【実施例1】
【0024】
≪電気部品装着機の構成≫
第1実施例の電気部品装着機は、
図1に示すように、大まかには、(a) ベース(基台)10と、(b) ベース10に立設された4つのポスト(支柱)12を有するフレーム14(図では、全体の図示は省略されている)と、(c) ベース10上に配設され、一部分が基板固定装置として機能するコンベア装置16と、(d) コンベア装置16を挟んでベース10上の前方側および後方側のそれぞれに一列に並んで配設され、それぞれがフィーダ型の部品供給装置として機能する複数の部品フィーダ18(前方側の列のものは一部しか図示されていない)と、(e) フレーム14に支持され、それら複数の部品フィーダ18の各々から供給される電気部品(以下、単に「部品」という場合がある)をコンベア装置16によって固定された回路基板(以下、単に「基板」という場合がある)Sに装着する部品装着装置20とを含んで構成されている。ちなみに、以下の説明において、図において矢印で示すように、当該装着機の左右方向をX方向,前後方向をY方向,上下方向をZ方向と呼ぶ場合がある。
【0025】
詳しく説明すれば、コンベア装置16は、搬入部22と,搬出部24と、それらの間に位置する中間部26とに分かれており、それらは、ベース10の前方側の部分に、基板搬送方向(X方向)に並べられている。搬入部22,搬出部24,中間部26の各々は、1対の支持板28と,それに支持された1対のベルトコンベア30とを含んで構成されている。それら1対のベルトコンベア30によって、基板は上流側から搬入部22に搬入され、次いで、中間部26に運ばれる。中間部26には、1対の支持板28の間に、複数のバックアップピンが立設された昇降台32が設けられている。中間部26まで運ばれた基板は、所定の作業位置で停止させられ、昇降台32が上昇することによって、複数のバックアップピンによって下方から支持され、かつ、1対の支持板28の上端に設けられた鍔に掛止された状態で、その作業位置において固定される。すなわち、コンベア装置16の中間部26が、電気部品装着作業(以下、単に、「部品装着作業」,「装着作業」という場合がある)の際、基板を所定の作業位置において固定する基板固定装置として機能するものとなっているのである。装着作業が終了した後に、昇降台32は下降し、ベルトコンベア30によって、搬出部24に運ばれ、搬出部24から下流側に搬出される。なお、図示は省略するが、コンベア装置16は、基板Sの幅に応じて、各部22,24,26の各々の1対の支持板28の間隔が変更可能とされている。ちなみに、図には、当該電気部品装着機において装着作業が可能な最も大きな基板が固定された状態が示されている。
【0026】
複数の部品フィーダ18の各々は、フィーダ本体36と、そのフィーダ本体36に取り付けられたリール38とによって構成されている(前方側に並ぶ部品フィーダ18では、リール38は図示されていない)。リール38には、テープ化部品(部品保持テープとそれに保持された複数の電気部品)が捲回されている。テープ化部品は、フィーダ本体36によって送り出され、所定の部品供給部位40において、部品が1つずつ供給されるようになっている。ちなみに、複数の部品フィーダ18は、ベース10の前方側および後方側の部分の各々に、それらの各々に配置されるものの部品供給部位40がX方向に沿って一線上に並ぶように、かつ、前方側のものと、後方側のものとが、互いに、向かうあうようにして、配列されている。なお、前方側に配列された部品フィーダ18と後方側に配列された部品フィーダ18との少なくとも一方を、トレイ型の部品供給装置に変更することも可能である。
【0027】
以下に、
図2をも参照しつつ、部品装着装置20を説明する。ちなみに、
図2(a)は、部品装着装置20の正面断面図であり、
図2(b)は側面断面図である(
