(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
(a)米国特許出願公開第2002/0180688号(また対応する国際出願第99/53373号を参照)
(b)米国特許出願公開第2004/0136048号
(c)米国特許出願公開第2004/0027327号(また対応する国際出願第03/104884号を参照)
(d)米国特許出願公開第2004/0155857号(また対応する国際出願第2004/023195号を参照)
(e)米国特許第6124851号
(f)米国特許第6721083号
(g)米国特許第6538801号
(h)米国特許第6323989号
(i)米国特許第6422687号
(j)米国特許第6120588号
【0004】
本発明のディスプレイにおいて、電気光学媒体(非電気泳動の電気光学媒体のとき)は、電気光学媒体が、そのような電気光学媒体を使用してディスプレイをアセンブリする方法に対して、内部に液体又は気体で充填された空間を有することがあり且つしばしばそうであるが、電気光学媒体が固体外部表面を有するという意味で、一般に固体(そのようなディスプレイは、以降、便宜上「固体電気光学ディスプレイ」と称されることがある)である。したがって用語「固体電気光学ディスプレイ」は、カプセル封入された電気泳動ディスプレイ、カプセル封入された液晶ディスプレイ、及び以下に議論される他のタイプのディスプレイを含む。
材料又はディスプレイに対して適用されたとき、用語「電気光学」は、少なくとも1つの光学特性が異なる第1及び第2のディスプレイ状態を有する材料を言及するために、画像形成技術においてその従来の意味で本明細書では使用され、材料は、材料に電界を印加することによって、その第1のディスプレイ状態からその第2のディスプレイ状態へ変化する。光学特性は、一般に人間の目に知覚可能な色であるが、それは、光学透過率、反射率、ルミネセンスなどの他の光学特性であることもでき、又は機械読み取りを意図したディスプレイの場合には、可視範囲外の電磁波長の反射率における変化の意味で擬似色であることもできる。
【0005】
用語「双安定」及び「双安定性」は、技術におけるそれらの従来の意味で本明細書において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1及び第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を備えるディスプレイを言及し、アドレッシング・パルスが終了した後でその第1又は第2のディスプレイ状態のいずれかを呈するために、有限期間のアドレッシング・パルスによって任意の所定の要素が駆動された後、その状態が、ディスプレイ要素の状態を変化させるのに必要なアドレッシング・パルスの最小期間の少なくとも数倍、例えば少なくとも4倍続く。それは、グレー・スケール可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極端な黒及び白状態だけでなく、それらの中間グレー状態でも安定であり、且つ同一の事が、電気光学ディスプレイのいくつかの他のタイプで真であることが、米国特許出願公開第2002/0180687号に示される。このタイプのディスプレイは、双安定よりむしろ「多安定」と適切に呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」は、双安定及び多安定ディスプレイの両方を包含するように本明細書で使用されることができる。
【0006】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが知られている。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5808783号、米国特許第5777782号、米国特許第5760761号、米国特許第6054071号、米国特許第6055091号、米国特許第6097531号、米国特許第6128124号、米国特許第6137467号、及び米国特許第6147791号において記載されるような、回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、しばしば「回転二色ボール」ディスプレイと呼ばれるが、用語「回転二色部材」は、より正確に好ましい。なぜなら上述の特許にいくつかにおいて、回転部材は球状ではない。)。そのようなディスプレイは、異なる光学特徴を有する2つ以上のセクション及び1つの内部双極子を有する、多数の小さな本体(一般に球状又は円筒状)を使用する。これらの本体は、マトリクス内の液体で充填された空胞内に懸濁され、本体が自由に回転するように、空胞は液体で充填される。ディスプレイの外観は、それに電界を印加することで様々な位置に本体を回転して、本体のセクションが見る表面を介して見られる位置を変えて、変更される。このタイプの電気光学媒体は、一般に双安定である。
【0007】
他のタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、半導電性の金属酸化物から少なくとも一部が形成される電極と、電極に取り付けられた可逆色変化可能な複数の染料分子とを備える、ナノクロミック・フィルムの形態のエレクトロクロミック媒体である、エレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,BらのNature 1991、353、737、及びWood,D.のInformation Display、18(3)、24(2002年3月)を参照されたい。また、Bach,U.らのAdv.Mater.、2002年、14(11)、845を参照されたい。このタイプのナノクロミック・フィルムは、また、例えば米国特許第6301038号、国際特許出願第01/27690号、及び米国特許出願公開第2003/0214695号に記載されている。このタイプの媒体は、また一般に双安定である。
【0008】
長年にわたる強力な研究及び開発の主題である他のタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が、電界の影響下で懸濁流体を通って移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較されたとき、良好な輝度及びコントラスト、広い視角、状態安定性、及び低い電力消費の属性を持つことができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期間の画像品質の問題は、それらの広範な使用を妨げてきた。例えば、電気泳動ディスプレイを作る粒子は、沈殿する傾向があり、結果としてこれらのディスプレイに関する不適正な耐用年数を生じる。
【0009】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)及びE Ink Corporationに譲渡され、且つMassachusetts Institute of Technology(MIT)及びE Ink Corporationの名称の多数の特許及び出願が、最近公開され、カプセル封入された電気泳動媒体を記載する。そのようなカプセル封入された媒体は、それぞれ、自体が、液体懸濁媒体に懸濁された電気泳動移動粒子を含む内部相、及び内部相を囲むカプセル壁を備える多数の小さなカプセルを備える。一般に、カプセル自体は、2つの電極間に配置されたコヒーレント層を形成するために、ポリマー・バインダ内に保持される。このタイプのカプセル封入された媒体は、例えば、米国特許第5930026号、米国特許第5961804号、米国特許第6017584号、米国特許第6067185号、米国特許第6118426号、米国特許第6120588号、米国特許第6120839号、米国特許第6124851号、米国特許第6130773号、米国特許第6130774号、米国特許第6172798号、米国特許第6177921号、米国特許第6232950号、米国特許第6249721号、米国特許第6252564号、米国特許第6262706号、米国特許第6262833号、米国特許第6300932号、米国特許第6312304号、米国特許第6312971号、米国特許第6323989号、米国特許第6327072号、米国特許第6376828号、米国特許第6377387号、米国特許第6392785号、米国特許第6392786号、米国特許第6413790号、米国特許第6422687号、米国特許第6445374号、米国特許第6445489号、米国特許第6459418号、米国特許第6473072号、米国特許第6480182号、米国特許第6498114号、米国特許第6504524号、米国特許第6506438号、米国特許第6512354号、米国特許第6515649号、米国特許第6518949号、米国特許第6521489号、米国特許第6531997号、米国特許第6535197号、米国特許第6538801号、米国特許第6545291号、米国特許第6580545号、米国特許第6639578号、米国特許第6652075号、米国特許第6657772号、米国特許第6664944号、米国特許第6680725号、米国特許第6683333号、米国特許第6704133号、米国特許第6710540号、米国特許第6721083号、米国特許第6727881号、米国特許第6738050号、米国特許第6750473号、及び米国特許第6753999号、並びに米国特許出願公開第2002/0019081号、米国特許出願公開第2002/0021270号、米国特許出願公開第2002/0060321号、米国特許出願公開第2002/0060321号、米国特許出願公開第2002/0063661号、米国特許出願公開第2002/0090980号、米国特許出願公開第2002/0113770号、米国特許出願公開第2002/0130832号、米国特許出願公開第2002/0131147号、米国特許出願公開第2002/0171910号、米国特許出願公開第2002/0180687号、米国特許出願公開第2002/0180688号、米国特許出願公開第2002/0185378号、米国特許出願公開第2003/0011560号、米国特許出願公開第2003/0020844号、米国特許出願公開第2003/0025855号、米国特許出願公開第2003/0038755号、米国特許出願公開第2003/0053189号、米国特許出願公開第2003/0102858号、米国特許出願公開第2003/0132908号、米国特許出願公開第2003/0137521号、米国特許出願公開第2003/0137717号、米国特許出願公開第2003/0151702号、米国特許出願公開第2003/0214695号、米国特許出願公開第2003/0214697号、米国特許出願公開第2003/0222315号、米国特許出願公開第2004/0008398号、米国特許出願公開第2004/0012839号、米国特許出願公開第2004/0014265号、米国特許出願公開第2004/0027327号、米国特許出願公開第2004/0075634号、米国特許出願公開第2004/0094422号、米国特許出願公開第2004/0105036号、米国特許出願公開第2004/0112750号、及び米国特許出願公開第2004/0119681号、並びに国際公開第99/67678号、国際公開第00/05704号、国際公開第00/38000号、国際公開第00/38001号、国際公開第00/36560号、国際公開第00/67110号、国際公開第00/67327号、国際公開第01/07961号、国際公開第01/08241号、国際公開第03/107315号、国際公開第2004/023195号、及び国際公開第2004/049045号に記載されている。
【0010】
カプセル封入され又はカプセル封入されていない両方の知られている電気泳動媒体は、2つの主なタイプに分けられることができ、以降に便宜上それぞれ「単一粒子」及び「二重粒子」と称される。単一粒子媒体は、懸濁媒体内に懸濁された単一のタイプの電気泳動粒子だけを有し、その少なくとも1つの光学特徴は、粒子の光学特徴とは異なる。(単一のタイプの粒子を言及することにおいて、そのタイプの全ての粒子が完全に同一であることを意味してはいない。例えば、そのタイプの全ての粒子が、実質的に同一の光学特徴及び同一の極性の電荷を有すると仮定すれば、粒子サイズ及び電気泳動移動性などのパラメータにおける相当の変化は、媒体の有用性に影響を及ぼすことなく許容されることができる。)そのような媒体は、2つの電極の相対電位に応じて、少なくとも一方の電極が透明である、一対の電極間に配置されるとき、媒体は、粒子の光学特徴(粒子が、以降「前方」電極と呼ばれる観察者により近い電極に隣接されるとき)、又は懸濁媒体の光学特徴(粒子が、以降「後方」電極と呼ばれる観察者から離れた電極に隣接されるとき(粒子が、懸濁媒体によって隠されるように))を表示できる。
【0011】
二重粒子媒体は、少なくとも1つの光学特徴が異なる2つの異なるタイプの粒子、及び着色されていない又は着色されていることができるが、一般には着色されていない懸濁流体を有する。2つのタイプの粒子は、電気泳動移動性が異なり、移動性における差異は、極性(このタイプは、以降「反対電荷二重粒子」媒体と称されることがある)及び/又は強度であり得る。そのような二重粒子媒体が、前述の一対の電極間に配置されたとき、2つの電極の相対電位に応じて、媒体は、いずれかの粒子のセットの光学特徴を表示することができるが、これが達成される正確な様式は、移動性における差異が、極性におけるものか又は強度だけにおけるものかに応じて異なる。例示を容易にするために、1つのタイプの粒子は黒であり、他のタイプの粒子が白である電気泳動媒体を考える。2つのタイプの粒子が、極性において異なるなら(例えば、黒粒子が正に帯電され、且つ白粒子が負に帯電されるなら)、粒子は、2つの異なる電極に引き付けられ、その結果、例えば、前方電極が後方電極に対して負であるなら、黒粒子は前方電極に引き付けられ、且つ白粒子は後方電極に引き付けられ、その結果、媒体は観察者に対して黒に見える。逆に、前方電極が後方電極に対して正であるなら、白粒子は前方電極に引き付けられ、且つ黒粒子は後方電極に引き付けられ、その結果、媒体は観察者に対して白に見える。
