特許第5859846号(P5859846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5859846-体内水分計 図000002
  • 特許5859846-体内水分計 図000003
  • 特許5859846-体内水分計 図000004
  • 特許5859846-体内水分計 図000005
  • 特許5859846-体内水分計 図000006
  • 特許5859846-体内水分計 図000007
  • 特許5859846-体内水分計 図000008
  • 特許5859846-体内水分計 図000009
  • 特許5859846-体内水分計 図000010
  • 特許5859846-体内水分計 図000011
  • 特許5859846-体内水分計 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5859846
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】体内水分計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/05 20060101AFI20160202BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   A61B5/05 B
   A61B5/00 N
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-286580(P2011-286580)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-132515(P2013-132515A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】小山 美雪
(72)【発明者】
【氏名】関根 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】吉野 敬亮
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/018295(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/028359(WO,A1)
【文献】 実開昭64−015131(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053
A61B 5/00
G01K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の腋窩の体表面にセンサ部を接触させることで該被検者の生体中の水分に関するデータを測定する体内水分計であって、
直線状に形成された本体部と、
前記本体部の長手方向に延設され、前記本体部の長手方向に沿う中心軸に対してずれた位置に前記センサ部が配置される挿入部と
を具備し、
前記本体部は、
前記中心軸を基準として前記センサ部が配置された側の領域を第1領域とし、前記第1領域とは反対側の領域を第2領域としたときに、
前記第2領域が前記第1領域よりも相対的に重く、これにより前記本体部の重心位置が調整されている
ことを特徴とする体内水分計。
【請求項2】
前記本体部は、更に、
前記体内水分計の長手方向における中心位置を基準として前記挿入部が延設された側の領域を第3領域と、前記第3領域とは反対側の領域を第4領域としたときに、
前記第4領域が前記第3領域よりも相対的に重く、これにより前記本体部の重心位置が調整されている
ことを特徴とする請求項1記載の体内水分計。
【請求項3】
前記センサ部を少なくとも覆うように構成され、前記挿入部に着脱可能に装着されるカバーキャップ
を更に具備し、
前記カバーキャップは、
前記カバーキャップが前記挿入部に装着された状態における前記体内水分計の重心位置が前記中心軸上の前記体内水分計の長手方向における中心位置に調整されるように構成されてい
ことを特徴とする請求項1又は2記載の体内水分計。
【請求項4】
前記本体部の重心位置の調整は、前記第2領域に錘プレートを配することにより実現される
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項5】
前記本体部の重心位置の調整は、前記第2領域における筐体の厚さが前記第1領域における前記筐体の厚さより厚いことにより実現される
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の体内水分計。
【請求項6】
前記本体部の重心位置の調整は、前記本体部の内部に設けられる回路を、前記第2領域に集約することにより実現される
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の体内水分計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の生体の水分量を測定する体内水分計に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の生体の水分量を測定することは重要である。生体における脱水症状は、生体中の水分が減少する病態であり、発汗や体温上昇により多くの水分が体内から体外に排出される運動時や気温の高い時に多く発現する。特に、高齢者の場合、生体の水分保持能力自体が低下しているため、一般健常者と比較して脱水症状を起こし易い。
