(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5858523
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】超広帯域アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/371 20150101AFI20160128BHJP
H01Q 1/36 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
H01Q5/371
H01Q1/36
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-219789(P2011-219789)
(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公開番号】特開2012-80542(P2012-80542A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2014年9月22日
(31)【優先権主張番号】10013277.8
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】スヘンク・ゲン パン
【審査官】
佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02034555(EP,A1)
【文献】
特開2009−044518(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/091578(WO,A1)
【文献】
特開2002−344235(JP,A)
【文献】
特開平09−181525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/36
H01Q 5/00− 5/55
H01Q 9/30
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
698〜2690MHzの全周波数レンジをカバーする、通信機器で使用するための超広帯域アンテナ(100)であって、
第1端に電気接続部を有する第1折り曲げ分岐アンテナ素子(101)と、
第1端に電気接続部を有する第2折り曲げ分岐アンテナ素子(102)と
を具備し、
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、前記第1端から第2端に向かって幅が増大すると共に前記第2端において幅が一定の矩形部分を有することを特徴とする超広帯域アンテナ。
【請求項2】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子はビバルディアンテナであることを特徴とする請求項1記載の超広帯域アンテナ。
【請求項3】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は異なる長さを有することを特徴とする請求項1又は2記載の超広帯域アンテナ。
【請求項4】
前記第1折り曲げ分岐アンテナ素子は第1周波数帯域に同調され、
前記第2折り曲げ分岐アンテナ素子は第2周波数帯域に同調され、
前記両周波数帯域は、698〜2690MHzの範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項5】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は導電金属製であることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項6】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、印刷回路基板に、又は移動体通信機器の筐体に電気接続されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項7】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子間に配置された誘電要素(204)をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項8】
前記第2折り曲げ分岐アンテナ素子の第1端及び第2端間に配置された誘電要素をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項9】
前記第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、前記誘電要素の周囲に巻回されるか、又は前記誘電要素上に印刷されることを特徴とする請求項7又は8記載の超広帯域アンテナ。
【請求項10】
前記第1折り曲げ分岐アンテナ素子は2回90°に折り曲げられ、
前記第2折り曲げ分岐アンテナ素子は3回90°に折り曲げられることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項11】
前記第2折り曲げ分岐アンテナ素子の第2端を該第1折り曲げアンテナ素子に電気的に短絡させることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【請求項12】
