(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ表示処理は、医療行為の時系列データを蓄積するサーバから前記決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに取得して行なうことを特徴とする請求項1記載のデータ表示プログラム。
【背景技術】
【0002】
従来、画面の上部に多段階の時間軸(例えば、年単位・月単位・日単位)が表示され、(
図19参照)下部に診療行為(オブジェクト)が表示される電子カルテシステムが知られている。
【0003】
図19は、従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
図19において、表示画面の左側に医療行為の項目(病名・投薬・診断・検査等)が並んで表示されている。そして、各項目表示の右側に実際に行なわれた行為の記録が、一定の時間幅をもって表示されている。ユーザは上部の時間軸を選択することで、任意の尺度での情報俯瞰が可能となり、表示画面上で任意の時間にジャンプすることができる。
【0004】
また、任意の項目をピックアップし、それぞれを最適な時間スケールで見ることにより、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。このスケールの変換を指の操作(例えばピンチイン・アウト)によって行なうことで、より直感的にスケールを切り替えることが可能である。また、上記医療情報の閲覧においては、極めて長期的なデータが存在するため、時間の移動が問題となる。例えば2010年3月3日のデータを日のスケールで閲覧しているときに、3年前のデータを閲覧したい場合の時間移動に多くのステップを要する。
【0005】
かかる問題を解決するために、
図19に示すような電子カルテシステムには、タイムトラベルという機能が設けられている。タイムトラベルとは、複数段階のタイムスケール表示において、タイムスケールをスクロールする操作に合わせて時系列グラフを圧縮表示された時間ユニット単位でスクロールする操作をいう。すなわち、最も下段のスケールを用いて時系列データを表示する一方、上部のタイムスケールの1単位を表すユニットを圧縮して表示し、当該タイムスケールをスクロールする操作に合わせて時系列グラフを圧縮表示された時間ユニット単位でスクロールする。この機能によれば、遠くの時間帯のデータを一瞬にして表示することが可能となる。
【0006】
図20は、従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。上部のタイムスケールは、「2000s」の区間に2005年〜2009年の時間ユニットが含まれている状態が表示されている。なお、図示されていないが、「2000s」の区間には、2000年〜2004年の時間ユニットも含まれている。
【0007】
図21は、従来の電子カルテシステムのタイムトラベルモードの画面表示例を示す図である。タイムトラベルモードでは、時間を表現する幅を通常より狭めることでスクロールスピードを変化させる。
図21の例では、最上部のバーを操作することで、10年単位のスピードで移動し、中段のバーを操作することで1年単位でのスピードで移動し、再下段のバーを操作することで、1月単位のスピードでの移動が可能になる。これにより、長時間離れた日時であっても瞬時にジャンプする操作が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、タイムトラベルの操作のためにはタイムラインの表示段数が少なくとも3段なければ機能が十分に発揮されない。また、その操作は1段1段の表示に対して行なわなければならないため、小さいタッチパネル画面しか確保できない小型携帯端末においては、1段分の幅を少なくとも指一本で触れられる領域幅に拡張しなければならなくなる。したがって、小型の携帯端末では、タイムトラベルモードにおける操作用の表示領域を大きくせざるをえず、その分、グラフ表示領域が狭くなってしまう。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、タッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができるデータ表示プログラム、小型携帯端末およびデータ表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のデータ表示プログラムは、ユーザの選択に応じて複数の異なる移動用のタイムスケールで医療行為の時系列データを小型携帯端末のタッチパネルディスプレイに表示するデータ表示プログラムであって、タッチパネルに接する指のみによりなされ、位置指定ではない定量的操作に応じてタイムスケールを決定するタイムスケール決定処理と、前記タッチパネルに接する指のみによりなされ、前記タイムスケールを決定するための操作と区別可能な定量的操作に応じて前記決定されたタイムスケールにおける移動時間を決定する移動時間決定処理と、現在表示中の時系列データから前記決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに表示するデータ表示処理と、を前記小型携帯端末のコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0013】
