(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記第1室への蒸気の流れを制限する流れ制限手段を備え、該流れ制限手段は、制限プレート及び該制限プレートを前記第1室から離れる方向に付勢する制限スプリングを含み、前記制限プレートは、前記制限プレートに作用する蒸気圧力が所定値を超えたとき、前記第1室に向かって移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の蒸気遮断弁。
更に、前記第1室と前記第3室との間に圧力リリーフ弁を備え、該圧力リリーフ弁は、重錘型バルブ又はスプリング荷重型バルブの一方であり、前記第1室の圧力が前記圧力リリーフ弁の付勢力を超えるまで前記第1室から前記第3室への蒸気の流れを阻止するように付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気遮断弁。
前記パイロット弁が閉位置にあるとき、前記第1室及び前記第2室には共通の蒸気圧力が分配され、前記第3室は、前記第1室及び前記第2室から遮断されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気遮断弁。
前記パイロット弁がパイロット開位置にあるとき、蒸気圧力が前記第2室から前記第3室に移動して、前記第1室の圧力が前記第3室の圧力よりも高いとき、前記バルブは、第1ステージから第2ステージへ移動することを特徴とする請求項4に記載の蒸気遮断弁。
前記パイロット弁がパイロット開位置にあり、かつ、前記第3室が負圧であるとき、前記バルブは、第1ステージから第2ステージに移動して、前記1室から直接第3室へ蒸気が流れるのを許容することを特徴とする請求項4に記載の蒸気遮断弁。
前記第2室は、更に、付勢スプリングを備え、該付勢スプリングは、前記バルブの前記第2表面及び前記第2室内の室表面に押付けられて、前記バルブを第1ステージに向けて付勢し、前記付勢スプリングは、前記パイロット弁が閉じられており、前記第1室に負圧が作用し、かつ、前記第3室に大気圧が作用したとき、バネ力に打勝って前記バルブが第1ステージから第2ステージに移動して、その負圧を解放するようなバネ力を有していることを特徴とする請求項1に記載の蒸気遮断弁。
前記2ステージ燃料タンク蒸気遮断バルブは、更に、前記第1室への蒸気の流れを制限する流れ制限手段を備え、該流れ制限手段は、制限プレート及び該制限プレートを前記第1室から離れる方向に付勢する制限スプリングを含み、前記制限プレートは、前記制限プレートに作用する蒸気圧力が所定値を超えたとき、前記第1室に向かって移動可能であることを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
前記2ステージ燃料タンク蒸気遮断バルブは、更に、前記第1室と前記第3室との間に圧力リリーフ弁を備え、該圧力リリーフ弁は、重錘型バルブ又はスプリング荷重型バルブの一方であり、前記第1室の圧力が前記圧力リリーフ弁の付勢力を超えるまで前記第1室から前記第3室への蒸気の流れを阻止するように付勢されていることを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
前記パイロット弁が閉位置にあるとき、前記第1室及び前記第2室には共通の蒸気圧力が分配され、前記第3室は、前記第1室及び前記第2室から遮断されることを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
前記パイロット弁がパイロット開位置にあり、かつ、前記第3室が負圧であるとき、前記バルブは、第1ステージから第2ステージに移動して、前記1室から直接前記第3室へ蒸気が流れるのを許容することを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
前記制御システムは、蒸気圧力変換器を備え、該蒸気圧力変換器は、圧力信号を前記制御システムに伝達し、前記電子信号装置は、制御信号を送信し、前記パイロット弁を開いて、蒸気が第1流量及び第2流量で流れるのを許容することを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
前記第2室は、更に、前記バルブの前記第2表面及び前記第2室内の室表面に押付けられる付勢スプリングを備え、該付勢スプリングは、前記バルブを前記第1ステージに向けて付勢することを特徴とする請求項8に記載の燃料タンク蒸気制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、同様の参照符号は、複数の図面において同一または同様の構成要素に対応している。
