(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路は、前記記録された実際の合計使用回数が少なくとも事前規定された実際の最大使用回数となった場合に、前記モジュール式バッテリから前記手術用装置への電力供給を回避するように動作することが可能である、請求項4に記載のバッテリアセンブリ。
前記制御回路は、前記記録された実際の合計使用回数が事前規定された実際の最大使用回数を満たすかまたは前記事前規定された実際の最大使用回数を越える場合、前記モジュール式バッテリから前記手術用装置への電力供給を回避するように動作可能である、請求項9に記載のバッテリアセンブリ。
前記制御回路は、前記記録された実際の合計使用回数が少なくとも事前規定された実際の最大使用回数となった場合、前記モジュール式バッテリから前記手術用装置への電力供給を回避するように動作可能である、請求項12に記載のバッテリアセンブリ。
前記制御回路は、前記記録された実際の合計使用回数が事前規定された実際の最大使用回数を満たすかまたは前記事前規定された実際の最大使用回数を越える場合、前記モジュール式バッテリから前記手術用装置への電力供給を回避するように動作可能である、請求項17に記載のバッテリアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
開示する実施形態は、様々な形態で具現化することが可能な本発明の単なる例示であることが理解されるべきである。従って、本明細書に開示する特定の構造的および機能的な詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、特許請求の範囲のための根拠として、かつ、実質的に任意の適切な詳細な構造に本発明を様々に採用するために当業者に教示するための代表的な根拠として、解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定するものであることを意図しておらず、むしろ本発明の理解可能な説明を提供するためであることが意図される。
【0022】
本発明の開示および説明に先立って、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するのみの目的のためであり、限定することを意図しないことが理解されるべきである。この書類では、本明細書で使用する際、「a」又は「an」が1又は1以上として定義される。本明細書で使用する際、用語「複数」は2又は2以上として定義される。本明細書で使用する際、用語「もう1つ」は少なくとも2番目の1つ又はそれ以上として定義される。本明細書で使用される際、用語「含む」および/又は「有する」は、備える(すなわち、開かれた(非制限の)表現)として定義される。本明細書で使用する際、用語「連結される」は、必ずしも直接的でなく、必ずしも機械的ではないが、接続されるものとして定義される。例えば第1および第2、上側および下側などの関連を表す用語は、1つの実体又は動作を、別の実体又は動作から、そうした実体同士又は動作同士の間のいかなる実際のそうした関係又は順番を必ずしも必要とせず又は意味せず、単に区別するために使用され得る。用語「備える」、「備えている」又はその他の変形は、例えば要素のリストを備える工程、方法、製品、又は装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的にリストされていない又はそうした工程、方法、製品、又は装置に固有の他の要素を含んでよいように、非排他的な包含を網羅することが意図されている。「〜を備える」の前に置かれる要素は、さらなる制約なしに、要素を備える工程、方法、製品、又は装置に追加の同一の要素の存在を排除しない。
【0023】
本明細書で使用する際、用語「約」又は「およそ」は、はっきりと示されているかどうかに拘わらず、すべての数値に適用する。これらの用語は概して、当業者が、列挙された値と同等であるとみなすであろう(すなわち、同一の機能又は結果を有する)数値範囲を指す。多くの例では、これらの用語は、最も近い有効数字に丸められる数字を含んでよい。この明細書では、用語「長手方向」は、説明される物体の延在方向に対応する方向を意味することが理解されるべきである。
【0024】
本明細書で説明される本発明の実施形態は、1以上の従来のプロセッサと、所定の非プロセッサ回路および他の要素とともに、本明細書で説明する超音波切断装置のいくつかの、ほとんどの、又はすべての機能を実行する1以上の通常のプロセッサを制御する固有の記憶されたプログラム指令と、を備えてよいことが理解されよう。非プロセッサ回路は、限定されないが、信号ドライバ、クロック回路、電源回路、およびユーザ入出力要素を含んでよい。代替として、いくつかの又はすべての機能が、格納されたプログラム指令を有していない状態機械によって、又は、各機能若しくは所定の機能のいくつかの組み合わせがカスタム論理として実行される特定用途向け集積回路(ASIC)若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)において、実行されることが可能である。もちろん、これらのアプローチの組み合わせも使用され得る。従って、これらの機能のための方法および手段が本明細書で説明される。
【0025】
本明細書で使用される際、用語「プログラム」、「ソフトウェアアプリケーション」などは、コンピュータシステム上で実行するために設計された指令のシーケンスとして定義される。「プログラム」、「コンピュータプログラム」又は「ソフトウェアアプリケーション」は、サブルーチン、関数、手順、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリおよび/又はコンピュータシステム上で実行するために設計される指令の他のシーケンスを含んでよい。
【0026】
本発明は、一実施形態によれば、装置のハンドル内に完全に適合する構成要素によって電力を供給されて制御される軽量で手持ち式のコードレスのバッテリ駆動手術用焼灼切断装置を提供することによって、従来技術が有する課題を克服し、セットトップボックスおよびシールドされたコードは完全に排除される。この手持ち式装置は、外科医が、外部電力を必要とせずに、また特に、コードがあるために固定物体に対して外科医をつなぎ留めたり、手術処置の実行中に外科医の移動の範囲を制約することなしに、いかなる手術処置においても超音波切断および/又は焼灼を実行することを可能にする。
【0028】
ここで、本発明の一実施形態に係る例示の装置を説明する。
図3を参照すると、例示のコードレスの超音波手術用焼灼アセンブリ300が示されている。本発明のアセンブリ300は、3つの主要な構成要素部品、すなわち(1)バッテリアセンブリ301、(2)超音波切断刃および導波管アセンブリ304(その近位部分のみを
図3に示している)を有するハンドルアセンブリ302、および、(3)振動子および発振器(「TAG」)アセンブリ303、を有するものとして説明することができる。ハンドルアセンブリ302と超音波切断刃および導波管アセンブリ304とは、予め連結されているが、相互に独立して回転可能である。例示の一実施形態によれば、バッテリアセンブリ301は、充電可能で再使用可能であり、調節された出力を有するバッテリパックである。ある場合には、以下に説明するように、バッテリアセンブリ301はユーザインターフェース機能を容易にする。ハンドルアセンブリ302は、バッテリアセンブリ301、TAGアセンブリ303、並びに超音波切断刃および導波管アセンブリ304への取付用ベイ又はドックを有する使い捨てユニットである。ハンドルアセンブリ302はまた、例えばスピーカ/ブザーおよび起動スイッチを含む様々なインジケータを収容している。
【0029】
TAGアセンブリ303は、遠位出力で高周波の機械的作動を生成する再使用可能ユニットである。TAGアセンブリ303は、超音波切断刃および導波管アセンブリ304に機械的に連結されて、装置の作動中に超音波切断刃および導波管アセンブリ304の遠位出力すなわち切断刃で運動を生成する。一実施形態では、TAGアセンブリ303はまた、例えば赤/緑/青(RGB)のLEDを通じて視覚ユーザインターフェースを提供する。そのようにして、バッテリ状態の視覚インジケータは、他に見られないように、バッテリ上に配置されておらず、および従って、バッテリから遠隔位置にある。
【0030】
手持ち式パッケージの超音波切断ツールの必要な構成要素のすべてを提供するための本発明の能力は、
図2に示すように、非常に高価で重いデスクトップボックス202内に装置構成要素のほぼすべてを収容するとともに最も顕著には嵩張って操作者の移動を妨げる装置のハンドピース112およびデスクトップボックス202の間の高価なつなぎ208を含む従来技術の装置に対して、多大な利点を提供する。さらに、コード208は、前記装置が含まれる滅菌野と、発振器が含まれる非滅菌領域との間を行き来する必要がある。このように滅菌部分と非滅菌部分との接続部分が存在する場合、滅菌野が汚染される可能性が増加し、また、滅菌部分と非滅菌部分との間の境界も曖昧になる。
【0031】
本発明によれば、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300の3つの構成要素は、1以上の他方のものから有利に迅速に分離可能である。システムの3つの構成要素の各々は、滅菌されて、使用中に滅菌フィールドに完全に維持されることが可能である。各部分は1以上の他の構成要素から分離されることが可能であるので、本発明は、1回使用のアイテム(すなわち使い捨て)である1以上の部分と、複数回使用のアイテムである他方(すなわち複数回の外科的処置での使用のために滅菌可能)と、を備えている。
図4および
図5は、
図3に示す複合アセンブリの全体からそれぞれ分離しているバッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の構成要素を示している。構成要素の各々の詳細は、本明細書の残りの部分を通じて示して説明する。それらの詳細は、とりわけ、個別の、および手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300の一部としての各々の構成要素の物理的態様、個別の、およびアセンブリ300の全体の一部としての電気的機能性および能力、および、個別の、およびアセンブリ300の全体の一部としての各構成要素の使用方法、組立て、滅菌および他のもの、を含む。本発明のさらなる実施形態によれば、構成要素301、302/304、303の各々は全重量にほぼ等しい。これらの構成要素301、302/304、303の各々はそれらがほぼ同じ重量であるようにバランスがとられる。ハンドル302は、操作者の手を支持するように張り出しており、これにより、ユーザの手により、重量をかける必要無く装置の制御を自由に操作することが可能になる。この張り出し部は、重心に極めて近接して設定される。これは、三者間のアセンブリ構成と組み合わされて、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300の全体に、装置を操作するユーザに対して非常に自然で快適な感覚を提供するバランス中心が有利に提供される。すなわち、ユーザの手に保持された時、アセンブリ300の全体は、前方又は後方又は左右に傾く傾向を有さず、導波管がユーザのごくわずかな努力で地面に対して平行に保持されるように相対的に動的にバランスされたままとなる。もちろん、器具は、地面に対して平行でない角度に非常に簡単に配置されることも同様に可能である。
【0032】
図6は、バッテリアセンブリ301、ハンドルアセンブリ302、およびTAGアセンブリ303の間の通信的結合を概略的に示す全体的なブロック回路図を提供する。
図6はまた、バッテリアセンブリ301およびハンドルアセンブリ302の間の様々な電力および通信信号の経路601a〜nを示している。ハンドルアセンブリ302は、TAGアセンブリ303に続くさらなる電力および通信信号の経路602a〜nを提供する。数例を挙げると、これらの電力および通信信号の経路601a〜nは、
1.可聴ユーザインターフェースを提供する例えば可聴周波数信号といったブザー
2.最小振幅で超音波出力を作動させるユーザインターフェースである、例えば0〜3.3Vおよび0〜25mAの入力信号といった最小ボタン
3.最大振幅で超音波出力を作動させるユーザインターフェースである、例えば0〜3.3Vおよび0〜25mAの最大ボタン
4.バッテリアセンブリ301からTAGアセンブリ303への出力であって、振動子駆動信号を生成するためにTAGアセンブリ303に電力を供給する、例えば0〜10ボルトおよび0〜6Aの出力である第1出力電圧(Vout)
5.アース又はシステム共通接続
6.システムに電力を供給するためのバッテリからの電圧出力である第2出力電圧(Vbatt)
7.バッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の間の差動半二重シリアル通信を提供する第1通信線(Comm+)
8.バッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の間の差動半二重シリアル通信を提供する第2通信線(Comm−)
9.ハンドルアセンブリ302に接続された時、バッテリアセンブリ301へのおよびそれによってシステム全体への電力供給を起動するプレゼント(present)線の動作を容易にする。
【0033】
本発明の実施形態によれば、上述の電力および通信信号の経路601a〜nは、ハンドルアセンブリ302上の第1マルチリードハンドル端子アセンブリ(バッテリアセンブリ301はハンドルアセンブリ302に電気的に結合される)とハンドルアセンブリ302上の第2マルチリードハンドル端子アセンブリ(TAGアセンブリ303はハンドルアセンブリ302に電気的に結合される)との間をつなぐフレックス回路を通じて提供される。
【0035】
図7は、バッテリアセンブリ301とその内部に含まれる内部構成要素とを概略的に示すブロック回路図である。バッテリアセンブリ301は概して、1以上の電池701と、バッテリ保護回路702と、バッテリコントローラ703と、を有している。電池701とバッテリ保護回路702との間には様々な電力および信号経路704a〜nが延びている。電力および通信信号経路706a〜nがバッテリ保護回路702とバッテリコントローラ703との間に延びている。電力および信号経路704a〜nおよび706a〜nは、構成要素同士の間の単純な直接接続であってよく、又は、図示しない他の回路構成要素を有してよい。電力および通信信号経路706a〜nは、特に、
1.バッテリコントローラ703とバッテリ燃料ゲージ/保護回路702との間の通信に使用されるSMBusクロック信号(SCLK)、
2.バッテリコントローラ703とバッテリ燃料ゲージ/保護回路702との間の通信に使用されるSMBusデータ信号(SDAT)、
3.バッテリアセンブリ301が充電器にある時に、アースされた時点でバッテリコントローラ703内で電力供給をスイッチングするために電力を除去することによってバッテリコントローラ703をオフにするエネーブルスイッチ、
を有している。
【0037】
電池701は、一実施形態では、4セルのリチウムイオンポリマー(LiPoly)バッテリを含む。もちろん、使用され得る電池の数に限定はなく、電池がLiPolyタイプである必要はない。好都合には、製造者は、必要とされるほぼあらゆる形状のLiPolyバッテリを製造することができる。しかしながら、これらのタイプのバッテリは、LiPolyバッテリの過充電が電池をすぐに破損させるので、充電工程中、慎重に制御されなければならない。従って、これらのバッテリは慎重に充電されなければならない。この理由のため、本発明は本発明のバッテリ保護回路702を使用する。
【0039】
バッテリ保護回路702は、電池701の充電および放電を制御し、バッテリ保護と「燃料ゲージ」機能すなわちバッテリ電力モニタとを提供する。より具体的には、バッテリ保護回路702は、充電段階および放電段階の両方の間、過電圧、過小電圧、過温度および過電流のモニタおよび保護を提供する。過充電されると、LiPolyバッテリは、損傷を受けるだけでなく、発火および/又は液漏れし得る。バッテリ保護回路702は、複数のレベルの保護を提供する。例えば、前記バッテリ保護回路は、電流、電圧および温度それぞれについて3つのレベルの保護を提供することができる。この保護は冗長的であり、第1の保護レベルおよび第2の保護レベルのためにアクティブ要素を用い、より高い第3の保護レベルのために受動要素または冗長要素を用いる。一例において、前記バッテリ保護回路によって提供される複数の保護レベルは、電池を集合させる要素(例えば、PTC装置、温度ヒューズ、電流ヒューズおよびリセット可能な要素)を用い得る。
【0040】
バッテリ保護回路702の「燃料ゲージ」機能は、バッテリアセンブリ301の出力上で、継続的なおよび瞬間的な両方の電圧および電流の放電を制限する。電池701の充電中、燃料ゲージは、電池701に供給される電流レベルを制限することができる。代替として、バッテリ充電ユニットがこの電流制限機能を実行することができる。燃料ゲージはまた、温度をモニタして、電池701の温度が所定の温度を超えた時にバッテリアセンブリ301を停止させる。燃料ゲージは、総エネルギーがどの程度電池701内に残存しているか、前回どの程度充電されたか、電池701の内部インピーダンスの特定、出力される電流および電圧の特定など、を決定することができる。このデータを使用することによって、本発明は、発明のアルゴリズムの使用を通じて、電池701の化学的属性上の一部に基づいて電池701の「充電状態」(SOC)を決定することができ、特に、以下にさらに詳細に説明するような手術処置を安全に実行するのに十分なバッテリ容量がなくなる時点を識別することができる。前記システムは、一回分の切断および焼灼処置を安全に完了するのに必要なエネルギー量に関する情報を含むようにプログラムされている。この格納されている情報により、前記燃料ゲージは、切断/焼灼を開始するための起動時または処置中の新規切断/焼灼の実行時において、この必要な最小エネルギー量と、現在のバッテリ充電状態とを比較する。前記最小閾値が満たされない場合(例えば、1000ジュール)、前記装置の継続動作ができなくなる。
【0041】
さらに、最大エネルギー送達、効率を補償しかつバッテリパック内の個々の電池の過充電を回避するために、全ての電池の充電状態が等しいことを確認することが重要である。SOCを適切に示す指標として、電池電圧がある。よって、充電時において、電池の電圧を監視し、全電池の電圧が均等になるまで、各電池へ送達される電流量を調節する。この時点において、前記電池間が均衡される。
【0042】
加えて、サーミスタをバッテリパック内に取り付け、前記電池の近隣(例えば、2つの電池間、全ての隣接する電池間、または電池のいずれかの側部の隣部)に配置することで、前記バッテリパック内の電池温度を測定または監視するための外部装置(例えば、バッテリ充電器)を得ることができる。
【0044】
図11は、
図7のバッテリコントローラ703の内部構成要素を概略的に示すブロック回路図である。
図7で前に示したように、バッテリコントローラ703には、電力および通信信号経路706a〜nを通じて信号および電力が供給される。さらに、バッテリコントローラ703はまた、動力および通信信号経路601a〜nに沿って出力電力および信号を供給する。本発明の例示の一実施形態によれば、バッテリコントローラ703は、電源1102と、SMBus分離スイッチ1104(複数可)と、マイクロコントローラ1106と、オーディオドライバ1108と、ユーザボタンインターフェース1110と、シリアル通信トランシーバ1112と、バックコンバータ1114と、を有している。
【0045】
電源1102は、2つのサブシステムによって構成される。すなわち、バックスイッチング電源が、先ず未調整の電池電圧を実質的に一定の直流電圧(例えば、4VDCへと低下させる。第2の線形電源が直流電圧を逓減し、本装置において用いられる低電圧要素に必要なレベル(例えば、3.3VDC)へと調節する。この2段階電圧低減を行うことで、低バッテリ消費が保証される。切り替え電源は、従来の線形電源と比較して本質的に高効率であるが、出力電圧リップル(ノイズ)が高くなる傾向があり、問題となり得る。よって、先ず電圧を高効率のスイッチングレギュレータを用いて逓減させた後、線形レギュレータへと送る。前記線形レギュレータは、より良好なフィルタリングされたノイズフリーの電圧を前記回路のデジタル要素へと生成する。前記スイッチングレギュレータからの出力を用いて、音声増幅器へ出力を供給する。前記音声増幅器は、より高い電圧を必要とし、さらなるノイズを生成する傾向があり、前記回路のデジタル部において望ましくない。
【0046】
SMBus分離スイッチ1104(リレーとも呼ぶ)は、充電プロセス時においてONであるバッテリ保護および充電制御回路の作動に起因して発生する電圧が充電プロセス時においてOFFであるその他のバッテリ回路へと送られるのを回避する方法として提供される。例示的実施形態において、これらの用いられるスイッチは、前記装置中のPRESENT回路(601a〜nを参照)によって光学的に駆動され、オンにされる。
【0047】
マイクロコントローラ1106は、バッテリコントローラ703の機能を制御する高集積演算ユニットである。例示的実施形態において、マイクロコントローラ1106は、前記装置の動作を可能にするソフトウェアを格納および実行する。前記装置の動作によって課される要求を考慮すると、マイクロコントローラ1106は、例えば、2つの独立したマイクロコントローラコアを1つのパッケージ内に含む最先端のものとなる。この実施形態において、メインコアは、前記装置を制御する主要プログラムを実行する。前記装置が起動されると、適切かつ効率的な動作を保証するために必要な多様なパラメータのサンプリングが、
図11に示す第2のコア(例えば、制御法則加速器(CLA)1116)によって監視される。前記CLAは、極めて高い計算能力を必要とする比例積分微分(「PID」)制御ループ動作を提供するためにも用いることが可能である。そのため、この構成を用いることで、前記装置の1つのコアが極めて高速で状態機械を実行することが有効に可能となり、システムの全体的かつ迅速な制御が維持され、それと同時に、第2のコアにより、データ収集および制御ループ取扱のための負担が多い計算を取り扱うことが可能となる。好適には、マイクロコントローラ1106そのものが低電力消費アプリケーションとなり、よって3.3ボルトのユニットが利用可能となる。内部発振器を用いると、外部の(電力を消費する)要素を用いる必要無く装置を起動することが可能となる。また、プログラムおよび診断情報を格納するための内部不揮発性メモリ部を含むようにマイクロコントローラ1106を構成することも可能である。バッテリマイクロコントローラ1106は、電圧コンバータ機能の全体的制御が可能となるように、入力電圧、出力電圧、出力電流、ならびにバッテリ温度およびバック温度を監視する。
【0048】
オーディオドライバ1108は、ハンドルアセンブリ302内に配置されたブザー802を最終的に駆動する信号を生成する。例示的実施形態において、オーディオドライバ1108は、単純であるが強力な2段階のクラスA方形波増幅器である。前記増幅器は、バックスイッチング電源(例えば、4VDC)から直接出力供給され、これにより最大出力能力を保証する。前記増幅器は、音声スピーカを駆動することができる(内部ドライバは無し)。バックスイッチング電源からオーディオドライバ1108に出力供給することにより、音声増幅器から生成されたノイズが前記装置のデジタル要素およびアナログ要素の供給レールへ送られることが無くなり、これによりノイズの無い動作が保証される。調節が必要な場合、単一の抵抗器の変更によるボリューム変更能力が提供される。
【0049】
ユーザボタンインターフェース1110は、ハンドルアセンブリ302内に収容された最小804起動スイッチおよび最大806起動スイッチから受ける信号を調整する。例示的実施形態において、ユーザボタンインターフェース1110は、ボタンへの流体侵入時などにおける誤起動を回避するために、起動スイッチのインピーダンスを連続的に測定するように動作可能である。バッテリコントローラ703は、スイッチ(単数または複数)のインピーダンスを測定し、検出されたインピーダンスが所定の閾値を下回るまではシステムを起動させない。このような構成により、流体侵入に起因する誤起動が無くなる。なぜならば、流体侵入は、スイッチ(単数または複数)内のインピーダンスが全閉口スイッチのインピーダンスよりも高くなる現象として検出されることが多いからである。PRESENTラインも同様の原理に基づいて機能し、十分な低インピーダンスを通じてPRESENTラインが閉鎖された後、バッテリをオンにすることを確実にする。これは、PRESENTピンがいかなる導電性流体へ露出されてもバッテリパックが誤起動しないように、行われる。この例示的実施形態において、ユーザボタンインターフェース1110は、既知の電流レベルをスイッチラインを通して注入することにより、動作する。前記ボタンが開くと(起動なし)、電流源がその電圧出力を最大化し、この電圧はマイクロコントローラ1106によって測定される。前記スイッチが閉まると、電流源はその電圧出力を調節して、目標のプログラムされた電流を生成する。前記ボタンが最適に低インピーダンスにおいて動作すると、電圧出力が低くなる。しかし、流体がボタンに侵入した場合、電流源によって確認されるインピーダンスが高くなり、それに比例する閉口ボタン用の電圧よりも高い対応する電圧により、起動すべきではない旨がマイクロコントローラ1106へと示される。
【0050】
