(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5859848
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】運行データ記録システム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20160202BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20160202BHJP
G01D 11/24 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
G01D11/24 W
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-287679(P2011-287679)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137610(P2013-137610A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一成
【審査官】
小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−099233(JP,A)
【文献】
特開昭61−075490(JP,A)
【文献】
実開平06−056724(JP,U)
【文献】
特開昭60−189091(JP,A)
【文献】
米国特許第04757454(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0174533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
G01D 11/24
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサからのセンサ出力を入力する入力端子、前記入力した複数のセンサ出力に基づいた表示を行う複数のメータ、及び、前記複数のメータを収容する収容ケースを備えたメータクラスタと、前記複数のセンサ出力を収集して運行データとして記録する前記メータクラスタの収容ケース外部に配置された運行データ記録装置と、を備えた運行データ記録システムであって、
前記メータクラスタは、前記入力された前記複数のセンサ出力を出力する複数の出力端子及びこれら複数の出力端子を収容するハウジングから構成される出力コネクタをさらに備え、
前記運行データ記録装置は、前記出力コネクタに接続される入力コネクタを備え、前記入力コネクタから入力された複数のセンサ出力を収集して運行データとして記録する
ことを特徴とする運行データ記録システム。
【請求項2】
前記入力した各センサ出力を演算処理して、計測値を求めて、求めた計測値を表示するように前記複数のメータを制御する制御手段をさらに備え、
前記出力端子から、前記制御手段が求めた計測値を前記センサ出力として出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の運行データ記録システム。
【請求項3】
前記運行データ記録装置は、前記運行データをサーバーに無線送信する第1通信モジュールを有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行データ記録システム。
【請求項4】
前記運行データ記録装置は、操作端末又は表示端末と無線通信を行う第2通信モジュールを有する
ことを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の運行データ記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行データ記録システムに係り、特に、運行データを収集する運行データ記録装置に接続される運行データ記録装置を備えた運行データ記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、営業用の車両、例えば荷物運搬用のトラックやタクシーなどには、車両の運行状況を記録するタコグラフ(=運行データ記録装置)が取り付けられている。このタコグラフとしては、古くは車両速度、走行距離及び走行時間を運行データとしてチャート紙に書き込むアナログタコグラフがある。このようなアナログタコグラフにあっては、単位距離走行する毎に走行パルスを出力する速度センサからのセンサ出力から車両速度及び走行距離を求めてチャート紙に記録しているため、速度計と一体に設けられるものが多かった。
【0003】
また、速度計を取り除いて、取り除いた速度計の代わりに上記速度計と一体に設けられたアナログタコグラフを配置できるコンビネーションメータも考えられていた(特許文献1)。この特許文献1に記載のコンビネーションメータ100は、
図6に示すように、速度計を取り除いて、アナログタコグラフ101を配置し、配線板102上に形成されたタコグラフ用の配線パターンの周端部に設けたコネクタ103とアナログタコグラフ101とを電線104で接続している。上記コネクタ103には、速度センサからのセンサ出力と、回転センサからのセンサ出力と、の双方のセンサ出力が出力される、という記載はない。
【0004】
しかしながら、近年、チャート紙でなくCFカードなどの記録媒体に運行データを書き込むデジタルタコグラフが主流となっている。このようなデジタルタコグラフにおいては、たくさんの運行データを記録できるようになったため、速度、走行距離及び走行時間だけでなく、さらに運転者により入力されるデータやなども記録できるようになっている。このため、従来のように走行計と一体に設けるのが難しくなり、
