(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5858560
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】供給管
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20160128BHJP
B65D 83/42 20060101ALI20160128BHJP
F16L 19/02 20060101ALI20160128BHJP
B65D 47/36 20060101ALN20160128BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D83/42
F16L19/02
!B65D47/36 U
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-100368(P2011-100368)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-233489(P2012-233489A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026228
【氏名又は名称】宮崎 三郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 三郎
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−106912(JP,A)
【文献】
特開昭62−258288(JP,A)
【文献】
特開2003−026250(JP,A)
【文献】
米国特許第05505235(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 83/42
F16L 19/00−19/02
B65D 47/06−47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスを常時供給することにより内圧を常圧よりも高く保持した被供給容器に、供給容器内の液体を供給する供給管において、上記被供給容器に一端を気密的に接続可能とする管本体の他端に位置し、上記供給容器の口金を密閉した底壁と周壁とから成る密閉蓋の底壁を突き刺し貫通可能とした鋭利な突き刺し部と、上記管本体の外周に位置し、上記突き刺し部の底壁への貫通状態において密閉蓋の周壁を外方に押圧膨出して口金の内周面に密着配置させることにより、貫通部の気密性を保持可能とした環状リブとを備えたことを特徴とする供給管。
【請求項2】
不活性ガスを常時供給することにより内圧を常圧よりも高く保持した被供給容器に、供給容器内の液体を供給する供給管において、上記被供給容器に一端を気密的に接続可能とする管本体の他端に位置するとともに、上記供給容器の口金を密閉した底壁と周壁とから成る密閉蓋の底壁を突き刺し貫通可能とし、この貫通部において自身の外周面と底壁とが密着することにより、底壁との間の気密性を保持可能とする鋭利な突き刺し部と、上記管本体の外周に位置し、上記口金の外周に係合可能とするとともに外周側に切り込み部を放射状に複数備えた断面コ字型の環状鍔とを備えたことを特徴とする供給管。
【請求項3】
突き刺し部は、先端側に刃部と、後端側に刃部を形成しない非形成部とを備え、この突き刺し部を密閉蓋の底壁に突き刺し貫通した際に、上記刃部に対応する底壁部分を切り取り可能とするとともに、上記非形成部に対応する底壁部分を切り取り不能とし、刃部によって切り取られた切り取り部分を密閉蓋に連続して脱落を防ぐことを特徴とする請求項1、または2の供給管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被供給容器に、供給容器内の液体を供給する供給管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一斗缶やペール缶等の供給容器内に収納されている液体を二液混合装置等の
被供給容器内に供給する際には、供給容器の開口部から被供給容器の液体導入部に液体を
直接注ぎ入れることが一般的に行われている。また、特許文献1に示す如く、供給容器の
開口部に着脱可能なコックを接続し、このコックを介して液体導入部から被供給容器内に
