(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記運転実績の時間変化の傾向と前記保守費用の時間変化の傾向とを、前記通信部から外部に出力することを特徴とする請求項1に記載の産業車両管理装置。
前記制御部は、単位時間毎に前記運転実績と前記保守費用とを算出し、算出した単位時間運転実績の増減と、算出した単位時間保守費用の増減と、を比較することを特徴とする請求項1に記載の産業車両管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るフォークリフトの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0028】
図1は、産業車両管理システムの概略構成を表すブロック図である。
図1に示す産業車両管理システム100は、フォークリフトの運転データとサービスデータ(保守データ)とを蓄積し、蓄積したデータを解析することで、産業車両を管理するシステムである。産業車両管理システム100は、システムを構成する各部が利用者施設110a、110b、110cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とにそれぞれ配置されている。利用者施設110a、100b、100cと、管理者施設112と、サービス施設114とは、通信回線116でデータの送受信が可能である。通信回線116は、無線及び有線の少なくとも一方で通信を行う回線網である。通信回線116としては、公衆回線を利用した公衆ネットワーク、通信事業者のコアネットワーク、及び種々のローカルネットワークを用いることができる。
【0029】
また、産業車両管理システム100は、フォークリフト10a〜10fと、中継装置118a、118b、118cと、利用者端末120a、120b、120cと、サーバ(産業車両管理装置)130と、管理者端末132と、サービス者端末140と、を有する。
【0030】
以下、産業車両管理システム100を構成する各部と、利用者施設110a、100b、100cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とについて説明する。
【0031】
利用者施設110a、110b、110cは、フォークリフト10a〜10fを使用し各種作業を実行する施設である。利用者施設110a、110b、110cは、例えば工場や倉庫、ホームセンター等の倉庫型小売店、貨物駅、港湾等の作業現場等である。利用者施設110aは、フォークリフト10a、10b、10cと、中継装置118aと、利用者端末120aと、を有する。利用者施設110bは、フォークリフト10d、10eと、中継装置118bと、利用者端末120bと、を有する。利用者施設110cは、フォークリフト10fと、中継装置118cと、利用者端末120cと、を有する。利用者施設110a、110b、110cは、フォークリフトの数が異なるのみで基本的には、同様の構成である。フォークリフト10a〜10fは、大きさや構成部品等の差異はあるが、基本的にいずれも同じ構成要素である。以下の説明では、フォークリフト10a〜10fを特に区別する必要がない場合、単にフォークリフト10と言う。
【0032】
図2は、フォークリフトの概略構成を表す模式図である。以下、
図2を用いて、フォークリフトの概略構成を説明する。
図2に示すように、フォークリフト10は、2つの前輪12と、2つの後輪13と、マスト14と、フォーク15と、チルトシリンダ16と、リフトシリンダ17と、駆動源21と、ポンプ22と、タンク23と、コントロールバルブ24と、操作装置25と、通信部28と、検出部29と、アンテナ30と、制御装置35と、を有する。
【0033】
フォークリフト本体11は、フォークリフト10の各部が装着される基礎となる部分であり、操縦席や操作ハンドルが設けられている。フォークリフト本体11は、2つの前輪12及び2つの後輪13が装着されており、2つの前輪12及び2つの後輪13が回転することにより走行可能とする。前輪12及び後輪13は、駆動源21により駆動され、回転される。フォークリフト本体11は、駆動源21で前輪12または後輪13を駆動することで、前進及び後退可能となっている。また、フォークリフト10は、操作ハンドルにより後輪13を操舵することで、所望方向に走行可能となっている。
【0034】
フォークリフト本体11は、前部にマスト14が下部を支点として傾斜(チルト)自在に支持されており、このマスト14にフォーク15が昇降(リフト)自在に支持されている。チルトシリンダ16は、油圧の給排によりロッド16aを移動可能であり、このロッド16aの先端部がマスト14に連結されている。リフトシリンダ(第1流体圧シリンダ)17は、油圧の給排によりロッド17aを移動可能であり、このロッド17aの先端部にガイドローラ18が装着されており、ワイヤ19は一端部がフォーク15の上端部に連結され、中間部がガイドローラ18にガイドされ、他端部がマスト14の上端部に連結されている。
【0035】
従って、フォークリフト10は、チルトシリンダ16に油圧を給排すると、ロッド16aを前後移動し、マスト14の下部を支点として傾斜させることで、フォーク15をチルトさせることができる。また、リフトシリンダ17に油圧を給排すると、ロッド17aが上下移動し、ガイドローラ18を介してワイヤ19が移動することで、フォーク15が牽引され、このフォーク15をリフトさせることができる。
【0036】
駆動源21は、例えば、エンジン(または、電気モータ)であり、上述したように前輪12及び後輪13を駆動する。なお、駆動源21は、フロントアスクルを介して前輪12に連結され、フロントアスクルにより前輪12に駆動力を伝達する。駆動源21は、リアアスクルを介して後輪13に連結され、リアアスクルにより後輪13に駆動力を伝達する。
駆動源21は、さらにポンプ22を駆動してタンク23に貯留されている作動油を加圧することができる。コントロールバルブ24は、ポンプ22で加圧された作動油をチルトシリンダ16やリフトシリンダ17に供給することで、このチルトシリンダ16やリフトシリンダ17を作動することができる。操作装置25は、作業者が操作可能であり、フォーク15のチルトやリフトの操作信号を出力することができる。
【0037】