図2(a)のA−A視)。部品装着装置20は、(A)それぞれが、下方のフランジが上方のフランジより幅広のチャンネル形状をなし、フレーム14に固定されてY方向に延びる2つの固定梁42R,42Lと、(B)X方向に延びる姿勢かつそれら固定梁42R,42Lに支持される状態でコンベア装置16の上方において移動可能に架設された可動梁44と、(C)その可動梁44に移動可能に支持された装着ヘッド46とを含んで構成されている。ちなみに、本装着機では、Y方向が、可動梁44が移動可能とされた方向、つまり、可動梁44が延びる方向と交差する方向である第1方向とされ、X方向が、装着ヘッド46が移動可能とされた方向、つまり、可動梁44が延びる方向である第2方向とされている。
【0028】
固定梁42R,42Lの各々には、ガイドレール50が、固定梁42R,42Lの延びる方向に延びるようにして敷設され、外周面にねじが形成されたねじロッド52が同じ方向に渡されるとともに、そのねじロッド52を回転させるモータ54が後端部に配設されている。一方、可動梁44は、断面形状がI字形状(H字形状)をなす梁本体56と、梁本体56の上部に固定された1対のブラケット58R,58Lを含んで構成され、ブラケット58R,58Lの各々は、ガイドレール50と係合するスライダ60を固定的に保持するとともに、ねじロッド52と螺合するナット62を回転不能に保持している。ブラケット58Rのスライダ60,ナット62が、それぞれ、固定梁42Rのガイドレール50,ねじロッド52に係合,螺合させられ、ブラケット58Lのスライダ60,ナット62が、それぞれ、固定梁42Lのガイドレール50,ねじロッド52に係合,螺合させられている。ねじロッド52とナット62とによってボールねじ機構が構成されており、ブラケット58R,58Lの各々に配設されたモータ54を同期させて同じ方向にかつ同じ速さで回転させることにより、可動梁44は、ガイドレール50,50によって規定される軌道に沿って、前後方向、つまり、Y方向に移動する。本装着機では、固定梁42R,42Lの各々に設けられたガイドレール50,ねじロッド52,モータ54,ブラケット58R,58Lの各々に設けられたスライダ60,ナット62等を含んで、可動梁44をY方向(第1方向)に移動させる梁移動装置63が構成されているのである。
【0029】
可動梁44の梁本体56の下方のフランジの上面には、1対のガイドレール64,64が、可動梁44が延びる方向に延びるようにして敷設されている。また、梁本体56の正面側には、ねじロッド66が、梁本体56の上下のフランジの間において梁本体56と平行に渡され、梁本体56の右端部には、ねじロッド66を回転させるモータ68が配設されている。
【0030】
装着ヘッド46は、キャリッジ70に保持されている。キャリッジは70は、スライド部72と、ヘッド取付部74とを含んで構成されている。スライド部72は、梁本体56の下方のフランジを掴持するような断面形状を有しており、1対のスライダ76,76を固定的に、ナット78を回転不能に、保持している。それら1対のスライダ76,76は、それぞれ、可動梁44の梁本体56に敷設された1対のガイドレール64,64と係合させられ、ナット78は、梁本体56に渡されたねじロッド66と螺合させられている。ねじロッド66とナット78とによってボールねじ機構が構成されており、可動梁44に設けられたモータ68を回転させることにより、キャリッジ70は、1対のガイドレール64,64によって規定される軌道に沿って、左右方向、つまり、X方向に移動する。本装着機では、可動梁44に設けられた1対のガイドレール64,64,ねじロッド66,モータ68,キャリッジ70に設けられた1対のスライダ76,76,ナット78等を含んで、装着ヘッド46を可動梁44の延びる方向(第2方向)にに移動させるヘッド移動装置79が構成されているのである。
【0031】