供給容器内の液体を供給する方法も公知となっている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−29699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如く供給容器の開口部又は供給容器に接続したコックから被供給
容器の液体導入部に液体を注ぎ入れる際に、液体が一時的に外気に曝されるものとなる。
そのため、例えば液体が塗料や接着剤等の場合には、外気との接触によって化学的変質を
起こして固化したり劣化し、品質の低下を招くおそれがあった。また、この移送作業中に
供給容器の開口部から外気が供給容器内に入り込み、供給容器内の液体も外気との接触に
よって品質の低下を招くおそれがあった。
【0005】
そこで、本願の第1、第2発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、供
給容器内の液体を、外気との接触が遮断された状態で被供給容器内に供給可能にしようと
するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1発明は、常時不活性ガスを供給することにより内圧を常圧よりも高く保持し
た被供給容器に供給容器内の液体を供給する供給管を前提としたものである。このように
、被供給容器の内圧を常圧よりも高く保持することにより、供給容器内の液体を被供給容
器に供給する際に、不活性ガスの圧力によって外気が開口部から被供給容器内に入りこむ
ことを防ぐことができる。そのため、被供給容器内の液体が外気に接触することなく、品
質を良好に保つことができる。
【0007】
そして、上記被供給容器に一端を気密的に接続可能とする管本体の他端に鋭利な突き刺
し部を設け、この突き刺し部によって、供給容器の口金を密閉した底壁と周壁とから成る
密閉蓋の底壁を突き刺し貫通可能とし、この貫通状態において密閉蓋の周壁を外方に押圧
膨出して口金の内周面に密着配置させることにより貫通部の気密性を保持可能とした環状
リブを、管本体の外周に形成したものである。
【0008】
上記の如く、突き刺し部によって、供給容器の口金を密閉した底壁と周壁とから成る密
閉蓋の底壁を突き刺し貫通することにより、この貫通部において突き刺し部の外周面と密
閉蓋の底壁とが密着し、突き刺し部が底壁に気密的に接続するものとなる。また、この貫
通状態において、管本体の外周に形成した環状リブによって密閉蓋の周壁を外方に押圧膨
出して口金の内周面に密着配置させる環状リブを供給容器の開口部に密着配置することに
より、供給管を供給容器の開口部から離脱しにくいものとすることができる。そのため、
供給管の離脱により供給容器内の液体が外気に曝されるという危険性が少なくなり、液体
の移送作業を円滑に行うことができる。
【0009】
従って、上記の如く管本体の一端を供給容器に気密的に接続するとともに、被供給容器
に管本体の他端を被供給容器に気密的に固定配置することにより、供給容器内の液体を外
気との接触が遮断された状態で被供給容器に移送することが可能となる。また、上記の如
く供給容器と被供給容器との間の液体の流路を気密的に保持することができるため、供給
容器内に外気が侵入しにくいものとなり、供給容器内の液体を常に良好な状態に維持する
ことができる。
【0010】
また、本願の第2発明は、常時不活性ガスを供給することにより内圧を常圧よりも高く
保持した被供給容器に供給容器内の液体を供給する供給管を前提としたものである。この
ように、被供給容器の内圧を常圧よりも高く保持することにより、供給容器内の液体を被
供給容器に供給する際に、不活性ガスの圧力によって外気が開口部から被供給容器内に入
りこむことを防ぐことができる。そのため、被供給容器内の液体が外気に接触することな
く、品質を良好に保つことができる。
【0011】
そして、上記被供給容器に一端を気密的に接続可能とする管本体の他端に鋭利な突き刺
し部を設け、この突き刺し部によって、供給容器の口金を密閉した底壁と周壁とから成る
密閉蓋の底壁を突き刺し貫通可能とし、この貫通状態において突き刺し部の外周面と底壁
とが密着することにより底壁と突き刺し部との間の気密性を保持可能とするとともに、上
記口金の外周に係合可能とする断面コ字型の環状鍔を管本体の外周に突出配置し
、この環状鍔の外周側には、切り込み部を放射状に複数形成したものである。
