(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5859166
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月10日
(54)【発明の名称】ヨウ化カリウムゼリー状医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/18 20060101AFI20160128BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20160128BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20160128BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20160128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20160128BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20160128BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20160128BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20160128BHJP
【FI】
A61K33/18
A61K9/00
A61K47/36
A61K47/10
A61P35/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P31/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-172276(P2015-172276)
(22)【出願日】2015年9月1日
(62)【分割の表示】特願2015-23406(P2015-23406)の分割
【原出願日】2015年2月9日
【審査請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-163146(P2014-163146)
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592073695
【氏名又は名称】日医工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔
【審査官】
加藤 文彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−514445(JP,A)
【文献】
特開2002−104974(JP,A)
【文献】
特表2002−539140(JP,A)
【文献】
特開平9−187233(JP,A)
【文献】
特開平9−194346(JP,A)
【文献】
特開2012−046506(JP,A)
【文献】
特開2010−265248(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/150400(WO,A1)
【文献】
原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会,原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について,2002年 4月,URL,http://www.u-tokyo-rad.jp/data/ninpuyouso.pdf
【文献】
薬局,2013年 9月 5日,64(10),2633-2639
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/18
A61K 9/00
A61K 47/10
A61K 47/36
A61P 11/00
A61P 11/06
A61P 31/04
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてヨウ化カリウムを含有するとともに、ゲル化剤、分散媒及び甘味剤を含有し、
前記ゲル化剤は、イオタカラギーナン0.01〜0.6%,カッパカラギーナン0.05〜0.6%含有し、
前記分散媒はグリセリンと水との混合液であり、グリセリンは3〜20%含有し、
前記甘味剤はD−ソルビトールを15〜25%含有する、ヨウ化カリウムゼリー状経口医薬組成物。
【請求項2】
