。このため、制御盤110のマイコン111は、減台待機時間Bの経過後であっても減台条件が成立していると判断し、第1のポンプ41の運転を停止するべく、第1のインバータ43を制御して第1のポンプ41の運転周波数を、零になるまで減少する。
 
【0114】
  制御盤110のマイコン111は、第1のポンプ41の運転周波数が、減台周波数になるまでは、運転周波数を急激に減少させるのではなく、比較的緩やかに減少させる。これは、運転しているポンプの運転周波数の変化に合わせるためである。この点について、具体的に説明する。
 
【0115】
  上述のように、複数台のポンプが運転している状態から定速運転しているポンプが減台されると、給水配管システム20内の圧力が急激に下がる。このため、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力が急激に下がることを抑制するために、運転しているポンプの運転周波数を上昇させる。減台周波数は、運転しているポンプの運転周波数が上昇するのを待つために設定されている。
 
【0116】
  図13の説明に戻る。時間t15になると、第1のポンプ41の運転周波数が減台周波数まで低下する。また、時間t15になると、吐出圧力が設定圧力値まで低下する。さらに、時間t15以降は、吐出圧力が減少し続ける。
 
【0117】
  時間t15以降は、第1のポンプ41の運転周波数は、急激に減少される。このことに伴い、部分601に示すように、吐出圧力は、始動圧未満まで下がる。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t15になると、第2のポンプ51の運転周波数を上昇させる。
 
【0118】
  時間t16になると、第2のポンプ51の運転周波数が最大運転周波数になる。しかしながら、部分601に示すように、吐出圧力は、始動圧力値未満である。部分605に示すように、第2の流量スイッチ80はオン状態である。このため、時間t16では、増台条件が成立する。
 
【0119】
  しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t16から増台待機時間Aの間は、増台を制限する。増台待機時間Aが経過した時間t17では、第2のポンプ51の運転周波数は最大運転周波数であり、第2の流量スイッチ80は、オン状態であり、吐出圧力は、設定圧力値未満である。このため、時間t17では、増台条件が成立している。制御盤110のマイコン111は、時間t17になると、第1のポンプ41を駆動する。第2のポンプ51は、定速運転状態となり、第1のポンプ41は、可変速運転状態となる。
 
【0120】
  部分601に示すように、時間t18になると、吐出圧力は、設定圧力値に達する。部分602に示すように、時間t18になると、第1のポンプ41の運転周波数は、最大運転周波数未満であり、部分603に示すように、第1の流量スイッチ70は、オン状態である。このため、時間t18では、減台条件が成立する。
 
【0121】
  時間t18から減台待機時間Bが経過する時間t19では、部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転周波数である。部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力より大きい。部分605に示すように、第2の流量スイッチ80は、オン状態である。このため、時間t19では、減台条件が成立しているので、第2のポンプ51を減台する。
 
【0122】
  部分601に示すように、空気層28の体積変化に起因して、時間t19以降も、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値より大きい値を維持している。このため、制御盤110のマイコン111は、減台対象である第2のポンプ51の運転周波数を減台周波数まで緩やかに減少させるとともに、可変速運転を行っている第1のポンプ41の運転周波数を減少させる。
 
【0123】
  部分601に示すように、吐出圧力は、時間t19以降、減少を開始した後、時間t20になると、設定圧力値になる。そして、吐出圧力は、時間t20以降も減少し続ける。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t20になると、可変側運転を行っている第1のインバータ43を制御して第1のポンプ41の運転周波数を上昇する。
 
【0124】
  その後、部分601に示すように、吐出圧力は、時間t21になると上昇を開始する。時間t22では、部分602に示すように、第1のポンプ41の運転周波数は、最大運転周波数に達する。部分601に示すように、時間t22では、吐出圧力は、設定圧力値未満である。部分603に示すように、時間t22では、第1の流量スイッチ70は、オン状態である。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t22になると、増台条件が成立したと判断する。
 
【0125】
  しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t22から増台待機時間Aの間は、第2のポンプ51の運転を制限する。部分601に示すように、時間t22から増台待機時間Aが経過した時間t23では、吐出圧力は、設定圧力値未満である。部分602に示すように、時間t23では、第1のポンプ41の運転周波数は、最大運転周波数である。部分603に示すように、時間t23では、第1の流量スイッチ70は、オン状態である。このため、時間t23では、増台条件が成立している。
 