前記回路の例示的実施形態において、較正電流源が用いられる。この較正電流源を用いて、起動時におけるプログラマブル電流源の較正と、より厳密な検出窓の提供とが可能となる。装置起動時に行われるこのような較正により、アクティブ起動を検出するための範囲となる窓またはインピーダンス範囲が狭められる。この較正は、インピーダンス回路の回路を精度電流源へと切り替え、電圧を測定して前記回路を較正することにより、行われる。装置起動手順の間、バッテリコントローラは、起動ボタンインピーダンス感知回路を自己較正することができ、これにより、真のボタン閉鎖(起動)と、ボタン(単数または複数)の流体汚染に起因して誤って発生する不慮の起動信号と間の区別に必要なインピーダンス範囲が狭くなる。
【0051】
起動ボタンインピーダンスは、電流源を用いて所定の電流レベルをボタンラインに流すことにより、測定される。接点にわたる電圧を測定することにより、オームの法則(すなわち、R=V/I)を用いて、前記ライン内の抵抗を決定することができる。較正時において、2つのアナログスイッチが用いられる。第1のスイッチは、電流源の制御が可能なように、マイクロコントローラシリアル通信ラインをプログラマブル電流源へと接続させる。第2のスイッチは、電流源の出力を1組の高精度抵抗器へと接続させる。所与の電圧測定(すなわち、較正値)が達成されるまで、電流の流れがマイクロコントローラによって調節される。調節後、第1のスイッチを切り替えて、マイクロコントローラをSMBusラインへと接続させ、第2のスイッチは、前記電流源を起動ボタン(単数または複数)へと接続させて、通常動作を再開させる。
【0052】
前記マイクロコントローラは、SMBusラインを切り替えて、アナログスイッチまたは主要SMBusラインへと接続させることができる。その結果、スイッチ(非SMBus)を機能させることができ、同時に、マイクロプロセッサをSMBusラインへと接続させることができる。
【0053】
例示的実施形態において、シリアル通信トランシーバ1112により、バッテリ301は、TAG303および外部装置との通信を確立することができる。この通信を用いて、前記装置から診断または較正情報を得ることが可能となる。シリアル通信トランシーバ1112は、バッテリコントローラ703と発振器904との間の差動半二重通信の送受信を行う。上記のソフトウェア故障検出に加えて、トランシーバ1112は、故障検出のためのハードウェア接続の喪失を検出することができる。用いられる装置の例示的実施形態は、信頼性のためにUSB通信と適合するように構成され、この実施形態を共通モードノイズ拒否のための差動モードにおいて用いることができる。バッテリ301がTAG303とやりとりするデータの量を考慮して、フル速度装置が用いられる(例えば、12Mビット/sまで)。
【0054】
多くの可能な故障状態をシステムによって検出し、当該状態に応答することが可能である。前記応答は、ユーザへのフィードバックの形態をとる場合がある。例えば、スタックスイッチ状態が存在する場合、前記システムは故障状態を発行し得る。このような状態を挙げると、システム起動時において高/低起動スイッチが不適切に起動位置にある状態、または高起動スイッチは起動しているが低起動スイッチは起動していない状態、または使用サイクル終了時において高/低起動スイッチが起動位置にある状態などがある。他の故障状態を挙げると、運動フィードバックが不十分である場合または導波管先端が停止状態である場合などがある。低振幅変位および高振幅変位が検出された場合、両方共シャットダウンが発生し得る。多様な故障が、TAGと関連する。例えば、出力電圧が所定の電圧上限よりも高くなった場合、故障状態が発生する。マイクロプロセッサ温度が所定の規定範囲を上回った場合(例えば、およそ100℃を上回った場合)、別の故障状態が発生する。バッテリコントローラが、超音波開始前、超音波開始時または超音波開始後のいずれにおいても、TAGから適切な肯定応答を受信しない場合、別の故障が発生する。いくつかの故障状態は、バッテリと関連する。例えば、バッテリ充電量が事前規定された閾値のいずれかを下回った場合または負荷に起因してシステムによる送達が可能な電力を必要となりかつ振幅が所望の閾値を下回った場合、故障が表示され得る。他のバッテリ故障を挙げると、バッテリ通信システムの故障、バッテリのマイクロプロセッサ、燃料ゲージ、および/またはレギュレータの温度過昇状態がある。通信システムの故障は、TAGおよびバッテリのいずれかまたは双方を通じて得られる。一般的なシステム故障もあり得る。CLAが機能停止または不適切に機能した場合、故障が通知され得る。バッテリおよびTAGに関連するタイマーがリセットされない場合も、故障が通知され得る。ソフトウェア故障に起因しても、故障がトリガされ得る。
【0055】
最後に、例示的実施形態において、バックコンバータ1114は、ステップダウン電圧制御を行って、振幅調節を行う。バックコンバータ1114は、バッテリ電圧をステップダウンして、コンバータ902への超音波出力信号生成のためにTAGアセンブリ303へと送られる電圧を低下させる。マイクロコントローラ1106は、バックコンバータへの入力信号のパルス幅を変化させる又は調節すること(すなわち、パルス幅変調(PWM))により、バックレギュレータの出力を制御する。最小の出力リップルのために、異位相PWM入力が用いられる。前記装置は、小型のインダクタおよびコンデンサを用いて、高効率のために300KHzにおいて動作する。バックコンバータ1114は、可能な最大効率を得るために、多相同期設計となっている。この設計においては、小型および電力消費のために高集積要素が利用される。前記装置は、内部電流保護、出力電流感知、出力および入力電圧感知ならびに温度過昇保護を含む。バックコンバータ1114は、高速応答が可能であり、かつ、電圧を2VDC〜10.5VDCの範囲で逓減させることが可能である。
【0056】
電源1102の出力においては、多様な電圧レベルが生成される。前記多様な電圧レベルを用いて、
図11に示す多様なバッテリコントローラ要素へ電力が供給される。SMBus分離スイッチ(単数または複数)1104を用いることにより、SMBusラインからバッテリ保護印刷回路基板への接続が、充電時およびバッテリコントローラ内における他目的のための前記バスの使用時に切断される。
【0057】
以下に詳細に説明するように、バッテリコントローラ703は、ユーザインターフェース(例えば、ブザー802およびRGBLED906)を容易化し、バック振動子1114の出力電圧および電流出力を変換する。この出力により、少なくとも1つの電圧出力経路(Vout)601a−nを通じてTAGアセンブリ303に電力が供給される。
【0059】
図8は、
図3に示すハンドルアセンブリ302の概略的ブロック図である。ハンドルアセンブリ302は、取り付けられた電力および通信信号経路601a〜nを通して制御信号および電力信号を受け取る。電力および通信信号経路602a〜nの2番目のセットは、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300に取り付けられた時にTAGアセンブリ303に接続する。以下に詳細に説明するように、ハンドルアセンブリ302は、超音波導波管アセンブリ304を収容しており、例えばボタン4608およびトリガ4606の2段階スイッチ(
図46で紹介する)を用いて操作者が、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300の全体を把持して操作するピストルグリップの一部を提供する。例示の一実施形態によれば、ハンドルアセンブリ302は、信号経路601a〜nを通じてバッテリアセンブリ301からブザー出力信号を受け取ることができるスピーカ/ブザー802であって、特定の装置状態を操作者に通信することに適した例えば65dbの可聴出力を生成することができるスピーカ/ブザー802を備えている。これらの状態は、例えばハンドルアセンブリ302へのバッテリアセンブリ301のアセンブリ構成要素の成功した連結、高、低、又は通常の作動モード、障害状態、低バッテリ、装置過負荷、機械的故障、電気的故障などを含む。ハンドルはまたMinボタンスイッチ804およびMaxボタンスイッチ806を含み、それらは、作動された時、それぞれのボタンを(例えば)アースに接続し、そのことにより低又は高変位モードのいずれかで超音波出力を開始させるためにバッテリコントローラに信号を送信する。ハンドルアセンブリ302はまた、バッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の間の信号のための通過相互接続を提供する。
【0060】
スピーカ/ブザー802およびMinボタンスイッチ804およびMaxボタンスイッチ806は全て、ハンドルアセンブリ302のフレックス回路の一部である。本発明の例示的実施形態によれば、ブザー802は、ブザー802の縁部を越えて外側に突出する可撓性材料により、ハンドルアセンブリ302内の所定位置に保持される。このタブ10802を
図108および
図110に示す。ハンドルアセンブリ302は、組み立て時に可撓性材料タブ10802を受け入れるように構成されたスロット11002を含む。流体侵入byaブザーシール(例えば、音響学的に透明なメッシュの両側において接着剤により前記ブザーがハンドルアセンブリ802内へと接合された構造であって、ブザー802からの音の発出を可能にしかつブザー802内への流体侵入を回避する構造)により、ブザー802が流体侵入から保護される。
【0062】
図9は、振動子902および発振器904を収容する
図3および
図5のTAGアセンブリ303を概略的に示すブロック回路図である。発振器904は、バッテリコントローラ703からのDC電力を、電気信号を機械的運動に変換する振動子902を駆動する高電圧AC信号に変換する。
【0064】
図10は、発振器904の内部構成要素を概略的に示すブロック回路図である。本発明の例示の一実施形態によれば、発振器904は、電源1002と、シリアル通信トランシーバ1004と、マイクロコントローラ1006と、数値制御発振器(「NCO」)1008と、プッシュ/プル式スイッチング増幅器1010と、出力フィルタ/整合ネットワーク1012と、運動ブリッジ1014と、フィードバック増幅器およびバッファ1016と、LEDドライバ1018と、例えばRGBのLEDであるインジケータ906と、を有している。電源1002は、電力信号経路602a〜nの線VbattおよびGNDを通じてバッテリアセンブリ301からの電力を受け取り、発振器904に電力を供給するために使用される様々な電圧を出力する。シリアル通信トランシーバ1004は、ここでは、通信信号経路602a〜nのシリアルデータリンクComm+/Comm−を通じて、バッテリコントローラ703および発振器904の間の送信および受信の通信を提供するが、この通信は、単一の線を通じて又は複数の線を通じて直列に又は並列に生じ得る。
【0065】
マイクロコントローラ1006は、発振器904の機能を制御する高集積演算ユニットであり、システムの2つのマイクロコントローラのうちの一方であり、他方はバッテリコントローラ703の一部である。例示の実施形態では、シリアルデータリンク(Comm+/Comm−)は、それらの動作を通信して調整することができるように2つのマイクロコントローラ1006、1106の間に存在する。TAG303のマイクロコントローラ1006は、圧電振動子902を駆動する高電圧波形の生成を制御する。バッテリアセンブリ301のマイクロコントローラ1006は、振動子902に対する高電圧ACを生成する時、電池701からTAG303によって使用される低いDC電圧へのDC電圧の変換を制御する。バッテリマイクロコントローラ1106は、機械的運動の振幅を制御するためにバッテリアセンブリ301のDC出力を調整し、TAGマイクロコントローラ1006は、振動子902を駆動する信号の周波数を制御する。バッテリマイクロコントローラ1106はまたユーザインターフェースを処理し、バッテリ保護回路702はシステムの作動中に電池701をモニタする。TAG303内のマイクロコントローラ1006は、可変速システムクロックを有する。前記可変速システムクロックは、マイクロコントローラ1006が超音波運動と同期した状態を保持するために、前記装置が高出力状態で動作している際に一定に調節される。バッテリアセンブリ301内のマイクロコントローラ1106は、TAGクロックと無関係に、高出力状態にある状態では一定周波数において動作する。システムクロックの周波数は変化するため、TAGマイクロコントローラ1006内の倍率がシステムクロックの変化と共に変化することで、マイクロコントローラ1006とマイクロコントローラ1106との間のシリアル通信が適切な動作範囲内に保持される。
【0066】
直接デジタル合成(DDS)は、固定された周波数源をデジタル的に用いて変更され得る正確な出力周波数によって周期的な波形を生成するために使用される技術である。数値制御発振器(「NCO」)1008は、ハードウェア又はソフトウェアを通じて実行することが可能なDDS技術を使用する信号源である。DDSへの固定周波数入力は、NCO1008のためのクロックを生成するために使用される。出力は、時間変動周期的波形を生成する一連の値である。新しい出力値は各クロック周期中に生成される。
【0067】
図22に詳細に示すDDS2200は、各クロック周期で新しい位相値が生成されることによって、その後に振幅に変換される出力波形の位相構成要素を算出することによって作動する。位相値は、可変レジスタ2202に格納され、そのレジスタは「位相アキュムレータ」としてここでは参照される。各クロック周期中、新しい位相値を生成するために位相アキュムレータに格納された数に固定値が追加される。この固定値はしばしば、クロック周波数とともに出力周波数を決定するので、周波数制御ワード又は周波数同調ワードとして参照される。位相アキュムレータの値は、0度〜360度までの周期的な出力波形の1サイクルに及び、その値は360度にわたって回転する。
【0068】
位相アキュムレータの値は位相振幅コンバータ2204に供給される。正弦波の場合、振幅は、位相値の逆正接を用いて算出することが可能である。高速アプリケーションの場合、コンバータは、位相値から振幅を生成するためにルックアップテーブルを通常は使用する。
【0069】
DDSのハードウェア実装では、振幅コンバータの出力は、アナログ出力信号f
outを生成するためのデジタルアナログ振動子(DAC)2206への入力である。アナログ信号は、出力波形内の好ましくない周波数要素を低減するためにバンドパスフィルタ又はローパスフィルタによって通常はフィルタリングされる。
【0070】
第1例として、位相アキュムレータ2202の値は0〜359の整数に設定され得る。周波数同調ワードが1の場合、位相アキュムレータ2202の値は各クロック周期ごとに1増大する。値は359に到達するとゼロに戻ってくる。クロック周波数が360Hzである場合、出力波形の周波数は1Hzである。従って、出力は、出力波形の各1秒間隔の間に一連の360点である。周波数同調ワードが10に変更されると、位相アキュムレータの値は各クロック周期ごとに10増大し、出力周波数は10Hzである。従って、出力は、出力波形の各周期ごとに36点である。周波数同調ワードが100の場合、出力周波数は100Hzである。その場合、各出力周期ごとに3.6点である。また、より正確には、出力波形の周期のいくつかは3点を有しており、いくつかは4点を有している。3点の周期の数に対する4点の周期の数の比は0.6である。
【0071】
第2例として、位相アキュムレータ2202の値は10ビット数であり得る。10ビット数は1024の可能な値を有する。50の周波数同調ワードと1MHzのクロック周波数とである場合、出力周波数は、50×1MHz/1024=48.828kHzである。
図23は、DAC2206の出力2300とフィルタリングされたDACの出力がどのように見えるかとを示している。
【0072】
周波数同調ワードが22であれば、出力周波数は22×1MHz/1024=21.484kHzである。この場合、
図24は、DAC2206の出力2400とフィルタリングされたDACの出力がどのように見えるかを示している。電力が最初に発振器に供給される時、NCO1008の状態は確定していない(又は、NCO1008の出力は適切な周波数ではない)。このことは、マイクロコントローラの不適切な動作につながり得る。マイクロコントローラの適切な動作を確保すべく、NCO1008は、電力が最初に供給された時にマイクロコントローラのクロック周波数を駆動させるために使用されない。別個の発振器が使用される。例示の一実施形態では、別個の発振器がマイクロコントローラ内に組み込まれる。この別個の発振器を使用することによって、マイクロコントローラは、マイクロコントローラの内部の様々なメモリ配置とNCO1008内のそれらとを初期化する。NCO1008が適切な周波数でひとたび作動すると、マイクロコントローラは、にそのクロックのソースを別個の発振器からNCO1008切り替える。
【0073】
周波数同調ワードが400である場合、出力周波数は400×1MHz/1024=390.625kHzである。この場合、
図25は、DAC2206の出力2500と、フィルタリングされたDACの出力がどのように見えるかとを示している。出力はときどき、各周期ごとに2点、時には3点を有する。
図25の波形は、きれいな正弦波を得るためにフィルタが必要であることを明確に示している。
【0074】
図10を再び参照すると、プッシュ/プル式スイッチング増幅器1010は、バッテリコントローラ703からのDC電力を高電圧方形波に変換する。出力フィルタ/整合ネットワークは、スイッチング増幅器1010からの方形波を振動子902に供給するための適切で平滑な正弦波に変化させる受動フィルタである。運動ブリッジ1014は、振動子902および導波管アセンブリ304の機械的運動に比例するおよび機械的運動と同じ位相のフィードバック信号を生成する回路である。フィードバック増幅器およびバッファ1016は、運動ブリッジ1014内で決定される運動フィードバック信号を増幅してバッファする。以下にさらに詳細に説明するように、運動ブリッジ1014は、装置が一定の変位/振幅で作動することを可能にし、負荷が変化すると電圧を変化させる。運動ブリッジは、振幅フィードバックを提供するために使用され、このタイプのフィードバック、すなわち運動フィードバックを用いることによって、システムは定電流で作動することができる。
【0075】
一実施形態では、TAGアセンブリ303は、多様な警告目的および通信目的のために使用され得る1以上の赤/緑/青(RGB)のLED906を含む。例えば緑は、装置が正常に機能していることを示し得る一方で、赤は、装置が正常に機能していないことを示す。
図9に示す発振器904のLED906の配置は例示の目的のみであることに留意されたい。本発明では、インジケータをTAGアセンブリ303のどこにでも配置することができることが想定される。
【0076】
ハンドルアセンブリ302およびTAGアセンブリ303の間、特にスピーカ802およびLED906の間の通信のやりとりを通じて、本発明の手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300は、超音波手術用焼灼アセンブリ300に関連した複数の状態を示すことで、使用中に操作者に完全なフィードバックを提供する。よって、前記フィードバックは前記ハンドルから発生し、遠隔的に発生しない。例えば、上述のように、スピーカ/ブザー802は、超音波手術用焼灼アセンブリ300の作動状態の可聴警告および可聴インジケータを提供することができる。異なる音および/または可聴メッセージを実行するために、フルクラスAまたはBの増幅器(例えば、フル増幅器またはON/OFF方形波増幅器)を用いて、より広範な周波数範囲を提供することができる。同様に、LED906は、超音波手術用焼灼アセンブリ300の作動状態の視覚警告および視覚インジケータを提供することができる。一例として、LED906は、電池701内に残っている電力量の表示を提供する、又は、手術処置を安全に実行するための十分な電力が不足していることの表示を提供することができる。例えば、LED906の第1の色は、完全に充電された電池701を示す一方で、第2の色は、部分的に充電された電池701を示す。代替として、LED906の状態上の様々な明滅パターン又は常時点灯はユーザに対して状態インジケータを提供することができる。
図10に示すLEDドライバ1018は、LED906が点灯している時に定電流を提供する例示の構成である。重要なことは、ユーザに対するフィードバックインジケータのすべては、独自的に手持ち式装置上にあり、視界の術野から遠ざかる又は滅菌フィールドの外側の離れたフィードバック構成要素の範囲内にいることをユーザに求めない。これによって、フィードバック信号の性質を検証するために術野から遠隔位置に対して医者に注意を向けさせる必要がない。
【0077】
しかし、前記手持ち式装置の外部にある装置に前記フィードバック通知のうちのいずれかを中継または伝送すると有用であることが分かった場合、回路を発振器またはバッテリ基板(単数または複数)内において実装することで無線周波数リンク(または他の形態の通信リンク)を設けて、ユーザインターフェース、診断または他の関連データを前記手持ち式装置から前記外部装置へとダウンロード、転送または送信することが可能となる。このようにして、前記外部装置により、術野内部にいないかまたは当該手持ち式装置のごく近隣にいない手術用スタッフなどが当該処置を監視することが可能になり、医師が受け取るものと同様の関連通知または情報を受けることが可能になる。また、前記外部装置は、前記手持ち式装置の使用および診断に関する情報を格納する貴重なバックアップソースまたはデータログとしても機能し得る。前記外部装置を用いて、前記手持ち式装置内において合理的に実行することが可能なよりもより強力な様々なデータ処理またはソフトウェアアプリケーションまたはツールを提供することもできる。例えば、前記外部装置は、前記手持ち式装置から受信された情報から分析結果または診断結果を提供することができる。前記手持ち式装置および前記外部装置に双方向通信を設けることも可能であり、前記外部装置は、前記手持ち式装置の内部ソフトウェアを有利に再プログラムするか、または、前記手持ち式装置に対してコマンドまたは制御を有利に発行することができる。
【0079】
振動子902は、電気信号を物理的な運動に変換する電気機械装置である。より広い意味では、振動子902は、一形態から他の形態に信号を変換する任意の装置として時に定義される。類似の振動子装置は、音楽又はスピーチを表す電気電圧変動を機械的なコーンの振動に変換するオーディオスピーカである。スピーカのコーンは、次に、空気分子を振動させて音響エネルギーを作り出す。本発明では、(以下で説明する)駆動波1400が振動子902に入力されて、振動子902は、次に、その電気的入力を、導波管1502(以下に説明する)に運動を付与する物理的出力に変換する。
図15に関して示すように、この運動は、導波管1502上に定常波を確立し、その結果、導波管1502の端部に運動を生じさせる。本発明の目的のため、振動子902は、電気エネルギーを機械的運動に変換する圧電装置である。
【0080】
知られているように、圧電振動子の水晶は、電圧が印加された時に伸展する。本発明に係る振動子の構造では、例えば
図55に示すように、結晶が結晶スタック5502内にクランプされる。
図54および
図56〜58も参照のこと。この構成のクランプボルト5504は、結晶スタック5502を予め圧縮するために設定される場合にスプリングとして機能する。したがって、スタック5502にわたって電圧を分与することによって結晶スタック5502が伸展させられる時に、クランプボルト5504は、予め圧縮された最初の位置にスタック5502を戻す(すなわち、スタック5502は引っ込む)。代替として、クランプボルト5504は、スタック5502上で予め圧縮されないように回転させられることが可能であり、そのような場合、ボルトは、その最初の位置に向かって戻り質量を引っ張るために依然としてスプリングとして作用する。振動子の例示の構成は、いわゆるランジュヴァン(Langevin)振動子、ボルトクランプランジュヴァン振動子、又は、ボルトクランプサンドイッチタイプ振動子であってよい。
【0081】
超音波振動子が振動すると、前記振動子の遠位部において定在波が確立される。この定在波は、振動子902および導波管1502に沿って延びて、節(最小振動点)および腹(最大振動点)を示す。これらの節および腹の配置は重要である。例えば、刃部7304を腹に配置しているのは、ここで振動特性を最大にすることが望まれるからである。最遠位端の振動子902の超音波導波管連結部5004おいても同様であり、最大振動特性が導波管1502内へと連結されることが望まれる。
図54〜
図58に示す振動子の例示的実施形態において、当該振動子がTAGアセンブリ303へと接続される点において、節(振動が最小になる点)が存在する。TAGアセンブリ303上/内への振動付与は望ましくないため、このような構成が有利である。
【0082】
振動子902において、直径を逓減することをゲインステップと呼ぶ。なぜならば、円周直径の低減と共に下流振動特性が増加するからである。
図54の断面図において、例えば、結晶スタック5502と超音波導波管連結部5004との間に2つのゲインステップを確認することができる。また、同図面において、振動子902のフランジ5450も図示される。フランジ5450は、振動子902とそのハウジングとの接点である。この接点5450は、振動子902の節に配置される。
【0083】