さらに、緩衝剤,防腐剤,香料のいずれか1つ以上を含有する、請求項1記載のヨウ化カリウムゼリー状経口医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヨウ素剤に関し、特にゼリー状からなる医薬組成物に係る。
【背景技術】
【0002】
これまでにヨウ素剤としては、ヨウ化カリウム丸剤,ヨウ化カリウム粉末剤(原薬)が提供されている。
これらのヨウ素剤は甲状腺機能亢進症を伴う甲状腺腫瘍、気管支炎及び喘息に伴う喀痰喀出困難症、第三期梅毒、アイソトープ131I放射性ヨード治療剤としての甲状腺治療に用いられている。
また、原子力災害が生じ、放射性ヨウ素が放出された場合、その放射性ヨウ素は甲状腺に選択的に集積し、内部被曝により甲状腺がん等を発生させる恐れが指摘されている。
この内部被曝を防ぐための措置として安定ヨウ素剤の予防的服用がある。
現在市販されている安定ヨウ素剤としてのヨウ化カリウム丸剤は1丸中にヨウ化カリウムを50mg含有する。
平成14年4月に原子力安全委員会より発出された「原子力災害時における安定ヨウ素剤の予防服用の考え方について」によれば、新生児では16.3mg,生後1ヶ月以上3歳未満では32.5mgの服用が定められている。また、本内容は平成26年3月に日本医師会より発出された「原子力災害に於ける安定ヨウ素剤服用ガイドライン」においても同様である。
従って、3歳未満の小児に経口投与する等、1回の投与量が50mg未満の場合には、丸剤を粉砕し、所定量取り分ける必要が生じる。
特に、新生児や乳幼児に対しては、医薬品ヨウ化カリウムの原薬(粉末)を水に溶解し、単シロップに適当量添加したものを用いることが推奨されているが、緊急時にこのような対応をとることは極めて難しい。
また、ヨウ化カリウムは苦味を呈しているため、小児、特に新生児や乳幼児に投与することを考慮すると、服薬性の改善が必要である。
特許文献1には、ヨウド液体製剤を開示するが服薬性が改善されたものではない。
内部被曝を防ぐための安定ヨウ素剤の予防的服用を行う場合、事前に安定ヨウ素剤を配布しておく必要があることから、一定期間保存可能な製剤とする必要がある。
このため、服用性が改善され、かつ一定期間保存が可能な安定ヨウ素剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−265209号公報開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保存安定性及び溶出性に優れ、服薬しやすいヨウ化カリウムのゼリー状医薬組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るゼリー状医薬組成物は、有効成分としてヨウ化カリウムを含有し、ゲル化剤及び分散媒を含有することを特徴とする。
【0006】
本発明に用いられるゲル化剤としては、カラギーナン,キサンタンガム,カロブビーンガム,ペクチン,ジェランガム,アカシアガム,寒天,ゼラチン,コンニャク等を1種又は複数組み合せて用いることができる。
カラギーナンは直鎖含硫黄多糖類の一種で、カラギナン,カラゲナン,カラジーナン,カラゲニンとも称され、カッパ(κ),イオタ(ι),ラムダ(λ)の3つのタイプがある。
また、カロブビーンガムはカラギーナン,キサンタンガムとの相溶性があり、これらと組み合せて使用してもよい。
カロブビーンガムは、ローカストビーンガムとも称され主成分はガラクトマンナンである。
【0007】
本発明において、安定化剤を含有してもよく、安定化剤としてはポリアクリル酸又は、その部分中和物もしくは塩を用いることができる。
塩としてはポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
【0008】
本発明に用いられる分散媒としては水と多価アルコールの混合液が好ましく、多価アルコールとしてはグリセリン,プロピレングリコール等が例として挙げられる。
【0009】
本発明に係るゼリー状医薬組成物は、甘味剤,緩衝剤,防腐剤,香料のいずれか1つ以上を含有していてもよい。
ヨウ化カリウムは苦味を呈することから、例えば新生児や乳幼児を対象とする場合には、甘味剤を加えるのが好ましい。
甘味剤としては、D−ソルビトール,D−マンニトール,サッカリンナトリウム,精製白糖等が例として挙げられる。
緩衝剤としては、クエン酸,クエン酸ナトリウム,リン酸ニカリウム,リン酸ナトリウム等が例として挙げられる。
防腐剤としてはプロピルパラベン,エチルパラベン,メチルパラベン等が例として挙げられる。
香料とは、天然香料,化学合成香料又はこれらを含む芳香剤をいい、果汁等のフレーバー又は精油,メントール類等が例として挙げられる。
【0010】
