(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0014】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0015】
本実施形態に係る処理装置100について説明する。基板処理装置100は、高誘電率絶縁膜形成ユニットであり、
図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。基板処理装置では、上述のような半導体デバイスの製造の一工程が行われる。
【0016】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201、搬送空間203が形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板204が設けられる。上部処理容器202aに囲まれた空間であって、仕切り板204よりも上方の空間を処理空間(処理室ともいう)201と呼び、下部容器202bに囲まれた空間であって、仕切り板よりも下方の空間を搬送
空間と呼ぶ。
【0017】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口203を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0018】
処理室201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ載置台212を有する。なお、基板支持部210には、加熱部としてのヒータ213を設けても良い。加熱部を設けることにより、基板を加熱させ、基板上に形成される膜の品質を向上させることができる。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられていても良い。
【0019】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び支持台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0020】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるよう基板支持台まで下降し、ウエハ200の処理時には
図1で示されるように、ウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0021】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。なお、リフタピン207に昇降機構を設けて、基板載置台212とリフタピン207が相対的に動くように構成してもよい。
【0022】
(排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁側面には、処理室201の雰囲気を排気する第1排気部としての排気口221が設けられている。排気口221には排気管222が接続されており、排気管222には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(AutoPressureController)等の圧力調整器223、真空ポンプ224が順に直列に接続されている。主に、排気口221、排気管222、圧力調整器223により、第1の排気部(排気ライン)220が構成される。なお、真空ポンプ224を第1の排気部に含めるように構成しても良い。
【0023】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられる後述のシャワーヘッド234の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241が設けられている。ガス導入口241に接続されるガス供給系の構成については後述する。
【0024】
(ガス分散ユニット)
ガス導入口241と処理室201との間には、ガス分散ユニットとしてのシャワーヘッド234が設けられている。ガス導入口241はシャワーヘッド234の蓋231に接続され、ガス導入口241から導入されるガスは蓋231に設けられた孔231aを介してシャワーヘッド234のバッファ空間232に供給される。
【0025】
なお、シャワーヘッドの蓋231を導電性のある金属で形成して、バッファ空間232又は処理室201内に存在するガスを励起するための活性化部(励起部)としても良い。この際には、蓋231と上部容器202aとの間には絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と上部容器202aの間を絶縁している。活性化部としての電極(蓋231)には、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給されるように構成されても良い。
【0026】
シャワーヘッド234は、バッファ空間232と処理室201の間に、ガス導入口241から導入されるガスを分散させるための分散板234を備えている。分散板234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、基板載置面211と対向するように配置されている。
【0027】
バッファ空間232には、供給されたガスの流れを形成するガスガイド235が設けられる。ガスガイド235は、孔231aを頂点として分散板234方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235の下端の水平方向の径は貫通孔234aの端部よりも更に外周に形成される。
【0028】
バッファ空間232の側方には、シャワーヘッド排気口235を介して、第2の排気部としての排気管236が接続されている。排気管236には、排気のオン/オフを切り替えるバルブ237、排気バッファ空間232内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器238、真空ポンプ239が順に直列に接続されている。
【0029】
(供給系)
シャワーヘッド234の蓋231に接続されたガス導入孔241には、共通ガス供給管150(後述の150a,150b,150c,150d)が接続されている。共通ガス供給管150からは、後述の処理ガス、反応ガス、パージガスが供給される。
【0030】
(制御部)
図1に示すように基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0031】
コントローラ260の概略を
図2に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262が接続可能に構成されている。