【0012】
上記の如く、管本体の突き刺し部により密閉蓋の底壁を突き刺し貫通することによって
、この貫通部における底壁と突き刺し部の外周面とが密着する。そのため、両者の間に隙
間が形成されることなく突き刺し部と密閉蓋の底壁とが気密的に接続されるものとなる。
また、このような状態において、口金の外周に断面コ字型の環状鍔を係合することにより
供給管が口金から離脱しにくいものとなるため、突き刺し部と密閉蓋との間の気密性を保
持した状態で供給容器から被供給容器への液体の移送作業を円滑に行うことができる。
【0013】
従って、上記の如く管本体の他端側を供給容器に気密的に接続するとともに、供給管の
管本体の一端を被供給容器に気密的に接続することにより、供給容器内の液体を、外気を
遮断した状態で被供給容器に移送することが可能となる。また、このように供給容器と被
供給容器との間の液体の流路を気密的に保持することができるため、外気が供給容器内に
侵入しにくいものとなり、供給容器内の液体を常に良好な状態に維持することができる。
【0014】
また、突き刺し部は、先端側に刃部を形成するとともに、後端側に刃部を形成しない非
形成部を配置し、この突き刺し部を密閉蓋の底壁に突き刺し貫通した際に、上記刃部に対
応する底壁部分を切り取り可能とするとともに、上記非形成部に対応する底壁部分を切り
取り不能とし、刃部によって切り取られた切り取り部分を密閉蓋に連続して脱落を防ぐも
のであっても良い。
【0015】
このように切り取り部分を密閉蓋に連続可能とすることにより、密閉蓋から切り取られ
た切り取り部分は、密閉蓋に連続するとともに突き刺し部によって押し下げられた状態を
維持することができるため、切り取り部分が供給容器内の液体に落下して混入したり、供
給容器の開口部を被覆したりするという不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1、第2発明は上述の如く、管本体の突き刺し部により密閉蓋の底壁を突き刺
し貫通するとともに、管本体に形成した環状リブの外周を供給容器の口金の内周に密着配
置する、又は、環状鍔を供給容器の口金の外周に係合することにより、貫通部において突
き刺し部の外周面と底壁とが密着して突き刺し部と密閉蓋との間の気密性を保持すること
ができるとともに、口金から管本体が離脱しにくいものとなる。
【0017】
そのため、供給容器と管本体との間の気密性を確実に保持することが可能となり、供給
容器内の液体を外気との接触を遮断した状態で、供給管を介して被供給容器内に供給する
ことができる。従って、供給容器から被供給容器内に供給される液体の品質を良好に保つ
ことができるとともに、外気が供給容器内に入り込みにくいものとなり、液体の供給時に
も供給容器内の液体を常に良好な状態に維持することができる。
【実施例1】
【0018】
以下、本願の第1発明の実施例1を
図1〜5に於いて説明すれば、(1)は管本体であっ
て、
図2に示す如く、この管本体(1)の一端を供給容器(2)の口金(14)に接続するとと
もに、他端側を、接続チューブ(4)を介して被供給容器(5)に接続するものである。
【0019】
本実施例について更に詳細に説明すると、
図1、3に示す如く、管本体(1)の一端には
鋭利な突き刺し部(6)を設けている。この突き刺し部(6)は、管本体(1)の一端を鋭角に
傾斜して形成している。そして、この傾斜部(7)の先端側に鋭利な刃部(8)を周方向に形
成するとともに、傾斜部(7)の後端側には刃部(8)を形成しない非形成部(10)を配置し
ている。また、管本体(1)の両端外周には先端凹部(11)及び後端凹部(12)をそれぞれ
形成し、突き刺し部(6)側の先端凹部(11)には環状リブ(13)を円周方向に突設してい
る。そして、この環状リブ(13)の外径は、供給容器(2)の開口部(3)に突設した口金(
14)の内径とほぼ同一径か少し大径としている。
【0020】
上記の如く構成した供給管(28)を使用して、供給容器(2)内の液体を被供給容器(5)
に供給する方法について以下に説明する。まず、上記の如く形成した供給管(28)の突き
刺し部(6)側とは反対側の後端凹部(12)の外周には、
図3に示す如く接続チューブ(4)
の一端を密着挿入して両者を気密的に接続配置している。そして、この接続チューブ(4)
の他端を被供給容器(5)の液体導入部(15)に気密的に固定配置している。