振動子、902の別の例示的実施形態において、結晶スタック5502は変位可能であり、このような変位により、より効率的なシステムが可能となる。より詳細には、結晶スタック5502をより近位に移動させることにより、結晶スタック5502に隣接するゲインステップがより節の近位へと移動され、これにより、当該システムの全体的ゲインが増す。前記結晶の必要変位は、ゲインの増加と共に低下する。結晶が節から遠ざかるほど、前記結晶による出力取扱能力への貢献が低減する。よって、節を結晶スタック内に設けかつゲインステップにできるだけ近接させることが望ましい。節の片側に1つよりも多くの結晶を設けた場合、これらの結晶は直列に機能し、これにより、全体的変位が増加する。前記結晶が前記節から遠ざかるほど、前記結晶の前記節からの距離に起因して、前記結晶による変位への貢献が低減する。前記節の両側に結晶が配置された場合、これらの結晶は並列に機能してシステムの電力容量を増加させるが、全体的変位は増加させない。そのため、この構成により、同一出力を得るためにどれほど結晶を駆動するかの程度が低下する。結晶を駆動する程度(電流)の2乗と共に損失も上昇するため、電流が低下するとより高効率となる。振幅対動力曲線は、典型的な2乗関係を示す。ここから、TAGのような空間が限られたシステムにおいて、このような構成により、システムから最大のゲインが得られることが分かる。高駆動条件において、結晶中の損失に対して感度が上昇する。しかし、ここで上記のゲイン上昇により、前記結晶を最大出力に近接して駆動する必要が無くなり、よってこの感度が回避される。誘電損失を通じた出力が高くなるほど、熱が生成されることが知られている。このような熱により、脱分極がもたらされ、周波数シフトが発生し、その結果、キャパシタンスが変化し得、その結果前記節が通常の支持点(単数または複数)から遠ざかり、その結果出力が低下し、他の予見不可能な位置において不要な熱が発生し、その結果、この問題がさらに悪化する。さらに、適切な配線により、前記結晶スタックの一部のみを選択的に駆動することが可能となり、低負荷時における効率が上昇する。
【0084】
本発明の振動子902は、円筒状ケーシング5430内に収容される。円筒状ケーシング5430の遠位端には開口部が設けられ、これにより、ホーン5002が突出可能となる。振動子902はまた、2つの導電性リング5406および5408を有する。これらの導電性リング5406および5408は、前記振動子を包囲し、発振器904からの電気信号を振動子902へと搬送する。例示的実施形態において、リング5406および5408は単一の機械部品であり、スタンピングまたは機械加工のいずれかによって平坦部分として構成され、その結果正確な形態に屈曲された脚部を有する。あるいは、前記脚部を、平坦リング内に押圧または半田付けされた第2の部分としてもよい。これらの一連のリング/脚部は、振動子ハウジングの遠位ハウジング部5434へ一体成型される。この一体成形は、気密シールを得るのには不十分である。そのため、前記リング脚部が前記プラスチックから出て行く箇所において受け穴が成形され、この受け穴に埋め込み用材料を充填することで、気密シールを得ることができる。あるいは、前記脚部は丸針であってもよい。このような場合、oリングを前記脚部と前記受け穴との間に設けることでシールを得ることができる。振動子結晶スタック5502の電極5802および5804は、スペード型またはピン型のコネクタ形状に形成することが可能であり、このような形状により、振動子と前記脚部との間の電気接続を半田付け無しで行うことが可能になる。その結果、製造が簡潔になり、シールが不完全となる原因となり得る半田付け熱へ前記脚部を露出させる必要が無くなる。前記コネクタの一部を
図54〜
図58中に示すが、
図58中に最良に示す。振動子902は、フランジ5450によって保持する必要がある。フランジ5450は、振動の無い節に配置される。また、振動子902はそのハウジングに回転ロックする必要もあり、このようなロックは、標準的な鍵型フィーチャ(例えば、
図55に示すもの)によって達成することもできるし、4つの平坦部によって行うことも可能である。平坦部を用いることにより、接触リング領域においてハウジングの壁厚を増やすことが可能になり、その結果、このハウジング構造のうちより多くの部分を滅菌サイクルに繰り返し送ることが可能になる。振動子ホーン5002とハウジング5430との間のシールを形成するために、例示的実施形態において、支持フランジは、遠位ハウジング部5434によって支持されたoリング5452に対して圧縮される。このシールを十分に圧縮するために、振動子902のフランジ5450をoリング5452に対して強制的に押圧する必要がある。フランジ5450の内面を押圧するために、一対の両性プッシャー5454を遠位ハウジング部5434内に延ばすことで、組み立て完了を可能にし、エラストマーグロメットを通じて正圧を付加する。例示的構成において、一対のプッシャー部を用いて、ホーンのより小さな直径部内に嵌めこむ。なぜならば、単一部分が結晶および電極上にクリアランスを持つ必要があるため、ハウジング直径全体がずっと大きくならざるを得ないからである。これらのプッシャーがクラッシュピンフィーチャを持つことで、前記プッシャーを共に連結して、取り付けをより容易にすることが可能になる。前記プッシャーのジオメトリにより、前記プッシャーはハウジングのキーイングフィーチャ内へと回転ロックされる。前記プッシャーの近位端上のさらなるキーイングフィーチャにより、近位ハウジング部5432が振動子902のアセンブリ上へとキーイングされ得、これにより、近位ハウジング部5432内のクリアランスが振動子902の電極5402および5404とアラインされる。接着剤または溶接または他の接続手段のいずれかによる近位ハウジング部5432と遠位ハウジング部5434とのかみ合わせは、プッシャーを正方向にグロメット内へと送るための十分な圧力によって行われ、その結果、前記プッシャーはフランジ5450上へと押圧され、oリング5452はフランジ5450と遠位ハウジング部5434との間に押圧され、これと同時にシールが形成され、両側のエラストマーによってフランジ5450が支持され、これにより、振動子902およびハウジング5430が音響的に連結される。あるいは、近位ハウジング部5432および遠位ハウジング部5434をネジによって接続してもよく、ネジの締結により、上述したスタック部分が圧縮される。別の実施形態により、他のエラストマーシールをリング5406および5408とハウジング5434との間に設けることにより、接触リングを挿入成形する必要無く、同一の結果を達成することが可能である。
【0085】
以下にさらに詳細に説明するように、振動子902は、遠位ハウジング部5434の最遠位部内の溝部内に取り付けられたスパイラルリングまたは他の保持クリップ5442により、TAGアセンブリ303内に保持される。振動子902の遠位ハウジング部5434と発振器904の下側ハウジング部5030との間には、潤滑性材料(例えば、PTFE)製のリングが設けられ、このリングにより回転摩擦が低減される。この領域における摩擦低減が重要である。なぜならTAGアセンブリ303をハンドル302内に保持しかつTAGアセンブリ303とハンドル302との間の電気接続部周囲のシールを圧縮するのは、この力支持表面であるからである。
【0087】
図12は、バッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の間の信号経路を示すブロック図である。さらに以下に説明するように、前記信号経路および相互接続回路要素の設計特性は、電源と信号生成回路との間のこの重要かつ脆弱な接続部における構成要素の信号完全性および効率を保護するという重大な目的によって部分的に決定される。
【0088】
最初に、DC−DC逓減コンバータ1202は、電池701からの電圧を下げて、第1電圧から第2の低電圧に下げる。DC−DC逓減コンバータ1202は、(必要とされる電力量に依存して)マルチ又は可変位相バックコンバータ1114およびバッテリマイクロコントローラ1106を有しており、
図11では両方がバッテリアセンブリ301内にある。バッテリマイクロコントローラ1106は、TAGアセンブリ303に供給されるDC電圧を調整するためにバックコンバータ1114を制御する。バックコンバータ1114およびマイクロコントローラ1106は、一緒に、バッテリアセンブリ301内でDC−DC変換機能を実行する。本発明の例示の実施形態では2位相バックコンバータ1114が使用される。別の例示の実施形態は、さらなる位相を有するバックコンバータを利用することができる。そのような場合、位相制限が採用され得る。使用される位相の数は、バッテリ駆動装置のために考慮されるべき最適効率でコンバータを作動させるために動的に変化し得る。言い替えれば、より小さな出力電力が必要される時、コンバータ内への電力損失は、アクティブ位相の数を低減させることによって低減され得る。
【0089】
独自的に、発振器印刷回路基板は、基板の両側上に回路要素が設けられている点において、両側型である。例示的実施形態において、電力回路要素がPCBの上側上に取り付けられ、デジタル要素が基板の下側上に取り付けられる。固体地板により、両側が分離される。有利なことに、高電圧電力回路をこのようにして論理回路から隔離することにより、前記電力回路内に存在し得る有害な高電圧ノイズから前記論理回路が有効に遮断される。
【0090】
バッテリアセンブリ301からのDC出力電圧は、TAGアセンブリ303のプッシュ/プル式スイッチング増幅器1010に電力を供給し、アセンブリ303はDC信号を高電圧AC信号に変換する。TAGマイクロコントローラ1006は増幅器1010を制御する。プッシュプル式スイッチング増幅器1010の出力電圧は、一般に、
図13に示す例のように、方形波であり、波形1300は、所定の構成要素に対して、特に、振動子902に対して有害であるので、望ましくない。具体的には、方形波の急な上昇および降下の縁は、超音波導波管の対応した急な開始および停止が導波管上で有害な「ガタガタ」作用を生じさせる。方形波1300はまた、構成要素同士の間の干渉効果を生じさせる。例えば、方形波のより高いさらなる調和振動の周波数は、望ましくない電気的干渉および回路の望ましくない動作をもたらし得る。このことは、1つの周波数のみを有する純粋な正弦波とは対照的である。
【0091】
方形波を排除するため、波形成又は整合回路1012(時には「タンク回路」として言及される)が導入される。タンク回路1012は、振動子の静電容量に関連したコンデンサと共に、例えばインダクタなどの構成要素を含んでおり、導波管で非損傷超音波運動を生じさせるような方法で振動子902を駆動させるために使用される平滑な正弦波に方形波をフィルタリングする。振動子902の駆動に適した例示の正弦波1400を
図14に示す。本発明の一実施形態では、整合回路1012は、直列L−C回路であり、キルヒホフの回路法の周知の原理によって制御される。しかしながら、振動子902の駆動に適した平滑な正弦波1400を生成するために任意の整合回路が使用され得る。さらに、他の駆動信号が、平滑な正弦波ではなく、方形波よりも有害でない方法で振動子902を駆動するために有用な整合回路1012からの出力であり得る。
【0092】
重要なことに、電力フィルタリング回路の設計は、電力インダクタのインダクタンスが小さく変動した場合でも、システム動作が仕様から外れないような設計となっている。このような構成により、LCフィルタの調整における変動に対する感度が低下し、その結果、調節ネジの使用が不要となる。
【0093】
実際には、整合ネットワーク1012は、供給する特定の振動子と整合させるために調節される。従って、振動子および整合ネットワークは、対としている場合であって他の装置と組み合わせて配置されない場合に最もよく整合する。さらに、各振動子902が自身の整合ネットワークを有する場合、スマートバッテリ301が、異なる振動子に異なる周波数を供給することができ、周波数は、導波管アセンブリ304に特定の刃にそれぞれ整合する。超音波手術装置のための2つのよく用いられる周波数は55kHzおよび40kHzである。
【0094】
加えて、無線周波数または電磁干渉が超音波
導波管および振動子要素から発振器回路へと侵入するのを回避するために、フェライトビーズ(またはコイル)を発振器出力ラインまたはトレース内に取り付けることで、干渉が回路へ到達するのを遮断する。
【0095】
さらに、発振器の出力トレースを相互に近接するように構成し(例えば、三角形のダブルトレース状に構成し)、干渉をフィルタリング除去する(すなわち、最大共通モード拒否を可能にする)共通モードとして並列に機能させる。
【0097】
図15は、振動子902への共振正弦波入力が超音波切断装置の導波管1502上に有する作用を概略的に示す図である。本発明の例示の実施形態によれば、
図15で点線によって示される正弦パターンは、振動子902に連結される導波管1502の長さに沿った軸線方向運動の振幅を表している。駆動正弦波1400(
図14に示す)の上昇部分1402に応答して、スタックが第1方向1508に伸展する。駆動正弦波1400(
図14に示す)の負部分1404の間、スタックの予圧縮又は誘導圧縮が、その定常状態まで、すなわち、振動子902の部分1504が第2方向1512に移動するまで、スタックを復帰させる。上述のように、平滑な正弦波1400によれば、方形波1300とは異なり、振動子902および導波管1502が、方向を変化させる前に減速することが可能である。より平滑な運動は装置の構成要素に対して有害さがより少ない。
【0098】
振動子部1504の交互運動1508、1512は、導波管1502の長さに沿って正弦波1514を配置する。波1514は交互に、振動子902に向かって導波管1502の遠位端1520を引っ張るとともに振動子902から離れるように押し、それによって、距離1518に沿って導波管1502の遠位端1520を縦方向に移動させる。導波管1502の先端は、正弦波1514の移動点であるので、「腹」とみなされる。導波管1502の結果として生じた運動は、導波管1502の遠位端1520で距離1518に沿って「のこぎり」運動を生じさせる。(波1514および距離1518に沿った直線運動は、説明の簡単さのために
図15で大いに誇張されている。)距離1518に沿ったこの高速運動は、従来技術で知られているように、多くの物質、特に、組織および骨を通って簡単に切り取ることが可能な切断器具を提供する。導波管1502の急速に移動する遠位端1520はまた、そのように刺激された時に大量の摩擦熱を生成し、その熱は、導波管1502が切断している組織に吸収される。この熱は、切断されている組織内の血管の急速な焼灼を引き起こすのに十分である。
【0099】
導波管1502に沿って動く駆動波1514が共振波でない場合、定常波はなく、そのことは節又は腹がないことを意味している。このことは、ほとんど運動がないことを意味している。また、不正確な共振周波数で装置を作動させる可能性がある。誤った共振での作動は、例えば「ガタピシャ」などの望ましくない運動を生成し得る。そうした場合、導波管1502の遠位端1520は導波管1502の縦軸線を横断して移動する。あらゆる不正確なモードは、理想的ではなく、適切な切断および手術焼灼のために信頼性がない。しかしながら、本発明は、以下で説明するように、導波管1502の運動1508、1512が、振動子902に供給される運動電流および運動電圧の波形の間の位相をモニタして発振器904に補正信号を返信することによって、導波管1502に沿って共振したままであることを保証するために、発振器904内に位相ロックループ(PLL)を利用する。TAGマイクロコントローラ1006は、周波数を制御し、望ましくない共振周波数を起こさないように適切な範囲内にあることを保証する。追加の特徴として、本発明は、変動する平面内で切断される圧電結晶スタック1504を備えてよく、それによって、のこぎり運動のみならず、刃のねじれ又はツイスト運動を作り出す。本発明は、いま説明したのこぎり運動に代えて又はのこぎり運動とともに、ドリルタイプの運動の要求を使用する完全な一連の使用に容易に適合し得る。
【0100】
いま説明したように、理想的には、振動子902および導波管1502はそれらの共振周波数で駆動される。共振は、振動子902の入力時に電流および電圧が実質的に同相の時に達成される。この理由のため、発振器904は、PLLと、電流と電圧とを相互に同調させるために、振動子902への電流および電圧の入力から引き出される信号と、を使用する。しかしながら、入力電圧の位相に対して入力電流の位相を単に整合させることに代えて、本発明は、「運動」電圧の位相に電流位相を整合させ、および/又は、「運動」電流の位相に入力電圧の位相を整合させる。これを達成するため、運動ブリッジ回路が、振動子および導波管の機械的運動を測定するために、および、振動子および導波管の作動に関してフィードバックを提供するために、使用される。ブリッジからの運動フィードバック信号は、振動子902および導波管1502の運動に比例しているとともに同相である。
【0103】
図16は、圧電材料を包含する例えば振動子902などのモデル振動子1600を概略的に示す回路図である。圧電振動子は従来周知である。圧電材料の質量および剛性が、振動子内に機械的な共振構造を作り出す。圧電効果により、これらの機械的特性はそれ自体を電気的に同等な特性として表す。言い替えれば、電気接点に見られる電気的共振周波数は機械的共振周波数に等しい。
図16に示すように、振動子902の機械的質量、剛性および減衰は、すべて他のコンデンサC1と並列な誘導子/コイルL、コンデンサC2およびレジスタRの一連の構成によって表され得る。電気的に同値の振動子モデル1700は結晶の周知モデルに極めて似ている。
【0104】
電気的に同値の振動子モデル1600の入力1610内に流入するのは振動子電流iTである。iTの一部iCは、予想される周波数帯の大部分に対して、静的容量性の値を保持するタイプおよび値の並列コンデンサC1にわたって流れる。iMとして定義されるiTの残余部は、単純にiT−iCであり、かつ、実際の作動電流である。この残余電流iMは、本明細書では「運動」電流として言及される。すなわち、運動電流は、導波管1502を運動させるために作業を実際に実行する電流である。
【0105】
公知の従来技術の設計は、iCを含み、振動子902の導波管1502の運動を実際に引き起こす電流量のインジケータではない全電流iTを調整して同期する。例えば、従来技術の装置の刃が柔らかい組織から例えば他の組織又は骨などのより緻密な材料へ移動する時、抵抗Rは著しく増大する。この抵抗Rの増大によって、直列配置R−L−C2を通ってより少ない電流iMが流れ、容量性要素C1にわたってより大きな電流が流れる。そのような場合、導波管1502は減速し、その性能を低下させる。当業者であれば、全体の電流を調整することが、一定の導波管の変位を維持するために有効な方法ではないことを理解し得る。したがって、本発明の新規な一実施形態は、振動子902を通って流れる運動電流iMを有利にモニタして調整する。運動電流iMを調整することによって、導波管1502の運動距離を容易に調整することが可能である。
【0107】
図17は、振動子902の運動電流iMをどのようにして得るかを理解するために有用な本発明の回路1700を概略的に示す回路図である。回路1700は、振動子モデル1600のすべての回路要素をに加えて、
図16の振動子モデル1600に並列な追加のブリッジング容量性要素CBを有している。しかしながら、CBの値は、C1/CBが所定の比率rに等しいように選択される。効率のため、CBのために選択された値は比較的低くあるべきである。このことは、iMから引き出される電流を制限する。可変電源VTが、回路1700の接点1702および1704にわたって印加され、容量性要素CBを通じて電流iBと、モデル振動子1600に流入する電流iTと、コンデンサC1を通って流れる電流iCと、および、結果として、運動電流iMと、を作り出す。そこで、運動電流iMは、iM=iT−r・iBであるように流れる。このことは、
【数1】
のためである。従って、iC=r・iBを、方程式iM=iT−iCのiCに代入すると、iM=iT−r・iBが導き出される。
【0108】
ここで、全電流のみを知ることによって、かつ、ブリッジコンデンサiBを通じた電流を測定することによって、振動子の運動電流iMの変化を識別して調整することが可能である。
図27のブロック2708および変圧器2710によって表される駆動回路は、
図10のプッシュプル式スイッチング増幅器1010に含まれる。そして、駆動回路は、電流制御器として作動し、ブリッジ静電容量CBを通って流れる電流に比率rを掛けた積を振動子902に流れる全電流iTから減算した値に基づいて、駆動回路の出力を変化させることによって、運動電流iMを調整する。この調整は、様々な切断負荷にわたって導波管1502の切断刃部分の運動のほぼ一定の比を維持し、これは、以前は可能ではなかったことである。例示の一実施形態では、感知回路1014は運動電圧および/又は運動電流を測定する。電流および電圧測定装置と電圧計および電流計を作り出すための回路構成とは従来公知である。電流値および電圧値は、制限はなく、現在は公知で又はその後に発展した何らかの方法で本発明によって特定されることが可能である。
【0109】
運動電流iMの調整は、器具の完全性を維持するための、かつ、作動環境で予想されるほぼすべての状態のもとでそのピーク性能で作動することを保証するための真の方法である。さらに、そうした調整は、片手で簡単に保持するために十分に小型で十分に軽いパッケージにおいて、すなわち、この分野で今までになかった構成でこれらの利点を提供する。
【0111】
図18は、本発明の別の実施形態を示しており、そこでは振動子902が、抵抗要素R、誘導要素Lおよび容量要素C4の並列構成として概略的に表されている。追加の容量要素C3は、入力1702と、抵抗要素R、誘導要素Lおよび容量性要素C4の並列配置との間の直列配置である。この並列代表例は、わずかに異なる周波数で生じるいわゆる作動の「反共振」モードで振動子の動作のモデルになる。振動子電圧VTは、振動子902の入力端子1702、1704の間に印加される。振動子電圧VTは、容量性要素C3を通じた電圧VCと、抵抗素子R、誘導素子Lおよび容量性素子C4の並列配置を通じた運動電圧VMとの間に分割される。作業を実行して導波管1502を移動させるのは運動電圧VMである。従って、この例示の実施形態では、慎重に調整されるべきは、運動電圧である。
【0113】
図19は、
図18の振動子モデル1800を有する本発明に係る本発明の回路構成1900の例示の実施形態を示している。回路構成1900は、振動子モデル1800に3つの追加の容量性素子C5、C6およびC7を追加する。容量性素子C5は、
図18の振動子モデル回路1800に直列である一方で、容量性素子C6およびC7は、相互に直列であり、容量性素子C5および振動子回路モデル1800の直列の組み合わせに並列である。
【0114】
この回路は、ホイートストン(Wheatstone)のブリッジ測定器具に類似している。ホイートストンのブリッジ回路は、ブリッジ回路の2つの脚をバランスさせることによって不明の電気抵抗を測定するために使用され、その1つの脚は不明の構成要素を有する。
図19に示す例示の回路構成では、VT−VCに等しい運動電圧VMは不明である。運動電圧VMを特定して調整することによって、本発明の構成は、一定の導波管の運動が以下に説明するように維持されることを可能にする。
【0115】
有利なことに、容量性素子C7は、その値が容量性素子C3の1未満の比Aであるように選択される。同様に、容量性素子C6は、その値が容量性素子C5の同一の比Aであるように選択される。C5/C3の比もまた比Aである。
【0116】
C3/C7の比がAであるとともにC5/C6の比もまたAであるので、ブリッジは均衡される。フィードバック電圧Vfbを運動電圧VMによって除したものもまた比Aであるという結果になる。従って、Vmは単純にA・Vfbで表され得る。
【0117】
モデル振動子1800にわたる電圧が依然としてVTであるなら、入力電圧Vinは、VTに容量性素子C5にわたる電圧VBに加えた値に等しい。フィードバック電圧VFBは、容量性素子C6およびC7の間に配置された第1点と、振動子および容量性素子C5の間に配置された第2点とから測定される。ここで、TAGアセンブリ303の上流構成要素は、電圧制御器として作動し、一定のフィードバック電圧Vfbを維持するために電力Vinを変化させ、その結果、ほぼ一定の運動電圧を生じさせ、様々な切断負荷にわたって導波管1502の切断刃部分のほぼ一定比の運動を維持する。また、従来技術とは異なり、本発明は、入力電圧Vinを単純に調整するのではなく、運動電圧VMを調整する目的のために入力電圧Vinを変化させる。これは、当技術分野で新規のものである。
【0119】
図20は、振動子902が
図16に示す回路構成である本発明の別の例示の実施形態を示している。
図20の構成は、
図17の示すものと同様に作動し、
図17に関連して上述のように作動する。しかしながら、この回路構成2000では、1対の変圧器2004および2008が、運動電流IMを特定してモニタするために使用される。この例示の実施形態では、第1変圧器2004の第1巻線2002がブリッジコンデンサCBと直列配置である。同様に、第2変圧器2008の第1巻線2006はモデル振動子1600と直列配置である。第1変圧器2004の第2巻線2014のリード2010、2012は抵抗R2を通じて連結される。第2変圧器2008の第2巻線2020のリード2016、2018は抵抗R1を通じて連結される。さらに、第1変圧器2004の第2巻線2014の第1リード2010は、第2変圧器2008の第2巻線2020の第1リード2016に直接連結される。
【0120】