【0012】
2つのタイプの粒子が、同一の極性の電荷を有するが、電気泳動移動性が異なるなら(このタイプの媒体は、以降「同一極性二重粒子」媒体と称されることがある)、両方のタイプの粒子は、同一の電極に引き付けられるが、一方のタイプが、他方の前に電極に到達し、その結果、観察者に面するタイプは、粒子が引き付けられる電極に応じて異なる。例えば、黒及び白粒子の両方が正に帯電されるが、黒粒子が、より高い電気泳動移動性を有するように、前の例示が修正されたと仮定する。今や前方電極が、後方電極に対して負であるなら、黒及び白粒子の両方が、前方電極に引き付けられるが、それらの高い移動性のために、黒粒子が最初に前方電極に到達し、その結果、黒の粒子の層が前方電極をコーティングし、且つ媒体は観察者に対して黒に見える。逆に、前方電極が、後方電極に対して正であるなら、黒及び白粒子の両方が、後方電極に引き付けられるが、それらの高い移動性のために、黒粒子が最初に後方電極に到達し、その結果、黒の粒子の層が後方電極をコーティングし、白粒子の層を後方電極から離れたままにし且つ観察者に面し、その結果、媒体は観察者に対して白に見える。このタイプの二重粒子媒体は、懸濁粒子が、後方電極から離れた白粒子の層を観察者に容易に見えることを可能にするために十分に透明であることが必要であるに留意されたい。一般に、そのようなディスプレイにおける懸濁流体は、全く着色されていないが、ある色が、それらを通して見える白粒子における任意の望ましくない色合いを訂正する目的で組み込まれることができる。
【0013】
単一及び二重粒子の電気泳動ディスプレイの両方が、既に記載された2つの極端な光学状態の中間の光学特徴を有する中間グレー状態を可能にすることができる。
【0014】
いくつかの前述の特許及び公開出願が、各カプセル内の3つ以上の異なるタイプの粒子を有するカプセル封入された電気泳動媒体を開示する。本出願の目的のために、そのような多粒子媒体は、二重粒子媒体の亜種として考えられる。
【0015】
多くの前述の特許及び出願は、カプセル封入された電気泳動媒体における別個のマイクロカプセルを囲む壁が、連続する相によって置き換えられることができ、このように、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別個の液滴及びポリマー材料の連続相を備える、いわゆるポリマー分散された電気泳動ディスプレイを生成し、そのようなポリマー分散された電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別個の液滴は、別個のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられなくとも、カプセル又はマイクロカプセルとして考えられることができることが分かる。例えば、前述の米国特許出願公開第2002/0131147号を参照されたい。したがって、本出願の目的のために、そのようなポリマー分散された電気泳動媒体は、カプセル封入された電気泳動媒体の亜種として考えられる。
【0016】
関連するタイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子及び懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル封入されていないが、代わりに、一般にポリマー・フィルムであるキャリア媒体内に形成された複数の空洞内に保持される。例えば、両方ともSipix Imaging.Inc.に譲渡された国際公開第02/01281号、及び米国特許出願公開第2002/0075556号を参照されたい。
【0017】
電気泳動媒体は、しばしば不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体において、粒子は、実質的にディスプレイを通る可視光の透過を阻止するので)、且つ反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタ・モード」で動作するように作られることができ、1つのディスプレイ状態は実質的に不透明であり、且つ1つのディスプレイ状態は光透過性である。例えば、前述の米国特許第6130774号及び米国特許第6172798号、並びに米国特許第5872552号、米国特許第6144361号、米国特許第6271823号、米国特許第6225971号、及び米国特許第6184856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似するが電界強度における変化による誘電体泳動ディスプレイは、類似するモードで動作することができる。米国特許第4418346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイは、シャッタ・モードで動作することもできる。
【0018】
カプセル封入された又はマイクロセル電気泳動ディスプレイは、一般に、従来の電気泳動デバイスのクラスタリング及び沈殿故障モードを被らず、広範な可撓性及び剛性の基体上にディスプレイを印刷又はコーティングする能力などのさらなる利点を提供する。(「印刷する」との用語の使用は、印刷する及びコーティングする全ての形態を含むことが意図され、限定されず、パッチ・ダイ・コーティング、スロット又は押し出しコーティング、スライド又はカスケード・コーティング、カーテン・コーティングなどの事前計量されたコーティングと、ナイフ・オーバ・ロール・コーティング、前進及び逆転ロール・コーティングなどのロール・コーティングと、グラビア・コーティングと、浸漬コーティングと、スプレー・コーティングと、メニスカス・コーティングと、スピン・コーティングと、ブラシ・コーティングと、エア・ナイフ・コーティングと、シルク・スクリーン印刷プロセスと、静電印刷プロセスと、熱印刷プロセスと、インクジェット印刷プロセスと、他の類似する技術を含む。)したがって、結果としてのディスプレイは、可撓性であることができる。さらに、ディスプレイ媒体が印刷されることができる(様々な方法を使用して)ので、ディスプレイ自体は、安価に作られることができる。
【0019】
電気光学ディスプレイは、通常、電気光学材料の層と、電気光学材料の対向する両側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これら2つの層の一方は、電極層である。ほとんどのそのようなディスプレイにおいて、両方の層は電極層であり、一方又は両方の電極層は、ディスプレイの画素を画定するためにパターン形成される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極にパターン形成されることができ、且つ他方の電極層は、行電極に対して直角に延びる細長い列電極にパターン形成されることができ、画素は、行及び列電極の交差によって画定される。代わりにより一般的には、一方の電極層が、単一の連続する電極の形態を有し、且つ他方の電極層が、画素電極のマトリクスにパターン形成され、画素電極のそれぞれが、ディスプレイの1つの画素を画定する。スタイラスとともに使用することが意図される他のタイプの電気光学ディスプレイにおいて、印刷ヘッド又は類似する可動電極が、ディスプレイから分離され、電気光学層に隣接するただ1つの層が、電極を備え、電気光学層の反対側の層が、一般に可動電極が電気光学層を損傷することを防ぐことを意図した保護層である。
【0020】
3層の電気光学ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層操作を含む。例えば、前述のMIT及びE Inkの特許及び出願のいくつかにおいて、カプセル封入された電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが記載され、バインダ内にカプセルを含むカプセル封入された電気泳動媒体は、プラスチック・フィルム上の酸化インジウムすず(ITO)又は同様の導電コーティング(最終ディスプレイの1つの電極として作用する)を備える可撓性基体上にコーティングされ、カプセル/バインダ・コーティングは、基体に固く接着された電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥される。別個に、画素電極のアレイ、及び駆動回路に画素電極を接続する適切な配置の導体を含むバックプレーンが準備される。最終ディスプレイを形成するために、その上にカプセル/バインダ層を有する基体は、積層接着剤を使用してバックプレーンに積層される。(非常に類似するプロセスが、バックプレーンを、その上をスタイラス又は他の可動電極がスライドすることができるプラスチック・フィルムなどの単純な保護層で置き換えることによって、スタイラス又は類似する可動電極とともに使用可能である電気泳動ディスプレイを準備するために使用されることができる。)そのようなプロセスの1つの好ましい形態において、バックプレーンは、自体が可撓性であり、且つプラスチック・フィルム又は他の可撓性基体上の画素電極及び導体を印刷することによって準備される。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための明らかな積層技術は、積層接着剤を使用するロール積層である。類似する製造技術は、他のタイプの電気光学ディスプレイで使用されることができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体又は回転二色部材媒体は、カプセル封入された電気泳動媒体と実質的に同一の方法でバックプレーンに積層されることができる。
【0021】
前述の米国特許出願公開第2004/0027327号で議論されたように、固体電気光学ディスプレイで使用される構成要素、及びそのようなディスプレイを製造するために使用される方法の多くは、液晶ディスプレイ(LCD)で使用される技術から得られ、それは、固体媒体よりむしろ液体を使用するが、もちろん同様に電気光学ディスプレイである。例えば、固体電気光学ディスプレイは、トランジスタ又はダイオードのアレイ、及び対応する画素電極のアレイを備えるアクティブ・マトリクスのバックプレーン、並びに透明基体上の「連続する」(多数の画素及び一般的にはディスプレイ全体を覆って延在する電極の意味で)前方電極を使用することができ、これらの構成要素は、本質的にLCDにおけるのと同一である。しかしながら、LCDアセンブリのために使用される方法は、固体電気光学ディスプレイで使用されることはできない。LCDは、通常、別個のガラス基体上のバックプレーン及び前方電極を形成することによってアセンブリされ、次に、それら間に小さな開口を残してともにこれら構成要素を接着固定し、結果として生じたアセンブリを真空下に置き、且つ液晶の浴内にアセンブリを浸漬し、その結果、液晶が、バックプレーンと前方電極との間の開口を通って流れる。最終的に、所定の場所に液晶を有して、開口は最終ディスプレイを提供するためにシーリングされる。
【0022】
このLCDアセンブリ方法は、容易に固体電気光学ディスプレイに移されることができない。電気光学材料が固体であるために、これら2つの完全体が互いに固定される前に、電気光学材料は、バックプレーンと前方電極との間に存在しなければならない。さらに、いずれかに取り付けられることなく前方電極とバックプレーンとの間に単に配置される液晶材料とは対照的に、固体電気光学媒体は、通常、両者に固定される必要がある。ほとんどの場合、これが一般に回路を含むバックプレーン上に媒体を形成するより容易であるから、固体電気光学媒体は、前方電極上に形成され、前方電極/電気光学媒体の組み合わせは、次に、一般に、接着剤で電気光学媒体の全表面を覆い、且つ熱、圧力、及び場合によって真空の下で積層することによって、バックプレーンに積層される。
【0023】
前述の米国特許第6312304号において議論されるように、固体電気光学ディスプレイの製造は、また、光学構成要素(電気光学媒体)及び電子構成要素(バックプレーンにおける)が、異なる性能基準を有する問題を呈する。例えば、光学構成要素は、反射率、コントラスト比、及び応答時間を最適化することが望ましく、一方、電子構成要素は、導電率、電圧電流の関係、及び容量を最適化する、又はメモリ、論理回路、又は他のより高い種類の電子デバイス能力を有することが望ましい。したがって、光学構成要素を製造するプロセスは、電子構成要素の製造には理想的ではないことがあり、逆の場合もそうである。例えば、電子構成要素を製造するためのプロセスは、高温下での処理を伴うことがあり。処理温度は、約300℃から約600℃の範囲内であることができる。しかしながら、そのような高温に多くの光学構成要素を曝すと、化学的に電気光学媒体を劣化することによって、又は機械的な損傷を引き起こすことによって、光学構成要素には有害であることがある。
【0024】
この特許は、第1の基体を含み、且つ電界の印加時に可視状態が変更することができる変調層、及び第1の基体に隣接して設けられた電気光学材料を提供することと、第2の基体を備える画素層、第2の基体の前方表面に設けられ、且つそれぞれ第2の基体を通って延在するビアを介して接触パッドに接続される複数の画素電極、及び第2の基体の後方表面に設けられた複数の接触パッドを提供することと、第3の基体及び少なくとも1つの回路要素を含む回路層を提供することと、電気光学ディスプレイを形成するために変調層、画素層、及び回路層を積層することとを含む、電気光学ディスプレイを製造する方法を記載する。
【0025】
電気光学ディスプレイは、しばしば高価である。例えば、携帯型コンピュータにあるカラーLCDのコストは、一般にコンピュータの全体コストのかなりの割合を占める。電気光学ディスプレイの使用を、携帯型コンピュータより非常に低コストの携帯電話又は携帯情報端末(PDA)などのデバイスに広げるとき、そのようなディスプレイのコストを低減する大きな圧力が存在する。上述のように、可撓性基体上に印刷技術によってある固体電気光学媒体の層を形成する能力は、コーティングされた紙、ポリマー・フィルム、及び類似する媒体の作成のために使用される市販設備を使用するロール・ツー・ロール・コーティングなどの大量生産技術を使用することによって、ディスプレイの電気光学の構成要素のコストを低減する可能性を広げる。しかしながら、そのような設備は高価格であり、現在販売されている電気光学媒体の面積は、専用の設備を正当化するには不十分であり得、その結果、比較的脆い電気光学媒体の層を損傷することなく、市販のコーティング・プラントから電気光学ディスプレイの最終アセンブリに使用されるプラントへコーティングされた媒体を運ぶことが、一般に必要であり得る。
