【文献】
Chen,Y.,et al.,“Recent Advances in the Treatment of Amyotrophic Lateral Sclerosis. Emphasis on Kynurenine Pathway Inhibitors”,Cent. Nerv. Syst. Agents Med. Chem.,2009年 3月,Vol.9,No.1,p.32-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パーキンソン病、ハンチントン病、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、双極性障害または急性躁病であるBDNF関連疾患を患うヒト対象における脳由来神経栄養因子(BDNF)の濃度を増加するための薬物の製造におけるラキニモドまたはその薬学的に許容される塩の使用であって、ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩が対象に対して定期的に投与するために製剤化されていることを含む使用。
ラキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、0.1mg/日〜40.0mg/日の用量での投与のために製剤化されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
BDNF関連疾患が、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)をもつ患者における鬱病、亜症候群性の症候性鬱病、不妊症の女性における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、児童虐待に誘発される鬱病、産後鬱病、DSM−IVの大鬱病、治療抵抗性の大鬱病、重篤な鬱病、精神病性鬱病、脳卒中後の鬱病、神経障害性疼痛、混合エピソードを伴う躁鬱病および鬱病性のエピソードを伴う躁鬱病を含む躁鬱病、季節性情動障害、双極性鬱病BP I、双極性鬱病BP II、および気分変調を伴う大鬱病からなる群
より選択される抑鬱障害である請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
BDNF関連疾患が、全般性不安、パニック障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、分離不安および小児期不安からなる群より選択される不安障害である請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
パーキンソン病、ハンチントン病、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、双極性障害または急性躁病であるBDNF関連疾患を患うヒト対象を治療するための薬物の製造におけるラキニモドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
BDNF関連疾患を患うヒト対象を治療するために有効な量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩およびリルゾールまたはフルオキセチンである第2のBDNF増加剤を含む医薬製剤。
BDNF関連疾患がパーキンソン病、ハンチントン病、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、双極性障害または急性躁病である請求項13に記載の医薬製剤。
【背景技術】
【0003】
神経栄養因子は、自然に生じる細胞死、細胞分化および細胞突起成長などの、発生事象に重大な影響を有する(Snider、1989)。脳由来神経栄養因子(BNDF)は、成長因子のニューロトロフィンファミリーに属する神経栄養因子である。BDNFは、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)の特定のニューロンに作用して、既存のニューロンの生存を支援し、新しいニューロンおよびシナプスの成長および分化を促すのを助ける(Acheson、1995;Huang、2001)。BDNFを増加することは、パーキンソン病、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、抑鬱障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害および急性躁病を含む多くの障害の治療と関連してきた。
【0004】
パーキンソン病は、運動制御、言語および他の機能を損なう脳の慢性および進行性の変性疾患である。パーキンソン病の最も目立つ特徴の1つは、それが、主として、脳の中の限られたニューロン集団に影響を及ぼすことである。他のニューロンも影響を受けるが、黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンは、疾患の過程に対して最も脆弱である(Chesselet、2003)。BDNFは、中脳ドーパミン作動性ニューロンの生存および形態に強い影響を有し、それらの生存を増大するので、これが失われると、パーキンソン病(PD)におけるこれらの細胞の死滅の原因になる可能性がある(Hyman、1991;Howell、2000)。
【0005】
ハンチントン病(HD)は、運動、認知および精神医学的な症状と、大脳皮質中の基底核におけるニューロンの進行性の変性とを特徴とする神経変性障害である。HDを患う患者は、健常対照と比べて、血清中の著しく低いBDNF濃度を有する(Ciammola、2007)。
【0006】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、皮質、延髄および脊髄の運動ニューロンの変性を含む慢性消耗性神経変性疾患である。リルゾール(2−アミノ−6−[トリフルオロメトキシ]ベンゾチアゾール)は、ALSにおける生存を延長するグルタミン酸作動性神経伝達のアンタゴニストである(Riviere、1998)。リルゾールは、ラットの脳内におけるBDNF濃度を著しく上昇することにより、前駆体の増殖を促進することも示されている(Katoh−Semba、2002)。
【0007】
鬱病は、BDNFが効果を有することが示されている別の徴候である。多くの調査を包含するメタ分析において、鬱病患者は、健常対照対象より低いBDNF濃度を有することが示され、抗鬱療法は、治療後の鬱病患者におけるBDNF濃度を増加することが示されている(Sen、2008)。
【0008】
色素性網膜炎は、網膜の光受容細胞の損失と関連した疾患である。ヒトの常染色体劣性の色素性網膜炎において変異が認められている同じ遺伝子における変異を患うrdマウスからの網膜の外植片の培養により、BDNFは、外側の顆粒層の中の光受容核の数の増加を示すことが示されている(Caffe Romeo、2001)。このことは、色素性網膜炎を患うヒトにおいてBDNF濃度を増加することにより、疾患の進行を遅くし得ることを示唆している。
【0009】
勃起不全は、BDNFと関連することが示されている別の疾患である。米国特許第7485311号、例3において、AAV−BDNFの海綿体注射を用いた、両側海綿体神経凍結モデルにおけるラットの処理が、両側海綿体神経の電気刺激に対する応答において最大陰茎海綿体圧を改善することが示された。
【0010】
BNDFはまた、学習および記憶に関連する。BNFノックアウトマウスの遺伝子組換えマウスのモデルにおいて、BDNF産生の機能障害は、成年期における、特に初期発生の間における学習および記憶の機能障害を引き起こすことが示されている(Monteggia、2007)。ラットのモデルにおいて、海馬の中の内因性BDNFが記憶形成に関与していることが示された。機能阻害の抗BDNF抗体の注入は、恐怖に動機付けされた学習のモデルにおいて、短期および長期の記憶を傷害することが示された一方で、組換え型のヒトのBDNFの注入は、長期の記憶保持を促進した(Alonsa、2005)。学習または記憶の改善を必要とするヒトの患者においてBDNF濃度を増加することはまた、短期および長期の記憶を改善し得る。