図7に示すように、コンビネーションメータ100の外側に設けていた。また、デジタルタコグラフ105においては、たくさん運行データを記録できるようになったため、速度センサ4から求めたデータだけでなく、エンジン回転センサ5などの他のセンサの出力も運行データとして取り込んでいるため、各センサ4、5とそれぞれ接続する必要があり、取付作業性が悪い、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−56724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、運行データ記録装置の取付作業性の向上を図った運行データ記録システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、複数のセンサからのセンサ出力を入力する入力端子、前記入力した複数のセンサ出力に基づいた表示を行う複数のメータ、及び、前記複数のメータを収容する収容ケースを備えたメータクラスタと、前記複数のセンサ出力を収集して運行データとして記録する前記メータクラスタの収容ケース外部に配置された運行データ記録装置と、を備えた運行データ記録システムであって、前記メータクラスタは、前記入力された前記複数のセンサ出力を出力する複数の出力端子及びこれら複数の出力端子を収容するハウジングから構成される出力コネクタをさらに備え、前記運行データ記録装置は、前記出力コネクタに接続される入力コネクタを備え、前記入力コネクタから入力された複数のセンサ出力を収集して運行データとして記録することを特徴とする運行データ記録システムに存する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記入力した各センサ出力を演算処理して、計測値を求めて、求めた計測値を表示するように前記複数のメータを制御する制御手段をさらに備え、前記出力端子から、前記制御手段が求めた計測値を前記センサ出力として出力することを特徴とする請求項1に記載の運行データ記録システムに存する。
請求項3記載の発明は、前記運行データ記録装置は、前記運行データをサーバーに無線送信する第1通信モジュールを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の運行データ記録システムに存する。
請求項4記載の発明は、前記運行データ記録装置は、操作端末又は表示端末と無線通信を行う第2通信モジュールを有することを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の運行データ記録システムに存する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項
1〜4記載の発明によれば、メータクラスタに設けられた出力コネクタと、運行データ記録装置に設けられた入力コネクタと、を接続するたけで、複数のセンサからのセンサ出力を運行データ記録装置に入力することができ、運行データ記録装置と複数のセンサとをそれぞれ接続する必要がなくなり、運行データ記録装置の取付作業性が向上する。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、運行データ記録装置側でセンサ出力を演算して計測値を求める必要がなくなり、運行データ記録装置の負荷(演算処理、メモリ容量)を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の運行データ記録システムの一実施形態を示す概略分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す運行データ記録システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態における
図1に示すメータクラスタの電気構成図である。
【
図4】第1実施形態における
図1に示すデジタルタコグラフの電気構成図である。
【
図5】第2実施形態における
図1に示すデジタルタコグラフの電気構成図である。
【
図6】従来のコンビネーションメータの一例を示す斜視図である。
【
図7】従来の運行データ記録システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1実施形態
以下、第1実施形態における本発明の運行データ記録システムについて
図1〜
図4を参照して説明する。
図1に示すように、運行データ記録システム1は、メータクラスタ2と、運行データ記録装置としてのデジタルタコグラフ3と、を備えている。
【0013】
メータクラスタ2は、車両のインストルメントパネル内に配置されている。また、メータクラスタ2は、
図1〜
図3に示すように、速度センサ4及びエンジン回転センサ5からのセンサ出力を入力する入力端子21、22と、入力した複数のセンサ出力に基づいた表示を行うメータとしてのスピードメータ23、タコメータ24と、入力した各センサ出力を演算処理して、計測値を求めて、求めた計測値を表示するようにスピードメータ23及びタコメータ24を制御する制御手段としてのCPU25と、これらメータ23、24を収容する収容ケース26(
図1参照)と、を備えている。
【0014】
上記入力端子21、22から入力されたセンサ出力は、後述するCPU25に対して供給される。上記スピードメータ23、タコメータ24は、例えば指針式メータから構成され、速度や回転数を表す目盛りが設けられた文字板と、文字板の正面に配置された指針と、この指針を駆動するムーブメント(何れも図示せず)と、を備えている。上記CPU25は、このムーブメントの回転を制御することによりメータ23、24の指針が計測値を指示するように制御している。収容ケース26は、合成樹脂などにより箱型に形成され、その正面には表ガラスが配置され、スピードメータ23及びタコメータ24の文字板が視認できるようになっている。
【0015】
また、メータクラスタ2は、入力された複数のセンサ出力を出力する複数の出力端子27a及びこれら複数の出力端子27aを収容するハウジング27bから構成される出力コネクタ27をさらに備えている。上記出力端子27aは、入力端子21、22にそれぞれ接続されている。上記出力コネクタ27を構成するハウジング27bは、合成樹脂などから構成され、例えば、