第1変圧器2004の第1巻線2002を通る電流iBは、第1変圧器2004の第2巻線2014の電流を誘導する。同様に、振動子1600の容量性素子C1を通るiCを含む電流と振動子1600の運動電流iMとは複合して、アース2022を見つけるために第2変圧器2008の第1巻線2006を通って流れる。第1巻線2006の電流は第2巻線2020上の電流を誘導する。変圧器2004、2008上のドット(「・」)によって示されるように、第2巻線2014、2020はそれぞれ、第1巻線2002、2006に対して相互に反対向きであり、抵抗R1およびR2を通じて電圧Vfbを誘導する。R1/R2の比がCB/C1の値の比と等しいようにR1およびR2の値を選択することによって、フィードバック電圧Vfbは運動電流iMに常に比例する。ここで、発振器904の上流の構成要素は、電圧制御器として作動し、一定のフィードバック電圧Vfbを維持するように入力電力(VinおよびIin)を変化させ、その結果、ほぼ一定の運動電流iMを生じさせ、様々な切断負荷にわたって導波管1502の切断刃のほぼ一定比の運動を維持する。また、従来技術とは異なり、本発明は、入力電圧Vinを単純に調整せず、運動電流iMを調整する目的のために入力電流Iinを変化させる。これは、当技術分野で新規のものである。
【0121】
図示されていない別の実施形態において、変圧器2004および2008の代わりに抵抗器が用いられる。例えば、
図19について、コンデンサC6およびC5の代わりに、抵抗器が用いられ得、それらは電流IbおよびItの測定に用いられる。
【0123】
図21は、モデル振動子1800が
図18に示す回路構成によってモデル化された本発明の別の例示の実施形態を示している。
図21の構成は、
図19に示すものと同様に作動し、
図19に関連して上述のように作動する。しかしながら、この回路構成2100では、変圧器2110が、振動子1800の運動電圧VMを特定してモニタするために使用される。この実施形態では、変圧器2110の第1巻線2106は誘導素子L2および容量性素子C1に直列の回路構成である。電圧Vinは、変圧器2110、誘導素子L2および容量性素子C1の第1巻線2106によって形成される回路の入力リード2102、2104を通じて印加される。第1巻線2106を通った電流は、変圧器2110の第2巻線2108で対応する電流を誘導する。変圧器2110の第2巻線2108は、振動子1800およびブリッジコンデンサCBの組み合わせと並列配置である。組み合わせを形成する2つの構成要素は直列配置である。
【0124】
本実施形態では、第2巻線2108は点2112で分岐される。第2巻線2108の第1部分がm巻きを有し、第2巻線2108の第2部分がn巻きを有する点(nはm未満である)で第2巻線2108を分岐させることによって、第2巻線2108上の誘導電圧の選択可能なパーセントが点2112からアース2114まで現れる。
【0125】
ここでも、この回路はホイートストンブリッジ測定器具に類似している。1つの脚が第1の2番目の巻線mであり、第2の脚は第2の2番目の巻線nであり、第3の脚は振動子モデル1800であり、第4の脚はコンデンサCBである。
図21のこの回路構成では、電圧VMは不明である。運動電圧VMを特定して調整することによって、一定の導波管の運動が維持される。
【0126】
巻きnの数が巻きmの数未満であるのと同一の割合によって振動子の静電容量C3未満であるようにブリッジコンデンサCBの値を選択することによって(すなわち、m/n=C3/CB)、フィードバック電圧Vfbの値は運動電圧VMを反映する。本発明は、変化のためにフィードバック電圧Vfbをモニタすることによって、運動電圧VMが変化するかどうかを特定することができる。
【0127】
並列共振(又は反共振)振動子をモデル化した等価回路振動子モデル1800を使用することによって、振動子は、運動が電圧に比例する並列動作モードで駆動され得る。この作動モードの利点は、要求される一定電圧モードの電源が、一定電流モードの電源よりもより単純に設計してより安全に作動することである。また、振動子が、(直列共振作動モードで負荷を掛けられていない時により低いインピーダンスを有するのではなく)負荷を掛けられていない時により高いインピーダンスを有するので、負荷を掛けられていない時により低電力を引き出す傾向に当然ながらある。しかしながら、並列共振作動モードは、共振バンドパスが、直列共振モードのそれよりも狭くてわずかに異なる固有の共振周波数を有するので、維持することが困難であり、それ故に、装置の機械的構成要素は、直列共振又は並列共振の作動モードのいずれかで作動するように特に構成されていなければならない。
【0128】
本発明は、一定のフィードバック電圧Vfbを維持するために電圧を制御して電力Vinを変化させ、その結果、ほぼ一定の運動電圧VMを生じさせ、様々な切断負荷にわたって導波管1502の切断刃部分のほぼ一定の運動比を維持する。また、従来技術と異なり、本発明は、入力電圧Vinを単純に調整せず、運動電圧VMを調整する目的のために入力電圧Vinを変化させる。これは、当技術分野で新規のものである。
【0129】
本発明によれば、TAG303のマイクロコントローラ1006は、変圧器1010の第1側に向かう信号を生成するために運動ブリッジ1014を通じてフィードバック信号をモニタする。TAGマイクロコントローラ1006は、これらの信号の間の位相差を(CLA912内で)計算し、位相差をゼロに等しくするようにNCO1008出力を調節する。運動フィードバック信号が、プッシュプル式スイッチング増幅器1010の出力と同相である時、システムは直列共振で作動する。フィードバック信号の位相および大きさは離散型フーリエ変換(DFT)を使用して算出される。本発明の例示の一実施形態では、DFT算出のための位相基準は、プッシュプル式増幅器1010の駆動信号である。周波数は、プッシュプル式の駆動信号を運動フィードバック信号と同相であるようにするために変更されることが可能である。
【0130】
本発明の例示の一実施形態によれば、運動フィードバック信号の位相が正であれば、運転周波数が共振周波数を下回っており、運転周波数を増大させるべきであることを表し、位相が負であれば、運転周波数が共振周波数を上回っており、運転周波数を減少させるべきであることを表し、位相がゼロに近ければ、運転周波数は振動子902および導波管1502の共振周波数に近いことを表している。発振器904では、NCO1008(DDSを利用する)は、適切に周波数を変化させるために使用される。
【0131】
重要なことに、NCO1008は、例えばTAGマイクロコントローラ1006の作動周波数よりも6倍未満の周波数でCPUの外部クロック入力にクロックを出力する。外部周波数入力は、プロセッサの位相ロックループ(PLL)に供給されて、CPUのSYSCLKを得るために6の倍数によって乗算される。NCO1008はSPIインターフェースを通じてプロセッサによって制御される。SPIインターフェースは、所望の出力周波数を得るために25MHzの固定周波数を割るために使用されるNCO1008に32ビットの除数を書き込むために使用される。DDS2200を制御することによって、TAGは、振動周波数のハードウェアの同調動作を提供する。言い替えれば、主プロセッサ914には、まるで周波数が一定であるように見え、それによって、運動フィードバック位相のサンプリングと計算とを単純化する。
【0133】
始動条件は、本節に続く節でで詳細に説明する定常状態の動作中のものとは異なる。始動時、導波管1502は、最初に停止しており、および従って、導波管は運動していない。従って、振動子902および導波管1502の複合共振周波数を特定するために使用できる即時に確かめることができる運動フィードバック信号はない。その結果、本発明のシステムは、初期始動期間中、定常状態中とは異なるモードで作動する能力を有している。
【0134】
本発明の例示の実施形態に係る始動処理は、バッテリコントローラ703とTAGアセンブリ303の発振器904との間の相互交換を示す
図72の工程フロー図で表されている。この特定の実施形態では、以下に詳細に説明するように、バッテリコントローラは発振器904に対してすべてのコマンドを発行し、発振器904はバッテリコントローラ703からのすべてのその命令を受け取るので、バッテリコントローラと発振器との間の関係は「マスタおよびスレーブ」の関係として説明することができる。代替として、TAGアセンブリ303の発振器904は、「マスタ」として作動することができ、バッテリコントローラ703に対してすべてのコマンドを発行する、又は、TAGアセンブリ303の発振器904およびバッテリコントローラ703は同等として機能し得る。
【0135】
起動に先立って、バッテリコントローラ703および発振器904の両方はステップ7201および7202では待機状態である。ステップ7203でバッテリコントローラ703は、例えば、ユーザがボタン/トリガ4608を押すことによって、待機状態から脱して起動される。バッテリコントローラ703および発振器904の間の交換を開始するため、バッテリコントローラ703は、例えば「ULTRASOUND ON」コマンド7205の信号を、通信線602a〜n(すなわち、Comm+/Comm−)を使用して発振器904に中継する。適切に作動すれば、発振器は、バッテリコントローラ703から受信したコマンド7205の受領を確認して、今度は、例えば「ULTRASOUND ON」応答などのプラスの応答7204の信号を、通信線602a〜n(すなわち、Comm+/Comm−)を使用してバッテリコントローラ703に送信する。しかしながら、発振器904は、特定の時間(例えば10ms)が終わる前にバッテリコントローラ703から最初のコマンド7205にプラス方向に応答しなければ、バッテリコントローラは、ステップ7207で例えば「FAILURE TO START」状態などの欠陥状態を発行し、ステップ7209で作動サイクルを終了させる。その時、適切なインジケータが起動され得る。
【0137】
バッテリコントローラ703から送信された「ULTRASOUND ON」コマンド7205の発振器904による成功した受信確認があれば、バッテリコントローラ703内のマイクロコントローラ1106は、TAGアセンブリ303の迅速に安全に電流率を前進させるために工程を初期化し、TAGアセンブリ303から導波管1502に対する共振運動出力を生じさせる。前進は、待機状態から、確認可能な運動フィードバック信号を生成して初期の共振周波数状態を実現するために「ボールパークウィンドウ」内にあるように予想されるレベルに進行する。
図11に示すように、バッテリコントローラ703のマイクロコントローラ1106は2つの処理ユニットを有している。第1処理ユニットすなわち制御法則加速器(「CLA」)1116は第1の内側の電流制御ループ2601(
図26参照)を処理し、第2処理ユニットすなわち主プロセッサ1118は第2の外側の増幅制御ループ2602(
図26参照)を処理する。最初に、ステップ7213で、マイクロコントローラ1106はバック電源1114をオンにして、CLA1116を初期化する。CLA1116は、2つの位相バック振動子1114を駆動させるパルス幅変調器(「PWM」)のための新しいデューティサイクルの値を算出する比例積分微分(「PID」)制御アルゴリズムを使用する。ステップ7215で、バッテリコントローラ703は、PWMを始動させて、ステップ7211で、DC−DCコンバータ1202の出力電圧を増大させるために非線形PID制御ループを使用し始める。増大する出力電圧は、発振器904のプッシュ/プル式増幅器1010に対して入力電流を対応して増大させる。ステップ7217では、ステップ7219で、実際の測定された入力電圧が、「Iref」として本明細書で言及される既定の基準電流レベルに到達するまで、出力電圧は増大し、又はそうでなければ変更される。Irefは、導波管1502の変位を実現する振動子902であるとともに目標の共振周波数に到達するために十分な値に近い結果としての振幅を配置する振動子902からの駆動波出力を作り出すために予想される較正値である。Irefは、ステップ7225でバッテリマイクロコントローラ703によって最初に設定される。Irefのためのこの較正値は、TAGアセンブリ303内に格納されて、通信リンク7204の確立時にバッテリマイクロコントローラ703によって読み出される。簡潔に述べると、Irefは、始動時においてシステムがオーバードライブにならないようにするための方法であり、これにより、始動時において低運動が可能になり、システムによる過度の応答およびオーバーシュートが無くなる。Irefは、目標変位にシステムを駆動するために必要な推定電流である。システムが目標変位に近づくと、振幅制御が取って代わる。
【0138】
以下の表1は、本発明に係る非線形PID制御ループ又はアルゴリズムの例を示しており、それにより出力電圧レベルは、実際の測定された入力電流が基準電流Irefに到達するまで変更される。この例では、非線形PID制御ループが、基準電流Irefに対する実際の測定された入力電流のパーセント誤差を5%のビンに分割し、そのビンは、定数G0〜Gn(「n」は、Irefに到達する前の最後のステップの数である)として以下に示される。各ビンは、その自己の非線形同調係数(例えばKp、KiおよびKd)を有している。非線形同調係数によれば、出力電圧、そして実際の入力電流が、入力電流が基準電流点から遠く外れている時に基準電流に向かって最初に迅速に上昇し、その後、入力電流値が基準電流点に到達しそうな時点で基準電流点Irefにゆっくりと到達することが可能である。その結果、システムはノイズによって乱されにくくなる。この特定の例では、CLA1116内の非線形PIDは、Irefよりも15%を超えるオーバーシュートを形作ることはない。制御ループが電流を維持するようにさせるが、いかなる有意な時間にわたっても過電流を許容しないことが望ましい。言い替えれば、ループは、過電流状態から迅速に電流を離脱させなければならない。従って、CLA1116の非線形PIDループは、入力電流が迅速かつ正確に所望の基準電流レベルIrefまで高まるが、安定した、危険な「過電流」状態を避けるような方法で、出力電圧および入力電流の増大を形作る。
【表1】
【0139】
その間、バッテリマイクロコントローラ1106の制御のもとで着実に入力電流が増大していく間、発振器によって受信されたバッテリコントローラ703からの初期の信号すなわち「ULTRASOUND ON」コマンド7205は、バッテリコントローラ703の作動に並行してその自己の初期化処理をTAGマイクロコントローラ1006に開始させる。
図9に関して上述のように、TAGアセンブリ303のマイクロコントローラ1006は、2つの独立した処理ユニット、すなわちCLA912および主プロセッサ914を有している。再び
図72を参照すると、ステップ7200および7206では、バッテリコントローラ703から初期コマンド7205を受信すると、TAGマイクロコントローラ1006は、CLA912を初期化し、導波管および振動子の作動周波数帯内の周波数で超音波周波数を駆動する超音波PWMを開始する。この初期の始動段階では、存在するいかなる運動フィードバック信号も弱く、および従って、信号レベルが最初が非常に小さいので、より高い信号レベルを提供するために高ゲイン増幅器を使用することが望ましい。ステップ7208で、バッテリアセンブリからの入力電流が増大していくにつれて、振幅(すなわち、機械的運動の変位)が、運動フィードバック信号を生成して共振周波数を実現するために「ボールパークウィンドウ」内にTAGアセンブリ303を配置するべき「目標振幅」の20%内の設定ポイント又はレベルに到達するまで比例して漸増していく。「目標振幅」は既定の安全な閾値レベルである。この閾値レベルを越えることは望ましくなく、(例えば、10〜12%だけ)越えた場合、望ましくないとともに装置に障害状態および制御の停止を開始させる「過振幅」状態を示している。
【0140】
バッテリコントローラ703は、振幅を緊密に監視して、TAGアセンブリ303の変位レベルを調節する。バッテリコントローラ703は、短間隔(例えば4ms毎)で例えば「AMPLITUDE REQ」コマンドといったコマンド7221を、通信線602a〜n(例えばComm+/Comm−)の少なくとも1つを使用してTAGアセンブリ303に発行する。応答して、バッテリコントローラ703は、TAGアセンブリ303から例えば「AMPLITUDE REQ」応答といった信号7210を通信線602a〜n(例えばComm+/Comm−)の少なくとも1つを通じて受信し、これはTAGアセンブリ303の振幅レベルの測定をバッテリコントローラ703に提供する。各振幅レベルの測定がバッテリコントローラ703によって決定される各間隔において、ステップ7223で、バッテリマイクロコントローラ1106は、振幅測定に基づいて複数の可能な決定の1つをなす。振幅レベルが、「目標振幅」の20%以内、又は、事実上「目標振幅」の80%以内のレベルに到達すれば、ステップ7227で、電力制御は、以下にさらに詳細に説明するように、内側の電流制御ループ2601から外側の振幅制御ループ2602に切り替えられる。振幅レベルが「目標振幅」の80%に到達しなければ、ステップ7229で、電流制御ループは、振幅が80%のポイントまで到達するまで基準電流レベルIrefに電流を維持する。
【0141】
しかし、振幅レベルが、一連の時間間隔(例えば250ms)内に80%の点に依然として到達しなければ、このことは、例えば、導波管1502で停止した刃に起因し得る「低振幅」障害状態7231を示している。応答して、バッテリマイクロコントローラ1106は、ステップ7209で作動サイクルを終了させ、発振器904に例えば「ULTRASOUND OFF」コマンド7233を発行する。返答して、発振器904は、起動作動を停止したことを示す例えば「ULTRASOUND OFF」応答といった応答7212を中継する。振幅レベルが「目標振幅」の20%以内のレベルを実際に越える一時的に危険な状態が発生すると、バッテリマイクロコントローラ1106は即時に、障害状態7235を発行し、上述のように、この「過振幅」状態に起因してステップ7209で作動サイクルを終了させる。
【0143】
ここで、
図72Aを参照すると、前述のように、初期化時、TAGマイクロコントローラ1006は、運動フィードバック信号の検出に基づいて振動子902を駆動する信号の周波数を制御する。始動プロセスの開始時、ステップ7206で、作動周波数が、振動子902および導波管1502の作動周波数帯内である固定値(例えば55.2kHz)に設定される。その設定された周波数にある場合、ブリッジ回路からの運動フィードバック信号は、高および低のゲインバッファに経由される。これらの信号の各々は、TAGアセンブリ303のマイクロコントローラ1006のアナログデジタル振動子(「ADC」)908に供給される。最初に、高ゲインでバッファされたフィードバック信号が、運動フィードバック信号が最初に小さいものであるように選択される。CLA912の主機能は、ADCからの出力をとって、離散型フーリエ変換(「DFT」)演算を実行し、そして、主プロセッサ914に結果を渡す。ステップ7218で示すように、DFT演算の結果は、運動フィードバック(「MF」)信号の位相および大きさ、ならびに信号の実数項および虚数項である。
【0144】
超音波サイクルごとに同調ループが一度コールされる。ステップ7214で、有効な運動フィードバック信号が設定周波数にないことが特定されると、システムは、有効なフィードバック信号があるまで単純に待つ。しかしながら、固定された時間間隔が、サイクルタイムアウトタイマーによって特定されたものを越え、有効な運動フィードバック信号が依然としてない場合、サイクル起動リミット「タイムアウト」が、ステップ7216でトリガされて発振器904がオフになる。
【0145】
最初に、ステップ7222で、システムは、高ゲインバッファフィードバック信号が選択されるように高ゲインバッファA−Dチャネルを採用する。このことは、より低い運動フィードバック信号レベルにシステムがロックすることを可能にする。運動フィードバック信号が規定の「THRESHOLD」値に到達したかどうかはステップ7220で判定される。運動フィードバック信号が規定の「THERSHOLD」値に到達した場合、運動フィードバック信号の振幅が、有効な運動フィードバック信号が、CLA912のDFT演算が信頼に足るようにあらゆる障害ノイズから現れたポイントまで増大する。この時点では、ステップ7224で、システムは低ゲインチャネルに切り替わる。しかしながら、システムがこの「THRESHOLD」値を下回る場合、A−Dチャネルは、ステップ7226で示すように高ゲインチャネルに再び切り替わる。この時点で低ゲインチャネルに切り替わる能力を有することによって、有利なことに高解像度のA/D振動子を必要としない。
【0146】
ステップ7228で、運動フィードバック信号が始動閾値を上回った場合、発振器904は、電流振幅が上述のように制御することと並行して、TAGアセンブリ303の共振周波数上に設定された周波数をロックするために周波数調整モードに入る。本発明の例示の実施形態によれば、共振周波数を実現するためのプロセスは、最適な周波数に対してスイープするプロセスではなく、最適な周波数上にロックインするように独自に追跡又は同調するプロセスである。しかしながら、本発明は、周波数スイープモードも採用してよく、それによって、最初の作動又は設定された周波数が、予想された共振周波数の「ボールパークウィンドウ」の低い境界にあるべく選択され、共振周波数に到達するまで着実に増加し、逆もまた同様である。
【0147】
周波数同調モードに入ると、TAGマイクロコントローラ1006の主プロセッサ914は、発振器の運転周波数を制御するためにDFT演算の結果(すなわち、運動フィードバック信号の位相および大きさ)を使用する。同調アルゴリズムは、2つの状態、STARTINGおよびLOCKINGに分割される。ステップ7230のSTARTING位相では、運動フィードバック信号が規定の「STARTUP THRESHOLD」値に到達したどうかを決定する。運動信号が規定の「STARTUP THRESHOLD」に到達した場合、運動フィードバック信号の振幅は、システムがステップ7232で共振に向かってアクティブに動き始めることができるポイントまで到達する。ステップ7230の判定が、運動フィードバック信号が規定の「STARTUP THRESHOLD」値に到達しないものであった場合、プロセスはステップ7234に移行する。ステップ7234で、STARTING段階は、運動フィードバック信号がロッキングを許容するのに十分に大きい点にポイントが到達するまで単に待つ。
【0148】
LOCKING段階7236では、運動フィードバック信号および駆動信号の間の位相オフセットの正弦が、システムを共振に移行させるために出力周波数を調整するために周波数ステップのサイズおよび方向を特定する正弦の差動とともに使用される。位相が当然に正接関数であるにも拘わらず、正接関数が望ましくなく拘束されていない±∞の範囲を有しているのに対して、位相の正弦が値±1だけ拘束されて小さな角度で位相値に密接に近づくので、周波数ステップを特定するために位相の正弦が使用される。
【0149】
ステップ7238では、PIDループは、プラス又はマイナスの方向のいずれかに周波数ステップを計算するために使用される。PIDループは非線形であり、それにより正弦の値はビン番号を決定するために使用される。そのビン番号は、PIDによって使用される同調係数にアクセスするための指標として使用される。指標テーブルは、比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインを包含する。さらに、ビンに入るためのエントリ正弦値は、ビンから出て行くための値と異なる。このことは、ビンの遷移に近い振動を防止するヒステリシスを導入する。
【0150】
前述のように、非線形PIDが、急速周波数ロックを実現するために使用される。以下の表2は、本発明に係る非線形非対称PIDループ又はアルゴリズムの例を示しており、それにより周波数ステップのサイズが、それが目標共振周波数fresに到達するまでずらされる。この例では、PID0からPIDnに至るゲイン定数(「n」は、fresに到達する前の最後の周波数ステップの任意の数である)が非線形漸増によって分離される。ゲイン値は、システムが共振から遠い時には迅速に、かつ、システムが共振に近い又は共振にある時にはゆっくりと共振に向かってシステムを移動させるように選択される。振幅上で望ましくない作用を引き起こすであろう周波数変調を包含することを防止するために共振に近い又は共振にある時にゆっくりステップすることが重要である。始動時、最大周波数ステップサイズの値は、定常状態の動作中よりも大きく、例えば8Hzに設定される。位相が正である場合、運転周波数は、振動子の共振周波数を下回り、増大することが必要であることを示している。位相が負であれば、運転周波数は共振周波数を上回って運転周波数を減少させるべきであることを示している。位相がゼロに近い場合、運転周波数は、振動子902および導波管1502の共振周波数に近い。直接デジタル合成(「DDS」)を利用する数値制御発振器(「NCO」)1008がステップ7240で周波数を変化させるために使用される。
【表2】
【0151】
DDS2200(
図22参照)は、ハードウェアの同調作動に振動周波数を提供する。言い替えれば、主プロセッサ914には、まるで周波数が一定であるかのように見える。ここでは、主プロセッサ914のクロック周波数は振動周波数の倍数である。本発明は、独自で新規な方法でPWM周波数を変化させる。本発明によれば、PWMは主プロセッサ914内で実行される。このため、本発明は、主プロセッサ914の周波数を実際に増大/減少させる。これは以前にはなされなかったことである。A/D振動子908の調整は、A/D振動子908がマイクロコントローラ1006内にあるので、同様に自動的である。本発明の技術は、従来されていたように、歌手が彼/彼女のテンポをメトロノームに調和させるのではなく、歌手のテンポにメトロノームの速度を調和させるために調整する歌手に類似し得る。