【0126】
  制御盤110のマイコン111は、時間t23になると、第2のポンプ51を運転するべく、第2のインバータ53を制御する。その後、第2のポンプ51の運転周波数は上昇する。その後、時間t24になると、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値に達する。このとき、部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転周波数未満である。部分605に示すように、第2の流量スイッチ80は、オン状態である。このため、時間t24では、減台条件が成立する。
 
【0127】
  しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t24から減台待機時間Bが経過するまでは、第1のポンプ41の減台を制限する。制御盤110のマイコン111は、可変速運転を行っている第2のポンプ51の運転周波数を減少させる。
 
【0128】
  その後、減台待機時間Bが経過した時間t25では、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値を越えている。部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転周波数未満である。部分605に示すように、第2の流量スイッチ80は、オフ状態である。このため、時間t25では、減台条件が成立している。制御盤110のマイコン111は、時間t25以降、第1のポンプ41を減台する。
 
【0129】
  その後、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値を超えている。このため、制御盤110のマイコン111は、可変速運転を行っている第2のポンプ51の運転周波数を減少させる。その後、時間t26になると、空気層28の体積変化に起因して、部分601に示すように、吐出圧力が上昇を開始する。しかしながら、吐出圧力は、設定圧力値未満であるので、制御盤110のマイコン111は、第2のポンプ51の運転周波数を増大し続ける。
 
【0130】
  その後、時間t27になると、部分604に示すように、第2のポンプ51の運転周波数が最大運転周波数に達する。また、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値未満である。また、部分605に示すように、第2の流量スイッチ80は、オン状態である。このため、時間t27になると、増台条件が成立する。
 
【0131】
  しかしながら、制御盤110のマイコン111は、時間t27から増台待機時間Aの間は、第1のポンプ41の増台を制限する。その後、増台待機時間Aが経過する時間t28では、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値未満である。部分604に示すように、可変速運転を行っている第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転周波数である。部分605に示すように、可変速運転を行っている第2の流量スイッチ80は、オン状態である。
 
【0132】
  このように、給水配管システム20内に空気層28が存在することによって、給水装置10が時間t14のときに最初に増台を行ったことに起因して、給水配管システム20内の空気層の体積が大きく変化する。そして、この体積変化によって、時間t13以降は、部分601に示すように、吐出圧力は、設定圧力値を挟んで増減を繰り返し、設定圧力値に収束しない。
 
【0133】
  次に、給水装置10の動作を説明する。この説明では、給水装置10は、第1〜14の機能を有している。
図14は、第1〜14の機能を有する給水装置10の動作を示すグラフである。なお、
図14に示すグラフにおいて、各部分601〜605が示すものは、
図13と同様である。このため、
図14において
図13と同じ部分については、説明を簡略化する。
 
【0134】
  まず、時間0のときに、第1の蛇口1が開くことによって、部分601に示すように、給水配管システム20の吐出圧力が低下する。その後、時間t10になると、吐出圧力は、始動圧力値まで減少する。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t10になると、第1のポンプ41を運転するために、第1のインバータ43を制御する。その後、部分602に示すよう、第1のポンプ41の運転周波数は、最大運転周波数に向かって上昇する。また、部分601に示すように、吐出圧力は、上昇する。
 
【0135】
  その後、時間t11になると増台条件が成立する。制御盤110のマイコン111は、時間t12になると、第2のポンプ51を運転するために第2のインバータ53を制御する。
 
【0136】
  また、制御盤110のマイコン111は、時間t12で増台が開始されてから、次に減台が完了するまでの時間の計測を開始する。この計測時間を計測時間Yとする。ここで、計測時間Yについて、具体的に説明する。
 
【0137】
  本実施形態では、増台が開始されるとは、増台されるポンプのインバータが制御されて運転を開始されることである。つまり、
図14の時間t12に示すように、第2のポンプ51の運転周波数が上昇を開始する時点である。本実施形態では、減台待機時間Bが経過した時点で減台条件が維持されていると、制御盤110のマイコン111は、減台対象のポンプのインバータを制御して、最大運転周波数から減台周波数まで下げる。最大運転周波数から減台周波数までの間は、制御盤110のマイコン111によって運転周波数が制御されている。そして、運転周波数が減台周波数まで下がると、制御盤110のマイコン111は、運転周波数を、零にするべくインバータの制御を停止する。このため、本実施形態では、上述のように、減台が完了するまでとは、減台周波数に到達するまでとなる。このため、本実施形態では、計測時間Yは、増台対象となるポンプの運転周波数が上昇を開始した時点から、次に減台対象となるポンプの運転周波数が減台周波数に到達する時点までの時間である。
 