【0011】
レット症候群(RTT)は、X連鎖の神経発生障害および女性における重篤な精神遅滞の主要な原因であり、世界中の出生の1:10000〜15000に影響を与えている(Amaral、2007)。この疾患は、遺伝子MeCP2における変異に関連している。MeCP2の標的の1つはBDNF遺伝子である。これは、レット症候群におけるBDNF発現の調節解除が、患者において観察される構造上の異常、特に、樹状突起の分岐の減少および樹状突起棘の損失の原因であり得ることを示唆している(Amaral、2007)。これは、レット症候群においてBDNF濃度を増加することが、この疾患の治療において実行可能な療法であり得ることを示唆している。
【0012】
急性躁病を患う双極性障害の患者において、BDNFの濃度は、患者が治療されているか治療されていないかに応じて、変化することが示された。既知の躁病治療での治療前では、BDNF濃度は健常対照よりも低いことが認められたが、治療時には、治療されている患者と対照とでの血清中のBDNF濃度の違いは顕著ではなかった(Tramontina、2009)。それを必要とする患者においてBDNF濃度を増加することにより、急性躁病を治療することが可能であるかもしれない。
【0013】
リルゾール、およびフルオキセチン(Prozac(登録商標))などの抗鬱剤を含むいくつかの薬剤は、BDNF濃度を増加することが確認されている。(Katoh−Semba、2002;Molteni、2006)
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ベースラインにおいて、プラセボの群とラキニモド0.6mgの群とを比較したBDNFの一元配置分析を示す図。
【
図2】12週(V3)において、プラセボの群とラキニモド0.6mgの群とを比較したBDNFの一元配置分析を示す図。
【
図3】36週(V9)において、プラセボの群とラキニモド0.6mgの群とを比較したBDNFの一元配置分析を示す図。
【
図4A】例2.1において行った強制水泳試験の結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d po)は、抗鬱活性を示し、1mg/kg、p.o.の投与が最も活性であった。FSTにおけるBalb Cマウスの移動距離[cm]におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg/d×4、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg/d×4、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図4B】例2.1において行った強制水泳試験の結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、1mg/kg、p.o.の投与が最も活性であった。FSTにおけるBalb Cマウスの速度(cm/s)におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg/d×4、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg/d×4、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図4C】例2.1において行った強制水泳試験の結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、1mg/kg、p.o.の投与が最も活性であった。FSTにおけるBalb Cマウスの移動(移動時間)におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg/d×4、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg/d×4、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図4D】例2.1において行った強制水泳試験の結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、1mg/kg、p.o.の投与が最も活性であった。FSTにおけるBalb Cマウスの合計静止時間[10%]におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg/d×4、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg/d×4、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図5A】例2.2において行った強制水泳試験の結果を示す図(対照に対する
*p<0.01)。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、5および25mg/kgの用量は、有意な抗鬱活性を誘導した。FSTにおけるBalb Cマウスの移動距離[cm]におけるラキニモド(0.5、1、5、25mg/kg、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図5B】例2.2において行った強制水泳試験の結果を示す図(対照に対する
*p<0.01)。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、5および25mg/kgの用量は、有意な抗鬱活性を誘導した。FSTにおけるBalb Cマウスの速度におけるラキニモド(0.5、1、5、25mg/kg、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図5C】例2.2において行った強制水泳試験の結果を示す図(対照に対する
*p<0.01)。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、5および25mg/kgの用量は、有意な抗鬱活性を誘導した。FSTにおけるBalb Cマウスの移動(合計時間)におけるラキニモド(0.5、1、5、25mg/kg、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図5D】例2.2において行った強制水泳試験の結果を示す図(対照に対する
*p<0.01)。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、抗鬱活性を示し、5および25mg/kgの用量は、有意な抗鬱活性を誘導した。FSTにおけるBalb Cマウスの合計静止時間[10%]におけるラキニモド(0.5、1、5、25mg/kg、p.o.、−90)およびフルオキセチン(10mg/kg、−90分、p.o.)の効果[4分]。
【
図6A】例3.1において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)はBalb/cマウスによるオープンフィールドにおいて一般的な移動性のパラメータを改変することはなかった。オープンフィールド試験におけるBALB/cマウスの移動距離[cm]におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg、po、−90分)およびフルオキセチン(10mg/kg、po、−90分)ならびに組合せの効果[20分]。
【
