特許第5859076号(P5859076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5859076アンモニアベースのCO2吸収性溶液からの不揮発物の除去
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5859076
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】アンモニアベースのCO2吸収性溶液からの不揮発物の除去
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20160128BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20160128BHJP
   B01D 53/34 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
   B01D53/14 220
   B01D53/62
   B01D53/34ZAB
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-166090(P2014-166090)
(22)【出願日】2014年8月18日
(62)【分割の表示】特願2013-529197(P2013-529197)の分割
【原出願日】2011年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-223628(P2014-223628A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年9月16日
(31)【優先権主張番号】12/881,485
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ ピー. ノーモヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ユー. コス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル コック
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭56−048555(JP,B2)
【文献】 特開2008−296216(JP,A)
【文献】 特開2010−022986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00〜53/96
C01B 31/00〜31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素(CO)がアンモニア化溶液流によってガス流から除去されるように、ガス流と循環するアンモニア化溶液流とを接触させることによってCOをガス流から除去するためのCO除去システムであって、
前記システムが、
循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り、受け取ったアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離し、且つ該アンモニアリッチ気相を循環するアンモニア化溶液流に再導入するように構成された気液分離装置を含み、その際、該気液分離装置が更にアルカリ性添加剤を受け取り、受け取ったアンモニア化溶液と混合されるように構成されており、且つ該アンモニアリーン液相を実質的に水蒸気からなる気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離するように構成されており、
COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されてCOリッチアンモニア化溶液流を形成するようにガス流とアンモニア化溶液流とを接触させるCO捕捉装置;及び
該CO捕捉装置からCOリッチアンモニア化溶液流を受け取り、且つアンモニア化溶液からCOを分離してCOリーンアンモニア化溶液流を形成し、且つ前記COリーンアンモニア化溶液流をCO捕捉装置に戻すように構成された再生器を含む再生装置
を含む、
前記システム。
【請求項2】
アンモニアリーン液相が7〜11の範囲のpHを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
気液分離装置が、アンモニアリーン液相のpHを測定するように配置されたpHセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
アルカリ性添加剤が液体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
アルカリ性添加剤が水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
アルカリ性添加剤が気液分離装置によって受け取られている循環するアンモニア化溶液流の一部に添加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
気液分離装置がストリッパーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
アルカリ性添加剤がストリッパーの水溜に添加される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
気液分離装置が、1〜10バールの範囲の圧力で循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
気液分離装置が、10〜30バールの範囲の圧力で循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
気液分離装置が受け取るように構成されている循環するアンモニア化溶液の一部が、CO捕捉装置からのCOリッチアンモニア化溶液流の一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
気液分離装置が受け取るように構成されている循環するアンモニア化溶液の一部が、再生装置からのCOリーンアンモニア化溶液流の一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
二酸化炭素(CO)がアンモニア化溶液流によってガス流から除去されるように、ガス流と循環するアンモニア化溶液流とを接触させることによってCOをガス流から除去するためのCO除去システムであって、
前記システムが、
COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されてCOリッチアンモニア化溶液流とCOリーンガス流を形成するようにガス流とアンモニア化溶液流とを接触させる、CO捕捉装置;
該CO捕捉装置からCOリッチアンモニア化溶液流を受け取り、且つアンモニア化溶液からCOを分離してCOリーンアンモニア化溶液流を形成し、且つ前記COリーンアンモニア化溶液流をCO捕捉装置に戻すように構成された再生器を含む、再生装置;
COリーンガス流をCO捕捉装置から受け取るように構成され且つアンモニアが洗浄水溶液流に吸収されてアンモニアリッチ洗浄溶液を形成するようにガス流と5質量%未満のアンモニア濃度を有する前記洗浄水溶液流とを接触させるアンモニア吸収器、及び
該アンモニア吸収器からアンモニアリッチ洗浄溶液を受け取り且つ受け取った洗浄溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された第1の気液分離装置を含む、アンモニア吸収装置;及び
循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り、受け取ったアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離し、且つ該アンモニアリッチ気相を循環するアンモニア化溶液流に再導入するように構成された第2の気液分離装置であって、前記気液分離装置は更にアンモニアリッチ気相の少なくとも気体部分を第1の気液分離装置から受け取るように構成されていて、且つ該アンモニアリーン液相を実質的に水蒸気からなる気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離するように構成されている、前記第2の気液分離装置
を含む、前記除去システム。
【請求項14】
第2の気液分離装置が、第1の気液分離装置の物質移動デバイス内で又はその下で第1の気液分離装置からアンモニアリッチ気相の前記少なくとも気体部分を受け取るように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
アンモニア吸収器の洗浄溶液流が、第2の気液分離装置によって受け取られる循環するアンモニア化溶液流の一部の流量の少なくとも2倍の流量を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