【0021】
尚、本実施例及び下記実施例の被供給容器(5)は接着剤やインク等の製造に用いる二液
混合装置であって、常時不活性ガスを供給することにより内圧を常圧よりも高く保持して
いる。そのため、被供給容器(5)から、接続チューブ(4)及び供給管(28)を介して不活
性ガスが常時流通し、被供給容器(5)、接続チューブ(4)及び供給管(28)に外気が入り
こむことがないため、被供給容器(5)内の液体を良好に維持することができる。また、本
実施例では不活性ガスとして窒素ガスを使用しているが、他の異なる実施例では不活性ガ
スとして乾燥エアー等を使用することができる。
【0022】
一方、本実施例の供給容器(2)は一斗缶やペール缶と呼ばれる金属製の容器であって、
図1に示す如く開口部(3)の外周に口金(14)を突設している。そして、この供給容器(
2)内の内部には予めウレタン、イソシアネート等の液体を収納するとともに、液体の変
質を防ぐために不活性ガスを充填している。そして供給容器(2)の非使用時には、
図4に
示す如く、底壁(21)及び周壁(18)から成る樹脂製の密閉蓋(16)の周壁(18)の外周
面を、口金(14)の内周縁(20)に密着させた状態で係合配置することにより口金(14)
を密閉することができる。
【0023】
また、この密閉蓋(16)の外方には、密閉蓋(16)及び口金(14)を被覆可能とする金
属製の外蓋(17)を口金(14)の外周面に係合配置している。また、密閉蓋(16)の周壁
(18)の上端縁には環状のパッキン片(40)を突出配置しており、
図4に示す如く外蓋(
17)を口金(14)に係合配置した際に、パッキン片(40)が外蓋(17)の内面に周方向
に密着するものとなるため、密閉蓋(16)と外蓋(17)との間の気密性を確実に保持する
ことができる。
【0024】
即ち、上記外蓋(17)は
図5に示す如く、外周壁(32)に複数の切り込み部(31)を放
射状に形成している。そして、この切り込み部(31)を拡開させながら外周壁(32)が口
金(14)に形成した外周突部(33)を乗り越えることにより、外蓋(17)を口金(14)に
離脱困難に係合配置することができる。よって、上記の如く口金(14)に外蓋(17)を係
合配置する事により、外蓋(17)の内側に位置する密閉蓋(16)を口金(14)から離脱困
難とすることができる。
【0025】
そして、上記供給容器(2)の外蓋(17)を取り外した状態で、
図1に示す如く、口金(
14)を密閉した密閉蓋(16)の底壁(21)に管本体(1)の突き刺し部(6)を突き刺すと
ともに、環状リブ(13)を密閉蓋(16)の周壁(18)の内方に配置する。この時、環状リ
ブ(13)の外径を周壁(18)の内径よりもやや大径としているため、環状リブ(13)によ
って周壁(18)が弾性変形して外方に膨出し、この膨出部(24)が口金(14)の内周に密
着配置されるものとなる。
【0026】
また、上記の如く環状リブ(13)の外径を口金(14)の内径とほぼ同一径としているこ
とから、
図1に示す如く周壁(18)の膨出部(24)の外径は、口金(14)の内径よりも大
径となる。そのため、上記膨出部(24)は口金(14)の内周縁(20)を拡径方向に付勢し
ながら口金(14)に密着配置されるものとなる。従って、環状リブ(13)が口金(14)の
内周縁(20)に離脱しにくい状態で係合配置されるとともに、口金(14)と管本体(1)と
の間の貫通部(22)の気密性を確実に保持することが可能となる。これにより、周壁(1
8)が環状リブ(13)によって外方に押圧膨出し、この膨出部(24)を口金(14)の内周
縁(20)に密着する。
【0027】
上記の如く、底壁(21)を管本体(1)の突き刺し部(6)によって突き刺すとともに膨出
部(24)を口金(14)に密着配置することにより、管本体(1)の突き刺し部(6)の外周面
(29)と、この突き刺し部(6)によって密閉蓋(16)の底壁(21)に形成された貫通部(
22)の内周(30)とが密着して突き刺し部(6)の外周面(29)と貫通部(22)の内周(3
0)との間に隙間が形成されることなく、貫通部(22)において突き刺し部(6)を密閉蓋(
16)に気密的に接続配置することができる。
【0028】
また、この突き刺し部(6)の刃部(8)によって密閉蓋(16)の底壁(21)が部分的に切
り取られて突き刺し部(6)が密閉蓋(16)に貫通する一方、この突き刺し部(6)には刃部