【0032】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0033】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ205、昇降機構218、ヒータ213、圧力調整器223,238、真空ポンプ224,239、整合器251、高周波電源252等に接続されている。また、後述の、搬送ロボット105、大気搬送ユニット102、ロードロックユニット103、マスフロコントローラ(MFC)115a,115b,115c,115d,125a,125b,125c,125d,135a,135b,135c,135d、バルブ237、処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d),126(126a,126b,126c,126d),136(136a,136b,136c,136d)、タンク側バルブ160,ベントバルブ170(170a,170b,170c,170d)、リモートプラズマユニット(RPU)124等にも接続されていても良い。
【0034】
CPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置260からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ205の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、ヒータ213への電力供給動作、圧力調整器223,238の圧力調整動作、真空ポンプ224,239のオンオフ制御、リモートプラズマユニット124のガスの活性化動作、MFC115a,115b,115c,115d,125a,125b,125c,125d,135a,135b,135c,135dの流量調整動作、バルブ237,処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d),126(126a,126b,126c,126d),136(136a,136b,136c,136d)、タンク側バルブ160、ベントバルブ170(170a,170b,170c,170d)のガスのオンオフ制御、整合器251の電力の整合動作、高周波電源252のオンオフ制御等を制御するように構成されている。
【0035】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0036】
(2)基板処理工程
次に、基板処理工程の例について、半導体デバイスの製造工程の一つである、処理ガスとしてTiCl4(塩化チタニウム)ガス及び反応ガスとしてのNH3(アンモニア)ガスを用いてチタニウム窒化(TiN)膜を形成する例で説明する。
【0037】
図3は、本実施形態に係る基板処理装置により実施される基板処理の一例を示すシーケンス図である。
図3の様に、基板処理は、少なくとも基板搬入工程S102と成膜工程S104と基板搬出工程S106を有する。以下にそれぞれの工程について詳しく説明する。
【0038】
(基板搬入工程S102)
成膜処理に際しては、先ず、ウエハ200を処理室201に搬入させる。具体的には、基板支持部210を昇降機構218によって、下降させ、リフトピン207が、貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201内を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ205を開放し、ゲートバルブ205からリフトピン207上にウエハ200を載置させる。ウエハ200をリフトピン207上に載置させた後、昇降218によって基板支持部210を所定の位置まで上昇させることによって、ウエハ200が、リフトピン207から基板支持部210へ載置されるようになる。
【0039】
(成膜工程S104)
続いて、ウエハ200に所望の膜を成膜する工程を施す。成膜工程S104の詳細について、
図4(a)を用いて説明する。
【0040】
ウエハ200が基板支持部210に載置され、処理室201内の雰囲気が安定した後、
図4(a)に示す、S202〜S214のステップが行われる。
【0041】
(第1の処理ガス供給工程S202)
第1の処理ガス供給工程S202では、第1の処理ガス供給系から処理室201内に第1の処理ガス(原料ガス)としてのTiCl4ガスを供給する。また、排気系による処理室201内の排気を継続し処理室201内の圧力を所定の圧力(第1圧力)となるように制御する。具体的には、第1ガス供給管111(111a,111b,111c,111dのいずれか)に設けられた処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116dのいずれか)を開き、第1ガス供給管111にTiCl4ガスを流す。TiCl4ガスは、ガス供給管112から流れ、マスフローコントローラ115(115a,115b,115c,115dのいずれか)により流量調整される。流量調整されたTiCl4ガスは、シャワーヘッドのガス供給孔234aから、減圧状態の処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してTiCl4ガスが供給されることとなる(原料ガス(TiCl4)供給工程)TiCl4ガスは、所定の圧力(第1圧力:例えば100Pa以上20000Pa以下)で処理室201内に供給する。このようにして、ウエハ200にTiCl4を供給する。TiCl4が供給されることにより、ウエハ200上に、チタニウム含有層が形成される。チタニウム含有層とは、チタニウム(Ti)または、チタニウムと塩素(Cl)を含む層である。
【0042】
(第1のシャワーヘッドパージ工程S204)
ウエハ200上にチタニウム含有層が形成された後、第1ガス供給管111の処理室側バルブ116を閉じ、TiCl4ガスの供給を停止する。このとき、排気管236の、バルブ237を開き、排気管236を介して、バッファ空間232内に存在するガスを排気ポンプ239から排気する。このとき、排気ポンプ239は事前に作動させておく。APCバルブ238により、排気管236とシャワーヘッド234内の圧力(排気コンダクタンス)を制御する。排気コンダクタンスは、バッファ空間232における第1の排気系からの排気コンダクタンスが、処理室201を介した排気ポンプ224のコンダクタンスよりも高くなるようにバルブ125aの開閉弁及び真空ポンプ239を制御する。このように調整することで、バッファ空間232の中央からシャワーヘッド排気口231bに向けたガス流れが形成される。このようにすることで、バッファ空間232の壁に付着したガスや、バッファ空間232内に浮遊したガスが処理室201に進入することなく第1の排気系から排気できるようになる。なお、処理室201から、バッファ空間232内へのガスの逆流を抑制するようにバッファ空間232内の圧力と処理室201の圧力(排気コンダクタンス)を調整しても良い。
【0043】
また、ここで、パージとは、単に真空引きしてガスを排出すること以外に、不活性ガスの供給による処理ガスの押し出し動作も意味する。よって、パージ工程で、バッファ空間232内に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出動作を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0044】
(第1の処理室パージ工程S206)