【0138】
  その後、時間t13になると減台条件が成立する。制御盤110のマイコン111は、減台待機時間Bが経過する時間t14になると、第1のポンプ41を減台するべく、第1のインバータ43を制御する。その後、第1のポンプ41は、制御盤110のマイコン111の制御により、減台周波数まで緩やかに減少し、時間t15になると、減台周波数に到達する。
 
【0139】
  制御盤110のマイコン111は、時間t15になると、つまり、減台対象である第1のポンプ41の運転周波数が減台周波数に到達すると、時間の計測を停止する。つまり、計測時間Yは、時間t12から時間t15までとなる。
 
【0140】
  制御盤110のマイコン111は、計測時間Yと監視時間Xとを比較する。この説明では、計測時間Yは、監視時間X未満である。このため、制御盤110のマイコン111は、次に増台条件が成立し、かつ、増台待機時間Aが経過した後も増台条件が維持されていた場合に、この増台待機時間に続いて増台制限時間Zを設定することを決定する。
 
【0141】
  なお、増台制限時間Zが設定されるのは、計測時間Yが監視時間X未満となった状態に対して時間が経過して、増台条件が成立し、かつ、増台待機時間Aが経過した後も増台条件が維持されていた場合の一回のみであり、一旦計測時間Yが監視時間X未満なると、その後の、増台条件が成立し、かつ、増台待機時間Aが経過した後も増台条件が維持されていた場合全てに対して増台制限時間Zが設定されるものではない。つまり、増台制限時間Zは、計測時間Yが監視時間X未満となる度に、増台制限時間Zを設定する。
 
【0142】
  その後、時間t16になると、増台条件が成立する。増台待機時間Aが経過する時間t17においても増台条件が維持されているので、制御盤110のマイコン111は、上述のように、増台制限時間Zを設定する。制御盤110のマイコン111は、増台制限時間Zの間は、増台を制限する。
 
【0143】
  その後も、増台条件が成立している。つまり、吐出圧力は設定圧力値未満であり、第2のポンプ51の運転周波数は最大運転周波数であり、第2の流量スイッチ80は、オン状態である。
 
【0144】
  このため、制御盤110のマイコン111は、運転しているポンプの運転周波数の上限値を、最大運転超過運転周波数まで引きあげる。この結果、第2のポンプ51の運転周波数は、最大運転超過周波数まで上昇可能となる。制御盤110のマイコン111は、第2のポンプ51の運転周波数を、吐出圧力が設定圧力値になるように、最大運転超過周波数に向かって、上昇する。
 
【0145】
  図15は、給水装置10の、給水量と吐出圧力との関係を示すグラフである。
図15の横軸は、給水量を示しており、図中右側に進むにつれて給水量が増大することを示している。
図15の縦軸は、吐出圧力を示しており、図中上側に進むにつれて圧力が上昇することを示している。
 
【0146】
  図15の曲線C1は、ポンプ41〜61のうち、いずれか1つのポンプが動作している状態での、給水量と吐出圧力との関係を示している。
図15中、曲線C2は、ポンプ41〜61のうち、いずれか2つのポンプが動作している状態での給水量と吐出圧力との関係を示している。
 
【0147】
  また、
図15では、1つのポンプのみが動作している状態において、このポンプが最大運転超過周波数で運転された場合の特性を示す曲線C3が示されている。なお、この1つのポンプが最大運転周波数で運転した場合の特性を示す曲線C1と、最大運転超過周波数で運転したときの特性を示す曲線C3との間の部分にハッチングを施している。このハッチングは、断面を示すものではない。
図15に示すように、ポンプの運転周波数が最大運転超過周波数となることによって、1台のポンプの動作による給水量が上昇することがわかる。
 
【0148】
  図16は、給水装置10において運転しているポンプの周波数を示すグラフである。
図16は、
図2〜4と同様であり、
図14に示す時間t17の時点における、ポンプの周波数を示している。
図16は、第1のポンプ41が最大運転超過周波数で運転している様子を示している。なお、最大運転周波数を超えている範囲に、ハッチングを施している。このハッチングは、断面を示すものではない。
 