【0003】
通常、生体中の水分が体重の3%以上失われた時点で体温調整の障害が起こると言われている。体温調整の障害が起こり体温が上昇すると、生体中の更なる水分の減少を引き起こすため悪循環に陥り、遂には熱中症と称される病態に至ることとなる。熱中症には、熱痙攣、熱疲労、熱射病等の病態があり、時には全身の臓器障害が起こることもある。このため、熱中症に至る危険を未然に回避するためには、生体の水分量を的確に把握することが不可欠である。
【0004】
生体の水分量を把握する、いわゆる、体内水分計としては、例えば、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピータンスを測定し、その測定結果から体内水分量を算出するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−318845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した体内水分計による体内水分量の測定部位は掌となるが、体内水分量の測定に適した測定部位としては、これ以外にも、例えば、腋窩の皮膚等も挙げられる。腋窩を測定部位とした場合、体内水分計のセンサ部が腋窩に押しつけられた状態で測定が行なわれ、センサ部の全面が当該測定部位に当たっている程、その測定結果の正確性が増すこととなる。
【0007】
このように体内水分計による測定時には、測定部位に対してセンサ部が正確に押し当てられる必要がある。そのため、例えば、体内水分計の持ち方や測定部位に対するセンサ部の押し当て方向等が誤っていた場合には、それにより得られた測定結果は信頼性の低いものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、体内水分計が正確な方法で使用されるように測定者を誘導する構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの側面は、被検者の腋窩の体表面にセンサ部を接触させることで該被検者の生体中の水分に関するデータを測定する体内水分計であって、直線状に形成された本体部と、前記本体部の長手方向に延設され、前記本体部の長手方向に沿う中心軸に対してずれた位置に前記センサ部が配置される挿入部とを具備し、前記本体部は、前記中心軸を基準として前記センサ部が配置された側の領域を第1領域とし、前記第1領域とは反対側の領域を第2領域としたときに、前記第2領域が前記第1領域よりも相対的に重く、これにより前記本体部の重心位置が調整されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、体内水分計が正確な方法で使用されるように測定者を誘導させられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に関わる体内水分計100の外観構成の一例を示す図である。
図2図1に示す体内水分計100の使用例を説明するための図である。
図3図1に示す体内水分計100の内部構造(重心位置)を説明するための図である。
図4図1に示す体内水分計100の機能的な構成の一例を示す図である。
図5図4に示す測定回路421の構成の一例を示す図である。
図6図1に示す体内水分計100の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】測定情報の一例を示す図である。
図8】変形例1を説明するための図である。
図9】変形例3を説明するための図である。
図10】変形例4を説明するための図である。
図11】変形例5を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に関わる体内水分計100の外観構成の一例を示す図である。
【0014】
体内水分計100は、被検者の体表面である腋窩の皮膚にセンサ部を接触させ、センサ部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで被検者の体内の水分量を検出する。本実施形態に係る体内水分計100では、当該物理量(生体中の水分に関するデータ)として被検者の静電容量を測定することにより、腋窩の皮膚の湿り具合を検出し、体内の水分量を算出する。なお、体内水分量を算出するために検出する物理量は、静電容量に限られるものではなく、例えば、定電圧若しくは定電流を被検者に供給して測定されるインピーダンスであっても良い。
【0015】
ここで、体内水分計100は、本体部110と挿入部120とを備える。本体部110は、上面114、下面115、側面116、117が本体部110の長手方向(不図示)に沿ってそれぞれ略平行に形成されており、全体として、直線状に形成されている。
【0016】
本体部110の筐体表面には、各種ユーザインターフェースが配置されるとともに、筐体内部には体内水分量を算出するための電子回路が収納される。
【0017】
図1の例では、ユーザインターフェースとして、電源スイッチ111及び表示部112が示されている。電源スイッチ111は、本体部110の後端面113の凹部に配されている。このように凹部に電源スイッチ111を配する構成とすることで、電源スイッチ111の誤操作を防ぐことができる。なお、電源スイッチ111がオンされると後述の電源部411(図4)から体内水分計100の各部への電源供給が開始され、体内水分計100は動作状態となる。