装着ヘッド46は、キャリッジ70のヘッド取付部74に取り付けられている。ヘッド取付部74は、下端部に凸縁80を有する板状の部材からなり、装着ヘッド46は、その凸縁80に掛止されつつ背面をヘッド取付部74の表面に密着させた状態で取り付けられる。ヘッド取付部74は、スライド部72の下面において下方に向かうようにして立設された支持軸82に、裏面に固定されたヘッド回動変位機構84を介して、上下方向に移動不能かつ回転可能に軸支されている。ヘッド回動変位機構84は、モータ86とギヤ機構とを含んで構成され、そのモータ86の回転によって、ヘッド取付部74を、それに取付られた装着ヘッド46とともに、上下方向つまりZ方向に延びる支持軸82の軸線回りに、換言すれば、第1方向および第2方向に直角な軸線回りに回動させる。ヘッド回動変位機構84は、装着ヘッド46を、360°回動可能とされており、2つの停止位置で停止させる。その2つの停止位置の1つである第1位置〈I〉は、装着ヘッド46が
図2(a)に示す状態および
図2(b)において実線で示す状態となる位置であり、もう1つである第2位置〈II〉は、装着ヘッド46が
図2(b)において二点鎖線で示す状態となる位置である。ちなみに、
図1では、装着ヘッド46は、第2位置〈II〉に位置させられている。
【0032】
装着ヘッド46が第1位置〈I〉に位置させられている状態と、第2位置〈II〉に位置させられている状態とを比較すれば、キャリッジ70が停止している限り、いずれの状態においても、装着ヘッド46は、X方向において同じ位置に位置するものの、Y方向において異なる位置に位置する。つまり、装着ヘッド46は、可動梁44に対して、Y方向において異なる位置に位置することになるのである。ヘッド回動変位機構84は、そのような2つの位置に装着ヘッド46を位置させることのできる機構であり、キャリッジ70に設けられて、第1方向における装着ヘッド46の可動梁44に対する位置を変更するヘッド位置変更機構として機能することになる。
【0033】
装着ヘッド46は、インデックス型のヘッドであり、それぞれが部品保持デバイスである8つの吸着ノズル90を備えている。8つの吸着ノズル90の各々は、負圧の供給(大気圧より圧力を低くすること)によって、部品を吸着保持し、負圧の供給の停止により、吸着保持した部品を自身から離脱させる。8つの吸着ノズル90は、リボルバ92によって保持されている。詳しい図示は省略するが、装着ヘッド46は、自身の内部に、リボルバ92を間欠回転させることで、8つの吸着ノズル90を、各吸着ノズル90の軸線の中心に位置する軸線、つまり、ヘッド軸線CL回りに公転(周回)させるノズル公転機構94を有している。また、特定周回位置(ヘッド取付部74から最も離れた位置)に位置させられた1つの吸着ノズル90を昇降させるノズル昇降機構(デバイス昇降機構)96を有し、かつ、その吸着ノズル90をそれの軸線回りに自転させるノズル自転機構98を有している。特定周回位置に位置する吸着ノズル90が、部品フィーダ18の部品供給部位40の上方に位置させられた状態で、その吸着ノズル90がノズル昇降機構96によって下降させられ、その吸着ノズル90に負圧が供給されて、その部品フィーダ18から供給される部品が吸着保持される。この吸着保持動作を、ノズル公転機構94によって8つの吸着ノズル90を間欠的に公転させつつ、順次各吸着ノズル90について繰り返し行うことで、8つの吸着ノズル90の各々によって部品が吸着保持される。一方、部品を吸着保持して特定周回位置に位置させられた吸着ノズル90が、コンベア装置16によって固定された基板Sにおけるその部品が装着されるべき装着位置の上方に位置させられた状態で、その吸着ノズル90がノズル昇降機構96によって下降させられ、その吸着ノズル90への負圧の供給が断たれて、その部品が装着位置に装着される。この装着動作を、ノズル公転機構94によって8つの吸着ノズル90を間欠的に公転させつつ、順次各吸着ノズル90について繰り返し行うことで、8つの吸着ノズル90の各々によって吸着保持された部品が基板Sに装着される。ちなみに、この装着動作の際、ノズル自転機構98によって、装着される部品の回転位置(方位)の修正が行われる。なお、上記ノズル公転機構94,ノズル自転機構98は、いずれも、吸着ノズル90を回転させるノズル回転機構(デバイス回転機構)として機能するものと考えることができる。
【0034】