通信部28は、アンテナ30及び通信回線116を介して、通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部28は、制御装置35の制御に基づいて各種データの送受信を行う。アンテナ30は、フォークリフト本体11に設置されている。
【0038】
検出部29は、フォークリフト10の運転データとなる各種情報を取得する検出部であり、フォークリフト10の稼働時間を計測する稼働時間計測部、フォークリフト10が作業を行っていた作業時間を計測する作業時間計測部、フォークリフト10が荷役を積載して動作した積載時間を計測する積載時間計測部、フォークリフト10の走行距離を計測する走行距離計測部等を備えている。
【0039】
制御装置35は、フォークリフト10に搭載されており、車載コンピュータであり、フォークリフト10の各部の動作を制御する。制御装置35は、操作装置25からの操作信号に基づいて駆動源21、ポンプ22、コントロールバルブ24の駆動を制御する。
【0040】
制御装置35は、フォークリフト10の各種情報を検出部29から取得し、取得した情報を通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。具体的には、制御装置35は、車両内に設けられた稼働時間計測部、作業時間計測部、積載時間計測部及び走行距離計測部とそれぞれデータケーブルを介して電気的に接続されており、通信部28と通信ケーブルを介して電気的に接続されている。制御装置35は、検出部29で検出された運転データを取得すると、それらの運転データを通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。
【0041】
ここで、フォークリフト10は、オペレータによって入力可能な入力部を備えていてもよい。ここで、入力部は、例えばタッチパネル、キーボードやマウスなどの各種入力用デバイスである。制御装置35は、オペレータにより入力部に入力された操作に基づいて、各種制御を実行する。また、制御装置35は、オペレータにより入力部に入力された情報(故障情報、運転の各種条件の情報)等を運転データとして取得し、検出部29で検出した運転データとともに通信部28から中継装置118a、118b、118cに送信する。
【0042】
図1に戻り、産業車両管理システム100の説明を続ける。中継装置118a、118b、118cは、利用者施設110a、110b、110c毎に配置されている。中継装置118a、118b、118cは、対応する利用者施設110a、110b、110cに含まれるフォークリフト10の制御装置35から送信されたデータを管理者施設112のサーバ130に転送する。つまり、中継装置118a、118b、118cは、各フォークリフト10が利用されている利用者施設110a、110b、110cにそれぞれ設けられており、利用者施設110a、110b、110cで利用されている各制御装置35から送信されたデータを受信すると、通信回線116を介してそのデータをサーバ130に送信する。中継装置118a、118b、118cは、制御装置35から送信されたデータを一時的に記憶し、記憶したデータを所定時間間隔でサーバ130に送信してもよい。また、中継装置118a、118b、118cは、制御装置35のデータを利用者端末120a、120b、120cに並行して送信するようにしてもよい。
【0043】
利用者端末120a、120b、120cは、利用者施設110a、110b、110c毎に配置されている。利用者端末120a、120b、120cは、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、画像を表示する表示部と利用者が操作を入力する入力部、各種演算処理を行う制御部等を備える。利用者端末120a、120b、120cは、通信回線116を介してサーバ130等の各端末と情報の送受信を行うことで、フォークリフト10を管理するための情報を取得する。また、利用者端末120a、120b、120cは、利用者により入力されたフォークリフト10の運転データをサーバ130に送信することもできる。ここで、利用者端末120a、120b、120cは、利用者端末120a、120cのように、通信回線116を介して、中継装置118a、118cと通信可能な構成としても、利用者端末120bのように、直接中継装置118bと通信可能な構成としてもよい。なお、中継装置118bと利用者端末120bとは、中継装置118bが取得したフォークリフト10d、10eの運転データが利用者端末120bを介して通信回線116に送信される。利用者施設110a、110b、110cは、以上のような構成である。
【0044】
次に、管理者施設112は、フォークリフト10の利用者に産業車両管理システム100のサービスを提供するホストとなる施設である。管理者施設112は、サーバ130と、管理者端末132と、を有し、産業車両管理システム100を構成するフォークリフト10の情報を集約して管理する。ここで、
図3は、サーバと管理者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
サーバ(産業車両管理装置)130は、制御部160と、記憶部162と、通信部164と、を有する。制御部160は、CPU等で構成され、各種演算処理を実行する。記憶部162は、ROM、RAM等であり、サーバ130に供給される運転データ、サービスデータ、制御部160で算出した結果等を記憶する。通信部164は、通信回線116と接続されており、通信回線116を介して通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部164は、制御部160の制御に基づいて各種データの送受信を行う。また、通信部164は、管理者端末132とも通信可能な状態で接続されている。
【0046】
サーバ130は、以上のような構成であり、各フォークリフト10の管理を行う。具体的には、サーバ130は、通信部164、通信回線116を介した通信により、フォークリフト10の運転データを含む各種データを取得する。また、サーバ130は、保守費用を含むサービスデータをサービス者端末140から受信する。サーバ130は、取得したデータ及びサービスデータを解析することで、フォークリフト10の状態を検出し、検出結果に基づいてフォークリフト10を管理する。なお、サーバ130でフォークリフト10を管理する制御について後述する。
【0047】