第2の気液分離装置が受け取るように構成されているアンモニア化溶液が、CO捕捉装置からのCOリッチアンモニア化溶液流の一部である、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
第2の気液分離装置が、1〜10バールの範囲の圧力で循環する前記アンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
第2の気液分離装置もアンモニア吸収器からのアンモニアリッチ洗浄溶液の少なくとも一部を受け取るように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
二酸化炭素(CO)がアンモニア化溶液流によってガス流から除去されるように、該ガス流と循環するアンモニア化溶液流とを接触させることによる、COをガス流から除去するためのCO除去システムであって、
前記システムが、
COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されてCOリッチアンモニア化溶液流を形成するようにガス流とアンモニア化溶液流とを接触させる、CO捕捉装置;
該CO捕捉装置からCOリッチアンモニア化溶液流を受け取り、且つアンモニア化溶液からCOを分離してCOリーンアンモニア化溶液流を形成し、且つ前記COリーンアンモニア化溶液流をCO捕捉装置に戻すように構成された再生器を含む、再生装置;及び
循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成された、気液分離装置を含み、該気液分離装置が、
前記循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り且つそれをアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された第1のステージであって、該アンモニアリッチ気相が循環するアンモニア化溶液流に再導入されている第1のステージ、及び
前記第1のステージからアンモニアリーン液相を受け取り且つ前記液相を、実質的に水蒸気からなる気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離するように構成された第2のステージを含む、
前記除去システム。
【請求項20】
受け取られたアンモニア化溶液が水性であり、且つアンモニア化溶液の水の大部分が、第2のステージの気相に分離され、アンモニア化溶液の水の小部分が、不揮発性化合物を含む液相に分離され、且つアンモニア化溶液の水の別の小部分がアンモニアリッチ気相に分離される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
COリーンガス流をCO捕捉装置から受け取るように構成され且つアンモニアが5質量%未満のアンモニア濃度を有する水性洗浄溶液流に吸収されてアンモニアリッチ洗浄溶液を形成するようにガス流と前記水性洗浄溶液流とを接触させるアンモニア吸収器、及び
該アンモニア吸収器からアンモニアリッチ洗浄溶液を受け取り且つ受け取った洗浄溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された第1の気液分離装置を含むアンモニア吸収装置であって、
前記第1の気液分離装置が、第2のステージから気相の少なくとも一部を受け取るように構成されている前記アンモニア吸収装置を更に含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
第1の気液分離装置が、該第1の気液分離装置の物質輸送装置の下にある第2のステージから前記気相の少なくとも一部を受け取るように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
第1の気液分離装置のアンモニアリッチ気相と、第1のステージのアンモニアリッチ気相とを、循環するアンモニア化溶液流に再導入される前に混合させるように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOリッチアンモニア化溶液流を形成するためにCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されるようにガス流とアンモニア化溶液流とを接触させるCO捕捉装置を更に含み、
第1のステージが受け取るように構成されたアンモニア化溶液が、CO捕捉装置からのCOリッチアンモニア化溶液流の一部である、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
第1のステージが、前記循環するアンモニア化溶液流の一部を1〜10バールの範囲の圧力で受け取るように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、プロセスガスとアンモニア化溶液とを接触させることによるプロセスガスからの二酸化炭素の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在、世界で使用されているエネルギーの殆どは、石炭、石油及び天然ガスなどの燃料、並びに他の有機燃料を含有する炭素及び水素の燃焼由来のものである。このような燃焼によって高濃度の二酸化炭素を含有する煙道ガスが発生する。地球温暖化に対する懸念のため、二酸化炭素の大気への排出の削減に対する要求が高まっており、このため、ガスが大気へ放出される前に煙道ガスから二酸化炭素を除去するための方法が開発されてきた。
【0003】
特許文献1は、煙道ガスからの二酸化炭素の除去方法であって、アンモニア化溶液又はスラリーによってCO吸収装置中で、周囲温度を下回る温度(好ましくは0℃〜20℃の間、更に好ましくは0℃〜10℃の間)まで冷却された煙道ガスから二酸化炭素を捕捉することを含む、前記除去方法を開示している。COは0℃〜20℃の間、更に好ましくは0℃〜10℃の間の温度でアンモニア化溶液によって吸収剤中に吸収され、その後、アンモニア化溶液は再生器中で高められた圧力及び温度の下で再生されて、COを高純度のガス状二酸化炭素としてアンモニア化溶液から追い出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/022885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
本発明の課題は、アンモニア化溶液による二酸化炭素の吸収を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題、並びに以下により明らかな他の課題は、下記のこれらの態様によって達成された本開示に従うものである。
【0007】
本発明の一態様によれば、循環するCO除去システムのアンモニア化溶液流からの不揮発性化合物の除去方法であって、前記システムが、COがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されるように、ガス流と循環するアンモニア化溶液流とを接触させることによって、二酸化炭素(CO)をガス流から除去するように配置されており、前記方法は、以下の工程:循環するアンモニア化溶液流の一部を気液分離装置に導入する工程;導入されたアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離する工程;及びアンモニアリッチ気相を循環するアンモニア化溶液流に再導入する工程を含む、前記除去方法が提供される。
【0008】
不揮発性化合物は、例えば、プロセスガス及び/又は化学物質、例えば、アンモニア化溶液に添加されたアンモニアを通して、システムのアンモニア化溶液中に導入されて、その中に積層されてよい。不揮発性化合物は、システム又はCOの除去プロセスに有害であるか、又は一般にアンモニア化溶液の腐食性を上昇させ得る。
【0009】
幾つかの実施態様によれば、二酸化炭素除去システムは更にCO捕捉装置であって、COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されてCOリッチアンモニア化溶液流を形成するように、ガス流とアンモニア化溶液流とを接触させるCO捕捉装置を含んでよい。
【0010】
幾つかの実施態様によれば、二酸化炭素除去システムは、更に、CO捕捉装置からCOリッチアンモニア化溶液流を受け取り、アンモニア化溶液からCOを分離してCOリーンアンモニア化溶液流を形成し、そして前記COリーンアンモニア化溶液流をCO捕捉装置に戻すように構成された再生器を含む再生装置を含んでよい。
【0011】
本開示の別の態様によれば、アンモニア化溶液流によってガス流から二酸化炭素(CO)が除去されるように、循環するアンモニア化溶液流をガス流と接触させることによってガス流からCOを除去するためのCO除去システムであって、循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成された気液分離装置を含み、受け取ったアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離し、且つ該アンモニアリッチ気相を循環するアンモニア化溶液流に再導入し、該気液分離装置は更に、受け取ったアンモニア化溶液と混合されるべきアルカリ性添加剤を受け取るように構成されている、前記除去システムが提供される。
