(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の装置は、プラスチックカードなどの記録媒体に顔写真などの画像データを印刷する出力装置として知られている。例えば、運転免許証、会員証、IDカードなどの証明用カードは、個人情報を伴って印刷するため大容量印刷システムには適さない。
【0003】
このため、最近ではオンディマンド印刷としてコンピュータネットワークに組み込まれ、顔写真、その標記印刷などの印刷と、個人情報などの電子データ記録を同時に実行する複合型プリンタシステムが用いられている。そして印刷方式としては昇華式リボン転写、ワックス式リボン転写、インクジェット印刷、静電印刷などが使用されている。
【0004】
このような印刷方式の中で、記録媒体の表面に凹凸が形成されているとき、ホログラムなどコーティングするとき、には中間転写式印刷方法が用いられている。この方法は、中間転写フィルム(以下「転写フィルム」という)に一次画像を形成し、このフィルム上に形成した画像を、下流側のプラテンで記録媒体に転写する方法として知られ、表面に凹凸がある媒体、表面にコーティングを必要とする媒体などに使用される。
【0005】
このような中間転写式プリンタ装置は、例えば特許文献1に開示されている。転写フィルムの上に一次転写(印刷)位置で画像を形成し、この転写フィルムを下流側の転写プラテンに給送する。これと共に、カードなどの記録媒体を転写プラテンに給送し転写プラテンで(加熱ローラで加熱しながら)転写フィルム側の画像を記録媒体に転写する。
【0006】
同文献の装置は、転写フィルムを供給ロール(供給スプール)から巻取りロール(巻取りスプール)に送る。この供給スプールと、巻取りスプールの間に、一次転写のための印刷プラテンと、二次転写のための転写プラテンを設けている。そして転写フィルムの送り方向と、記録媒体の送り方向は同一方向に設定されている。
【0007】
従って、供給ロールから繰り出された転写フィルムは印刷プラテンで画像形成され、その下流側の転写プラテンでカード等の記録媒体に転写される。転写後の転写フィルムは巻取りロールに巻き取られる。このように転写フィルムの移送方向は一方向に送られ、供給ロール、印刷プラテン、転写プラテン、巻取りロールの順にフィルム送り方向に配列されている。
【0008】
これと共に、転写プラテンには、加熱ローラが対向配置され、このローラはプラテンとの間に転写フィルムと記録媒体を挟んで圧接する同時に加熱することによってフィルム上の画像を記録媒体に転写している。この加熱ローラは転写プラテンに圧接する作動位置と、これから距離を隔てて退避した退避位置との間で移動可能に構成され、カムなどのシフト手段が設けられている。
【0009】
このような送り方式では、カード後端(印刷終了端)のバラツキで、中間転写フィルムを必要以上に消費する問題がある。つまりカードは長さ寸法のバラツキ誤差、送り精度の誤差などの影響でカード後端の印刷終了と同時に加熱ローラを離間させることが出来ないため(不可能に近いため)転写フィルムの印刷終了部は加熱ローラと接触して消費される。
【0010】
このような送り方式では、カード後端(印刷終了ライン)のばらつきで、中間転写フィルムの後端部には加熱ローラとの接触面が生ずる。この加熱ローラに接触したフィルム面は再使用できないため印刷の都度、印刷終了端部に、不要な加熱部が発生し、この端部は避けられないものとして消費されている。
【0011】
特許文献2には、上述の転写フィルムの無駄をなくすために、転写フィルムの供給方向と、カードの送り方向を反対方向に設定するフィルム供給方法が提案されている。同文献には転写フィルムを供給ロールから転写プラテンを経て下流側の印刷プラテンに操出し、印刷プラテンで画像形成する。その後、転写フィルムを反対方向に、スイッチバック(バックフィード)させて、転写プラテンにカード送り方向と、同一方向に送る方法が提案されている。
【0012】
この特許文献2の送り方法によると転写フィルムの無駄を省くことが可能となる。つまり転写プラテンで画像転写したフィルム後端部には、使用済みフィルム面が後続することとなるため、加熱ローラによって発生する余剰加熱部の無駄は解消される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる印刷装置1の全体構成の説明図である。この装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードなどに磁気情報、IC情報などの「情報記録」と文字、写真、マークなどの「画像形成(印刷)」を行う。
【0031】
そのため印刷装置1は、装置ハウジング2と、情報記録部Aと、画像転写部Bと、メディア供給部Cと、画像形成部Dとで構成されている。そして中間転写フィルム46に画像形成部Dで画像を形成し、その画像をメディア供給部Cから繰り出した記録媒体に画像転写する。また、この画像転写の前工程として記録媒体に磁気情報、IC情報など情報記録する。
【0032】
図1に従って各構成を説明する。装置ハウジング2には、メディア供給部Cと、このメディア供給部Cから送られた記録媒体(以下「カード」という)の方向を変換する反転ユニット20が配置されている。この反転ユニット20の下流側には第1の方向にカードを移送する第1搬送パスP1と、第2の方向にカードを移送する第2搬送パスP2が配置されている。更に反転ユニット20から第2の搬送パスP2とは別に第3の方向にカードを移送する第3搬送パスP3が配置されている。