【0026】
また、電気泳動ディスプレイの最終積層のためのほとんどの従来の方法は、本質的にバッチ方法であり、電気光学媒体、積層接着剤、及びバックプレーンは、最終アセンブリの直前に一緒にされるだけであり、大量生産により適合した方法を提供することが望ましい。
【0027】
前述の米国特許出願公開第2004/0027327号は、大量生産により良好に適合した固体電気光学ディスプレイ(粒子ベースの電気泳動ディスプレイを含む)をアセンブリする方法を記載する。本質的に、この同時係属出願は、いわゆる「前方パネル積層体(EPL)」を記載し、これは、順に、光透過性電気導電層、電気導電層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、及び剥離シートを備える。一般的に、光透過性電気導電層は、光透過性基体上に担持され、光透過性基体は、基体が、永続する変形なしに(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周りに手で巻きつけられることができる意味で、好ましくは可撓性である。用語「光透過性」は、その層を通して見る観察者が、電気導電層及び隣接する基体(存在する場合)を通して通常見られる電気光学媒体のディスプレイ状態における変化を見ることを可能にするために、層が、このように十分な光を透過するように指定されることを意味するために、この同時係属出願及び本明細書で使用される。基体は、一般的にはポリマー・フィルムであり、通常約1milから約25mil(25μmから634μm)、好ましくは約2milから約10mil(51μmから254μm)の範囲内の厚みを有する。電気導電層は、好都合には例えばアルミニウム又はITOの薄い金属層であり、又は導電ポリマーであり得る。アルミニウム又はITOでコーティングされたポリ(エチレン・テレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、Wilmington DEのE.I.du Pont de Nemours&Companyからの「アルミニウム被覆されたMylar」(「Mylar」は登録商標)として市販で入手可能であり、そのような市販材料は、前方プレーン積層体において良好な結果とともに使用されることができる。
【0028】
そのような前方プレーン積層体を使用する電気光学ディスプレイのアセンブリは、前方プレーン積層体から剥離シートを取り除き、且つ接着剤層をバックプレーンに接着させるために有効な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、及び電気導電層をバックプレーンに固定することによって行われることができる。このプロセスは、大量生産に十分に適合される。なぜなら、前方プレーン積層体は、一般にロール・ツー・ロール・コーティング技術を使用して大量生産され、次に特定のバックプレーンで使用するために必要な任意の寸法の片に切断されることができるからである。
【0029】
前述の米国特許出願公開第2004/0027327号は、前方プレーン積層体をディスプレイに組み込む前に、前方プレーン積層体内の電気光学媒体を試験する方法も記載する。この試験方法において、剥離シートは、電気導電層を設けられ、電気光学媒体の光学状態を変更するのに十分な電圧が、この電気導電層と電気光学媒体の対向する側の電気導電層との間に印加される。次に電気光学媒体の観察により、媒体内の任意の欠陥が明らかになり、したがって単に欠陥のある前方プレーン積層体ではなく、ディスプレイ全体を廃棄する結果として生ずるコストとともに、欠陥のある電気光学媒体をディスプレイに積層することを避ける。
【0030】
前述の米国特許出願公開第2004/0027327号は、剥離シート上に静電荷を置き、このように電気光学媒体上に画像を形成することによって、前方プレーン積層体内の電気光学媒体を試験する第2の方法も記載する。この画像は、次に電気光学媒体内の任意の欠陥を検出するために、前と同一の方法で観察される。
【0031】
前述の米国特許出願公開第2004/0155857号は、本質的に前述の米国特許出願公開第2004/0027327号の前方プレーン積層体の単純化されたバージョンである、いわゆる「二重剥離フィルム」を記載する。二重剥離フィルムの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方又は両方は、剥離シートで覆われる。二重剥離シートの他の形態は、2枚の剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備える。二重剥離シートの両方の形態は、前述された前方プレーン積層体から電気光学ディスプレイをアセンブリするためのプロセスと全般的に類似するプロセスで使用することを意図されるが、2枚の別個の積層を含む。一般的に、第1の積層において、二重剥離シートは、前方サブ・アセンブリを形成するために前方電極に積層され、次に、第2の積層において、前方サブ・アセンブリは、最終ディスプレイを形成するためにバックプレーンに積層される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
固体電気光学ディスプレイのアセンブリのための前述の全ての方法は、電気光学媒体と1つの電極との間に少なくとも1つの積層接着剤の層を残す。これは、電気光学ディスプレイが、可能な限り迅速に切り替わり、且つそのような迅速な切り替わることが一般に望ましいために不利であり、電気光学層を横切る可能な限り高い電界を提供することが必要である。電極間の電気光学層とともに積層接着剤の層の存在は、電極間に任意の所定電圧で電気光学層に作用する電界を必然的に低減させる。なぜなら、ある程度の電圧低下は、必然的に積層接着剤の層に生じ、実際、積層接着剤層は、利用可能な電圧の一部を無駄に使う。ディスプレイの動作電圧(すなわち、電極間の電圧差)を増大することによって、接着剤層を横切る電圧低下を補償することはできるが、このように電極を横切る電圧を増大することは、それがディスプレイの電力消費を増大し、且つ含まれる増大された電圧を取り扱うためにより複雑で高価な制御回路の使用を必要とすることがあるので望ましくない。
【0033】
前述のように、カプセル封入された電気泳動媒体において、電気泳動層は、一般にバインダを備え、バインダは、カプセルを囲み、且つ機械的なコヒーレント層の形態でそれらカプセルを維持する。固体電気光学媒体の他の形態は、類似するバインダを含むことができ、例えば、回転二色部材ディスプレイのマトリクスは、マイクロセル・ディスプレイの端部壁であることができるので、バインダと考えることができる。このバインダの特性、及び少なくともいくつかの場合には電気光学層内に存在するバインダの一部の特性が、注意深く選択されたなら、バインダは、積層接着剤として作用することもでき、このように別個の積層接着剤層の必要性を取り除き、したがって最終ディスプレイにおける改善された電気光学性能を作ることが見出された。
【0034】
したがって一態様において、本発明は、積層接着剤としても作用するバインダを有する固体電気光学ディスプレイを提供する。
【0035】
本発明の第2の態様は、可撓性ディスプレイに関する。可撓性ディスプレイ技術は、多数のディスプレイ適用に関して非常に望ましい。可撓性が重要である1つの適用は、ディスプレイは、検知デバイスの応答が、例えばスイッチを投入することによる機械的な変形によって、又はコンデンサにおける間隔を機械的に変化することによって生成される上記の機械的又は電気的検知デバイス、又は圧電センサ、又は他の電気的或いは電子的デバイスが使用されるケースである。ディスプレイのコンプライアンス及び可撓性は、これらの適用において重要である。もしディスプレイ層が硬すぎるなら、より大きな力が、センサを動作させるために必要であり、デバイスの有効な検知解像度が低減される。なぜなら、1つ以上の検知部材が、所定の点に圧力を印加することによって動作されることがあり得るからである。ディスプレイ・アセンブリの剛性が重要であると示されている適用の一実施例は、マイクロスイッチのアレイ上にディスプレイを有することが望ましい、指の圧力によって動作される電話キーパッドにある。プラスチック・バックプレーンを使用して、比較的厚いプラスチック支持体上にコーティングされた本カプセル封入されたディスプレイの剛性は、これらキーパッドのアセンブリを複雑にし、且つスイッチング動作の触覚の感覚を低減することが示された(スイッチの閉鎖体上の「クリック」)。
【0036】
したがって第2の態様において、本発明は、可撓性電気光学ディスプレイをアセンブリするためのプロセスに関し、これらのプロセスは、前述の前方プレーン積層体及び二重剥離フィルムに幾分類似する構成要素を使用する。
【0037】
さらに上述したように、本発明のさらなる態様は、カラー・ディスプレイに関する。多くの電気光学ディスプレイに関する1つの問題は、ディスプレイの各画素が作ることができる色の制限された範囲である。上記で議論したように、単一又は二重粒子タイプの両方の電気泳動ディスプレイは、通常、粒子及び単一粒子ディスプレイにおける懸濁流体の色と、二重粒子ディスプレイにおける2つのタイプの粒子の色である、各画素で2つの色だけを表示する。
【0038】
従来の電気光学ディスプレイで利用可能な色の制限された範囲を拡張する1つのアプローチは、ディスプレイの画素にわたる着色されたフィルタのアレイを配置することである。例えば、ディスプレイの個々の画素にわたってカラー・フィルタ(例えば、赤、緑、及び青)のアレイを配置する黒色流体内の白粒子を備えるディスプレイへの効果を考える。赤フィルタで覆われた画素の見える表面に隣接して白粒子を移動することが、その画素を赤に着色させ、一方、ディスプレイの後方表面に隣接する同一の画素に白粒子を移動することが、その画素を黒にする。カラーを生成するこのアプローチの主な問題は、ディスプレイの輝度が、カラー・フィルタの画素化によって制限されることである。例えば、赤色が所望であれば、赤フィルタによって覆われた画素は、赤が見えるように設定され、一方、緑及び青フィルタによって覆われた画素は、暗く見えるように設定され、その結果、ディスプレイ表面の一部だけが所望の色を有し、一方、残りの部分は暗く、したがって、得られる任意の色の輝度を制限する。3つの光学状態(黒、白、及びカラー、又は黒、白、及び透明)が可能な反射ディスプレイは、画像品質、コスト、及び製造の容易性における著しく有利である。
【0039】
本発明の一態様は、改善されたカラー・ディスプレイを作成するために、シャッタ・モードの電気光学媒体を使用することに関する。
【0040】
また前述のように、本発明のさらなる態様は、上述の前方プレーン積層体及び二重剥離フィルムを使用する電気光学ディスプレイを形成するためのプロセス及び構成要素に関する。実際の市販の大きな量のプロセスにおいて、現在、バックプレーンにFPL又は二重剥離フィルムを取り付けるために、熱積層プロセスを使用することが必要である。バックプレーンは、1つ以上のパターン形成された導電トレースを有する直接駆動のセグメントにされた種類であり得、又は非線形回路の種類(例えばアクティブ・マトリクス)であり得る。
【0041】
ガラス・アクティブ・マトリクス・バックプレーン(薄膜トランジスタ・アレイ又は単にTFT)に、FPL又は二重剥離フィルムを積層するためのプロセスの開発中に、多数の問題に、従来の積層設備で遭遇した。本発明は、ガラスTFT上にFPL及び二重剥離フィルムの処理を容易にするために、必要な又は望ましい従来のツーリングの修正を提供する。本明細書に記載される発明は、同様にプラスチック又は金属ホイル・バックプレーンを使用する、FPL又は二重剥離フィルム・ベースのディスプレイのための積層ツールの設計において有用であり得る。
【0042】
最後に、本発明は、異なる熱膨張率のディスプレイ・セルを有する材料から形成されたハイブリッド・ディスプレイを製造するためのプロセスに関する。電気光学ディスプレイは、2枚のガラス・プレートを使用して構築されることができる。第1のプレートは、前方表面を形成し、且つ電気光学媒体をアドレス指定するための1つ以上の電極を提供する。第2のプレートは、後方表面を形成し、且つ電気光学媒体をアドレス指定するための1つ以上の電極(及び恐らく薄膜トランジスタなどの非線形要素)を提供する。理想的には、前方及び後方プレートを形成するために使用される材料は、それらの熱膨張率(CTE)及び相対湿度膨張率(CHE)などの所定の機械的特徴で類似する。さらに、いくつかの例において、材料が、製造の所定の要件を満足するために、厚み及びヤング率(E)の選択された組み合わせを有することが望ましい。
【0043】
ディスプレイが、FPL及びガラス又は類似する硬いバックプレーンを使用して形成されたときなどの他の場合において、結果として生じる「ハイブリッド」電気光学ディスプレイは、それらの機械的特性が異なる材料のその前方及び後方「プレート」を必然的に有する。そのようなハイブリッド・ディスプレイは、それらの製造における新たな課題を引き起こす。例えば、カプセル封入された電気泳動FPL及びガラスTFTバックプレーンを使用して構成されたディスプレイは、実際には、基本的に異なる材料の非対称のスタックであるガラス・バックプレートに積層されたプラスチック前方プレートを有する。この構成の結果として、ディスプレイは、従来のガラス/ガラス・ディスプレイに見出されない機械的挙動を示す。特に、非対称の構成は、パネル温度又は湿度変化に応じて複合パネルのカール(ワーピング)を導く。ワーピングに関連する応力及び張力は、そのようなシステムの設計に極度の課題を与える。したがって、広範な動作環境にわたるパネルの許容可能な性能を導く、パネル処理、材料、及び構成方法論の必要性があり、本発明は、これらの必要性に合致しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0044】