【0012】
本開示の別の態様によれば、アンモニア化溶液流によって二酸化炭素(CO)がガス流から除去されるように、循環するアンモニア化溶液流とガス流とを接触させることによってCOをガス流から除去するためのCO除去システムであって、COを含有するガス流を受け取るように構成されたCO吸収器を含み且つCOがアンモニア化溶液流によってガス流から除去されてCOリッチアンモニア化溶液流とCOリーンガス流を形成するようにガス流とアンモニア化溶液流とを接触させるCO捕捉装置;アンモニア吸収装置であって、該CO捕捉装置からのCOリーンガス流を受け取るように構成され且つアンモニアが洗浄水溶液流に吸収されてアンモニアリッチ洗浄溶液を形成するようにガス流と5質量%未満のアンモニア濃度を有する前記洗浄水溶液流とを接触させるアンモニア吸収器、及び該アンモニア吸収器からアンモニアリッチ洗浄溶液を受け取り且つ受け取った洗浄溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された第1の気液分離装置を含む、前記アンモニア吸収装置;並びに循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り、受け取ったアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離し、且つ該アンモニアリッチ気相を循環するアンモニア化溶液流に再導入するように構成された第2の気液分離装置であって、前記気液分離装置は更に第1の気液分離装置からアンモニアリッチ気相を受け取るように構成されている、前記第2の気液分離装置を含む、前記除去システムが提供される。
【0013】
本開示の別の態様によれば、アンモニア化溶液流によって二酸化炭素(CO)がガス流から除去されるように、該ガス流と循環するアンモニア化溶液流とを接触させることによる、COをガス流から除去するためのCO除去システムであって、前記システムは、循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取るように構成された気液分離装置を含み、前記気液分離装置は、受け取ったアンモニア化溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された第1のステージであって、該アンモニアリッチ気相が循環するアンモニア化溶液流に再導入される第1のステージ、並びに前記第1のステージからのアンモニアリーン液相を受け取り且つ前記液相を実質的に水蒸気からなる気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離するように構成された第2のステージを含む、前記除去システムが提供される。
【0014】
工業ガス精製システムの構成及び操作には、例えば、発電所のボイラーユニットによって生成される煙道ガスからのCO除去のために、高い投資費用と運転費用が付きものである。プロセスの運転ユニット数の増加は、追加の投資費用と運転費用を伴うため、一般的に望ましくない。ここで記載された態様は、煙道ガスからのCO除去のための冷却アンモニアプロセスにおいて、顕著なプロセスの改善と運転費用の削減が、比較的低い投資費用での追加の運転装置の導入によって達成できるという驚くべき実現に基づくものである。プロセスの改善には、化学的消費と廃棄容積の削減が含まれる。
【0015】
目下、好ましい実施態様は、ここで図面について説明されている:
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施態様による、気液分離装置の一般的な例を描く概略的な側面図である。
図2図2は、本発明の実施態様による、気液分離装置の例を描く概略的な側面図である。
図3図3は、本発明の実施態様による、第2の気液分離装置と統合された第1の気液分離装置の例を描く概略的な側面図である。
図4図4は、本発明の実施態様による、第2の気液分離装置と統合された第1の気液分離装置の例を描く概略的な側面図である。
図5図5は、本発明の実施態様による、気液分離装置に連結されたCO捕捉装置の例を描く概略的な側面図である。
図6図6は、本発明の実施態様による、気液分離装置に連結された再生装置の例を描く概略的な側面図である。
図7図7は、本発明の実施態様による、CO除去システムの例を描く概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な実施態様の詳細な説明
プロセスガスは、任意の種類の二酸化炭素を含有するプロセスガス、例えば、燃焼装置、例えば、炉、プロセスヒーター、インシネレーター、パッケージボイラー、及び発電所ボイラーからの煙道ガスであってよい。
【0018】
アンモニア化溶液は、任意の種類のアンモニアを含有する溶液、例えば、液体溶液、特に水溶液であってよい。アンモニア化溶液中のアンモニアは、例えば、アンモニウムイオンの形及び/又は溶解した分子のアンモニアの形であってよい。アンモニア化溶液は、通常、水性であり、例えば、水、アンモニア、二酸化炭素及びそれらの誘導体から構成されてよい。アンモニア化溶液は、アンモニア化溶液によるCOの捕捉に関与する反応速度を高めるための促進剤も含んでよい。例えば、促進剤は、溶液の形であるか又は固体もしくは半固体表面上に固定されてよい、アミン(例えば、ピペラジン)又は酵素(例えば、炭酸脱水酵素又はその類似物)を含んでよい。
【0019】
アンモニア化溶液によるプロセスガスからのCOの捕捉は、任意の形、例えば、溶解した分子CO、炭酸塩又は重炭酸塩の形でCOを吸収する又は溶解するアンモニア化溶液によって達成され得る。
【0020】
アンモニア化溶液中に存在し得る不揮発性化合物は、硫酸アンモニウム塩、金属、例えば、セレン、マグネシウムなどの塩、及び固形物を含んでよい。アンモニア化溶液中に形成された固形物は、炭酸アンモニウム及び重炭酸アンモニウムなどの塩、特に重炭酸アンモニウムであってよい。
【0021】
二酸化炭素除去システムは、システムの異なる部分を連結して、アンモニア化溶液とプロセスガスが、それぞれ、必要に応じてシステムを流れるように配置されているパイプを含む。パイプは、アンモニア化溶液やプロセスガス等の流をそれぞれ制御するために、必要に応じて、弁、ポンプ、ノズル等を含んでよい。
【0022】
アンモニア化溶液が「COリーン」を意味する場合、例えば、二酸化炭素捕捉システムにおいてプロセスガスを接触させる時、又は再生後、これは二酸化炭素に関してアンモニア化溶液が不飽和であり、従ってプロセスガスからより多くの二酸化炭素を捕捉し得ることを示唆する。アンモニア化溶液が「COリッチ」を意味する場合、例えば、二酸化炭素捕捉システムにおいてプロセスガスを接触させた後、又は再生前、これは吸収溶液が飽和しているか、又は少なくともリーン溶液よりも飽和しているか、又は二酸化炭素に関して過剰飽和しており、従って、プロセスガスから更に多くの二酸化炭素を捕捉できる前に再生されることを必要とし得るか又は二酸化炭素が固体塩として沈殿され得ることを示唆する。
【0023】
不揮発性成分又は化合物との用語は、ここでは沸騰温度、又は水の沸騰温度を超える、即ち、大気圧で100℃を超える昇華温度を有する化合物に関することが意図されている。通常、水は、気液分離装置の気相及び液相の両方に存在する。
【0024】
COリッチプロセス流を製造するプラントは、通常、蒸気システムを含んでよい。蒸気システムは、発電のために1つ以上の発電機に連結された、1つ以上の蒸気タービンを含んでよい。異なる蒸気圧で運転するように設計された少なくとも3つの直列に連結されたタービンを使用することが好都合であり得る。これらのタービンは、それぞれ、いわゆる高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンであってよい。低圧タービンを通過した後、蒸気は発電所のコンデンサ内で凝縮されてよい。ボイラーからの蒸気は、高圧タービンを通過する前、通常、150〜350バールの圧力を有してよい。高圧タービンと中圧タービンとの間の蒸気は、いわゆる高圧蒸気であり、通常、62〜250バールの圧力を有してよい。中圧タービンと低圧タービンの間の蒸気は、いわゆる中圧蒸気であり、通常、5〜62バール、例えば、5〜10バールの圧力、及び154℃と277℃(310°Fと530°F)の間の温度を有してよい。低圧タービンを通過した後の蒸気は、いわゆる低圧蒸気であり、通常、0.01〜5バール、例えば、3〜4バールの圧力、及び135℃と143℃(275°Fと290°F)の間の温度を有してよい。従って、本開示において意味する通り、低圧蒸気は、0.01〜5バール、例えば、3〜4バールの圧力、及び135℃と143℃(275°Fと290°F)の間の温度を有し、中圧蒸気は、5〜62バール、例えば、5〜10バールの圧力、及び154℃と277℃(310°Fと530°F)の間の温度を有し、高圧蒸気は62〜250バールの圧力を有する。
【0025】