図6B】例3.1において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)はBalb/cマウスによるオープンフィールドにおいて一般的な移動性のパラメータを改変することはなかった。オープンフィールド試験におけるBALB/cマウスの平均速度[cm/s]におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg、po、−90分)およびフルオキセチン(10mg/kg、po、−90分)ならびに組合せの効果[20分]。
【
図6C】例3.1において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)はBalb/cマウスによるオープンフィールドにおいて一般的な移動性のパラメータを改変することはなかった。オープンフィールド試験におけるBALB/cマウスの合計静止時間におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg、po、−90分)およびフルオキセチン(10mg/kg、po、−90分)ならびに組合せの効果[20分]。
【
図6D】例3.1において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)はBalb/cマウスによるオープンフィールドにおいて一般的な移動性のパラメータを改変することはなかった。オープンフィールド試験におけるBALB/cマウスの合計強移動性時間[秒]におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg、po、−90分)およびフルオキセチン(10mg/kg、po、−90分)ならびに組合せの効果[20分]。
【
図7A】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2)においてより活性であった。
【
図7B】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2)においてより活性であった。
【
図7C】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2)においてより活性であった。
【
図7D】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2)においてより活性であった。
【
図8A】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であった。1mg/kgが最も強い用量であることが示された。
【
図8B】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であった。1mg/kgが最も強い用量であることが示された。
【
図8C】例3.1において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。(N=5匹/群)ラキニモド(1〜25mg/kg/d×3d、po)は、不安を軽減する効果に向かう傾向を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であった。1mg/kgが最も強い用量であることが示された。オープンフィールド試験におけるBALB/cマウスの立ち上がり頻度におけるラキニモド(1、5、10、25mg/kg、po、−90分)およびフルオキセチン(10mg/kg、po、−90分)ならびに組合せの効果[20分]。
【
図9A】例3.2において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群、対照に対する
*p<0.05)ラキニモド(0.25〜25mg/kg/d×3d、po)は、Balb/cマウスでのオープンフィールドにおける運動性(0.5〜5mg/kg)のわずかな増加を誘発した。
【
図9B】例3.2において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群、対照に対する
*p<0.05)ラキニモド(0.25〜25mg/kg/d×3d、po)は、Balb/cマウスでのオープンフィールドにおける運動性(0.5〜5mg/kg)のわずかな増加を誘発した。
【
図9C】例3.2において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群、対照に対する
*p<0.05)ラキニモド(0.25〜25mg/kg/d×3d、po)は、Balb/cマウスでのオープンフィールドにおける運動性(0.5〜5mg/kg)のわずかな増加を誘発した。
【
図9D】例3.2において行ったオープンフィールド試験−運動性のパラメータの結果を示す図。(N=5匹/群、対照に対する
*p<0.05)ラキニモド(0.25〜25mg/kg/d×3d、po)は、Balb/cマウスでのオープンフィールドにおける運動性(0.5〜5mg/kg)のわずかな増加を誘発した。
【
図10A】例3.2において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であることを示した。フルオキセチンとラキニモド(0.5〜5mg/kg)の両方は、対照と対比して有意な不安を軽減する効果を示した。最も強い用量は、ラキニモド5mg/kgであった。
【
図10B】例3.2において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であることを示した。フルオキセチンとラキニモド(0.5〜5mg/kg)の両方は、対照と対比して有意な不安を軽減する効果を示した。最も強い用量は、ラキニモド5mg/kgであった。
【
図10C】例3.2において行ったオープンフィールド試験−不安のパラメータの結果(区域2+3の中)を示す図。ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示し、動物は、中央(区域2+3)においてより活性であることを示した。フルオキセチンとラキニモド(0.5〜5mg/kg)の両方は、対照と対比して有意な不安を軽減する効果を示した。最も強い用量は、ラキニモド5mg/kgであった。
【
図11A】例4.1において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図。ラキニモド(5および25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示した。ラキニモドは、オープンアームにおいて用量依存的な活性の増加を示した。用量25mg/kg、p.o.が、最も活性であった。
【
図11B】例4.1において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図。ラキニモド(5および25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示した。ラキニモドは、オープンアームにおいて用量依存的な活性の増加を示した。用量25mg/kg、p.o.が、最も活性であった。
【
図11C】例4.1において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図。ラキニモド(5および25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示した。ラキニモドは、オープンアームにおいて用量依存的な活性の増加を示した。用量25mg/kg、p.o.が、最も活性であった。
【
図11D】例4.1において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図。ラキニモド(5および25mg/kg/d×3d、po)は、有意な不安軽減効果を示した。ラキニモドは、オープンアームにおいて用量依存的な活性の増加を示した。用量25mg/kg、p.o.が、最も活性であった。
【
図12A】例4.2において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図(Balb/cマウスにおけるオープンアームパラメータ−5分、N=5匹/群)。ラキニモド(5〜25mg/kg/d×3d、po)が、有意な不安軽減効果を示した。