【0033】
メディア供給部Cは複数のカードを立位姿勢で前後に整列収納する給紙カセット3で構成され、カードを繰り出す方向(
図1矢印X方向)と、第1搬送パスP1のカード搬送方向は、互いに反対方向で略平行する方向に配置足されている。上方に位置する給紙カセット3と第1搬送パスP1は上下に平行に配置されているため、カードの収容エリアと画像転写機構(後述する転写プラテン31と第1搬送パスP1)を上下平行にレイアウトして装置の集密化を図っている。
【0034】
上記反転ユニット20は、メディア供給部Cの下方に隣設して設けられ、装置ハウジング2の一端側(
図1右端)に配置されている。そしてこの反転ユニット20の下流に第1搬送パスP1が略水平方向に配置され第2搬送パスP2が略鉛直方向に配置されている。この第1第2搬送パスP1,P2は、角度が異なる方向に配置され図示のように90度乃至180度の角度範囲に配置されることが好ましいが経路の集密性を考慮して適宜の角度範囲に設定する。
【0035】
上記第1搬送パスP1には、メディア待機部Eと転写部Bが配置され、メディア待機部Eは反転ユニット20と画像転写部Bとの間に設けられている。画像転写部Bは、転写プラテン(図示のものはプラテンローラ)31で構成されカードをバックアップ支持して表面(
図2下面)に画像転写する。この転写プラテン31には加熱ローラ33がカードから離間した位置と、カードに接する位置との間で昇降するように配置されている。
【0036】
この転写プラテン31と加熱ローラとの間には転写フィルム46が巻装されている。図示のものは後述するフィルムカセット50で構成され、このフィルムカセット50は後述するリボンカセット42と共に第1搬送パスP1の下方に配置されている。
【0037】
フィルムカセット50に収容された転写フィルム46は、上記転写プラテン31と画像形成部Dとの間で走行するようにフィルムパスP4(フィルム移送経路;以下同様)が構成されている。画像形成部Dは第1搬送パスP1のメディア待機部Eの配置スペースでこの搬送パスP1の下方に配置されている。そして画像形成部Dは画像形成プラテン45と、このプラテンに対向配置されたサーマルヘッド40で構成され、両者の間にインクリボン41が走行するように配置されている。このインクリボン41の構成は後述するリボンカセット42で説明する。
【0038】
このように構成された画像形成部Dは、上方に第1搬送パスP1の反転ユニット20とメディア待機部Eが位置し、側方に第2搬送パスP2とその情報記録部A(後述する磁気記録機構)が位置する。そして第1搬送パスP1の反転ユニット20と画像転写部Bとの間にリボンカセット42とフィルムカセット50がこの順に配置されている。
【0039】
上述のように第1搬送パスP1と第2搬送パスP2を反転ユニット20を介して角度の異なる方向に配置し、この両パスで囲まれるエリア内にリボンカセット42とフィルムカセット50を配置して中間転写エリアを形成する。そして、反転ユニット20と画像転写部Bの間の第1搬送パスP1にメディア待機部Eを配置し、その下方に画像形成部Dを配置する。このようなレイアウト構成によって装置の集密化が可能となりコンパクト化が達成される。
【0040】
[メディア供給部の構成]
上記メディア供給部Cは、複数枚のカードを収納するホッパ機構で構成する。図示のホッパ機構は装置ハウジング2に着脱可能に装着する給紙カセット3で構成されている。給紙カセット3は、
図1に示すようにボックス形状のカセット筐体と、この筐体内に設けられたカード収容部4で構成される。このカード収納部4は、複数のカードを立位姿勢で整列して収納可能なカード寸法に適合する収容スペースで構成されている。
【0041】
上記カード収納部4には、
図1に示すように最前列のカード表面に後述するピックアップローラ19を係合させるピッカー開口11が設けられている。このピッカー開口11は、最前列のカードを給紙開口7から繰り出すため、後述するピックアップローラ19を最前列のカードに係合させる開口として形成されている。
【0042】
[反転部の構成]
メディア供給部Cの下流側に配置される反転部(反転ユニット:以下同様)20について説明する。
図1に示すように給紙カセット3の給紙開口7の下流側に搬入ローラ22が配置されている。そして給紙カセット3から繰り出されたカードは搬入ローラ22で反転ユニット20に送られる。反転ユニット20は装置フレーム(不図示)に旋回動可能に軸受け支持されたユニットフレームと、このフレームに支持された一対、或いは複数のローラ対で構成される。
【0043】
図示のものは距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対21a、21bをユニットフレームに回転自在に軸支持されている。そしてユニットフレームは旋回モータ(パルスモータなど)で所定角度方向に旋回動し、これに取付けられているローラ対21a、21bは搬送モータで正逆転方向に回転するように構成されている。この駆動機構は図示しないが、例えば1つのパルスモータでユニットフレームの旋回動と、ローラ対の回転をクラッチで切り換えるように構成する。
【0044】