図1には、ある実施形態の蒸気遮断弁10が示されている。弁10は、燃料タンク12(弁10の下方に概略的に表示された)と出口通路14との間の、燃料蒸気、エア、及び他の流体の移送を制御する。
【0009】
蒸気遮断弁10は、燃料タンク12上に配置されまたは直接取り付けられる。付加的な構成要素、例えば、限定されるものではないが、付加的な弁(図示略)または通路(図示略)が燃料タンク12及び弁10の間に介装される。出口通路14は、車両の蒸発システム(図示略)に連通することができ、ベント通路と呼ぶことができる。この出口通路は、燃料タンク12から過剰の燃料蒸気を排出、すなわち逃がすための通路である。
【0010】
本発明は、自動車利用に関して詳細に説明しているので、この技術に関する当業者は、本発明の広い適合性を認識するであろう。また、「より上に」「より下に」「上方に」「下方に」等の用語は、図面に基づいて使用され、本発明の範囲を制限するものではなく、添付の特許請求の範囲によって定められるものであることも当業者であれば認識できるであろう
【0011】
弁10は、3つの主室を含んでいる。第1室16は、燃料タンク12と直接または付加的な通路及び弁のいずれかを介して流体連通する。第2室18は、第1室16の上方に(
図1で見るように)配置されている。また、第3室20は、出口通路14に流体連通する。
【0012】
隔壁24は、第1室16と第2室18との間に配置され、かつ、第3室20と第2室18との間に配置されている。隔壁24は、隔壁オリフィス26を有し、この隔壁オリフィス26は、比較的小さいので、第1室16と第2室18との間の流体連通を制限することを可能にしている。隔壁24は、隔壁開放位置(
第2ステージ:図3、図4に概略示されている)と隔壁閉鎖位置(
第1ステージ:図1、図2、図5に概略示され、ここで詳細に論じる)との間で移動可能である。
【0013】
隔壁24は、薄膜、または薄膜弁と呼ぶことができ、適合材料から形成され、例えば、当業者によって認識されるように、限定されるものではなく、生ゴム、合成ゴム、シリコン、または他の材料で形成できる。
隔壁24は、隔壁開放位置と隔壁閉鎖位置との間で移動可能である限り、さらに、スチール、またはプラスチック部分を含むことができ、その中に隔壁オリフィス26を形成することができる。
【0014】
第3室20は、第1室16と同様に隔壁24の同一面側に配置されている。それゆえ、隔壁開放位置は、第1室16と第3室20との間の流体連通を可能にする。また、隔壁閉鎖位置は、第1室16と第3室20との間の流体連通を実質的に制限する。
【0015】
第1室16内の燃料蒸気は、第1表面領域を有し、または隔壁24とともに有効な接触領域を有しており、第2室18は、隔壁24と接触する第2領域を有する。第3室20内の蒸気は、隔壁24と共に第3表面領域を有する。第2表面領域は、第3表面領域よりも大きく、また、第3表面領域は、第1表面領域より大きい。しかし、第3室20は、
図1に示すように第1室16を取り囲む必要はないが、第1室16に隣接して配置することができる。
【0016】
弁10は、パイロット弁30を含んでおり、このパイロット弁は、第2室18と第3室20との間に配置されている。パイロット弁30は、パイロット開放位置(
図2−4に概略的に示され、ここで詳細に論じる)とパイロット閉鎖位置(
図1と
図5に概略的に示されている)の間を選択的に移動可能である。パイロット開放位置は、第2室18と第3室20との間の流体連通を可能にし、また、パイロット閉鎖位置は、第2室18と第3室20との間の流体連通を阻止するように構成されている。
【0017】
弁10は、制御システム32と
接続する。弁10の開放状態の記述に関連して論じられるように、パイロット弁30は、制御システム32からの電気信号に応答して、パイロット開放位置とパイロット閉鎖位置との間を移動するように構成されている。制御システム32は、制限なしで、エンジン電子制御(EEC)、パワートレイン制御モジュール(PCM)、エンジン制御ユニット(ECU)、またはパイロット弁30及び弁10を制御するのに適した他の構造体とすることができる。
【0018】
弁10は、パイロット弁30を含み、弁10の開閉特性を制御システム32によって制御または作動する。それゆえ、弁10は、パイロット式燃料タンク用蒸気遮断弁(PVIV)と呼ばれる。このPVIV弁10は、燃料タンク12から出る燃料蒸気を調整するのに用いることができる。
【0019】