したがって、ある態様において、本発明は、カプセル封入された電気泳動ディスプレイを作成するプロセスを提供し、
ポリマー・バインダ内に複数の別個の液滴を備える電気泳動媒体を提供することであって、各液滴が、懸濁流体内に分散された複数の荷電粒子を備え、且つ懸濁流体への電界の印加時にそれを通して移動できる、電気泳動媒体を提供することと、
少なくとも1つの電極を有するバックプレーンを提供することと、
ポリマー・バインダが流れる温度で、及び電気泳動媒体がバックプレーンに直接接触して、電気泳動媒体をバックプレーンに積層することとを含み、それによって、ポリマー・バインダを流れさせ、且つディスプレイを形成するためにバックプレーンに電気泳動媒体を固定させる。
【0045】
電気光学ディスプレイの製造における当業者には容易に明らかなように、このプロセスは、積層接着剤が、電気光学ディスプレイとバックプレーンとの間に必要としない、バックプレーンに対する電気光学媒体の積層のための従来のプロセスとは異なる。実際に、ポリマー・バインダは、バインダ及び積層接着剤の両方として機能する。したがって、このプロセスは、以降便宜性のために本発明の「接着剤なし」プロセスと呼ばれることがある。
【0046】
このプロセスにおいて、電気泳動媒体は、前述された任意のタイプであることができる。したがって例えば、電気泳動媒体は、各液滴が、ポリマー・バインダから分離されたカプセル壁内に閉じ込められる(そのようなカプセル壁自体は、ポリマー材料から形成されることができるが)、従来のカプセル封入された電気泳動媒体であることができる。代わりに、電気泳動媒体は、ポリマー分散タイプであることができ、液滴が、二相システムの分離相を形成し、且つポリマー・バインダを形成する連続相によって囲まれる。
【0047】
本発明の接着剤なしプロセスにおいて、電気泳動媒体は、光透過性基体上に配置されることができ、その結果積層に続き、電気泳動媒体は、基体とバックプレーンとの間に挟まれる。光透過性電極が、電気泳動媒体と基体との間に配置されることができ、電気泳動媒体は、基体から離れたその表面を覆う剥離シートを提供されることができ(すなわち、電気泳動媒体は、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されるような前方プレーン積層体に組み込まれることができる)、且つ剥離シートが積層の前に取り除かれる。
【0048】
接着剤なしプロセスにおいて、積層は、ポリマー・バインダを流れさせるのに十分な温度で実施され、その結果、バインダは、流れ且つバックプレーンに電気泳動媒体を固定する。使用される温度は、もちろん、電気泳動媒体又は存在する任意の他の温度感受性構成要素に許容されることができない損傷を引き起こさせる程には高くないべきである。このように、バインダは、それが、電気泳動媒体又は他の構成要素を損傷することなく、積層が行われることを可能にする温度で流れるように選択されるべきである。一般に、150℃未満の温度、好ましくは100℃未満の温度で流れるポリマー・バインダを使用することが望ましい。前述の米国特許出願公開第2003/0025855号に詳細に説明されるように、電気泳動ディスプレイで使用するための積層接着剤の選択は、複雑である。なぜなら、接着剤の電気特性を含む多数の要因を考慮すべきであり、同一の要因は、積層接着剤としても機能するポリマー・バインダに適用するからである。したがって、前述の米国特許出願公開第2003/0025855号に議論されるのと同じ理由で、接着剤なしプロセスにおいて使用されるポリマー・バインダが、ポリウレタンであることが一般に好ましい。
【0049】
以下により詳細に記載される理由で、接着剤なしプロセスで使用される電気泳動媒体における液滴に対するポリマー・バインダの比は、通常、バインダとは別個の接着剤を使用する従来技術のプロセスより高い。接着剤なしプロセスにおいて、一般に、ポリマー・バインダは、電気泳動媒体の重量で、少なくとも20パーセント、望ましくは少なくとも30パーセントを含む。
【0050】
接着剤なしプロセスにおいて使用されるバックプレーンは、従来技術において知られている任意のタイプであることができる。例えば、バックプレーンは、直接駆動タイプであることができ、画素電極上に電位が独立して制御されることができる複数の画素電極及び導電トレースを有する。代わりにバックプレーンは、複数の画素電極、及び各画素電極に結合された少なくとも1つの非線形要素を備える、アクティブ・マトリクス・バックプレーンであり得る。
【0051】
本発明は、上述された接着剤なしプロセスで使用することを意図された電気泳動媒体(以降、本発明の「接着剤なし媒体」と呼ばれることがある)も提供する。この電気泳動媒体は、ポリマー・バインダ内の複数の別個の電気泳動媒体の液滴を備え、各液滴は、懸濁流体内に分散され且つ懸濁流体に電界を印加時にそれを通って移動することができる複数の荷電粒子を備え、ポリマー・バインダは、150℃未満の温度で流れる。
【0052】
この接着剤なし媒体において、望ましくは、ポリマー・バインダは、100℃未満の温度で流れる。電気泳動媒体は、前述された任意のタイプであることができる。したがって例えば、電気泳動媒体は、各液滴が、ポリマー・バインダとは離れたカプセル壁内に閉じ込められる(そのようなカプセル壁自体は、ポリマー材料から形成されることができるが)、従来のカプセル封入された電気泳動媒体であることができる。代わりに、電気泳動媒体は、ポリマー分散タイプであることができ、液滴が、二相システムの分離相を形成し、且つポリマー・バインダを形成する連続相によって囲まれる。
【0053】
本発明の接着剤なし媒体は、媒体の一表面を覆う光透過性基体、任意選択で電気泳動媒体と基体との間に配置された光透過性電極と組み合わせて使用されることができる。電気泳動媒体は、基体から離れたその表面を覆う剥離シートが提供されることができる(すなわち、電気泳動媒体は、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されるような前方プレーン積層体に組み込まれることができる。)。
【0054】
上記で議論された理由に関して、接着剤なし媒体において、一般にポリマー・バインダは、電気泳動媒体を重量で少なくとも20パーセント、及び望ましくは少なくとも30パーセントを含み、ポリマー・バインダは、ポリウレタンを含むことができる。
【0055】
本発明は、ディスプレイの製造で使用するためのフィルムも提供し、フィルムは順に、
光透過性電気導電層と、
ポリマー・バインダ内に複数の別個の電気泳動媒体の液滴を備える電気泳動媒体であって、各液滴が、懸濁流体内に分散された複数の荷電粒子を備え、且つ前記懸濁流体へ電界の印加時にそれを通して移動でき、ポリマー・バインダが、150℃未満の温度で流れる、電気泳動媒体と、
ポリマー・バインダと接触する剥離シートとを備える。
【0056】
このフィルムは、実際に、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されたような前方プレーン積層体であり、電気泳動媒体及び元の前方プレーン積層体の積層接着剤層を、本発明にしたがって積層接着剤として機能することもできるバインダを有する電気泳動媒体と置き換えるように修正される。
【0057】
本発明は、ディスプレイの製造で使用するためのフィルムも提供し、フィルムは、
ポリマー・バインダ内に複数の別個の電気泳動媒体の液滴を備える電気泳動媒体の層であって、各液滴が、懸濁流体内に分散された複数の荷電粒子を備え、且つ懸濁流体へ電界の印加時にそれを通して移動でき、ポリマー・バインダが、150℃未満の温度で流れ、層が、その対向する側に第1及び第2の表面を有する、電気泳動媒体の層と、
電気泳動媒体の層の第1の表面を覆う第1の剥離シートと、
電気泳動媒体の層の第2の表面を覆う第2の剥離シートとを備える。
【0058】
このフィルムは、実際に、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されたような二重剥離シートであり、電気泳動媒体及び元の前方プレーン積層体の積層接着剤層を、本発明にしたがって積層接着剤として機能することもできるバインダを有する電気泳動媒体と置き換えるように修正される。
【0059】
他の態様において、本発明は、電気光学ディスプレイで使用するためのサブ・アセンブリを形成するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
電気光学媒体の層を第1の剥離シート上に付着することと、
積層接着剤の層を第2の剥離シート上に付着することと、
その後、積層接着剤を電気光学媒体に接着させるために有効な条件下で、第1の剥離シート上の電気光学媒体を第2の剥離シート上の積層接着剤と接触させることとを含み、それによって、2枚の剥離シート間に挟まれる積層接着剤及び電気光学媒体を備えるサブ・アセンブリを形成する。
【0060】
排他的ではないが、主に可撓性ディスプレイのアセンブリで使用することを意図したこのプロセスは、以降便宜性のために、本発明の「可撓性サブ・アセンブリ・プロセス」と呼ばれることができる。このプロセスは、さらにサブ・アセンブリから第1の剥離シートを取り除
くことと、少なくとも1つの電極を備えるバックプレーンに電気光学媒体を積層することとを含むことができる。プロセスは、さらにそこに電気光学媒体を積層する前に、バックプレーンに積層接着剤の層を積層することを含むことができる。
【0061】
他の態様において、本発明は、カラー画像を表示するための装置を提供し、この装置は、それぞれ光透過性光学状態又は実質的に不透明な光学状態に独立して設定されることができる、複数の画素を有する電気光学ディスプレイと、電気光学ディスプレイの一表面に少なくとも2つの異なる色の光の別個のパルスを点滅させるように構成された発光手段とを備える。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、異なる色の光のパルスを生成する装置を提供し、装置は、光源と、光源からの光を受けるように構成されたフィルタ・アセンブリとを備え、フィルタ・アセンブリが、
光透過性状態と第1の光学特徴を有する着色された状態とを有する第1の電気光学層と、
その光透過性状態と着色された状態との間で第1の電気光学層を切り替えることができる電界を、第1の電気光学層に印加するように構成された第1の電極と、
光透過性状態と第1の光学特徴とは異なる第2の光学特徴を有する着色された状態とを有する第2の電気光学層と、
その光透過性状態と着色された状態との間で第2の電気光学層を切り替えることができる電界を、第2の電気光学層に印加するように構成された第2の電極とを備える。
【0063】
他の態様において、本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための第1の方法を提供し、この第1の方法は、
(a)電気光学層及び基体を備え、第1の熱膨張率(CTE)を有する前方プレーン積層体を提供することと、
(b)少なくとも1つの電極を備え、第2のCTEを有するバックプレーンに、前記前方プレーン積層体を積層することによって電気光学ディスプレイを作成することと、
(c)閾値温度より上の温度にディスプレイを加熱し、それによって湾曲を有する加熱されたディスプレイを作成することと、
(d)湾曲が実質的に低減されるように、前方プレーン積層体及びバックプレーンの任意の異なる膨張の結果として生じる構造応力を解放するために、周囲温度に温度を徐々に低下させることとを含む。
【0064】
他の態様において、本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための第2の方法であって、この第2の方法は、
(a)第1の熱膨張率(CTE)を有する第1の材料を備える前方プレーン積層体を、第2のCTEを有する第2の材料を備えるバックプレーンに接着し、それによって、第1の湾曲を有するハイブリッド・ディスプレイを作成することと、
(b)第1の湾曲とは反対の第2の湾曲を一時的に呈するようにディスプレイを強制することによって、ハイブリッド・ディスプレイの湾曲を低減することとを含む。
【0065】
他の態様において、本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための第3の方法を提供し、この第3の方法は、
(a)第1の熱膨張率(CTE)を有する第1の材料を含む前方プレーン積層体を提供することと、
(b)第2のCTEを有する第2の材料を含むバックプレーンを前方プレーン積層体に接着することと、
(c)ハイブリッド・パネルの全体の湾曲が、第3のパネルではなく前方プレーン積層体及びバックプレーンだけからなるディスプレイに比べて実質的に低減されるように、第2の材料とは異なる材料を含む第3のパネルをバックプレーンに接着することによって、ハイブリッド・パネルを作成することとを含む。
【0066】
最終的に、本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための第4の方法を提供し、この第4の方法は、
(a)第1の熱膨張率(CTE)を有する第1の材料を含む前方プレーン積層体を第1の温度に調整することと、
(b)第2のCTEを有する第2の材料を含むバックプレーンを第2の温度に調整することと、
(c)ハイブリッド・パネルを作成するために、温度調整された前方プレーン積層体を温度調整されたバックプレーンに接着することとを含む。
【0067】
ハイブリッド・ディスプレイを製造するためのそれぞれ前述の方法において、前方プレーン積層体は、前述の任意のタイプであることができる電気泳動層を備えることができる。
【0068】
既に示されたように、本発明は、電気光学ディスプレイ、並びにそのようなディスプレイの作成のためのプロセス及び構成要素に関するいくつかの異なる態様を有する。これらの様々な態様は、主に別個に以下に記載されるが、単一のディスプレイ、プロセス、又は構成要素は、本発明の1つ以上の態様を使用することができることを理解すべきである。例えば、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための本発明の様々なプロセスが、本発明の前方プレーン積層体を使用して実行されることができる。