従って給紙カセット3に準備されたカードはピックアップローラ19によって繰り出され、給紙開口7の分離ギャップで1枚ずつ分離され下流側の反転ユニット20に送られる。そして反転ユニット20はカードをローラ対21a、21bでユニット内に搬入し、ローラ対でニップした状態で所定角度方向に姿勢偏向することとなる。
【0045】
上記反転ユニット20の下流側には後述する第1搬送パスP1と第2搬送パスP2と第3搬送パスP3が、それぞれの角度方向に配置されている。そして第2搬送パスP2には磁気記録ユニット24が内蔵され、反転ユニット20から送られたカードの磁気ストライプに磁気情報を記録する。図示の磁気記録ユニット24はリードライトヘッドで構成され、磁気情報の記録と同時に、記録した情報を読み取って正誤判別するように構成されている。
【0046】
また、第3搬送パスP3には非接触式IC記録ユニット23が内蔵され、予め記録媒体に内蔵されているICに情報記録する。また反転ユニット20の旋回方向外周には、リジェクトスタッカ25と、バーコードリーダ28が配置されている。このバーコードリーダ28は例えば後述する画像形成部Dで印刷したバーコードを読み取って正誤判別(エラー判別)するためのユニットである。
【0047】
従って、反転ユニット20で所定の角度方向に姿勢偏向されたカードをローラ対21a、21bで記録ユニット24(または23)に移送すると、カード上に磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。またこれらのデータ入力ユニットで記録ミスが生じた場合にはリジェクトスタッカ25に搬出する。
【0048】
[第1搬送パスの構成]
上記反転ユニット20の下流側には第1搬送パスP1が配置されている。この第1搬送パスP1には画像転写部Bが配置され、反転ユニット20から送られたカードに画像を形成する。この第1搬送パスP1には画像転写部Bの上流側に第1第2ローラ対(ベルトでも良い)29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。この第1第2ローラ対29、30は正逆転切り換え可能に構成され、反転ユニット20から画像転写部Bにカードを搬送するのと同時に画像転写部Bからカードを反転ユニット20に搬送することが可能なようになっている。
【0049】
[メディア待機部の構成]
第1搬送パスP1には、転写部Bの上流側にメディア待機部Eが配置されている。このメディア待機部Eは、
図2に示すようにカードの搬送方向長さLcより短い間隔Ldで第1ローラ対29と第2ローラ対30が配置されている。この前後に距離を隔てて配置された第1第2ローラ対29、30にカードを保持した状態で一時的に待機させる。このため第1第2ローラ対29、30と駆動モータとの間には伝動クラッチ(不図示)が設けられ、クラッチをOFF状態にするとカードを停止待機させることが可能になっている。この第1第2ローラ対29、30は反転ユニット20と後述する画像転写部Bとの間に配置されている。
【0050】
また、転写プラテン31に近接した第2ローラ対30にはカード先端を検出するセンサSe8が配置され、メディア待機部Eにカードが存在するか否かを検出する。なお、カードを待機させた状態において、カード先端は後述する加熱ローラ33よりも上流側にある。これにより、待機中のカード先端部分が加熱ローラ33によって加熱されることがないため、カードに転写される画像にムラが発生する恐れがない。
【0051】
このようにメディア待機部Eを反転ユニット20と画像転写部Bとの間の第1搬送パスP1に配置することによって上流側に位置する第2搬送パスP2で磁気情報を記録するジョブ及び第3搬送パスP3でIC情報を記録するジョブと、下流側に位置する第1搬送パスP1で画像形成するジョブを分離して制御することが出来る。このメディア待機部Eは、第1搬送パスP1以外のパスに配置することも可能であり、その場合には第2搬送パスP2と第3搬送パスP3それぞれにメディア待機部Eを配置することが好ましい。
【0052】
[画像転写部の構成]
第1搬送パスP1には、メディア待機部Eの下流側に画像転写部Bが配置されている。この画像転写部Bは
図1に示すように記録カードをバックアップ支持する転写プラテン31(以下プラテン31と云う)で構成され、このプラテン31に対向して加熱ローラ33が配置されている。この加熱ローラ33は転写プラテン31から離間した待機位置(
図2の状態)から転写プラテン31との間にカードを挟圧する作動位置(
図5の状態)との間で昇降する。この昇降機構は図示しないが、例えばシフトカムとこれを回転する駆動モータで構成する。
【0053】
そして転写プラテン31と加熱ローラ33との間に転写フィルム46が走行可能に巻装されている。この加熱ローラ33は、耐熱性ゴム質材で構成され、転写プラテン31との間に記録カードと転写フィルム46を加圧と同時に加熱する。この加熱圧着によって転写フィルム46に形成された画像インクを記録カードに加熱溶着する。
【0054】
このため転写プラテン31と加熱ローラ33とは少なくとも一方(図示のものは転写ローラ側)が回転駆動され、その速度は記録カードの搬送速度(第2ローラ対30の周速度)と、転写フィルムの走向速度(後述の移送ローラ49の周速度)と一致するように設定されている。
【0055】