図2(b)から解るように、装着ヘッド46が、第1位置〈I〉に位置している場合には、8つの吸着ノズル90は、いずれも、可動梁44の奥側の側面より後方に位置する。一方、装着ヘッド46が、第2位置〈II〉に位置している場合には、8つの吸着ノズル90は、いずれも、可動梁44の手前側の側面より前方に位置する。つまり、ヘッド回動変位機構84は、装着ヘッド46を、吸着ノズル90がY方向(第1方向)における可動梁の両側面の一方から進出する第1位置と、他方から進出する第2位置とに位置させるように構成されているのである。
【0035】
図示は省略するが、キャリッジ70には操作レバーが設けられており、その操作レバーの操作により、装着ヘッド46は、ワンタッチでヘッド取付部74から取り外し可能となっている。つまり、装着ヘッド46は、キャリッジ70に対して着脱可能とされているのである。そして、キャリッジ70には、装着ヘッド46に代えて、別の作業ヘッドを取り付けることも可能である。つまり、本装着機は、作業ヘッドを交換可能とされているのである。例えば、
図3に示すような装着ヘッド100を取り付けることもできる。この図に示す装着ヘッド100は、シングルノズル型の装着ヘッドであり、部品保持デバイスとしての吸着ノズル102が、それの軸線がヘッド軸線CLと一致する位置に1つだけ配置されている。比較的大型の部品の装着等の用途に好適である。装着ヘッド100は、インデックス型の装着ヘッド46と同様、吸着ノズル102を自転させるノズル自転機構(デバイス回転機構),吸着ノズル102を昇降させるノズル昇降機構(デバイス昇降機構)を備えている。
【0036】
本装着機では、キャリッジ79のヘッド取付部74の裏面の下部に、基板に付された基板基準マーク等を撮像するための基板撮像装置として機能する基板カメラ104が固定されている。この基板カメラ104の光軸線は、支持軸82の軸線と一致させられている。また、本装着機には、それぞれが、吸着ノズル90(102)によって吸着保持された部品を撮像するための部品撮像装置として機能する1対の部品カメラ106,106が、ベース10上に配設されている。1対の部品カメラ106,106の一方は、コンベア装置16の手前側、つまり、コンベア装置16とベース10の前方側に配列させられた部品フィーダ18と間に配置され、他方は、コンベア装置16の奥側、つまり、コンベア装置16とベース10の後方側に配列させられた部品フィーダ18と間に配置されている。さらに、ベース10には、2つノズルストッカ108,108が、それぞれ、1対の部品カメラ106,106と並んで配設されている。吸着ノズル90(102)は、自動交換可能とされており、各ノズルストッカ108には、交換される吸着ノズル90(102)が、収容されている。
【0037】
≪部品装着作業における装着ヘッドの動作≫
図3を参照しつつ本装着機による部品装着作業を説明する。この説明は、シングルノズル型の装着ヘッド100が取り付けられていることを前提として行う。部品装着作業においては、まず、前述したようにして、基板Sがコンベア装置16によって搬入され、所定の作業位置に固定される。次いで、装着ヘッド100が、梁移動装置63,ヘッド移動装置79によって基板Sの上方に移動させられ、基板カメラ104によって基板Sの表面に付された基板基準マーク(フィデューシャルマーク)が基板カメラ104によって撮像され、基板Sの位置ズレに基づいて、部品装着位置の基準となる基板座標が決定される。ちなみに、このとき、装着ヘッド100は、可動梁44に対して、先に説明した第1位置に位置させられていても、また、第2位置に位置させられていてもよい。
【0038】