【0069】
接着剤なしのプロセス、媒体、前方プレーン積層体、及び二重剥離フィルム
本発明の上記態様の全ては、ともにまとめられる。なぜなら、それら全ては、カプセル封入された電気泳動媒体と、少なくとも1つの電気泳動ディスプレイの他の構成要素との間で従来使用される積層接着剤を排除することに関するからである。この他の構成要素は、一般にバックプレーンであるが、いくつかの場合において、本発明は、観察者が、それを通してディスプレイを見ようと意図される見る表面を提供する、電気泳動媒体と前方基体との間の積層接着剤を排除することを可能にすることができる。上述のように、積層接着剤を排除することは、実際にバインダが、積層接着剤としても作用するように、積層のために使用される温度で流れることができるバインダを、電気泳動媒体において使用することによって行われる。流れの概念は、複雑であるが、本明細書においてそれは、弾性的から可塑性又は粘性挙動への移行を通過するポリマー材料を参照する。
【0070】
本発明の接着剤なしの媒体及びプロセスにおいて使用されるバインダは、もちろんその流動温度に関してだけでなく、電気泳動媒体の他の構成要素でのその適合性、及び特にバインダの抵抗率を含むこの媒体を駆動するための要件に関しても選択されなければならない。望ましくは、バインダは、150℃以下の温度、及び好ましくは100℃以下の温度で流れる。一般に、好ましいタイプのバインダは、ポリウレタンであり、所定のポリウレタンは、これらの好ましい流動温度を満たすことができるが、まだ電気泳動媒体において従来使用される全ての他の構成要素と適合することが見出された。
【0071】
また、本発明の接着剤なしの媒体及びプロセスにおいて使用されるバインダの選択において、使用されるバインダのタイプだけでなくバインダの比率へも注意をすべきである。上述のいくつかのE Ink及びMIT特許及び特許出願において議論されたように、基体上にカプセル及びバインダの混合物をコーティングすることによって準備されたカプセル封入された電気泳動媒体、又はポリマー分散されたタイプの媒体は、個別のカプセル又は液滴は、乾燥され且つ/又は硬化された電気泳動媒体の表面上に「バンプ」を形成するので、平坦ではない表面を有する傾向があり、且つこれは、(好ましい場合であるので)媒体が、本質的にカプセル又は液滴の単一の層からなるときに、特に真である。積層接着剤を使用する従来のプロセスにおいて、積層接着剤は、電気泳動媒体をバックプレーン又は他の構成要素に接着するだけでなく、電気泳動媒体の元の平坦ではない表面を平坦化する作用もして、したがって、電気泳動媒体の平坦ではない表面が、バックプレーン又は他の構成要素の平坦な表面に積層されるなら、そうでなければ生じることがある様々な問題(例えば、ボイドの形成及び印加された電界に対する電気泳動媒体の不均一な応答)を避ける。
【0072】
積層接着剤は、そのような問題を避けるために本発明により排除されるとき、流動可能なバインダが、前に使用された積層接着剤の接着機能だけでなく、その平坦化機能を置き換えることが非常に望ましく、且つ流動可能なバインダがそうすることを可能にするために、一般に積層接着剤とともに使用することが意図された従来技術の電気泳動媒体で用いられるよりも多い比率の本発明の接着剤なしの電気泳動におけるバインダを使用することが一般に望ましいことが見出された。例えば、基体上に載る単一層の六角形に密にパックされた球状カプセルを備える、理想的なカプセル封入された電気泳動媒体を考える。カプセルによって占められる層の容積部分は、ほぼ60.5パーセントであり、バインダによって占められるべき39.5パーセントの層の容積を残す。これは、約3:2のバインダに対するカプセルの比が、バインダがカプセル間の全ての空間を充填するのに十分であり、このようにカプセル層を平坦化することを示唆する。さらに、この理想化されたシステムを考慮することによって、バインダのわずかにより大きな比率(例えば、1:1のバインダに対するカプセルの量の比)が、過剰なバインダがカプセル層の上を覆うことを確実にすることが望ましく、したがって積層プロセスの間に、カプセル壁が損傷することがあり、且つ破裂する可能性があることが示唆される。
【0073】
しかしながら、上述のいくつかのE Ink及びMIT特許及び特許出願において説明されたように(特に、米国特許第6067185号及び米国特許第6392785号を参照されたい)、実際に製造されたカプセル封入された電気泳動媒体は、以下の点で理想化されたモデルとは著しく異なる。元の球状カプセルは、電気泳動媒体の層が乾燥又は硬化の間に収縮するので、扁平な楕円体へ平坦になり、且つ少なくともいくつかの場合において収縮が継続するので、扁平な楕円体が、互いに接触し、層の厚みに対して実質的に垂直に延びる接触の平坦な領域を発展させ、その結果、最終的にはカプセルは、実質的にプリズムの形態、理想的には六角形のプリズムの形態を有する。同様な効果は、ポリマー分散された電気泳動媒体で観察される。扁平な楕円体及びプリズム状カプセルは、密にパックされた球状カプセルより実質的に大きな比率の電気泳動媒体を占め、その結果より少ないバインダは、前者の場合に必要である。さらに前述の議論は、容積比に集中し、ほとんどのバインダの密度は、ほとんどの電気泳動媒体の密度より幾分高く、そのより大きな部分は低密度脂肪族炭化水素の懸濁流体からなり、その結果バインダの重量比は、容積比より幾分高いことがある。任意の特定の媒体で使用するためのバインダの最適比は、経験的に最適に決定されるが、一般的な案内によって、ポリマー・バインダが、一般的に電気泳動媒体の重量で少なくとも20パーセント、及び望ましくは少なくとも30パーセントを含む(これらの比は、バインダが一般にラテックスとして添加されるので、もちろん本質的に乾燥カプセルの重量に関して、及びバインダの固体に基づいて計算される)。一般に、最適比は、ポリマー・バインダの重量の1部毎にカプセルの重量の2部から3部である。非常に過剰なバインダの使用は避けるべきである。なぜなら、そのような過剰は、それらが良好にパックされる点を越えてカプセルを「希釈する」傾向があり、したがって媒体の電気光学性能を劣化させるからである。
【0074】
本発明の接着剤なしのプロセスの積層ステップは、従来技術で知られている任意の技術を使用して行われることができる。したがって例えば、積層は、本発明の前方プレーン積層体とラミネータの加熱されたロール間の可撓性基体上に形成されたバックプレーンのロールとを通過させることによって、ロール・ツー・ロール・プロセスを使用して行われることができる。
【0075】
本発明の前方プレーン積層体及び二重剥離フィルムは、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号及び米国特許出願公開第2004/0155857号に記載される任意の光学特徴を含むことができる。したがって例えば、前方プレーン積層体は、米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されるような導電ビア及び接触パッドを提供されることができる。前方プレーン積層体の剥離シートは、前述に記載された方法で前方プレーン積層体の試験を容易にするために、電気導電層を提供されることができる。
【0076】
本発明の前方プレーン積層体は、従来技術のFPLから層(すなわち積層接着剤層)を排除するだけでなく、アセンブリ・プロセス全体を簡単にする。前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載された従来技術のプロセスにおいて、FPLは、一般に、酸化インジウムすず(ITO)層を担持するポリマー・フィルムを備える基体上にカプセル/バインダ・スラリをコーティングすることによって形成され、スラリは、フィルムのITOで覆われた表面でコーティングされる。結果としてのカプセルでコーティングされたフィルムは、次に、積層接着剤の層が、カプセル/バインダ層の露出された表面に積層された第1の積層を受け、次に、剥離シートは、FPLを形成するために付けられる。FPLが、ディスプレイにアセンブリされるときに、剥離シートが取り除かれ、第2の積層が、バックプレーンに積層接着剤を固定するために行われ、したがって最終的なディスプレイを形成する。本発明は、第1の積層を排除することを可能にし、したがってディスプレイの製造のための全体プロセスを単純化する。
【0077】
本発明のこの態様は、以下に添付図面の
図1から
図4を参照して例示される。前述したように、
図1は、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に記載されるが、バックプレーンへの積層のために取り除かれる準備がされた剥離層を有する従来技術の前方プレーン積層体を示す。
図1に示されるように、前方プレーン積層体は、ポリマー・フィルムから形成された前方基体100を備え、前方基体100は、最終的なディスプレイの共通の前方電極を形成する、酸化インジウムすずの層102(層102の厚みは、図示を容易にするために基体100の厚みと比べて非常に厚い)を担持する。前方プレーン積層体は、さらにバインダ106内にカプセル104を含む電気導電層、及び積層接着剤層108を備える。
【0078】
図2は、画素電極(図示せず)を含むバックプレーン110に
図1の前方プレーン積層体を積層した結果生じた基体を示す。
図2の積層体において、電気導電層104/106及び接着剤層108の両方は、前方プレーン電極層102と画素電極との間に存在することが分かる。
【0079】
図3は、再びバックプレーンへの積層のために取り除かれる準備ができた剥離層を有する本発明の前方プレーン積層体を示す。
図3の前方プレーン積層体は、全般的に
図1の前方プレーン積層体に類似するが、熱流動可能なバインダ106’を有し、且つ接着剤層が無い。
【0080】
最終的に
図4は、バックプレーン110へ
図3の前方プレーン積層体を積層する結果生じた構造を示す。
図4の積層体において、電気導電層104/106だけが、前方プレーン電極層102と画素電極との間に存在することが分かる。電極間の接着剤層の排除のために、任意の所定の動作電圧で、
図4の積層体は、一般に
図2の積層体より実質的に速く切り替わる。以下の実施例は、例示だけのためであるが、本発明の好ましい実施例を示すために以下に与えられる。
【実施例】
【0082】
ゼラチン/アカシア・カプセル壁とともに、脂肪族炭化水素の懸濁流体内にポリマー・コーティングされたチタン及びカーボン・ブラック粒子を含む反対極性の二重粒子電気泳動カプセルが、前述の米国特許出願公開第2002/0185378号の実施例30に実質的に記載されるように準備された。これらのカプセルは、次に特注のポリウレタン・ラテックス・バインダで1:1の重量比(カプセル/バインダ固体に基づく)で混合され、結果としてのスラリ・スロットは、実質的にこの実施例30に記載されるように、ITOで一表面がコーティングされた5mil(127μm)のポリ(エチレン・テレフタレート)(PET)フィルム上にコーティングされ、スラリは、ITOで覆われた表面上にコーティングされ、本質的に15〜30μm厚みのカプセルの単一層を備える最終的なカプセル/バインダ層を作成するために硬化される。結果としてのカプセルでコーティングされたフィルムは、コーティングされたフィルムが、以下に記載されるように直接に使用されるので、必要ではない剥離シートを無いことを除いて、本質的に本発明のFPLである。
【0083】
カプセルでコーティングされたフィルムは、次にホット・ロール・ラミネータを使用して、グラファイト層でコーティングされたポリマー・フィルムを備えるバックプレーンに積層され、電気泳動層はグラファイト層と接触され、結果として生じた構造体は、十分な電気光学特性を示す実験の単一画素のディスプレイを形成するために、2インチ平方(51mm平方)のサイズに切断される。
さらに同様の実験は、十分な電気光学特性が、約1:2から1:3のより低いカプセルに対するバインダの重量比で得られることができることを示す。
【0084】
可撓性サブ・アセンブリ・プロセス
本発明の可撓性サブ・アセンブリ・プロセスは、可撓性が最高に重要である上述されたような適用における使用に十分に適合された、非常に可撓性であり且つコンプライアントなディスプレイのアセンブリを可能にする。好ましいサブ・アセンブリ・プロセスは、添付の図面の
図5から
図9を参照して記載される。
【0085】
好ましいプロセスは、第1の剥離シート500(
図5)で開始する。電気光学媒体502の層は、第1の剥離シート500上にコーティングされ又は他の方法で付着される。別個に、積層接着剤504の層は、第2の剥離シート506上に形成され、且つ電気光学媒体502に積層され、その結果、積層接着剤504が電気光学媒体502を接着する。
【0086】
別個の動作で
図6に示されるように、バックプレーン508は、第3の剥離シート510上にスクリーン印刷又は類似する付着プロセス(そのようなバックプレーンを形成するための適切なプロセスに関する前述のE Ink/MIT特許及び特許出願を参照されたい)によって形成される。別個に、積層接着剤512の層は、第4の剥離シート514上に形成され、且つバックプレーン508に積層され、その結果、積層接着剤512がバックプレーン508を接着する。
【0087】
本発明の次のステップにおいて、第4の剥離シート514は、
図6に示される構造体から取り除かれて、このように積層接着剤512を露出し、且つ第1のシート500は、
図5に示される構造体から取り除かれて、このように電気光学媒体502を露出する。2つの結果として生じた構造体は、電気光学媒体502と接触する積層接着剤512とともにこれらを積層し、このように
図7に示される多層構造体を形成する。
【0088】
別個の動作で、積層接着剤516の別の層が、第5の剥離シート518上にコーティングされる。第3の剥離シート510は、
図7に示される構造体から引き剥がされ、且つ積層接着剤516及び第5の剥離シート518が、
図8に示される構造体を形成するためにそのバックプレーン表面に積層される。