(8)の非形成部(10)が設けられているため、この非形成部(10)に対応する底壁(21)
が切り落とされずに密閉蓋(16)と連続するものとなる。従って、密閉蓋(16)から切り
取られた切り取り部分(23)は、
図1に示す如く密閉蓋(16)に連続するとともに突き刺
し部(6)によって押し下げられた状態を維持するため、切り取り部分(23)が供給容器(
2)内の液体に混入したり、供給容器(2)の開口部(3)を被覆したりするという不都合を
回避することができる。
【0029】
上記の如く、供給容器(2)と被供給容器(5)との間を供給管(28)及び接続チューブ(
4)にて気密的に連結することにより、液体を外気に曝すことなく供給容器(2)から被供
給容器(5)に供給することが可能となり、液体の品質を良好に維持することができる。ま
た、上述の如く被供給容器(5)には常時不活性ガスを供給して内圧を常圧よりも高く保持
しているため、接続チューブ(4)及び供給管(28)内に外気が入りこむことはない。更に
、供給容器(2)内にも不活性ガスが充填されていることから、供給容器(2)内から供給管
(28)側に外気が入り込むこともない。
【0030】
そのため、被供給容器(5)と供給容器(2)との間を外気を遮断して気密的に接続するこ
とができる。従って、外気との接触を遮断した状態で、供給容器(2)内の液体を供給管(
28)を介して被供給容器(5)内に供給することが可能となり、供給容器(2)から被供給
容器(5)内に供給される液体、供給容器(2)内の液体、及び被供給容器(5)内の液体のい
ずれについても品質を良好に保つことができる。
【0031】
そして、上記の如く供給容器(2)と被供給容器(5)とを接続した後、
図2の二点鎖線に
示す如く、この接続状態を保ったまま供給容器(2)を被供給容器(5)の液体導入部(15)
よりも上方に設置した載置部(34)に、開口部(3)が下方に向くよう反転した状態で載置
する。これにより、供給容器(2)内の液体が開口部(3)から供給管(28)、接続チューブ
(4)を介して被供給容器(5)の液体導入部(15)に流入するものとなる。
【0032】
尚、供給容器(2)から被供給容器(5)内に液体を供給する際には、供給容器(2)と被供
給容器(5)との間の流路において、供給容器(2)内及び被供給容器(5)内の不活性ガスと
液体とが互いに入れ替わりながら移動するため、これにより上記流路において液体の流通
をスムーズに行うことができる。
【0033】
そして、上記の如き被供給容器(5)内への液体の供給が完了した後も、被供給容器(5)
の液体導入部(15)の気密性を確保するとともに、被供給容器(5)からの不活性ガスの大
気中への流出を防ぐために、次の供給容器(2)からの液体の供給を開始するまでは、供給
済みの空の供給容器(2)を供給管(28)に連結した状態で保持しておく。
【実施例2】
【0034】
以下、本願の第2発明の実施例2を
図2、4〜8に於いて説明すれば、(1)は管本体(
1)であって、
図2に示す如く、この管本体(1)の一端を供給容器(2)の口金(14)に接
続するとともに、他端側を、接続チューブ(4)を介して被供給容器(5)に接続するもので
ある。
【0035】
本実施例について更に詳細に説明すると、
図6、7に示す如く、管本体(1)の一端には
鋭利な突き刺し部(6)を設けている。この突き刺し部(6)は、管本体(1)の一端を鋭角に
傾斜して形成している。そして、この傾斜部(7)の先端側に鋭利な刃部(8)を周方向に形
成するとともに、傾斜部(7)の後端側には刃部(8)を形成しない非形成部(10)を配置し
ている。また、管本体(1)の突き刺し部(6)形成側とは反対側の一端に凹部(35)を形成
する
。また、突き刺し部(6)形成側の上部には外周螺溝(41)を形成している。
【0036】
そして、この外周螺溝(41)には、
図6に示す如く突き刺し部(6)側の外周に管状の環
状鍔接続体(42)を螺着している。即ちこの環状鍔接続体(42)は、一端側の内周に、上
記外周螺溝(41)と螺着可能な内周螺溝(43)を形成するとともに、他端外周には断面コ字型の環状鍔(25)を環状に突設している。そのため、この環状接続体(42)を上記管本体(1)の外周螺溝(41)に螺着することにより、環状鍔(25)を管本体(1)の外周に気密的に固定配置することができる。尚、この環状鍔(25)の周縁(26)の直径を、供給容器(2)の口金(14)の外径とほぼ同一径としている。また、この環状鍔(25)の外周側には、