【
図12B】例4.2において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図(Balb/cマウスにおけるオープンアームパラメータ−5分、N=5匹/群)。ラキニモド(5〜25mg/kg/d×3d、po)が、有意な不安軽減効果を示した。
【
図12C】例4.2において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図(Balb/cマウスにおけるオープンアームパラメータ−5分、N=5匹/群)。ラキニモド(5〜25mg/kg/d×3d、po)が、有意な不安軽減効果を示した。
【
図12D】例4.2において行った高架式十字迷路モデルの結果を示す図(Balb/cマウスにおけるオープンアームパラメータ−5分、N=5匹/群)。ラキニモド(5〜25mg/kg/d×3d、po)が、有意な不安軽減効果を示した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願は、ヒト対象における脳由来神経栄養因子(BDNF)の血清濃度を増加する方法であって、ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するために有効な量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を対象に定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0022】
一実施形態において、その量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩の量は、1日に1回、ヒト対象に投与される。別の実施形態において、定期的な投与は、少なくとも3日間継続される。
【0023】
一実施形態において、投与されるラキニモドの量は、0.1mg/日〜40.0mg/日である。別の実施形態において、投与されるラキニモドの量は0.6mg/日である。別の実施形態において、その量のラキニモドは経口投与される。
【0024】
一実施形態において、対象は、BDNF関連疾患を患っている。別の実施形態において、BDNF関連疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害または急性躁病である。
【0025】
実施形態において、抑鬱障害は、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)をもつ患者における鬱病、亜症候群性の症候性鬱病、不妊症の女性における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、児童虐待に誘発された鬱病、産後鬱病、DSM−IVの大鬱病、治療抵抗性の大鬱病、重篤な鬱病、精神病性鬱病、脳卒中後の鬱病、神経障害性疼痛、混合エピソードを伴う躁鬱病および鬱病性のエピソードを伴う躁鬱病を含む躁鬱病、季節性情動障害、双極性鬱病BP I、双極性鬱病BP II、または気分変調を伴う大鬱病である。
【0026】
別の実施形態において、不安障害は、全般性不安、パニック障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、分離不安または小児期不安である。
【0027】
一実施形態において、その方法は、ある量の第2のBDNF増加剤を対象に定期的に投与することをさらに含む。
【0028】
一実施形態において、単独で服用したときの前記量の第2のBDNF増加剤は、対象におけるBDNF血清濃度を増加するために有効でない。
【0029】
一実施形態において、ラキニモドの投与は、第2のBDNF増加剤の投与に実質的に先行する。別の実施形態において、第2のBDNF増加剤の投与は、ラキニモドの投与に実質的に先行する。
【0030】
一実施形態において、対象に対する効果は、第2のBDNF増加剤単独により治療された対象に対する効果よりも大きい。別の実施形態において、対象におけるBDNF血清濃度の増加は、第2のBDNF増加剤単独により治療された対象におけるBDNF血清濃度の増加よりも大きい。
【0031】
一実施形態において、ラキニモドの薬学的に許容される塩はラキニモドナトリウムである。
【0032】
一実施形態において、投与前における対象の診断により、多発性硬化症、インスリン依存型糖尿病、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、脳卒中およびアルツハイマー病が除外された。
【0033】
本願はまた、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害および急性躁病からなる群から選択されるBDNF関連疾患を患うヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象を治療するために有効な量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0034】
本願はまた、ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための薬物の製造におけるラキニモドの使用を提供する。
【0035】
本願はまた、ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための使用のために有効な量のラキニモドを含む医薬組成物を提供する。
【0036】
本願はまた、ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための使用のために有効な量のラキニモドおよび第2のBDNF増加剤を含む医薬製剤を提供する。
【0037】
前述の実施形態について、本明細書において開示されるそれぞれの実施形態は、他の開示された実施形態のそれぞれに対して適用可能であると考えられる。
【0038】
用語
本明細書において用いられるとき、他に言及がない限り、以下の用語のそれぞれは以下に示される定義を有する。
【0039】
本明細書において用いられるとき、「対象に投与すること」は、病的な状態を軽減または治癒するために、対象に薬物、薬剤または治療薬を与えること、調剤すること、または適用することを意味する。経口投与は、対象に当該化合物を投与する1つの方法である。
【0040】
本明細書において用いられるとき、「BDNF」は、脳由来神経栄養因子を意味し、神経栄養因子は、成長因子のニューロトロフィンファミリーに属する。
【0041】
本明細書において用いられるとき、「BDNF関連疾患」は、疾患を患う患者が、対応する健康な個体のBDNF血清濃度より低いBDNF血清濃度を有する疾患、および/またはその疾患を患う患者におけるBDNFの増加が、疾患もしくはその症状の回復に関連する疾患である。
【0042】
本明細書において用いられるとき、「BDNF増加剤」は、対象におけるBDNF濃度を、直接的または間接的に上昇させる任意の薬剤である。例えば、BDNF増加剤は、リルゾールまたはフルオキセチンなどの抗鬱剤であってよい。本明細書において用いられるとき、「剤」の用語は、任意の分子、化合物、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、抗体もしくは薬剤、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0043】
本明細書において用いられるとき、ラキニモドの「量」または「用量」は、ミリグラムで測定される際には、製剤の形態に関係なく、製剤中に存在するラキニモド酸のミリグラムを指す。例えば、ラキニモド0.6mgは、製剤の形態に関係なく、製剤中におけるラキニモド酸の量が0.6mgであることを意味する。したがって、塩、例えばラキニモドナトリウム塩の形態であるとき、ラキニモド0.6mgの用量を提供するのに必要な塩の形態の重量は、追加の塩のイオンの存在により0.6mgを超えるが、モル当量である。