第1端に電気接続部を有する第3折り曲げ分岐アンテナ素子をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の超広帯域アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器に使用される小型の超広帯域アンテナデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
第2世代及び第3世代の無線通信の成功により、第4世代(4G)すなわちロング・ターム・エボリューション(LTE)が現在開発されつつある。4G/LTE移動体通信は、高速データ速度で広帯域マルチメディアサービスを提供する。
【0003】
LTE仕様は、少なくとも100Mbpsの下り回線ピーク速度、少なくとも50Mbpsの上り回線ピーク速度、及び10ミリ秒未満のRAN往復時間を提供する。LTEは、1.4〜20MHzの拡張性搬送帯域幅を支持すると共に、周波数分割双方向(FDD)及び時間分割双方向(TDD)の双方を支持する。LTEの進化の次の段階は、先進LTEであり、3GPPリリース10で現在規格化されつつある。この規格には、音声中心クラスからピークデータ速度を支持するハイエンド端末まで5つの異なる端末クラスが定義される。全端末は、20MHzの帯域幅を処理することができる。また、最小1.4MHzで最大20MHzの支持されたスペクトルスライスを有する増大したスペクトル柔軟性がある。IMTシステムにより現在使用される全周波数プランが使用されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2034555号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LTEにおける研究課題の一つは、ユーザ機器(UE)及びeNODE B間のインタフェースの広い周波数レンジ、すなわち698〜2690MHzである。標準的な半ダイポールアンテナ又は1/4波長モノポールアンテナが使用されるなら、アンテナの寸法は低周波レンジで約21cm又は10.5cmであろう。しかし、これは、ユーザの機器、例えば携帯電話では用途に対して大き過ぎる。さらに、標準的なダイポールアンテナ及びモノポールアンテナの帯域幅は、4G通信の動作帯域をカバーするには狭過ぎる。
【0006】
過去には、異なるアンテナ形状が提案され使用された。しかし、いずれも698〜2690MHzの全周波数レンジをカバーする超広帯域特性を有するものではなかった。例えば、アンテナ素子が2個の曲げ部を有する直線導体で形成されたアンテナデバイスは、アンテナ素子の所定部分に給電端子が配置され、アンテナ素子の一端部が接地されたところで使用できる。また、アンテナデバイスは、4個の曲げ部を有する直線導体で形成されたアンテナ素子を有することができる。このようにして、モノポールアンテナのアンテナデバイスが曲げられるので、アンテナデバイスは機器面積を減少させることができる。
【0007】
従って、これらは、直線モノポールよりも短い長さを要する曲げモノポールである。複数の周波数帯域で作動する分岐アンテナもまた、携帯無線電話で使用されつつある。
【0008】
分岐アンテナは、放射素子として作用し単一給電点から分岐する、基板上に配置された1対の導電トレースを有するのが代表的である。アンテナは一般的に平坦基板を有し、平坦基板はその上に配置された1対の蛇行放射素子を有する。蛇行放射素子は、ユーザの機器内でアンテナを高周波回路に電気接続する給電点から分岐する。各蛇行放射素子は、各周波数帯域内で共振するよう構成されている。
【0009】
分岐アンテナは、4G動作には狭過ぎる一周波数帯域内で電気信号を送受信する。さらに、分岐アンテナの寸法を減少するために、各放射素子の蛇行パターンを圧縮することが必要である。これは、放射素子が作動する周波数帯域を狭くする。この問題を解決するために、1対の放射素子、例えば表面に配置された導電性銅トレースを有する平坦な誘電性基板を有するアンテナを使用することができる。
【0010】
放射素子は、電気コネクタからユーザの機器(UE)内で高周波回路にアンテナを電気接続する給電点に分岐する。各放射素子は、好適には一方は高く他方は低い各周波数帯域内で共振するよう構成された各電気長を有する各蛇行パターンを有する。誘電性基板の使用に好適な材料は、FR4又はポリイミドである。誘電性基板は、約2〜4の誘電定数を有する必要がある。誘電性基板の寸法及び形状は同調パラメータである。高周波数帯域放射素子及び低周波数帯域放射素子の寸法は、基板表面の空間の制約によって変わる。アンテナの帯域幅は、高周波数帯域放射素子及び低周波数帯域放射素子の蛇行パターンの形状及び構成を変更することにより調整できる。
【0011】
アンテナの別の例において、複数の周波数帯域アンテナの異なる分岐が異なる周波数で共振することが中心原理である。分岐アンテナは、分岐アンテナ及びユーザ機器(UE)のトランシーバ回路間で信号を交換するための共通ポートに接続される。第1分岐は第1周波数帯域に共振周波数を有するような長さ及び構造であり、第2分岐は第2周波数帯域に共振周波数を有するような長さ及び構造である。アンテナは、例えば製造の時点で両周波数帯域用に約50Ωのインピーダンスに同調される。各分岐アンテナは、比較的薄い可撓性誘電フィルムと、蛇行した金属ラインにより形成されたストリップアンテナとを有する。金属ラインは、印刷、エッチング又は他の適当な方法により形成することができる。フィルムは可撓性材料製であるので、印刷されたフィルムは、分岐アンテナとして使用するためのほぼ筒状に丸めることができる。筒は、アンテナの設計によって、部分的に開いたり完全に閉じたりしてもよい。例えば、アンテナの帯域幅は、筒の直径を変更することにより変えることができる。蛇行金属ラインは、異なる分岐アンテナが異なる周波数で共振するように、分岐アンテナ間で変わる。このため、複数の共振及び複数の分岐は、各分岐用に適当なストリップ寸法及びパターンを選択することにより達成することができる。分岐アンテナは、モノポールアンテナに類似する。