【0152】
装置の作動中のいつでも、周波数が、予め設定された最小又は最大周波数限界fminおよびfmaxにそれぞれ到達する場合、発振器904はオフになり、ステップ7242に示すように、障害状態がトリガされる。本発明のための例示の低および高周波数限界はそれぞれ54kHzおよび58kHzである。多くの様々な状態が最小限界又は最大限界に周波数を到達させる、それらの状態には構成要素(例えば導波管1502)の故障、又は、導波管1502が、装置が共振を見つける必要がある電力量を入力することができないような大きな負荷のもとにある状況が含まれる。
【0153】
周波数ロックがひとたび実現されると、定常状態の動作への遷移が始まる。
【0155】
定常状態動作時における目的は、振動子および導波管を共振周波数に維持して、装置の使用中に導波管1502上の負荷の結果として発生する任意のドリフトに応じて振幅を制御することである。振動子902および導波管1502が、それらの複合共振周波数に駆動される際、それらは大量の機械的運動を生成する。バッテリからの電気エネルギーは、この状態では、振動子902を駆動する高電圧AC波形に変換される。この波形の周波数は、導波管1502および振動子902の共振周波数と同一であり、波形の大きさは、機械的運動の適切な量を生成する値であるべきである。
【0157】
共振時、振幅は振動子電流にほぼ比例し、振動子電流は、プッシュ/プル式増幅器1010への入力電流にほぼ比例する。一定の振幅を維持するための一定の電流動作によって、出力変圧は、変化する負荷によって変化する。言い替えれば、電圧は、出力電力要求が増大すれば増大し、その逆もまた同様である。
【0158】
始動プロセスに関して上述のように、
図26には、内側の電流制御ループ2601と、振動子902への駆動波入力の振幅を独自に調整する外側の振幅制御ループ2602と、の2つの制御ループが示されている。電流制御ループ2601は、バッテリアセンブリ301からプッシュ/プル式増幅器1010に入る電流を調整する。振幅制御ループ2602は、振動子および/又は導波管で生じる負荷差又はその他の変化を補償する。この目的を達成するため、振幅制御ループ2602は、上述したDC−DC振動子の出力電圧を変化させるために電流制御ループ2601によって使用される所望の基準電流レベル「Iref」を発生させるために運動フィードバック信号を利用する。2つのループの間の干渉タイプの相互作用を避けるため、電流制御ループ2601は、振幅制御ループ2602よりも高い周波数、例えばおよそ300KHzで作動する。振幅制御ループ2602は一般的に例えば250Hzの周波数で作動する。
【0159】
所望の基準電流レベルIrefを決定するため、現在の振幅値が、振幅パーセント誤差信号を生成するために所望の「目標振幅」から減算される。この振幅パーセント誤差信号は、その特定の時間に振動子902および導波管1502によって経験される作動状態に基づいて新しい所望の基準電流レベル「Iref」を生成するための振幅制御ループ2601のPID制御アルゴリズムへの入力である。言い替えれば、振幅制御ループ2602は、パーセント誤差演算に基づいて所望の振幅に到達させるために電流制御ループ2601のCLA912の目標の又は基準の電流値を変化させる。このようにして、出力電力は、振動子902および導波管1502の可変の要求に基づいて変化させられる。バッテリコントローラ703の主プロセッサ1118は、最大出力電流値よりも大きくないかを保証するために新しい基準電流値を検証する。
【0160】
振幅制御ループ2602によって設定された新しい目標の又は基準の電流値Irefに基づいて、電流制御ループ2601は、プッシュ/プル式増幅器1010に対する出力電圧および入力電流を変化させる処理に進む。バッテリパックの出力の実際の電流レベル2603の測定はバッテリマイクロコントローラ1106のADC1120に供給される(
図11に示す)。CLA1116は、ADC1120からの値をとって、電流誤差信号を生成するために目標の又は基準の電流入力レベルIrefからそれを減算する。上述のように、CLA1116は、2位相バック振動子1114を駆動させるPWMの新しいデューティサイクル値を算出するためにPID制御アルゴリズムを使用する。CLA1116はまた、出力電圧を制限するために最大PWMデューティサイクルを算出する。最大デューティサイクルを算出するためのアルゴリズムは、測定されたバッテリ電圧を使用し、バック振動子1114が連続して誘導モードで作動することを想定する。
【0161】
振幅を安定させるために電流を見ることのみではなく、振幅制御を利用することによって、本発明は、運動フィードバック信号に基づいて振動子の出力を微細に調節することを独自に可能にして、より正確な振幅制御を達成することに留意されたい。電流制御ループの使用は、振幅制御のみによっては可能とはならないであろう急速な最初の応答を可能にする。また、2つのループを有することによって、製造における振動子および発振器の冗長性および個別の較正を提供する。この「振幅較正係数」は、振動子/圧電結晶における電気的変動および機械的変動の決定と、発振器大きさフィードバックシステムの電気要素の変動の調節とにおいて重要である。発振器内において、アナログ/デジタル振動子を通じて、この較正係数を用いてフィードバック電圧を変換することにより、変位に直接関連する大きさ値が得られる。この較正プロセスにおいて、実際のシステム出力変位を測定しつつ、この較正値を調節する。この調節において、所与の振動子と発振器とを組み合わせることで、前記振動子および発振器がシステムとして適切な変位を発生させる。この値のデフォルト値は、調節された値において損失、欠陥または不慮の未プログラムが有った場合に備えて、安全機構として意図的に低く設定される。このようにして、デフォルト変位を目標よりも低くしておくことで、組織性能は低下するが有効な状態となる。このような較正スキームにより、製造が簡略化され、振動子および発振器の制御公差の負担が低下する。さらに、この較正は全てソフトウェアによって行われるため、振動子または発振器のいずれにおいても、物理的部品の調整は全く不要である。実際、2つの制御ループが、ハードウェアの同調動作に振動周波数を提供する振動子への駆動波入力の振幅を調整するために使用される。冗長性は、装置が正確に作動することを保証するために有用である。1つのループの不良動作は、他のループが適切に作動することができずにいずれかのループの不適切な動作が通常は検出可能であるので、通常は検出可能である。不適切な動作はハードウェアの障害によって引き起こされ得る。両ループの適切な動作は電流および振幅の両方の測定を必要とする。異なるハードウェアが振幅および電流を測定するために使用される。一実施形態では、バッテリマイクロコントローラ1106が電流を測定し、TAGマイクロコントローラ1006が振幅を測定する。振動子が高温になると、前記振動子のキャパシタンスおよび結合係数がシフトし、システムの変位が若干低下する。この温度変化は、周波数シフトと対応して発生する。周波数を監視することにより、オフセットを発生させて、頻繁な使用による変位をより緊密に制御することが可能となる。これは、始動時における周波数との比較または絶対周波数の参照により、達成することができる。あるいは、他の測定可能な振動子特性を用いてこのオフセットを制御することも可能である。あるいは、振動子内に注入されたエネルギー量を用いて、変化を推定し、前記変化を相応に調節することも可能である。
【0163】
始動プロセス中に実行される最初の周波数ロックと同様の動作では、発振器904の主プロセッサ914は、定常状態の動作中の共振周波数を維持するために運動フィードバック信号の位相に基づいて発振器904の運転周波数を調整するため、DFT計算の結果を使用する。ブリッジ回路からの運動フィードバック信号は、振動子902および導波管1502の運動に比例するとともに同相である。運動フィードバック信号がプッシュ/プル式スイッチング増幅器1010の出力と同相である場合、システムは連続共振で作動する。また、運動フィードバック信号の位相および大きさは、離散型フーリエ変換(「DFT」)を使用して演算される。DFT演算のための位相基準は、プッシュ/プル式増幅器1010のための駆動信号である。周波数は、そこでプッシュ/プル駆動信号を運動フィードバック信号と同相であるようにするために単純に変更される。
【0164】
DFT計算は、ADCサンプル時間間隔が出力周波数期間の正確な整数倍である場合に単純化されて、より正確になる。この技術は、本明細書では「コヒーレントサンプリング」として言及される。例示の一実施形態では、信号は出力サイクルごとに12倍にサンプリングされ、その結果、CLA912は超音波周波数の12倍に運動フィードバック信号をサンプリングする。コヒーレントサンプリングでは、駆動信号の位相に対して同一の時間のポイントで発生する各々によってサイクル毎に正確に12のサンプルがある。
図9に示すように、ADCサンプルクロックは、TAGマイクロコントローラ1006のシステムクロック916の内部に生成される。従って、コヒーレントサンプリングでは、システムクロック916は出力に同期されることが必要である。出力波形を生成する酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)を駆動するPWM信号は、システムクロック916から内部で生成される。本発明の例示の一実施形態はDDS1008からシステムクロック916を生成する。有利なことに、出力周波数が変化すると、システムクロック916も変化する。
【0165】
MOSFETがオン又はオフにスイッチされた直後にサンプリングしないことが望ましい。これは、システムにある最大量のノイズがある時である。MOSFETがオン又はオフにされた直後のサンプリングを避けるためにサンプル時間をずらすことは、ADCサンプル上のトランジスタスイッチングノイズの影響を最小限に抑える。2つのPWMの出力は、MOSFETの両方が決して同時に起動されないことを保証するために不感帯を採用する。
【0167】
図27は、本発明の別の例示の電気関係の実施形態を示す簡潔な回路ブロック図であり、当該実施形態は、マイクロプロセッサ2702と、クロック2730と、メモリ2726と、電源2704(例えばバッテリ)と、スイッチ2706(例えばMOSFET電源スイッチ)と、駆動回路2708(PLL)と、変圧器2710と、信号平滑化回路2712(整合回路としても言及され、例えばタンク回路であり得る)と、感知回路2714と、振動子902と、および、導波管1502として単純に本明細書で言及されて超音波切断刃1520で終端をなす導波管304と、を有している。
【0168】
高電圧(120VAC)入力電力(すべての従来技術の超音波切断装置の特性)に応じて機能する本発明の1つの特徴は、波形成プロセスを通じた低電圧スイッチングの利用であり、および、変圧段階の直前のみの駆動信号の増幅である。この理由のため、本発明の例示の一実施形態では、電力は、ハンドルアセンブリ302内のいずれかに適合するのに十分に小さいバッテリのみから又はバッテリ群のみから引き出される。最新のバッテリテクノロジーは、高さおよび幅が数センチメートルで奥行き数ミリメートルの強力なバッテリを提供している。すべて組込式の自化動力の超音波装置を提供するために本発明の特徴を組み合わせることによって、カウンタートップボックス202の資本的支出は完全に排除され、その結果、製造コストを顕著に減少させる。
【0169】
バッテリ2704の出力はプロセッサ2702に供給されてプロセッサ2702に電力を供給する。プロセッサ2702は、以下に説明するように、信号を受信して信号を出力し、カスタム論理によって機能し、又は、プロセッサ2702によって実行されるコンピュータプログラムに従って機能する。装置2700はまた、コンピュータ読み取り可能な命令およびデータを格納するメインメモリ2726、好適には、ランダムアクセスメモリ(RAM)を有し得る。
【0170】
バッテリ2704の出力はまた、プロセッサ2702によって制御されるデューティサイクルを有するスイッチ2706に向けられる。スイッチ2706のオンタイムを制御することによって、プロセッサ2702は、振動子2716に最後に引き渡される電力の総量を決定することができる。例示の一実施形態では、スイッチ2706はMOSFETであるが、他のスイッチおよびスイッチング構成が同様に適用可能である。スイッチ2706の出力は、例えば、位相検出PLLおよび/又はローパスフィルタおよび/又は電圧制御発振器を包含する駆動回路2708に供給される。スイッチ2706の出力は、出力信号の電圧および電流(
図27でAD2 VInおよびAD3 IInとしてそれぞれ符号を付けられる)を決定するためにプロセッサ2702によってサンプリングされる。これらの値は、スイッチ2706のパルス幅変調を調節するためにフィードバックアーキテクチャで使用される。例えば、スイッチ2706のデューティサイクルは、スイッチ2706からの所望の実際の出力に応じて、約20%〜約80%で変動し得る。
【0171】
スイッチ2706から信号を受信する駆動回路2708は、スイッチ2706の出力を、例えば55kHzの単一の超音波周波数(
図27でVCOとして言及される)を有する電気信号に変換する発振回路を有している。上述のように、平滑化されたバージョンのこの超音波波形は、導波管1502に沿って共振正弦波を生成するために振動子902に最後に供給される。
【0172】
駆動回路2708の出力部には、低電圧信号を高電圧に上昇させることができる変圧器2710がある。変圧器2710に先立って、すべての上流側スイッチングは、これまで、超音波切断焼灼装置では可能ではなかった低(すなわちバッテリ駆動)電圧で実行されることに留意されたい。このことは、装置が低抵抗MOSFETスイッチング装置を有利に使用する事実に少なくとも部分的に起因する。低抵抗MOSFETスイッチは、従来のMOSFET装置よりも少量のスイッチング損失および熱を生成するとともにより高い電流を通すので、有利である。従って、スイッチング段階(予変圧器)は、低電圧/高電流として特徴付けられ得る。増幅器MOSFET(単数または複数)のオン抵抗を確実に低減するために、前記MOSFET(単数または複数)を例えば10Vで動作させる。このような場合、10VDC電源を別個に用いてMOSFETゲートへ電力供給を行うことで、前記MOSFETを完全にオンにさせることができ、合理的に低いオン抵抗が達成される。本発明の例示の一実施形態では、変圧器2710は、バッテリ電圧を120VRMSまで上昇させる。変圧器は、従来技術で公知であり、および従って、本明細書では詳細に説明しない。
【0173】
説明した
図3〜
図12、
図16〜
図21および
図27に示す回路構成の各々では、回路構成要素の劣化は、全体の回路の性能に悪影響を与え得る。構成要素の性能に直接的に影響を与える1つの要因は熱である。公知の回路は一般に、スイッチング温度(例えばMOSFET温度)をモニタする。しかしながら、MOSFETの設計の技術革新的な進歩のため、および、対応したサイズの減少のため、MOSFET温度はもはや、回路の負荷および温度の有効な指標ではない。この理由のため、例示の実施形態によれば、本発明は、感知回路2714によって変圧器2710の温度を検出する。この温度の検出は、変圧器2710は、装置の使用中にその最高温度で又はその付近で運転されるので有利である。追加の温度は、例えばフェライトのコア材料の故障を引き起こし、恒久的な損傷が発生し得る。本発明は、例えば、変圧器2710の駆動電力を減少させて、ユーザに信号を送信し、電源を完全にオフにし、電力をパルスで修正し、又は、他の適切な応答によって変圧器2710の最高温度に応答することができる。
【0174】
本発明の例示の一実施形態では、プロセッサ2702はエンドエフェクタ118に通信可能に連結されており、エンドエフェクタ118は、導波管114の刃部分116、例えば
図1に示すクランプ機構に物理的に接触する材料を配置するために使用される。エンドエフェクタには、クランプ力の値(公知の範囲内にある)を測定するためにセンサが設けられており、受信したクランプ力の値に基づいてプロセッサ2702は運動電圧VMを変化させる。設定された運動率と組み合わせた高い力値は高い刃の温度を招くので、温度センサ2736は、プロセッサ2702に通信可能に連結されることが可能であり、プロセッサ2702は、温度センサ2736からの刃の電流温度を示す信号を受信して解釈し、かつ、受信した温度に基づいて刃の運動の目標周波数を決定するように作動可能である。
【0175】
本発明の例示の一実施形態によれば、プロセッサ2702に連結されたPLL2708は、導波管の運動の周波数を決定して、プロセッサ2702に周波数を通信することができる。プロセッサ2702は、装置がオフにされる時にメモリ2726にこの周波数の値を格納する。クロック2730を読み出すことによって、プロセッサ2702は、装置がシャットオフされた後の経過時間を決定し、経過時間が既定の値未満である場合に導波管の運動の最後の周波数を回復させる。装置は、最後の周波数でその後始動し、その周波数はおそらく、電流負荷のために最適な周波数である。
【0176】
XI.バッテリアセンブリの機械的構造
【0177】
図28は、ハンドルアセンブリ302から分離したバッテリアセンブリ301を示している。バッテリアセンブリ301は、
図28に示す例示の実施形態では、第1半部分2802aおよび第2半部分2802bを有する外側シェル2802を有している。しかしながら、シェル2802は2つの同一の半部分を備える必要はない。本発明の一実施形態によれば、外側シェル2802が2つの半部分で提供される場合。第1半部分2802aは、クラムシェル構成で第2半部分2802bに超音波で溶接されることが可能である。シェル2802の2つの半部分を超音波で溶接することは、シェル2802内の構成要素と外部との間に「密閉」シールを提供する一方で、ガスケットを必要としない。本明細書で使用される場合、「密閉」シールは、汚染物質がシールの一方の側からシールの他方の側に運ばれないように、装置が導入される手術環境の滅菌フィールドから、区画(例えばシェル2802の内側)およびそこに配置された構成要素を十分に隔離するシールを示している。このシールは、少なくとも気密の、それによって、空気、水、蒸気相の過酸化水素の侵入を防止する。初回の組み立て時において、水分を含む室内の空気を全て筺体中に捕獲する。これは、電子機器筺体内において望まれる水分量よりも多くの水分が含まれることが多い。そのため、筺体内に乾燥システムを設けることで、2つの目的が達成される。すなわち、第1の主要な目的は、当該装置の寿命中に侵入し得る水分を吸収することである。前記乾燥システムのサイズを適切に設定した場合、前記乾燥システムは、組み立て時に捕獲された水分全てを吸収することができる。よって、乾燥システムを用いることにより、組み立てが簡易化され、いかなる特殊な環境下においても筺体を閉鎖する必要性が無くなる。
【0178】
図28は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804をも示しており、アセンブリ2804は、バッテリアセンブリ301内の構成要素をハンドルアセンブリ302の電気インターフェースに電気的に連結するインターフェースである。ハンドルアセンブリ302を通じて、バッテリアセンブリ301は、本発明のTAGアセンブリ303に電気的に結合することができる。上述のように、バッテリアセンブリ301は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804を通じて、本発明の超音波手術用焼灼アセンブリ300、ならびに本明細書で説明する他の機能に電力を供給する。マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804は、複数の接点パッド2806a〜nを有しており、各々は、ハンドルアセンブリ302のドッキングベイ(
図34参照)によって提供される他の端子にバッテリアセンブリ301内の端子を別々に電気的に接続することができる。複数の接点パッド2806a〜nに結合されるそうした電気的接続の一例は、電力および通信信号経路601a〜nとして
図6に示されている。マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の例示の実施形態では、16個の異なる接点パッド2806a〜nが示されている。この数は単に例示である。例示的実施形態において、バッテリ端子アセンブリ2804の内側において、成形端子ホルダ上に受け穴が形成されており、この受け穴中に埋め込み用材料を充填することで、気密シールを形成することができる。接点パッド2806a〜2806nは、蓋部上に一体成形され、埋め込み受け穴を通じてバッテリ301内へと延びる。ここで、フレックス回路を用いてピンアレイを再構成することができ、回路基板への電気接続を提供することができる。
図30に示す例示的実施形態において、例えば4x4アレイを2x8アレイに変換する。
【0179】
図29は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の下側の図である。この図では、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の複数の接点パッド2806a〜nが、対応の複数の内側接点ピン2906a〜nを有していることが分かる。各接点ピン2906は、接点パッド2806の対応の1つに結合される直接電気結合を提供する。
図28および
図32は、バッテリケーシング内の2つの半球型凹部2810を示す。これらの2つの半球型凹部2810がフックフィーチャ3302と組み合わせられると、概して長手方向の空洞を用いてバッテリ301を充電器内に保持することが可能となる。このような幾何学的フィーチャは作製するのが容易であり、洗浄するのも容易であり、このような幾何学的フィーチャにより、バッテリ301をハンドル302から接続切断する際に通常用いられる解放機構が不要な様態で、バッテリ301を充電器内に捕獲するための簡単な様態が得られる。
【0180】
図28〜
図33に示す特定の実施形態では、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804は、シェル2802のクラムシェル半部分2802aおよび2802bの間に埋め込まれている。より具体的には、
図29は、バッテリアセンブリ301の第1シェル半部分2802aの上側部分の内側に配置されたマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の図を示している。図に示すように、第1シェル半部分2802aの上側部分は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の外周縁2904を受け入れる口部2902を形成する。
【0181】
図30は、第1シェル半部分2802aの口部2902内にマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804が挿入された状態の第1シェル半部分2802aの内側と、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の接点ピン2906に結合された複数の接点パッド3006を有する第1回路基板3002とのさらなる図である。このような実施形態において、接点ピン2906はそれぞれ、回路基板3002の各接点パッド3006へ半田付けされる。本発明の例示の実施形態によれば、
図31に示すように、バッテリアセンブリ301は、第1回路基板3002に加えてさらに回路基板3102および3104を有している。
【0182】
本発明の例示の一実施形態によれば、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804は、接点パッド2806a〜nの図示の4×4配列を、1以上の回路基板3002、3102、3104に結合される導電体の2つの1×8配列に変化させるフレックス回路を備えている。
【0183】
別の例示的実施形態において、フレックスコネクタを用いて1つ以上の回路基板3002、3102および3104へ半田付けおよび接続する代わりに、カード縁部コネクタ10701により、基板とマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804との間の接続を
図107に示すように得ることが可能である。
図107は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の外面の傾斜曲率の下側のバッテリアセンブリ301のシェル半部分の断面図である。この例示的実施形態において、マルチリード端子アセンブリ2804の傾斜角度は、
図4に示すものよりも大きい。例示目的のため、複数の内部接点ピン2906a〜2906nのうち1つのみを示す。接点ピン2906の一端は、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の本体内に埋め込まれる。接点ピン2906の他端は、「S」字形状の曲線状に形成され、これにより、前記接点ピンに対して一定の可撓性が付与され、内部溝部またはチャンネル10702が接点ピンとマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の本体との間に形成される。接点ピン2906の「S」字形状部の本来の可撓性により、1つ以上の回路基板3002、3102および3104のうち任意のいずれかを前記内部溝部またはチャンネル10702内に容易に挿入することが可能になり、これにより、接点ピン2906と回路基板3002、3102および3104の1つ以上のトレースとの間の直接的電気接続が確立される。この直接的接続を維持するために、カード縁部コネクタ10704により回路基板を所定位置に固定し、これにより、接点ピン2906を回路基板へと半田付けする必要が全く無くなる。その結果、カード縁部コネクタ10704の機能が、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の下側と一体化される。よって、問題解決のために基板を取り外すのがより容易になり、半田付け部が無いため、製造も簡単になる。