所定の時間経過後、引き続き、第2の排気系の排気ポンプ224の動作を継続し、処理空間において、第2の排気系からの排気コンダクタンスが、シャワーヘッド230を介した第1の排気系からの排気コンダクタンスよりも高くなるようにAPCバルブ223の弁開度を調整する。このように調整することで、処理室201を経由した第2の排気系に向けたガス流れが形成され、処理室201内に残留するガスを排気することができる。また、ここで、処理室側バルブ136(136a,136b,136c,136d)を開き、MFC135(135a,135b,135c,135d)を調整し、不活性ガスを供給することによって、不活性ガスを確実に基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率が高くなる。
【0045】
処理室パージ工程において供給された不活性ガスは、第1の処理ガス供給工程S202でウエハ200と結合できなかったチタニウム成分を、ウエハ200上から除去する。更には、バルブ237を開け、圧力調整器238、真空ポンプ239を制御してシャワーヘッド230内に残留したTiCl4ガスを除去しても良い。所定の時間経過後、バルブ136を閉じて、不活性ガスの供給を停止すると共に、バルブ237を閉じてシャワーヘッド234と真空ポンプ239の間を遮断する。
【0046】
より好ましくは、所定時間経過後、第2の排気系の排気ポンプ224を引き続き作動させつつ、バルブ237を閉じることが望ましい。このようにすると、処理室201を経由した第2の排気系に向けた流れが第1の排気系の影響を受けないので、より確実に不活性ガスを基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率を更に向上させることができる。
【0047】
なお、処理室のパージも単に真空引きしてガスを排出すること以外に、不活性ガスの供給による処理ガスの押し出し動作も意味する。よって、パージ工程で、バッファ空間232内に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出動作を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0048】
また、このとき、処理室201内や、シャワーヘッド234内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われる工程において悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するN2ガスの流量も大流量とする必要は無く、例えば、処理室201の容積と同程度の量を供給することで、次の工程において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、製造スループットを向上させることができる。また、N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0049】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への原料ガス供給時と同様に200〜750℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは300〜550℃の範囲内の一定の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いても良い。
【0050】
(第2の処理ガス供給工程S208)
第1の処理室パージ工程の後、バルブ126aを開け、活性化部(励起部)としてのリモートプラズマユニット(RPU)124、ガス導入孔241、バッファ室232、複数の貫通孔234aを介して、処理室201内に第2の処理ガス(反応ガス)としての、活性化されたアンモニアガスを供給する。バッファ室232、貫通孔234aを介して処理室に供給するので、基板上に均一にガスを供給することができる。そのため、膜厚を均一にすることができる。
【0051】
このとき、NH3ガスの流量が所定の流量となるようにマスフローコントローラ125aを調整する。なお、NH3ガスの供給流量は、例えば、100sccm以上10000sccm以下である。また、APCバルブ223の弁開度を適正に調整することにより、処理容器202内の圧力を所定の圧力とする。また、NH3ガスがRPU124内を流れているときは、RPU124をON状態(電源が入った状態)とし、NH3を活性化(励起)させるように制御する。
【0052】
励起されたNH3ガスが、ウエハ200上に形成されているチタニウム含有層に供給されると、チタニウム含有層が改質される。例えば、チタン元素または窒素元素を含有する改質層が形成される。
【0053】
改質層は、例えば、処理室201内の圧力、NH3ガスの流量、ウエハ200の温度、RPU124の電力供給具合に応じて、所定の厚さ、所定の分布、チタン含有層に対する所定の窒素成分等の侵入深さで形成される。
【0054】
所定の時間経過後、バルブ126を閉じ、NH3ガスの供給を停止する。
【0055】
(第2のシャワーヘッドパージ工程S210)
NH3ガスの供給を停止した後、バルブ237を開き、シャワーヘッド230内の雰囲気を排気する。具体的には、バッファ室232内の雰囲気を排気する。このとき、真空ポンプ239は事前に作動させておく。
【0056】
バッファ室232における第1の排気系からの排気コンダクタンスが、第2の排気系からの処理室201を介した排気ポンプ224のコンダクタンスよりも高くなるように、バルブ237の開度またはAPCバルブ238の開度を調整する。このように調整することで、バッファ室232の中央からシャワーヘッド排気口231bに向けたガス流れが形成される。このようにして、バッファ室232の壁に付着したガスや、バッファ空間内に浮遊したガスが、処理室201に進入することなく第1の排気系から排気される。
【0057】
第2のシャワーヘッドパージ工程のパージについても第1のシャワーヘッドパージ工程のパージと同様に構成しても良い。
【0058】
(第2の処理室パージ工程S212)
所定の時間経過後、第2の排気系の排気ポンプ224を作動させつつ、処理空間において第2の排気系からの排気コンダクタンスが、シャワーヘッド230を介した第1の排気系からの排気コンダクタンスよりも高くなるようにAPC223,238の弁開度を調整する。このように調整することで、処理室201を経由した第2の排気系に向けたガス流れが形成され、ウエハ200上の残留ガスを除去することができる。また、バルブ136を開き、不活性ガスを供給することで、バッファ室232に供給された不活性ガスを確実にウエハ200上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率を向上させることができる。
【0059】
処理室パージ工程において供給された不活性ガスは、第2の処理ガス供給工程S212でチタニウム含有層と結合できなかったNH3ガスをウエハ200上から除去する。更には、シャワーヘッド230内に残留したNH3ガスも除去する。所定時間経過後、バルブ136を閉じて不活性ガスの供給を停止するとともに、バルブ237を閉じてシャワーヘッド230と真空ポンプ239の間を遮断する。
【0060】