弁10のいくつかの動作条件または状態がここに記載されており、この動作状態は、一時的な状態及び定常状態の両方を含んでいる。これらは当業者であれば、認めることができ、弁10は、添付の特許請求の範囲内の付加的な動作条件または構成を有することができる。説明の目的で、第1室16、第2室18、第3室20内の圧力は、ここでは、それぞれ、P1,P2,P3と呼ぶことにする。更に、正規の動作状態では、説明のため、P3(第3室20内の圧力)は、大気圧にほぼ等しいと仮定する。
【0020】
再び、
図1において、図示された動作状態は、
通常の動作状態または流出(run-loss)状態と呼ぶことができる。車両が動作中
で、いくらかの燃料蒸気が生成される状態であるが、制御方針がその蒸気を封じ込めるものであるとき、この状態が起こることがある。制御システム32は、
パイロット閉鎖位置にパイロット弁30を配置する。パイロット閉鎖位置が
通常状態であり、そして、燃料タンク12は出口通路14に対して正の圧力にある。それゆえ、第1室16内の圧力は、第3室20内の圧力よりも大きい。即ち、P1>P3となる。
【0021】
第1室16を第2室18に接続する隔壁オリフィス26は、P1とP2を平衡に保ち、共に、P3よりも圧力が大きい。P1とP2は、同一圧力であるけれども、隔壁24は、隔壁閉鎖位置に留まり、第1室16と第3室20の間の蒸気の流れを阻止する。隔壁24は、圧力P3が、P1及びP2よりも
低いので、蒸気の流れを阻止する。その結果、第2室18によって隔壁24上に下方へ(図面に見られるように)の正味の力があり、P2により大きな領域、第2表面領域への適用が可能になる。この状況下において、蒸気の流れはない。
【0022】
図2及び
図3において、また
図1を継続して参照すると、車両のプログラミングは、正常な車両動作時に、燃料タンク12の排気が望ましいと、決定すること
ができる。制御システム32は、パイロット弁30に電気信号を送ることによって、パイロット弁30をパイロット開放位置に切換えまたは移動することを指令する。この状態は、
図2に示されている。P1は、上述したように、初めはP2と同一の圧力であり、圧力は、隔壁オリフィス26によって平衡となる。そして、P2は、P3よりも大きい。
【0023】
P2とP3との間の圧力差は、第2室18内の蒸気がパイロット弁30を介して第3室20に排気され、そして出口通路14を通って排出されることにより生じる。P2は、ゆっくり減少するので、P1を閉鎖し、そしていくつかの等価な圧力の流れが、隔壁オリフィス26を通して起こる。
図1及び
図2に示すように、弁10は、更に、隔壁スプリング34を含み、このスプリングは、第1室16に向けて隔壁を付勢し、そして隔壁を閉鎖位置にする。
【0024】
隔壁スプリング34と隔壁24自体の組み合わされた下方へのスプリング力(
図1、
図2に示すような)は、隔壁24を隔壁閉鎖位置に留まらせ、そして、第1室16と第3室20との間の流れを直接阻止し続ける。それゆえ、出口通路14を介して第1の出口流量を生じ、この流量は比較的低い流量である。この低流量は、小さい矢印50で
図2に概略的に示されている。
【0025】
P2によって隔壁24の第2表面領域上に与えられる圧力が、P2とスプリング力の両方の圧力にP1が打ち勝つポイントまで減少すると、隔壁24は、
図3に示すように、上方に湾曲し、隔壁開放位置に移動する。第1室16から第3室20への蒸気の直接流れを可能にすると、燃料タンク12と出口通路14との間に第2の出口流量が生じる。これは、比較的高い流れ状態であり、大きな矢印52で
図3に概略示されている。第2の出口流量は、第1の出口流量よりも大きい(小さい流れ矢印に比較して、大きな流れ矢印52によって概略的に示された)。
【0026】
隔壁24上の力(スプリング力を含む)が、隔壁24の下方の力に等しくなるまで、高い出口流量が続けられる。その時点において、隔壁は、閉鎖位置に戻り、全ての圧力は等しくなる(P1=P2=P3)。増加した流量及び2段階の流れにわたる制御に対して、パイロット弁30を通過する流路は、隔壁オリフィス26を通る流路よりももっと大きくすることができる。
【0027】
それゆえ、燃料タンク12から出口通路14に高い圧力を排気するとき、弁10は、2段階の出口流量機構として動作する。この2段階の出口流量は、蒸気の流れがない場合と高い蒸気の流れがある場合との間の移行を減衰することにより、弁10上及び燃料システムの残りの部分の磨耗を減少させることができる。さらに、2段階の出口流量は、限定されない、充填/燃料レベル蒸気弁(FLVV)またはグレード換気弁(GVV)等の他の複数の弁間の圧力差を減じることができる。これらの弁は、燃料タンク12と弁10との間に配置される。弁間の圧力差を減少させるために、例えば、FLVVは、FLVV弁がコーキングによる不適切な閉鎖状態となる可能性を減少させる。「コーキング」は、燃料蒸気を突出させる力が、弁体に対して弁を物理的にフロートさせる現象であり、これにより、弁を介して蒸気を阻止できなくなる。