続いて、配列されている部品フィーダ18のいずれかから供給されている部品を吸着ノズル102によって吸着保持し、その部品を、基板S上において設定されている装着位置に装着する。前方側の部品フィーダ18から供給されている部品を吸着保持する場合は、装着ヘッド100は、図の〈A〉の状態、つまり、ヘッド回動変位機構84によって第2位置に位置させられ、ヘッド軸線CLが前方側の部品フィーダ18の部品供給部位40と一致する位置に位置させられた状態となる。この〈A〉の状態において部品を吸着保持した後、装着ヘッド100が、梁移動装置63およびヘッド移動装置79によって、その保持された部品が前方側の部品カメラ106の上方に位置する位置に移動させられる。部品カメラ106によって得られた部品の撮像データに基づいて、吸着ノズル102の軸線に対する部品の位置ズレ量が把握された後、装着ヘッド100が、ヘッド軸線CLが装着位置に一致する位置まで移動させられる。この際、装着ヘッド100は、装着位置が基板の前方側の部位に位置している場合には、〈B〉の状態、つまり、装着ヘッド100が第2位置に位置させられた状態となるが、装着位置が基板の後方側の部位に位置している場合には、〈C〉の状態、つまり、第1位置に位置させられた状態とされる。詳しく言えば、装着ヘッド100は、吸着保持された部品が部品カメラ106の上方に位置する位置から、部品が装着位置の上方に位置する位置まで移動させられる最中に、ヘッド回動変位機構84によって、可動梁44に対する位置が第2位置から第1位置に変更されるのである。
【0039】
同様に、後方側の部品フィーダ18から供給されている部品を吸着保持する場合は、装着ヘッド100は、図の〈D〉の状態、つまり、ヘッド回動変位機構84によって第1位置に位置させられ、ヘッド軸線CLが後方側の部品フィーダ18の部品供給部位40と一致する位置に位置させられた状態となる。この〈D〉の状態において部品を吸着保持した後、装着ヘッド100が、梁移動装置63およびヘッド移動装置79によって、その保持された部品が後方側の部品カメラ106の上方に位置する位置に移動させられる。部品カメラ106によって得られた部品の撮像データに基づいて、吸着ノズル102の軸線に対する部品の位置ズレ量が把握された後、装着ヘッド100が、ヘッド軸線CLが装着位置に一致する位置まで移動させられる。この際、装着ヘッド100は、装着位置が基板の後方側の部位に位置している場合には、〈C〉の状態、つまり、装着ヘッド100が第1位置に位置させられた状態となるが、装着位置が基板の前方側の部位に位置している場合には、〈B〉の状態、つまり、第2位置に位置させられた状態とされる。詳しく言えば、装着ヘッド100は、吸着保持された部品が部品カメラ106の上方に位置する位置から、部品が装着位置の上方に位置する位置まで移動させられる最中に、ヘッド回動変位機構84によって、可動梁44に対する位置が第1位置から第2位置に変更されるのである。
【0040】
〈B〉の状態で装着動作を行った後、前方側の部品フィーダ18の部品を吸着保持する際には、ヘッド回動変位機構84による装着ヘッド100の位置変更は行われないが、〈C〉の状態で装着動作行った後、前方側の部品フィーダ18の部品を吸着保持する際には、ヘッド回動変位機構84による装着ヘッド100の位置変更が行われる。同様に、〈C〉の状態で装着動作を行った後、後方側の部品フィーダ18の部品を吸着保持する際には、ヘッド回動変位機構84による装着ヘッド100の位置変更は行われないが、〈B〉の状態で装着動作行った後、前方側の部品フィーダ18の部品を吸着保持する際には、ヘッド回動変位機構84による装着ヘッド100の位置変更が行われる。
【0041】
上述したように、吸着ノズル102をY方向において比較的長い距離移動させなければならない場合には、ヘッド回動変位機構84による装着ヘッド100の位置変更と、梁移動装置63およびヘッド移動装置79による装着ヘッド100の移動とが並行して行われる。その結果、本装着機では、迅速な装着作業が行われることになる。なお、上記説明は、シングルノズル型の装着ヘッド100が取り付けられた場合における装着作業に関するものであるが、インデックス型の装着ヘッド46が取り付けられた場合は、一度に複数の部品フィーダ18からの複数の部品を吸着保持してそれらを順次装着位置に装着することを除いて、装着ヘッド100による装着作業と同様である。
【0042】