また、加熱ローラ33は、ロール内部に加熱手段(ヒータなど)が配置され、ローラ表面を所定の温度に保持している。そして転写プラテン31と圧接する位置と、これから離間した位置の間で移動可能に装置フレームに支持されている。このように加熱ローラ33には、表面温度を所定温度に昇温する加熱手段と転写プラテン31方向にローラを昇降する昇降機構(不図示)が設けられている。
【0056】
そして加熱ローラ33は第2ローラ対30で繰り出されるカード先端が転写プラテン31に到達するタイミングで待機状態(離間位置)から作動状態(圧接位置)にシフトする。
尚図示Se10はインクリボン41の位置検出センサであり、図示Se9は転写フィルム46の有無検出センサである。尚、画像転写部Bには装置内に発生した熱を外に出す為のファンfn2が設けられている。
【0057】
[搬出パス]
上記画像転写部Bの下流側には収容スタッカ60に記録カードを移送する搬出パスP5が設けられている。搬出パスP5には記録カードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。尚、搬送ローラ37と搬送ローラ38の間にはディカールローラ36が配置され、搬送ローラ37、38間に保持されたカード中央部を押圧することによってカール矯正する。
【0058】
「画像形成部の構成]
画像形成部Dは、カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成する。図示の装置は昇華型インクリボンで画像形成する場合を示している。画像形成部Dにはサーマルヘッド40とインクリボン41が配置されている。インクリボン41はリボンカセット42に収納され、このリボンカセット42に供給スプール43と巻取スプール44が収容され、巻取スプール44にはワインドモータMr1が連結されている。
【0059】
そして画像形成プラテン45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。このサーマルヘッド40にはヘッドコントロール用IC74x(
図6参照)が連結され、サーマルヘッド40を熱制御するようになっている。このヘッドコントロール用IC74xは画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することによってインクリボン41を後述する転写フィルム46に画像形成する。このためサーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取スプール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。図示fn1はサーマルヘッド40を冷却する為の冷却ファンである。
【0060】
上記転写フィルム46は巻取スプール47と供給スプール48に巻回され、この転写フィルム46は転写ローラ31と加熱ローラ33に転写画像を移送するように巻装されている。図示49は転写フィルム46の移送ローラであり、その周面にピンチローラ32aと32bが配置され、この移送ローラ49には図示しない駆動モータに連結されている。そして転写フィルム46は、インクリボン41と同一速度で
図1反時計方向に移動する。
【0061】
「収容部」
収容部Gは
図1に示すように画像転写部Bから送られたカードを収容スタッカ60に収容するように構成されている。この収容スタッカ60は図示しない昇降機構61とレベルセンサで、最上カードを検出し、昇降機構61で
図1下側に下降移動するように構成されている。
【0062】
「フィルムカセットの構成」
上述の転写フィルム46を装填するフィルムカセット50について説明する。このフィルムカセット50は
図1に示すように装置ハウジング2とは分離したユニットで構成され、装置ハウジング2に着脱可能に取付けられている。図示しないが
図1前面側にフロントカバーが開閉自在に配置され、このフロントカバーを開けた状態で装置フレームにフィルムカセット50を装着するようになっている。
【0063】
図2に示すようにフィルムカセット50には供給スプール48と巻取りスプール47が回転可能に装着され、両スプール間に転写フィルム46が架け渡されている。供給スプール48には操出モータMr3が、巻取りスプール47には巻取モータMr2に連結されている。この両モータは装置フレームに取付けられカップリング手段を介してスプール軸に連結されている。両モータはステッピングモータで構成され同一方向に同一送り量で回転する。
【0064】
転写フィルム46は所定間隔毎にマーカが形成されロール状に供給スプール48に巻回されている。この供給スプール48と巻取りスプール47の間にフィルム移送経路P4が形成されている。このフィルム移送経路P4に転写フィルム46が装置側に配置された移送ローラ49とピンチローラ32a、32bに係合され走行可能に案内されている。この移送ローラ49は同一速度でフィルムを走行するように駆動モータに連結されている。
【0065】
上記フィルム移送経路P4には画像転写部Bの上流側にフィルム待機部Fが設けられ、この待機部Fに転写フィルム46を一時的に停止した状態で待機するように経路構成されている。このフィルム待機部Fと前述のメディア待機部Eとは下流側の画像転写部Bに対して等距離の位置関係に配置されている。これは両待機部に先端揃えした状態で待機させた記録カードと転写フィルム46を同一タイミングで画像転写部Bに向けて繰り出すためである。
【0066】
