特許第5859097号(P5859097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5859097
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20160128BHJP
【FI】
   B66B29/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-233730(P2014-233730)
(22)【出願日】2014年11月18日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敬仁
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−035339(JP,A)
【文献】 特開2008−074527(JP,A)
【文献】 特開2010−006532(JP,A)
【文献】 実開昭60−122778(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源によって駆動するモータと、
前記モータの駆動によって回転する駆動スプロケットと、
前記駆動スプロケットの回転によって走行する無端状に連結された複数の踏段と、
前記電源の停電と復電を検出する検出部と、
前記検出部が停電を検出し、前記モータが停止した場合に、この停止する直前における前記モータの直前回転方向と直前負荷トルクを記憶する記憶部と、
前記検出部が復電を検出し、かつ、前記直前負荷トルクが、起動時に発生可能な前記モータの起動可能トルクより小さいときに、前記直前回転方向に前記モータを再起動させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記停電開始後から復電までの復帰時間を計時し、前記復帰時間が予め定めた基準復帰時間より短いときに前記再起動を行う、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記踏段上を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した検出画像を解析して、停止中の前記踏段上にいる乗客の人数を検出する画像解析部と、
を有し、
前記制御部は、前記検出画像中の前記踏段上に前記乗客を全く検出できないときに前記モータの再起動を行う、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記踏段上を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した検出画像を解析して、停止中の前記踏段上にいる乗客の人数を検出する画像解析部と、
を有し、
前記制御部は、前記検出画像中における前記踏段上の前記乗客の人数から起動後の予想負荷トルクを算出し、前記予想負荷トルクと前記直前負荷トルクとの差が、所定の許容値より小さい場合に前記モータの再起動を行う、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記制御部は、前記予想負荷トルクと前記直前負荷トルクとの差が、所定の許容値より大きい場合に前記踏段から前記乗客の退去を促す注意放送を行う、
請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記踏段上を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した検出画像を解析して、停止中の前記踏段上にいる乗客の前記踏段間の移動を判断する画像解析部と、
を有し、
前記画像解析部が前記乗客の前記踏段間の移動がないと判断したときに、前記制御部は、前記モータの再起動を行う、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記画像解析部が前記乗客の前記踏段間の移動があると判断したときに、前記制御部は、前記乗客に対し静止するように注意放送を行う、
請求項5に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記踏段が下降方向に移動するように回転する前記駆動スプロケットを停止させる停止装置をさらに有し、
前記制御部は、前記直前回転方向が前記踏段を上昇方向に移動させる方向の場合に、前記停止装置を作動させ、前記再起動後に前記駆動スプロケットが前記上昇方向に回転すると前記停止装置の作動を解除する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記制御部は、前記再起動を行う前に、再起動を行う旨の注意放送を行う、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項9】
前記制御部は、安全装置が作動して前記モータが停止した場合には、再起動を行わない、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの電源が停電などで喪失すると、運転中の乗客コンベアはモータに供給する電力を失い運転を継続できず、停止して電磁ブレーキを作動させ踏段の位置を保持する。
【0003】
乗客コンベアを再度運転するためには、係員が現地に赴き、そのときに踏段上に乗客が存在する場合は乗客を先ず退去させて、その後に目視で安全確認を行った後に再起動の操作をすることになる。
【0004】