【0149】
  図15に示すように、1台のポンプが最大運転超過周波数で運転する場合と、2台のポンプ運転する場合を比較すると、2台のポンプが運転する状態の方が、給水量が多い。これは、1台のポンプが最大運転超過周波数で運転する場合に比較して、2台のポンプが運転する方が、給水配管システム20内の圧力の上昇率が大きいことを示す。
 
【0150】
  このため、
図13,14に示すように、1台のポンプが最大運転超過周波数で運転する場合の方が、吐出圧力の上昇率が小さくなる。上昇率が小さいため、時間t17以降において、
図14の部分601に示す特性を表す線の傾きは、
図13の部分601に示す特性を表す線の傾きよりも小さい。
 
【0151】
  その後、時間t30になると、吐出圧力は、設定圧力値に到達する。時間t30から時間t31までは、吐出圧力は、設定圧力値が維持される。これは、給水配管システム20内の空気層28に起因する吐出圧力の上昇が終了したことによる吐出圧力の低下と、第1のポンプ41が最大運転超過周波数で運転をすることによる吐出圧力の上昇とが互いに相殺されているためである。
 
【0152】
  その後、時間t31になると、給水配管システム20内の空気層28に起因する吐出圧力の低下の程度が大きくなり、それゆえ、給水配管システム20内の吐出圧力が、設定圧力値よりも低下しはじめる。この結果、増台条件が成立する。しかしながら、時間t31は、増台制限時間Z内である。このため、制御盤110のマイコン111は、増台を制限する。
 
【0153】
  その後、時間t32になると、増台制限時間Zが終了する。時間t32においても、給水配管システム20内の吐出圧力は、設定圧力値よりも低いままである。このため、時間t32の時点では、増台条件が維持されている。制御盤110のマイコン111は、時間t32において、ポンプの台数を増台するべく、第1のポンプ41の運転を開始する。
 
【0154】
  次に、増台制限時間Z内にて稼動しているポンプの運転周波数が減少を開始して増台制限時間Zの終了時点においても稼動しているポンプの運転周波数が減少傾向にあり、かつ、増台制限時間Zの終了時点にて増台条件が成立している場合について、
図17を用いて説明する。
図17は、給水装置10の動作を示すグラフである。
 
【0155】
  図17の各部分が示すものは、
図14と同じであるため、各部分には、
図14と同様に、601〜605の符号を付している。
図17は、時間t17までは
図14と同じである。このため、時間t17までの説明は、省略する。
図17では、増台制限時間Z内の時間t33になると、吐出圧力が設定圧力値を超える。このため、制御盤110のマイコン111は、時間t33になると、第2のポンプ51の運転周波数を、最大運転超過周波数から減速する。このため、時間t34になると、吐出圧力は、減少を開始する。時間t34は、時間t33以降であり、かつ、増台制限時間Zの終了する時間t32未満である。
 
【0156】
  吐出圧力は、増台制限時間Zが終了する時間t32より前の時点で、設定圧まで減少し、時間t32では、設定圧力未満となる。このため、制御盤110のマイコン111は、増台制限時間Zが終了する時間t32においても、運転しているポンプである第2のポンプ51の運転周波数を、最大運転周波数よりも高い値となるように制御している。
 
【0157】
  この説明では、制御盤110のマイコン111は、吐出圧力に基づいて、第2のポンプ51の運転周波数の減速を、増台制限時間が終了する時間t32を越えた時間t35まで継続する。第2のポンプ51の運転周波数は、時間t35で、最大運転周波数になる。つまり、第2のポンプ51の運転周波数は、時間t33において最大運転超過周波数から減少を開始し、時間t35において、最大運転周波数になる。
 
【0158】
  第2のポンプ51の運転周波数は、増台制限時間Zの終了する時間t32においても、減少傾向が継続している。つまり、第2のポンプ51の運転周波数は、時間t32では減少傾向にある。増台制限時間Zの終了する時間t32において、吐出圧力は、設定圧力よりも小さい値まで減少する。
 
【0159】
  このため、増台制限時間Zが終了する時間t32では、増台条件が成立する。しかしながら、制御盤110のマイコン111は、増台制限時間Zの終了する時間t32において、稼動している第2のポンプ51の運転周波数が減少傾向にあるため、増台を制限する。制御盤110のマイコン111は、時間t32においても、第2のポンプ51の運転周波数を最大運転周波数よりも高い値とすることによって、吐出圧力の低下に対応している。この結果、時間t36では、吐出圧力は、設定圧力値まで上昇し、その後、設定圧力値を維持している。時間t36は、時間t35に対して、時間が経過している状態である。
 