気液分離装置は、低温沸騰成分、即ち、揮発性成分、例えば、アンモニア及びその誘導体の損失を最小限にしながら、高温沸騰成分、即ち、不揮発性成分、例えば、塩、金属及び場合によりアンモニア化溶液の水を、循環するアンモニア化溶液の流れから除去させ得る。
【0026】
気液分離装置は、気相と液相との間の相互作用又は接触を可能にするための任意の型の装置、例えば、層充填又は蒸留トレイ、以下のいわゆる物質移動デバイス(MTD)を含んでよい。気液分離装置は、例えば、循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り、該溶液を加熱して、アンモニアなどの低沸点の溶液の成分の蒸気を含有する気相と、高沸点の溶液の成分を含有する液相とを形成するように構成されたストリッパーを含んでよい。ストリッパーは、例えば、リボイラー内で、低圧又は高圧の蒸気によって又は電気加熱手段によって加熱されるように構成されてよい。ストリッパーを、アンダーフロー、即ち、再生器の液相によって少なくとも部分的に加熱させることが好都合であり得る。加熱は、例えば、ストリッパーのリボイラーにおいて熱交換器を介してもよい。従って、再生された、即ち、COリーンの、アンモニア化溶液は、ストリッパーの加熱媒体として使用されてよく、これは外部加熱に対する必要性を削減し、従ってシステムの全エネルギーを保全する。アンダーフローは、通常、100℃を上回る温度と10〜30バールの間の圧力を有してよい。
【0027】
ストリッパーは、好ましくはCO吸収器及び再生器と比較してサイズが小さくてよい。ストリッパーの体積流量能力は、CO吸収器又は再生器の体積流量能力の25%未満、例えば、CO吸収器又は再生器の体積流量能力の0.01〜25%、1〜10%又は2〜5%の範囲であってよい。かかる小ストリッパーの投資費用は、一般にCO除去システムの全投資費用の非常に低い割合を構成する。
【0028】
気液分離装置のアンモニア化溶液は、アンモニア化溶液の循環に沿ってどの位置からも受け取られてよく、且つ再導入されてよい。気液分離装置のアンモニア化溶液は、例えば、COリーンアンモニア化溶液又はCOリッチアンモニア化溶液であってよい。
【0029】
気液分離装置は、循環するアンモニア化溶液流からCOリーンアンモニア化溶液を受け取るように構成されてよい。気液分離装置は、例えば、再生器からCOリーンアンモニア化溶液を受け取るように構成されてよい。再生過程は、一般的に、高められた温度及び高められた圧力、例えば、2〜150バール、好ましくは10〜30バールの圧力で実施される。この圧力は、再生器に接続して配置された高圧ポンプによって作られてよい。
【0030】
再生器内のリーン溶液の温度が、再生器を出る時に高いので、液相としての不揮発成分から気相としての揮発成分を分離するために、比較的少量の熱が、ストリッパー内に加えられる必要がある。所要熱量が低いので、加熱は、例えば、電気的手段によって実施されてよい。他の状況では、再生器装置熱交換器網の他の位置からCOリーンアンモニア化溶液を受け取ることが有利なこともある。蒸気温度は10〜150℃の範囲である。よりスムーズな運転を可能にし得る高度に利用可能な正味の有効吸込ヘッドを有する移送ポンプ自体が利点である。このような状況では、供給/アンダーフロー交換器が、気液分離装置の所要熱量を削減するために利用されてよい。
【0031】
あるいは、気液分離装置は、循環するアンモニア化溶液流からCOリッチアンモニア化溶液を受け取るように構成されてよい。気液分離装置は、例えば、CO吸収器からCOリッチアンモニア化溶液を受け取るように構成されてよい。CO吸収器中の、CO吸収器を出て行く、アンモニア化溶液の圧力は低く、一般的に1〜2バールの範囲であるため、ストリッパーの所要熱量は、比較的低い温度で、例えば、1〜2バールの圧力で水の沸点前後か又はそれを上回る温度で提供され得る。従って、ストリッパーの所要熱量は、例えば、低圧蒸気又は他の低位熱によって提供されてよい。
【0032】
アンモニア化溶液が気液分離装置内で分離された時、一般的に水又は低アンモニア含量水溶液、及び不揮発性成分を含む、アンモニアリーン液相は、CO除去システムにおいて他の場所で廃棄されるか又は再利用される。一般的にアンモニア、CO及び水蒸気を含む、アンモニアリッチ気相が、循環するアンモニア化溶液流に再導入されると、循環するアンモニア化溶液中のアンモニア濃度が増加し、不揮発性成分の濃度が減少する。
【0033】
気液分離装置は、水性のアンモニア化溶液を分離するために構成されてよく、その際、大部分の、即ち、50%を上回る、例えば、60%、70%、80%又は90%を上回るアンモニア化溶液の水がアンモニアリッチガス相に分離され、小部分のアンモニア化溶液の水が不揮発性化合物を含む液相に分離される。従って、より少量の水及び溶液体積がアンモニア化溶液から失われる。
【0034】
あるいは、気液分離装置は、水性のアンモニア化溶液を分離するために構成されてよく、その際、小部分のアンモニア化溶液の水がアンモニアリッチ気相に分離され、大部分の、即ち、50%を上回る、60%、70%、80%又は90%を上回るアンモニア化溶液の水が不揮発性化合物を含む液相に分離される。従って、例えば、プロセスガスから、アンモニア化溶液に導入された過剰の水は、除去されてよい。
【0035】
更に、又はあるいは、不揮発性化合物をアンモニア化溶液から除去するために、気液分離装置がアンモニア化溶液の水バランスを制御し且つ調整してよい。
【0036】
アンモニアリッチ気相は、好ましくはアンモニア化溶液流に再導入されてよく、その際、アンモニアリッチ気相を生成するためのストリッパーで使用される熱は、再生器などの、別のプロセスの工程において所要熱量の一部を交換する。従って、気液分離装置は、アンモニアリッチ気相を、再生器中に又は再生器に向けられたアンモニア化溶液流中に又は熱が再利用され得るシステムの他の部分に再導入するように構成されてよい。
【0037】
気液分離装置からのアンモニアリーン液相は、廃棄されてよい、例えば、共同下水道等に放出されるか、又はシステムに再導入されてよい。それにも関わらず、気液分離装置を出るリーン液相のpHを、比較的中性のpH、例えば、6〜12の間、例えば、7〜11の間又は7〜9の間、例えば、約8のpHに調整することが好都合であり得る。従ってリーン液相も腐食性が低くてよい。
【0038】
また、気液分離装置中のアンモニア化溶液の7〜11又は7〜9の範囲の中性又はアルカリ性のpHは、アンモニアなどの揮発性化合物の液体から気相への変換を改善し、それによって気液分離装置の所要熱量が減少され得る。アンモニア化溶液のアンモニア塩のアンモニア部分を分離する時、例えば、硫酸の形成を通してpHを低下させてよい。従って、例えば、アルカリ性材料、即ち、アルカリ性添加剤を、それが気液分離装置に入る前に又は入る時にアンモニア化溶液に、又は気液分離装置内で気液分離装置の液溜に添加することによって、それが気液分離装置を出る前にアンモニア化溶液のpHを予め調整することが好都合であり得る。
【0039】
アルカリ性材料の添加は、好都合には、例えば、気液分離装置に入る前に、アルカリ性材料の添加の前後に;気液分離装置内の任意の段階で、例えば、水溜において、アルカリ性材料の添加の前後に;又は気液分離装置を出た後に、気体又は液体として、アンモニア化溶液のpH測定に基づいて調節されてよい。例えば、気液分離装置を出て行くアンモニアリーン液相のpHを測定することが好都合であり得る。従って、気液分離装置は、アンモニアリーン液相のpHを測定するように配置されたpHセンサを含んでよい。
【0040】
溶液との混合を容易にするために、アルカリ性添加剤を液体の形でアンモニア化溶液に添加することが好都合であり得る。
【0041】
アルカリ性添加剤は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)及び/又は水酸化カリウム(KOH)を含んでよい。
【0042】
気液分離装置は、CO吸収器内で処理されたプロセスガスからの残留アンモニアを除去するために水洗浄工程を更に含むCO除去システムにおいて実行されてよい。
【0043】
従って、このシステムは更に、アンモニア吸収装置であって、CO捕捉装置からのCOリーンガス流を受け取るように構成され且つアンモニアが前記水洗浄水溶液流に吸収されてアンモニアリッチ水溶液を形成するように5質量%未満の水性アンモニア濃度を有する水性洗浄溶液流とガス流とを接触させるアンモニア吸収器;及び該アンモニア吸収器からのアンモニアリッチ洗浄溶液を受け取り且つ受け取った洗浄溶液をアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成された洗浄気液分離装置を含む、前記アンモニア吸収装置を含んでよい。洗浄気液分離装置(次のようにも呼ばれる:第1の気液分離装置)は、例えば、ストリッパーであってよく及び/又は不揮発性化合物を除去するための上記の気液分離装置(次のようにも呼ばれる:第2の気液分離装置)と類似してもよい。しかしながら、洗浄気液分離装置の流れ容積容量は、要求量よりもかなり高くてよい、例えば、2倍又は4倍高くてよい。
【0044】