図8に示す如く切り込み部(37)を放射状に複数形成している。
【0037】
上記の如く構成した供給管(28)を使用して、供給容器(2)内の液体を被供給容器(5)
に供給する方法について以下に説明する。まず、上記の如く形成した供給管(28)の凹部
(35)の外周には、
図6に示す如く接続チューブ(4)の一端を密着挿入して、両者を気密
的に接続配置している。また、
図2に示す如く、この接続チューブ(4)の他端を被供給容
器(5)の液体導入部(15)に気密的に固定配置している。
【0038】
尚、この被供給容器(5)は、常時不活性ガスを供給することにより内圧を常圧よりも高
く保持している。そのため、被供給容器(5)から、接続チューブ(4)及び供給管(28)を
介して不活性ガスが常時流通するものとなり、被供給容器(5)、接続チューブ(4)及び供
給管(28)に外気が入りこむことがないため、被供給容器(5)内の液体を良好に維持する
ことができる。また、本実施例では不活性ガスとして窒素ガスを使用しているが、他の異
なる実施例では不活性ガスとして乾燥エアー等を使用することができる。
【0039】
一方、本実施例の供給容器(2)は一斗缶やペール缶と呼ばれる金属製の容器であって、
図7に示す如く開口部(3)の外周に口金(14)を突設している。そして、この供給容器(
2)内の内部には予めウレタン、イソシアネート等の液体を収納するとともに、液体の変
質を防ぐために不活性ガスを充填している。そして供給容器(2)の非使用時には、
図4に
示す如く、底壁(21)及び周壁(18)から成る樹脂製の密閉蓋(16)の周壁(18)の外周
面を、口金(14)の内周縁(20)に密着させた状態で係合配置することにより口金(14)
を密閉することができる。
【0040】
また、この密閉蓋(16)の外方には、密閉蓋(16)及び口金(14)を被覆可能とする金
属製の外蓋(17)を口金(14)の外周面に係合配置している。また、密閉蓋(16)の周壁
(18)の上端縁には環状のパッキン片(40)を突出配置しており、
図4に示す如く外蓋(
17)を口金(14)に係合配置した際に、パッキン片(40)が外蓋(17)の内面に周方向
に密着するものとなるため、密閉蓋(16)と外蓋(17)との間の気密性を確実に保持する
ことができる。
【0041】
即ち、上記外蓋(17)は
図5に示す如く、外周壁(32)に複数の切り込み部(31)を放
射状に形成している。そして、この切り込み部(31)を拡開させながら外周壁(32)が口
金(14)に形成した外周突部(33)を乗り越えることにより、外蓋(17)を口金(14)に
離脱困難に係合配置することができる。よって、上記の如く口金(14)に外蓋(17)を係
合配置する事により、外蓋(17)の内側に位置する密閉蓋(16)を口金(14)から離脱困
難とすることができる。
【0042】
そして、上記供給容器(2)の外蓋(17)を取り外した状態で、
図7に示す如く、口金(
14)に係合した密閉蓋(16)の底壁(21)に管本体(1)の突き刺し部(6)を突き刺す。
これにより、
図7に示す如く、管本体(1)の突き刺し部(6)の外周面(29)と、この突き
刺し部(6)によって貫通形成された底壁(21)の貫通部(22)の内周(30)とが密着して
突き刺し部(6)の外周面(29)と貫通部(22)の内周(30)との間に隙間が形成されるこ
となく、貫通部(22)において突き刺し部(6)を密閉蓋(16)に気密的に接続配置するこ
とができる。
【0043】
また、突き刺し部(6)の刃部(8)によって密閉蓋(16)の底壁(21)が部分的に切り取
られて突き刺し部(6)が密閉蓋(16)に貫通する一方、この突き刺し部(6)には刃部(8)
の非形成部(10)が設けられているため、この非形成部(10)に対応する底壁(21)が切
り落とされずに密閉蓋(16)と連続するものとなる。そのため、密閉蓋(16)から切り取
られた切り取り部分(23)は、
図7に示す如く密閉蓋(16)に連続するとともに突き刺し
部(6)によって押し下げられた状態を維持するため、切り取り部分(23)が供給容器(2)
内の液体に混入したり、供給容器(2)の開口部(3)を被覆したりするという不都合を回避
することができる。
【0044】