【0044】
本明細書において用いられるとき、目的を達成するための有効量であるときの「有効」は、本開示の様式で用いられるときに妥当な利益/リスクの比率と釣り合い、過度で有害な副作用(毒性、刺激またはアレルギー反応など)がない治療反応を示すために十分である成分量を意味する。例えば、過度で有害な副作用を引き起こすことなく、障害または疾患の症状を治療するための有効量。具体的な有効量は、治療される特定の状態、患者の身体的状態、治療される哺乳動物の種類、治療の期間、併用される治療(あるとすれば)の性質、ならびに用いられる具体的な処方、および化合物またはその誘導体の構造などの因子により変化する。
【0045】
「塩」は、化合物の酸または塩基の塩を作製することにより改変されている当該化合物の塩である。この観点における「薬学的に許容される塩」の用語は、本発明の化合物の、比較的非毒性な無機および有機の酸または塩基の付加塩を指す。
【0046】
ラキニモドの薬学的に許容される塩が使用されてもよい。本願において用いられるラキニモドの薬学的に許容される塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウムおよび鉄を含む。ラキニモドの塩の処方およびその製造方法は、例えば、米国特許出願公開第2005−0192315号およびPCT国際出願公開第2005/074899号に記載されており、それらは、ここに参照することにより本願に組み込まれる。
【0047】
本明細書において用いられるとき、「治療する」または「治療」は、例えば、障害および/または疾患の抑制、軽減または静止を誘発することを包含する。本明細書において用いられるとき、対象における病状進行または合併症の「抑制」は、対象における病状進行および/または合併症を防止または低減することを意味する。
【0048】
本明細書において用いられるとき、「薬学的に許容される担体」は、妥当な利益/リスクの比率と釣り合い、過度で有害な副作用(毒性、刺激またはアレルギー反応など)がなく、ヒトおよび/または動物による使用に適した担体または賦形剤を指す。それは、対象に当該化合物を送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁剤または媒体であってよい。
【0049】
本明細書において用いられるときの投与量単位は、単一の化合物、またはその化合物の混合物を含んでもよい。投与量単位は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末および顆粒などの、経口投与の形態のために調製されてよい。
【0050】
ラキニモドは、意図した投与形態の観点から適切に選択され、従来的な医薬の慣習と矛盾しない、適切な医薬の希釈剤、増量剤、賦形剤または担体(本明細書では薬学的に許容される担体と総称する)と混合して投与されてよい。この単位は、経口投与に適した形態にあってよい。ラキニモドは、単独で投与されてもよいが、一般に、薬学的に許容される担体と混合され、錠剤もしくはカプセルの形態で、リポソーム中で、または凝集された粉末として共投与される。適切な固体担体の例には、ラクトース、スクロース、ゼラチンおよび寒天を含む。カプセルまたは錠剤は、容易に処方することができ、嚥下または咀嚼が容易にできる;他の固体の形態には、顆粒および原薬粉末が挙げられる。錠剤は、適切な結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香料、流動誘発剤および溶融剤を含有してもよい。
【0051】
本発明の経口投与の形態を処方するために用いられ得る、技術、薬学的に許容される担体および賦形剤の具体例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0192315号、PCT国際出願公開第WO2005/074899、WO2007/047863およびWO/2007/146248に記載されており、それらのそれぞれは、ここに参照することにより本願に組み込まれる。
【0052】
本発明において有用な投与形態を作製するための一般的な技術および組成は、以下の参考文献、すなわち、7 Modern Pharmaceutics、9および10章(Banker & Rhodes編、1979);Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman他、1981);Ansel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第2版(1976);Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(Mack Publishing Company、ペンシルバニア州、イーストン、1985);Advances in Pharmaceutical Sciences(David Ganderton、Trevor Jones編、1992);Advances in Pharmaceutical Sciences 第7巻(David Ganderton、Trevor Jones、James McGinity編、1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms(Drugs and the Pharmaceutical Sciences、シリーズ36(James McGinity編、1989);Pharmaceutical Particulate Carriers:Therapeutic Applications:Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第61巻(Alain Rolland編、1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract(Ellis Horwood Books in the Biological Sciences.Series in Pharmaceutical Technology;J.G.Hardy、S.S.Davis、Clive G.Wilson編);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第40巻(Gilbert S.Banker、Christopher T.Rhodes編)に記載される。その全体にわたりこれらの参考文献は、ここに参照することにより本願に組み込まれる。
【0053】
錠剤は、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、香料、流動誘発剤および溶融剤を含有してもよい。例えば、錠剤またはカプセルの投与単位の形態での経口投与のために、活性な薬剤成分は、ラクトース、ゼラチン、寒天、澱粉、スクロース、グルコース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールおよび微結晶性セルロースなどの、経口の非毒性な薬学的に許容される不活性な担体と組み合わせてよい。適切な結合剤には、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベータ−ラクトースなどの天然糖、コーンスターチ、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然または人工のゴム、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスなどを含む。これらの投与形態の中で用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムおよびタルクなどを含む。崩壊剤は、これらに限定するものではないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウムおよび澱粉グリコール酸ナトリウムなどを含む。