第1の気液分離装置からのアンモニアリッチガス相は、通常、1kgの水当り1〜5モルのアンモニアを含んでよい。高い範囲の、約3〜5モル/kgは、幾らかの水蒸気を縮合してこれを第1の気液分離装置に再循環させるコンデンサによって達成されてよい。
【0045】
第1の気液分離装置と第2の気液分離装置とを一体化することは、特に、それらが同等の圧力で、例えば、1〜5バール又は1〜2バールなどの1〜10バールで運転される場合、好都合であり得る。
【0046】
第1の気液分離装置からのアンモニアリッチガス相は、第2の気液分離装置に移動し、そこでアンモニアと他の揮発物を液体から除去するのに役立つように使用されてよい。第2の気液分離装置に入るアンモニア化溶液は、通常、1kgの溶液当り6〜14モルのアンモニアのアンモニア濃度を有しており、それによって第2の気液分離装置を出て行く気相は、更に高いアンモニア濃度を有し得るが、これは第1の気液分離装置からの気相中よりも遙かに高い濃度であり、その結果、第1の気液分離装置からの気相は、第2の気液分離装置内の液体からのアンモニア及び他の揮発物の除去に役立つようにする。また、第1の気液分離装置からの気相は、第2の気液分離装置に熱を加えて、第2の気液分離装置の所要熱量を顕著に減少させ得る。机上の実験は、第2の気液分離装置中へのエネルギー入力が、この方法で50%を上回って削減され得ることを示した。
【0047】
この一体化の更なる潜在的な利点として以下のものが挙げられる:
・ 第2の気液分離装置に対して比較的小さなリボイラー。
・ 第2の気液分離装置に対して比較的小さなエネルギー損失。
・ 第1の気液分離装置は、第2の気液分離装置からの影響を受けずに動作する。
・ 第1及び第2の気液分離装置は、塔頂部の濃縮相において最も低い重炭酸アンモニウムの可溶化指数を有しており、従って、これは目詰り、スケーリング等に関して操作上最もよく予測されている。なぜなら、塔頂部のアンモニア濃度は、第1の気液分離装置内で低く維持されており、第1の気液分離装置の塔頂ガスによって第2の気液分離装置内で希釈されるからである。
・ 低圧カスケードの統合代替物、例えば、わずかに高められた圧力で第1の気液分離装置と共に大気圧で動作する第2の気液分離装置。
・ 操作上の適用性:第1の気液分離装置の塔頂部と共に第2の気液分離装置の性能を向上させることによる、即ち、より多くの水蒸気を”ストリッピング蒸気”として第1の気液分離装置の塔頂部で流すことによる。これは、第1の気液分離装置の十分な予備容量を前提とするが、第2の気液分離装置のリボイラーの気密設計を可能にする。
【0048】
特にすぐ上に記載された実施態様において、第1の気液分離装置からの、塔頂部ガス、即ち、アンモニアリッチ気相をより良く利用するために、気体は、好都合には、第2の気液分離装置のMIDで又はそれより下で第2の気液分離装置に入り、気体がMTD中を上昇することができ、MTD内の液体溶液と合わさって、そこで少なくとも一部のアンモニアの前記溶液をストリッピングする。
【0049】
上記の通り、アンモニア吸収器、並びに第1の気液分離装置は、第2の気液分離装置よりも高い流量を有し得る。従って、アンモニア吸収器からの水性洗浄溶液は、第2の気液分離装置に入るアンモニア化溶液の流量の少なくとも2倍、4倍、10倍、15倍、又は20倍の流量を有し得る。通常、アンモニア吸収器からの水性洗浄溶液は、第2の気液分離装置に入るアンモニア化溶液の流量の10〜100倍の間、例えば、15〜50倍又は15〜30倍の間の流量を有し得る。
【0050】
更に又はあるいは、2つの気液分離装置は、アンモニアリッチ洗浄溶液の少なくとも一部をアンモニア吸収器から受け取るように構成されている第2の気液分離装置によって一体化されてよい。従って、第2の気液分離装置は、必要に応じて、アンモニア及び他の揮発性化合物を洗浄溶液から除去する際に第1の気液分離装置を補助し得る。
【0051】
更に又はあるいは、例えば、循環するアンモニア化溶液が再び入る前に、システムの複雑性を低減し、パイプの量を減少させるために、2つの気液分離装置は、それぞれの装置からの2つのアンモニアリッチ気相を合わせることによって一体化されてよい。
【0052】
第2の気液分離装置は、代替的に又は追加的に2つの異なる段階で提供されてよく、例えば、2つの部分は、それぞれMTDを含み、その際、第1のステージは、循環するアンモニア化溶液流の一部を受け取り且つそれをアンモニアリッチ気相とアンモニアリーン液相とに分離するように構成されてよく、該アンモニアリッチ気相は循環するアンモニア化溶液流に再導入されており;第2のステージは、第1のステージからアンモニアリーン液相を受け取り且つ前記液相を、実質的に水蒸気からなる気相と不揮発性化合物を含む液相とに分離するように構成されてよい。
【0053】
通常、第1ステージは、第1ステージの液相が、重力によって又はポンプに補助されて第2ステージに降りるように、第2ステージの上方に、液体接触して配置されてよい。アンモニア化溶液流は、例えば、第2の気液分離装置、例えば、第1ステージのMTD内の又はその上方の、ストリッパーに入ってよく、ここで、その流は、例えば、第1ステージの温度まで低圧蒸気によって加熱された第1ステージの水溜からの煙霧と接触してよい。揮発性化合物、例えば、アンモニア化溶液のアンモニア及びCOは、気相として第1ステージを出るが、第1ステージの液相は、第2ステージのMTDに導かれてよく、ここで、該液相は例えば、低圧蒸気によって、好都合には第1ステージ温度よりも高い第2ステージ温度まで加熱された第2ステージの水溜からの接している煙霧と相互作用し、そして更なる化合物が主に水蒸気からなる第2ステージの気相として気液分離装置から出るようにする。不揮発性化合物を含む第2段階の液相は、気液分離装置を出てもよい。
【0054】
従って、受け取られたアンモニア化溶液は、水性であってよく、アンモニア化溶液の水の大部分は、第2ステージの気相に分離され、アンモニア水溶液の小部分は、不揮発性化合物を含む液相に分離され、且つアンモニア水溶液の別の小部分はアンモニアリッチ気相に分離されてよい。
【0055】
当然ながら、2段階の分離装置を含むCO除去システムも、上記のようなアンモニア吸収装置、CO捕捉装置及び/又は再生装置を更に含んでよい。
【0056】
第1及び第2の気液分離装置の追加的な又は代替的な一体化方法は、特に、上記のような2段階の第2の気液分離装置を使用する時に、第2の気液分離装置の第2段階からの気相の少なくとも一部を、第1の気液分離装置内で再利用することである。主に水蒸気からなる、第2段階の気相は、例えば、第1の気液分離装置の、水溜に、又はMTD内に又はその下に導かれてよく、その際、幾つかの第1の気液分離装置の外部加熱を交換してよく、CO除去システム全体の所要熱量を減少させる。
【0057】
あるいは又は追加的に、第2段階からの気相の少なくとも一部は、熱を与えるためにシステム内の他の部分で使用されてよい。
【0058】
主に図1に関して、ストリッパー41を含む(第2の)気液分離装置40はここで説明される。
【0059】
ストリッパー41は、例えば、一般的に予め決められた圧力範囲内で動作するように構成された円筒形の鋼容器として構成されてよい。ストリッパー41は、好ましくは、1つ以上の適した物質移動デバイス(MTD)42を備えている。MTDは、例えば、バルブトレイ、シーブトレイ、構造化充填、ランダム充填又は他の適した充填材料、又はそれらの組み合わせであってよい。加熱システム/デバイス43は、ストリッパー41によって受け取られるアンモニア化溶液を加熱するために該ストリッパー内に備え付けられてよい。
【0060】
ストリッパー41は、好ましくは、アンモニア化溶液に十分な熱を与えるように構成されているので、低沸点成分、例えば、NH及びCOが気相に移される一方で、高沸点成分、例えば、塩及び金属は、ストリッパーの底部で液相中に集められる。通常、気相と液相の両方が水を含み、液相中の水の割合に関する気相中の水の割合は熱の量に依存し得る。アンモニア化溶液は、例えば、リボイラーによって適切に加熱されてよい。リボイラーは、例えば、電気的に生じた熱又は蒸気又はCO除去システム4の別の部分から供給された他の熱媒液、例えば、高温の煙道ガス又は高温のCOリーン溶液を用いて加熱されてよい。同様に、リボイラーは、例えば、発電システム又は煙道ガス浄化システム内で幾つかの源などの、外部の源からCO除去システム4へ供給された蒸気を介して加熱されてよい。熱は、ストリッパーの動作圧力で、水の沸点を上回る温度で熱を与えることが可能な加熱手段によって供給されてよい。ストリッパーは一般的に比較的サイズが小さいので、多数の異なる方法、例えば、上記のリボイラー内の蒸気だけでなく、ライフ蒸気の注入(即ち、ストリッパーの底部への直接的な蒸気の注入)によって、電気によって、又は他の熱媒体、例えば、高温の煙道ガス又は高温の凝縮液、又は上記のような第1の気液分離装置からの高温の塔頂部の気相によって加熱され得る。ストリッパーがライフ蒸気注入によって加熱される場合、注入された蒸気から凝縮された水は、ストリッパーの底部で液相と一緒に集められてよい。ライフ蒸気の注入は効率的であり、リボイラーを保全する。
【0061】