一方、乗客コンベアの本体の故障や安全装置が動作した場合には、係員が機械室内部の確認、異物の挟まれ、安全装置の状態、異音の有無など詳しく調査した上で復旧する必要があるので、ある程度の時間を要する。
【0005】
停電の場合は乗客コンベアの故障や乗客保護による緊急停止ではないので、踏段上の安全を確認すればよく、係員は比較的軽微な確認で復旧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−176811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、停電で乗客コンベアが停止した場合は、本体の故障、又は、安全装置が動作したわけではないので、乗客コンベアは故障と判断せず、監視室などに故障信号は送信しない。
【0008】
一般的に、監視室などに設けられている監視装置は、乗客コンベアから故障信号を受信すると係員に警報を行う。そのため、乗客コンベアが故障信号を送信しない場合は、警報が行われないので、係員が気付かずに乗客コンベアの復旧までの時間が必要以上に掛かるという問題点があった。
【0009】
また、大型ショッピングセンターなどで停電が発生した場合は、多数の乗客コンベアが一斉に停止することになり、係員が1台毎に安全確認や再起動の操作を行うとかなりの時間を要するという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、停電により乗客コンベアが停止した場合に、その後に安全、かつ、迅速に再起動を行うことができる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、電源と、前記電源によって駆動するモータと、前記モータの駆動によって回転する駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットの回転によって走行する無端状に連結された複数の踏段と、前記電源の停電と復電を検出する検出部と、前記検出部が停電を検出し、前記モータが停止した場合に、この停止する直前における前記モータの直前回転方向と直前負荷トルクを記憶する記憶部と、前記検出部が復電を検出し、かつ、前記直前負荷トルクが、起動時に発生可能な前記モータの起動可能トルクより小さいときに、前記直前回転方向に前記モータを再起動させる制御部と、を有し、前記制御部は、前記停電開始後から復電までの復帰時間を計時し、前記復帰時間が予め定めた基準復帰時間より短いときに前記再起動を行う、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のエスカレータの側面図。
図2】ラチェット装置の拡大図。
図3】エスカレータのブロック図。
図4】エスカレータの停電時の制御方法を示す第1のフローチャート。
図5】エスカレータの停電時の制御方法を示す第2のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態のエスカレータ10に関して図1図5に基づいて説明する。
【0014】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1図2に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
【0015】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0016】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18が設けられている。この駆動装置18は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキなどの電磁ブレーキ19とを有している。この駆動チェーン22により駆動スプロケット24が軸21を中心に回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20や電磁ブレーキ19を制御する制御部8などが収納された制御ボックス50が設けられている。
【0017】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、軸23を中心に回転する従動スプロケット26が設けられている。上階側の駆動スプロケット24と下階側の従動スプロケット26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30が等間隔で取り付けられている。踏段30の車輪30aはトラス12に固定された不図示の案内レールを走行し、車輪30bはトラス12に固定された案内レール25を走行する。
【0018】
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部に手摺りレールが設けられ、この手摺りレールに沿って手摺りベルト38が踏段30と同期して移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
【0019】
上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には櫛歯状のコムが設けられ、このコムから踏段30が現れる。また、乗降板34にも櫛歯状のコムが設けられている。
【0020】
エスカレータ10の天井面4には、エスカレータ10の踏段30の上を撮影できるカメラ72,74が取り付けられている。
【0021】