そして、更に突き刺し部(6)を口金(14)の内方に挿入し、
図7、8に示す如く環状鍔
(25)を口金(14)に係合配置する。即ち、上記の如く環状鍔(25)の内径を口金(14)
の外径とほぼ同一径としていることから、環状鍔(25)を口金(14)側に押圧することに
よって環状鍔(25)の切り込み部(37)が拡開するものとなり、環状鍔(25)が口金(1
4)の外周突部(33)を乗り越えて口金(14)の外周に密着配置するものとなる。
【0045】
また、
図7に示す如く、環状鍔(25)の天面(38)を密閉蓋(16)のパッキン片(40)
に密着させた状態で環状鍔(25)を口金(14)の上端縁に押圧密着することにより、環状
鍔(25)と密閉蓋(16)との気密性を更に向上させることができる。そのため、環状鍔(
25)が口金(14)の外周に離脱困難な状態で係合配置されるとともに、口金(14)と管
本体(1)との間の貫通部(22)の気密性を確実に保持することができる。
【0046】
上記の如く、供給容器(2)と被供給容器(5)との間を供給管(28)及び接続チューブ(
4)にて気密的に連結することにより、液体を外気に曝すことなく供給容器(2)から被供
給容器(5)に供給することが可能となり、液体の品質を良好に維持することができる。ま
た、上述の如く被供給容器(5)には常時不活性ガスを供給することにより内圧を常圧より
も高く保持しているため、接続チューブ(4)及び供給管(28)内に外気が入りこむことは
ない。更に、供給容器(2)内にも不活性ガスが充填されていることから、供給容器(2)内
から供給管(28)側に外気が入り込むこともない。
【0047】
そのため、被供給容器(5)と供給容器(2)との間を、外気を遮断して気密的に接続する
ことができる。従って、供給容器(2)内の液体を、外気との接触が遮断された状態で供給
管(28)を介して被供給容器(5)内に供給することが可能となり、供給容器(2)から被供
給容器(5)内に供給される液体、供給容器(2)内の液体、及び被供給容器(5)内の液体の
品質を良好に保つことができる。
【0048】
そして、上記の如く供給容器(2)と被供給容器(5)とを接続した後、
図2の二点鎖線に
示す如く、この接続状態を保ったまま供給容器(2)を被供給容器(5)の液体導入部(15)
よりも上方に設置した載置部(34)に、開口部(3)が下方に向くよう反転した状態で載置
する。これにより、供給容器(2)内の液体が開口部(3)から供給管(28)、接続チューブ
(4)を介して被供給容器(5)の液体導入部(15)に流入するものとなる。
【0049】
尚、供給容器(2)から被供給容器(5)内に液体を供給する際には、供給容器(2)と被供
給容器(5)との間の流路において、供給容器(2)内及び被供給容器(5)内の不活性ガスと
液体とが互いに入れ替わりながら移動するため、これにより上記流路において液体の流通
をスムーズに行うことができる。
【0050】
そして、上記の如き被供給容器(5)内への液体の供給が完了した後も、被供給容器(5)
の液体導入部(15)の気密性を確保するとともに、被供給容器(5)から不活性ガスが大気
中に流出することを防ぐために、次の供給容器(2)からの液体の供給を開始するまでは、
供給済みの空の供給容器(2)を供給管(28)に連結した状態で保持しておく。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】第1発明の実施例1を示す、口金に突き刺し部を挿入した状態を示す部分拡大断面図。
【
図2】実施例1、2の供給容器、供給管、接続チューブ及び被供給容器の接続状態を示す概念図。
【
図3】実施例1の接続チューブ及び供給管を示す部分拡大断面図。
【
図4】実施例1、2の供給容器の口金、密閉蓋、及び外蓋を示す部分拡大断面図。
【
図5】実施例1、2の供給容器の外蓋を示す側面図。
【
図6】実施例2において、接続チューブ及び供給管を示す部分拡大断面図。
【
図7】実施例2において、口金に突き刺し部を挿入した状態を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0052】
1 管本体
2 供給容器
5 被供給容器
6 突き刺し部
8 刃部
10 非形成部
13 環状リブ
14 口金
16 密閉蓋
18 周壁
21 底壁
22 貫通部
23 切り取り部分
25 環状鍔
28 供給管
29 外周面