ストリッパー41は、NH及びCOなどの揮発性化合物を含む気相を、気体出口44を介して、及び不揮発性化合物を含有する液相を、液体出口45を介して、放出するように構成されている。ストリッパーは、5質量%未満のNH、例えば、4質量%、3質量%、2質量%又は1質量%未満のNHを含有するストリッパーの底部で液相46を生成するように配置されてよい。好ましくは、ストリッパー41は、本質的にNH及びCOを含有しないストリッパーの底部で液相46を生成するように配置されてよい。
【0062】
ストリッパーの底部で集められた液相46は、一般的に、適切な圧力で水の沸点近くの又はそれより僅かに下回る範囲の温度、例えば、大気圧で約80〜100℃を有する。熱交換器47は、熱をストリッパー41に導入する前に、ストリッパーの底部から回収された液相46からの熱を、循環するイオン性アンモニア化溶液流から受け取られたアンモニア化溶液に伝達する(そして、それによってアンモニア化溶液の温度を、所定の温度、例えば、80〜100℃の間まで上げる)ために提供されてよい。
【0063】
循環するアンモニア化溶液から受け取られるアンモニア化溶液の部分は、特定のCO除去システム中の不揮発性化合物の除去の必要性に応じて広範囲で変化し得る。適した部分は、例えば、特定のCO除去システム中の不揮発物の蓄積量に基づいて計算されてよい。その部分も、例えば、流入するガス流の水分の変動が補償され得るようにシステムにおいて変動可能であってよい。
【0064】
その部分は、例えば、循環するアンモニア化溶液の全質量流量の0.01〜25%の範囲で、例えば、0.01〜10%又は0.01〜5%の範囲で含んでよい。受け取ったアンモニア化溶液の部分が小さい程、使用され得る気液分離装置は小さくなり且つ低コストになる。特定の実施態様では、受け取られるアンモニア化溶液の部分は、循環するアンモニア化溶液の全質量流量の0.05〜1%の範囲であってよい。
【0065】
気液分離装置40は、CO除去システムの循環するアンモニア化溶液流と流体連結した構成である。
【0066】
流体連結部分は、好ましくは、循環するアンモニア化溶液流の一部を気液分離装置40の液体入口に向けるように構成された少なくとも1つの流体連結部分48を含んでよい。流体連結部分は、気液分離装置40に供給されるアンモニア化溶液の量を調製するための操作可能なポンプと流量調整装置を含んでよい。
【0067】
流体連結部分は、好ましくは、気液分離装置40内で生成された気相を、気液分離装置40のガス出口44からCO除去システム4の循環するアンモニア化溶液流へ導くように構成された少なくとも1つの流体連結部分49を含んでよい。
【0068】
気液分離装置40は、好ましくは、気液分離装置40内で生成された液相を、液体出口45を介して除去するように構成された少なくとも1つの流体連結部分50を含んでよい。
【0069】
CO除去システム4内で循環するアンモニア化溶液の全てが水と蓄積した不揮発物を含有するため、気液分離装置40のアンモニア化溶液は、アンモニア化溶液の循環に沿ってどの位置からも受け取られてよく、且つ再導入されてよい。アンモニア化溶液が受け取られ得る及び/又は再導入され得るアンモニア化溶液循環に沿う位置の例として、CO吸収器10、再生器11、COリッチアンモニア化溶液をCO吸収器から再生器へ送るように構成された第1の液体導管12、及びCOリーンアンモニア化溶液を再生器からCO吸収器へ送るように構成された第2の液体導管13が挙げられる。
【0070】
一実施態様では、気液分離装置40のアンモニア化溶液は、循環するアンモニア化溶液流のCOリッチ部分から、例えば、CO吸収器の底部で集められたアンモニア化溶液から又はCOリッチアンモニア化溶液をCO吸収器から再生器へ送るように構成された第1の液体導管から受け取られてよい。
【0071】
この実施態様の利点は、COリッチ溶液が、一般的に、大気圧に近い圧力で、例えば、2バール未満の圧力で提供されることである。これは、気液分離装置40及び流体連結部分48、49が高圧での運転のために構成される必要がないことを意味する。これもアンモニア吸収装置の第1の気液分離装置との一体化を容易にし、該装置は1〜2バールなどの大気圧に近い圧力で運転されることが多い。アンモニア化溶液が高圧で受け取られる実施態様と比較して、これもアンモニア化溶液を液相と気相とに分離するために必要な熱が低温で提供され得ることを意味する。従って、アンモニア化溶液が大気圧に近い圧力で受け取られる実施態様では、気液分離装置40は、例えば、アンモニア化溶液を液相と気相とに分離するために、アンモニア化溶液の加熱に低圧蒸気又は電気加熱を使用してよい。
【0072】
一実施態様では、気液分離装置40のアンモニア化溶液は、循環するアンモニア化溶液流のCOリーン部分から、例えば、再生装置12の再生器25の底部29で集められたアンモニア化溶液から又はCOリーンアンモニア化溶液を再生器からCO吸収器15へ送るように構成された液体導管13から受け取られてよい。
【0073】
この実施態様の利点は、リーン溶液が一般的に、再生器25で加熱されるので、高温で、例えば、50〜200℃の範囲の温度で提供されることである。これは、アンモニア化溶液を液相と気相とに分離するために比較的少量の追加の加熱が要求され得ることを意味する。熱は、例えば、中圧蒸気又は電気加熱によって与えられ得る。
【0074】
一実施態様では、気液分離装置40によって生成される気相は、再生器中に又は溶液流を再生器へ送るように構成された液体導管中に再導入されてよい。この実施態様の利点は、気液分離装置40内で気相に移動する熱が、再生器25の所要熱量を間接的に削減するために使用されることである。換言すれば、気液分離装置40のエネルギー要求量は、再生器25のエネルギー要求量の一部と交換してよい。従って、この実施態様では、気液分離装置40の動作は、本質的にエネルギー中性になってよい。
【0075】
図2に関して、ストリッパー41’を含む(第2の)気液分離装置40’の特定の実施態様は、ここで記載されている。デバイス40’は図1のデバイス40と本質的に同じであるが、幾つかの異なる特徴を有する。それらの追加的な特徴とは別に、図1に関して上記の考察がなされる。
【0076】
気液分離装置40’は更に、非腐食性のpHを保証し且つアンモニア化溶液のNH及びCOなどの揮発性化合物の揮発を改善するために、NaOH(水性)又はKOH(水性)溶液などのアルカリ材料を、気液分離装置40’によって処理されたアンモニア化溶液に添加するための注入システム101を含む。注入装置は、アルカリ材料を、気液分離装置40’のどの場所でもアンモニア化溶液に、例えば、アンモニア化溶液流をストリッパー41’及び/又はストリッパー41’の水溜に導いている導管に添加するように配置されてよい。
【0077】
図2に示された実施態様によれば、アルカリ溶液は、アンモニア化溶液流をストリッパー41’に導いている導管及びストリッパー41’の水溜の両方に添加されてよく、これによって適用性が向上し、ストリッパー41’のアンモニア化溶液のpHが調整される。気液分離装置40’は更に、気液分離装置40’のアンモニア化溶液のpHを測定するために配置されたセンサ102を含み、この測定は、所望のpHが得られるように注入装置101の注入を調整するために用いられてよい。センサは、気液分離装置40’の設計に応じて、気液分離装置40’のどこに位置してもよいが、図2に示すように、ストリッパー41’を出ていく不揮発物を含む液相のpHを測定するためにそれを配置することが好都合であり得る。この方法では、所望のpH、例えば、中性のpHによって、恐らく追加の処理及び洗浄の後に、廃棄されて、最終的に自然界に放出される液体が保証され得る。また、排出している液相を測定することによって、液体バルクのpHは効率的に測定され、これは腐食性を低減するのに好都合であり得る。
【0078】
図3に関して、ストリッパー41’’を含む(第2の)気液分離装置40’’の特定の実施態様がここで記載されている。デバイス40’’は図1のデバイス40と本質的に同じであるが、幾つかの異なる特徴を有する。それらの追加的な特徴とは別に、図1に関して上記の考察がなされる。
【0079】
ストリッパー41’’は、この実施態様では、アンモニア吸収装置60の(第1の)気液分離装置62と一体化されているため、塔頂部のフューム、即ち、気液分離装置62からの気相は、ストリッパー41’’に導かれて、その中に導入される。気相はストリッパー41’’のMTD42の中に又はその下に導入されるので、気体はMTD42の中を昇って、MTD42内で下方に落ちてくる液体と合わさって、揮発物の液体をストリッピングする。気相は通常、約4モルのアンモニア含量を有し、これはストリッパー41’’内に入った循環するアンモニア化溶液のアンモニア含量よりも低いので、アンモニア化溶液のストリッピングを補助することができる。図3に例示された実施態様によれば、MTD42は2つの別個のMTD部分、42a及び42bからなり、気液分離装置62からの気相は、上のMTD部分42aの真下に及び下のMTD部分42bの上方に入る。また、図3に例示された実施態様によれば、塔頂部のフュームは、それらがストリッパー41’’中に入る前に、フューム中の揮発物の濃度を高めるためにコンデンサ63を通過する。コンデンサ63の前のフュームは、通常、1〜2重量モルのNH濃度を有するが、コンデンサ63の後のフュームは、通常、3〜5重量モルのNH濃度を有する。液体濃縮物、通常、本質的に純粋な水は、気液分離装置62に戻されて再利用されてよい。従って、CO除去システム4の総合エネルギー効率は低下するので、ストリッパー41’’のヒーター/リボイラー43は小型化されてよい。