図2に示すように、駆動スプロケット24には、踏段30が下降方向へ移動するのを阻止する停止装置であるラチェット装置60が設けられている。このラチェット装置60は、駆動スプロケット24の軸21と同軸にラチェットギア62が設けられ、ラチェットギア62の外周部には歯70が設けられている。トラス12の底部には、ラチェット台64が設けられ、このラチェット台64から制動爪66が回転軸68を中心に回動自在に設けられている。制動爪66が、図2に示すようにラチェットギア62の歯70に係合すると、ラチェットギア62が回転せず、踏段30の下降方向への移動を阻止できる。
【0022】
(2)エスカレータ10の電気的構成
エスカレータ10の電気的構成について図3のブロック図に基づいて説明する。
【0023】
モータ20は、電源電圧と周波数を可変制御できるインバータ装置6によって回転制御され、インバータ装置6は遮断器7を介して、三相交流の電源5に接続されている。制御部8にはインバータ装置6、電磁ブレーキ19が接続され、制御部8はインバータ装置6に制御信号を出力してモータ20が所定の回転速度と所定のトルクで回転制御する。また、制御部8は、電源5の停電と復電を検出する検出部の役割も兼ねている。
【0024】
制御部8には、画像解析部9、操作盤52、操作盤56、スピーカ54、スピーカ58、ラチェット装置60、安全装置76が接続されている。画像解析部9には、カメラ72とカメラ74が接続されている。この画像解析部9については後から詳しく説明する。
【0025】
インバータ装置6、制御部8、画像解析部9は、機械室14内部に設けられた制御ボックス50に収納されている。
【0026】
安全装置76としては、スカートガード44に設けられたスカートガード挟まれ検出装置、インレット部46,48に設けられたインレット挟まれ検出装置、案内レール25に設けられた踏段浮き上がり検出装置、非常停止ボタンなどである。スカートガード挟まれ検出装置とは、スカートガード44と踏段30の間に異物(例えば、服や荷物)が挟まれたことを検出する装置であり、インレット挟まれ検出装置とは、手摺りベルト38が引き込まれるインレット部46又はインレット部48に異物(例えば、乗客の手や荷物)が同時に引き込まれたときに検出する装置である。
【0027】
(3)画像解析部9
次に、画像解析部9について説明する。
【0028】
カメラ72とカメラ74は、動画像を撮影するものであり、乗り口から降り口までの踏段30の全てをこの2台で撮影できる。
【0029】
画像解析部9は、カメラ72とカメラ74で撮影した動画像から、踏段30上の乗客の有無、乗客人数、踏段30上の乗客の動作を確認する。乗客の有無と乗客人数の確認方法としては、例えば次の方法がある。
【0030】
まず、画像解析部9は、予め乗客が全く写っていない初期画像を記憶している。
【0031】
次に、画像解析部9は、カメラ72とカメラ74から入力した踏段30上の動画像のフレーム画像(以下、「検出画像」という)毎に初期画像と比較する。
【0032】
次に、画像解析部9は、検出画像上に初期画像とは異なる変更領域が有る場合には、乗客が存在すると判断する。また、画像解析部9は、変更領域が複数の存在する場合には、その変更領域の数だけ乗客が存在すると判断する。
【0033】
踏段30上の乗客の動作の確認に関しては、画像解析部9は、前記変更領域がフレーム画像(検出画像)毎にどのように移動しているかを追跡し、踏段30上に沿って移動している場合には、乗客が踏段30の間を移動していると判断する。
【0034】
(4)エスカレータ10の動作状態
次に、エスカレータ10の電源5が停電になった場合の制御方法について図4図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
ステップS1において、制御部8が、エスカレータ10を運転している。そしてステップS2に進む。
【0036】
ステップS2において、制御部8は、電源5を常に監視し、ステップS3に進む。
【0037】
ステップS3において、制御部8が、電源5の停電を検出した場合はステップS4に進み(YESの場合)、停電を検出しない場合はステップS1に戻る(NOの場合)。
【0038】
ステップS4において、停電になったのでエスカレータ10が停止し、ステップS5に進む。
【0039】
ステップS5において、制御部8は停止直前の運転情報を記憶する。具体的には、停止直前の運転方向(以下、「直前運転方向」という)と負荷トルク(以下、「直前負荷トルク」という)を制御部8内部の記憶部に記憶しステップS6に進む。この直前負荷トルクは、踏段30上の乗客の人数に変化し、人数が多いほど大きなトルクとなる。
【0040】
ステップS6において、制御部8は停電が発生してからの時間を計時し、復電までの復電時間を求める。復電時間が基準復電時間より長い場合には、ステップS8に進み(NOの場合)、復電時間が基準復電時間より短い場合はステップS7に進む(YESの場合)。基準復電時間としては、例えば1分である。
【0041】
ステップS7において、制御部8は、直前負荷トルクが、モータ20の起動時に発生可能な起動可能トルクより小さい場合にはステップS9に進み(YESの場合)、大きい場合にはステップS8に進む(NOの場合)。
【0042】
ステップS8において、制御部8は、基準復電時間内に復電が行われず、また、直前負荷トルクが起動可能トルクよりも大きいため、エスカレータ10を再起動せず、そのまま停止させ終了する。
【0043】