管理者端末132は、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末であり、制御部170と、記憶部172と、通信部174と、表示部176と、操作部178と、を有する。制御部170は、CPU等で構成され、各種演算処理を実行する。記憶部172は、ROM、RAM等であり、サーバ130から供給されるフォークリフト10の管理データや解析結果、制御部170で算出した結果等を記憶する。通信部174は、通信回線116と接続されており、通信回線116を介して通信回線116で接続されている機器と信号を送受信することで、無線通信を行う機器である。通信部174は、制御部170の制御に基づいて各種データの送受信を行う。また、通信部174は、サーバ130の通信部164とも通信可能な状態で接続されている。表示部176は、液晶表示装置等の画像を表示する装置である。表示部176は、制御部170の制御に基づいて、サーバ130を操作する操作画面や、サーバ130で算出された結果を示す画面(管理画面)等を表示させる。操作部178は、管理者が操作を入力する入力デバイスである。入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパッド等の種々の機構を用いることができる。
【0048】
次に、サービス施設114は、フォークリフト10の保守、つまりメンテナンス、修理を行う施設である。サービス施設114は、サービス者がフォークリフト10の保守を行う際に、必要に応じて部品の交換を行う。サービス施設114は、サービス者端末140を備える。サービス者端末140は、管理者端末132と同様に、いわゆるパーソナルコンピュータ等の情報端末である。サービス者端末140は、サービス者によりフォークリフト10に対して実行したサービスの情報であるサービスデータが入力される。サービス者端末140は、通信回線116を介してサーバ130に接続されており、入力されたサービスデータをサーバ130に送信する。ここで、サービスデータは、フォークリフト10の保守、つまりメンテナンス、修理に関する種々の情報であり、例えば、メンテナンス、修理を実行した日時、メンテナンス、修理の費用等である。サービス者は、フォークリフト10の保守を実行する毎にサービスデータを入力し送信してもよいし、まとめてサービスデータを入力し送信してもよい。また、サービス者端末140は、サーバ130からフォークリフト10の管理結果の情報を受信することもできる。
【0049】
次に
図4から
図9を用いて、産業車両管理システム100の動作を説明する。
図4は、フォークリフトの処理動作の一例を示すフローチャートである。まず、
図4を用いてフォークリフト10の処理動作を説明する。また、
図4に示す処理は、制御装置35で実行することができる。制御装置35は、駆動源21が始動されるとつまり起動されると、
図4に示す処理を実行する。
【0050】
制御装置35は、ステップS12として、運転データを取得する。つまり、制御装置35は、フォークリフト10に設けられた検出部29が検出した各種運転データを取得する。例えば、制御装置35は、検出部29の稼働時間計測部で計測したフォークリフト10の稼働時間、作業時間計測部で計測したフォークリフト10が作業を行っていた作業時間、積載時間計測部で計測したフォークリフト10が荷役を積載して動作した積載時間、走行距離計測部で計測したフォークリフト10の走行距離を運転データとして取得する。
【0051】
制御装置35は、ステップS12で運転データを取得したら、ステップS14として、運転データを蓄積する。つまり、制御装置35は、ステップS12で取得した運転データを一旦蓄積する。制御装置35は、ステップS14で運転データを蓄積したら、ステップS16として運転データの送信指示があるかを判定する。なお、送信指示は、サーバ130から送信された指示でも、制御装置35が制御条件に基づいて算出した指示でも、利用者により利用者端末120a、120b、120cに入力され、制御装置35に送信された指示でもよい。
【0052】
制御装置35は、ステップS16で送信指示あり(Yes)と判定した場合、ステップS18として、蓄積した運転データをサーバに出力する。つまり、制御装置35は、運転データを対応する中継装置118a、118b、118cに送信する。中継装置118a、118b、118cは、制御装置35からデータを受信すると、そのデータを記憶し、所定時間間隔でサーバ130に送信する。サーバ130は、出力された運転データを受信したら、記憶部162に記憶させる。
【0053】
制御装置35は、ステップS18で運転データをサーバ130に出力したら、ステップS20に進む。制御装置35は、ステップS16で送信指示なし(No)と判定した場合、ステップS20に進む。制御装置35は、ステップS16でNoと判定された場合、またはステップS18の処理を実行した場合、ステップS20として、処理終了かを判定する。制御装置35は、ステップS20で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS12に進み、ステップS12の処理を再び実行する。制御装置35は、ステップS20で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0054】
フォークリフト10は、以上のようにして、運転データを取得し、蓄積し、サーバ130に出力する。また、制御装置35は、処理終了と判定するまで、例えば、フォークリフト10が駆動されている間、つまり停止されるまで、ステップS12からステップS20の処理を繰り返す。
【0055】
図5は、サービス者端末の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5を用いて、サービス者端末140の処理動作について説明する。サービス者端末140は、ステップS30として、サービスデータの更新があるかを判定する。ここで、サービス者端末140は、サービス者により新たなサービスデータ、つまりフォークリフト10に対して実行した処理(点検、部品の交換)が入力され入力が確定した場合、例えばデータの保存処理が実行された場合、サービスデータが更新されたと判定する。サービス者端末140は、ステップS30でサービスデータの更新あり(Yes)と判定した場合、ステップS32として、更新されたサービスデータをサーバに出力する。つまり、サービス者端末140は、通信回線116を介して、サーバ130に更新されたサービスデータを送信する。サービス者端末140は、ステップS32の処理を行ったら、ステップS34に進む。
