【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施形態の袋状食品用口開き装置で袋状食品(1)の開口部(11)を開いた状態にした場合の側面図あり、
図2は、この袋状食品用口開き装置の動作を示す状態図であり、
図3は、この袋状食品用口開き装置に用いられる吸着具(2)の斜視図であり、
図4は、この袋状食品用口開き装置に用いられる掴み具(3)の斜視図であり、
図5は、この袋状食品用口開き装置を用いたいなり寿司の製造ラインの斜視図である。
【0021】
本発明の袋状食品用口開き装置は、上板(4)を下板(5)に対して昇降可能に設け、上板(4)の下部に吸引筒(6)を介して吸着具(2)を、下板(5)の下方に掴み具(3)を取り付けたものとしている。
【0022】
厚くて柔らかい袋状食品(1)は、
図1に示す袋状食品(1)の左端側に開口部(11)を有する袋状のいなり寿司用の油揚げとしている。この袋状食品(1)は、薄く切った四角形状の豆腐を油で揚げ、この内部に針を差し込み、空気を入れて袋状にし、余分な油分を除いた後、中央で裁断して上面側と下面側に二分割したとしており、この裁断した部分が開口部(11)となる。また、この袋状食品(1)には、適宜味付けをしたものとすることができる。
【0023】
吸着具(2)は、
図3に示すように略楕円形状を有しており、その下面部に金網(21)が配設され、その金網(21)より内部は空洞となっており、2つの通気孔(22)有している。その2つ通気孔(22)は、吸着具(2)内部で一つの管として結合され、中空である吸引筒(6)、図示しない吸気と排気を調整する弁、さらに別の中空の配管を経て、図示しない排気装置へと繋がっている。そして、図示しない排気装置が空気を排気することにより接続されている配管、そして吸気と排気を調整する三叉路を有する弁の一の経路に空気が送られるが、吸気と排気を調整する弁は電子制御により動作を制御され、弁の二つ目の経路から空気が外部に排出されるように弁が調整されると、三つ目の経路に接続されている吸引筒(6)の内部は減圧となり、吸引筒(6)に接続されている吸着具(2)が袋状食品(1)を吸い上げることができる。一方、その弁の三つ目の経路から空気が排出されるように弁が調整されると、三つ目の経路に接続されている吸引筒(6)の内部に空気が送られ、吸引筒(6)に接続されている吸着具(2)が袋状食品(1)を下方に離す。
【0024】
そして、金網(21)は、通気孔(22)に袋状食品(1)が直に接触すると通気孔(22)の周囲の淵の部分に貼りついた袋状食品(1)の一部に応力が集中し破れやすくなることを防ぎ、吸着具(2)の下面部で均等な力で吸着するために設けられている網目状構造物であり、ステンレスを素材としている。また、網目状構造物とは、特に形状が網目に限定されるものではなく、金属板に数多くの細孔を穿孔したものであるパンチングメタルを含んでいても良い。さらに、特にその素材が金属に限定されるものではなく、網目状構造物として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂などの高分子材料を単独で又は二つ以上組み合わせて使用することもできる。
【0025】
また、網目状構造物のメッシュ、すなわち1インチ(25.4mm)中にある目の数は、3〜200が好ましく、5〜100がさらに好ましい。網目状構造物のメッシュが3未満であると、網目の淵に直に接触する袋状食品(1)の一部に吸引による応力が集中し破れやすくなる。また、網目状構造物のメッシュが200よりも大きいと、袋状食品(1)を吸引する力が弱くなり袋状食品(1)を充分に吸引することが困難となる。
【0026】
掴み具(3)は、切欠(31)を有する2枚の刃先(32)が対向し、閉じるとその刃先(32)が当接するように爪切りの刃のような形状を有している。また、掴み具(3)は、図示しない掴み具作動装置により電子制御により動作を制御され、下板(5)に設けられた下板孔(51)が吸着具(2)と掴み具(3)を結ぶ線上に来たときに上方に移動され、下板孔(51)を通して袋状食品(1)の下面を掴むように制御される。