【0018】
表示部112は、本体部110の側面117上において、長手方向のやや前方側に配されている。これは、体内水分計100を用いて被検者の体内水分量を測定するにあたり、測定者(被検者自身若しくは第三者)が把持領域118を把持した場合であっても、測定者の把持した手で表示部112が完全に覆われることがないようにするためである(把持した状態でも測定結果が視認できるようにするためである)。
【0019】
表示部112には、今回の水分量の測定結果131が表示される。また、参考として前回の測定結果132も併せて表示される。更に、電池表示部133には、電池(図4の電源部411)の残量が表示される。また、無効な測定結果が得られた場合や測定エラーが検出された場合には、表示部112に“E”が表示され、その旨をユーザに報知する。なお、表示部112に表示される文字等は、本体部110の上面114側を上とし、下面115側を下として、表示されるものとする。
【0020】
体内水分計100の挿入部120は、本体部110の長手方向に延設されている。挿入部120は、その上面124及び下面125が曲面形状を有しており、本体部110に対して、全体として、下向きに緩やかに湾曲している。また、挿入部120の先端面122には、センサ部121がスライド可能に保持されている。
【0021】
体内水分計100の挿入部120には、例えば、(センサ部121の)先端面122の法線方向(つまり、スライド方向)が、本体部110の長手方向に対して、約30°の角度をなすように、先端面122が形成されている。
【0022】
センサ部121は、先端面122に略平行な面を有するセンサヘッド123を有しており、センサヘッド123の皮膚への密着を保証する上での押圧を確保するため、不図示のばねにより、矢印141bの方向へ付勢されている(例えば、70gf程度の付勢力)。そして、センサヘッド123が被検者の腋窩の皮膚に押し当てられると、センサ部121が矢印141aの方向(先端面122と略直交する方向、すなわち先端面122の法線方向)に所定量(例えば、1mm〜10mm、本実施形態では4mm)スライドし、これにより測定が開始するよう構成されている。
【0023】
具体的には、ユーザが電源スイッチ111をオンして体内水分計100を動作状態とした後、センサヘッド123を被検者の腋窩に所定時間以上(例えば、2秒以上)押し当てられたことが検知されると、体内水分量の測定が開始される。或いは、ユーザが電源スイッチ111をオンして体内水分計100を動作状態とした後、センサヘッドを被検者の腋窩に所定負荷(例えば、20gf〜200gf、より好ましくは30gf〜100gf、本実施形態では70gf)で押し当てたことが検知されると、体内水分量の測定が開始される。このような仕組みにより、測定時におけるセンサヘッド123の腋窩への密着の程度を一定にすることができる。
【0024】
なお、センサヘッド123の被検者との接触面には、電極が敷設され、電極を覆うように保護材が設けられている。また、センサヘッド123の接触面は平面形状に限られず、凸状の曲面形状でもよい。そのような接触面の形状の例としては、球面(例えば半径15mmの球面)の一部とすることが挙げられる。
【0025】
体内水分計100は、被検者の体内水分量の測定時以外は、通常、その先端部にカバーキャップ10が装着される。カバーキャップ10は、センサヘッド123を含むセンサ部121を少なくとも覆うように構成されており、挿入部120に着脱可能に装着される。カバーキャップ10は、挿入部120の外形に沿った形状で形成されている。
【0026】
以上説明したような形状で体内水分計100が構成されることにより、被検者の腋窩に体内水分計100を押し当てて体内水分量を測定する際に、例えば、被検者の腋窩が深かったり、また、上腕の可動範囲が狭い被検者であったりしても、測定を容易に行なえることになる。
【0027】
次に、図2を用いて、図1に示す体内水分計100の使用例について説明する。また、図3を用いて、図1に示す体内水分計100の内部構造(重心位置)について説明する。
【0028】
図2(A)は、被測定者の左上半身を示しており、図2(B)は、図2(A)のa−a’断面を模式的に示したものである。
【0029】
図2(B)に示すように、体内水分計100は、センサ部121が、被検者の左上腕と左胸壁との間の腋窩に押し当てられた状態で、被検者の体内水分量の測定を行なう。
【0030】
センサ部121を腋窩に押し当てるにあたり、測定者は、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の把持領域118を右手で把持し、被検者の前方下側から、腋窩に向かって、センサ部121を挿入する。
【0031】
ここで、図3に示すように、体内水分計100の内部には、体内水分計100の重心位置を規定するため、錘プレート126が配されている。この場合、錘プレート126を可視化して示しているが、実際には、錘プレート126は内部に配されているため、装置外観からは確認することができない。
【0032】