ステップS9において、制御部8は、直前運転方向が上昇運転か下降運転かを判断し、上昇運転の場合にはステップS10に進み(YESの場合)、下降運転の場合にはステップS11に進む(NOの場合)。
【0044】
ステップS10において、踏段30が上昇運転であるため、ラチェット装置60を作動させて、踏段30が下降しないようにしてステップS11に進む。ラチェット装置60を作動させるのは、再起動開始直後に急激な負荷変動があった場合でも、トルク不足による逆方向の回転で踏段30が下降するのを防止できるからである。
【0045】
ステップS11において、画像解析部9が、カメラ72とカメラ74によって撮影された検出画像に基づいて、現在の踏段30上にいる乗客の状態について解析を行い、ステップS12に進む。
【0046】
ステップS12において、画像解析部9は、乗客の有無の確認、乗客の人数の確認、踏段30上の乗客の移動を確認する。そしてステップS13に進む。
【0047】
ステップS13において、画像解析部9が乗客が存在すると判断した場合には、ステップS14に進み(YESの場合)、乗客が存在しないと判断した場合にはステップS18に進む(NOの場合)。
【0048】
ステップS14において、踏段30上に乗客が存在し、乗客の人数も確認できるため、制御部8は、この乗客の人数からモータ20の起動後の予想負荷トルクを算出し、この予想負荷トルクと直前負荷トルクとの差を算出する。この差を「停止中の負荷変動」という。この停止中の負荷変動が、予め定められた許容値以内であると、制御部8はステップS16に進み(YESの場合)、許容値より大きいときにはステップS15に進む(NOの場合)。
【0049】
ステップS15において、制御部8は、スピーカ54、58から、乗客に対し踏段30上から退避を促す注意放送を音声で行い、ステップS14に戻る。ここで注意放送を行うのは、踏段30上の乗客を退去させて起動時の負荷を減少させるためである。
【0050】
ステップS16において、停止中の負荷変動が許容値以内であるため、制御部8は、踏段30上の乗客が静止しているか否かを、画像解析部9による解析に基づいて判断する。画像解析部9が、踏段30上の乗客が踏段30の間を移動している場合には静止していないとしてステップS17に進み(NOの場合)、静止している場合にはステップS18に進む。
【0051】
ステップS17において、制御部8は、移動している乗客に対し踏段30上で静止するように注意放送を音声で行い、ステップS16に戻る。ここで注意放送を行うのは、乗客を静止させて、再起動時の乗客の安全を確保するためである。
【0052】
ステップS18において、踏段30上に乗客が存在しないか、乗客が存在しても、停止中の負荷変動が許容値以内であり、かつ、乗客が静止しているため、制御部8は、再起動する旨の注意放送を音声で行う。そしてステップS19に進む。
【0053】
ステップS19において、制御部8は、エスカレータ10を直前運転方向に穏やかに運転を開始して、定格速度まで加速させ、ステップS20に進む。
【0054】
ステップS20において、制御部8は、上昇運転の場合にはモータ20の回転を確認した後にラチェット装置60を解除し、ステップS21に進む。
【0055】
ステップS21において、エスカレータ10の再起動が完了する。そしてステップS1に戻る。
【0056】
なお、安全装置76が作動してエスカレータ10が停止した場合には、電源5が停電した場合とは異なり、制御部8は、上記制御方法による再起動は行わず、係員が点検を行い、安全確認をしてから係員が再起動させる。
【0057】
(5)効果
本実施形態によれば、エスカレータ10が比較的の短い時間の停電により停止したときに、今までは係員が目視で行っていた安全確認を、カメラ72,74で撮影した検出画像の画像解析により行って、踏段30上の乗客の安全を確認し、その結果によってエスカレータ10を自動的に再起動できる。このように自動的に再起動することで、再起動までの人的操作がなくなり、係員が現地に赴くことなく素早く復旧できる。そのため、エスカレータ10の停止時間を短くでき、乗客への影響を少なくでき、また、係員の手間も軽減できる。
【0058】
(6)変更例
上記実施形態では停止装置としてラチェット装置60を用いたが、これに限らず他の停止装置を用いてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適応して説明したが、これに代えて動く歩道に適応してもよい。
【0060】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
5・・・電源、8・・・制御部、9・・・画像解析部、10・・・エスカレータ、20・・・モータ、24・・・駆動スプロケット、30・・・踏段、54・・・スピーカ、58・・・スピーカ、60・・・ラチェット装置、72・・・カメラ、74・・・カメラ
【要約】
【課題】停電により乗客コンベアが停止した場合に、その後に安全、かつ、迅速に再起動を行うことができる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】電源5の停電を検出し、電源5が停電する直前におけるモータ20の直前回転方向と直前負荷トルクを記憶し、復電が検出され且つ直前負荷トルクが起動時に発生可能なモータ20の起動可能トルクより小さいときに、直前回転方向にモータを再起動させる。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5