【0027】
上板(4)は、
図1及び
図4に示すように吸着具(2)に接続されている吸引筒(6)を固設しており、食品押え板(7)に接続されているボルトをナットにより固設している。上板(4)は、下板(5)に対して昇降可能に設けられており、電子制御により昇降の動作を制御されている。
【0028】
下板(5)は、細長い板状の形状を有し、その下板(5)を楕円形状に穿孔した下板孔(51)を長手方向に等間隔で複数有しており、さらにその複数の下板孔(51)の間に両端が丸い棒状の仕切りを横幅方向に有している。また、下板(5)は、長手方向に移動することができ、複数の下板孔(51)を覆うように載置された複数の袋状食品(1)を連続して搬送することができるように電子制御により動作を制御されている。
【0029】
食品押え板(7)は、平板の上面の一端から他端へ向かう方向に徐々に隆起する車止めブロックのような形状を有している。そして、その隆起した上面にボルトが螺着されている。食品押え板(7)の下面は、吸着具(2)の下面と同じ高さに設けられており、上板(4)の下降により、吸着具(2)の下面とともに下板孔(51)に載置された袋状食品(1)の上面を押さえることができ、袋状食品(1)の一部が盛り上がるように載置されるなど平面状に載置されていないときには、平面状に載置するよう修正することができる。
【0030】
そして、この袋状食品用口開き装置は、以下に示すような工程により、袋状食品(1)の口開き作業を行う。
【0031】
まず、
図2(a)に示すように下板孔(51)の中に掴み具(3)を、刃先(32)が袋状食品(1)に当接する位置まで上昇させる。
【0032】
次に、
図2(b)に示すように上板(4)を、吸着具(2)と食品押え板(7)が袋状食品(1)の上面に当接するまで下降させてから、吸着具(2)が空気を吸い込むように弁を調整し、それとほぼ同時に掴み具(3)の対向する刃先(32)を閉じて袋状食品(1)の下面を掴む。
【0033】
吸着具(2)の下面には、金網(21)が配設され、袋状食品(1)の上面が金網(21)全体に均等な力で吸着されるので、袋状食品(1)の上面の開口部(11)付近に亀裂や破損が生じない。
【0034】
また、吸着具(2)が、上方に一つしかないため、排気装置を一つ用意するだけで良く、容量も大きくする必要がないため排気装置を含めても全体を小型化することができる。
【0035】
次に、
図2(c)に示すように上板(4)を上昇させる。袋状食品(1)は、その上面が吸着具(2)に吸着されており、その下面が掴み具(3)に掴まれているため、上板(4)の上昇とともにその上面が吸着具(2)に保持されたまま持ち上がり、開口部(11)が大きく開いた状態となる。そして、この状態で、開口部(11)側に設けられた食品挿入装置(8)により、袋状食品(1)内に寿司飯との食材が詰め込まれる。そして、袋状食品(1)内への食材の詰め込みが終わった後、食品挿入装置(8)を初期位置に戻してから、弁を切り替え吸着具(2)から空気が排出されるようにし、袋状食品(1)の上面を吸着具(2)から下方に離すとともに掴み具(3)の対向する刃先(32)を離れさせるように制御して袋状食品(1)の下面を離す。
【0036】
また、吸着具(2)が袋状食品(1)の上面を保持し持ち上げるとき、掴み具(3)は、袋状食品(1)の下面をその位置で掴むだけで、下方に移動しないために、袋状食品(1)の下面に必要以上の力を加えないので、袋状食品(1)の下面の亀裂や破損を生じさせない。
【0037】
この袋状食品用口開き装置は、
図5に示すようにいなり寿司の製造ラインにおいて使用することができる。この製造ラインでは、下板(5)により袋状食品(1)が順次搬送され、複数の袋状食品(1)に連続して寿司飯を詰めることができる。