【0089】
プロセスの次のステップは、
図8の構造体を、
図8の構造体の電気光学ディスプレイ構成要素を絶縁するために誘電体材料の薄層でコーティングされた、基体、例えば圧力感受性スイッチング又は検知デバイスに固定する。この積層は、
図8の構造体から第5の剥離シート518を引き剥がし、且つ積層接着剤516を積層することによって実行され、このように基体520を露出する(
図9)。代わりに、検知又はスイッチング・デバイスと接触する積層接着剤のこの層は、高い絶縁性の圧力感受性接着材料で形成されることができ、この場合、それは、誘電体材料の層を排除することができる可能性がある。最終的に、第2の剥離シート506は、積層接着剤504を露出するために取り除かれ、積層接着剤504は、次にポリマー・フィルムなどの前方基体に一般に支持される上部プレーン電極522に積層され、前方基体は、最終の電気光学ディスプレイを保護するための保護層として作用する。代わりに、上部プレーン電極522は、例えば積層接着剤504上に導電ポリマーを付着することによって、コーティング手順によって形成されることができる。
【0090】
様々な代替プロセスが、同一の基本パターンに続き使用されることができる。例えば、電気光学媒体が、プロセスの第1のステップで導電支持体上に直接コーティングされることができ、第2の剥離シートの取り除き及び上部プレーン電極の積層又は形成が、ともに省略される。この手順は、
図9の構造体に類似する構造体をもたらすが、最上部の積層接着剤層は無い。代替として、電気光学媒体を露出するために第1の剥離シートを引き剥がす代わりに、第2の剥離シートは、露出された接着剤層でコーティングした二層を生じるように、代わりに引き剥がされることができる。この二層コーティングは、次に、薄いプラスチック支持体上の導電層に積層されることができる。この点で、第1の剥離シートは、取り除かれることができ、プロセスの最終ステップが、前のように進行する。他のアセンブリ変形例も、想定されることができ、その結果一般的な方法は、様々な方法で様々な異なる電気光学ディスプレイ構造体及びデバイスを構築するために使用されることができる。
【0091】
本明細書に示される構築技術は、機械的なセンサ又は変換器に直接接着される電気光学ディスプレイ・デバイスを備える、少なくとも2つの新規な構造体の準備を可能にする。少なくとも2つの新規な構造体は、一方の構造体において、ディスプレイ・デバイスの上部は、保護シート(一般的にプラスチック・フィルム)によって保護され、一方第2の構造体(上部プレーン電極が、PEDOTなどの導電ポリマー材料として付けられる)は、さらなる保護層を有さない点で異なる。どの構造体が好ましいかは、適用及び必要なデバイスの耐久性に応じる。機械的なセンサがボタンによって作動される場合に、電気光学ディスプレイ表面と接触するこれらボタン面は、なめらかに且つ/又は幾分コンプライアントに作られることができ、その結果、保護プラスチック層は、必要としないことができる。センサの作動が、指、又はスタイラス、又は他の鋭利な物体を使用して行われるなら(タッチ・スクリーン適用におけるなど)、上部保護層は、耐久性が恐らく必要である。いずれの場合においても、デバイスの耐久性は、電気光学媒体が電気泳動媒体に分散されたポリマーであるなら改善される。
【0092】
電気光学媒体の他の方法も使用されることができる。特に、パターン形成されたバックプレーンへの電気泳動カプセル及びバインダの電着(国際特許出願PCT/US2004/009421を参照)は、電気光学媒体を組み込む特に適した方法であり、上記手順におけるいくつかの積層/剥離ステップを排除する。この技術は、ディスプレイ強化として黒又は白に追加して、複数のスポット色の使用も可能にする。
【0093】
前述から、本発明の可撓性サブ・アセンブリ・プロセスは、機械的変換器に直接結合された電気光学ディスプレイ、及び一連の積層ステップを使用するこのデバイスのアセンブリのための一般的な方法を提供することができることが分かる。ディスプレイと変換器との間の直接結合は、少なくとも1つの比較的硬い支持体シートの必要性を排除し、且つ解像度及び結合されるデバイスの感覚を改善する。本発明により可能になる1つのそのようなデバイスは、カプセル封入された電気泳動ディスプレイとともに使用するためのタッチ・スクリーンであり、他のデバイスは、切り替え可能なボタン・インジケータを有する電話キーパッドである。これは、カプセル封入された電気泳動媒体の耐久性及び可撓性を利用することができる非常に強力な構築技術の1つの使用である。
【0094】
カラー画像を表示し且つ光パルス生成するための装置
既に述べられたように、本発明は、カラー画像を表示するための装置、及び異なる色の光パルスを生成するための装置を提供し、後者の装置は、カラー画像を表示するための装置におけるサブ・アセンブリとして使用することを意図される。
【0095】
上記で注目されるように、カプセル封入された電気泳動及び類似する電気光学媒体は、カラー・フィルタ・アレイと適合することが示された。しかしながら、カラー・フィルタ・アレイと、電気泳動又は類似する電気光学媒体と、駆動電子装置とを組み込むことに関連するいくつかの基本的な課題が存在する。そのようなディスプレイ設計に関連する重要な問題は、ディスプレイの画素を形成するためにサブ画素の使用に関する。このアーキテクチャにおいて、サブ画素(例えば、赤R、緑G、及び青B)は、人間の目に基本色のスペクトルを見せるように欺くために個別にアドレス指定されなければならない。換言すれば、最も小さいアドレス指定可能な要素は、単一の色だけを示し、且つその単一の色を遮り、すなわちサブ画素は、可視光の全スペクトルを示すことができない。好ましい実施例において、ディスプレイの最も小さいアドレス指定可能な要素は、各原色(例においてR、G、及びB)を示すことができる。本発明の装置は、シャッタ・モード電気光学媒体及びフィールド・シーケンシャル操作技術を使用して(すなわち、全体画像の様々なカラー・チャネルを表す「サブ画像」が、空間においてではなく時間において分離され、観察者の目が、全体のカラー画像を見るような方法で)、この問題を対処する。
【0096】
上述された問題を排除するためにフィールド・シーケンシャル・アドレッシングを使用する2つのアプローチが存在する。第1に、カラー画像を表示するために本発明の装置を使用して、ディスプレイにおいてカラー・シーケンシャル・バックライト(例えば、CA、San JoseのLumiLEDs Corporationによって製造されるバックライト)を使用し、且つ「シャッタ・モード」の電気光学光変換器を用いることができる。フィールド・シーケンシャル・バックライトは、ディスプレイの原色、すなわち赤、緑、及び青を、光学変換器のシャッタ速度と同期して周期的に点滅する。適切なタイミングで空間的に制御して光学変換器を透明から不透明に切り替えることによって、フル・カラー画像が観察者に対して示されることができる。このタイプのデバイスは、添付図面の
図10に非常に概略的に示される。
図10は、複数の画素電極(図示せず)を含む基体1000と、電気光学媒体(カプセル封入された電気泳動媒体として示される)の層1002と、連続する前方電極1004とを備える、電気光学ディスプレイを示す。ディスプレイは、電気光学媒体層1002のシャッタ速度と同期して、赤、緑、及び青を点滅するフィールド・シーケンシャル・バックライト1006が設けられる。変換器及びバックライトは、人間の目がディスプレイによって放出されるカラーを一時的に統合するように、十分に速く切り替わるべきである。
【0097】
第2に、カラー・シーケンシャル・バックライト(すなわち、異なる色の光パルスを生成する本発明の装置)は、積み重ねられた電気光学フィルムを使用して構築されることができる。これらの積み重ねられた電気光学フィルムは、
図10に示される電気光学タイプであることができる「単色」光変調器とともに使用することが意図され、連続電極だけを必要とし、その結果、低い製造コストを有する。このタイプのデバイスは、添付図面の
図11に非常に概略的な方法で示される。
図11は、積み重ねられたカラー・シーケンシャル後方反射器を示し、このカラー・シーケンシャル後方反射器は、連続電極1102及び1104を備える青シャッタ・モードの電気光学媒体層1100(カプセル封入された電気泳動媒体として示される)と、連続電極1108及び1110を備える緑シャッタ・モードの電気光学媒体層1106と、連続電極1114及び1116を備える赤シャッタ・モードの電気光学媒体層1112とを備える。(複数の駆動電圧を生成できる電源を提供することによって、隣接する電極の各対の1つ1104/1108及び1110/1114は、排除されることができることは当業者には明らかである。)
【0098】
図11に示されるフル・カラー光学変換器などのフル・カラー光学変換器において、電気光学媒体フィルムは、それらの性能を最適化するために積み重ねられるべきである。例えば、フィルムで使用される透明導体が、可視スペクトルの一部に対して特に吸収体であるなら、その色は、積み重ね体において他の色より明るく見えるべきである。シャッタ・モード光学変換器又は任意の他の光学変換器(液晶、懸濁粒子ディスプレイ、コレステリック液晶、双安定性ネマチック液晶など)は、単色光学変換器として装置とともに使用されることができる。
【0099】
図11は、最も一般的な構成である3つの積み重ねられたフィルムの使用を示しているが(赤/緑/青又は黄/シアン/マゼンタのいずれか)、本発明は、3つの積み重ねられたフィルムの使用に制限されない。いくつかの場合において、慎重に色の範囲を選択することによって、ただ2つの積み重ねられたフィルムを使用して有用なカラー画像を生成することが可能であり、又はさらに、最終画像の色範囲全体を改善するために使用されることができる。同様に、カラー画像を表示するための本発明の装置において、照明手段は、一般に3つの異なる光の別個のパルスを点滅するように構成されるが、より少ない又はより多い数の色が使用されることができる。
【0100】
本発明のこの態様は、フル・カラー・ディスプレイを、シャッタ・モードの電気光学媒体、特にカプセル封入された電気泳動媒体を使用して製造されることを可能にする。
図10に示されるタイプの装置は、カラー・シーケンシャルLEDバックライトが、印象的な色範囲全体の性能及び光出力を提供するので、非常に高い色飽和及び輝度を可能にする。
図11に示されるタイプの積み重ねられた電気泳動シャッタ・モード後方装置は、光パルスを生成する装置に関する低パワーで潜在的に低コストの設計である。
【0101】
電気光学ディスプレイを形成するためのプロセス及び構成要素
既に述べられたように、ガラス・アクティブ・マトリクス・バックプレーン(一般に、薄膜トランジスタ・アレイ、又は単にTFTを担持する)へFPLを積層するプロセスの開発の間に、多数の問題が、従来の積層設備で遭遇された。本発明は、ガラスTFT上のFPLの積層を容易にするために必要であり又は望ましい従来の工具の修正を提供する。これらの修正は、プラスチック又は金属ホイル・バックプレーンを使用するFPLベースのディスプレイに関する積層工具の設計において有用でもあり得る。修正は、好都合に3つの主要な領域に分割されることができ、すなわち、積層の温度制御と、バックプレーンに対するFPLの配置と、積層が実行されるステージの設計とであり、これら3つの領域は、以下に別個に議論される。
【0102】
積層の温度制御
液晶ディスプレイ(LCD)製造に有用な従来の偏光板ラミネータは、従来の機械が、積層されるべき部品を加熱するためのシステムを含むように修正されるなら、バックプレーンへのFPLの積層に基本的に適している。いくつかの方法は容易には明らかでないが、積層されるべき部品を加熱する好ましい方法が存在する。
【0103】
積層結合温度が、積層接着剤(一般的にはポリウレタンである)に可塑性流動を引き起こすのに十分に上昇されるそのような方法において、熱を加えることが最も望ましい。当業者には良く知られている、可塑性流動を記載するために使用されることができる多くの尺度が存在する。本発明の目的のために、結合ライン温度は、積層接着剤のバルク及びせん断係数が等しい温度(以降、クロス・オーバ点と呼ばれる)に等しい又はより高くあるべきであることを述べることができる。単に、クロス・オーバ点より非常に高い温度にバックプレーンを加熱し、且つ加熱されていないローラ又はマンドレルを通して及ぼされる圧力下にFPLを加えることによって、この温度レベルを達成することができる。
【0104】
改善されたプロセスにおいて、より慎重に結合ライン温度の制御が実現されることができるように、同様にローラ又はマンドレルも加熱することができる。他の変形実施例において、ローラ、バックプレーン、及びFPL自体は、より高い程度の制御を行うために加熱されることができる。この最後の変形実施例において、FPLの事前加熱は、接着剤が、積層を行うゾーンに入る前に事前に柔軟になるので、スループットのかなりな改善を可能にする。全ての実施例において、熱伝導プレート(銅、アルミニウムなど)が、組み合わせた加熱要素の熱均一性を強化するために使用されることができる。
【0105】
配置制御
LCD工業で使用された従来の偏光板ラミネータは、ガラス基体上に非常に正確に(±0.2mmから±0.3mm配置精度が、最新技術の機械に関して普通である)プラスチック・フィルムを配置することができる。しかしながら、FPLの熱積層が考慮されるとき、積層温度は、FPLが積層プロセスの間にスライドする傾向があるほど高くなることができないことは見出される。FPLスライドに影響を及ぼす4つの主なパラメータが存在する。
1.積層接着剤材料の選択、
2.積層接着剤厚み、
3.積層温度、
4.積層の間にFPLに及ぼされる力。
【0106】
一実施例として、FPLにおいて18μmの厚みで使用される現在好ましいポリウレタン積層接着剤に関して、積層プロセスの間にガラス上のFPLの実質的なスライドを妨げるために、ガラス・バックプレーンを85℃未満の温度に保持することが必要である(積層プロセスの間にFPL上の通常の張力及び加熱されていないローラの使用を仮定して)。接着剤の15μmの厚みに対して、スライドは、95℃未満の温度が許容可能である(プロセスの間のFPL上の通常の張力に対して)。したがって、上で列挙された4つのパラメータは、積層プロセスの間にFPLの実質的なスライドを妨げるために制御されるべきである。スライドに関して、1mm未満であることが望ましく、0.5mm未満であることがより望ましく、及び0.3mm未満であることが最も望ましい。