【0056】
サービス者端末140は、ステップS30でNoと判定された場合、またはステップS32の処理を実行した場合、ステップS34として、処理終了かを判定する。サービス者端末140は、ステップS34で処理終了ではない(No)と判定した場合、ステップS30に進み、ステップS30の処理を再び実行する。サービス者端末140は、ステップS34で処理終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0057】
サービス者端末140は、以上のようにして、サービスデータをサーバ130に出力する。また、サービス者端末140は、処理終了と判定するまで、ステップS30からステップS34の処理を繰り返す。
【0058】
図6は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6を用いて、サーバ130の処理動作を説明する。また、
図6に示す処理は、サーバ130の制御部160で実行することができる。
【0059】
制御部160は、ステップS40として、解析対象のフォークリフトを特定する。つまり、制御部160は、産業車両管理システム100に含まれるフォークリフトから解析する対象のフォークリフトを特定する。制御部160は、ステップS40でフォークリフトを特定したら、ステップS42として、記憶部162から運転データ及びサービスデータを抽出する。つまり、制御部160は、特定したフォークリフトの運転データ及びサービスデータを記憶部162から読み出す。
【0060】
制御部160は、ステップS42でデータを読み出したら、ステップS44として、直近のデータの取得要であるか判定する。制御部160は、記憶部162に記憶されている情報や設定に基づいて、直近のデータの取得要であるかを判定する。制御部160は、ステップS44で直近のデータの取得要である(Yes)と判定した場合、ステップS46として、直近の運転データ及びサービスデータを取得する。なお、制御部160は、フォークリフト10と通信を行い直近の運転データを取得し、サービス者端末140と通信を行い直近のサービスデータを取得する。
【0061】
制御部160は、ステップS46で直近のデータを取得した場合、または、ステップS44で直近のデータの取得要ではない(No)と判定した場合、ステップS48として、データを解析し、ステップS50で解析結果を端末に出力し、本処理を終了する。データの解析方法は、後述する。また、ステップS50の端末は、設定により種々の端末とすることができる。具体的には、解析対象のフォークリフト10を有する利用者端末120a、120b、120cとしてもよく、管理者端末132としてもよい。
【0062】
また、制御部160は、解析対象のフォークリフト10を順次切り替え、
図6の処理を繰り返し実行することで、産業車両管理システム100に含まれるフォークリフトをそれぞれ解析することができる。これにより、サーバ130及び産業車両管理システム100は、フォークリフト10の管理を好適に実行すること、また、好適に管理することができる解析結果を取得することができる。
【0063】
次に、
図7、
図8Aから
図8Dを用いて、サーバ130が実行する運転データ及びサービスデータの解析方法について説明する。
図7は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7は、
図6のステップS48のデータの解析方法の一例である。
図8Aから
図8Dは、それぞれ年間保守費用と年間稼働時間との関係の一例を示す説明図である。
図8Aから
図8Dは、それぞれデータの解析結果の一例を模式的に示している。ここで、
図8Aから
図8Dは、縦軸を年間保守費用、年間稼動時間とし、横軸を使用年数としている。ここで、
図7に示す例では、フォークリフトの使用開始当初を始点とする全期間を比較対象とする。
【0064】
制御部160は、ステップS60として、運転データから使用年数毎の年間稼働時間を算出し、ステップS62として、サービスデータから使用年数毎の年間保守費用を算出し、ステップS64として、算出した年間稼働時間の変化と年間保守費用の変化を比較する。つまり、制御部160は、解析対象のフォークリフト10について蓄積した運転データ、サービスデータの中から、稼働時間と保守費用の情報を取得し、使用年数毎の統計を算出する。ここで、稼働時間は、フォークリフト10が駆動状態であった時間である。保守費用は、点検、部品交換等でかかった全ての費用である。また、制御部160は、算出した年間稼働時間の変化と年間保守費用の変化とは、使用年数毎の検出結果に対して近似計算を実行することで、変化の傾向(増加しているか減少しているおよびそれぞれの割合)を算出することができる。
【0065】
制御部160は、ステップS64で比較した結果に基づいて、以下で説明するステップS66からステップS72の判定を実行する。制御部160は、ステップS64で比較を実行したら、ステップS66として、年間稼働時間が減少かつ年間保守費用が増加したかを判定する。つまり、制御部160は、
図8Aに示すように、年間稼働時間が減少する傾向、つまり使用開始時からの稼働率増減率がマイナスであり、かつ、年間保守費用が増加する傾向つまり、使用開始時からの年間保守費用増減率がプラスであるかを判定する。このように、制御部160は、年間稼動時間(年間稼働率)が下がっているのに対し、年間保守費用が上がっている状態であるかを判定する。制御部160は、ステップS66で、年間稼働時間が減少かつ年間保守費用が増加している(Yes)と判定した場合、ステップS76に進み、年間稼働時間が減少かつ年間保守費用が増加ではない(No)と判定した場合、ステップS68に進む。
【0066】
制御部160は、ステップS66でNoと判定した場合、ステップS68として、年間稼働時間が一定あるいは減少かつ年間保守費用がしきい値割合以上の増加であるかを判定する。つまり制御部160は、
図8Bに示すように、年間稼働時間がほぼ一定であり、例えば使用開始時からの年間稼働時間の増減率が10%以内であり、かつ、年間保守費用がしきい値割合以上で増加しているか、例えば使用開始時からの年間保守費用の増加割合が+20%以上であるかを判定する。このように、制御部160は、年間稼働時間が低下あるいは一定となっているにも関わらず、年間保守費用が増加しているかを判定する。制御部160は、ステップS68で、年間稼働時間が一定あるいは減少かつ年間保守費用がしきい値割合以上の増加である(Yes)と判定した場合、ステップS76に進み、年間稼働時間が一定あるいは減少かつ年間保守費用がしきい値割合以上の増加ではない(No)と判定した場合、ステップS70に進む。