このように、本発明のデータ表示プログラムは、位置指定ではない定量的操作を小型携帯端末のタッチパネルに接する指のみにより行なうことでタイムスケールの決定を可能にしている。また、タッチパネルに接する指のみによりなされ、タイムスケールを決定するための操作と区別可能な定量的操作によりタイムスケールにおける移動時間を決定している。これにより、タッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができる。医療行為の時系列データのように膨大で、項目に応じて粗密が異なるようなデータでも、容易に時間移動し、必要なデータに辿りつける。
【0014】
(2)本発明のデータ表示プログラムは、前記タイムスケールを決定するための操作が、所定本数の指による前記タッチパネルへの接触であり、前記移動時間を決定するための操作は、前記接触した指の所定距離の移動であることを特徴としている。これにより、指間の距離によりタイムスケールを決定でき、タイムスケールを決定した指によるその後の移動距離で移動時間を決定できる。したがって、操作のための表示を伴わずに容易かつ直観的にタイムトラベルモードを利用することができる。
【0015】
(3)本発明のデータ表示プログラムは、前記タイムスケールを決定するための操作が、所定の距離を維持した2本の指による前記タッチパネルへの接触であり、前記移動時間を決定するための操作は、前記接触した指による所定距離の移動であることを特徴としている。これにより、静止した指の状態(相対位置)でタイムスケールを決定でき、タイムスケールを決定した指によるその後の移動距離で移動時間を決定できる。したがって、操作のための表示を伴わずに容易かつ直観的にタイムトラベルモードを利用することができる。
【0016】
(4)本発明のデータ表示プログラムは、前記タイムスケールを決定するための操作が、タッチパネルに接する指の所定方向への所定距離の移動であり、前記移動時間を決定するための操作は、前記タイムスケールを決定するための操作の移動方向とは垂直な方向への所定距離の移動であることを特徴としている。これにより、所定方向への指の移動距離でタイムスケールを決定でき、その後、これとは別方向への指の移動距離で移動時間を決定できる。したがって、操作のための表示を伴わずに容易かつ直観的にタイムトラベルモードを利用することができる。
【0017】
(5)本発明のデータ表示プログラムは、前記データ表示処理が、医療行為の時系列データを蓄積するサーバから前記決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに取得して行なうことを特徴としている。このように、本発明のデータ表示プログラムは、指の操作による時間移動後の表示に必要な時系列データをサーバから新たに取得している。したがって、小型携帯端末の処理能力に負担をかけず、時間移動表示を行なうことができる。
【0018】
(6)本発明のデータ表示プログラムは、前記各処理を行なう間、現在適用しているタイムスケールを表示することを特徴としている。これにより、タイムスケールを確認しながら、指のみの操作で時間移動させて時系列データを表示できる。
【0019】
(7)本発明の小型携帯端末は、ユーザの選択に応じて複数の異なる移動用のタイムスケールで医療行為の時系列データをタッチパネルディスプレイに表示する小型携帯端末であって、タッチパネルに接する指のみによりなされ、位置指定ではない定量的操作に応じてタイムスケールを決定するタイムスケール決定部と、前記タッチパネルに接する指のみによりなされ、前記タイムスケールを決定するための操作と区別可能な定量的操作に応じて前記決定されたタイムスケールにおける移動時間を決定する移動時間決定部と、現在表示中の時系列データから前記決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに表示するデータ表示部と、備えることを特徴としている。
【0020】
これにより、小型携帯端末でタッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができる。
【0021】
(8)本発明のデータ表示方法は、ユーザの選択に応じて複数の異なる移動用のタイムスケールで医療行為の時系列データを小型携帯端末のタッチパネルディスプレイに表示するデータ表示方法であって、タッチパネルに接する指のみによりなされ、位置指定ではない定量的操作に応じてタイムスケールを決定するステップと、前記タッチパネルに接する指のみによりなされ、前記タイムスケールを決定するための操作と区別可能な定量的操作に応じて前記決定されたタイムスケールにおける移動時間を決定するステップと、現在表示中の時系列データから前記決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに表示するステップと、を前記小型携帯端末のコンピュータにより行なうことを特徴としている。