錘プレート126は、本体部110の上面114側に、本体部110の長手方向に沿って配されている。言い換えると、錘プレート126は、本体部110の長手方向に沿った本体部110の中心軸22を基準にして、挿入部120の湾曲方向側の領域(センサ部121が配置された側の領域)24と反対側に位置する本体部110の領域24(の面)に沿って配されている。
【0033】
これは、被検者の体内水分量の測定に際して、測定者は、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の把持領域118を把持する必要があるため、そのような正しい持ち方を誘導するためである。
【0034】
つまり、中心軸22に対して挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する本体部110の面(上面114)に沿って錘プレート126を配することにより、中心軸22に対して、当該反対側に位置する領域24が、センサ部121が配置された側の領域23よりも相対的に重くなる。その結果として、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の重心バランスがとられる。
【0035】
これにより、測定者は、測定時の握り方が自然に誘導されることになり、結果として、体内水分計100が正確な方法(ベンダメーカが意図した方法)で使用されることになる。
【0036】
また、体内水分計100を誤って落下させてしまった場合であっても、センサ部121側からの落下を回避することができるため、落下時に当該センサ部121へ衝撃を与えてしまうことも抑制できる。
【0037】
次に、図4を用いて、図1に示す体内水分計100の機能的な構成の一例について説明する。
【0038】
体内水分計100は、その機能的な構成として、制御部401と、電圧レギュレータ412と、電池残量検出部413と、電源スイッチ111と、測定スイッチ414と、測定回路421と、センサヘッド123と、表示部112と、ブザー422と、LEDランプ423と、計時部424とを具備する。
【0039】
制御部401は、CPU402、メモリ403を有し、CPU402はメモリ403に格納されているプログラムを実行することにより、体内水分計100における種々の制御を実行する。例えば、CPU402は、表示部112の表示制御、ブザー422やLEDランプ423の駆動制御、体内水分量の測定(本実施形態では静電容量測定)などを実行する。メモリ403は、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含み、不揮発性メモリはプログラムメモリとして利用され、揮発性メモリはCPU402の作業メモリとして利用される。
【0040】
電源部411は、交換が可能なバッテリーや乾電池、或いは充電が可能なバッテリーや乾電池を有し、体内水分計100の各部へ電源を供給する。電圧レギュレータ412は、制御部401等へ一定電圧(例えば、2.3V)を供給する。電池残量検出部413は、電源部411から供給される電圧値に基づいて、電池の残量を検出し、その検出結果を制御部401に通知する。制御部401は、電池残量検出部413からの電池残量検出信号に基づいて、電池表示部133の表示を制御する。
【0041】
電源スイッチ111が押下されると、各部への電源部411からの電力供給が開始される。そして、制御部401は、電源スイッチ111のユーザによる押下が1秒以上継続したことを検出すると、電源部411からの各部への電源供給を維持させ、体内水分計100を動作状態とする。上述したように、測定スイッチ414は、センサ部121が矢印141aの方向へ所定量以上押されるとオン状態になる。制御部401は、測定スイッチ414のオン状態が所定時間(例えば2秒)継続すると、水分量の測定を開始する。なお、電源部411の消耗を防止するために、体内水分計100が動作状態になってから5分経過しても測定開始とならない場合は、制御部401は自動的に体内水分計100を電源オフの状態へ移行させる。
【0042】
測定回路421は、センサヘッド123と接続され、静電容量を測定する。
【0043】
表示部112は、図1で説明したような表示を制御部401の制御下で行なう。ブザー422は、センサ部121の押下による測定の開始や、体内水分量の測定が完了した際に鳴動し、測定の開始や完了をユーザに通知する。LEDランプ423もブザー422と同様の通知を行なう。すなわち、LEDランプ423は、センサ部121の押下による測定の開始や、体内水分量の測定が完了した際に点灯し、測定の開始や完了をユーザに通知する。計時部424は、電源がオフの状態であっても電源部411からの電源供給を受けて動作し、動作状態においては時刻を制御部401に通知する。
【0044】
ここで、図5を用いて、図4に示す測定回路421の構成の一例について説明する。
【0045】
測定回路421の内部には、オペアンプ501、502、抵抗503、504、被検者容量510によりCR発振回路が形成されている。被検者容量510によって出力信号505の発振周波数が変化するので、制御部401は、出力信号505の周波数を測定することにより、被検者容量510を算出する。なお、本実施形態のセンサヘッド123は、例えば、2つのくし型電極が、それぞれのくし歯が互い違いに並ぶように配置されているものとするが、これに限られるものではない。
【0046】
次に、図6を用いて、図1に示す体内水分計100の処理の流れの一例について説明する。