【0184】
さらに、3つの回路基板以上又は未満が拡張機能又は限定機能を提供することが可能である。
図31に示すように、複数の回路基板3002、3012および3104をスタック型アーキテクチャの様態で配置することができ、これにより、複数の利点が得られる。例えば、レイアウトサイズが小さくなるため、バッテリアセンブリ301内における回路基板の設置面積が低減し、その結果、より小型のバッテリが可能となる。加えて、この構成においては、電力基板をデジタル基板から隔離することが容易となるため、電力基板からのノイズに起因するデジタル基板への悪影響が回避される。また、スタック型構成により、基板間のフィーチャの直接的接続が可能となり、これにより、ワイヤの存在が低減する。さらに、回路基板を単一の剛性/フレックス/剛性回路の一部として構成することが可能となるため、剛性部分を「扇状に」より小さな体積内に配置することが可能となる。本発明の例示の実施形態によれば、各回路基板3002、3102および3104は特定の機能を提供する。例えば、回路基板3002は、
図7に示すバッテリ保護回路702を実行する構成要素を提供することができる。同様に、回路基板3102は、
図7に示すようにバッテリコントローラ703を実行する構成要素を提供することができる。回路基板3104は、例えば、高電力バックコントローラ構成要素を提供することができる。最後に、バッテリ保護回路702は、
図7および
図31に示す電池701a〜nを結合する接続経路を提供する。回路基板をスタック型構成において配置し、前記基板を各機能毎に分離することにより、前記基板を個々の基板のノイズおよび発熱に最良に対応するための特定の順序で戦略的に配置することが可能となる。例えば、高電力バックコントローラ要素を有する回路基板の場合、ほとんどの熱が前記基板から発生する。よって、このような回路基板をその他の基板から隔離し、スタック中央部に配置することができる。このようにすることで、前記装置の外面から熱を隔離して、前記装置の医師または操作者が熱を感じないようにすることができる。加えて、バッテリ基板接地をスタートポロジー状に構成することで、中心をバックコントローラ基板に配置して、接地ループから発生するノイズを低減することが可能となる。
【0185】
これらの戦略的にスタックされた回路基板と、回路基板からマルチリードバッテリ端子アセンブリへの低熱伝導率経路と、フレックス回路3516とは全て、前記装置の外面への熱到達の回避を支援するフィーチャである。電池およびバック要素は、ハンドル302内のフレックス回路3516(すなわち、前記装置の使い捨て部分)へ熱接続され、これにより、前記電池およびバック要素から発生した熱は、医師の手から遠位方向に進む。フレックス回路3516は、露出面積が大きくまた銅の伝導特性も高いため、比較的高い熱質量を示す。フレックス回路3516は、より広い面積上の熱を再方向付け、吸収および/または拡散させ、これにより、熱の集中が遅延され、装置外面上の高温部分が制限される。他の技術も実行可能である(例を非限定的に挙げると、より大型の熱ウエル、シンクまたは断熱材、金属コネクタキャップおよび装置のフレックス回路またはハンドル302内の銅の重量増加)。
【0186】
着脱可能なバッテリアセンブリ301の別の利点は、リチウムイオン(Li)バッテリが使用された時に達成される。前述のように、リチウムバッテリは、複数の電池の並列構成で充電されるべきではない。このことは、電圧が特定のセルで増大すると、特定のセルは、他の低電圧電池よりも速く追加の充電を受け入れ始めるからである。従って、各電池は、その電池への充電が個別に制御され得るようにモニタされなければならない。リチウムバッテリが一群の電池701a〜nから形成される場合、装置の外側から電池701a〜nに延びる多数のワイヤ(第1のワイヤの範囲を超えて各電池のために少なくとも1つの追加のワイヤ)が必要とされる。着脱可能なバッテリアセンブリ301を有することによって、各電池701a〜nは、例示の一実施形態では、露出した一連のセットを有し得るし、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302の内側にない場合、各一連の接点は、外部の非滅菌のバッテリ充電装置の対応した一連の接点に結合され得る。別の例示の実施形態では、各電池701a〜nは、バッテリ保護回路702が各電池701a〜nの充電を制御して調整することができるようにバッテリ保護回路702に電気的に接続され得る。本発明のバッテリアセンブリ301には、バッテリアセンブリ301が予測寿命を越えて使用されるのを回避するための回路が設けられる。このような寿命期間は、電池のみによって決まるのではなく、外面によっても決まる(例えば、バッテリケーシングまたはシェルおよび上側接点アセンブリ)。このような回路について、例えば、使用回数、リチャージ回数、および製造カウントからの絶対時間について、以下にさらに詳細に説明する。
【0187】
ここで
図33を参照すると、本発明の少なくとも1つの追加の新規な特徴が明確に示されている。
図33に示すバッテリアセンブリ301は完全に組み立てられたバッテリアセンブリ301であり、2つの半部分2802aおよび2802b、ならびに埋め込まれたマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804が、外部とバッテリアセンブリ301の内部との間の密閉シールを提供するように例えば超音波で溶接されている。密閉材料(例えば、光硬化接着剤またはエポキシ)を自動配分が可能なように、端子アセンブリ2804とシェル半分部2802aおよび2802bとの間の空間は十分に広くなっている。前の複数の図に示されているが、
図33は本発明のキャッチ3300を示しており、キャッチ3300は、キャッチ3300の真下にほぼ縦方向のボイド3302によって形作られるシェル2802の延在部分によって形成されており、両方がシェル2802の外側の上側部分に配置されている。キャッチ3300は、
図34に示すハンドルアセンブリ302の下側バッテリドック3401内のレシーバ3400に噛み合うように形作られている。
【0188】
図35は、ハンドルアセンブリ302の下側を示しており、レシーバ3400およびバッテリドック3401の改善された図を提供している。
図35から分かるように、レシーバ3400は、(ハンドルシェル3500によって形成される)バッテリドック3401から延びており、バッテリアセンブリ301のボイド3302に噛み合う、すなわち、嵌合するように形作られている。さらに、レシーバ3400は、複数のハンドル接点ピン3504a〜nを有するマルチリードハンドル端子アセンブリ3502に近接している。
図35に示す例示の実施形態では、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502の各ハンドル接点ピンは、ばねタイプの接点ピンであり、圧縮されることが可能である一方で、圧縮力とは反対方向に所定量の力を発揮して、それによって、ハンドル接点ピン3504a〜nと力を作用させる物体との間のプラスの電気的接続を維持する。さらに、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502のハンドル接続ピン3504a〜nは、ハンドル接続ピン3504a〜nの各々が、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の接点パッド2806a〜nのそれぞれ1つに物理的に整列されるように、間隔を空けられている。
【0189】
本発明のハンドルアセンブリ302に本発明のバッテリアセンブリ301を連結するため、キャッチ3300は、
図36に示すように、レシーバ3400に接触し、バッテリアセンブリ301が、
図36から
図37に経過を示すように、ハンドルアセンブリ302に対して回転させられる。この明細書の図面に示す例示の実施形態に限定されないが、
図33〜
図35に示すキャッチ3300およびレシーバ3400の物理的形状(特に、
図33に示す丸い角3305)によれば、バッテリアセンブリ301は、キャッチ3300およびレシーバ3400が相互に物理的に接触する限り、バッテリアセンブリ301がレシーバ3400に接近していく角度に拘わらず、実質的にハンドルアセンブリ302に自身を整列させる。
図36に示す位置と
図37に示す位置との間のバッテリアセンブリ301の任意の回転によって、キャッチ3300又はむしろボイド3302がレシーバ3400上に自動的に着座する。このことは、滅菌野のユーザが、ハンドルアセンブリ302にバッテリアセンブリ301を容易に接続することができ、特に、接続の作業中に2つの部品を実際に見ずに接続することができる。
【0190】
本発明の例示の一実施形態では、
図35に示すように、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502は、ハンドル接続ピン3504a〜nを取り囲んで、ハンドル接続ピン3504a〜nを支持するフレックス回路基板3514にシールされるガスケット3512を有している。例示の一実施形態では、ガスケット3512は、フレックス回路基板3514、フレックス回路またはハーネス3516(TAGアセンブリ303へと接続される)と、ハンドル接続ピン3504a〜3504nとを含む剛性−フレックス回路の一部である。フレックス回路基板3514の一部は、可撓ハーネス3516の残余部に比べて相対的に固く又はより硬く作られ得る。ガスケット3512が、ハンドルアセンブリ302に対するバッテリアセンブリ301の接続中に圧縮される場合、ガスケット3512に隣接するフレックス回路基板3514の剛性部分がガスケット3512を支持し、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に連結される時に大きな移動を伴わずにガスケット3512が圧縮されることを可能にする。マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804およびマルチリードハンドル端子アセンブリ3502が併せて配置されると、
図59および
図60に示すように、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の外周3312と、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502のガスケット3512との間にシールが存在する。シールは、ガスケット3512の内部に湿気が浸透することを防止し、すなわち、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502のハンドル接続ピン3504a〜n又はマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の接点パッド2806a〜nに湿気が到達することを防止する。このような密閉方法の場合、接点ピンのうち補強材を通じて延びる部分のみをガスケットと反対側において絶縁するだけでよい。このような密閉方法は、以下にさらに詳細に説明するようにTAGコネクタ5010上およびハンドル302上においても用いられる。このような構成により、可能な開口部全てを密閉しなくてもよい装置の製造が可能となり、これにより、コストおよび複雑性が低減する。
【0191】
本発明の例示的実施形態によれば、フレックス回路基板3514は、2つの銅トレース層によって構成される。これらの層は、ポリイミドによって分離および絶縁される。上述のように、フレックス回路基板3514の部分は、比較的より硬質に構成することができる。例えば、フレックス回路基板3514の特定の部分内に、フレックス回路基板3514に接着された補強材(例えば、FR−4補強材)を設けることができる。フレックス回路基板3514の部分に前記補強材を設けることで、使い捨てハンドルアセンブリ302内の要素を剛性保持するための機械的方法が可能となる。
【0192】
本発明の別の例示的実施形態によれば、ハンドルアセンブリ302の2つの本体半分部4503および4603の間において、狭い公差下において、ハンドルアセンブリ302間に剛性部が保持される。フレックス回路基板3514が水平方向に補強材10902を有し、フレックス回路基板3514が
図108に示すように垂直方向に遷移する箇所において、フレックス回路基板3514が(漸次的に遷移できない場合)損傷を受け得る。フレックス回路基板3514の剛性部(例えば、10902)は、本体材料中のスロットまたはトラック10804に設けるかまたはその内部に設けることが望まれる。よって、前記剛性部を全ての側部上にしっかりと保持するために、フレックス回路基板3514の部分10806を、剛性部10902から剥離した後にフレックス回路基板3514の端部に到達するように、設計する。この領域内には、接着材は配置されない。本発明の例示的実施形態によれば、フレックス回路基板3514のこのバッテリ側上(すなわち、バッテリ接点ピン2906a〜2906nが突出する補強基板)において、カスタムコネクタが設けられる。このカスタムコネクタは、例えば、FR−4材料または成型プラスチックによって構成される。これを例えば
図60中に示す。前記成型プラスチックは、インサート成形金属接点を含んでもよいし、あるいは、前記接点を成型後に挿入した後、密閉目的のために埋め込んでもよい。その後、前記FR−4または成型プラスチックを接着材によりフレックス回路基板3514へと接着する。成型構成において、前記コネクタは、数行内に配置された剛性材料を有するように構成することができる。これらの剛性材料は、前記接点間またはさらにはグリッド材料間において隆起させることができ、これにより前記接点を機械的損傷から保護する。
【0193】
図56に示して以下に詳細に説明するように、ハンドルアセンブリ302の剛性−フレックス回路は、ハンドルアセンブリのTAG電気コネクタ5602にハンドル接続ピン3504a〜nを電気的に結合する。
【0194】
図35をふたたび手短にに参照すると、ハンドルアセンブリ302のハンドル本体3500は延在バッテリ固定部分3506を備えている。延在バッテリ固定部分3506は、レシーバ3400とは反対側のマルチリードハンドル端子アセンブリ3502の側にある。
図35に示すハンドル固定部分の特定の例示の実施形態は、バッテリハンドル固定プロセスを終了させる必要がない1対のボイド3508および3510を有していることに留意されたい。ここで
図38を参照すると、バッテリアセンブリ301の追加の特徴が示されている。この図では、1対のボス3802、3804が、バッテリアセンブリシェル2802の外側にあることを見ることができる。ボス3802、3804は、間隔を空けられて、ハンドル本体3500の延在バッテリ固定部分3506のボイド3508、3510と噛み合うように位置決めされる。この噛み合い位置は
図37に示されている。
図38をさらに参照すると、ボス3802、3804の各々は、傾斜上側部分3816と、対向する鋭利な縁の底部分3818と、を備えていることが分かる。傾斜上側部分3816は、ボス3802、3804が、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に固定される時にハンドルアセンブリ302の延在バッテリ固定部分3506のボイド3508、3510に容易に滑り込むことを可能にする。鋭利な縁の底部分3818は、固定して、ボス3802、3804がハンドルアセンブリ302の延在バッテリ固定部分3506内に着座したままであることを可能にする。
【0195】
バッテリアセンブリ301の一方の側でのキャッチ3300およびレシーバ3400の間の噛み合いと、バッテリアセンブリ301の他方の側でのボス3802、3804およびボイド3508、3510のそれぞれの噛み合いとの組み合わせによって、ハンドルアセンブリ302に対するバッテリアセンブリ301の堅いしっかりとした取り付けが提供される(
図3および
図37参照)。例示の実施形態では、2つのボス3802、3804は、実際には相互に離されて間隔を空けられている。この間隔は、バッテリアセンブリ301とハンドルアセンブリ302との間の取り付けの強度および安定性を向上させる。使い捨て部およびバッテリを面3520および3305においてそれぞれ重複させる(
図35および
図33に示す)ことにより、この安定性がさらに向上する。
【0196】
図38はまた、バッテリアセンブリシェル2802の外側に連結される離脱機構3806を示している。離脱機構3806は、ボス3802、3804のようにバッテリアセンブリシェル2802の同じ外側内に形成される対応の1対の溝3810、3812によって固定されて溝3810、3812内にスライドする周縁3808を備えている。離脱機構3806と、バッテリケーシング2802aおよび2802bとの間が緩く締結されており、これにより、滅菌前の洗浄のために、噛み合い部分間に水が流入できるようになっている。離脱機構3806の洗浄可能性を支援するために、穴部を付加することができる。例示的実施形態において、2つの楕円孔が設けられる。さらに、離脱機構3806の全縁部を曲線状にすることで、接触表面積を制限する。離脱機構3806のうちバッテリケーシングに対向する面の中央は凹状に切断され、これにより、さらに噛み合い表面積を低減する。離脱機構3806は、ボス3802、3804に対して前後移動するように作動可能な傾斜ノーズ領域3814を有しており、特に、
図38の実施形態では、離脱機構3806が上へ向かう方向にスライドさせられた時、ボス3802、3804の間に延びる。このノーズ3814はまた、バッテリアセンブリ301の接続時においてバッテリラッチを強制的に下降させ、様態から取り外す。離脱機構3806は、潤滑性を持ちかつ強靱な材料で構成される。このような材料は、低摩擦を可能にし、かつ、バッテリアセンブリ301(すなわち、装置の再利用可能部分)の長時間の使用に耐える。例えば、黒鉛および/または炭素繊維補強PTFEなどの材料が適している。
【0197】
バッテリアセンブリ301は、
図37に示すように、ハンドルアセンブリ302に固定して連結されている場合、離脱機構3806は、ハンドルアセンブリ302から最も遠い溝3810、3812内の位置に残る。ユーザがハンドルアセンブリ302からバッテリアセンブリ301を取り外したい時、離脱機構3806は、ハンドルアセンブリ302に向かう方向に溝3810、3812内をスライドさせられる。このスライド動作は、バッテリアセンブリ301と延在バッテリ固定部分3506の最下位置との間の領域に傾斜ノーズ領域3814を進入させる。傾斜ノーズ領域3814が前進すると、延在バッテリ固定部分3506は、傾斜ノーズ領域3814を上がっていき、バッテリアセンブリ301から離れて曲がる。別様に説明すると、延在バッテリ固定部分3506は、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502およびレシーバ3400から離れて曲がる。顎部が閉鎖した状態においてバッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302から不慮に解放されるリスクを無くすために、バッテリ離脱機構3806を被覆または保護するようにトリガ4606を構成する。よって、トリガ4606を完全に押圧された状態にしておくことで、バッテリ離脱機構3806は完全に被覆され、これにより、ユーザが離脱機構3806を作動させてバッテリアセンブリ301を解放することが無くなる。
【0198】
延在バッテリ固定部3506が所定の度合いにわたって曲がると、ボス3802および3804の底縁3802a〜3802bはボイド3508および3510ともはや係合しておらず、バッテリアセンブリ301は、
図37に示す方向から
図36に示す方向に容易に回転させられ、最後に、ハンドルアセンブリ302から分離される。離脱機構3806は、もちろん、ハンドルアセンブリ302にバッテリアセンブリ301を固定するとともにハンドルアセンブリ302からバッテリアセンブリ301を離脱する機構のほんの一例である。離脱機構3806は、予期しない取り外しがめったに起きないという点で有利である。バッテリアセンブリ301を離脱するため、操作者は、ハンドルに向かって離脱機構3806を動かすと同時に、ハンドルアセンブリ302から離れるようにバッテリアセンブリ301を回転させる必要がある。これら2つの反対方向の力/作用は、それらが意図的に実行されなければ、同時に発生することはめったに起きない。これらの異なる力の適用はまた、手術中に使用位置と異なる位置にユーザの手があることを必要とする。そうした構成は、バッテリアセンブリ301およびハンドルアセンブリ302の不測の分離が発生しないことを実質的に保証する。
【0199】
本発明はまた、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502およびマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の間に電気接続が形成される方法において従来技術の装置を超える顕著な利点を提供する。より具体的には、
図33を再び参照すると、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の例示の実施形態では、16個の接点パッド2806があることを見ることができ、接点パッド2806a〜dは第1列3304を形成し、接点パッド2806e〜hは第2列3306を形成し、接点パッド2806i〜lは第3列3308を形成し、および、接点パッド2806m〜pは第4列3310を形成する。
【0200】
同様に、
図34および
図35に示すように、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502は、複数のハンドル接続ピン3504a〜n(16個のピン3504a〜nのうちの12個のみが
図35の図に示されている)を有している。ハンドル接点ピンは、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に連結された時に各ハンドル接続ピン3504a〜nが接点パッド2806の個々の1つと整列されるように形成される。従って、ハンドル接続ピン3504a〜nはまた、図に示す特定の実施形態では、4つの列3404、3406、3408および3410に配置されている。
【0201】
バッテリアセンブリ301はハンドルアセンブリ302に取り付けられた時、キャッチ3300はレシーバ3400に最初に接触して配置され、バッテリアセンブリ301はその後、ボス3802、3804がそれぞれ延在バッテリ固定部3506のボイド3508、3510に係合するまで延在バッテリ固定部3506に向かって回転させられる。回転の1つの顕著な結果は、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502およびマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804の間の物理的/電気的接続が、バッテリ列3304およびハンドル列3404で始まって一度に一列、連続的に発生することである。
【0202】
本発明の例示の実施形態によれば、最初のバッテリ列3304はアースの接点パッドを有しており、最後のバッテリ列3310は少なくとも1つの電力接点パッドを有している。従って、マルチリードバッテリ端子アセンブリ2804およびマルチリードハンドル端子アセンブリ3502の間の最初の接触はアース接続であり、最後の接触は電力接続である。バッテリアセンブリ301の設置は、バッテリアセンブリ301のアース接点が、電力接続がなされた時にマルチリードハンドル端子アセンブリ3502の最後の列3410から離れた距離にあるので、スパークを引き起こさない。バッテリアセンブリ301が取り付け位置(
図37に示す)まで回転すると、各バッテリ列3304、3306、3308および3310は、各ハンドル列3404、3406、3408、3410にそれぞれ連続して接触するが、電力接点は、列が少なくとも1つのアース接点が接続された後にのみに接続される。言い替えれば、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に設置されると、バッテリアセンブリ301は、ハンドルアセンブリ302の任意の部分に任意の電力接点が接触する前に好都合にアースされ、従来技術の電源連結に対して顕著な利点がある。すべての公知の装置では、電力を供給する接点(例えば電気の本線)は、他の連結部に同時に連結され、又は、電気プラグの接近方向に応じてランダムに連結される。この従来技術の連結部は、スパーク又はアークを永続的な可能性として残している。しかしながら、本発明によれば、従来技術にあるスパーク又はアークの可能性を完全に排除する。
【0203】