本発明に係るゼリー状医薬組成物は、所定の経口投与量をスティック包装してもよい。
この場合に、スティック包装の半分程度にクリーンエアーが充填され、このエアー部分をプッシュすることでゼリーを押し出すエアープッシュゼリーの形態を用いてもよい。
例えば、特許第3665498号公報に記載の技術を取り込むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るヨウ化カリウムのゼリー状医薬組成物は、有効成分ヨウ化カリウムをゼリーに含有しており、新生児や乳幼児に対して保護者等が投与する際の服用性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】32.5mg製剤の溶出挙動試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るヨウ化カリウムのゼリー状医薬組成物の処方例を下記の表に示す。
しかしながら、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【表1】
【0014】
<製造例>
1製剤中の用量(16.3mg,32.5mg)は、「原子力災害時における安定ヨウ素剤の予防服用の考え方について」に定められた量とし、表1に示した16.3mg製剤を例に製造例を説明する。
製剤1gに対する配合量にて以下説明する。
適当量の精製水に、クエン酸ナトリウム水和物5mg,クエン酸水和物0.3mg,サッカリンナトリウム2mg及びグリセリン100mgの割合で混合撹拌し、加温溶解した後、イオタカラギーナン5mg,カッパカラギーナン1.1mg,カロブビーンガム1.9mg,ポリアクリル酸ナトリウム0.03mg,プロピルパラベン0.15mgの割合にてD−ソルビトール200mgに倍散混合した後に上記加温溶液に撹拌混合し、80℃まで加温溶解した。
次に精製水に溶解したヨウ化カリウム16.3mgを投入撹拌した。
さらに、ストロベリーフレーバー(香料)を1mg投入撹拌した。
80℃,1時間加温殺菌した後、薬液を包装スティック容器に1g充填し、室温まで冷却した。
【0015】
上記の方法にて製造した16.3mg製剤及び上記製造方法に準じて製造した32.5mg製剤のスティック包装品を用いて、加速安定性試験(40℃,75%RH)を実施した結果を
図1〜
図6に示す。
(1)定量試験は次のように実施した。
<試料溶液の調製>
ヨウ化カリウム約65mgに対応する量を精密に量り、水60mLを加え、約80℃の水浴中で加温しながら分散させ、冷後、水を加えて正確に100mLとした。この液10mLを正確にとり、内標準溶液(パラヒドロキシ安息香酸エチルのアセトニトリル溶液(3→1000))10mLを正確に加えた後,水を加えて100mLとし、試料溶液とした。
<標準溶液の調製>
定量用ヨウ化カリウムを105℃で4時間乾燥し、その約65mgを精密に量り、水を加えて正確に100mLとした。この液10mLを正確に量り、内標準溶液10mLを正確に加えた後、水を加えて100mLとし、標準溶液とした。
<測定方法>
試料溶液及び標準溶液5μLにつき、以下の条件で高速液体クロマトグラフィーに付し、内標準物質のピーク面積に対するヨウ化物イオンのピーク面積の比を求め、ヨウ化カリウム量を算出した。
<測定条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長225nm)
カラム:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの。
移動相:水700mLに0.5mol/Lリン酸水素テトラブチルアンモニウム溶液5mL、アセトニトリル300mLを加えた後、リン酸にてpH3.0に調整した。
(2)溶出性試験は次のように実施した。
<試験条件>
試験液に水900mLを用い、日本薬局方一般試験法「溶出試験(第2法)」により、毎分50回転で試験を行った。
<試験方法>
スティック包装容器1包の内容物をとり、試験を開始し、30分後に溶出液20mL以上をとり、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液10mLを除き、次のろ液を、表示量に従い1mLにヨウ化カリウム約18μgを含む液となるように水を加えて希釈し、試料溶液とした。
<標準溶液の調製>
定量用ヨウ化カリウムを105℃で4時間乾燥し、その約36mgを精密に量り、水を加えて正確に100mLとした。この液5mLを正確に量り、水を加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。
<測定方法>