【0067】
制御部160は、ステップS68でNoと判定した場合、ステップS70として、年間稼動時間の増加の割合よりも年間保守費用の増加の割合がしきい値以上高いかを判定する。つまり、制御部160は、
図8Cに示すように、年間稼働時間の増加率より年間保守費用の増加率が一定割合以上高い、例えば、年間保守費用の増加率が年間稼働時間の増加率の2倍以上であるかを判定する。制御部160は、ステップS70で、年間稼動時間の増加の割合よりも年間保守費用の増加の割合がしきい値以上高い(Yes)と判定した場合、ステップS76に進み、年間稼動時間の増加の割合よりも年間保守費用の増加の割合がしきい値以上高くない(No)と判定した場合、ステップS72に進む。
【0068】
制御部160は、ステップS70でNoと判定した場合、ステップS72として、年間稼動時間の減少の割合よりも年間保守費用の減少の割合がしきい値以上低いかを判定する。つまり、制御部160は、
図8Dに示すように、年間稼働時間の減少率より年間保守費用の減少率が一定割合以上低い、例えば、年間保守費用の減少率が年間稼働時間の減少率の1/2以下であるかを判定する。このように、制御部160は、ステップS72として、年間稼動時間の減少の割合よりも年間保守費用の減少の割合が一定以上緩やかであるか判定する。制御部160は、ステップS72で、年間稼動時間の減少の割合よりも年間保守費用の減少の割合がしきい値以上低い(Yes)と判定した場合、ステップS76に進み、年間稼動時間の減少の割合よりも年間保守費用の減少の割合がしきい値以上低くない(No)と判定した場合、ステップS74に進む。
【0069】
制御部160は、ステップS72でNoと判定した場合、つまり、ステップS66からステップS72のいずれもNoであった場合、ステップS74として当該フォークリフトは、見直し対象ではないと判定して、本処理を終了する。
【0070】
制御部160は、ステップS66、S68、S70またはS72でYesと判定した場合、ステップS76として当該フォークリフトは、見直し対象であると判定して、本処理を終了する。
【0071】
産業車両管理システム100およびサーバ130は、このように、産業車両の稼働時間(運転実績)と保守費用とを対比して評価することにより、フォークリフト10の劣化状況を正確に把握することが可能となる。さらに、産業車両管理システム100およびサーバ130は、産業車両の稼働時間(運転実績)と保守費用とについて使用年数毎の年間統計を算出し、時間経過による変化を比較することで、それぞれのフォークリフト10の経年変化を検出することができる。これにより、運転実績の経過に対して保守費用の経過が適切であるかを判定することができ、フォークリフトの劣化をより適切に判定することができる。これにより、フォークリフトをより適切に管理することができる。
【0072】
産業車両管理システム100およびサーバ130は、本実施形態のように、稼働時間(運転実績)と保守費用との対比が所定条件を満たしているフォークリフト10を見直し対象として抽出し、解析結果として出力することで、より劣化しているフォークリフト10を適切に抽出することができる。産業車両管理システム100およびサーバ130は、さらに抽出した見直し対象のフォークリフト10と見直し対象ではないフォークリフト10の相対関係や、見直し対象のフォークリフト10の状態に基づいて、今後の保守費用の推定を行い、適切な車両の入れ替え計画などを策定し、解析結果として出力してもよい。これにより、フォークリフトをより適切に管理することができる。フォークリフトの入れ替えや事前の修理を適切に実行することで、不要な修理やメンテナンスを抑制することができ、運搬コストを低減することができる。
【0073】
なお、上記実施形態では、見直し対象であるか否かを解析結果として出力したがこれに限定されない。産業車両管理システム100およびサーバ130は、ステップS64の比較結果を解析結果として出力してもよい。つまり、
図8Aから
図8Dに示すように両者を比較した結果の情報を解析結果としてもよい。この場合、各フォークリフトが見直し対象であるか否かは、利用者や管理者が判定する。
【0074】
また、産業車両管理システム100およびサーバ130は、
図7に示す処理で見直し対象であるか否かの判定基準を4つ用いたことで、より高い精度で見直し対象のフォークリフトを検出することができる。なお、4つ全ての判定を行う必要はない。産業車両管理システム100およびサーバ130は、ステップS66、68、70、72の判定のうち1つの判定のみを行ってもよいし、2つの判定を行ってもよいし、3つの判定を行ってもよい。また、ステップS66、68、70、72の判定以外の基準の判定を行ってもよい。
【0075】
ここで、産業車両管理システム100およびサーバ130は、全期間のデータの時間変化を比較対象としたがこれに限定されない。産業車両管理システム100およびサーバ130は、直近の設定期間のデータの時間変化を比較対象としてもよい。また、産業車両管理システム100およびサーバ130は、複数の期間についての運転実績の時間変化と保守費用の時間変化とを比較することが好ましい。
図9は、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0076】
制御部160は、ステップS90として、全期間を対象として比較処理を実行する。つまり、制御部160は、ステップS90として、
図7で説明したように全ての期間の運転データとサービスデータを用いて、運転実績の時間変化と保守費用の時間変化とを比較する。制御部160は、ステップS90で比較処理を行ったら、ステップS92として、見直し対象と判定したかを判定する。つまり、制御部160は、ステップS90の比較処理で解析対象のフォークリフトが見直し対象と判定したかを判定する。
【0077】