さらに、本発明の例示の一実施形態によれば、ハンドル接続ピン3504a〜nの第1列3404、第2列3406、第3列3408および最後の列3410のうちの任意の1以上のピンがバッテリ存在感知回路3104に連結される。特に、最後の列3410の接点のうちの1つが存在パッドとして使用される。バッテリ存在検出回路3104は、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502のアースピンおよび存在ピンがマルチリードバッテリ端子アセンブリ2804に適切に接続されたことを検出した後、超音波手術用アセンブリ300の作動を許可する。バッテリ存在検出パッドが、最後の列にのみある、すなわち、レシーバ3400から最も遠い位置にある実施形態では、ハンドルアセンブリ302は、バッテリアセンブリ301が完全に固定して設置されるまで、すなわち、すべての接点が適切に接続されるまで、状態を変化/変更しない。この有利な特徴はアセンブリ全体の不適切な作動を防止する。同様に、バッテリアセンブリ301の接続を解除する時、最後の列3410は、ハンドル接続ピン3504a〜nとの接続を解除する最初の列である。従って、装置は、ハンドルアセンブリ302からのバッテリアセンブリ301の欠如にすぐさま応答する。
【0204】
例示の実施形態では、バッテリ保護回路702すなわち燃料ゲージは、存在パッドをモニタして、TAGアセンブリ303内でマイクロプロセッサ1006に電力を供給する前にアースに存在パッドが接続されるのを待つ。これをするため、もちろん、TAGアセンブリ303はハンドルアセンブリ302にも連結されなければならない。より具体的には、TAGアセンブリ303は、ハンドルアセンブリのTAG電気コネクタ5602に電気的に結合されなければならない。TAGアセンブリ303がハンドルアセンブリのTAG電気コネクタ5602に連結されて(例えば
図36および
図37参照)、バッテリアセンブリ301がマルチリードハンドル端子アセンブリ3502に適切に連結されると(例えば
図37に示す構成を参照)、バッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ302の間の通信が発生する。そうした通信が確立された後、装置は使用の準備が整い、バッテリコントローラ703は、例えば、ハンドルアセンブリ302内のブザー802で表示トーンを発生させることによって、および/又は、LED906で視覚インジケータを生成することによって、ユーザに「使用準備完了」状態の信号を送信することができる。
【0205】
この通信を確立するための例示の一実施形態では、バッテリ保護回路702は、存在パッドに低電圧信号を周期的にパルスで送ることによって、バッテリアセンブリ301およびハンドルアセンブリ302の間の適切な接続の存在を検出する。バッテリ保護回路702は、アースへの接続のために存在パッドをモニタし、アースは、バッテリアセンブリ301が適切にハンドルアセンブリ302に接続されるとハンドルアセンブリ302によって提供される。しかしながら、バッテリアセンブリ301は体液にさらされたり、例えば洗浄中に水などの溶液中に浸水させられ得るので、アース状態が、存在パッドをアースに電気的に結合する溶液に起因するのみの場合、バッテリアセンブリ301がまるでハンドルアセンブリ301に適切に接続されたように、障害アース状態を検出しないことが好都合である。より詳細には、前記装置が殺菌および洗浄されている間、前記接点は、有限抵抗を有する電解質にさらされる。保護回路が設けられていない場合、前記回路がバッテリパックをオンにすることで、前記電解質の存在下において前記基板が起動される。高電流が、電圧エネーブルピン間からバッテリ接地へと流れ得る。この電流流れにより、金属イオンの運動が確立され、その結果、前記接点において孔食または電気的堆積が発生する。このような孔食または電気的堆積があると、電解質への短時間露出は前記接点の高腐食の原因となり、前記接点が使用不能となるため、望ましくない。別の望ましくない状況がバッテリ取り付け時に存在する。すなわち、適切なバッテリハンドル接点閉鎖が達成されると、マイクロコントローラによって感知される導電性ラインの抵抗は極めて低くなる。しかし、流体が存在する場合、より高抵抗が存在する。前記マイクロコントローラの感度は、このような高抵抗に起因して前記装置が起動するくらいの高感度である。
【0206】
この理由のため、本発明の実施形態は、存在パッドとアース(すなわち
図9に示すTAGアセンブリのGND線)との間のインピーダンスをモニタする比較器を提供する。比較器は、インピーダンスが閾値インピーダンス未満である場合、すなわち、溶液のインピーダンス未満である場合のみにバッテリアセンブリ301が作動するように、存在パッドおよびアースの間の連結のインピーダンスと基準インピーダンスとを比較する。より詳細には、比較器回路は、基準電圧と、バッテリ存在接点がショート/接地または上記した有限抵抗の電解質のいずれかに晒された場合に発生する電圧とを比較する。前記発生した電圧が前記基準電圧と整合するような抵抗であった場合、バッテリがオンにされる。バッテリハンドル接触時に存在する流体に起因してバッテリパックがオンにならないように、前記基準電圧を調節する。ノイズおよびこの回路の高感受性に起因する不慮のオンを回避するために、前記比較器回路を高ヒステリシスと共に構成する。
【0207】
マルチリードハンドル端末アセンブリ3502の図示の設計は従来技術に対してさらなる利点を提供する。特に、
図39の拡大部分斜視図に示す本発明のハンドル接続ピン3504a〜nは、マルチリードハンドル端末アセンブリ3502のハンドル接続ピン3504a〜nがマルチリードバッテリ端末アセンブリ2804の接点パッド2806a〜nに触れる接触領域から任意の異質の物質を除去することを保証する横方向の変位に加えて、物理的な接続を提供する。具体的には、
図39は、その静止して非接触状態の第1ハンドル接続ピン3504aを示している。すなわち、ハンドル接続ピン3504aは、
図39に示す本来の静止した形状に位置して保持するばね力を有している。しかしながら、マルチリードバッテリ端末アセンブリ2804がマルチリードハンドル端末アセンブリ3502に完全に噛み合った時、ハンドル接続ピン3504a〜nは圧縮する。この圧縮状態が、例えば、
図39のハンドル接続ピン3504bおよび3504fによって示されている。
【0208】
接点パッド2806によってハンドル接続ピン3504a〜n上に作用する圧縮力は、電気接続を保持するために正圧を提供するのみならず、各ハンドル接続ピン3504a〜nの接続面をピン3504の縦方向の大きさに対して距離Dにわたって移動させる。この距離Dは、第1ハンドル接続ピン3504eの接続面の頂部が、ピン3504eがその非圧縮状態にある時に存在するように示す第1垂直線3901によって
図39に示されている。第2垂直線3902は、隣接する第2ハンドル接続ピン3504fの接続面の頂部が、ピン3504fが圧縮された時にあるように示している。2つの線の間の距離は、圧縮された時に各ピン3504a〜nの接続面が並進する縦方向距離Dを規定している。この移動は、
図40の切断斜視図に示すように、ハンドル接続ピン3504a〜nとそれぞれの接点パッド2806とが最初に接触して、バッテリアセンブリ301がレシーバ3400および延在バッテリ固定部分3506の間に完全に着座するまで接触し続ける時に開始される。ハンドル接続ピン3504a〜nの並進移動は、接点パッド2806を効率的にきれいに拭うたたく動きを生成し、従って、その間の電気接続を向上させる。このたたく効果は、例えば、バッテリが手術環境において交換される必要がある場合、かつ、例えば血液などの汚染物質が、接点パッド2806に接触した場合、又は、パッドが繰り返しの使用から若しくは洗浄剤に曝されることによって腐食した場合、非常に有利であることを証明することができる。
【0209】
図35は、本発明のさらに別の有利な特徴を示している。
図35から分かるように、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502において、フランジ側3520により、ハンドルアセンブリ302のハンドル接続ピン3504a〜nが左側および右側から保護される。なぜならば、フランジ側3520は、ピン3504a〜nの面から遠位方向に延びるからである。レシーバ3400もピン3504a〜nの面から遠位方向に延び、これにより前記ピンを後部から保護する。最後に、バッテリ固定部3506は、ピン3504a〜nの面から遠位方向において大きく延び、これにより、前記ピンを前部から保護する。バッテリパック301およびハンドル302は人間工学的形状をしているため、ユーザは、
図36および
図37に明示するようにバッテリパック301がハンドル302の特定の面に取り付けられるように構成されていることが分かる。そのため、下側バッテリドック3401のこれら4つの伸長側のサイズを、ユーザがバッテリ301をドック3401に挿入しようとした際にピン3504a〜nに損傷が発生しないようなサイズにする。これをより詳細に示すと、2つの面が規定され、そのうち1つはバッテリ301用であり、他方はハンドル302用である。これらの面は、
図3を含むページに対して平行であり、バッテリ301がハンドル302中に取り付けられた際に同一平面上に来る。ハンドル302に関連する面を遠位/近位中央ハンドル面と呼び、
図3のページとのようにハンドルを垂直方向に二等分する。同様に、バッテリ301に関連する面を遠位/近位中央バッテリ面と呼び、
図3のページのようにハンドルを垂直方向に二等分する。これらの規定された面により、ピン安全フィーチャが説明される。
【0210】
レシーバ3400およびバッテリ固定部3506の形状は、遠位/近位中央バッテリ面が遠位/近位中央ハンドル面から約30度以内にある際、長さにより、バッテリの前方上側角部3008がピン3504a〜nと接触しないような形状である。同様に、レシーバ3400およびバッテリ固定部3506の形状は、遠位/近位中央バッテリ面が遠位/近位中央ハンドル面から約30度以内にある際、長さにより、バッテリ301の後方上側角部(すなわち、キャッチ3300)がピン3504a〜nと接触しないような形状である。このような構成により、バッテリ301からハンドル302への接続が確実に安全かつ容易となる。
【0211】
本発明のさらなる利点は、バッテリアセンブリ301の全体が滅菌され得ることである。医療処置中に交換の必要がある場合、バッテリアセンブリは、新しい滅菌されたバッテリアセンブリと容易に交換されることが可能である。バッテリアセンブリ301の気密構造は、例えば、ステリスコーポレーション(Steris Corporation)によって製造されて商品名V−PROで参照される滅菌装置によって実行されるような、又は、エティコンインコーポレーテッド(Ethicon,Inc.)のディヴィジョンであるアドバンストスターライゼーションプロダクツ(Advanced Sterilization Products ASP)、ジョンソンアンドジョンソン(Johnson & Johnson)社によって製造されてSTERRAD(登録商標)の商品名で参照される滅菌装置によって実行されるように、低温の気相過酸化水素(H
2O
2)を使用して滅菌されることが可能である。バッテリアセンブリ301のリチウム電池は60℃より高温で加熱されると損傷を受けるので、今日病院で一般的に使用されている非加熱滅菌が手術環境で容易にバッテリアセンブリ301を再使用可能にする。
【0213】
本発明のバッテリアセンブリ301はさらに別の本発明の特徴を有している。
図37に示すように、バッテリアセンブリ301は、以下に説明するように、バッテリアセンブリの内圧に対する正および負の両方の外圧の影響を回避する一方で、例えば30psiより大きく緊急の過度の内圧の解放を提供する、圧力弁3702を有している。この弁3702は、内部に蓄積したあらゆる気体を迅速に吐き出すために十分に大きな開口を有利に有している。また有利なことには、本発明の弁3702は、いくつかの従来技術の通気装置がそうするように、圧力の小さな変化によって同時に開閉しない。代わりに、弁3702の開閉の事象はいくつかの規定の段階を有している。弁3702の例示の構成では、第1段階(<30psi)中、弁3702は、
図41および
図42に示すように、シールされたままであり、バッテリ区画内への又は外への気体の流通を許容しない。この例示の実施形態はいわゆるポペット弁として言及され得る。段階2では、
図42の切断図に示す、弁シート4202に対してポペット4106を取り囲むOリング4104を保持するばね4102の力に対抗する程度に十分にバッテリアセンブリの内圧が増大すると、流体/気体が、Oリング4104およびシート4202の間を漏れ出し始める。段階3では、内圧は、流体/気体のかなりの量がシール4104、4202を通過することができる程度に十分に弁3702を押し開く。この時点で、段階4まで、内圧は弁を完全に開かせ、すなわち、Oリング4104はシート4202を完全に移動させる。追加の圧力は、弁がさらに開くことができないので、流れへの影響を減少させる。
【0214】
段階5では、弁3702上の圧力が減少し始めるとともにポペット4106が閉じ始める。ポペット4106が後退すると、ポペット4106は、ヒステリシスを通じて開く間に生じるものと同じシーケンスを辿る(すなわち、本体上に力が作用する時の作用の遅延が変更され、閉じる際の遅延の命令が発生する)。その結果、ポペット4106がその復帰を開始する時、ポペット4106が開かれる時に横切る
図44の曲線に対して定位置に遅れていく。段階6では、Oリング4104はシート4202にちょうど触れる。Oリング4104をシート4202内に押す力はないので、弁はこのポイントでシールしない。段階7で、ばね4102の力は、弁を閉じてシールするために十分な力でOリング4104を圧縮する。弁3702は、
図41および
図42に示すように、ここで段階1に復帰する。摩擦を最小化できるように密閉表面がテーパー状となっているため、弁3702を複数回密閉することが可能である。
【0215】
弁3702の試験を容易にするために、ポペット4106は、切り取りハンドル4108と共に形成される。ハンドル4108を動作させると、(手動でまたは自動で)ポペット4106を移動させることができ、これにより、超音波溶接または接合シェル半分部2802aおよび2802bに漏れが無いか検査する目的のために、バッテリアセンブリ301内へのアクセスが可能となる。例えば、ユーザまたは漏れ検査器具がハンドル4108を把持し、ポペット4106を弁ドック4204内から移動させ弁ドック4204内へと戻すことができる。弁ドック4204がバッテリアセンブリ301の外側シェル2802aまたは2802bの半分内に配置された様子を
図41および
図42に示す。あるいは、ハンドル4108を用いて、バッテリアセンブリ301内部へアクセスして、バッテリ区画中に不活性ガスまたはトレースガス(例えば、ヘリウム)を充填するかまたはさらにはバッテリアセンブリ301の内部から真空引きを行うことが可能である。検査終了後、ユーザ(例えば、製造業者)は、ハンドル4108を切り取りかまたは取り外すことで、ポペット4106がさらにユーザによって制御されるのを回避する。ハンドル4108の取り外しは、ハンドル4108の基部に形成された狭窄部4110により、より容易になされる。例えば、
図41〜
図43に示す狭窄部4110は、一貫しかつ円滑な切断点を得るための鋭角部を含む。
【0216】
この例示的実施形態において、ハンドル4108は、矢じり形およびタブを用いた構成を有する。
図41〜
図43に示すように、ポペット4106は、ポペット4106の少なくとも1つの側部上にクロッキングタブ4112を含み、これにより、矢じり形を所望の方向に(例えば、超音波手術用アセンブリ300の利用時において地面に対して水平方向に)維持し、これにより、漏れ検査時におけるバッテリアセンブリ301の内部への機械アクセスまたは自動アクセスが促進される。この矢じり形状は、緩いテーパー形状を含み、これにより、Oリング4104の取り付けが支援される。すなわち、矢じり形タブを破断させることなく、テーパー状矢じり形状上にOリング4104を容易にスライドさせることが可能になる。
【0217】
例示的実施形態において、Oリング4104は、デュロメータがおよそ40〜およそ60(例えば、VITON(登録商標))であるSTERRAD(登録商標)適合材料によって構成される。なぜならば、このような材料は、不規則な表面仕上げを有する成形部品上においてより高い信頼性を以て密閉するからである。
【0218】
別の例示的実施形態において、ポペット4106は、バッテリシェル2802と異なる材料で形成されており、これにより、バッテリシェル半分部2802aおよび2802bの超音波溶接時における共鳴溶接を回避する。
【0219】
図37に示すように、弁3702は、バッテリアセンブリ301の最下部に有利に配置される。この例示的構成において、ハンドグリップの作業領域(すなわち、バッテリ外側シェル2802)の外部において弁3702が残留しており、これにより、ユーザによる超音波手術用アセンブリ300の取扱との干渉が回避される。さらに、このように弁3702を配置することにより、弁3702を通じた通気発生時におけるユーザの手の損傷が回避されるため、安全性が増す。これと同時に、ユーザの手により弁3702の通気が妨げられることが無くなる。
【0220】
また、有利なことに、弁3702は清浄が容易である。ポペット4106の外面が平滑になっているため、Oリング4104のシール部分へ直接アクセスすることが可能になる。同様に、ポペット4106における機能は平滑に混合されているため、どろや汚れがはまり込む原因となる隠蔽部分が無くなる。
【0221】
本発明のバッテリアセンブリ301は、上述の弁3702の代替として用いられる新規なフィーチャを含み得る。1つの例示的実施形態において、バッテリアセンブリ301は、シェル半分部2802aおよび2802bのうちの1つの下側内のバッテリアクセス穴部またはリリーフポート内に取り付けられた図示されないバーストプラグを含み得る。この例示的構成において、前記バーストプラグは、成形可撓性材料から形成され、前記アクセス穴部内へと押圧することが可能である。あるいは、前記バーストプラグを前記バッテリアクセス穴部の内部に成形してもよい。取り付けられたバーストプラグは、バッテリシェル2802の外面と同一平面上になり、これにより、泥または汚れの集合またはユーザの手との干渉が回避される。前記バーストプラグにより、過度の内圧(例えば、>30psi)に対する緊急圧力除去が可能となる。このような過度の内圧があると、バーストプラグがバッテリリリーフポートから外れ、内部の集積ガスが全てすぐに通気される。この例示的実施形態において、成形バーストプラグの内側端部上のTテイルにより、手術処置時においてバーストプラグがバッテリアセンブリ301から外れて紛失するかまたは患者体内に落下する可能性が無くなる。さらに、前記Tテイルによりバーストプラグがバッテリへと保持されているため、懸垂状態のバーストプラグは、バッテリアセンブリ301内において悪条件が発生したことを示すユーザにとって有利な視認用インジケータとなる。
【0222】
別の例示的実施形態において、バッテリアセンブリ301は、バーストディスクを含み得る。前記バーストディスクは、シェル半分部2802aおよび2802bのうちの1つの下側内のバッテリアクセス穴部またはリリーフポート上に取り付けられる。この例示的実施形態において、前記バーストディスクは、前記バッテリリリーフポート上に配置されたフォイルテープディスクまたは既知のせん断特性を有するディスク材料を含み得る。前記ディスクは、前記バッテリリリーフポート上において所定位置に超音波溶接、接合または他の様態で密封することが可能であり、これにより、噴出軽減弁として機能する。有利なことに、前記リリーフポートは、多数の小型開口部によって構成されたアレイまたはグリッドを含み得る。このような構成により、外部機械的測定手段から不意にディスクが破断する事態が回避される。
【0223】
さらに別の例示的実施形態において、バッテリアセンブリ外側シェル2802のシェル半分部2802aまたは2802bのうちの1つは、成形噴出または軽減領域を含み得、この領域において、外側シェル半部分2802aまたは2802bの成形材料が外側シェル2802の残り部分よりも特に肉薄になっている。このように、外側シェル2801の軽減領域は、事前規定された望ましくない圧力がバッテリアセンブリ301の内部に到達した場合に崩壊するように設計されている。さらに、パターン(例えば、花びらパターン)を、シェル半分部2802aまたは2802bのうちの1つの成型面上に設けることで、さらなる応力集中部が得られ、また、圧力除去発生後の花びら紛失を回避するためのヒンジ機能も得ることができ、これにより、崩壊したシェル2802の成型材料の破片が前記バッテリアセンブリ301から患者体内へと落下する事態を回避する。
【0224】
さらに別の例示的実施形態において、バッテリアセンブリ301は、ターキーポッパー弁に類似する圧力除去構成を含み得る。ポペット弁3702に関して上述のような自己再配置弁を設ける代わりに、バッテリアセンブリ301内の過度の内圧が放出された後、前記ターキーポッパー弁を作動位置に保持する。その結果、バッテリ内に悪条件が存在することをユーザに示すための視認用インジケータが得られる。この構成において、前記ターキーポッパー弁を選択的に再配置することができ、これにより、バッテリアセンブリ301をさらに利用することが可能になる。
【0226】
本発明のさらなる例示の実施形態では、超音波手術用焼灼アセンブリ300に電力を供給するためにスマートバッテリが使用される。しかしながら、スマートバッテリは、超音波手術用焼灼アセンブリ300に限定されるものではなく、説明したように、相互に変化する電力要求(すなわち、電流および電圧)を有する又は有しない様々な装置に使用されることが可能である。本発明の例示の実施形態によれば、スマートバッテリは、電気的に結合される特定の装置を有利に識別することができる。これは、暗号化された又は非暗号された識別方法を通じてなされる。例えば、
図57に示すバッテリアセンブリ301は例えば部分5702などの接続部分を有し得る。ハンドルアセンブリ302は、マルチリードハンドル端末アセンブリ3502に通信可能に連結されるとともにハンドルアセンブリ302に関する情報の少なくとも一部分を通信するために作動可能な装置識別子5704を備え得る。この情報は、ハンドルアセンブリ302が使用された回数、TAGアセンブリ303(現在ではハンドルアセンブリ302に接続されている)が使用された回数、導波管アセンブリ304(現在ではハンドルアセンブリ302に接続されている)が使用された回数、ハンドルアセンブリ302に現在接続されている導波管アセンブリ304のタイプ、ハンドルアセンブリ302に現在接続されているTAGアセンブリ303のタイプ又は同一性、又は多くの他の特性、に関する。スマートバッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に挿入された時、スマートバッテリアセンブリ301内の接続部分5702は、ハンドルアセンブリ302の装置識別子5704と通信する。ハンドルアセンブリ302は、ハードウェア、ソフトウェア又はその組み合わせを通じて、(自己始動によって、又は、バッテリアセンブリ301からのリクエストに応じて)スマートバッテリアセンブリ301に情報を伝送する。この通信された識別子は、スマートバッテリアセンブリ301の接続部分5702によって受信される。例示の一実施形態では、スマートバッテリアセンブリ301が情報を受信すると、通信部分5702は、装置の特定の電力要求に合致させるためにバッテリアセンブリ301の出力を制御するように作動可能である。
【0227】
例示の一実施形態では、通信部分5702は、例えばプロセッサ1118などのプロセッサと、別個の又は単一の構成要素であり得るメモリと、を有している。メモリと協働するプロセッサ1118は、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300の情報処理による電力運用を提供することができる。この実施形態は、例えば手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300などの超音波装置が、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300に固有であり得る電力要求(周波数、電流および電圧)を有するので、特に有利である。実際には、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300は、導波管1502の所定の寸法又はタイプに対する特定の電力要求又は制限と、異なる寸法、形状および/又は構成を有する導波管の第2のタイプに対する第2の異なる電力要求を有し得る。
【0228】
従って、本発明に係るスマートバッテリ301は、単一のバッテリアセンブリを複数の手術装置の間で使用することを可能にする。スマートバッテリ301が、いずれの装置に取り付けられたかを識別することができ、従ってその出力を変化させることができるので、スマートバッテリ301を利用する様々な異なる手術装置の操作者が、使用される電子装置内に実装しようとする電源について何ら心配する必要はない。このことは、複雑な手術処置の真っただ中でバッテリアセンブリが別の手術用装置と交換または相互交換される手術環境において、特に有用である。
【0229】