【0054】
パラメータの範囲が与えられるとき、その範囲内のすべての整数、およびその10分の1の数値が、本発明により与えられると理解される。例えば、「0.1mg〜40.0mg」は、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mgなど40.0mgまでを含む。
【0055】
本発明は、以下の実験の詳細を参照することにより、より良く理解されるが、詳細に述べられる具体的な実験が、以下の特許請求の範囲においてより完全に説明される本発明の例示に過ぎないことは、当業者により容易に認識されるだろう。
【0056】
実験の詳細
例1:再発寛解型多発性硬化症を患うヒト対象におけるBDNF濃度に対するラキニモドの効果を示す臨床試験
1日当たり0.6mgのラキニモドを、ナトリウム塩の形態で、経口で1日1回の錠剤の処方で用い、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の患者における試験を開始した。調査は、多国籍、多施設、無作為化、二重盲検、並行群間比較、プラセボ対照試験でありRRMSを有する対象における2用量のラキニモド投与の有効性、耐容性および安全性を評価した。適格な対象を、以下の3つの群に無作為化した:
1.1日1回の経口(p.o.)の0.6mgのラキニモド;
2.1日1回の経口(p.o.)の0.3mgのラキニモド;および
3.1日1回の経口(p.o.)の対応するプラセボ。
【0057】
対象は、試験に含めるべき以下の試験対象患者基準を満たさなければならない;
1.マクドナルド基準により定義される確定されたMSの診断;
2.RRMS疾患の経過;
3.スクリーニング以前の12か月に少なくとも1回の記録された再発数n;
4.それらのMRIスキャンスクリーニングにおいて少なくとも1つのガドリニウム増強のある病変;
5.Kurtzke EDSSスコアが1.0〜5.0(変換済)であり歩行可能;
6.18〜50歳の間(両端を含む)の年齢;
7.スクリーニング時のMRIスキャン以前の少なくとも30日間に無再発、およびコルチコステロイドまたはACTH不使用;
8.スクリーニングから無作為化までの間に無再発、およびコルチコステロイド不使用;
9.受胎調節のための確かな方法が実施された出産可能な女性;
10.調査期間中においてプロトコルの要件に従うことを厭わない、または従うことができる;および
11.試験の開始前に、署名された書面でのインフォームドコンセントが可能である。
【0058】
以下の臨床試験除外基準の何れかの1つを満たす対象を試験から除外した:
1.何れかの形態の進行性MSを患っている;
2.スクリーニング来診以前の6か月以内の免疫抑制性または細胞毒性性治療の使用(アザチオプリン、シクロホスファミドおよびメトトレキサートを含む);
3.スクリーニング以前の6か月以内の実験的薬物の使用および/または薬物臨床試験への参加;
4.スクリーニング以前の2か月以内の免疫調節剤(IFN−β 1aおよび1b、酢酸ガラティラメル、ラキニモドならびにIVIGを含む)による先の治療;
5.ベースライン来診以前の2週間以内のCYP3A4の強力阻害剤、例えば、経口のケトコナゾールおよびエリスロマイシンの使用;
6.アミオダロンの先の使用;
7.ベースライン来診以前の1か月におけるフルオキセチンの使用;
8.スクリーニング以前の2週間以内のテオフィリンおよびワルファリンなどのCYP1A2の基質の使用;
9.スクリーニング来診以前の最近2年以内のクラドリビンによる先の治療;
10.潜在的に免疫抑制が禁忌となる対象、例えば、B/C型肝炎またはHIV;
11.先の全身放射線照射または全身リンパ組織放射線照射;
12.スクリーニング以前の2カ月以内の長期のコルチコステロイド治療(30日または30日以上の継続);
13.妊娠または授乳中;
14.病歴、身体検査、ECG、アブノーマル臨床検査および胸部X線により決定されるような、安全且つ完全な試験の参加を不可能にする臨床上著しいまたは不安定な内科的または外科的状態を有する対象、
15.インフォームドコンセントを与えることが不可能、もしくは試験の完了が不可能、または対象が任意の理由のために試験に不適切な候補者であると試験員にみなされた場合;
16.Gdに対する感受性の既知の病歴;または
17.MRIスキャニングを無事に受けることが不可能。
【0059】
試験期間は40週であり、2つの期間からなった;4週のスクリーニング期間(−4週[スクリーニング]から0週[ベースライン])、および36週の二重盲検治療(0週[ベースライン]から36週[終了])。
【0060】
対象を、−4、0、4、8、12、16、20、24、28、32および36週で試験場において評価した。炎症マーカーのための試料を、0から36週ですべての来診時に収集した。
【0061】
血清中のBDNF濃度を、プラセボ群(102人の患者がその群中にいた)およびラキニモド0.6mg群(106人の患者がその群中にいた)の患者において、0週(V0)、12週(v3)および36週(V9)で測定した。血漿中のBDNF含有量の分析はサンドイッチELISA法を用いて行った。血清中のBDNF濃度はpg/mLを単位として表す。
【0062】
結果
以下の表中における結果は、ラキニモド0.6mg/日群とプラセボ群の両方における平均BDNF濃度を表す。
【0063】
ベースラインの値(V0にて)
【表1】
【表2】
【0064】
12週の値(V3にて)
【表3】
【表4】
【0065】
36週の値(V9にて)
【表5】
【表6】
【0066】
V3から開始して、プラセボ群とラキニモド0.6mg群との間で統計的に有意なBDNFの上昇がある(信頼水準95%で)。その差はまた、V9でも統計的に有意であった。
【0067】
ラキニモドは、実験的な自己免疫性脳脊髄炎(aEAE)のモデルにおいて有効であり、現在、MSの患者において試験されている(III相の臨床試験において)ので、多発性硬化症(MS)の治療におけるその使用の可能性が示唆される。ラキニモドも、その患者におけるBDNF濃度を上昇するのに有効である。
【0068】
BDNF濃度を上昇するラキニモドの能力は予想外である。MSの治療とBDNF濃度の増大との間の関係自体は立証されていなかった。MSを治療するのに有効であるすべての薬剤が、BDNF濃度を上昇するのに有効であるとは限らない。最近の研究は、インターフェロン−β1aおよびイムノグロブリンによる治療が、12ヵ月後でさえ、治療が有益であるMS患者においてさえ、血漿BDNF濃度の増大を示さないことを示した(Sarchielli、2007)。ラキニモドが、治療のわずか12週後に患者におけるBDNF濃度を上昇するという知見は予想外である。
【0069】
例2:ラキニモドはマウスモデルにおける抗鬱活性を示す−強制水泳試験(FST)
鬱病および不安障害は、約7〜20%の生涯有病率を有する厄介な疾患である。動物モデルは、新規な抗鬱剤を確認するための探索において不可欠な手段である。様々なパラダイムが開発されており、前臨床の設定において新規な化合物の抗鬱様の可能性を検出するために役立つ(Cryan、2002;Ganbarana、2001)。
【0070】
強制水泳試験(FST)は、前臨床的に抗鬱活性をスクリーニングするために最も広く用いられる手段の1つである。急性試験は、Porsoltら(1977)により初めて記載された。
【0071】
試験は、ラットおよびマウスが逃げ出せない水の円筒中に配置されたときに静止した姿勢を発現するという観察に基づく。この行動は、ストレス性の状態に対処する活動的な行動とは対照的に、行動上の諦めであるとみなされる。抗鬱剤は、齧歯動物の静止を減少し、動機づけされた行動を増加して、諦めの状態を回避する。これは、水泳時間、移動距離、速度および壁を登る試み(強移動性)の増加により証明される。
【0072】
FSTは、高い信頼性と予測の妥当性のあるスクリーニング手段とみなされる。この試験は、マウスおよびラットで実施される。