制御部160は、ステップS92で見直し対象であると判定した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。つまり、制御部160は、解析対象のフォークリフトがすでに見直し対象として検出されているため、本処理を終了する。制御部160は、ステップS92で見直し対象ではないと判定した(No)と判定した場合、ステップS94として、直近の設定期間を対象として比較処理を実行する。制御部160は、ステップS94として、直近の設定期間の運転データとサービスデータを用いて、算出した運転実績の時間変化と保守費用の時間変化との比較処理を実行し、本処理を終了する。ここで、制御部160は、比較処理として、
図7の処理を実行する場合、各種しきい値を全期間で比較する場合と異なる値とすることが好ましい。例えば、ステップS68の処理は、直近の設定期間(例えば直近3年間)のデータで比較する場合、年間稼働時間が±10%で、年間保守費用が+30%以上であるかを判定基準としてもよい。ステップS70の処理は、直近の設定期間(例えば直近3年間)のデータで比較する場合、年間保守費用の増加率が年間稼働時間の増加率の3倍以上であるかを判定基準としてもよい。ステップS72の処理は、直近の設定期間(例えば直近3年間)のデータで比較する場合、年間保守費用の減少率が年間稼働時間の減少率の1/3以下であるかを判定基準としてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、変化の割合を基準として比較を行ったが、運転実績の時間変化と保守費用の時間変化で生じた変化の絶対量を比較するようにしてもよい。また、上記実施形態では、年を単位として年間保守費用の時間変化と年間稼動時間の時間変化を比較したが、単位は年に限定されない。例えば、月単位で稼動時間(運転実績)と保守費用とを算出し、月単位での変化を比較するようにしてもよい。このように、サーバ130は、単位時間を決定し決定した単位時間あたりの稼動時間(運転実績)と保守費用とを算出し、比較を行えばよい。
【0079】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象の運転実績と保守費用とを種々の基準とすることができる。
図10Aから
図10Dは、それぞれ年間保守費用と年間稼働時間と年間作業時間との関係の一例を示す説明図である。
図10Aから
図10Dは、それぞれ縦軸を年間保守費用、年間時間とし、横軸を使用年数としている。
【0080】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間稼動時間に換えて、年間作業時間を用いてもよい。ここで、年間作業時間は、稼働時間からアイドリング時間(エンジンはかかっているが止まっている時間)を差し引いた時間である、つまり、車両が走行や荷役をしている時間である。産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象の運転実績を年間作業時間とした場合も
図7と同様の処理を行うことで見直し対象であるか否かを判定することができる。なおこの場合、年間稼動時間は、年間作業時間となる。
【0081】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間作業時間と年間保守費用との関係が、ステップS66の関係を満たす場合、つまり、
図10Aに示すように、年間作業時間が減少している(使用開始時からの年間作業時間の増減割合がマイナス)であり、かつ、年間保守費用が増加(使用開始時からの年間保守費用の増減割合がプラス)関係である場合、見直し対象と判定する。
【0082】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間作業時間と年間保守費用との関係が、ステップS68の関係を満たす場合、つまり、
図10Bに示すように、年間作業時間が低下あるいは一定、かつ、年間保守費用が増加している場合、例えば、使用開始時からの年間作業時間の増減の割合が±5%以内で、使用開始時からの年間保守費用の増加の割合が+10%以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間作業時間が±10%で、年間保守費用が+20%以上の場合、見直し対象と判定する。
【0083】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間作業時間と年間保守費用との関係が、ステップS70の関係を満たす場合、つまり、
図10Cに示すように、年間作業時間の増加の割合よりも年間保守費用の増加の割合がしきい値以上高い場合、例えば、年間保守費用の増加の割合が年間作業時間の増加の割合の1.5倍以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間保守費用の増加割合が年間作業時間の増加割合の2倍以上の場合、見直し対象と判定する。
【0084】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間作業時間と年間保守費用との関係が、ステップS72の関係を満たす場合、つまり、
図10Dに示すように、年間作業時間の減少の割合よりも年間保守費用の減少の割合がしきい値以上低い場合、例えば、年間保守費用の減少の割合が年間作業時間の減少の割合の1/3以下の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間保守費用の減少の割合が年間作業時間の減少の割合の1/4以下の場合、見直し対象と判定する。
【0085】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、運転実績として作業時間を用いることでも上記同様の効果を得ることができる。また、実際に作業を行っていないアイドリング状態での時間を取り除くことで、実際に装置付加がかかっている時間と使用により生じる保守費用との関係をより正確に検出することができる。
【0086】
図11Aから
図11Dは、それぞれ年間荷役関連保守費用と年間積載時間との関係の一例を示す説明図である。
図11Aから
図11Dは、それぞれ縦軸を年間荷役関連保守費用、年間積載時間とし、横軸を使用年数としている。
【0087】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間稼動時間に換えて、年間積載時間を用い、保守費用として、年間荷役関連保守費用を用いてもよい。ここで、年間積載時間は、作業部に人荷が積載されている時間である、つまり、車両が荷役をしている時間である。年間荷役関連保守費用は、作業部の保守の費用である。例えば、作業部の部品の交換の費用や、作業部の点検の費用の合計値である。産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象の運転実績を年間積載時間とし、保守費用を年間荷役関連保守費用とした場合も