【0080】
図4に関して、ストリッパー41’’’を含む(第2の)気液分離装置40’’’の特定の実施態様が、ここで記載されている。デバイス40’’’は図1のデバイス40と本質的に同じであるが、幾つかの異なる特徴を有する。それらの追加的な特徴とは別に、図1に関して上記の考察がなされる。
【0081】
図4に例示された実施態様の気液分離装置40’’’は、ストリッパー41’’’を含み、これは2つのステージ又は区画103及び104に分かれ、上の区画103の形の第1のステージは上のMTD42aを含み、下の区画104の形の第2のステージは下のMTD42bを含む。循環するアンモニア化溶液流からのアンモニア化溶液は、上の区画103、好ましくは上のMTD42aの上方に入り、NH及びCOなどの揮発性化合物を含む気相と幾らかの水蒸気とに分かれる。揮発物の気相は、他の実施態様に関して記載された通り、循環するアンモニア化溶液流に戻ってよい。不揮発性化合物と水を含む、上の区画103の液相は、下の区画104に入り、例えば、導管105によって上の区画103の水溜から下の区画104、好ましくは下のMTD42bの上方に導かれる。下の区画104では、上の区画103からの液相は、揮発性化合物が既に上の区画103に回収されているので、主に水蒸気からなる気相と、他の実施態様について記載されたように廃棄されるか又は処理されてよい不揮発物と幾らかの水を含む、液相とに分離される。上の区画103に入ったアンモニア化溶液は、通常、水蒸気を生成するために水の沸点まで加熱され得る下の区画104に入った溶液よりも低い温度、例えば、水の沸点又はそれより低い温度まで加熱される。従って、下の区画104の熱エネルギー要求量は、通常、上の区画103の熱エネルギー要求量よりも高い、又は遙かに高い、例えば、2倍又はそれ以上に高い。熱は、2つのステージ103及び104の別個のヒーター/リボイラー、又は、図4に例示される通り、単一のヒーター/リボイラー43によって提供され得る。
【0082】
下のステージ104によって生成した水蒸気又は蒸気は、アンモニア吸収装置60の(第1の)気液分離装置62に導かれるので、気液分離装置62とストリッパー41’’’とが一体化する。気液分離装置62では、蒸気は、熱エネルギーを気液分離装置62に加えるために使用されるので、気液分離装置62の外部熱エネルギーの要求量は減少し且つ気液分離装置62のヒーター/リボイラー106への要求量が低下する。図4によって示されるように、蒸気は、気液分離装置62に、好ましくはその中でMTDの下に蒸気を直接導入することによって加熱に使用されるか、又は気液分離装置62のヒーター/リボイラー106内で加熱媒体として使用されてよい。従って、CO除去システム4の総合エネルギー効率が低下し、気液分離装置62のヒーター/リボイラー106は小型化されてよい。
【0083】
主に図5及び図6に関して、上で詳述したようにストリッピングによって循環するイオン性溶液から水と不揮発物を除去するように構成されたストリッパー41を含む、気液分離装置40を含む上記のようなCO除去システム4が提案されている。
【0084】
図5は、受け取ったアンモニア化溶液が、CO吸収器15の底部20からのCOリッチアンモニア化溶液であり且つ気相が再生器25に再導入される、実施態様の略図である。
【0085】
図5の実施態様では、気液分離装置40はストリッパー41を含む。ストリッパー41は、例えば、一般的に約1〜5バールの範囲の圧力内で動作するように構成された円筒形の鋼容器として構成され得る。ストリッパー41は、好ましくは、1つ以上の適した物質移動デバイス(MTD)42を備える。MTDは、例えば、バルブトレイ、シーブトレイ、構造化充填、ランダム充填又は他の適した充填材料、又はそれらの組み合わせであってよい。加熱システム/デバイス43は、ストリッパーによって受け取られるイオン溶液を加熱するためのストリッパー41内に提供されてよい。加熱システムは、(通常、4〜8バールの範囲の圧力の)低圧蒸気によって加熱されるか、又は低圧蒸気のためのインフラストラクチャを提供するには必要な熱量が少なすぎる場合、電気加熱デバイス/システムによって加熱されてよい。ストリッパー41は、好ましくは、アンモニア化溶液に十分な熱を与えるように構成されているので、1〜5バールの範囲の圧力で、低沸点の成分、例えば、NH及びCOが、気相に移動される一方で、高沸点の成分、例えば、塩及び金属は、ストリッパー41の底部46で液相に集められている。ストリッパー41は、ガス出口44を介して、NH及びCOを含有する気相を、液体出口45を介して、主に水を含有する、液相を排出するように構成されている。
【0086】
ストリッパー41は、CO吸収器15の底部で集められたCOリッチアンモニア化溶液を受け取るように構成されている。CO吸収器15からのリッチアンモニア化溶液がストリッパー41に供給される速度(供給速度)は、例えば、COリーンアンモニア化溶液がCO吸収器15に供給される供給速度の約0.5%〜2.0%である。CO吸収器15から受け取られたアンモニア化溶液は、液体/気体MTD42を介して、好ましくは向流中で、ストリッパー41の底部に供給された又はそこで生じた、近づいてくる蒸気と接触する。ストリッパー41内で下方に流れるアンモニア化溶液中のアンモニア及びCOの平衡状態の分圧と、近づいてくる蒸気相中のアンモニア及びCOの蒸気圧との間の差は、液相から蒸気相へのアンモニア及びCOの遷移をもたらす。その結果、不揮発物及び幾らかの水がストリッパー41の底部46で集まり、それらはアンモニアを取り除くことなくそこで容易に回収され得る。ストリップされたアンモニアとCOを含む気相と残留量の蒸気は、ストリッパーの頂部でガス出口44を介してストリッパー41を出る。
【0087】
CO吸収器15の底部20で集められた液相は、一般的に10〜30℃の範囲の温度を有する。ストリッパー41の底部46で集められた液相は、一般的に80〜150℃の範囲、例えば、95〜125℃の範囲の温度を有する。熱交換器47は、ストリッパー41の底部から回収された液相からの熱を、それがストリッパー41に導入される前に、CO吸収器15から受け取られたアンモニア化溶液に伝達し(それによってアンモニア化溶液の温度を所定の温度、例えば、50〜150℃の範囲、例えば、60〜120℃まで上げる)ために提供され得る。
【0088】
ストリッパー41からの気相(CO、NH、水蒸気)は、再生装置12の再生器25に向かって、部分的に又は完全に送られてよい。ストリッパー41が、これが結合される吸収器の圧力に相当する、1〜5バールの範囲の圧力で動作し、再生器が、更に高い圧力で動作し得るので、気相を、循環するアンモニア流に、例えば、再生器の供給ポンプの上流に再導入することが好都合であり得る。ストリッパー41の底部46で集められた液相は、好ましくはNH及びCOで低い不揮発物の水溶液であってよい。液相中の残留アンモニア含量に応じて、これは洗浄水ストリッパーに又は直接バッテリーリミット(BL)に送られてよい。この実施態様では、投入された熱は、実質的に、完全ではない場合、再生器の容器25内で及び/又は小型の供給/排出熱交換器47内で回収される。一般的に低圧(4〜8バール)の蒸気によって提供される、再生器25の所要熱量は低下し得る。
【0089】
図6は、受け取られたアンモニア化溶液が再生器25の底部29からのCOリーンイオン溶液であり、且つ形成された気相が再生器25に再導入される実施態様の略図である。
【0090】
図6の実施態様では、気液分離装置40はストリッパー41を含む。ストリッパー41は、例えば、一般的に、約10〜30バールの圧力範囲内で動作するように構成された円筒形の鋼容器として構成されてよい。ストリッパー41は、好ましくは、1つ以上の適した物質移動デバイス(MTD)42を備えている。MTDは、例えば、バルブトレイ、シーブトレイ、構造化充填、ランダム充填又は他の適した充填材料、又はそれらの組み合わせであってよい。加熱システム/デバイス43は、ストリッパー41によって受け取られるアンモニア化溶液を加熱するために該ストリッパー内に備え付けられてよい。加熱システムは、中圧蒸気によって(通常、10〜30バールの範囲の圧力で)、又は要求される熱量が中圧蒸気のインフラストラクチャを提供するには低すぎる場合、電気加熱装置/システムを介して加熱され得る。ストリッパー41は、好ましくは十分な熱をアンモニア化溶液に提供するように構成されているので、10〜30バールの範囲の圧力で、低沸点成分、例えば、NH及びCOは気相に移されるが、高沸点成分、例えば、塩及び金属は、ストリッパーの底部で液相に集められている。ストリッパー41は、NH及びCOを含有する気相を、ガス出口44を介して排出するように、及び不揮発物を含有する液相を、液体出口45を介して排出するように構成されている。