フィルムカセット50に収容された転写フィルム46は、上記転写プラテン31と画像形成部Dとの間で走行するようにフィルム移送パスP4が構成されている。画像形成部Dは第1搬送パスP1のメディア待機部Eの配置スペースでこの搬送パスの下方に配置されている。そして画像形成部Dは画像形成プラテン45と、このプラテンに対向配置されたサーマルヘッド40で構成され、両者の間にインクリボン41が走行するように配置されている。このインクリボン41の構成は後述するリボンカセット42で説明する。
【0067】
「リボンカセットの構成」
図1の装置におけるリボンカセット42について説明する。
図1に示すようにリボンカセット42に、供給スプール43と、巻取りスプール44が回転可能に組み込まれている。この両スプール43、44間にはフィルム状のインクリボン41が巻装されている。インクリボン41は、例えば昇華型リボンでY(イエロー)M(マジェンダ)C(シアン)B(ブラック)のリボンが面順位に帯状に形成されている。そしてこのインクリボン41が供給スプール43にロール状に巻回されている。
【0068】
リボンカセット42は、
図1紙面表裏方向に装置ハウジング2に着脱可能に装着され、インクリボン41は装置ハウジング2側に装備してある画像形成プラテン(プラテンローラ)45とサーマルヘッド40との間に挿入される。また巻取りスプール44はカップリング(不図示)で装置ハウジング2側に装備してあるワインドモータMr1と係合する。
【0069】
このリボンカセットは
図1に示すように第2搬送パスP2の経路方向(鉛直方向)にスプール43、44が配置されている。一方、前述したフィルムカセット50も供給スプール48と巻取りスプール47が同方向(鉛直方向)に配置されている。このように第2搬送パスP2の経路方向と、略同一の方向にリボンカセット42のスプール43、44及びフィルムカセット50のスプール47、48を配列することによって装置の集密化が図られる。
【0070】
[制御構成]
図6に従って
図1の装置の制御構成について説明する。制御部Hは、例えば制御CPU70で構成し、このCPU70にはROM71とRAM72が備えられている。そして制御CPU70には、データ入力制御部73と、画像形成制御部74と、フィルム搬送制御部75と、カード搬送制御部77が構成されている。つまり制御CPU70はROM71に記憶されている制御プログラムを実行することによってデータ入力の制御と画像形成の動作制御と、フィルム搬送及びカード搬送の動作制御を行うようになっている。
【0071】
そしてカード搬送制御部77は第1搬送パスP1と搬出パスP5に配置されているカード搬送手段(第1第2ローラ対29,30)を制御するように図示しない駆動モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。このカード搬送制御部77は反転ユニット20の旋回モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。
【0072】
上記カード搬送制御部77には、センサSe1〜Se8、Se12の状態信号を受信するようにそれぞれのセンサと電気的に接続されている。これと共にデータ入力制御部73からジョブ信号を受信するように接続されている。このカード搬送制御部77は媒体搬送経路(前述の搬送パスP1〜P3)のメディア待機部Eに記録媒体を「頭出し」(印刷開始行の位置出し)を行う。
【0073】
上記データ入力制御部73は、磁気記録部に内蔵されているデータR/W用のIC73xに入力データの送受信を制御するコマンド信号を送信し、同様にIC記録部のデータR/W用のIC73yにコマンド信号を送信するように構成されている。上記画像形成制御部74は、画像形成部Bで転写フィルム46上にインクリボン41で画像を形成するサーマルヘッド40とリボン送り(ワインドモータMr1)をコントロールする。また、上記RAM72には、上述の各動作と後述するフィルム搬送制御に要するデータが例えばデータテーブルなどの形式で記憶されている。
【0074】
[情報記録動作]
制御CPU70はROM71に格納されている動作制御プログラムに従って記録媒体(カード)に磁気・IC情報と画像情報を記録する。その実行動作を
図7に従って説明する。なお動作手順は図示のものに限定されることなく装置仕様と用途に応じて組み立てられる。
【0075】
外部の制御装置(コンピュータなど)でカードに記録する磁気・IC情報及び画像情報が設定される。この外部装置で設定された「磁気情報と画像情報の組合せ」「IC情報と画像情報の組合せ」「磁気IC情報と画像情報の組合せ」などの情報記録を実行する。
【0076】
制御CPU70(以下「制御手段」という)は、ジョブスタート信号を受信する(StA1)。この信号を受けて制御手段はカードをメディア供給部Cから装置内に繰出す(StA2)。この装置内に供給されたカードの先端を入口センサSe1が検出する(StA3)。入口センサSe1でカード搬入を検出すると制御手段は反転ユニット20を制御してカードを外部装置で指定された搬送パス(第1第2第3搬送パスのいずれか)に搬送する(StA4)。
【0077】
このカードの記録部搬送と並行して制御手段は転写フィルム46を画像形成部Dに繰出す(StA5)。このフィルム繰出は繰出モータMr2と巻取モータMr3の回転制御によって行い、フィルムセンサSe9で操出量を検出する。次に制御手段は磁気・IC情報のデータ転送(StA6)と画像情報のデータ転送(StA7)を実行する。このデータ転送はデータボリューム、転送手段の状況でそれぞれ時間が異なり、並行して処理する他の後続動作が先行することがある。