【0028】
隔壁スプリング34は、第1、第3室16,20と第2室18との間に摺動可能に配置され、金属製または樹脂製のディスクに結合することができる。このような構成は、隔壁開放位置と隔壁閉鎖位置との間で湾曲させることなく、ディスクを移動または摺動できることによって、コンプライアンス材料に基づく隔壁24に置き換えることができる。このような構成において、スプリング力は、隔壁スプリング34のみから実質的に発生させることができる。
【0029】
燃料補給のために、燃料タンク12内の圧力は、キャップが開けられ、燃料充填を開始する前に解放する必要がある。これは、燃料補給前の燃料タンク12の排気を呼ばれている。弁10は、最初、定常状態にあり、
図1に示すように、P1がP2に等しく、そしてP3が低い圧力となる。
【0030】
制御システム32が燃料充填を認知し始めると、パイロット弁30は、パイロット開放位置に切り替えられ、そして、第2室18(隔壁24の上方)内の蒸気は、
図2に示すように、パイロット弁30を介して第3室20と出口通路14に放出される。十分な圧力が第2室18から開放されると、隔壁24は、隔壁開放位置に変位する。この隔壁開放位置は、
図3に示すように、弁10から高い流れが生じる。
【0031】
燃料充填は、燃料タンク12が十分に充填される、即ち、燃料タンク内の燃料レベルが所定レベルに到達するときに、完了する。燃料レベルを監視するために、車両は、
イン−タンク燃料センダー(sender)36または圧力変換器38(または両方)を含むことができる。圧力変換器38は、
圧力を電気信号に変換するものであり、燃料レベルを直接監視しないで、燃料タンク12内の圧力を決定してもよい。圧力がスパイク(急上昇)するので、燃料タンク12が燃料充填の最終まで充填することを知らせることは可能である。
イン−タンク燃料センダー36及び圧力変換器38は、又他の目的に使用することもできる。例えば、燃料タンク12内の圧力レベルを監視またはガスゲージを介して車両運転者が燃料レベルの信号を送ることが可能である。
【0032】
制御システム32は、
イン−タンク燃料センダー36または圧力変換器38のいずれかに連絡し、そして、燃料充填中の燃料レベルを監視するように構成されている。燃料レベルがフルレベル(または他の所定の燃料レベル)の近くまたはそのレベルに到達すると、パイロット弁30が、燃料充填の完了を示す電気信号に応答してパイロット閉鎖位置に移動する。この燃料充填の完了を示す電気信号は、
イン−タンク燃料センダー36または圧力変換器38のいずれかによって発生させ、さらに、制御システム32に直接送られ、または、他の構成要素を介してフィルターにかけることができる。
【0033】
パイロット弁30を閉鎖することにより、弁10内に存在する圧力差を生じさせる。第2室18の圧力P2は、第3室20内の圧力P3より大きくなる。P3が第3表面領域上に作用し、かつP2が隔壁24、第2表面領域の大きい領域上に作用すると、隔壁24は閉鎖される。隔壁24が一旦閉鎖されると、第1室16内の圧力P1は、燃料タンク12により多くの燃料付加を伴うので、上昇するであろう。燃料タンク12内の圧力上昇により、燃料充填を完了させる。これは、当業者によって知られるように、燃料ノズルがオリフィス間の圧力差を感知するとき、燃料ノズルが自動的にシャットオフされるからである。この燃料充填のシャットオフ動作は、ゼロラウンドアップの燃料充填を完了するのに用いることができる。
【0034】
図1−
図3に続いて
図4を参照すると、燃料充填中の弁の動作が正常またはラン−ロス(run-loss)状態中の動作から変化する状況が示されている。
図1−
図4に示すように、弁10は、第1室16と燃料タンク12との間に配置されている制限プレート42を含んでいる。
【0035】
制限プレート42は、燃料タンク12と第1室16との間の蒸気の流量を制限する。それゆえ、このプレートは、燃料タンク12と第1室16の間に圧力差を生じさせる。この圧力差は、