【0012】
残念ながら、分岐アンテナは、LTE及び4Gのニーズを満足するには狭過ぎるか、UEの周囲を考慮するマージンを殆ど持たない周波数帯域内で電気信号を送受信する。また、携帯アンテナの寸法を小さくするために、放射素子の蛇行パターンを圧縮することが必要である。
【0013】
残念ながら、放射要素の蛇行パターンがより圧縮されると、放射素子が作動する周波数帯域はより狭くなってしまう。
【0014】
このため、超広帯域UEに対する受容と、このような移動体通信用の従来のアンテナに伴う問題に鑑み、LTE/4G周波数レンジで作動することができる、より小さい超広帯域アンテナに対するニーズが存在する。
【0015】
また、近年、移動体通信以外の分野でのアンテナの使用も増加してきた。例えば、産業分野、とりわけ機械対機械通信や、医療機器分野、とりわけ患者監視において、アンテナの必要性が増大している。家庭における自動化を追求して家電分野においても、アンテナに対する需要が増大している。
【0016】
改善された帯域幅特性及び小型寸法を有するアンテナは、移動体通信機器のみならず非移動体機器でも望まれているということになる。
【0017】
従って、本発明の目的は、超広帯域である無線通信機器用の小型アンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の目的は、独立請求項で請求された本発明により達成される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項により定められる。
【0019】
本発明で言う通信機器は、ユーザの機器(UE)、携帯電話、移動体携帯機器、ノート型コンピュータ用の無線モデム、ノート型コンピュータ、掃除機等の移動体機器、又は、産業機械、家電製品、医療機器等の非移動体機器のいずれかを指す。このため、本発明で言う非移動体機器は、通常はユーザにより運ばれることや移動することが意図されていない機器、すなわち普通は固定機器である機器を指す。家電分野において、コーヒーメーカーや冷蔵庫は、本発明で言う非移動体機器の例である。
【0020】
第1端に電気接続部を有する第1折り曲げ分岐アンテナ素子及び第1端に電気接続部を有する第2折り曲げ分岐アンテナ素子を具備する通信機器で使用するために超広帯域アンテナを有することは、超広帯域幅の小さな寸法のアンテナを有するという利点を有する。
【0021】
利点がある一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、アンテナの帯域幅が増大すると、第1端から第2端へ幅が増大する。
【0022】
別の一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、アンテナの帯域幅を決定することが容易である、単一の三角形、三角形の組合せ、矩形又は多角形である。
【0023】
利点がある別の一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、超広帯域アンテナとして直接製造できるビバルディアンテナである。
【0024】
別の一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は異なる長さを有し、アンテナの帯域幅を増大させる利点を有する。
【0025】
利点がある別の一実施形態において、第1折り曲げ分岐アンテナ素子は第1周波数帯域に同調され、第2折り曲げ分岐アンテナ素子は第2周波数帯域に同調される。両周波数帯域は、LTE/4Gに使用可能な超広帯域アンテナを形成する698〜2690MHzの範囲内にある。
【0026】
本発明の利点がある別の実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、好適には銅又は銀である導電金属製であるので、利点がある放射特性を有する。
【0027】
利点がある別の一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、印刷回路基板(PCB)に、又は移動体通信機器の筐体に電気接続される。アンテナは、例えばPCBの高周波入出力を介してPCBと直接接触状態にあるか、例えば通信機器の(接地)筐体に実装された高周波入出力を介して間接的であってもよい。
【0028】
第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子間に誘電要素を配置することは、超広帯域アンテナがより小さく製造できるという利点を有する。同様に、第2折り曲げ分岐アンテナ素子の第1端及び第2端間に、従って第2折り曲げ分岐アンテナ素子により形成されたループ内に誘電要素を配置することも、超広帯域アンテナの寸法をより小さくする効果を有する。
【0029】
本発明の利点のある別の一実施形態において、第1及び第2の折り曲げ分岐アンテナ素子は、誘電要素の周囲に巻回されるか、誘電要素上に印刷され、アンテナの機械的安全性を改善する。