【0078】
制御手段は、磁気・IC情報の取得とカードの記録部搬送が終了すると磁気・IC情報をカードに記録する(StA8)。この磁気IC情報記録は磁気R/Wユニット24、ICR/Wユニット23で実行し、記録情報にミスが発見されたときには、カードをイジェクトスタッカ25に搬出する。カードへのリードライトミスが生じたときには制御手段は、次のカード(ブランクカード)をメディア供給部Cから繰り出す。
【0079】
次いで制御手段は、転写フィルム46を画像形成部Dに繰出した段階で、サーマルヘッド40のヘッド温度を適正値に設定する(StA9)。この温度設定はヘッド温度が過剰高温のときには冷却し、低温度のときには昇温するが、温度が過上昇のときの冷却に時間を要す。そこで制御手段はヘッド温度が適正値に設定されるまで転写フィルム46を待機させる。このフィルム待機は後述する第1実施形態又は第2実施形態若しくは同効の方法で行う。
【0080】
制御手段は、上述のヘッド温度の設定を待って画像形成を実行する(StA11)。この画像形成は、転写フィルム上に画像データに従ってインク画像又は転写画像を形成する。図示の装置は昇華型サーマルプリント方式を示し、インクリボン(YMCKフィルム)で画像を転写(一次転写)する。
【0081】
上記のように画像形成した後、制御手段は転写フィルム46をフィルム待機部Fに移動する(StA12)。このフィルム移動は繰出モータMr2と巻取りモータMr3の回転とマーカ検出で行う。この状態でカードはメディア待機部E(StA10)に、フィルムはフィルム待機部Fに、それぞれ頭出し待機することとなる。
【0082】
そこで制御手段は、カードと転写フィルム46が待機部E,Fに待機した段階で、加熱ローラ33の温度が適正値か否か判断する(StA13)。このとき制御手段は、カードと転写フィルム46の一方が待機部E,Fに準備されていない(到達していない)とき、および加熱ローラ33が適正値でないときには各条件が整うまで待機する。
【0083】
次いで制御手段は加熱ローラ33が適正温度に達したときカードと転写フィルム46を待機部E,Fから画像転写部Bに向けて繰出す。このカードと転写フィルム46の繰出しは、同一タイミング、同一速度で実行し、両者が同時に画像転写部46に到達するように制御する(StA14)。制御手段は、カードとフィルムが転写プラテン31に到達したタイミングで、このプラテンから離間した待機位置の加熱ローラ33をプラテンと圧接する位置に上昇させる(St15)。この状態を
図3に待機状態として、
図5に転写状態として示す。
【0084】
図5の状態でカード先端と転写フィルム46を同時に移動すると転写フィルムの画像はカードに加熱圧着され、転写される(二次転写;StA16)。次いで制御手段は、カード排出と転写フィルム46の巻戻しを実行する(StA17)。
【0085】
[判別手段の構成]
本発明は、上述の情報記録動作の過程で、「転写フィルム46が加熱ローラ33に長時間曝されないように以下の判別手段76を備えることを特徴としている。制御CPU70にはフィルム搬送制御部75が設けられ、この制御部75は転写フィルム46を供給スプール48から画像転写部Bに移送する転写フィルム46の繰出制御と、繰出した転写フィルムを一時的に待機させるフィルム待機制御を行う。このため制御CPU70は、前述のフィルムカセット50の操出モータMr3と巻取りモータMr2を制御するように各モータのドライバ回路に接続されている。
【0086】
上記フィルム繰出制御は、制御CPU70の動作プログラムに従ってフィルム供給部(供給スプール48)からフィルムを画像形成部D(画像形成プラテン45)に繰り出す。この画像形成部Dへのフィルム供給は供給スプール48と巻取りスプール47に連結されているモータMr3、Mr2の回転量制御によって行う。これと共に転写フィルム46には画像を形成する領域ごとに(コマ毎に)マークが施され、そのマークをセンサSe9で検出してフィルムの操出量を制御する(
図2、
図3参照)。
【0087】
また、フィルム待機部Fは、供給部(供給スプール)48から画像転写部Bに転写フィルム46を移送する過程でこのフィルムを一時的に停止して待機させる必要が生ずる。このためフィルム搬送制御部75には「判別手段76」が設けられている。
【0088】
まず、装置の動作過程で転写フィルム46を一時的に待機させる原因について説明する。その第1の理由は、「画像転写部Bの上流側で転写フィルム46と記録媒体(カード)を停止下状態で待機させる」。画像転写部B(転写プラテン31)に転写フィルム46とカードを同時に移送するために転写部の上流側で転写フィルム46をフィルム待機部Fに、カードをメディア待機部Eに、それぞれ停止した状態で待機させる。そしてこの位置から両者を同時に同一速度で画像転写部Bに送り出すことによって互いの位置ズレを少なくする「頭出し」を行う。
【0089】
その第2の理由は「画像形成部Dに転写フィルム46を一時的に待機させる」場合が生ずる。供給部(供給スプール)48から繰り出した転写フィルム46を画像形成部Dに待機させて、画像形成機構のウォームアップを待つ場合がある。例えば画像形成機構として図示のサーマルヘッド40を採用したとき、ヘッド温度が所定温度に達するまで(過剰温度からの冷却を含む)フィルム46を画像形成部Dに給送した状態で待機させる必要がある。