より好ましくは、所定の時間経過後、第2の排気系の排気ポンプ224を引き続き作動させつつ、バルブ237を閉じることが望ましい。このようにすると、バッファ室232内の残留ガスや、供給された不活性ガスは、処理室201を経由した第2の排気系に向けた流れが第1の排気系の影響を受けないので、より確実に不活性ガスを基板上に供給することが可能となるため、基板上で、第1のガスと反応しきれなかった残留ガスの除去効率が更に高くなる。
【0061】
このように、シャワーヘッドのパージ工程の後に引き続き連続して処理室のパージ工程を行うことで、シャワーヘッド230内の残留ガスを除去した状態で、処理室のパージ工程が施されるので、シャワーヘッド230から処理室201内に残留ガスが供給され、ウエハ200に残留ガスが付着することを防止することができる。
【0062】
なお、処理ガスや反応ガスの残留が許容範囲内であれば、
図4bに記すようにシャワーヘッドのパージ工程と処理室のパージ工程を同時に行っても良い。このようにすることで、パージ時間を短縮させることができ、製造スループットを向上させることができる。
【0063】
また、第1の処理室パージ工程と同様に構成しても良い。
【0064】
(判定工程S214)
第2の処理室パージ工程S212の終了後、コントローラ260は、上記のS202〜S212が所定回数実行されたか否かを判定する。即ち、ウエハ200上に所望の厚さの膜が形成されたか否かを判定する。
【0065】
所定回数実施されていないとき(No判定のとき)は、S202〜S212のサイクルを繰り返す。所定回数実施されたとき(YES判定のとき)は、成膜工程S104を終了する。
【0066】
ここで、
図5(a)(b)(c)を用いて、S202〜S212のサイクル例を説明する。
図5(a)は上述の様に、各工程を順に行うサイクルである。
図5(b)は、第1のシャワーヘッドパージ工程S204と第1の処理室パージ工程S206をほぼ同時に行い、また第2のシャワーヘッドパージ工程S210と第2の処理室パージ工程S212をほぼ同時に行うようにしたサイクルである。このようにシャワーヘッドと処理室をほぼ同時にパージすることで、パージ時間を短縮することができ、製造スループット向上が期待できる。
図5(c)は、第1のシャワーヘッドパージ工程S204が終わる前に第1の処理室パージ工程S206を開始し、第2のシャワーヘッドパージ工程S210が終わる前に第2の処理室パージ工程S212を開始するように構成されたサイクルである。このように構成することにより、処理室201に残留する処理ガス又は反応ガスをより低減することができる。
【0067】
次に、
図6、
図7、
図8、
図9を用いて、基板処理装置101が複数設けられた基板処理システムにおけるガス供給系統と、各工程のサイクル、ガス供給シーケンスについて説明する。
【0068】
ここでは、
図6に示すように、真空搬送室104に4つの基板処理装置101a,101b,101c,101dが設けられた基板処理システム100について説明する。各基板処理装置には、真空搬送室104に設けられた真空搬送ロボット105によってウエハ200が順に搬送されるように構成される。なお、ウエハ200は、大気搬送室102からロードロックユニット103を介して真空搬送室104に搬入される。また、ここでは、基板処理装置が4つ設けられた場合について示したが、これに限らず、2つ以上設けられていれば良く、5つ以上設けられていても良い。
【0069】
次に、
図7を用いて、基板処理システム100に設けられたガス供給系統について説明する。ガス供給系統は、第1ガス供給系(処理ガス供給系)、第2ガス供給系(反応ガス供給系)、第3ガス供給系(パージガス供給系)などで構成される。各ガス供給系の構成について説明する。
【0070】
(第1ガス供給系)
図7に示すように、処理ガス源113から各基板処理装置の間には、バッファタンク114、とマスフローコントローラ(MFC)115a,115b,115c,115dと、処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d)がそれぞれ設けられている。また、これらは、処理ガス共通管112や、処理ガス供給管111a,111b,111c,111dなどで接続されている。これら、バッファタンク114、処理ガス共通管112、MFC115a,115b,115c,115d、処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d)、処理ガス供給管111a,111b,111c,111dで第1ガス供給系が構成される。なお、処理ガス源113を第1ガス供給系に含めるように構成しても良い。また、基板処理システムに設けられる基板処理装置の数に応じて、各構成を増減させて構成しても良い。
【0071】
(第2ガス供給系)
図7に示すように、反応ガス源123から各基板処理装置の間には、活性化部としてのリモートプラズマユニット(RPU)124、MFC125a,125b,125c,125d、処理室側バルブ126(126a,126b,126c,126d)が設けられている。これらの各構成は、反応ガス共通管122と反応ガス供給管121a,121b,121c,121dなどで接続されている。これら、RPU124、MFC125a,125b,125c,125d、処理室側バルブ126(126a,126b,126c,126d)、反応ガス共通管122、反応ガス供給管121a,121b,121c,121dなどで、第2ガス供給系が構成される。
なお、反応ガス供給源123を第2ガス供給系に含めるように構成しても良い。また、基板処理システムに設けられる基板処理装置の数に応じて、各構成を増減させて構成しても良い。
【0072】
また、処理室側バルブ126(バルブ126a,126b,126c,126d)の前に、ベントライン171a,171b,171c,171dと、ベントバルブ170(170a,170b,170c,170d)を設けて反応ガスを排気するように構成しても良い。ベントラインを設けることにより、失活した反応ガス或いは、反応性が低下した反応ガスを処理室に通す事無く、排出することができる。例えば、後述の
図9のstep3までは、いずれの基板処理室にも反応ガスが供給されず、各ガス供給管121a,121b,121c,121d内に存在する、活性度が低下した反応ガスを排出する工程を設けても良い。これにより、基板処理装置間での処理均一性を向上させることができる。
【0073】
(第3ガス供給系(パージガス供給系))
図7に示すように、パージガス(不活性ガス)源133から各基板処理装置の間には、MFC135a,135b,135c,135d、処理室側バルブ136(136a,136b,136c,136d)などが設けられている。これらの各構成は、パージガス(不活性ガス)共通管132、パージガス(不活性ガス)供給管131a,131b,131c,131dなどで接続されている。これら、MFC135a,135b,135c,135d、処理室側バルブ136(136a,136b,136c,136d)、不活性ガス共通管132、不活性ガス供給管131a,131b,131c,131dなどで、第3ガス供給系が構成されている。なお、パージガス(不活性ガス)源133を第3ガス供給系(パージガス供給系)に含めるように構成しても良い。また、基板処理システムに設けられる基板処理装置の数に応じて、各構成を増減させて構成しても良い。
【0074】