【0030】
本発明の利点のある別の一実施形態において、第1折り曲げ分岐アンテナ素子は2回90°に折り曲げられ、第2折り曲げ分岐アンテナ素子は3回90°に折り曲げられ、超広帯域アンテナの寸法をより小さくする。
【0031】
第2折り曲げ分岐アンテナ素子の第2端をアンテナ素子自体に電気的に短絡させてループを形成することは、超広帯域アンテナの寸法をさらに小さくする利点を有する。
【0032】
第1端に電気接続部を有する第3折り曲げ分岐アンテナ素子を超広帯域アンテナに有することは、VSWR(電圧定在波比)をさらに改善することができ、又は帯域幅を増大させる利点を有する。
【0033】
本発明の利点のある別の一実施形態において、超広帯域アンテナの製造方法は、誘電要素の3側面に第1折り曲げ分岐アンテナ素子の導電金属を印刷する工程と、誘電要素の4側面に第2折り曲げ分岐アンテナ素子の導電金属を印刷する工程とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】三角形のアンテナ素子を有する2分岐アンテナを示す斜視図である。
【
図3】誘電要素を有する2分岐アンテナを示す斜視図である。
【
図4】機器に実装される際の
図3のアンテナのVSWRを示すグラフである。
【
図5】短絡された三角形の2分岐アンテナを示す斜視図である。
【
図7】2個の誘電要素を有する短絡された2分岐アンテナを示す斜視図である。
【
図8】機器に実装される際の
図7のアンテナのVSWRを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0036】
最初に、好適な一実施形態を説明する。しかし、本発明は、本明細書に述べた実施形態に限定するものとして解釈すべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0037】
特に、好適に本実施形態のアンテナは、LTEネットワーク又は4Gネットワークでの移動体通信機器で使用されることに関連して説明される。しかし、小型の超広帯域アンテナは、固定無線アクセス、WLAN、WiFi等を含む多くの異なる環境で使用できることが考えられる。
【0038】
以下の説明を通して、2分岐アンテナは、ユーザ機器(UE)、携帯電話、移動体携帯機器、ノート型コンピュータ用無線モデム等の移動通信機器で使用されるものとして説明される。しかし、アンテナはまた、家電製品、産業機械、医療機器等の非移動体機器で使用できる。
【0039】
上述したように、折り曲げ型のダイポールアンテナ及びモノポールアンテナは、UE又は移動体機器で必要とされるアンテナの寸法を小さくするために、当業界で公知である。説明したように、LTE及び4Gの環境において、これらのダイポールアンテナ及びモノポールアンテナが提供する帯域幅は十分でない。LTEに必要な広い帯域幅、すなわち698〜2690MHzを達成するために、本発明では三角形アンテナ又はビバルディアンテナが使用される。これらのアンテナが従来のやり方で使用されるなら、これらの超広帯域アンテナはUE又は移動体機器には合わないので、依然として寸法の問題が残る。
【0040】
広帯域動作は、次世代無線端末を含むいくつかの実用的用途で一般的になりつつある。寸法が小さく構造が簡単な広帯域アンテナは、このような用途に好適である。マイクロストリップパッチアンテナは、寸法が小さく、軽量、低背、低コストで、製造及び組立が容易であるので、無線通信システム用に使用されることがある。
【0041】
ビバルディアンテナは、印刷回路基板上に印刷された2次元角、すなわち2つの指数パターンにより境界付けられる開口に向かって回路基板上の導電金属を広げるように見える。給電点は、開口の反対側にある。
【0042】
三角形アンテナは、三角形の頂点の角度は変更可能であるので、異なる寸法となることができる。正三角形が使用されることもある。広い開口を有する端部は放射側であり、三角形の先端に給電される。
【0043】
このようにして、ビバルディアンテナ及び三角形アンテナの広帯域特性は、アンテナの寸法を小さく保ちながら使用される。このことは、アンテナ素子を折り曲げることにより達成される。
【0044】
知られているように、アンテナは、電気信号を送信したり、受信したりするためのデバイスである。送信アンテナは、開口を誘導し又は照らす給電組立体、又は電磁場を放射する反射面を有するのが代表的である。受信アンテナは、入射放射場を収集給電部に絞り、入射放射に比例する電子信号を発生する開口又は面を有するのが代表的である。
【0045】
電圧定在波比(VSWR)は、UE等の通信機器の給電ライン又は伝送ラインを有するアンテナ給電点のインピーダンス整合に関連する。最小損失で高周波(RF)エネルギーを放射し、又は最小損失で受信高周波エネルギーをUE受信器に転送するために、UEアンテナのインピーダンスは、従来から伝送ライン又は給電点のインピーダンスに整合する。
【0046】
従来のUEは、内部PCB上の信号処理回路に接続されたトランシーバに電気接続されたアンテナを使用するのが代表的である。アンテナ及びトランシーバ間を移動する電力を最大にするために、アンテナ及びトランシーバは、それらの個別のインピーダンスがほぼ合致するように、すなわち給電点で50Ωのインピーダンスを提供するよう電気的に同調されるように、相互接続される。
【0047】