図1に示すように収容ケース26の背面に突設され、収容ケース26と一体に形成されている。
【0016】
上記デジタルタコグラフ3は、車両の速度、回転数などを運行データとして収集する運行データ記録装置であり、メータクラスタ2の収容ケース26外部に配置されている。上記デジタルタコグラフ3は、
図1に示すように、出力コネクタ27に接続される入力コネクタとしての第1入力コネクタ31Aと、電源やCAN信号などが入力される第2入力コネクタ31Bと、を備えている。さらに、上記デジタルタコグラフ3は、
図4に示すように、衛星からのGPS信号を受信するGPS受信器32と、運行データが一時的に記憶される揮発性メモリ33A、不揮発性メモリ33Bと、揮発性メモリ33Aや不揮発性メモリ33Bに一時的に記憶された運行データをサーバに無線送信する第1通信モジュール34Aと、図示しない操作端末からの操作信号を無線受信したり、表示端末に表示データを無線送信する第2通信モジュール34Bと、デジタルタコグラフ3全体の制御を司るCPU35と、CPU35に対してクロックの供給を行うRTC36と、CPU35に対して電源供給を行う電源部37と、を備えている。
【0017】
上記第1入力コネクタ31Aは、
図1に示すように、デジタルタコグラフ3の収容ケース38から引き出された電線7の端末に取り付けられ、出力コネクタ27にコネクタ接続される。出力コネクタ27にコネクタ接続されると、出力コネクタ27から出力される速度センサ4やエンジン回転センサ5のセンサ出力が入力される。上記第1入力コネクタ31Aから入力されたセンサ出力は、
図5に示すように、速度/エンジン回転インタフェース(以下I/Fと略記)39Aを介してCPU35に対して供給される。
【0018】
第2入力コネクタ31Bは、例えば収容ケース38背面に突設され、電源やCAN信号の伝送路となる車両側ハーネス8の端末に取り付けられたコネクタ9に接続される。この第2入力コネクタ31Bから入力された電源は、電源部37に供給され、この電源部37によりCPU35用の電源が生成され、CPU35に供給される。また、第2入力コネクタ31Bから入力されたCAN信号は、CANI/F39Bを介してCPU35に対して供給される。
【0019】
CPU35は、電源部37からの電源、RTC36からのクロックの供給により動作し、第1入力コネクタ31Aから入力されたセンサ出力を演算処理し、車速、エンジン回転数の計測値を求める。速度センサ4からは単位距離走行する毎に出力される走行パルスが出力されるため、CPU35は、その走行パルスから車速を求める。また、エンジン回転センサ5からはエンジンが1回転する毎に回転数パルスが出力されるため、CPU35は、その回転数パルスからエンジン回転数を求める。CPU35は、求めた計測値を運行データとして一時的に揮発性メモリ33Aや不揮発性メモリ33Bに格納し、格納した運行データを第1通信モジュール34Aを用いてサーバーに無線送信する。
【0020】
また、CPU35は、GPS信号から得た位置情報や時刻情報、CAN信号から得た情報や、第2通信モジュール34Bにより受信した操作端末からの操作信号を運行データとして一時的に揮発性メモリ33Aや不揮発性メモリ33Bに格納し、格納した運行データを第1通信モジュール34Aを用いてサーバーに無線送信する。
【0021】
上述した実施形態によれば、メータクラスタ2に設けられた出力コネクタ27と、デジタルタコグラフ3に設けられた第1入力コネクタ31Aと、を接続するたけで、複数の速度センサ4、エンジン回転センサ5からのセンサ出力をデジタルタコグラフ3に入力することができ、デジタルタコグラフ3と速度センサ4及びエンジン回転センサ5とをそれぞれ接続する必要がなくなり、デジタルタコグラフ3の取付作業性が向上する。
【0022】
また、運行データが発生する毎に、第1通信モジュール34Aを用いて運行データをサーバーに送信しているため、CFカードなどのような周辺機器を接続する必要がない。さらに、操作端末や表示端末とも第2通信モジュール34Bを用いて無線通信できるため、これらをデジタルタコグラフ3に接続する必要もない。
【0023】
第2実施形態
なお、上述した第1実施形態によれば、メータクラスタ2は、速度センサ4やエンジン回転センサ5からのセンサ出力をそのまま出力コネクタ27から出力していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、
図4に示すように、CPU25もメータ23、24を制御するためにセンサ出力を演算処理して計測値を求めている。そこで、求めた計測値を出力コネクタ27から出力させるようにしてもよい。このようにすれば、デジタルタコグラフ3では、出力コネクタ27から入力された計測値をそのまま運行データとしてサーバーに送信すればよく、デジタルタコグラフ3側でセンサ出力を演算して計測値を求める必要がなくなり、デジタルタコグラフ3の負荷(演算処理、メモリ容量)を低減することができる。
【0024】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、運行データを無線でサーバーに送信していたが、本発明はこれに限ったものではない。運行データをCFカードなどのメモリに格納するデジタルタコグラフ3にも適用することができる。
【0025】
また、上述した第1及び第2実施形態では、センサとして速度センサ4、エンジン回転センサ5を例に挙げて説明していたが、本発明はこれに限ったものではない。メータクラスタ2で表示され、車両の運行データを検出するようなセンサであれば他のセンサであってもよい。
【0026】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 運行データ記録システム
2 メータクラスタ
3 デジタルタコグラフ
21 入力端子
22 入力端子
23 スピードメータ(メータ)
24 タコメータ(メータ)
26 収容ケース
27a 出力端子
27b ハウジング
27 出力コネクタ
31A 第1入力コネクタ(入力コネクタ)