(各基板処理装置における処理工程)
次に、4つの基板処理装置での各ステップにおける処理工程について
図8を用いて説明する。
【0075】
(Step1)
基板処理装置101aで第1の処理ガス供給工程S202が実施される。
【0076】
(Step2)
基板処理装置101aで第1のシャワーヘッドパージ工程S204と第1の処理室パージ工程S206が実施され、基板処理装置101bで第1の処理ガス供給工程S202が実施される。
【0077】
(Step3)
基板処理装置101aで第2の処理ガス供給工程S208が実施され、基板処理装置101bで第1のシャワーヘッドパージ工程S204と第1の処理室パージ工程S206が実施され、基板処理装置101cで第1の処理ガス供給工程S202が実施される。
【0078】
(Step4)
基板処理装置101aで第2のシャワーヘッドパージ工程S210と、第2の処理室パージ工程S212が実施され、基板処理装置101bで第2の処理ガス供給工程S208が実施され、基板処理装置101cで第1のシャワーヘッドパージ工程S204と第1の処理室パージ工程S206が実施され、基板処理装置101dで第1の処理ガス供給工程S202が実施される。
【0079】
この様に各サイクルで、各基板処理装置に各Stepで処理ガス供給工程、パージ工程、反応ガス供給工程、パージ工程が行われる。
【0080】
次に各Stepにおける各ガス供給系のバルブ動作について
図9を用いて説明する。
【0081】
処理ガス源113、反応ガス源123、パージガス源133は少なくとも成膜工程S104を実行している間はON状態を継続する。また、活性化部124も、反応ガス源123から反応ガスが供給されている間はON状態を継続する。第1ガス供給系、第2ガス供給系、第3ガス供給系も上述の
図8の動作に合うように各バルブの開閉動作がされる。
【0082】
ここで、好ましくは、各ステップで、処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d)それぞれを第1の所定の時間t1だけ開き、閉じたときに、バッファタンク114に処理ガスを第2の所定の時間t2バッファするようにする。このようにバッファタンク114に処理ガスを一時的に供給するようにすることで、ガス供給系の上流側の圧力変動や、管内の圧力変動を緩和させることができ、各処理室への処理ガスの供給量を均一化させることができる。
【0083】
好ましくは、第1の所定時間t1と第2の所定時間t2の合計が、反応ガスの供給時間t3と不活性ガスの供給時間t4のいずれか若しくは両方と等しくなるようにタイミング調整される。
【0084】
また好ましくは、第2の所定時間t2は第1の所定時間t1よりも短くなるように構成されている。このように構成することにより、バッファタンク114の圧力が所定の圧力以下にすることができ、さらに圧力の増減を緩和させることができる。
【0085】
また好ましくは、バッファタンク114でのバッファは、バルブ116(116a、116b,116c,116d)のそれぞれを閉ざすと同時に行うようにしても良い。
【0086】
また好ましくは、バルブ116のそれぞれを閉ざすと同時にタンク側バルブ160を閉じて、各処理室への処理ガスの供給を停止してバッファタンク114にバッファするように構成しても良い。
【0087】
なお、第1ガス供給系のバッファタンク114の後段に、タンク側バルブ160を設け、処理室側バルブ116(116a、116b,116c,116d)それぞれを閉じる際に、タンク側バルブ160を閉じる様にしても良い。また、処理室側バルブ116を閉じた後に時間差を設けてタンク側バルブ160を閉じるようにしても良い。時間差を設けることにより、処理ガス共通管112内を処理ガスで所定の圧力となるように満たしてからバッファタンク114へのガスをバッファでき、さらに圧力を緩和させることができる。処理ガス共通管112内が所定の圧力で満たされることにより、次に処理室側バルブ116のいずれかを開いた直後の他の処理室201へのガス供給量を一定に保つことができるので、第1ガス供給系から各処理室までのガス管の長さが異なっていたとしても、各処理室でのガス供給量を一定に保つことができる。
【0088】
また、
図10に示すように、各基板処理装置への処理ガスの供給時と反応ガスの供給時のいずれかまたは両方で不活性ガスを供給するようにしても良い。不活性ガスを同時に供給することによって、処理室201内へのガスの拡散性を向上させることができ、ウエハ200への処理の面内均一性を向上させることができる。処理ガスの供給時と不活性ガスの供給時のいずれか又は両方で不活性ガスを供給することで、処理ガスと反応ガスのそれぞれ供給する際に発生する副生成物を不活性ガスで除去することができる。副生成物は例えば、塩化アンモニウム(NH4Cl)が有る。
【0089】
また、シャワーヘッド内と処理室内での副生成物の発生量が異なることが考えられる。故に、シャワーヘッドのパージタイミングと処理室のパージタイミングを調整するようにしても良い。また、パージ時の排気量をそれぞれ異ならせるようにしても良い。また、パージ時の不活性ガスの供給量をそれぞれ異ならせるようにしても良い。
【0090】
次に各Stepにおける各排気系のバルブ動作について
図11を用いて説明する。
図11に示すように、各基板処理装置でのシャワーヘッドの排気系で排気する際には、処理室排気系のAPCバルブの弁開度を小さくするように構成する。
【0091】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0092】
(a)各処理室での処理ガスの供給を所定時間行った後、バルブを閉め、処理ガスをバッファタンクにバッファさせることで、各ガスの供給時間を短縮することができ、製造スループットが向上する。
【0093】
(b)RPUを常時ONにして、反応ガスの供給系のバルブ操作で各処理室への反応ガスの供給をON/OFFすることで、RPUのON/OFF制御が不要となり、プラズマのON/OFFに必要な時間を短縮することができる。
【0094】
(c)第1の排気系からの排気コンダクタンスが、処理室201を介した排気ポンプ224のコンダクタンスよりも高くなるようにすることで、バッファ空間232の壁に付着したガスや、バッファ空間232内に浮遊したガスが処理室201に進入することなく第1の排気系から排気できるようになる。
【0095】
(d)第2の排気系からの排気コンダクタンスが、シャワーヘッド230を介した第1の排気系からの排気コンダクタンスよりも高くなるようにすることで、処理室201内に残留するガスを排気することができる。
【0096】
(e)処理室のパージ工程で、第2の排気系の排気ポンプを作動させつつ、第1の排気系のバルブを閉じることによって、処理室201を経由した第2の排気系に向けた流れが第1の排気系の影響を受けないので、より確実に不活性ガスを基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率を更に向上させることができる。
【0097】
(f)シャワーヘッドのパージ工程と、処理室のパージ工程をほぼ同時に行うことで、製造スループットを向上させることができる。
【0098】