図1は、三角形の2分岐アンテナ100を示す。第1分岐アンテナ素子101及び第2分岐アンテナ素子102は、PCBであることが好適な接地103に接続される。2分岐アンテナ100は好適には、導電金属製であり、金属ストリップにより接地すなわちPCBに結合される。このアンテナは、接地及び分岐点間が極めて狭い。2個の分岐アンテナ素子101,102は、2次元の三角形である。分岐アンテナ素子101,102は共に、2度折り曲げられる。
【0048】
第1分岐アンテナ素子101は、90°の第1折り曲げ部まで接地103から連続する。第2折り曲げ部は、同じ向きに90°折り曲げられる。第2分岐アンテナ素子102の第1折り曲げ部は、第1分岐アンテナ素子101の第1折り曲げ部が第1分岐アンテナ素子101の第1折り曲げ部の向きに分岐する前に、生ずる。第2分岐アンテナ素子102の第1折り曲げ部は、第1分岐アンテナ素子101の第1部分と平行にするよう、第2分岐アンテナ素子102の第1部分に対して90°である。第2分岐アンテナ素子102の第2折り曲げ部は、第2分岐アンテナ素子102の第3部分が第1分岐アンテナ素子101の第2部分と平行となるよう、第2分岐アンテナ素子102の第2部分に対して90°である。
【0049】
図2は、2分岐アンテナ100がPCB103にどのように固定されているか、及び折り曲げ分岐アンテナ素子101,102はどのような三角形かをより明確に示す、
図1のアンテナ100を別の向きから見た図である。
【0050】
2分岐アンテナが2個の折り曲げ素子を有することにより、超広帯域アンテナの帯域幅をより一層増大させると共に、単一のアンテナでLTEの低帯域も高帯域もカバーすることが可能になる。これは、アンテナ100全体の超広帯域幅を有しながら、移動体通信機器内での作動用にVSWRが容認可能であるように各分岐を設計及び同調させることができる。
【0051】
図3に見られるように、2分岐アンテナ100の第1分岐アンテナ素子101及び第2分岐アンテナ素子102間に、誘電厚板204を使用することができる。誘電材料を追加することにより、同じ周波数帯域についてアンテナをより小さくすることができる。さらに、2個の分岐アンテナ素子間に誘電厚板を有することにより、アンテナの安定性が改善する。また、製造方法が、誘電厚板の周囲に2個の分岐アンテナ素子を巻回するか、又は誘電厚板上に2個の分岐アンテナ素子を印刷する工程を含むことを可能にする。
【0052】
誘電要素は、第2折り曲げ分岐アンテナ102により形成されるループに挿入することもできる。
【0053】
上述したアンテナ100の寸法は50mm*10mm*8mmである。これにより、誘電厚板204の厚さは5mmであり、接地板/PCBの寸法は50mm*100mmであるのが代表的である。
【0054】
図4は、装置に実装される際の
図3のアンテナの電圧定在波比(VSWR)を示す。VSWRは、LTEに関連のある周波数範囲、すなわち698〜2690MHzで示される。
図4に見られるように、関心がある全周波数範囲にわたるVSWRは、移動体通信機器での使用には容認できる。
【0055】
図5は、短絡された三角形の2分岐アンテナ300を示す。2個の分岐アンテナ素子は一端で接地/PCB303に接続される。分岐点から前方へ幅が広がる。第1分岐アンテナ素子301の場合、三角形部分の後で折り曲げられ、矩形部分に移行する。矩形部分は再度折り曲げられる。第2分岐アンテナ素子302は同様に三角形であり、幅が増大しながら折り曲げられ、三角形の端部で第2折り曲げ部に至る。第2分岐アンテナ素子は、第2折り曲げ部の後、矩形となる。第2分岐アンテナ素子302の第2端は、第1分岐アンテナ素子301の矩形部との電気接続部304を有するので、短絡が形成される。
【0056】
図6は、
図5のアンテナを別の向きから見た図である。ここで、第2分岐アンテナ素子302の第2端が第1分岐アンテナ素子301の三角形部分に電気接続されていることがより明確に示される。この短絡接続は、第1分岐アンテナ素子301の三角形部分の高さの約半分の位置にある。
【0057】
図5及び
図6に見られるように、第2分岐アンテナ素子302は、短絡接続304が存在する結果、ループを形成する。
【0058】
図8に見られるように、
図4と比較すると、アンテナのVSWRが改善されたという結果が得られる。
【0059】
図7は、第1分岐アンテナ素子401及び第2分岐アンテナ素子402間の第2分岐アンテナ素子402の折り曲げループ内に2個の誘電厚板が挿入された短絡された2分岐アンテナ400を示す。これらの誘電厚板205,206は、アンテナの周波数応答を下げる任意の構造である。第1分岐アンテナ素子401及び第2分岐アンテナ素子402は、ビバルディ形又は三角形の超広帯域アンテナ素子であり、一端で接地/PCB403に接続されている。本実施形態において、第2分岐アンテナ素子402はアンテナ素子402自身に短絡されるので、第2端は第1端に接続する。これにより、ループが形成される。
【0060】
図7のアンテナの代表的パラメータは、アンテナの寸法が50mm*10mm*8mmであり、誘電厚板の厚さは5mmであり、接地板の寸法は50mm*100mmである。
【0061】
図8は、機器に実装され際の
図7のアンテナのVSWRを示すグラフである。ここで、VSWRは、LTE/4Gが使用する周波数範囲において共振可能であることが見られる。
【符号の説明】
【0062】
100 超広帯域アンテナ
101 第1折り曲げ分岐アンテナ素子
102 第2折り曲げ分岐アンテナ素子
204 誘電要素