【0091】
ストリッパー41は、再生器25からリーンアンモニア化溶液を受け取るように構成されている。再生器25からのリーンアンモニア化溶液が、ストリッパー41に供給される速度(供給速度)は、例えば、リッチアンモニア化溶液が再生器25に供給される供給速度の約0.5%〜2.0%である。再生器25から受け取られるイオン溶液は、液体/気体MTD42を介して、好ましくは向流中で、ストリッパー容器41の底部46に供給された又はそこで生じた、近づいてくる蒸気(近づいてくる蒸気は十分でなければならない)と接触する。ストリッパー容器41内で下方に流れるアンモニア化溶液中のアンモニア及びCOの平衡状態の分圧と、近づいてくる蒸気相中のアンモニア及びCOの蒸気圧との間の差は、液相から蒸気相へのアンモニア及びCOの遷移をもたらす。その結果、水及び不揮発物がストリッパー41の底部で集まり、そこでアンモニアを取り除くことなく容易に回収され得る。ストリップされたアンモニアとCOを含む気相と水蒸気は、ストリッパーの頂部でガス出口44を介してストリッパー41を出る。
【0092】
再生器25の底部29で集められた液相は、一般的に100〜150℃の範囲の温度を有する。ストリッパー41の底部46で集められた液相は、一般的に150℃〜250℃の範囲の温度を有する。熱交換器47は、ストリッパー41の底部から回収された液相からの熱を、それがストリッパー41に導入される前に、再生器25から受け取られたアンモニア化溶液に伝達し(それによってアンモニア化溶液の温度を所定の温度、例えば、150℃〜200℃の間まで上げる)ために提供され得る。
【0093】
ストリッパー41からの気相(CO、NH、水蒸気)は、再生器25に、部分的に又は完全に送り戻される。ストリッパー41の底部46で集められた液相は、好ましくはNH及びCOの低い不揮発物の水溶液である。水溶液中の残留アンモニア含量に応じて、これは洗浄水ストリッパーに又は直接バッテリーリミット(BL)に送られてよい。この実施態様では、投入された熱は、実質的に、完全ではない場合、再生器の容器25内で及び/又は小型の供給/排出熱交換器47内で回収される。従って、一般的に低圧(4〜8バール)の蒸気によって提供される、再生器の所要熱量は低下し得る。
【0094】
図7に関して、CO除去システムは、任意に、CO捕捉装置11のCO吸収器15を出て行くガス流中に存在する微量のNHを除去するために動作するアンモニア吸収装置を更に含み得る。アンモニア吸収装置の例は図7に概略的に示されている。水洗浄システム60は一般的にアンモニア吸収器61(ここではNH吸収器を意味する)及び(第1の)気液分離装置62(ここではNHストリッパーを意味する)を含む。水洗浄プロセスの間、水又は5質量%未満のNH濃度を有する水溶液の流れは、NH吸収器61とNHストリッパー62との間で循環する。
【0095】
NH吸収器61では、CO吸収器15からのCOの減少したガス流は、水又は5質量%未満のNH濃度を有する水溶液の蒸気と接触するので、NHは水又は水溶液の前記流に吸収される。NH吸収器で使用された水又は水溶液の少なくとも一部は、取出されてNHストリッパー62に供給される。NHストリッパー62では、NHを含む気相は、水又は水性溶液から分離し且つアンモニア吸収装置60から除去される。NHに加えて、NHストリッパー62からの気相も、水蒸気、CO及び他の低沸点不純物を含有し得る。NHを含む分離された気相は、システムからのNHの損失を最小にするために、CO除去システム4のアンモニア化溶液に、例えば、再生器25に戻されてよい。しかしながら、図7に示された本発明の実施態様によれば、NHストリッパー62からの気相は、幾らかの水蒸気を除去するためのコンデンサ63を介して、(第2の)気液分離装置41に導かれて導入され、そこで、本発明の実施態様に関して上記される通り、循環するアンモニア化溶液から揮発性化合物をストリップするために使用されてよい。NHが分離された水又は水性溶液は、更なるNHをガス流から捕捉する用途のためにNH吸収器61に再利用されてよい。
【0096】
図7に概略的に記載された実施態様では、アンモニア吸収装置60は、NHストリッパー62によって生成したガス流を受け取り、且つそこに含有された水蒸気を凝縮するように構成されたコンデンサ63を含む。水性の凝縮液、好ましくはNHが全くない又は少量のNHを有し且つコンデンサ63内に集められた凝縮液は、そこに残ったNHの更なる除去のためにNHストリッパー62に戻され、最終的にはアンモニア吸収器61に戻されて洗浄水として使用される。
【0097】
図7に示された実施態様のストリッパー41は、1〜2バールの圧力で動作し且つCO捕捉装置11の吸収器15からCOリッチアンモニア化溶液流を受け取るように配置されている。アンモニア化溶液は、ストリッパー41によってNHとCOリッチ気相とに分離し、該気相は再生器装置12に向かって循環するアンモニア化溶液流に、そして循環するアンモニア化溶液から除去され得る不揮発性化合物を含む液相に再導入される。ストリッパー41の気相と液相の両方が水を含んでよい。気相及び液相中の相対量の水は、それぞれ、ストリッパー内でどのくらいの加熱がなされるかに依存し得る。加熱される程、水が蒸発され得る。従って、ストリッパーも、循環するアンモニア化溶液の水平衡を制御するために使用されてよい。図7に示した実施態様によれば、ストリッパー41も、上記のNHストリッパー62から、塔頂部のフューム、即ち、気相を受け取る。ストリッパー62からの気相は、ストリッパー62の中ではNHリッチであるが、ストリッパー41の中では比較的NHリーンであり、通常、3〜5モル、例えば、約4モルのNHを含み、通常、5〜15モル、例えば、8〜14モルの循環するアンモニア化溶液のNH含量と比較され得る。従って、ストリッパー62からの気相は、ストリッパー41内のアンモニア化溶液のストリッピングを補助する一方で、熱エネルギーをストリッパー41に加えて、ストリッパー41の外部所要熱量を低下させ得る。ストリッパー62からの気相のNHも、アンモニア化溶液と一緒にストリッパー41内にストリッピングされて、それによって組合わさったNH及び他の揮発物、例えば、アンモニア吸収装置60及びストリッパー41の両方のCOは、再生装置に向かって一緒にストリッパー4を出てよい。
【0098】
図7の実施態様におけるストリッパー41の使用は、少なくとも以下の利点を提供する:
・ 循環するアンモニア化溶液から不揮発性化合物を除去すること。
・ ストリッパー41内のストリッパー62から熱を回収して、ストリッパー41の所要熱量を50%も削減すること。
・ システムから別様に失われるアンモニアを再生装置に戻すこと。
・ ストリッピングプロセスで使用される熱の効率的な回収を可能にすること。回収されたアンモニアが、熱い蒸気の形で再生装置に戻されるので、ストリッパー41のストリッピングプロセスの間に消費された熱は回収され、CO捕捉システムの再生を実施する際に効率的に使用されて、そこで熱需要の相当する部分を交換する。
・ システムの水平衡の更に効率的な制御を可能にすること。
【0099】
本発明は、多くの好ましい実施態様に関して記載されているが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変更がなされ且つ等価物がそれらの要素に置換され得ることが当業者によって理解されている。更に、それらの本質的な趣旨から逸脱することなく本発明の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるために、多くの修正がなされ得る。従って、本発明は、本発明を実施するために現在考慮されている最良の形態として開示された特定の実施態様に限定されないが、本発明が、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図されている。更に、第1、第2等の用語の使用は、順序又は重要性又は年代順配列を意味するものではなく、むしろ第1、第2等の用語は、ある1つの要素を別の要素と区別するために使用されている。
【符号の説明】
【0100】
4 CO除去システム、 10 CO吸収器、 11 再生器、 12 再生装置(第1の液体導管)、 13 第2の液体導管、 15 CO吸収器、 25 再生器、 29 再生器の底部、 40 気液分離装置、 41 ストリッパー、 42 物質移動デバイス(MTD)、 42a 上のMTD部分、 42b 下のMTD部分、 43 ヒーター/リボイラー、 44 ガス出口、 45 液体出口、 46 液相(ストリッパーの底部)、 47 熱交換器、 48 流体連結部分、 49 流体連結部分、 50 流体連結部分、 60 アンモニア吸収装置、 61 アンモニア吸収器、 62 アンモニアストリッパー(第1の気液分離装置)、 63 コンデンサ、 101 注入システム、 102 センサ、 103 区画、 104 区画、 105 導管、 106 ヒーター/リボイラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7