(g)シャワーヘッドのパージ工程が終わる前に、処理室のパージ工程を開始することで、シャワーヘッドや処理室に残留する処理ガスや反応ガスを低減することができる。
【0099】
(h)バッファタンク114を設けることによって、処理ガスの使用量を節約しつつ、供給毎の単位時間当たりの供給量を増やすことができ、ウエハ200への処理均一性と製造スループットを向上させることができる。
【0100】
(i)反応ガスの供給管にベントラインを設けることによって、活性度が低下した反応ガスを排出させることができ、ウエハ200への処理品質や均一性を向上させることができる。
【0101】
(k)活性化させた反応ガスを複数の処理室に順に供給する際に、活性化部をON状態のまま、各処理室に接続されたバルブを開け閉めすることによって、活性化部のON/OFFに必要な時間を短縮し、製造スループットを向上させることができる。
【0102】
(L)処理ガスと反応ガスのいずれか若しくは両方を供給する際に、不活性ガスを供給することで、処理ガス又は反応ガスの拡散性を向上させることができる。また、副生成物を除去することができ、基板への処理品質、処理均一性、製造スループットを向上させることができる。
【0103】
(m)気化器の後段にバッファタンクを設けることによって、気化器内の圧力上昇することによって発生するパーティクルを低減することができる。
【0104】
(n)バッファタンクを設けることにより、ガス管内の圧力差や処理室内の圧力差を緩和させることができる。
【0105】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程や、セラミック基板へのプラズマ処理などが有る。
【0106】
また、上述では、原料ガスと反応ガスを交互に供給して成膜する方法について記したが、他の方法にも適用可能である。例えば、原料ガスと反応ガスの供給タイミングが重なるように供給しても良い。
【0107】
また、上述では、成膜処理について記したが、他の処理にも適用可能である。例えば、反応ガスのみを用いて、基板表面や基板に形成された膜をプラズマ酸化処理や、プラズマ窒化処理する際にも本発明を適用することができる。また、反応ガスのみを用いたプラズマアニール処理にも適用することができる。
【0108】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、電極やバリア膜として使用される金属窒化膜(窒化チタニウム(TiN)膜)を塩化チタニウムとアンモニアを用いて、形成する例を示したが、これに限られるものでは無い。例えば、高誘電率(High−k)膜であっても良い。例えば、ジルコニウム酸化(ZrxOy)膜やハフニウム酸化(HfxOy)膜であっても良い。
【0109】
以下にハフニウム酸化膜を形成する例について述べる。ハフニウム酸化膜を形成する場合には、第1ガスとしてTEMAHfを用い、第2ガスとしては酸素ガス(O2)が用いられる。ガスの供給シーケンスは、上述の実施形態とほぼ同じに構成される。TEMAHfを供給する際には、供給後に、余分に物理吸着したTEMAHf分子を十分に除去することを目的として、第1ガスの供給工程の途中から第1ガスの供給を停止して、余分に吸着した分子を脱離させることが有る。TEMAHfは液体原料であるので、気化器を用いてガス化させている。この様な液体原料を用いている場合に、第1ガスの供給の停止は、気化器をON/OFFによって制御することは困難で、気化器がON状態のままバルブの開け閉めでガスの供給/停止を制御される。発明者は、このようなバルブ制御により、以下の課題が生じることを見出した。停止中は、気化器内や気化器後段の管内等の圧力が上昇し、蒸気圧よりも高くなり、第1ガスが気化器内でミスト化(液化)する。このミストにより、パーティクルが発生する課題が有る。また、TEMAHf分圧が上昇し気化不十分となり、TEMAHfがミスト状態で基板上に供給されてしまい、基板の処理均一性や緻密性が低下する課題が有る。これらの課題を解決するための装置構成を、
図12に示す。
図12に示すように、第1ガス供給系と、第2ガス供給系、第3ガス供給系の構成が、
図7と異なる構成になっている。
【0110】
(第1ガス供給系)
第1ガス供給系は、処理室側から、処理室側バルブ116(116a,116b,116c,116d)、タンク側バルブ160、バッファタンク114、気化器117、液体流量制御部118が設けられている。液体流量制御部(LMFC)118に接続されている液体原料供給源119を第1ガス供給系に含めるように構成しても良いし、供給管集合部140(140a,140b,140c,140d)を含めるように構成しても良い。ここで、液体原料供給源119からは、液体原料としての、Hf[N(C2H5)CH3]4(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム:以下TEMAHfとする)が供給され、LMFC118で液体の流量を所定の流量に調整した後、気化器117に供給される。気化器117では、液体のTEMAHfが気化され、処理ガスが生成される。処理ガスはバッファタンクを介して、各処理室に供給される。ここで、バッファタンクの容量は、上述の
図9、
図10で示した、ガス供給停止時t2の間に、バッファタンク114の圧力が、ガス供給時の圧力からの圧力上昇が50%以下となるような容量とすることが好ましい。この様にバッファタンクを構成することによって、圧力上昇を緩和し、ガスのミスト化(液化)を防ぎ、パーティクルの発生を抑制させることができる。また、この圧力変動の緩和によって、処理室201の圧力変動も緩和させることができる。例えば、従来であれば、所定時間内に多量の原料ガスを処理室201に供給(フラッシュフロー)することを目的として、タンクにガスを溜めて、バルブを解放させて供給することを行っていた。この従来方法では、処理室へのガス供給開始直後(供給開始時)の圧力と、供給開始中盤以降の圧力値に差が有り、実際に基板に供給されているガス量のコントロールが困難で有った。しかし、本形態の様に、処理室201内の圧力変動を緩和させることにより、圧力変動を抑制できるので、実際の処理時の圧力値や基板へのガス供給量のコントロール性を向上させることができる。また、基板へのガス供給量が明確化させることにより、基板に物理吸着した余分なガス量や、余分なガスをパージ(除去)するためのパージ時間の調整を容易化することができる。また、処理室201内の圧力を急激に上昇させないように構成することで、第1ガスと第2ガスのいずれか若しくは両方を、搬送空間203へ流入させることを抑制し、搬送空間203でのパーティクルの発生を抑制することができる。
【0111】
(第2ガス供給系)
第2ガス供給系は、処理室側から、処理室側バルブ126(126a,126b,126c,126d)、RPU124、マスフローコントローラ125が接続され、これらで構成される。第2ガス供給源123を第2ガス供給系に含めるように構成しても良い。第2ガス供給系からは、反応ガスとしての、活性化された酸素ガス(O2)が供給される。
【0112】
(第3ガス供給系)
第3ガス供給系は、処理室側から処理室側バルブ136(136a,136b,136c,136d)、マスフローコントローラ135が接続され、これらの構成で形成される。第3ガス供給源133を第3ガス供給系に含めるように構成しても良い。第3ガス供給系からは、第1実施形態と同様に、パージガス(不活性ガス)が供給可能に構成されている。