【0022】
これにより、小型携帯端末タッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、タッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】第1の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。
【
図1B】第1の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。
【
図1C】第2の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。
【
図1D】第2の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。
【
図2】第1の実施形態に係る小型携帯端末の構成の例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る小型携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【
図4A】タイムスケール変化前の画面表示例を示す図である。
【
図4B】タイムスケール変化後の画面表示例を示す図である。
【
図5A】タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
【
図5B】タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
【
図6A】10年スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
【
図6B】年スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
【
図6C】月スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
【
図7】移動距離検出部の構成を示すブロック図である。
【
図8】縦移動の判定に対するタイムスケール表示の変化を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る小型携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【
図10】座標点数とタイムスケールとを対応付けたテーブルの例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態に係る小型携帯端末の構成の例を示すブロック図である。
【
図12】タイムスケール変更手順を示すフローチャートである。
【
図13A】タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
【
図13B】タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
【
図14】縦移動の判定に対するタイムスケール表示の変化を示す図である。
【
図15】2本の指の座標点間距離とタイムスケールと対応付けるテーブルの例を示す図である。
【
図16】指間距離・タイムスケール保持部の構成を示すブロック図である。
【
図17】指間の距離を個人ごとに決定する手順を示すフローチャートである。
【
図18】指間距離のしきい値の設定方法を示す図である。
【
図19】従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【
図20】従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【
図21】従来の電子カルテシステムのタイムトラベルモードの画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の小型携帯端末は、ユーザの選択に応じて複数の異なるタイムスケールで医療行為の時系列データをタッチパネルディスプレイに表示する。その際には、タイムトラベルモードで、時間を表現する幅を通常より狭めることでスクロールスピードを変化させることができる。なお、小型携帯端末とは、たとえば携帯電話機やPDAのような手のひらサイズの端末装置をいい、いわゆるタブレット端末は含まれない。
【0026】
図1A、
図1Bは、いずれも第1の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。また、
図1C、
図1Dは、いずれも第2の実施形態におけるタイムトラベル操作を示す概念図である。
【0027】