【0090】
また、画像形成機構部に外部装置から画像データを転送するときの転送時間が長いときには、フィルムを画像形成部Dに待機させる必要がある。なお、この画像形成部Dに給送した転写フィルム46を一時的に待機させるときには、図示の装置構成(画像転写方向と転写フィルム46の操出方向が反対方向の構成)では、フィルムのブランク面(未使用面)46bが加熱ローラ33と対向する。このブランク面46bと加熱ローラ表面は
図2に示す距離dで対向する。
【0091】
第3の理由は、「フィルム待機部Fに待機している転写フィルムを予め設定した時間以上に待機させる」場合がある。これは加熱ローラの温度が適正値でないときに起きる。例えばフィルム待機部Fから転写部Bにフィルムを送る際に加熱ローラ33の温度が適正値でないときには適正値(過剰温度からの冷却を含む)に達するまで転写フィルムを待機させておく。
【0092】
第4の理由は、「装置エラーが発生したとき転写フィルム46を、その位置(エラー発生時の状態)に停止させる」ことがある。装置エラー例えば情報記録部でカードへのリードライトエラーが発生したときにはカードをイジェクト口から装置外部に搬出し、媒体供給部から後続するカードを供給する。このような処置を講ずるときには、転写フィルムは長時間その位置(画像形成部或いはフィルム待機部)に待機し続けることとなる。
【0093】
本発明は、上述のように転写フィルム46が加熱ローラ33に長時間曝されるとき、フィルムが歪曲する、或いはフィルム表面のコーティング層が変質する問題を解決する。このため前述のフィルム搬送制御部75には以下の判別手段76が設けられている。
【0094】
図6に示す制御構成では、判別手段76(制御CPUで構成されている)には、フィルム移送経路P4の待機部センサSe9と媒体搬送経路の待機部センサSe8が状態信号(カード又はフィルムの有無)を伝送するように連結されている(
図6参照)。これと共に、画像形成部DのフィルムセンサSe11と、加熱ローラ33の温度センサSe13(不図示)とサーマルヘッドの温度センサSe14(不図示)が連結され、それぞれの状態を検出するようになっている。
【0095】
一方、判別手段76は、「所定時間以上加熱ローラ(加熱部材;以下同様)に転写フィルムの同一面が曝され続けないようにフィルム面」を移動する。つまり加熱部材と対向するフィルム面を異ならせるように操出モータMr2と巻取モータMr3を制御する。その態様について第1実施形態と第2実施形態を例示して説明する。
【0096】
[判別手段の第1実施形態]
判別手段の第1の実施形態について
図8に従って説明する。この形態は転写フィルム46の長時間待機の原因(前述の理由1〜理由4)を監視し、この監視ルーチンで長時間待機の必要が生じたとき(原因が発生したとき)には転写フィルムを初期給送面から異なる面に移動する。このフィルム移動の後に長時間待機の原因が解消したときには転写フィルム46を初期給送面に返送させる。
【0097】
制御手段70は、フィルムセンサSe9がフィルム繰出を検出した信号(
図8 St02)でサーマルヘッド40の温度状態を検出する。またフィルムセンサSe9が画像形成後の転写フィルムを待機部Fに移送した信号で加熱ローラ33の温度状態を検出する。このサーマルヘッドの温度センサSe14と加熱ローラの温度センサSe13からの検出値とRAM72に記憶されている基準値とを比較する(
図8 St03)。
【0098】
そこで判別手段46は「検出値が適正値」でないときには、転写フィルムの長時間待機の原因が発生したと判断し、転写フィルムを初期給送面から異なる面に移動する。この場合、初期給送面とは転写フィルムの初期給送動作(予め設定された送り動作)で加熱ローラ33と対向する面を云う。この初期給送面から異なる面に移動する形態は後述する第1、第2、第3何れかのフィルム送り方法を採用する(St05)。
【0099】
例えば、前記理由2の場合には、サーマルヘッド40の温度が過剰温度値を検出したときには適正値まで冷却するのを待つ。これと同時に転写フィルム46を初期給送面から異なる面に移動する。
【0100】
そしてフィルムを初期給送面から異なる面に移動した状態で待機させる(St06)。各状態値が適正値に達したとき(St07)にはフィルムを初期給送面が加熱ローラと対向する位置に巻き戻す(St08)。そして後続する動作を実行する(St09)。
【0101】
このように監視する状態値(ヘッド温度と加熱ローラ温度を例示したが、これに限らない)が適正値に達したか否か監視するルーチン(ソフトウェア実行ルーチン)で結果として転写フィルムの同一面が所定時間以上加熱ロールと対向しないように制御している。なお、この第1実施形態の詳細な制御は
図9(ベッド温度制御)
図10(加熱ローラ温度制御)に従って後述する。
【0102】
[判別手段の第2実施形態]
判別手段76に予め基準時間STを設定する。この時間STは加熱ローラ33と転写フィルム46が所定の距離(
図2に示す距離d)に位置するときフィルム面が熱の影響で歪曲する時間又はフィルム表面が変質しない時間(材質上変形変質する限界時間)に設定されている。そしてこの基準時間はROM72に記憶しておく。
【0103】