【0113】
この様に構成することにより、ガス供給共通管やバッファタンクで気化器や処理室内の圧力差を緩和させることができ、各処理室での急激な圧力の変化を抑制させることができる。
【0114】
なお、上述の実施形態では、バッファタンクをガス供給源に対して直列に設けたが、これに限る物では無い。例えば、バッファタンクをガス供給共通管に対して並列に設けて、圧力を緩和させたいときに、バッファタンク側に供給されるようにしても良い。
【0115】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0116】
<付記1>
一態様によれば、
基板を収容する複数の処理室と、
前記複数の処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記複数の処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記処理ガス供給系に設けられたバッファタンクと、
前記複数の処理室のいずれかに反応ガスを供給する時間が、前記複数の処理室のいずれかに処理ガスを供給する時間と前記バッファタンクに処理ガスを供給する時間の合計時間になるように、
前記複数の処理室のそれぞれに前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。
【0117】
<付記2>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記制御部は、
前記処理ガスの供給停止後に前記バッファタンクに処理ガスを供給するように前記処理ガス供給系を制御する。
【0118】
<付記3>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記複数の処理室にパージガスを供給するパージガス供給系が設けられ、
前記制御部は、
前記バッファタンクに処理ガスを供給した後に、前記基板にパージガスを供給するように前記処理ガス供給系と前記パージガス供給系を制御する。
【0119】
<付記4>
付記3に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記複数の処理室はそれぞれに、シャワーヘッドを有し、
前記制御部は、前記バッファタンクへの処理ガス供給中にシャワーヘッドのパージを行うように前記処理ガス供給系と前記パージガス供給系を制御する。
【0120】
<付記5>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記複数の処理室のそれぞれに、処理室の雰囲気を排気する第1の排気部が設けられ、
前記制御部は、前記各処理室に前記処理ガスの供給と前記反応ガスの供給の間に前記処理室内をパージさせるように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系と前記第1の排気部とを制御する。
【0121】
<付記6>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記複数の処理室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給系が設けられ、
前記制御部は、前記各処理室に前記処理ガスの供給と前記反応ガスの供給の間に前記処理室内をパージさせるように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系と前記不活性ガス供給系を制御する。
【0122】
<付記7>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記複数の処理室に、前記処理ガスと前記反応ガスが供給され、第2の排気部を有するシャワーヘッドが設けられ、
前記制御部は、前記処理ガスの供給と前記反応ガスの供給の間に、前記シャワーヘッド内をパージさせるように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系と、前記第2の排気部を制御する。
【0123】
<付記8>
付記7に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記制御部は、前記処理室内のパージを前記シャワーヘッドのパージ工程の後に行うように前記第1の排気部と前記第2の排気部を制御する。
【0124】
<付記9>
付記7に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記制御部は、前記処理室内のパージを前記シャワーヘッドのパージ工程が終わる前に始めるように前記第1の排気部と前記第2の排気部を制御する。
【0125】
<付記10>
付記7乃至付記9に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記制御部は、前記シャワーヘッド内をパージする際に、前記シャワーヘッド内の排気コンダクタンスを前記処理室内のコンダクタンスよりも大きくするように前記第1の排気部と前記第2の排気部を制御する。
【0126】
<付記11>
付記7乃至付記10に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記制御部は、前記処理室内をパージする際に、前記処理室内の排気コンダクタンスを前記シャワーヘッドの排気コンダクタンスよりも大きくするように前記第1の排気部と前記第2の排気部を制御する。
【0127】
<付記12>
付記1に記載の基板処理システムであって、好ましくは、
前記反応ガス供給系には、前記反応ガスを励起する活性化部が設けられ、
前記制御部は、前記反応ガスが前記処理室のいずれかに供給されている間、前記活性化部をON状態に保つように前記反応ガス供給部と前記活性化部を制御する。
【0128】
<付記13>
付記1に記載の基板処理システムであって、
前記複数の処理室に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部が設けられ、
前記制御部は、前記処理ガスの供給時と前記反応ガスの供給時のいずれか若しくは両方で前記不活性ガスを供給するように、前記処理ガス供給部と前記反応ガス供給部と前記不活性ガス供給部が制御される。
【0129】
<付記14>
更に他の態様によれば、
複数の処理室の各処理室に順に処理ガスを第1の所定時間供給する工程と、
前記各処理室に接続されたガス供給管に設けられたバッファタンクに処理ガスを第2の所定時間供給する工程と、
前記複数の処理室の各処理室に順に活性化された反応ガスを、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間の合計時間供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0130】
<付記15>
付記14に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記処理ガスの供給停止後に、前記バッファタンクに処理ガスを供給する。
【0131】