【0073】
以下に記載する例2.1および2.2において、FSTを、薬剤投与の3日後に最後の薬剤投与の90分後に雄性マウス(Ballb/c Harlan イリノイ州)において行った。直径18cmおよび深さ20cmの丸いガラスの円筒を用いた。水温は24〜28℃であった。動機付けされた行動を、静止、水泳および強移動性により定義した。
【0074】
動物における静止は、Noldusのシステムにより測定したときに、動物の重心の移動が10%よりも小さい移動により定義された。水泳は、動物の距離および速度により定義され、登ることは、強移動性(30%より大きい動物の重心の移動)と関係する。動物は、6分間にわたり円筒の中に放たれ、スコアリングは、2分の順応の後に最後の4分間に行った。
【0075】
すべての結果は、動物の行動の分析のためのカメラとソフトウエアとを含むNoldus(オランダ)のシステムにより分析された。
【0076】
例2.1
Balb/cマウスを、6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で、経口で1、5、10および25mg/kg)、フルオキセチン(陽性対照、経口で10mg/kg)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは強制水泳試験を受けた。行動はビデオ記録され、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。結果を
図4に示す。
【0077】
結論
結果は、ラキニモドは、1mg/kgでの移動性の増大および静止の減少と、より多い用量(25mg/kgのラキニモド)での有意性への傾向とにより表わされるように有意な抗鬱活性を示したことを示す。この実験において、陽性対照のフルオキセチンは、おそらく時間および用量が不最適な条件であったことにより有意な効果を示さなかった。
【0078】
例2.2
Balb/cマウスを6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で0.5、1、5および25mg/kg、p.o.)、フルオキセチン(陽性対照、10mg/kg、po)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは強制水泳試験に曝された。行動はビデオ記録され、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。結果を
図5に示す。
【0079】
結論
結果は、ラキニモドが、5および25mg/kgで移動性の増加および静止の減少により表わされるように有意な抗鬱活性を示したことを示す。陽性対照のフルオキセチンは、同じ活性の傾向を示した。これは、おそらく時間および用量が不最適な条件であることによる。
【0080】
例3:ラキニモドはマウスのモデルにおける抗鬱活性を示す−オープンフィールド試験
不安障害は、異常で病的な恐怖および不安のいくつかの異なる形態を包含する網羅的な用語である。現在の精神医学的な診断基準は、広く様々な不安障害を認めている。最近の調査により、18%ものアメリカ人がそれらの1または1以上の影響を受け得ることが分かっている(Kessler他)。この障害は、全般性不安、パニック障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、分離不安および小児期不安を含むいくつかの分類に分けられる。
【0081】
長期にわたり投与された抗鬱剤、特に選択的セロトニン(5−HT)再取込阻害剤(SSRI)は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)および強迫性障害(OCD)を含むすべての不安障害の治療において臨床的に有効であるが、ベンゾジアゼピン(BDZ)などの従来の抗不安剤の臨床効果は、全般性不安障害または急性パニック発作に限定される(Borsini他)。従って、抗鬱剤の潜在的な抗不安効果は非常に妥当である。
【0082】
オープンフィールド試験−以下に記載する例3.1および3.2において用いられる探索的な自発運動活性は、動物の行動の評価において最も普及しているものの1つである。それは、運動性パラメータと不安の両方を試験する(Prutら)。個々のマウスを、床が3つの数字の区域、すなわち、より外側の周辺の区域1、中間の区域2、および最も中央の区域3に分割された、新しい50×50cmのプレキシガラスの活動領域の中に置く。オープンフィールドにおける動物の行動は、ビデオテープ記録により20分間にわたり記録され、次に、動物の行動についてNoldusソフトウエアを用いてデジタル分析される。測定は、一般的な運動性(移動距離、速度および強移動性)および不安パラメータ(中央の領域への巡回の頻度、内側のフィールド内で過ごした時間、および中央における立ち上がり現象の回数を含む)を含む。動物がより多く中央に留まり行動するほど、その不安は少ない。
【0083】
例3.1
Balb/c雄性マウスを、6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で1、5、10および25mg/kg、p.o.)、フルオキセチン(陽性対照、10mg/kg、po)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは20分間にわたりオープンフィールドに曝された。挙動はビデオ記録され、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。運動性パラメータに関する結果を
図6に示す。不安パラメータに関する結果を
図7および8に示す。
【0084】
結論
運動性パラメータ −ラキニモドおよびフルオキセチンは、このモデルにおけるフィールド内での運動性パラメータを有意に変更しなかった。
【0085】
不安パラメータ(区域2) −ラキニモドにより処理された動物およびフルオキセチンにより処理された動物は、頻度、消費時間、移動距離および立ち上がり回数の観点から、中央においてより多く行動する傾向があった。結果は、1mg/kgおよび5mg/kgが最も強力であったことを示す。
【0086】
不安のパラメータ(区域2および3) −ラキニモドにより処理された動物は、消費時間、移動距離および立ち上がり回数から証明されるように、中央においてより多く行動する傾向があった。結果は、1mg/kgがこの実験において最も強力なラキニモドの投与量であったことを示す。
【0087】
このモデルは、ラキニモドが抗不安作用を示すことを示す。
【0088】
例3.2
Balb/c雄性マウスを、6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で0.5、1、5および25mg/kg、p.o.)、フルオキセチン(陽性対照、10mg/kg、po)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは20分間にわたりオープンフィールド試験に曝された。行動はビデオ記録され、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。運動性パラメータの結果を
図9に示す。不安パラメータの結果を
図10に示す。
【0089】
結論
運動性パラメータ −ラキニモド(0.5〜25mg/kg/d×3d、po)は、Balb/cマウスにおけるオープンフィールドでの運動性(0.5〜5mg/kg)のわずかな増加を誘導した。
【0090】
不安パラメータ −ラキニモド(0.5〜5mg/kg、po)により処理された動物およびフルオキセチン(10mg/kg、po)により処理された動物は、頻度、消費時間および立ち上がり回数により判断されるように、中央において有意により多く行動した。5mg/kgが最も強力であった。
【0091】
このモデルは、ラキニモドが抗不安作用を示すことを示す。
【0092】
例4:ラキニモドはマウスモデルにおいて抗不安活性を示す−高架式十字迷路(EPM)