【0107】
ステージ設計
本発明は、FPL積層工具上のFPL支持体ステージに関する2つの改善を提供する。第1の改善は、支持体ステージの熱制御である。この温度制御は、FPLの事前加熱、及びしたがって非常に増大した積層速度を可能にする、FPL上の接着剤の事前加熱を可能にする。加熱は、伝導、対流、又は反射加熱によって達成されることができる。FPLの加熱は、もちろんFPLを損傷するほど強くなくあるべきである。
【0108】
第2にステージは、それが、FPLのプラスチック表面にかき傷を付けないようになめらかであるべきである。ステージは、ポリテトラフルオロエチエン(例えば、米国のWilmington、DelawareのE.I.du Pont de Nemours&Co.により登録商標「TEFLON」の下で販売されるもの)でコーティングされ又は構築されることができる。代わりにステージは、金属から構築されることができ、又はかき傷が付かない表面でコーティングされ又は陽極酸化されることができる。多孔性石の真空ステージが、利用可能であるが、これらのステージは、FPLにかき傷を付ける工具の傾向を増大することができる。
【0109】
本発明は、バックプレーンにFPLを積層するためのプロセスにおいて以下のさらなる改善も提供する。
FPL上へのローラのタッチダウンの開始位置を容易に調整する性能を提供する。(従来のLCDタイプの設備において、ローラは、常にFPL積層に望ましくないフィルムの縁部にタッチダウンする。そのような機械への簡単な調整は、ローラ開始位置ではないが、FPLの開始位置及び長さを変更することを可能にし、そのような調整を提供することは望ましい。)
加熱されたローラは、より良好な温度均一性及び制御を与え、且つ実行の間に積層結合ラインの温度ドリフトの可能性を排除する。
FPLの最終形状により良好に適合するように真空孔を配置することと、ステージを加熱することと(ローラの加熱はより重要であるが、均一な積層温度を確実にすることへの二次的な影響を有することができる)、FPLにかき傷を付けることを最小化するためにステージ上に平坦な表面を提供することとを含む、様々なフィルム・ステージ修正。
【0110】
ハイブリッド・ディスプレイを製造する
既に述べたように、本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するためのいくつかの方法を提供する。本発明のこの態様は、ハイブリッド・ディスプレイ、すなわち、類似しない材料からなる前方及び後方表面を使用して構築されるディスプレイの製造を可能にする設計方法論の周囲で展開する。本発明のこの態様は、全てのタイプの電気光学ディスプレイに適用可能である。
【0111】
既に示されるように、ハイブリッド・ディスプレイを製造することは、従来のディスプレイ・セル製造にほとんど存在しない問題を生じるので、非常に複雑である。本発明は、ハイブリッド・ディスプレイを製造するための方法及びデバイスを提供し、且つ以下を含む。
1.CTE及びCHE不一致から結果として生じるパネル湾曲に一定の注意を払い、且つ湾曲を訂正するために応力解放又は低減方法及びデバイスを使用する、
2.製造中の環境条件を慎重に制御する、及び/又は
3.製品シャーシ又はフレームによって要求される湾曲を一致させる平衡なゼロ応力湾曲を作る。
【0112】
本発明の一実施例において、カール低減方法は、クリープ機構を含む。ハイブリッド・ディスプレイは、閾値を超える温度に加熱される。次に、パネル温度は、ディスプレイのパネル間の膨張差から結果としての構造応力を解放するために、いくつかの場合において延長された時間期間にわたり徐々に低下される。
【0113】
他の実施例において、カール低減方法は、ディスプレイを反対の湾曲を一時的に呈するようにさせてハイブリッド・ディスプレイの湾曲を低減することと、ディスプレイが「スプリング」バックを可能にすることとを含む。例えば、ディスプレイは、錘と、その固有の湾曲を補償させる湾曲した表面との間で押圧されることができる。
【0114】
さらなる実施例において、第3の層が、そうでなければより大きな湾曲の程度を導く、前方パネル積層体とバックパネルとの間の物理的差を補償するために、バックパネルの後方側に接着される。余分な第3のパネルは、任意の数の以下の物理的特性、すなわちCTE、CHE、ヤング率、及び厚みにおいて、バックパネルとは異なることがある。
【0115】
さらに他の実施例において、前方パネル積層体及びバックパネルは、それらが、ハイブリッド・ディスプレイを形成するために接着されるときに、湾曲が、排除されないなら低減されるように、異なる温度で調整される。パネルの少なくとも1つは、ローラによってウエブ可動にされることができる。
【0116】
本発明のこの態様によれば、製造プロセスの他の態様は、同様に、例えば縁部シーリング・プロセス及びフレーム形成プロセスにおけるディスプレイ湾曲のリスクを低減するために改善される。
【0117】
図12は、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号の
図20に示され、且つFPLプロセスを使用して製造されるタイプの電気泳動ディスプレイ・セル(全般に1210で指定される)を示す。ディスプレイ・セル1210は、可撓性であることができ、すなわち永続する変形なしに曲げられることができ又は丸められることができることができる。この構造で、ディスプレイ1210の前方プレーン1212はプラスチックであり、且つバックプレーン1214は、ガラスで構成され且つTFTアレイを設けられる。前方プレーン1212を覆うさらなる保護層1215が存在することができる。保護層1215は、紫外放射に対する保護層であることができ、又はディスプレイ1210内への酸素又は湿度の進入に対する障壁であることができる。代わりに、保護層1215は、衝撃に対する余分の抵抗を提供することができ、又は所定の光学効果、例えば反射防止コーティングとともに強化することができる。
【0118】
電気泳動媒体の層1216は、前方プレーン1212とバックプレーン1214との間にある。電気泳動層1216は、バインダ1220内に1つ以上のカプセル1218を含むことができる(電気泳動粒子は、明瞭にするために
図12から省略される)。導電層1222は、ディスプレイ1210の共通前方電極として作用し、前方プレーン1212と電気泳動層1216との間に配置される。一実施例において、導電層1222は、薄い光透過性であり且つ導電性材料、例えばITO、酸化アルミニウム、又は導電ポリマーを含む。回路ボード1224は、導電層1222とともに電気泳動層1216をアドレス指定するために、バックプレーン1214と接触して概略的に示される。
【0119】
接着剤層1226は、電気泳動層1216とバックプレーン1214との間に配置されることができる。様々な機能、例えば、湿度など外部汚染に対してさらに保護するための障壁フィルム、電気泳動層1216をテストでアドレス指定するための接触パッド、補助接着層などのために、ディスプレイ1210内のさらなる層及び部品が存在することができる。これら実施例のいくつかは、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号及び米国特許出願公開第2004/0155857号においてより詳細に記載される。シール1230は、ディスプレイ1210の1つ以上の縁部を囲むことができる。一実施例において既に記載されたように、前方プレーン1212と接着剤層1226との間、及び前方プレーン1212と接着剤層1226とを含む層は、FPL1232として第1に製造され、FPL1232は、その後、バックプレーン1214に積層される。保護層1215は、FPLがバックプレーン1214に積層される前に、それが前方プレーン1212に取り付けられるなら、FPLの一部と考えられることができる。図示を簡単にするために、FPL1232は、保護層1215を含むとして図面で示される。一実施例において、剥離シート(図示せず)は、FPL1232の製造が完了したとき、電気泳動層1216と反対側の接着剤層1226に一時的に取り付けられる。剥離シートは、FPL1232をバックプレーン1214に積層する前に取り除かれる。
【0120】
前方プレーン1212及び/又は保護層15を作るために有用な材料の実施例は、熱安定化されたポリ(エチレン・テレフタレート)(例えば、米国のWilmington、DelawareのDupont Teijin FilmsからのMelinexグレード504)、及び高性能ボロシリケート・ガラス(米国のNew YorkのCorning Incorporated、Corningからの1737)を含む。他の実施例において、PETフィルムは、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、或いは他の光学的に透明又はほぼ透明なフィルムで置き換えられることができ、これらは、本発明の範囲を超えることなく構成されることができる。
【0121】
図1に示されるディスプレイ・セル構造に類似する他のディスプレイ・セル構造は、本発明の範囲を超えることなく構成されることができる。他の実施例は、カプセル封入された電気泳動及び類似する電気光学ディスプレイ・セルを含み、以下を使用する。
1.その表面が、1つ以上のアクティブ又は非アクティブ電子回路又はデバイスを含む金属ホイル・バックプレーン、
2.その表面が、1つ以上のアクティブ又は非アクティブ電子回路又はデバイスを含むプラスチック・ホイル・バックプレーン、
3.電気泳動媒体とディスプレイの観察者との間の表面上に剛性又は可撓性カラー・フィルタ・アレイを含むFPL、又は
4.アクティブ又は非アクティブ電子回路又はデバイス、及びカラー・フィルタ・アレイを有する、プラスチック又はガラス基体(その場合、前方プレーン積層体は、有効にバックプレーン積層体になる)。
【0122】
電子ディスプレイ設計及び統合の当業者は、本発明の原理が、本発明の範囲を超えることなく適用されることができる他のディスプレイ・アーキテクチャを容易に識別することができる。
【0123】
図12に示されるディスプレイ・セルにおいて、ディスプレイ1210の様々な層を作り上げる材料の間、特にFPL1232とバックプレーン1214との間に、機械特性で著しい差異がある。例えば、FPL1232を作るために有用な熱安定化されたPET材料は、一般に約18ppm/℃のCTE及び約7ppm/%RH(相対湿度)のCHEを有し、一方、バックプレーン1214を作り上げるガラスは、約3.76ppm/℃のCTE及び約0ppm/%RHのCHEを有する。これら特性における差異の結果として、ディスプレイ・セル1210は、非常に変則的である機械特性を示す。例えば、熱又は湿度を受けたとき、ディスプレイ・セル1210は、下方に(
図12の側方立面図における「フロウン(frown)」に)カールし、且つ冷却又は乾燥を受けたとき、ディスプレイ・セル1210は、上方に(
図12における「スマイル(smile)」に)カールする。この挙動は、仕上げられた製品において明らかに望ましくない。さらに、一般的な積層プロセスは、FPL1232をガラス/TFTバックプレーン1214に取り付けるために、上昇された温度を必要とする。したがって、特別の処置なしに、パネル・カールは、ハイブリッド・ディスプレイ製造の間にほぼ確実にされる。
【0124】
カールする/ワーピングする現象を排除又は低減するために、いくつかの方法及び関連するデバイスが、製造の間及び/又は製造の後にパネル・カールを排除又は最小化するためたに提供される。様々な方法又はこれらの方法の態様は、本発明を実施する目的で組み合わされることができる。
【0125】
図12に戻り参照すると、第1の方法において、ディスプレイ・パネル10の一部又は全体は、パネルの製造の間に積層操作で使用される上昇された温度でのCTE及びCHE不一致に関連する応力を解放するために、熱サイクルを受ける。一実施例において、ディスプレイ・パネルの一部又は全体は、閾値温度を超えて加熱され、例えば、第1の時間期間、例えば6時間から10時間、ドライ・オーブン又はヒータで50℃又は60℃に加熱され、その後、温度は、第2の恐らくより長い時間期間にわたって傾斜されて下げられる。冷却/アニーリング・プロセスは、カプセル封入された電気泳動材料1218をともに結合するポリマー・バインダ1216、及びカプセル封入された電気泳動材料1218を基体層、例えば導電層1222に接着する積層接着剤を、クリープ機構を介して固有の応力を解放することを可能にする。システムを所望の状態に適切に緩和するために、ディスプレイ・セル1210に適切な温度で適切な時間を与えることが重要である。一実施例において、第2の時間期間における温度は、周囲温度に徐々に低下され、例えば毎時間1度から2度低下される。温度低下の速度は、一定である必要はなく変わることができる。
【0126】
図13Aは、上述されたクリープ機構に結合されることができる、ワーピングする「スプリング・バック」機構を解放するための第2の方法を示す。ディスプレイ1210のカールした部分は、ディスプレイ1210の湾曲とは反対である湾曲を有する曲げられた訂正表面上に一時的に配置される。訂正表面の湾曲は、なめらかであることができる。一実施例において、訂正表面は、単に平坦な表面上に突出1340を構成する。ディスプレイ・セル1210は、訂正表面1340に対して、例えば反対側に錘1342によって、恐らく上昇された温度例えば60℃で保持される。
図13Bに示されるように、ディスプレイ・セル1210は、突出1340によって課される湾曲を呈するように強制される。数分から数日の範囲であることができる適切な時間の後、錘1342は取り除かれ、又はディスプレイ・パネル1210は、他の方法で解放される。ディスプレイ・パネル1210は、次に、所望の形状に、例えば平坦又は規定された湾曲で、ある場合には徐々にスプリング・バックされる。スプリング・バック・プロセスは、例えば前に上昇された温度から周囲温度へ徐々に低下される温度で、温度制御されることもできる。