図4に概略的に大きい矢印と小さい矢印(想像線で示された)でそれぞれ制限プレートの下方と上方に図示されている。制限プレート42の使用は、燃料充填前の燃料タンク12の排気動作時での付加的な弁(FLVVまたはGVV)間の圧力差によっている。この圧力差が高い場合、弁のコーキングの可能性が高く、そして、制限プレート42の使用が推奨されることになる。
【0036】
「コーキング」として知られる現象において、急速燃料蒸気の力は、FLVVのフロートを弁座に対して物理的に上昇させ、その結果、蒸気の阻止状態が除かれて、蒸気がPVIV弁10に排出される。それゆえ、PVIV弁10への流れを制限することは、より長い時間、燃料タンク12内に高い圧力が維持されることによって、コーキングの可能性を減少させる。燃料タンク12における高い圧力は、FLVV間の圧力差を減少させ、そして、FLVV弁のコーキング閉鎖の可能性を減少させる。
【0037】
制限プレート42は、燃料タンク12の圧力リリーフ点、及び弁(FLVV)のオリフィス径等のシステム構造によっている。また、制限スプリング44が含まれ、そして、この制限スプリングは、燃料タンク12に向かって制限プレートを付勢するように構成されている。
【0038】
燃料充填後、燃料タンク12は、シール(そして、燃料タンクのキャップが取り付けられる)されるが、パイロット弁30は、閉鎖するようにシールされていない。おそらく、運転者が燃料の支払いをしている間、車は、給油後の駐車状態のままである。この場合、燃料タンク12内に発生したいかなる蒸気も隔壁24に設けた隔壁オリフィス26を通過し、そして、パイロット弁30に流れる。これは、蒸気の発生率が非常に低い場合であり、隔壁24を通過する流れは、隔壁24の上方及び下方の圧力を等しくさせるのに十分である。燃料補給が完了した後、エンジンが再始動されると、パイロット弁30は閉じられ、そして、
図1に示すように、圧力が等しくなり、蒸気の移動は生じない。
【0039】
燃料タンク12及び出口通路14の圧力差または相対圧力における変化は、車両が駐車している間または車両が動作していない状態で起こり得る。P1とP2の圧力平衡は、隔壁24における隔壁オリフィス26を介して起こる。燃料タンク12内に蒸気発生があると、P1とP2の圧力は、P3よりも大きくなるであろう。パイロット弁30が閉じられ。P1とP2の圧力が隔壁のいずれの側においても等しいとき、蒸気は、燃料タンク12内に包含されることになる。
【0040】
圧力P3がP1及びP2の両方よりも大きい場合がありえる。この事象は、車両動作中、または駐車状態時の何れかで起こる。これは、車両が暑い環境下で一晩中駐車している場合の状態を示し、そして、燃料タンクの一晩中冷却時に燃料タンク12内で真空が形成される可能性がある。パイロット弁30が閉鎖され、圧力P3がスプリング力の影響を覆すのに十分大きな圧力とならなければ、燃料タンク12の圧力平衡は生じない。
【0041】
圧力P3が、第2室18内の圧力P2と隔壁閉鎖位置に隔壁24を保持するスプリング力(隔壁スプリング34と隔壁24を湾曲させるために獲得された力の組み合わされた影響力)からの組み合わせた力を覆すのに十分大きな圧力になると、隔壁24は、隔壁開放位置に移動することになる。隔壁24は、第3表面領域上に作用するP3の圧力(図面で見るように上方に)によって開かれる。
【0042】
隔壁24が開かれた後、燃料タンク12の排気は、P1(及びP2)よりも大きな圧力になるP3によって生じるものではない。それゆえ、たとえ隔壁24が開かれているとしても、圧力差(P3対P1及びP2)は、燃料タンク12の外側への流れ、即ち排気を許すものではない。しかし、隔壁開放位置の隔壁24において、蒸気は、第3室20から第1室16及びそして燃料タンク12に流れが戻る(正常の排気に対して)ことになる。
【0043】
この逆流状態は、図面には個別に示されていないが、
図3と同様に見ることができ、矢印52が、出口通路14から燃料タンク12への逆流を示すように反転した状態となる。燃料タンク12への流れが起こると、第3室20と第1室16との間の相対圧力差は減少し、最終的に、スプリング力が、隔壁24を平衡となるように力が作用するので、隔壁24を再シールすることになる。
【0044】
燃料補給が常閉の燃料タンクを排気するための最も共通の状況である場合、燃料タンク12は、他の理由により排気する必要があるかもしれない。車両が駐車していると、燃料タンク12の過熱が起こり、エンジンを停止させる状況が起こる場合があり、それゆえ、燃料タンク12内部の蒸気圧力が圧力リリーフを生じさせる点まで増加する可能性がある。
【0045】
車両が駐車しかつ暑い環境で走行していない場合、燃料タンク12の圧力は、燃料システムの整合性を約束するレベルに到達することができる。ハプニングからこれを防止するために、いくつかの可能な形態がある。