【0047】
ステップS601では、制御部401が、測定開始の指示を検出する。本実施形態では、測定スイッチ414の状態を監視し、測定スイッチ414のオン状態が2秒以上継続した場合に測定開始の指示を検出したと判定する。制御部401は、測定開始の指示を検出すると、ステップS602において、測定回路421からの出力信号505の発振周波数を測定する。
【0048】
ステップS603では、制御部401は、ステップS602において測定された出力信号505の発振周波数に基づいて、被検者の体内水分量を算出する。
【0049】
ステップS604では、制御部401は、ステップS603で算出された体内水分量が所定の閾値を超えるか否かに基づいて被検者が脱水状態か否かを判定する。なお、この場合の閾値とは、例えば、水を100%、空気を0%とした時の35%に相当する値が望ましい。
【0050】
ステップS605では、制御部401は、今回の測定情報をメモリ403に格納する。この測定情報について具体的に説明すると、メモリ403には、図7に示す構成で測定情報が格納されている。測定値701は、今回の測定により算出された体内水分量である。判定結果702は、今回の測定により算出された体内水分量に対して、ステップS604において判定された、脱水状態か非脱水状態かを示す情報である。測定時刻703は、今回の測定において計時部424から通知された時刻を示す情報である。測定時刻703としては、例えば、ステップS602において測定を実行した時点で計時部424から通知されている時刻とすることができる。
【0051】
ステップS606では、制御部401は、今回の測定により算出された体内水分量を表示部112に表示する。このとき、脱水状態か非脱水状態かの判定結果に応じた表示形態により表示を行なう(例えば、脱水状態の場合には、赤色にて体内水分量を表示し、非脱水状態の場合には、青色にて体内水分量を表示する)。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、センサ部121を腋窩に押し当てて体内水分量を測定する体内水分計において、本体部110の長手方向に沿った本体部110の中心軸22を基準にして、挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する本体部110の面(上面114)に沿って錘プレート126を配するように構成する。
【0053】
これにより、測定者は、測定時の握り方が自然に誘導されることになり、結果として、体内水分計100が正確な方法(ベンダメーカが意図した方法)で使用されることになる。
【0054】
また、体内水分計100を誤って落下させてしまった場合であっても、センサ部121側からの落下を回避することができるため、落下時に当該センサ部121へ衝撃を与えてしまうことも抑制できる。
【0055】
以上が本発明の代表的な実施形態の例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。ここで、いくつか変形例を挙げて説明する。
【0056】
(変形例1)
上述した説明では、本体部110の上面114側に、本体部110の長手方向201に沿って錘プレート126を配する構成について説明したが、これに限られない。具体的には、図8(A)に示すように、この錘プレート(第1の錘プレート)126に加えて、本体部110の後端面113側に、本体部110の短手方向に沿って錘プレート(第2の錘プレート)127を配するようにしても良い。言い換えると、錘プレート127は、体内水分計100の長手方向における中心位置25を基準にして、挿入部側の領域(センサ部121が配置された側の領域)27と反対側に位置する本体部110の領域26側(の面)に沿って配されている。
【0057】
これは、図2で説明した通り、体内水分量の測定に際して、測定者は、体内水分計100のセンサ部121を上側に持ち上げ、センサ部121を腋窩に押し当てるため、そのような正しい持ち方を誘導するためである。
【0058】
つまり、中心位置25に対して挿入部側の領域27と反対側に位置する本体部110の領域26(の面)に沿って錘プレート127を配することにより、中心軸22に対して、当該反対側に位置する領域26が、センサ部121が配置された側の領域27よりも相対的に重くなる。その結果として、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の重心バランスがとられる。
【0059】
この場合、測定者は、上述した実施形態で説明した構成時よりも更に、測定時の握り方が自然に誘導されることになり、結果として、体内水分計100が正確な方法(ベンダメーカが意図した方法)で使用されることになる。
【0060】
なお、図8(B)に示すように、第1の錘プレート及び第2の錘プレートは、一体的に構成されても構わない。
【0061】
(変形例2)
上述した説明では、錘プレート126を用いることで、体内水分計100の重心位置を調整する場合について説明したが、これに限られない。すなわち、本体部110の長手方向に沿った本体部110の中心軸22を基準にして、挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する領域24を、センサ部121が配置された側の領域23よりも相対的に重くできるのであれば良く、必ずしも錘プレート126を用いる必要はない。