【0160】
  このように、本実施形態では、計測時間Yと監視時間Xとを比較し、この比較結果に基づいて増台制限時間Zを設定することによって、
図17に示すように、空気層28に起因する吐出圧力の増減の繰り返しが生じることを抑制できる。この結果、当該増減に起因するポンプの運転台数の増減の発生を抑制することができる。
 
【0161】
  また、制御盤110のマイコン111は、増台制限時間Zが経過した時点の状態に基づいて増台が行われると、次回増台制限時間Zを設定する場合、この増台制限時間Zを直前の値よりも短くする。この点について、具体的に説明する。
 
【0162】
  制御盤110のマイコン111が、給水装置10の運転状態が空気層28による影響を受けていると判断した場合であっても、増台制限時間Zが経過した時点の状態に基づいて増台を行うと、いいかえると増台条件が成立して増台を行うと、当該増台条件の成立が空気層28に起因するものではなく、第1,2の蛇口1,2からの受水量の増加に伴う可能性がある。これは、空気層28に起因する吐出圧力の変動であれば、その変動は増台制限時間Z内で収まる場合が多いためである。
 
【0163】
  このため、増台制限時間Zを直前の値に対して短くすることによって、第1,2の蛇口1,2から吐出される受水量の増加に伴う増台条件の成立に、すばやく対応できるようになる。短くする時間は、予め決定されている。または、例えば、増台制限時間を直前の値に対して短くすることの一例としては、増台制限時間Zを初期値に戻してもよい。初期値は、予め決定された値である。
 
【0164】
  また、制御盤110のマイコン111は、計測時間Yが監視時間Xより短いと、つまり、増台制限時間Zを設定することを決定すると、そのたびに、増台制限時間Zを直前の値に対して長くする。これは、空気層28に起因する吐出圧力の増減が頻繁に行われることを示す。このため、増台制限時間Zを長くすることによって、空気層28に起因する吐出圧力の頻繁な変動が収まるまで増台を制限することができるようになる。
 
【0165】
  このように、増台制限時間Zの経過した時点で増台の実行をするたびに増台制限時間Zを短くし、かつ、増台制限時間Zの設定が決定されるたびに増台制限時間Zを長くする動作を繰り返すことによって、増台制限時間Zは、給水装置10の運転状態に応じた長さとなる。この結果、増台制限時間Zは、給水装置10の運転状態に応じた値に変化していくため、運転するポンプの増減の繰り返しの発生を抑制することができる。
 
【0166】
  また、増台制限時間Zの終了時点で増台条件が成立していても、増台制限時間の終了時点において稼動しているポンプの運転周波数が減少傾向にある場合では、増台が制限される、つまり、増台が実行されない。
 
【0167】
  このように、増台条件が成立していても、稼動しているポンプの運転周波数が減少傾向にある場合では、当該稼動しているポンプの運転周波数を調整することによって吐出圧力を調整可能である。このため、不要に増台を防止できるので、当該増台に起因する電力の消費、及び、吐出圧力の変動の発生を防止することができる。
 
【0168】
  また、上述のように、本実施形態では、稼動するポンプの運転周波数は、吐出圧力センサ100の検出結果をフィードバックすることによって、行われている。このため、稼動しているポンプの運転周波数の制御に応答遅れが生じる。しかしながら、増台制限時間Zを設定し、かつ、最大運転超過周波数を設定することによって、上記の応答遅れに起因するポンプの増減台を防止することができるので、吐出圧力値を安定させることができる。
 
【0169】
  第1,2の実施形態では、給水配管システム20は、本発明で言う流路部の一例である。流量スイッチ70〜90は、本発明で言う流量検出部の一例である。なお、流量スイッチ70〜90は、所定の流量になるとオン状態となり、当該所定の流量を検出することができる。他の例としては、ポンプから吐出される水の流量を検出できる検出できる流量検出部が用いられてもよい。吐出圧力センサ100は、本発明で言う圧力検出部の一例である。制御盤110のマイコン111は、本発明で言う制御部の一例である。また、制御盤110のマイコン111は、本発明で言う運転周波数検出部としての機能も有している。他の例としては、制御盤110のマイコン111とは別に、各ポンプの運転周波数を検出する運転周波数検出部が用いられてもよい。
 