以下に記載される例4.1および4.2において用いられるEPMモデルは、オープンな高い場所を避ける齧歯動物の生まれつきの恐怖を利用する。装置は、床より上に高くした、2つの囲壁アームと2つの対向するオープンアームとを有する十字迷路からなる。未処置の動物は、オープンアーム上で試験時間の約30%のみを過ごすだけであるが、ベンゾジアゼピンによる処理は、オープンアームの探索を著しく増加する(Pellowら)。これは、不安様行動の影響を調査するために最も広く用いられるモデルの1つである。
【0093】
迷路は、地上50cmのプラットフォーム上の2つの対向するオープンアーム(40×10cm)と、2つの対向するクローズドアーム(40×10cm、40cmの壁をもつ)とからなる。マウスは、オープンアームに面する中央四角(10×10cm)内に配置され、5分の探索の間、ビデオテープに記録される。アーム進入および所要時間は、4本すべての足がアームに進入したときにスコア化された。
【0094】
例4.1
Balb/c雄性マウスを、6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で0.5、1、5および25mg/kg、p.o.)、フルオキセチン(陽性対照、10mg/kg、po)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは5分間にわたりEPMに曝された。マウスは、オープンアームに面する中央四角(10×10cm)内に配置され、5分の探索の間、ビデオテープ記録された。通路の進入および所要時間は、4本すべての足がアームに進入したときにスコア化された。行動は、ビデオ記録されて、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。結果を
図11に示す。
【0095】
結論
ラキニモドにより処理されたマウスは、用量依存的に抗不安効果を示す。最大の効果は、25mg/kg、poの用量で得られた。
【0096】
例4.2
Balb/c雄性マウスを、6つの群(5匹/群)に分けて、3日間にわたり毎日、ラキニモド(経管栄養によりラキニモドナトリウム溶液の形態で0.5、1、5および25mg/kg、p.o.)、フルオキセチン(陽性対照、10mg/kg、po)または媒体を投与した。3日目において投与後90分に、マウスは5分間にわたりEPMに曝された。行動はビデオ記録され、オープンアームパラメータが、Ethovisionソフトウエア(Noldus、オランダ)を用いて分析された。結果を
図12に示す。
【0097】
結論
ラキニモドにより処理されたマウスは、用量依存的に抗不安効果を示す。最大の効果は、5〜25mg/kg、poで得られた。
[付記]
[1] ヒト対象における脳由来神経栄養因子(BDNF)の血清濃度を増加する方法であって、ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するために有効な量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を対象に対して定期的に投与することを含む方法。
[2] 前記量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩が、1日に1回、ヒト対象に対して投与される前記[1]に記載の方法。
[3] 定期的な投与が、少なくとも3日間にわたり継続する前記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 投与されるラキニモドの量が、0.1mg/日〜40.0mg/日である前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 投与されるラキニモドの量が、0.6mg/日である前記[4]に記載の方法。
[6] 前記量のラキニモドが経口投与される前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 対象が、BDNF関連疾患を患っている前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] BDNF関連疾患が、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害または急性躁病である前記[7]に記載の方法。
[9] 抑鬱障害が、鬱病、癌患者における鬱病、パーキンソン病患者における鬱病、心筋梗塞後の鬱病、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)をもつ患者における鬱病、亜症候群性の症候性鬱病、不妊症の女性における鬱病、小児鬱病、大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、児童虐待に誘発される鬱病、産後鬱病、DSM−IVの大鬱病、治療抵抗性の大鬱病、重篤な鬱病、精神病性鬱病、脳卒中後の鬱病、神経障害性疼痛、混合エピソードを伴う躁鬱病および鬱病性のエピソードを伴う躁鬱病を含む躁鬱病、季節性情動障害、双極性鬱病BP I、双極性鬱病BP II、または気分変調を伴う大鬱病である前記[8]に記載の方法。
[10] 不安障害が、全般性不安、パニック障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、分離不安または小児期不安である前記[8]に記載の方法。
[11] ある量の第2のBDNF増加剤を対象に対して定期的に投与することをさらに含む前記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 単独で服用したときの前記量の第2のBDNF増加剤が、対象におけるBDNF血清濃度を増加するために有効ではない前記[11]に記載の方法。
[13] ラキニモドの投与が、第2のBDNF増加剤の投与に実質的に先行する前記[11]または[12]に記載の方法。
[14] 第2のBDNF増加剤の投与が、ラキニモドの投与に実質的に先行する、前記[11]または[12]に記載の方法。
[15] 対象における効果が、第2のBDNF増加剤単独で治療された対象における効果よりも大きい前記[11]〜[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16] 対象におけるBDNF血清濃度の増加が、第2のBDNF増加剤単独で治療された対象におけるBDNF血清濃度の増加よりも大きい前記[15]に記載の方法。
[17] ラキニモドの薬学的に許容される塩がラキニモドナトリウムである前記[1]〜[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18] パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、抑鬱障害、不安障害、色素性網膜炎、勃起不全、記憶障害、レット症候群、アルツハイマー病、双極性障害および急性躁病からなる群から選択されるBDNF関連疾患を患うヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象を治療するために有効な量のラキニモドまたはその薬学的に許容される塩を定期的に投与することを含む方法。
[19] ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための薬物の製造におけるラキニモドの使用。
[20] ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための使用のために有効な量のラキニモドを含む医薬組成物。
[21] ヒト対象におけるBDNF血清濃度を増加するための使用のために有効な量のラキニモドおよび第2のBDNF増加剤を含む医薬製剤。
【0098】
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