試料溶液及び標準溶液5μLにつき、以下の条件で高速液体クロマトグラフィーに付し、ヨウ化物イオンのピーク面積を求め、ヨウ化カリウム量を算出した。
<測定条件>
前記定量試験の条件を準用した。
(3)純度試験は次のように実施した。
<試料溶液の調整>
ゼリー剤6gをとり、水8mLを加えた後、約80℃の水浴中で加温しながら分散させた。冷後、アセトニトリル11mLを加え、遠心分離した。上澄液5mLに水を加えて25mLとし、試料溶液とした。
<標準溶液の調製>
試料溶液1mLを正確に量り、水を加えて正確に200mLとし、標準溶液とした。
<測定方法>
試料溶液及び標準溶液5μLにつき、以下の条件で高速液体クロマトグラフィーに付し、標準溶液中のヨウ化物イオンのピーク面積及び、試料溶液中の不純物のピーク面積を求め、不純物量を算出した。
<測定条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長210nm)
カラム:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんしたもの。
移動相A:水700mLに0.5mol/Lリン酸水素テトラブチルアンモニウム溶液5mL、メタノール300mLを加えた後、リン酸にてpH2.8に調整した。
移動相B:水500mLに0.5mol/Lリン酸水素テトラブチルアンモニウム溶液5mL、メタノール500mLを加えた後、リン酸にてpH2.8に調整した。
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を変えて濃度勾配を制御した。
これらの結果から本発明に係るゼリー状医薬組成物は、保存安定性に優れていることが確認された。
【0016】
次に32.5mg製剤の溶出挙動を試験した結果を
図7に示す。
(1)溶出挙動試験は次のように実施した。
<試験条件>
先記溶出性試験と同様の条件で試験を行った。
<試験方法>
スティック包装容器1包の内容物をとり、試験を開始し、適当な各時点で溶出液10mLを採取し、直ちに37±0.5℃に加温した水を補った。採取した溶出液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液3mLを除き、次のろ液を、表示量に従い1mLにヨウ化カリウム約18μgを含む液となるように水を加えて希釈し、試料溶液とした。
<標準溶液の調製>
標準溶液は、先記溶出性試験と同様に調製した。
<測定方法>
試料溶液及び標準溶液5μLにつき、以下の条件で高速液体クロマトグラフィーに付し、ヨウ化物イオンのピーク面積を求め、ヨウ化カリウム量を算出した。
<測定条件>
先記定量試験の条件を準用した。
この結果から、本発明に係るゼリー状医薬組成物は良好な溶出性を示すことが確認された。
【0017】
次にゲル化剤及びD−ソルビトールの配合比率の影響を調査した。
下記の表に示す配合量にて前述した製造例に沿って製剤化し、ゼリー状態を評価した。
サンプル1〜7は全量1g(16.3mg製剤)で、サンプル8〜10は全量2g(32.5mg製剤)である。
【表2】
【0018】
表2において、サンプルNo.1〜No.10のいずれもゼリー状の組成物は得られた。
本発明においては、服薬性の観点からエアープッシュスティック包装にて、ゼリーをエアープッシュ容易か否かについても評価した。
サンプルNo.6,No.7において糖(甘味剤)であるD−ソルビトールの配合割合が30%の場合に、イオタカラギーナン0.5%,カッパカラギーナン0.12%のNo.7ではややジャム状に近いゼリーとなり、エアープッシュにて一部包装材中に残った。
また、D−ソルビトール30%であってもサンプルNo.6は、ゆるいが弾力のあるゼリー状であった。
このことから甘味剤(D−ソルビトール)は、30%以下がよく、15〜25%の範囲が好ましい。
カラギーナンについてはイオタカラギーナン0.61%,カッパカラギーナン0%のサンプルNo.8とイオタカラギーナン0%,カッパカラギーナン0.61,0.3%のサンプルNo.9,No.10とを比較すると、いずれもゼリー状にはなったが、サンプルNo.8は非常に粘性の高いゼリーであり、サンプルNo.9及びNo.10はエアープッシュ可能であるものの非常に脆く物理的刺激により直ぐに崩れてしまうものであった。
このことからカラギーナンは、イオタ又はカッパの一方が含まれていれば良いものの、好ましくは両方含まれているものがよい。
カッパカラギーナンは0.05〜0.6%の範囲がよい。
イオタカラギーナンは、0.01〜0.6%の範囲がよい。
【0019】
次にグリセリンの配合量の影響を調査した。