【0127】
図14は、
図12に示されるものなどハイブリッド・ディスプレイにおけるワーピングを防ぐさらなる方法を示す。この方法において、バックプレーン1214には類似しない1つ以上の材料の1つ以上の層1446は、バックプレーン1214の後側に取り付けられ、且つある最終製品としてFPL1232を含むディスプレイ1210の残りと積層される。さらなる層1446における材料は、特定のCTE、CHE、ヤング率、又は厚みで選択され、その結果、積層及び確実にするプロセスの間に、ディスプレイ1210は、ワーピングが無い又はわずかなワーピングを示す。さらなる層1446とともに、ディスプレイ10は、大きなワーピング無しにほぼ軸方向の膨張及び収縮を示す。なぜなら、それは機械的に対称な構造体であるからである。さらなる層1446は、そうでなければ結果としてワーピングを生じる、FPL1232とバックプレーン1214との間のCTE、CHE、ヤング率、又は厚みにおける差異を補償する。一実施例において、さらなる層1446は、熱安定化されたPET、PEN、又はPESなどの、FPL1232の製造において使用される材料から作られる。
【0128】
図15は、積層プロセスの前、間、及び/又は後で、FPL1232及びバックプレーン1214を異なる温度に調整することによって、例えば加熱又は冷却することによってワーピングを制御するさらなる方法を示す。
図15において、フレックス・オン・フレックス・アーキテクチャ又はロール・ツー・ロール・アーキテクチャ積層プロセスが、本方法の一実施例として示される。その剥離シート1233が剥がされたFPL1232のウエブは、可撓性基体上に形成されたバックプレーン1214のウエブに積層される。バックプレーン1214のウエブは、いくつかの前述のE Ink及びMITの特許及び特許出願で記載されるような、ポリマー半導体から構成されたトランジスタの使用を可能にする。そのようなロール・ツー・ロール積層は、異なる温度で維持された一対のローラ1548及び1550間のニップを通して、2つのウエブを通過させることによって行われることができる。ローラ1548及び1550を迅速に通過させることによって、FPL1232及びバックプレーン1214は、異なる平均温度にそれぞれ加熱又は冷却され、積層の前及び/又は間にFPL1232及びバックプレーン1214に異なる膨張を生じる。ロール・ツー・ロール積層プロセスに続いて、組み合わされた「ディスプレイ」ウエブは、個別のディスプレイ・セル1210を生成するために切断される。異なる膨張は、結果としてのディスプレイ・セル1210の全体のカールにおける所望の変化を行うために、制御された方法で設定されることができる。
【0129】
他の積層プロセスも使用されることができる。例えば、FPLの個別に切断されたピースが、個別にバックプレーンに積層される「ピース・ツー・ピース」プロセスにおいて、FPLの各ピースは、バックプレーンの温度とは異なる温度に事前に加熱又は冷却されることができる。他の適用可能な積層プロセスは、「ウエブ・ツー・ピース」プロセスを含む、任意の剥離シートが剥がされたFPLの連続するウエブは、ホルダ内に配置された複数のバックプレーンに積層される。
【0130】
加熱は、潜在的にパネル・ワーピングを生じるので、加熱を含むディスプレイ製造プロセスにおける他のステップが、本発明によって修正されることもできる。カプセル封入された電気泳動媒体が、水性コーティング技術を使用して一般に作られるので、材料は、固有にある程度水を引き付ける。水がシステム内に吸収されたとき、しかしながら、材料の電気特性は、不利に変更することがある。広範な範囲の環境条件にわたって妥当な均一な操作を確実にするために、例えば、前述の米国特許出願公開第2004/0027327号に開示される縁部シール及び前方障壁フィルム技術を介して、ディスプレイが湿度の進入を妨げるためにシールされる必要がある。シーリング・プロセスのいくつかにおいて、加熱が、使用され且つパネル・ワーピングに寄与することができる。
【0131】
図16に示されるある特定の縁部シール幾何形状において、シーラント1652は、ディスプレイ・セル1210の周辺の周りの薄い空洞又は間隔にウイッキングされる。空洞上部表面1654は、FPL1232の残りを覆って前方保護シート1215の張り出しによって形成され、空洞底部表面1656は、バックプレーン1214の前方表面によって形成される。ディスプレイの一形態において、ディスプレイ・パネル1210は、紫外放射及び/又は熱によって硬化される液体接着剤を使用してシールされる。接着剤を含む液体シーラント1652は、表面張力を使用して空洞内にウイッキングされることがあるが、これらの力は、接着剤の粘性によって低下される。高い製造スループットのために、ウイッキングの速度を最大化することが望ましい。そうするために、シーリング・プロセスの以下の態様は、以下によって制御され又は改善されることができる。
1.接着剤粘性を低減するためにパネル温度を増大する。
2.接着剤粘性を低減するためにシーラント・ディスペンサ・ヘッドの温度を増大する。
3.完全に空洞を充填し、且つまた空洞のちょうど外側のフィレットを残すのに十分に大きい接着剤のビードを付着する。
4.空洞の高さを最大化する(一般に100μmから300μmの間に及ぶ)。
5.接着剤が、空洞を形成する全ての材料を実質的に濡らすことを確実にする。
6.パネルの周辺の周りの幅で、特に角の幅で空洞を均一にする。
7.XY(パネルの面において)動き制御及びZ(パネル上の高さ)調整を有するディスペンス・システムを使用する。
8.XYθ(自由度のθ度は、例えば、先端近くに直角で曲がるディスペンス・ニードルを旋回する能力を追加する)動き制御、及びZ(パネル上の高さ)調整を有するディスペンス・システムを使用する。及び/又は
9.機械視角を通して縁部特徴を追跡することができるディスペンシング・システム、及び適切なソフトウエア・アルゴリズムを使用する。
【0132】
縁部シールは、空洞設計、材料選択、及びプロセス制御の正しい組み合わせを有する毛管ウイッキング・プロセスによって形成されることができる。一実施例として、公称寸法1.5mm幅×0.22mm高さを有する薄い空洞は、UV硬化可能な接着剤(例えば、日本の東京のNagase&Co.,Ltd.,のNagase Chemtex CorporationモデルXNR−5516)で充填されることができる。接着剤の粘性を低減するために、パネルが上昇された温度(例えば、40℃から70℃)で保持されるときに、迅速なウイッキングが、達成されることができる。UV放射の間にパネルの温度を制御することも好ましい。一実施例として、パネルは、40mW/cm
2のUVドーズ量で300秒間から400秒間で硬化される間に、40℃で保持されることができる。
【0133】
上述されたシーリング・プロセスの最も重要な態様の1つは、ディスプレイ材料において応力を展開させ結果としてワーピングを生じることがある、接着剤粘性を低減するためにパネルを加熱することを含む。本発明の一方法により、そのようなワーピング効果を最小化又は低減するために、加熱は、シーラント1652が加えられるパネル1210の周辺に制限される。この加熱は、放射、伝導、又は対流手段によって実行されることができる。バルク加熱が加えられなければならないなら、本発明の他のカール緩和方法の1つが、好ましくは接着剤の硬化の前に使用されることができる。
【0134】
いくつかの実施例において、ディスプレイ・パネル1210は、それが観察者に対して平坦な又は均一に曲げられた表面を呈することを確実にするために、最終製品におけるシャーシ又は他のフレームに固定される。縁部シールが、シャーシ又はフレームにパネルを合わせるために形成された後で、ディスプレイ・パネル1210を曲げることは、望ましくない。なぜなら、それは、積層体及び縁部シールに追加の応力をさらに加えるからである。本発明の他の態様によれば、ディスプレイ・パネルは、一般的な動作温度及び相対湿度の範囲内で、仕上げられ且つフレーム形成された製品の望ましい湾曲に一致する又はほぼ一致する、「ゼロ応力」の平衡湾曲を有するように製造される。一実施例において、「ゼロ応力」の平衡湾曲は、動作環境範囲の中間点で又は中間点近くに設定される。
【0135】
例えば、ほとんどの電気光学ディスプレイに関する典型的な動作条件は、ほぼ0℃から40℃且つ10%RHから90%RHの範囲であるが、いくつかの例において、動作は、より広い温度及び湿度範囲にわたって生じる。また、電気光学ディスプレイを試験することは、非常に低い及び非常に高い温度(例えば、−30℃から+80℃)への露出サイクルにディスプレイを曝す、熱衝撃試験を通常含む。これらの広い温度範囲のために、環境範囲、例えば20℃から25℃の温度及び40%RHから60%RHの中間点近くにパネルの平衡湾曲を設定することによって、パネルが受ける応力を最小化することが望ましい。
【0136】
応力の無い湾曲を有するディスプレイ・パネルを作成するための一方法は、CTE及びCHEなどの機械特性を合わせた前方及びバックパネルのために材料を選択することである。この設計方法論は、例えば金属又はプラスチック・ホイル・バックプレーン、前方プレーン・アーキテクチャ上のカラー・フィルタ・アレイ(CFA)、バックプレーン・アーキテクチャ上のCFAなどの、上述されたプラスチック・オン・ガラス・アーキテクチャ以外のディスプレイ・アーキテクチャで使用されることができる。例えば、ステンレス鋼ホイル・バックプレーンに関して、CTEは約17ppm/℃であり、CHEは約0ppm/%RHである。この場合、カーリングは、プラスチック・オン・ガラスの場合に比較して劇的に低減されるが、それはゼロではない可能性があり、上述されたあるカール低減技術が、利用されることができる。プラスチック・バックプレーン・ディスプレイに関して、FPL及びバックプレーンのために同一の材料を使用することが望ましい。これが不可能であり、CTE又はCHEの結果が不一致であれば、上述の同一のカール低減技術が使用されることができる。
【0137】
カラー・フィルタ・アレイ(CFA)を組み込むディスプレイにおいて、本明細書で記載された課題が、正確にバックプレーン上でアドレス指定要素に対してCFAサブ画素を整列するための必要性によって一層悪くなる。金属又はプラスチック・ホイル・バックプレーン上のガラスCFAに関して、CTE/CHE不一致は、上記実施例において記載された挙動とは反対の挙動を結果として生じ、加熱又は加湿は、結果としてスマイルを生じ、冷却又は乾燥は、結果としてフロウンを生じる。この反対の挙動に関わらず、上述の同一のカール緩和又は低減プロセスは、システムにおけるカールを低減又は排除するために用いられることができる。しかしながらこのアーキテクチャにおいて、カール緩和プロセスを受ける前に、整列された状態でFPLをロックするために縁部シールを使用することが好ましい。縁部シールがコンプライアンス過ぎるなら、前方及びバックプレーンの膨張及び収縮差は、結果として温度の関数としてディスプレイにおける望ましくないカラー・シフトを結果として生じる。
【0138】
好ましい実施例において、可撓性CFAが、可撓性CFAのCTEに近く一致するCTEを有する金属ホイル・バックプレーンに取り付けられる、フレックスCFAアーキテクチャが製造される。例えば、可撓性CFAが、熱安定化されたPET(約18ppm/℃のCTE、約7ppm/%RHのCHE)上に構築されることができ、バックプレーンは、ステンレス鋼ホイル(約17ppm/℃のCTE、約0ppm/%RHのCHE)上に構築されることができる。前方PETフィルムは、前方障壁フィルムを使用することによって湿度から絶縁されることができる。薄いフィルムのオプションは、SiO
2、SO
x、SiO、ITO、又は他の透明セラミック障壁フィルム、又はAclarTM(米国のNew JerseyのMorristownのHoneywell International Corporation)などのポリマー材料を含む。この障壁の使用は、CHE効果のためにPETの膨張及び収縮を最小化する。このタイプのパッケージングで、可撓性アクティブ・マトリクス・バックプレーンへの高解像度フレックスCFA(インチ当たり数百画素のサブ画素ピッチ)のかなり大きいシート(数十センチメートル)にわたる制御された環境条件下で、正確に整列(数ミクロン内の精度)することを可能にする。もちろん、より低い解像度の実施例が、当業者によって容易に構築されることができる。
【0139】
他の実施例において、CFAの着色されたパターンは、単一のガラス基体上のTFTの直下又は直上に構築することができ、ディスプレイは、TFT及びカラー・フィルタを通して見られる。有利にはこの構造は、任意の整列を必要としない。
【0140】
しかしながら好ましい実施例において、電気光学層は、上述され且つ前述の米国特許出願公開第2004/0155857号における「二重剥離フィルム」を使用して、TFT/CFAに取り付けられる。このアプローチにしたがって、電気光学層又はフィルムは、剥離材料でコーティングされ、次にその剥離材料からTFT/CFAへ移される。二重剥離アプローチは、接着剤の薄いフィルムを使用して電気光学層の前方表面をTFT/CFAに取り付け、且つ積層接着剤の第2の層を使用してバックプレーンに結果としての構造体を取り付ける。二重剥離アプローチは、2つの金本的な利点を提供する。すなわち、電気光学層の前方表面は、積層接着剤が観察者に面する代わりのアプローチに比べて良好な光学装置を提供することと、TFTに最も近い側で薄い接着剤だけが存在するので、ディスプレイの解像度は、画素間の低減されたクロストークのために改善されることとである。
【0141】
特に上記で言及したものを除き、本発明で使用するための、電気泳動及び他の電気光学媒体を形成するために好ましい材料、並びにそのような材料を形成するための好ましいプロセスは、類似する従来技術の媒体と同一であり、且つカプセル封入された電気泳動媒体の形成に使用するためのそのような好ましい材料及びプロセスの広範囲にわたる議論に関して、前述のE Ink及びMITの特許及び特許出願公開が参照される。