【0046】
1つの状況では、圧力変換器38が用いられる。この圧力変換器38は、PVIV弁10内または燃料タンク12に晒されかつ燃料タンク内の蒸気圧力を監視することができる他の燃料システムに統合することができる。燃料タンク12の圧力が所定の閾値レベルに到達することを圧力変換器38が検出すると、制御システム32は、パイロット弁30を作動させ、この弁をパイロット開放位置に切り替える。パイロット弁30を開くことにより、圧力P2(隔壁24の上方)を徐々に落とし、そして、燃料補給時と同様に起こる排気を、必要ならば、最初、
図2に示す低い流量で、そして、
図3に示す高い流量で行うことを可能にする。
【0047】
この圧力の構築は、車両が動作していない間に起こすことができるので、制御システム32は、圧力増大を和らげるように作動させる必要がない。それゆえ、車両の出力または制御を用いることなく、過渡圧力を低減させることが望ましい。
図1−
図4に続いて
図5を参照すると、弁10は、制御システム32からの動作を必要としないで、機械的構造の使用を介して完成した圧力低減を示している。これは、圧力低減の流れ54として
図5において、概略的に図示されている。
【0048】
図5に示すように、弁10は、圧力リリーフ弁46を更に含んでいる。バイパス通路48は、燃料タンク12と出口通路14と流体連通するように圧力リリーフ弁46を配置する。この圧力リリーフ弁46は、燃料タンク12と出口通路14との間の圧力差が所定の閾値に到達するとき、燃料タンク12から出口通路14に蒸気の流れを選択的に可能にするように構成されている。圧力リリーフ弁46は、圧力差のみに関して動作するので、この圧力低減の流れ54は、パイロット弁30がパイロット開放位置とパイロット閉鎖位置のいずれかにあるときに生じる。
【0049】
当業者であれば、圧力リリーフ弁46の圧力安全機構を与えるのに用いられる構造については分かるであろう。例えば、限定することなく、重り安全弁(オリフィス上にボールまたは円板)は、十分であり、スプリング負荷弁も利用することができる。燃料タンク12内の圧力が閾値限界に到達するとき、圧力リリーフ弁46は、当然開放され、そして、より好ましいレベルに圧力が戻るまで蒸気が解放される。圧力リリーフ弁46は、パイロット弁30の一部分としてPVIV弁10内に組み込まれ、またシステムにおける他の場所に配置することができる。
【0050】
圧力リリーフ弁46の作動及び燃料タンク12内の高い真空状態時に隔壁24を開くための弁10の能力は、過渡の圧力偏位をリリーフするために組み合って動作する。極端な状態、例えば、燃料タンクの正負の過渡の圧力偏位において、PVIV弁は、制御システム12からの相互作用なしに燃料タンク12をリリーフすることができる構造を含んでいる。
【0051】
PVIV弁10は、オンボード診断法(OBD)のために設置された車両に設けることができる。OBDを生じさせるために、エンジンインテークマニホールドから真空が引出される。このマニホールドは、出口通路14と流体連通し、車両は、燃料システムにおけるリークテストを制御する。燃料タンク12は、OBD処理時にリークチェックが必要となる燃料システムの構成要素を含んでいる。
【0052】
前の状態の多くの場合と異なって、この状況下では、出口通路14は、大気圧より低くなっている。出口通路14に発生した真空に連通するように燃料タンク12を配置するために、制御システム32は、パイロット開放位置にパイロット弁30を配置する。弁10を通る流れは、第1室16、第2室18、及び第3室20の間の圧力差に基づいて発生するので、弁10の作動は、出口通路14がこの状況下の大気圧以下で十分であるとしても実質的に同一の状態を維持する。
【0053】
真空が与えられてそしてパイロット弁30が一旦開かれると、圧力P2は、パイロット弁30を通って流れる低い流量によりP3と等しくなるであろう。そして、P2とP3は、P1よりも低い圧力となるであろう。P3が作用する第3表面圧力よりも大きい領域である第2表面領域に圧力P2が作用するので、隔壁24は、開かれ、そして、出口通路14と連通し、燃料タンク12は、OBDリークチェックを生じさせるように存在する。
【0054】
主張した本発明を実行するための最適な実施形態及び他の実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には、この発明が添付の特許請求の範囲内で実施するための種々の異なる設計及び実施形態を有していることを認めるであろう。