【0170】
  なお、本実施形態では、第1,2,3の流量スイッチ70,80,90は、所定流量以上となるとオン状態となり、所定流量未満となるとオフ状態となる。他の例では、第1,2,3の流量スイッチ70,80,90は、所定流量以上となるとオフ状態となり、所定流量未満となるとオン状態となる構成であってもよい。
 
【0171】
  この場合、制御盤110のマイコン111は、第1,2,3の流量スイッチ70,80,90から信号を受信すると、所定流量未満であると判断し、第1,2,3の流量スイッチ70,80,90から信号を受信していない状態では、所定流量以上であると判断する。
 
【0172】
  このため、制御盤110のマイコン111は、第2の機能として、吐出圧力検出結果が設定圧力値未満であり、可変運転しているポンプの運転周波数が最大運転周波数であり、可変速運転状態のポンプの下流に設けられる流量水スイッチがオフ状態であると、増台条件が成立したと判定する。同様に制御盤110のマイコン111は、第3の機能として、吐出圧力センサ100の結果が設定圧力値より大きく、可変運転状態のポンプの運転周波数が最大運転周波数未満であり、可変速運転状態のポンプの下流に設けられる流量水スイッチがオン状態であると、減台条件が成立したと判定する。この場合、
図13,14の部分603,605では、ハッチングが施されている部分は、流量スイッチのオフ状態を示す。
 
【0173】
  この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
  
以下に、本願出願の当初の特許請求範囲に記載された発明を付記する。
[1]
  複数のポンプと、
  前記複数のポンプの各々に設けられて、当該設けられるポンプの運転周波数を調整可能な運転周波数調整部と、
  前記複数のポンプから吐出された液を受給側に導く流路部と、
  前記複数のポンプの動作を制御する制御部と
  を具備し、
  前記運転周波数調整部は、前記ポンプを駆動する駆動部と、前記駆動部に供給される電力の周波数を調整可能なインバータとを備え、
  前記制御部は、
  前記インバータを制御可能であり、
  前記ポンプの運転台数を増加する増台条件が成立すると、増台条件が成立してから予め設定された増台待機時間の間は増台を制限し、
  前記ポンプの運転台数を減少する減台条件が成立すると、減台条件が成立してから予め設定された減台待機時間の間は減台を制限し、
  前記ポンプの運転台数が1台増加された時点からの予め設定された監視時間内に前記運転台数の減台が完了すると、次に設定される前記増台待機時間に連続して、前記運転台数の増台を制限する増台制限時間を設定する
  ことを特徴とする給液装置。
[2]
  前記複数のポンプの各々の、少なくとも所定の流量を検出可能な流量検出部と、
  前記各ポンプの運転周波数を検出する運転周波数検出部と、
  前記流路部内の圧力を検出する圧力検出部と
  を具備し、
  前記制御部は、
  前記流量検出部と前記運転周波数検出部と前記圧力検出部との検出結果とに基づいて、前記増台条件の成立と前記減台条件の成立とを判断する
  ことを特徴とする付記[1]に記載の給液装置。
[3]
  前記制御部は、前記増台制限時間内において、運転しているポンプの運転周波数が第1の上限値であって、かつ、前記流路部内の圧力が所定値より小さい場合は、運転しているポンプを、前記第1の上限値を超えた第2の上限値までの範囲の周波数で運転するよう、前記運転しているポンプを駆動する前記インバータを制御する
  ことを特徴とする付記[1]または[2]に記載の給液装置。
[4]
  前記制御部は、増台後、前記監視時間内に減台すると、次に設定される増台制限時間を、直前の値より長くする
  ことを特徴とする付記[1]〜[3]のうちのいずれか1に記載の給液装置。
[5]
  前記制御部は、前記増台制限時間の経過した時点で増台条件が成立しており、この増台条件成立に基づいて増台が実行されると、次に設定される増台制限時間を、直前の値より短くする
  ことを特徴とする付記[1]〜[4]のうちのいずれか1に記載の給液装置。
[6]
  前記制御部は、前記増台制限時間が経過した時点で増台条件が成立していても、当該増台制限時間が経過した時点で運転しているポンプの運転周波数が減少傾向にある場合は、増台を制限する
  ことを特徴とする付記[2]〜[5]のうちのいずれか1に記載の給液装置。