また、本装着機では、ヘッド回動変位機構84によって、装着ヘッド46(100)を第1位置と第2位置とに位置変更可能とされている。そのため、
図2に示すところの、第1位置〈I〉における装着ヘッド46(100)のヘッド軸線CLと第2位置〈II〉における装着ヘッド46(100)のヘッド軸線CLとの距離である軸線間距離ΔCLだけ、梁移動装置63による可動梁44のY方向における移動距離を短くすることができる。具体的には、
図3に示す可動範囲ΔYだけ、可動梁44を移動させるように構成すればよい。そのため、固定梁42R,42Lを比較的短くすることができるため、比較的コンパクトな装着機となる。さらに、ボールねじ機構を構成するねじロッド52の長さが短くてすむことになり、その分、当該装着機のコストを低く抑えることが可能となる。
【0043】
≪変形例≫
上記第1実施例の装着機では、装着ヘッド46(100)は、ヘッド回動変位機構84によって、上記第1位置と上記第2位置との間で、位置変更可能とされていた。このような構成に代え、ヘッド回動変位機構84によって、装着ヘッド46(100)の位置を、上記第1位置および第2位置以外の位置にも変更可能とすることができる。例えば、
図4に模式的に示すように、装着ヘッド46(100)を第1位置〈I〉,第2位置〈II〉に加え、第3位置〈III〉および第4位置〈IV〉に位置させるように構成することも可能である。
図4は、上方視点からの模式図であり、第1位置〈I〉,第2位置〈II〉は、上述の位置である。第1位置〈I〉〜第4位置〈IV〉は、支持軸82の軸線を中心とした一円周上の位置であり、第3位置〈III〉および第4位置〈IV〉は、それぞれ、第1位置〈I〉,第2位置〈II〉と位相において90°ズレた位置とされている。つまり、第3位置〈III〉および第4位置〈IV〉は、Y方向において、互いに同じ位置であり、かつ、第1位置〈I〉,第2位置〈II〉と異なる位置とされ、X方向において、互いに異なる位置であり、かつ、第1位置〈I〉,第2位置〈II〉と異なる位置とされているのである。このように構成を採用することにより、ヘッド移動装置79による装着ヘッド46(100)の可動梁44に沿った移動、つまり、X方向の移動における可動距離をも短くすることが可能である。すなわち、可動梁44を比較的短くすることが可能であり、それに伴って、ボールねじ機構を構成するねじロッド66をも短くすることが可能となる。また、装着機の左右の側にも部品フィーダ18を配列させ、それらの部品フィーダ18から供給される部品を基板に装着する場合等に、有効である。詳しく言えば、左右の側に配列させた部品フィーダ18から供給される部品を吸着保持する場合には、装着ヘッド46(100)を第3位置〈III〉若しくは第4位置〈IV〉に位置させるような構成の装着機とすることも可能なのである。
【0044】
なお、ヘッド回動変位機構84は、装着ヘッド46(100)を回動させて位置を変更する場合、必ずしも、上記第1位置〈I〉,第2位置〈II〉,第3位置〈III〉および第4位置〈IV〉だけに位置させるように構成するのではなく、任意の回動位置に位置変更するように構成してもよい。そのような構成のヘッド回動変位機構84を採用すれば、先に説明したノズル回転機構を採用しなくても、吸着ノズル90(102)によって吸着保持された部品の方位に関する位置ズレ量(ズレ角度)の補正を、ヘッド回動変位機構84によって行うことも可能である。
【0045】
上記第1実施例の装着機は、可動梁44は、1つしか架設されていないが、例えば、可動梁44を1対(2つ)架設し、それら1対の可動梁44の各々に、装着ヘッド46(100),キャリッジ70,ヘッド移動装置79,ヘッド回動変位機構84が配設されるように構成してもよい。その場合、一方の可動梁44に配設された装着ヘッド46(100)が前方側の部品フィーダ18から供給される部品を基板に装着し、他方の可動梁44に配設された装着ヘッド46(100)が後方側の部品フィーダ18から供給される部品を基板に装着するようにして装着作業が行われることになる。