下記の表に示したような配合量にて、32.5mg製剤を前述した製造例に基づいて製剤化した。
【表3】
【0020】
サンプルNo.17のグリセリンを配合しなかったものはゼリー状になったものの、非常に柔らかくエアープッシュには適していなかった。
また、サンプルNo.13のグリセリン配合量20%のものは製剤中に混入した泡が残ったままゼリー状に固化していた。
このことからグリセリンは3〜20%の範囲がよく好ましくは5〜17%,さらに好ましくは7〜15%の範囲であった。
【0021】
次に甘味剤及び香料(ストロベリーフレーバー)の有無による服用感のアンケート結果を
図8に示す。
サッカリンナトリウム及び香料の含まれていないプレーン製剤と本発明に係る16.3mg製剤との比較結果である。
この結果から本発明に係るゼリー状医薬組成物は服用感にも優れていることが確認された。
【0022】
次に本製剤の服薬年齢を考慮し、エアープッシュスティック包装にてエアープッシュが容易であり、且つ、離乳食に近い、又はそれよりもさらに柔らかいゼリー剤処方を検討した。
先のサンプルNo.10は、カッパカラギーナン0.3%,イオタカラギーナン0.0%であったが、物理的刺激により直ぐ崩れるレベルのゼリーであったことから、カッパカラギーナンを0.3%以下に抑えつつ、イオタカラギーナンを少量添加することを検討した。
その処方を表4に示す。
【表4】
表4は配合比率を質量%で表示する。
サンプルNo.19〜22において、カロブビーンガムの配合量は、カッパカラギーナンの配合量に合せて(カッパカラギーナン:カロブビーガム=6:4)調節した。
この処方で得られたサンプルNo.19〜22の柔らかさを市販の離乳食と比較評価した。
<柔らかさの測定>
測定機器:レオメーター(サン科学社製)CR−500DX型を用いて、柔らかさ(N/m
2)を測定した。
具体的には、直径40mmの容器に高さ15mmとなるように試料を充填し、直径20mmのプランジャーで圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで測定した。
その結果、市販の離乳食「うらごしりんご」:465.0N/m
2,「トマトとフルーツのデザート」:659.2N/m
2に対してサンプルNo.19:353.5N/m
2,サンプルNo.20:331.2N/m
2,サンプルNo.21:340.8N/m
2、サンプルNo.22:455.4N/m
2であった。
このことから、サンプルNo.19〜22のいずれも市販の離乳食よりも柔らかいことが分かる。
なお、噛まなくてもよいレベルは500N/m
2以下とされている。
<落下による広がり測定>
サンプルNo.19〜22及び市販離乳食「トマトとフルーツのデザート」をそれぞれ2g、エアープッシュスティック包装し、高さ25cmの位置から垂直方向にエアープッシュし、自由落下させ、広がり面積を測定した。
その結果、市販離乳食:406mm
2に対してサンプルNo.19:351mm
2,サンプルNo.20:372mm
2,サンプルNo.21:359mm
2,サンプルNo.22:349mm
2となり、サンプルNo.19〜22は市販離乳食に近い面積値を示した。
このことから、サンプルNo.19〜22のいずれも、市販離乳食と同等の柔らかさであることが分かる。
<製造スケールと撹拌条件の確認>
これまでの検討では、サンプルNo.19〜22をラボにて小スケールで製造しており、その際の撹拌には撹拌子を使用していた。
商用生産では、大スケールにて高速撹拌装置を備えた機器を使用するため、ゼリー状態は製造スケール及び撹拌機構の影響を受けることが想定される。
そこで、サンプルNo.19とサンプルNo.22の処方を対象に、大スケールにて高速撹拌装置を備えた機器を用いて製造を行い、柔らかさを測定した。
その結果、サンプルNo.19の処方では、柔らかさが261N/m
2、サンプルNo.22の処方では274N/m
2と、ラボにて製剤化したものよりもさらに柔らかくなった。
<考察>
以上の評価結果から、カッパカラギーナン0.1〜0.5%,イオタカラギーナン0.01〜0.08%レベルの組み合せにて離乳食に近い柔らかさのゼリー製剤が得られることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るヨウ素剤はゼリー状であり、新生児や乳幼児等の服薬年齢に合せた柔らかさにも調整可能である。
【要約】
【課題】 保存安定性及び溶出性に優れ、服薬しやすいヨウ化カリウムのゼリー状医薬組成物の提供を目的とする。
【解決手段】 有効成分としてヨウ化カリウムを含有し、ゲル化剤及び分散媒を含有することを特徴とする。
【選択図】
図1