第1の実施形態では、指の接触点数に応じてタイムスケールを変更する。
図1Aに示す例では、指の接触点数(丸印で示す部分)が2個であり、
図1Bに示す例では、指の接触点数は3個である。このようにして、指の接触本数により移動するタイムスケールを指定できる。
【0028】
また、第2の実施形態では、2本の指の接触点距離に応じてタイムスケールを変更する。
図1Cに示す例では、2本指の接触点距離(丸印間の距離)が狭く、
図1Dに示す例では、2本指の接触点距離が広い。このようにして、指の接触点距離で、移動するタイムスケールを指定できる。なお、図中で並行する矢印の数は、指の移動距離に対する移動時間の長さを示している。
【0029】
[第1の実施形態]
(小型携帯端末の構成)
第1の実施形態では指の接触点数によって、移動するタイムスケールを変化させる。
図2は、小型携帯端末100の構成の例を示すブロック図である。
図2に示すように、小型携帯端末100は、タッチパネル1、接触点座標検出部3、接触点数検出部5、接触点数・タイムスケール保持部7、タイムスケール保持部9、タイムスケール決定部10、移動距離検出部11、移動しきい値判定部13、タイムスケール・移動時間保持部15、移動時間決定部17、データ取得部19およびデータ表示部21を備えている。
【0030】
タッチパネル1は、ユーザの指による操作情報を接触点座標検出部3に伝達する。タッチパネル1は、感圧式であっても、静電容量式であってもよい。接触点座標検出部3は、ユーザの指とタッチパネル1との接触点の座標を検出する。接触点数検出部5は、指の接触点の座標検出数から接触点数を検出する。接触点数・タイムスケール保持部7は、接触点数とタイムスケールとを紐づけしたテーブルを記憶している。タイムスケール保持部9は、現在表示しているタイムスケールを記憶している。
【0031】
タイムスケール決定部10は、入力された接触点数の情報から、タイムスケールを決定する。このように、タッチパネル1に接する指のみによりなされ、位置指定ではない定量的操作に応じてタイムスケールを決定する。これにより、タッチパネル表示における時間軸の表示に大きい領域を割かなくてもタイムトラベルモードを利用し、広い領域でグラフ表示を行ないつつ容易かつ直感的な操作で時間移動操作ができる。医療行為の時系列データのように膨大で、項目に応じて粗密が異なるようなデータでも、容易に時間移動し、必要なデータに辿りつける。
【0032】
後述するように、上記テーブルがタイムスケールの相対値を示す場合、接触点数・タイムスケール保持部7は、タイムスケール保持部9が有する現在表示しているタイムスケールも用いてタイムスケールを決定する。移動距離検出部11は、指の移動距離を検出する。
【0033】
移動しきい値判定部13は、しきい値と検出された移動距離を比較して、しきい値よりも大きい場合には、移動と判定する。タイムスケール・移動時間保持部15は、タイムスケールと移動時間とを紐づけしたテーブルを保持し、移動時間決定部17にその情報を出力する。
【0034】
移動時間決定部17は、入力された移動距離とタイムスケールと移動時間とを紐づけしたテーブルの情報から、移動時間を決定する。タッチパネルに接する指のみによりなされ、上記のタイムスケールを決定するための操作と区別可能な定量的操作に応じて、決定されたタイムスケールにおける移動時間を決定する。
【0035】
データ取得部19は、決定された時刻におけるデータを取得し、データ表示部21は取得されたデータを表示する。これにより、現在表示中の時系列データから、決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに表示することができる。
【0036】
(小型携帯端末の動作)
図3は、小型携帯端末100の動作を示すフローチャートである。まず、小型携帯端末100は、タッチパネル上の座標点を検出する(ステップS1)。続いて、小型携帯端末100は、座標点数を検出する(ステップS2)。次に、小型携帯端末100は、座標点数と移動用のタイムスケールを保持するテーブルを参照し、移動するスケール単位を決定する(ステップS3)。そして、小型携帯端末100は、移動する単位に合わせたタイムスケールの表示を変更する(ステップS4)。タイムスケールの表示の変更については後述する。
【0037】
電子カルテのプログラムは、次に、指の移動距離を検出する(ステップS5)。続いて、電子カルテのプログラムは、移動しきい値を参照し(ステップS6)、しきい値を越えていない場合は(ステップS6:No)、処理を終了する。しきい値を越えている場合は(ステップS6:Yes)、移動と判断し、移動距離からステップS3で決定されたスケール単位の移動時間を計算する(ステップS7)。
【0038】
なお、データ表示処理は、医療行為の時系列データを蓄積するサーバから、決定された移動時間だけ移動した時系列データを新たに取得して行なってもよい。これにより、小型携帯端末の処理能力に負担をかけず、時間移動表示を行なうことができる。また、上記の各処理を行なう間、現在適用している移動用のタイムスケールを表示することが好ましい。これにより、タイムスケールを確認しながら、指のみの操作で時間移動させて時系列データを表示できる。