<付記16>
付記14に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記バッファタンクに処理ガスを供給した後、前記基板にパージガスを供給する工程を有する。
【0132】
<付記17>
付記16に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記複数の処理室のそれぞれにシャワーヘッドが設けられ、
前記バッファタンクへの処理ガス供給中にシャワーヘッドのパージを行う工程を有する。
【0133】
<付記18>
更に他の態様によれば、
複数の処理室の各処理室に順に処理ガスを第1の所定時間供給する手順と、
前記各処理室に接続されたガス供給管に設けられたバッファタンクに処理ガスを第2の所定時間供給させる手順と、
前記複数の処理室の各処理室に順に活性化された反応ガスを、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間の合計時間供給する手順と、
をコンピュータ実行させるプログラムが提供される。
【0134】
<付記19>
更に他の態様によれば、
基板を収容する複数の処理室と、
前記複数の処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記複数の処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記処理ガス供給部に設けられたバッファタンクと、
前記複数の処理室の内、一方の処理室に前記反応ガスを供給する時間と、前記複数の処理室の内の他方の処理室に前記処理ガスを供給する時間と前記バッファタンクに処理ガスを供給する時間の合計時間になるように、
前記複数の処理室のそれぞれに前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。
【0135】
<付記20>
更に他の態様によれば、
基板を収容する複数の処理室と、
前記複数の処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記複数の処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記複数の処理室に接続された共通の処理ガス供給管に設けられたバッファタンクと、
前記複数の処理室の内、一方の処理室に前記反応ガスを供給する時間が、前記複数の処理室の内の他方の処理室に前記処理ガスを供給する第1の所定時間と当該処理室への当該処理ガスの供給を止め、前記バッファタンクに処理ガスを供給する第2の所定時間の合計時間となるように、
前記複数の処理室のそれぞれに前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。
【0136】
<付記21>
更に他の態様によれば、
複数の処理室の各処理室に順に処理ガスを第1の所定時間供給する工程と、
前記各処理室に接続された共通処理ガス供給管に設けられたバッファタンクに処理ガスを第2の所定時間供給する工程と、
前記複数の処理室の各処理室に順に活性化された反応ガスを、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間の合計時間供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0137】
<付記22>
更に他の態様によれば、
複数の処理室の各処理室に順に処理ガスを第1の所定時間供給する手順と、
前記各処理室に接続された共通処理ガス供給管に設けられたバッファタンクに処理ガスを第2の所定時間供給させる手順と、
前記複数の処理室の各処理室に順に活性化された反応ガスを、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間の合計時間供給する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0138】
<付記23>
更に他の態様によれば、
複数の処理室の各処理室に順に処理ガスを第1の所定時間供給する手順と、
前記各処理室に接続された共通処理ガス供給管に設けられたバッファタンクに処理ガスを第2の所定時間供給させる手順と、
前記複数の処理室の各処理室に順に活性化された反応ガスを、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間の合計時間供給する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが記録された記録媒体が提供される。
【0139】
<付記24>
更に他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記処理室に接続された共通の処理ガス供給管に設けられたバッファタンクと、
前記処理室に前記反応ガスを供給する時間が、前記処理室に前記処理ガスを供給する第1の所定時間と、当該処理ガスの供給を止めて前記バッファタンクに前記処理ガスを供給する第2の所定時間の合計時間となるように、供給タイミングを調整して、前記処理室に前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する半導体装置の製造装置が提供される。
【0140】
<付記25>
更に他の態様によれば、
基板を収容する2つ以上の処理室と、
前記2つ以上処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記2つ以上処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記2つ以上処理室に接続された共通の処理ガス供給管に設けられたバッファタンクと、
前記2つ以上処理室の内、一方の処理室に前記反応ガスを供給する時間が、前記2つ以上処理室の内の他方の処理室に前記処理ガスを供給する第1の所定時間と当該処理室への当該処理ガスの供給を止め、前記バッファタンクに処理ガスを供給する第2の所定時間の合計時間として、
前記2つ以上処理室のそれぞれに前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように
前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。
【0141】
<付記26>
更に他の態様によれば、
基板を収容する第1の処理室と、第2の処理室と、
前記第1の処理室と第2の処理室に処理ガスを順に供給する処理ガス供給系と、
前記第1の処理室と第2の処理室に活性化された反応ガスを順に供給する反応ガス供給系と、
前記第1の処理室と第2の処理室に接続された共通の処理ガス供給管に設けられたバッファタンクと、
前記第2の処理室に前記反応ガスを供給する時間が、前記第1の処理室に処理ガスを供給する第1の所定時間と当該処理室への当該処理ガスの供給を止め、前記バッファタンクに前記処理ガスを供給する第2の所定時間の合計時間として、
前記第1の処理室と第2の処理室のそれぞれに前記処理ガスと前記反応ガスを交互に供給するように前記処理ガス供給系と前記反応ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。