図7と同様の処理を行うことで見直し対象であるか否かを判定することができる。なおこの場合、年間稼動時間は、年間積載時間となり、年間保守費用は、年間荷役関連保守費用となる。
【0088】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間積載時間と年間荷役関連保守費用との関係が、ステップS66の関係を満たす場合、つまり、
図11Aに示すように、年間積載時間が減少しており(使用開始時からの年間積載時間の増減割合がマイナス)かつ、年間荷役関連保守費用が増加(使用開始時からの年間荷役関連保守費用の増減割合がプラス)関係である場合、見直し対象と判定する。
【0089】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間積載時間と年間荷役関連保守費用との関係が、ステップS68の関係を満たす場合、つまり、
図11Bに示すように、年間積載時間が低下あるいは一定、かつ、年間荷役関連保守費用が増加している場合、例えば、使用開始時からの年間積載時間の増減の割合が±10%以内で、使用開始時からの年間荷役関連保守費用の増加の割合が+20%以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間積載時間が±10%で、年間荷役関連保守費用が+30%以上の場合、見直し対象と判定する。
【0090】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間積載時間と年間荷役関連保守費用との関係が、ステップS70の関係を満たす場合、つまり、
図11Cに示すように、年間積載時間の増加の割合よりも年間荷役関連保守費用の増加の割合がしきい値以上高い場合、例えば、年間荷役関連保守費用の増加の割合が年間積載時間の増加の割合の2倍以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間荷役関連保守費用の増加割合が年間積載時間の増加割合の3倍以上の場合、見直し対象と判定する。
【0091】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間積載時間と年間荷役関連保守費用との関係が、ステップS72の関係を満たす場合、つまり、
図11Dに示すように、年間積載時間の減少の割合よりも年間荷役関連保守費用の減少の割合がしきい値以上低い場合、例えば、年間荷役関連保守費用の減少の割合が年間積載時間の減少の割合の1/2以下の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間荷役関連保守費用の減少の割合が年間積載時間の減少の割合の1/3以下の場合、見直し対象と判定する。
【0092】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、運転実績として積載時間を用い、保守費用として年間荷役関連保守費用を用いることでも上記同様の効果を得ることができる。また、作業部に関連する積載時間と年間荷役関連保守費用とを比較することで、作業部の劣化を判定することができる。
【0093】
図12Aから
図12Dは、それぞれ年間走行関連保守費用と年間走行距離との関係の一例を示す説明図である。
図12Aから
図12Dは、それぞれ縦軸を年間走行関連保守費用、年間走行距離とし、横軸を使用年数としている。
【0094】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間稼動時間に換えて、年間走行距離を用い、保守費用として、年間走行関連保守費用を用いてもよい。ここで、年間走行距離は、年間の走行距離である。年間走行関連保守費用は、年間にかかった整備費用のうち走行関連部品、例えばタイヤ(前輪、後輪)、トランスミッション、原動機等の保守費用である。産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象の運転実績を年間走行距離とし、保守費用を年間走行関連保守費用とした場合も
図7と同様の処理を行うことで見直し対象であるか否かを判定することができる。なおこの場合、年間稼動時間は、年間走行距離となり、年間保守費用は、年間走行関連保守費用となる。
【0095】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間走行距離と年間走行関連保守費用との関係が、ステップS66の関係を満たす場合、つまり、
図12Aに示すように、年間走行距離が減少しており(使用開始時からの年間走行距離の増減割合がマイナス)かつ、年間走行関連保守費用が増加(使用開始時からの年間走行関連保守費用の増減割合がプラス)関係である場合、見直し対象と判定する。
【0096】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間走行距離と年間走行関連保守費用との関係が、ステップS68の関係を満たす場合、つまり、
図12Bに示すように、年間走行距離が低下あるいは一定、かつ、年間走行関連保守費用が増加している場合、例えば、使用開始時からの年間走行距離の増減の割合が±10%以内で、使用開始時からの年間走行関連保守費用の増加の割合が+30%以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間走行距離が±10%で、年間走行関連保守費用が+40%以上の場合、見直し対象と判定する。
【0097】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間走行距離と年間走行関連保守費用との関係が、ステップS70の関係を満たす場合、つまり、
図12Cに示すように、年間走行距離の増加の割合よりも年間走行関連保守費用の増加の割合がしきい値以上高い場合、例えば、年間走行関連保守費用の増加の割合が年間走行距離の増加の割合の3倍以上の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間走行関連保守費用の増加割合が年間走行距離の増加割合の4倍以上の場合、見直し対象と判定する。