【0039】
(画面表示例)
図4Aは、タイムスケール変化前の画面表示例を示す図である。
図4Bは、タイムスケール変化後の画面表示例を示す図である。
図4A、4Bでは、指の接触点数によって、上部のバーの表示が変化している。
【0040】
図5A、
図5Bは、タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
図5Aに示す例では、小型携帯端末100は、座標点を2点検出し、座標点数=2と判断する。また、小型携帯端末100は、
図5Bに示す例のように、座標点数と移動用のタイムスケールを保持するテーブルを参照して、タイムスケールの単位を「月」に決定し、タイムスケールに合わせた表示を行なう。小型携帯端末100は、指の移動距離dを検出し、移動しきい値を参照して、d>10かどうかを判断する。なお、
図5Bに示す例では、しきい値が10であるが、しきい値はこれに限定されない。dが移動のしきい値を超えた場合、小型携帯端末100は、移動と判定し、移動距離dから移動時間を計算する。
図5A、
図5Bに示されるα、βは、所定の係数である。
【0041】
ここで、時間移動のためのタイムスケールに合わせた表示スケールの変化例を説明する。各々の指の本数によって、例えば以下のように表示が変化すればよい。
図6Aは、10年スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
図6Aは、指の本数4本で触った場合に表示される10年スケールを示している。
図6Bは、年スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
図6Bは、指の本数3本で触った場合に表示される年スケールを示している。
図6Cは、月スケールのタイムスケール表示例を示す図である。
図6Cは、指の本数2本で触った場合に表示される月スケールを示している。なお、各図中央の横断線は、画面上に表示された画像の年月日を示している。
【0042】
図7は、移動距離検出部の構成を示すブロック図である。縦移動を検出するために、移動距離検出部11の中に画面の水平方向に対する角度を検出する移動角度決定部101と縦・横の移動方向を判定する移動方向判定部103が含まれている。
【0043】
図8は、縦移動の判定に対するタイムスケール表示の変化を示す図である。
図8では、指の移動距離検出の際に角度も検出する。指の移動の向きが時間軸の正の向きとなす角をωとしたときに、ωが45度以上であれば、指の移動が縦移動と判定される。縦移動と判定された場合には、座標点数に応じてタイムスケールを決定する。
【0044】
(相対的なスケールによる動作)
図9は、小型携帯端末100の動作を示すフローチャートである。
図5Aの表の座標点数と移動用のタイムスケールを保持するテーブルにおけるタイムスケールは、現在表示中のタイムスケールからの相対的なタイムスケールで決めても良い。
図9に示す例では、
図3に示す例と異なり、座標点の検出(ステップT1)と座標点数の検出(ステップT3)の間に現在表示中のタイムスケールを取得する動作(ステップT2)が追加されている。そして、指示を受け付け、現在表示中のタイムスケールを相対的に変更することができる(ステップT4)。なお、ステップT5〜T8は、
図3に示されたステップS4〜S7と同様である。
【0045】
図10は、座標点数とタイムスケールとを対応付けたテーブルの例を示す図である。
図10に示す+1や+2は上位のタイムスケールを意味している。例えば、現在表示中のタイムスケールが「月」であった場合の+1は、「年」を意味しており、+2は「10年」を意味している。
【0046】
以上のように、第1の実施形態では、指の接触点数によって、タイムスケールの上部バーの表示と移動速度を変化させることができる。これにより、小型端末において数多く搭載される、タッチパネルやトラックパッドを用いてタイムラインを操作するアプリケーションにおいて、タイムラインの閲覧中に直感的な操作で時間移動ができる。また、比較的広い領域を使って、遠くの時間帯のデータを一瞬にして表示することができる。
【0047】
[第2の実施形態]
本実施形態では、指を2本に限定し、その間の距離によって移動するタイムスケールを変化させる。第1の実施形態のように単純な指の本数による判定方式のみでは、本数判定が十分でなかった場合に問題が発生する。例えばユーザがディスプレイにふれた際、4本で触れていたのにもかかわらず実際には3本しか判定されない場合が生じうる。これは比較的狭いタッチパネル領域しか持たない、小型の端末においてしばしば起こりうる。
【0048】
(小型携帯端末の構成)