判別手段76には、待ち時間WTを算出する演算手段を設ける(St55)。そして待ち時間WTが基準時間STより大きい(WT>ST)とき(St56)には転写フィルムを初期給送面から異なる面に移動する(St58)。
【0104】
そして待ち時間WTを算出する演算手段は、例えばサーマルヘッド40の温度が適正値とΔT度異なるとき、その温度を適正値に修正するのに要する時間を「温度差−所用時間」の換算テーブル値から換算する。この換算テーブルは、予め実験値で求めてROM72に準備しておく。
【0105】
このようにサーマルヘッドのヘッド温度、ヒートローラのローラ温度、或いは磁気記録ユニット、IC記録ユニットのデータ量とリードライト時間の相関テーブルを準備することによって転写フィルムの「待ち時間」を算出することができる。そして算出した待ち時間と基準時間を比較し、待ち時間が基準時間より大きい時(WT>ST)には転写フィルムの加熱ローラ対向面を変更する。
【0106】
また、算出した「待ち時間」が経過(タイマーアップ)したときにはフィルム画面を初期給送面に巻き戻す(St60)。そして転写動作に移行する(St61)。
【0107】
[転写フィルムの退避形態]
次に上述した判別手段76の第1、第2実施形態における転写フィルム46の面移動の実施形態について説明する。第1の方法は、加熱ローラ33と対向するフィルム面を初期給送面(
図1の装置では末使用のブランク面)から使用済みのフィルム面に移動する。
【0108】
図2は画像形成部Dに、転写フィルム46を給送した状態を示す。同図において加熱ローラ33と対向するフィルム面46bは未使用のブランク面である。また同様に
図3は画像形成した転写フィルム46をフィルム待機部Fに待機させた状態を示している。この状態で加熱ローラ33と対向するフィルム面46bは未使用のブランク面である。
【0109】
そこで加熱ローラ33と対向するフィルム面が未使用のブランク面46bである
図2図3の状態から
図4の状態にフィルム面を移動する。
図4は加熱ローラ33と対向するフィルム面が使用済み面46eとなるように供給スプール47にブランク面46bと画像形成面46gを巻戻している。この状態で加熱ローラ33から熱を受けてフィルム表面が変質しても画像形成に大きな影響を及ぼすことがない。
【0110】
次の転写フィルムの移動形態は、「初期給送面と異なる面を加熱ローラ33と対向させる」方法である。図示しないが供給スプール47と巻取スプール48を所定回転、繰り出し方向又は反繰出し方向に移送する。これによって同一面が長時間加熱ローラ33と対向することがないから熱による変質変形を少なくすることができる。
【0111】
次の転写フィルムの移動形態は、「加熱ローラと対向させるフィルム面を初期給送面から徐々に移動させる」方法である。図示しないがスプール47と48を所定方向に低速又は間欠的に移動させる。これによって前述のものと同様にフィルム面の変質変形を防止することができる。
【0112】
[判別手段の具体的な制御方法]
次に前述した判別手段76の具体的な構成について説明する。
図9は画像形成部Dの制御動作のフローチャートである。制御CPU70は転写フィルム46を画像形成部Dに給送する。そのフィルム給送信号に基づいてフィルム面の位置制御を実行する。
【0113】
判別手段76はヘッド温度が適正値か否か判断する(St60)。この判断で適正値でないときにはフィルムが退避面か否か判断する(St62)。退避面のときにはヘッド温度が適正値か否か監視ルーチンを実行(継続)する。また退避面でないときにはフィルムを退避面に位置移動する。この退避面は前述したフィルムの加熱ローラに対する対向面を初期給送面以外に移動する状態を云う。従って前述した転写フィルムの移動形態の何れかを実行する。
【0114】
次に判別手段76はヘッド温度が適正値のとき(St60)にはフィルムが退避面であるか否か判断する(St61)。この判断で退避面のときには初期給送面にフィルムを移動する(St63)。このフィルム移動の後、若しくはフィルムが退避面でないときには画像形成(一次転写)を実行する(St65)。
【0115】
次に判別手段の第1実施形態における画像転写動作について
図10に従って説明する。前述の制御手段70における判別手段76は加熱ローラ33が目論見温度であるか否か判断する(St70)。この判断で目論見値でないときには予め設定した所定時間(例えば2秒間)経過するのを待つ(St71)。この時間経過の後、加熱ローラが目論値に達したか否か判断する(St72)この判断で目論見値に達しないときにはフィルムが退避面に位置するか否か判断する(St73)。この判断で退避面に位置する時には加熱ローラが目論見温度であるか否か監視ルーチンを実行する。また退避面に位置しないときにはフィルムを退避面に移動する(St74)。
【0116】
次に判別手段76はカードがメディア待機位置Eに位置するか否か判断する(St75)。この判断でカードがメディア待機位置Eに位置しないときにはフィルムが待機位置Fに位置するか否か判断する(St77)。フィルムが待機位置のときにはカードが待機位置Eに到達するのを待つ(St75)。
【0117】
そしてカードが待機位置Eに準備され、フィルムが待機位置Fに準備されたとき(St76)にはフィルムを転写位置Bに移動し、同時にカードを転写位置に移動する。この動作でフィルム上の画像がカードに転写され二次転写動作が実行される(St80)。