【実施例2】
【0046】
第2実施例の装着機は、ヘッド位置変更機構として、第1実施例の装着機において採用されていたヘッド回動変位機構84に代えて、ヘッド直動変位機構を採用した装着機であり、ヘッド位置変更機構を除いて、他の構成は、第1実施例の装着機と略同様である。したがって、第2実施例の装着機に関する説明は、
図5を参照しつつ、ヘッド位置変更機構に関してのみ行うこととする。ちなみに、第1実施例と同じ機能を果たす構成要素については、同じ符号を採用する。
【0047】
図5(a)は、装着ヘッド46を正面から見た図であり、
図5(b)は装着ヘッドを右側面から見た図である。図に示すように、本装着機では、キャリッジ70’は、スライド部72と、ヘッド取付部74’とを含んで構成されており、ヘッド取付部74’は、ヘッド直動変位機構120を介して、スライド部72に支持されている。ヘッド直動変位機構120は、Y方向に延びるようにしてスライド部72に固定されて断面形状がハット型をなす基材122と、Y方向に延びるようにして基材122の両鍔部124の下面に敷設された1対のガイドレール126,126と、基材122の溝の中に保持されたシリンダ128とを有している。一方、ヘッド取付部74’は、第1実施例のものと異なり、天板130と、天板130の前端において上方に向かって凸設された凸板132とを有しており、また、天板130の上面には、ヘッド直動変位機構120の構成要素である1対のスライダ134,134が固定されている。1対のスライダ134,134は、1対のガイドレール126,126とそれぞれ係合している。シリンダ128は、ハウジング136と、ハウジング136の内部においてそれと摺動するピストンと、一端がそのピストンと連結されるとともに他端がハウジングから延び出すピストンロッド138とを有し、エア圧によって動作するように構成されている。そのピストンロッド138の他端が凸板132に固定されている。
【0048】
シリンダ128が収縮した状態では、装着ヘッド46は、第1位置〈I〉に位置させられ(図の実線で示す位置)、シリンダが伸長した状態では、第2位置〈II〉に位置させられる(図の2点鎖線で示す位置)。ちなみに、第1位置〈I〉では、装着ヘッド46のヘッド軸線CLは、可動梁44の梁本体56のX方向における中心に位置、8つの吸着ノズル90は、いずれも、可動梁44の前側の側面からも奥側の側面からも進出していない。それに対し、第2位置〈II〉では、8つの吸着ノズル90は、いずれも、可動梁44の前側の側面から進出した状態となっている。
【0049】
上記ヘッド直動変位機構120は、ヘッド位置変更機構として機能し、装着ヘッドを、Y方向(第1方向)に平行な軌道に沿って移動させることで、その装着ヘッド46の位置を変更するように構成されている。そのようなヘッド位置変更機構を有することで、本装着機は、第1実施例の装着機と同様に、第1位置〈I〉における装着ヘッド46のヘッド軸線CLと第2位置〈II〉における装着ヘッド46のヘッド軸線CLとの距離である軸線間距離ΔCLだけ、梁移動装置63による可動梁44のY方向における移動距離を短くすることができる。また、固定梁42R,42Lを比較的短くすることができるため、比較的コンパクトな装着機となる。さらに、ボールねじ機構を構成するねじロッド52の長さが短くてすむことになり、その分、当該装着機のコストを低く抑えることが可能となる。
【0050】
本装着機も、第1実施例の装着機と同様、装着ヘッド46が着脱可能にキャリッジ70’に保持される構造とされており、装着ヘッド46を先に説明した装着ヘッド100等、他の作業ヘッドに交換可能に構成されている。本装着機による部品装着作業における装着ヘッド46(100)の動作は、第1実施例の装着機と同様であるため、説明を省略する。なお、ヘッド直動変位機構120は、装着ヘッド46を、上記第1位置〈I〉および第2位置〈II〉だけでなく、Y方向(第1方向)に平行な軌道に沿った任意の位置に位置させるように構成することも可能である。