【0098】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、年間走行距離と年間走行関連保守費用との関係が、ステップS72の関係を満たす場合、つまり、
図12Dに示すように、年間走行距離の減少の割合よりも年間走行関連保守費用の減少の割合がしきい値以上低い場合、例えば、年間走行関連保守費用の減少の割合が年間走行距離の減少の割合の2/3以下の場合、見直し対象と判定する。また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、比較対象を直近3年間とした場合、年間走行関連保守費用の減少の割合が年間走行距離の減少の割合の1/2以下の場合、見直し対象と判定する。
【0099】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、運転実績として走行距離を用い、保守費用として年間走行関連保守費用を用いることでも上記同様の効果を得ることができる。また、走行部に関連する走行距離と年間走行関連保守費用とを比較することで、走行部の劣化を判定することができる。
【0100】
ここで、上記実施形態の産業車両管理システム100及びサーバ130は、いずれも運転実績と保守費用を単位時間当たりに分割し、それぞれの値の変化を比較することで時間変化を加味した比較を行ったがこれに限定されない。産業車両管理システム100及びサーバ130は、運転実績の累積値と保守費用の累積値とを比較してもよい。
【0101】
図13は、累積保守費用と累積稼動時間との関係の一例を示す説明図である。
図13は、縦軸を累積保守費用、横軸を累積稼動時間としている。産業車両管理システム100及びサーバ130は、各時点での累積保守費用と累積稼動時間との関係をプロットし、近似線を引くことで、
図13に示すように、産業車両毎に1本の線を引くことができる。ここで、
図13は、車両Aの累積保守費用と累積稼動時間との関係と、車両Bの累積保守費用と累積稼動時間との関係を示している。
【0102】
産業車両管理システム100及びサーバ130は、累積保守費用と累積稼動時間との関係が、
図13の車両Aに示すように、累積稼動時間に対して線形に累積保守費用が増加している場合は、見直しの対象として抽出しない。これに対して、産業車両管理システム100及びサーバ130は、累積保守費用と累積稼動時間との関係が、
図13の車両Bに示すように、累積稼動時間に対してある地点で急激に累積保守費用が増加している場合は、見直し対象とする。これにより、車両Bを見直し対象とすることで、使用に対して保守費用が高くなっている車両Bを入れ替えたり、オーバーホールを行うができる。これにより、フォークリフトを適切に管理することができ、コスト削減することができる。
【0103】
また、産業車両管理システム100及びサーバ130は、累積値を用いる場合も、比較する対象の期間を複数設けることが好ましい。例えば、
図13に示すように、使用開始時からの累積保守費用と累積稼動時間との傾きF
1と、直近3年間の累積保守費用と累積稼動時間との傾きF
2を比較し、F
2がF
1より20%以上増加している場合、保守費用が増加している傾向があると判定し、見直し対象として抽出する。
【0104】
なお、
図13では、累積保守費用と累積稼動時間とを比較し、判定を行う場合として説明したが、上述したように、保守費用として、走行関連保守費用または荷役関連保守費用の積算値を用いてもよい。また、運転実績として、作業時間、積載時間、走行距離の積算値を用いてもよい。なおそれぞれの組み合わせは、上記実施形態と同じ組み合わせとすることが好ましい。
【0105】
産業車両管理システム100を構成する各部と、利用者施設110a、110b、110cと、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114との数は、特に限定されない。例えば、利用者施設110a、110b、110cは、1つ以上であればいくつでもよい。また、管理者施設112と、サービス施設(保守施設)114とを複数備えていてもよい。また、各利用者施設110a、110b、110cは、中継装置118a、118b、118cや、利用者端末120a、120b、120cを複数備えていてもよい。同様に、サーバ130、管理者端末132、サービス者端末140も複数備えていてもよい。
【0106】
また、上記実施形態の産業車両管理システム100は、サービス施設114と管理者施設110とを別したが一体としてもよい。つまり、本システムの管理とフォークリフトの保守とを1つの施設で行ってもよい。この場合、管理者端末132とサービス者端末140と1つの端末としてもよい。また、管理者端末132とサービス者端末140とをサーバ130と一体としてもよい。この場合、サービスデータは通信部を介さずに取得することができる。また、サーバ130がサービスデータを取得する方法は、通信回線を介した通信に限定されない。サーバ130は、記憶媒体を介してサービスデータを取得してもよいし、サーバ130に設置された入力デバイスへの入力によりサービスデータを取得してもよい。
【0107】
また、上記実施形態の産業車両管理システム100は、サーバ130が運転データを一旦記憶部162に記憶させたがこれに限定されない。サーバ130は、解析に用いる運転データを記憶部に記憶させず、解析に用いる全ての運転データをフォークリフトまたは利用者端末から取得してもよい。この場合は、上記処理の記憶部から運転データを読み出す処理に換えて、通信部を介して運転データを取得する処理となる。なお、産業車両管理システム100は、サーバの記憶部に記憶した運転データも通信部が通信で取得した運転データを一旦記憶部に記憶させているものであるので、いずれの場合もサーバは、通信部が取得した運転データとサービスデータとを比較することになる。
【0108】
上記実施形態では、産業車両としてフォークリフトを用いた場合として説明したがこれに限定されない。産業車両としては、フォークリフト以外の、走行部と作業部とを備えている車両を用いることができる。産業車両としては、例えば、ショベルカー、ダンプカー、ブルドーザを用いることができる。なお、産業車両としてフォークリフト以外の車両を用いる場合、上記実施形態の荷役関連保守費用は、作業部に関連する保守費用とし、積載時間は、作業部が作業を実行していた作業時間とする。これにより、産業車両を好適に管理することができる。