【0062】
これを実現するための第1の構成としては、例えば、筐体の厚みの調整が挙げられる。具体的には、錘プレート126が配される側の筐体の面(本体部110の上面114)の厚みを反対側の面(本体部110の下面115)よりも相対的に分厚くする。これは、単に、本体部110の上面114を構成する筐体の厚みを分厚くすることで実現しても良いし、本体部110の下面115を構成する筐体の厚みを薄くすることで実現しても良いし、また、その両方の厚みを変更することで実現しても良い。その他、使用する材質を変更することで実現しても良い。
【0063】
また、第2の構成としては、体内水分計100の内部に設けられる回路の配置位置の調整が挙げられる。具体的には、錘プレート126が配される側の筐体の面(本体部110の上面114)側に回路を集約することで実現しても良い。
【0064】
なお、これら第1の構成、第2の構成、更には上述した実施形態で説明した錘プレートを配する構成、のいずれかを組み合わせることによって、上述したような体内水分計100の重心位置を実現するようにしても良い。
【0065】
また、変形例1で説明した構成(本体部110の後端面113に重心位置を設ける構成)についても、上述した筐体の厚みや回路の配置位置の調整によって重心位置の調整を行なっても良い。
【0066】
(変形例3)
上述した説明に加えて更に、図9(A)に示すように、カバーキャッ10に錘プレート11を配するようにしても良い。具体的には、カバーキャッ10が体内水分計100に装着された状態において、当該カバーキャップ10内で挿入部120のセンサ部121が配置される側の面に錘プレート11を配置する。
【0067】
すなわち、カバーキャップ10の装着時には、体内水分計100の重心位置の偏りが相殺されることになる(中心軸上22の中心位置25に体内水分計100の重心位置を持ってくる)。
【0068】
なお、カバーキャッ10に設けられる錘プレート11は、カバーキャッ10の大きさの都合上、物理的に十分な大きさを確保できない可能性がある。そのため、錘プレート11は、体内水分計100の重心位置の偏りを相殺できるように、体内水分計100の本体部110に設けられる錘プレート126よりも質量の重い材質を用いて構成するようにすれば良い。勿論、体内水分計100の重心位置の偏りを完全に相殺する必要はなく、その偏りをある程度軽減できるレベルの重さを持つ錘プレート11をカバーキャップ10内に設ける構成であっても良い。
【0069】
このようにカバーキャッ10に錘プレート11を配するように構成した場合、カバーキャッ10装着時には、体内水分計100の中心に重心位置がくるため、体内水分計100の持ち運び時等に重心位置の偏りに起因した体内水分計100の落下等を抑制できることになる。
【0070】
また、変形例1のように、本体部110の面(後端面113)に沿って第2の錘プレート127を配した場合には、図9(B)に示すように、それに合わせてカバーキャッ10にも、(第1の錘プレート11に加えて)第2の錘プレート12を設けても良い。勿論、第1の錘プレート11と第2の錘プレート12とが一体構成されていても良い。
【0071】
(変形例4)
上述した説明では、本体部110に錘プレート126を配する場合について説明したが、これに限られず、挿入部120にも錘プレート128を配するように構成しても良い。すなわち、図10(A)に示すように、本体部110の長手方向に沿った本体部110の中心軸22を基準にして、挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する挿入部120の領域24を、センサ部121が配置された側の領域23よりも相対的に重くしても良い。
【0072】
なお、図10(B)に示すように、中心軸22を基準にして、挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する挿入部120の領域全面に錘プレート128を配するようにしても良い。つまり、挿入部120の湾曲方向と反対側に位置する領域24を、センサ部121が配置された側の領域23よりも相対的に重くできるのであれば良く、挿入部120に対してどのように錘プレートを配しても良い。また、上記同様に、挿入部120の筐体の厚みや、制御部401や電源部411などといった筐体内の構成部の配置位置を調整することによってこのような重心位置の調整を行なっても良い。また更に、本体部110に設けられる錘プレート126及び挿入部120に設けられる錘プレート128は、一体構成されていても良い。
【0073】
(変形例5)
また、体内水分計100は、図1等を用いて説明した外観形状に限られず、適宜変更できる。例えば、図11に示すような外観形状であっても良い。すなわち、本体部110の長手方向に沿った本体部110の中心軸22を基準にして、センサ部121がいずれかの方向に対してずれた位置にあればどのような外観形状であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
10 カバー
11、12 錘プレート
100 体内水分計
110 本体部
120 挿入部
121 センサ部
126、127 錘プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11