図11は、小型携帯端末200の構成の例を示すブロック図である。小型携帯端末100の構成と異なり、接触点数検出部5に代えて接触点距離検出部205を設け、接触点数・タイムスケール保持部7に代えて指間距離・タイムスケール保持部207を設けている。これら以外の各部の機能は第1の実施形態と同様である。
【0049】
接触点距離検出部205は、2本の指の接触点間の距離を検出する。指間距離・タイムスケール保持部207は、2本の指の接触点間の距離とタイムスケールとを紐づけしたテーブルを保持している。タイムスケール決定部210は、上記のテーブルおよび入力された接触点間の距離の情報から、タイムスケールを決定する。
【0050】
図12は、タイムスケール変更手順を示すフローチャートである。
図3におけるステップS2の座標点数の検出を2本の指の座標点間距離の検出(ステップP2)に代えることで、2本の指によるタイムスケールの変更が可能になる。その他のステップP1、P3〜P7は、
図3に示すステップS1、S3〜S7と同様である。
【0051】
図13A、
図13Bは、タイムスケール変更手順の具体例を示す図である。
図13A、
図13Bの表に示す座標点間距離について、人差し指と中指との距離をX
人,中、人差し指と薬指との距離をX
人,薬、人差し指と小指との距離をX
人,小と表わしている。
【0052】
上記のように指間の距離により判定することで、3点以上の多点検出が可能なタッチパネル以外であっても操作が可能になる。これは端末の低価格化の影響で低価格なタッチパネルを採用せざるを得ない場合に有用である。
【0053】
以上の例において、小型携帯端末100、200の動作は、プログラムの実行により行なうことができる。なお、上記の例では、指の本数や複数の指の間隔でタイムスケールを変化させているが、タッチパネルに接する指の所定方向への所定距離の移動であってもよい。たとえば、移動距離検出部11に移動角度決定部101および移動方向判定部103を設け、指の移動の方向で、タイムスケールを変更可能にすることができる。指の操作が縦移動と判定された場合は、表示する時間幅自体を変更することも可能である。また、指の本数や複数の指の間隔によるタイムスケールの指定と指の移動による指定とを同時に受け付けてもよい。
【0054】
図14は、縦移動の判定に対するタイムスケール表示の変化を示す図である。
図14に示すように縦移動と判定された場合には、2本の指の座標点間距離に応じてスケールを変えてもよい。また、第1の実施形態で説明したのと同様に、現在表示中のタイムスケールから相対的に変更されたタイムスケールでも良い。
図15は、2本の指の座標点間距離とタイムスケールと対応付けるテーブルの例を示す図であり、
図10と同様である。
【0055】
また多点検出が可能なタッチパネルを用いる場合、
図16に示す指間隔決定部301により
図17に示す動作を実行することで、簡単に、個人に応じて異なる指間の距離を、個人ごとに決定することができる。
【0056】
(小型携帯端末の動作)
図16は、指間距離・タイムスケール保持部の構成を示すブロック図である。指間距離・タイムスケール保持部207は、4本の指間隔を決定する指間隔決定部301を備える。
図17は、指間の距離を個人ごとに決定する手順を示すフローチャートである。まず、アプリケーションの初期立ち上げの際に、ユーザが親指を除く4本の指でディスプレイに触れ、小型携帯端末200は、座標点を検出する(ステップQ1)。その上で、小型携帯端末200は、各々の指の間隔を測定する(ステップQ2)。
【0057】
(指間距離の判定)
図18は、指間距離のしきい値の設定方法を示す図である。測定する指間隔は(1)人差し指・中指間、中指・薬指間、薬指・小指間、(2)人差し指・薬指間、中指・小指間、(3)人差し指・小指間である。それぞれの指間隔について、距離を計測する。例えば
図18に示す例でそれぞれ、(1)1.0、1.2、1.1、(2)1.8、1.6、(3)2.8と計測されたとする。このときそれぞれの番号に属する値の最小値・最大値から、これらの指の距離判定を行なうしきい値を決定する。
【0058】
(1)の最大値と(2)の最小値を比べると、1.2と1.6となっており、この間に(1)と(2)の距離を判別するしきい値を設けることが望ましいため、これらを平均した1.4をしきい値とする。同様に(2)と(3)の最大値および最小値は、1.8、2.8のため、2.3がしきい値となる。これらをまとめると、ユーザのふれた指の間隔が、1.4以下であれば(1)、1.4より大きく2.3以下であれば(2)、2.3より大きければ(3)と判断できる。
【0059】
以上のように、第2の実施形態では、指の接触点距離によって、タイムスケールの上部バーの表示と移動速度を変化させることができる。これにより、第1の実施形態の効果に加え、3点以上の多点検出が可能なタッチパネル以外であっても操作が可能になる。これは端末の低価格化の影響で低価格なタッチパネルを採用せざるを得ない端末での操作において有用である。
【0060】
なお、上記の例以外にも、指の接触面積から指を特定して、所定の指の接触によりタイムスケールの指定を行なってもよい。