さらなる例示の実施形態では、スマートバッテリ301は、特定の装置の使用ごとの記録をメモリ5706内に格納する。この記録は、装置の有用な又は許容される耐用年数の限度を評価するために有用である。例えば、装置が20回使用されると、装置に接続されたすべてのそうしたバッテリ301は、装置が「もはや頼りにならない」手術器具として示されるので、そこへの電力供給を拒絶する。信頼性は複数の要因に基づいて決定される。1つの要因は摩耗であり得、複数の方法で推定することが可能である(例えば、当該装置が使用または起動された回数)。所定の回数の使用後、装置の部品は摩耗して、部品同士の間の許容差が限度を超え得る。例えば、スマートバッテリ301は、ハンドルアセンブリ302によって受け入れられたボタンの押し込みの回数を検出することができ、ボタンの押し込みの最大回数が満たされるか又は最大回数を超えた時を特定することができる。スマートバッテリ301は、例えば、ハンドルが例えば塩分によって汚染された場合に変化し得るボタン機構のインピーダンスをモニタすることができる。
【0230】
この摩耗は、処置中の受け入れがたい失敗につながり得る。いくつかの例示の実施形態では、スマートバッテリ301は、装置内に一緒にいずれの部品が併用されたか、および、各部品が経た使用回数さえも認識することができる。例えば、
図57を見ると、バッテリアセンブリ301が本発明に係るスマートバッテリである場合、バッテリアセンブリ301は、ユーザが複合装置の使用を試みる十分に前にハンドルアセンブリ302および超音波切断刃および導波管アセンブリ304の両方、ならびに特定のTAGアセンブリ303を識別することができる。スマートバッテリ301内のメモリ5706は、例えばTAGアセンブリ303が作動されるたびに記録することができる。各TAGアセンブリ303が個別の識別子を有している場合、スマートバッテリ301は、各TAGアセンブリ303の使用の経過を保持する
ことができ、ハンドルアセンブリ302又はTAGアセンブリ303がその最大使用回数を超えたらそのTAGアセンブリ303に電力を供給することを拒絶する
ことができる。TAGアセンブリ303、ハンドルアセンブリ302、超音波切断刃および導波管アセンブリ304または他の構成要素は、この情報を同様に記録するメモリチップを有し得る。このようにして、任意の数のスマートバッテリ301が、任意の数のTAGアセンブリ、ステープラー、血管シーラーなどとともに使用されることが可能であり、総使用回数、又は、総使用時間(クロック330の使用を通じて)、又は
、各TAGアセンブリ、各ステープラー、各血管シーラーなどの
作動等の総
回数、又は、充電又は放電周期を依然として特定することができる。
【0231】
TAGアセンブリ303の寿命を知的
に終了させるためにTAGアセンブリ303の使用回数を計数する際、手術処置におけるTAGアセンブリ303の実際の使用の完了と、例えばバッテリ変更または手術処置時における一時的遅延に起因するTAGアセンブリ303の一時的
な作動停止とを正確に区別することが重要となる。そのため、TAGアセンブリ303の起動回数を単純に計数する方法の代替的方法として、リアルタイムクロック(RTC)回路を
用いることができ、これにより、TAGアセンブリ303が実際にシャットダウンされた時間の長さを記録することが可能になる。測定された時間の長さから、適切な論理を通じて、1回分の実際の使用の終了として当該シャットダウンが十分に長いか否かまたは1回の使用の終了時において当該シャットダウンが短すぎるか否かを決定することが可能になる。よって、いくつかの用途において、この方法により、単純な「起動ベースの」アルゴリズムの場合よりも、TAGアセンブリ303の寿命をより正確に決定することが可能になる。なぜならば、単純な「起動ベースの」アルゴリズムの場合、単一の手術処置において例えば「起動」が10回行われたとの判定が発生し得、そのため、10回の起動でもカウンターは1だけインクリメントすべきである場合があるからである。一般的に、この種の内部クロッキングシステムにより、単純な「起動ベースの」アルゴリズムを欺くように設計された装置が誤用される事態が回避され、また、合理的理由に起因して必要となったTAGアセンブリ303またはバッテリ301の単純な分解のみが行われた場合において完全な利用の不正確なロギングが回避される。
【0232】
当該装置のバッテリおよびTAGアセンブリは再利用可能であるが、当該装置の使用回数を有限に設定することが望ましい。清浄および滅菌時において当該装置が厳しい条件に晒されることがあるため、このような設定が必要になり得る。より詳細には、前記バッテリパックは、滅菌されるように構成される。外面に用いられる材料に関係無く、実際の使用材料の予測寿命には上限がある。このような寿命は、多様な特性(例えば、当該パックが実際に滅菌された回数、当該パックが製造されてからの時間、および当該パックが再充填された回数)によって決定される。また、電池そのものの寿命も上限がある。本発明のソフトウェアは、TAGおよびバッテリアセンブリ双方における使用回数を確認し、この使用回数に到達した場合またはこの使用回数を越えた場合、前記装置をディセーブルする新規なアルゴリズムを組み入れる。これらの可能な滅菌方法それぞれにおける外部バッテリパックの分析を行うことができる。最も厳しい滅菌処置に基づいて、許容される最大滅菌回数を決定することができ、この回数をバッテリアセンブリ301のメモリに保存することができる。充電器が非滅菌状態であり、バッテリパック301を充電後に使用すべきであると推定された場合、当該パックに行われた滅菌回数と等しいものとして充電カウントを規定することができる。
【0233】
バッテリパック内のハードウェアを永久にディセーブルすることで、ソフトウェアによってパックが無効にされた後の電池からの連続的放電に起因する安全性の問題を最小化またはゼロにすることが望ましい。特定の低電圧条件下において、バッテリの内部ハードウェアがバッテリを無効にすることができない状況があり得る。このような状況においては、例示的実施形態において、充電器を用いて当該バッテリを「殺す」ことができる。バッテリが充電器内にあるときはバッテリマイクロコントローラはオフとなっているため、不揮発性のSMBusベースのEEPROMを用いて、バッテリマイクロコントローラと充電器との間で情報のやりとりを行うことができる。よって、シリアルEEPROMを用いて、バッテリマイクロコントローラがオフであるときも書き込みおよび読み出しが可能な情報を保存することが可能となる。このようにすると、充電器または他の周辺装置との情報のやりとりを試みる際に極めて有用である。この例示的EEPROMは、少なくとも例えば(a)バッテリをディセーブルすべき時点を示す使用回数上限(バッテリ使用回数)、(b)当該バッテリを用いて行われた処置の回数(バッテリ処置カウント)、および/または(c)当該バッテリが充電された回数(充電カウント)を保存できるだけの十分なメモリレジスタを含むように、構成され得る。EEPROM中に保存される情報のうち一部(例えば、レジスタ使用回数およびレジスタ充電カウント)をEEPROMの書き込み保護部中に保存することで、ユーザが当該情報を変更できないようにする。例示的実施形態において、使用情報およびカウンタと共に対応するビット反転ミラーレジスタを保存しておき、これによりデータ破壊を検出する。
【0234】
SMBusライン中に残留電圧が少しでもある場合、マイクロコントローラが損傷を受け得、SMBus信号が破壊され得る。そのため、マイクロコントローラのオフ時においてバッテリコントローラ703のSMBusラインが電圧を搬送しないようにするために、外部SMBusラインと、バッテリマイクロコントローラ基板との間にリレーを設ける。
【0235】
バッテリ301の充電時において、例えば定電流/定電圧充電スキームを用いた場合にバッテリ内に流入する電流が徐々に低下して所与の閾値を下回った場合、バッテリ301の「充電終了」状態が決定される。この「充電終了」状態を正確に検出するために、バッテリ充電時においてバッテリマイクロコントローラおよびバック基板への電力供給を低減およびオフし、これにより、基板に起因し得る電流流出および電流検出の低減と干渉し得る電流流出が低減する。さらに、充電時においてマイクロコントローラおよびバック基板への電力供給を低減することで、当該電力供給に起因するSMBus信号の崩壊を回避する。
【0236】
充電器については、正確な挿入位置以外の様態でスマートバッテリ301を充電器に挿入できないようにすることが望ましい。そのため、
図28に示すように、例えばバッテリ301の外部に充電器保持フィーチャ2810を設ける。バッテリ301を充電器内にしっかりと保持するためのカップを輪郭整合テーパー形状で構成することで、バッテリパック301が正確な(意図される)様態以外の様態で不意に挿入される事態を回避する。バッテリアセンブリ301の存在は、充電器そのものによって検出することが可能であることがさらに企図される。例えば、充電器は、バッテリ保護回路および保護基板内に配置された抵抗器からのSMBus送信の存在を検出するように構成され得る。このような場合、バッテリアセンブリ301が充電器に正確に所定位置に配置されるまで、前記充電器をエネーブルして、充電器のピンに晒される電圧を制御させることができる。なぜならば、充電器のピンに晒される電圧がある場合、前記ピン上に電気ショートが発生して、前記充電器の充電が不慮に開始される危険性が出てくるからである。
【0237】
いくつかの例示の実施形態では、スマートバッテリ301は、聴覚のおよび/又は視覚のフィードバックを通じてユーザと通信することができる。例えばスマートバッテリ301は、予めセットされたようにLED906を点灯させることができる。そのような場合、発振器904のマイクロコントローラ1006はLED906を制御するにも拘わらず、マイクロコントローラ1006は、実行されるべき指令をスマートバッテリ301から直接受信する。
【0238】
さらなる例示の実施形態では、発振器904のマイクロコントローラ1006は、既定の時間にわたって使用されない時にスリープモードに入る。有利には、スリープモード時、マイクロコントローラ1006のクロックスピードは減少し、電流の顕著な消耗を遮断する。プロセッサは入力の検出を待つことをピングし続けるので、いくらかの電流が消費し続けられる。有利には、マイクロコントローラ1006がこの省電力スリープモードにある時、マイクロコントローラ1106およびバッテリコントローラ703はLED906を直接的に制御することができる。例えば、デコーダ回路を発振器基板5460内に構築し、通信ラインへと接続することで、TAGマイクロコントローラが「オフ」であるかまたは「スリープモード」である間に、LED906をバッテリマイクロコントローラ1106によって独立的に制御することが可能になる。これにより、マイクロコントローラ1006を起動させる必要性を排除する省電力特性が得られる。ユーザインターフェースインジケータをアクティブ制御できる状態で発振器をオフにすることにより、電力節約が可能となる。
【0239】
別の例示的実施形態において、マイクロコントローラのうち1つ以上を減速させることで、非使用時における電力を節約する。例えば、双方のマイクロコントローラのクロック周波数を低減することで、電力を節約することができる。同期動作を維持するために、これらのマイクロコントローラは、各クロック周波数の発生時期が低減のためにほぼ同時になるように調整し、その後、フル速度動作が必要となったときに周波数を増加させる。例えば、待機モードに入ったときにクロック周波数を低下させ、待機モードが終了したときにクロック周波数を上昇させる。
【0240】
さらなる例示の実施形態では、スマートバッテリ301は、その電池701内に残った使用可能な電力の量を決定することができ、予測される処置を通じて装置を予想通りに作動させたままにする十分なバッテリ電力があると判定する場合にのみ、取り付けられた手術装置を作動させるようにプログラムされている。例えば、スマートバッテリ301は、20秒間にわたって手術装置を作動させるために十分な電力が電池内にない場合に非作動状態にしたままにすることができる。例示の実施形態によれば、スマートバッテリ301は、例えば外科的な切断などのその最も最近の機能の最後に電池701内に残った電力の量を判定する。従って、この実施形態では、バッテリアセンブリ301は、例えばその処置中に、電池701が十分な電力を有していない場合に、その後の機能の実行を許容しないであろう。代替として、スマートバッテリ301は、その後の処置のために十分な電力があることを判定して、処置中にその閾値を下回る場合には、その進行中の処置を遮断せず、代わりに、それを終了させることを許容して、さらなる処置の発生がないようにする。
【0241】
以下に、本発明のスマートバッテリ301を有する装置の使用を最大限に活用することに関して本発明の利点を説明する。一連の異なる装置が異なる導波管を有するものを例にとる。定義によれば、導波管の各々は、それぞれの最大許容電力限界を有してよく、それを超えると、電力制限が導波管に過度に負荷をかけ、ついには導波管を破砕してしまう。一連の導波管のうちの1つの導波管は最も小さい最大電力容量を本来有している。従来技術のバッテリは、情報処理機能を有するバッテリ電力運用を有していないので、従来技術のバッテリの出力は、装置/バッテリに使用されることが想定される一連のうちの最小/最薄/最弱の導波管のための最も小さい作動許容電力入力の値によって制限されなければならない。このことは、より大きなより厚い導波管がその後にそのハンドル端に取り付けられて、定義によれば、より大きな力が作用することを可能にするにも拘わらず、事実である。この制限は最大バッテリ電力にも当てはまる。例えば、1つのバッテリが複数の装置に使用されるように設計されている場合、その最大出力電力は、使用される装置のいずれかの最小の最大電力ランクに制限される。そのような構成によれば、1以上の装置又は装置構成は、バッテリが特定の装置の特定の制限を知らないので、バッテリの最大使用を可能にしない。
【0242】
それと比較して、スマートバッテリ301を利用する本発明の例示の実施形態は、上述の従来技術の超音波装置の制限を判断して巧みに回避することができる。スマートバッテリ301は、1つの装置又は特定の装置のための1つの出力を生成することができ、同じバッテリアセンブリ301が、第2の装置又は装置構成のための異なる出力をその後に生成することができる。この万能なスマートバッテリ手術システムは、空間および時間が重要視される現代の手術室に非常に向いている。多くの異なる装置を作動させる1つのスマートバッテリパックを有することによって、看護師は、それらのパックの保管、修繕、および棚卸しを簡単に運用することができる。有利には、本発明に係るスマートバッテリシステムは、1つのタイプのみの充電ステーションを必要とし、従って、使用の容易さと効率を増大させるとともに設備にかかる手術室の費用を低減する。
【0243】
さらに、例えば電気ステープラーなどの他の装置は、超音波手術用焼灼アセンブリ300のものとは完全に異なる電力要求を有し得る。本発明によれば、単一のスマートバッテリ301が、手術装置の全シリーズのうちのいずれか1つとともに使用され得るとともに、実装される特定の装置へのその自身の出力を調節するために作られ得る。例示の一実施形態では、この出力の調節は、スマートバッテリ301と一体化されるか又はそうでなければ連結されて制御される、例えばバック、バックブースト、ブースト又は他の構成の切り替えモード電源のデューティサイクルを制御することによって実行される。他の例示の実施形態では、スマートバッテリ301は、装置の作動中にその電力出力を動的に変化させることができる。例えば、容器のシーリング装置では電力運用は非常に重要である。これらの装置では、一定の大きな電流値が必要とされる。総電力出力は、組織がシールされる際にそのインピーダンスが変化するので、動的に調節される必要がある。本発明の実施形態は、可変の最大電流制限をスマートバッテリ301に提供する。電流制限は、用途又は装置の要求に応じて、用途(又は装置)によって変動する。
【0244】
XII.ハンドルアセンブリ−機械的構造
【0245】
図45は、左側のシェル半部分が取り外されたハンドル部分302の左側面の例示の実施形態を示している。ハンドルアセンブリ302は、基本的な4つの機能を有している。(1)マルチリードハンドル端末アセンブリ3502にバッテリアセンブリ301を連結する。(2)TAG取付ドック4502にTAGアセンブリ303を連結する。(3)導波管取付ドック4504に超音波切断刃および導波管アセンブリ304を連結する。(4)3つの構成要素(バッテリアセンブリ301、TAGアセンブリ303、並びに、超音波切断刃および導波管アセンブリ304)を作動させるためにトリガ機構4506を提供する。
【0247】
TAG取付ドック4502は、外部に曝されており、TAGアセンブリ303をハンドルアセンブリ302に交換可能に固定するように形作られている。導波管取付ドック4504は、導波管1502の近位端を変換器902と整列するように形作られている。変換器902がTAG取付ドック4502に入れられるとともに導波管アセンブリ304が導波管取付ドック4504に入れられ、変換器902および導波管1502が相互に取り付けられた時、導波管1502および変換器902は自由に回転可能にハンドルアセンブリ302に保持される。
【0248】
図45および
図46から分かるように、ハンドルアセンブリ302は、2つのクラムシェル接続本体半部分を有しており、右側半部分4503が
図45に示されている一方で左側半部分が
図46に示されている。2つの半部分4503、4603は、導波管取付ドック4504の少なくとも一部を形成し、導波管取付ドック4504は、導波管回転スピンドル3704がない時に外部に露出するように考慮され得る。第1連結部4602は、ハンドルアセンブリ302に超音波導波管アセンブリ304を選択的に着脱可能に固定するように作動可能である。図示した例示の実施形態では、導波管回転スピンドル3704は、環状ボス4605を受け入れるように形作られた中間環状溝4603を有している。2つの半部分4503、4603が接続された時、溝4610およびボス4605は、自由に回転する導波管アセンブリ304の縦方向接続を形成する。例示的実施形態において、超音波切断刃および導波管アセンブリ304をユーザがハンドルアセンブリ302から着脱することはできない。
【0249】
TAG取付ドック4502は導波管取付ドック4504に対向している。TAG取付ドック4502は、外部に露出しており、超音波導波管アセンブリ304が導波管取付ドック4504に連結された時に超音波導波管1502に超音波変換器902を着脱可能に固定するように作動可能な第2連結部4604を有している。連結部4602および4604は、変換器902と軸方向に配列するように導波管1502を配置する通路又は任意の他の構造と単純に整列され得る。もちろん、連結部4602および4604は、導波管1502および/又は変換器902をハンドル又は相互に実際に保持する例えばねじ山などのさらなる構造を提供し得る。連結部4604の例をいくつか挙げると、レール、ダブテール、T字型溝、少なくとも1つのピン、1つよりも多くのピン、およびアンダーカット溝部がある。
【0251】
ここで
図46を見ると、トリガ4606およびボタン4608がハンドルアセンブリ302の構成要素として示されている。トリガ4606はエンドエフェクタ118を作動させ、エンドエフェクタ118は、エンドエフェクタ118および刃部分116の間の組織および/又は他の物質との様々な種類の接触を可能にするため、導波管114の刃部分116と協働する。
図1に示すように、エンドエフェクタ118は通常、顎および刃116の間に配置された組織を把持するか又はクランプするように作動する旋回顎(例えば
図73以下を参照)である。例示的実施形態において、可聴フィードバックがトリガ内に設けられ、トリガが完全に押圧された際にクリックする。肉薄金属部により、ノイズが生成され得る。閉鎖時において、前記肉薄金属部に前記トリガがパチリと接触する。このような機能により、ユーザフィードバックへ可聴要素を追加することができ、顎部が導波管に対して完全押圧状態であり、血管密閉のための十分なクランプ圧力が付与されている旨をユーザへ通知することができる。
【0252】
押し込まれた時、ボタン4608は、超音波手術アセンブリ300を、導波管1502で超音波運動を引き起こす超音波作動モードにする。例示の第1実施形態では、ボタン4608の押し込みは、
図47に示すように、スイッチ4702内の電気接点を閉じさせ、それによって、変換器902に電力が供給されるようにバッテリアセンブリ301およびTAGアセンブリ303の間の回路を完成させる。別の例示の実施形態では、ボタン4608の押し込みは、バッテリアセンブリ301への電気接点を閉じる。もちろん、回路内で閉じる電気接点の説明は、本明細書では、スイッチ作動の単なる例示の一般的な説明である。スイッチ4702からの情報を受信して当該情報に基づいて対応の回路の応答を割り当てる接点又はプロセッサ制御の電力受け渡しを開くことを含み得る。
【0253】
図47は、左側の正面からスイッチ4702を示しており、
図48は、ハンドル本体の右側の内部の切断斜視図であり、スイッチ4800の様々な詳細を表している。第1の例示的実施形態では、スイッチ4800は複数の接点4804a〜nを備えている。スイッチ4702のプランジャ4802の押し込みは、スイッチを起動させ、スイッチの状態変化と、複数の接点4804a〜nのうちの2つ以上の間の位置又は接点の対応の変化を開始する。回路がスイッチ4702を通じて接続された場合、すなわち、スイッチ4702が変換器902への電力受け渡しを制御する場合、状態変化は、スイッチ4702の作動モードに応じて、回路を完成させるか又は遮断するかのいずれかである。
【0254】
図49は、2つのスイッチング段階を提供するスイッチ4702の例示的実施形態を示す。スイッチ4702は2つのサブスイッチ4902および4904を有している。サブスイッチ4902および4904は、1つのボタン4802内で2つのレベルのスイッチングを有利に提供する。ユーザが第1程度に内側にプランジャ4802を押し込んだ時、第1サブスッチ4902が起動され、それによって、接点4804a〜n(この図では図示せず)上に第1スイッチ出力を提供する。プランジャ4802が第2の程度にさらに内側に押し込まれた時、第2サブスイッチ4904が起動され、その結果、接点4804a〜n上で異なる出力を生じさせる。実際の使用時のこの2段階スイッチ4702の例は、2つの可能な出力電力レベルを利用可能にするためのTAG発振器904用であり、各々は、導波管4502の異なる運動範囲値を生じさせる。第1サブスイッチ4902の起動は、例えば、発振器904からの第1出力電力レベルを開始し、および、第2サブスイッチ4904の起動は、発振器904から第2電力レベルを出力させる結果を生じさせる。この2段階スイッチ4702の例示の実施形態は、第1配置に低電力レベルを提供し、第2配置に高電力レベルを提供する。
図49に示す、スタックにサブスイッチ4902および4904を形成することは、増大する力によってボタン4702のプランジャ4802を単に押し込むことによって、第1スイッチモードすなわち第1電力レベルから第2スイッチモードすなわち第2電力レベルに移行させることを、操作者に容易かつ直感的にする。
【0255】
サブスイッチ4902および4904の一実施形態では、ばね力が利用されてよく、各ばねは異なるばね力レベルを有している。プランジャ4802が最初に押し込まれた時、第1サブスイッチ4902の第1ばねは圧縮し始める。第2サブスイッチ4904内に配置された第2ばねは第1ばねより固いので、第1サブスイッチ4902のみがスイッチング状態を変化させられる。第1サブスイッチ4902が、スイッチング状態を変化させるために十分な距離にわたって押し込まれると、プランジャ4802に作用するさらなる(より大きな)力が、より固い第2ばねを押し込んで、第2サブスイッチ4904の状態を変化させる。
【0256】
実際には、例えば本発明を採用するものなどの超音波切断装置は、様々な組織のタイプおよびサイズに出くわし、制御をあまり必要としない繊細でない切断物質に対してしっかりと制御されなければならない精確な運動を変化させる様々な手術処置のタイプに使用される。従って、操作者に低電力切断モードと高電力切断モードとを選択させることを可能にする少なくとも2つの超音波切断電力レベルを提供することは有用である。例えば、低電力切断モードでは、すなわち、第1サブスイッチ4902のみが押し込まれる場合、導波管1502の先端は約0.002インチの変位で運動する。高電力切断モードでは、すなわち、第1および第2サブスイッチ4902および4904の両方が押し込まれる場合、導波管1502の先端は約0.003インチの変位で運動し、低電力モードに比べて、より大きな速度で組織を通って移動することができ、又は、より強靱でより緻密な物質をより迅速に切断することができる。例えば、腸間膜の切断は、より急速な速度でより大きな電力で概ね実行される一方で、血管シーリングは、より低電力でより長い期間にわたって実行されることが可能である。
【0257】
しかしながら、本発明は、スタックされたスイッチに限定されるわけではなく、相互に独立したスイッチも含み得る。例えば、ボタン4608の形状は、第1低電力スイッチと接触する第1部分と、ボタンのさらなる移動によって、第2高電力スイッチに接触する第2部分と、を有してよい。本発明は、1つのボタンの移動によって異なる段階を作動させる任意の複数段階スイッチを有するものとして考慮に入れられるべきである。
【0258】
本発明の例示の一実施形態では、スイッチ4702、4800は、複合弓に類似した物理的抵抗を提供する。高速で矢を射るために周知の複合弓は、ピークの力に上昇してより低い保持力に送り出される引く力のカーブを有している。この物理的作用を第2サブスイッチ4904で再形成することによって、装置のユーザは、第1サブスイッチ4902に移って第1サブスイッチ4902に係合することがむしろ簡単であることを発見する一方で、より大きな押し込み力を必要とする第2サブスイッチ4904の押し込みによって開始される高電力モードに移ることが、増大した力を意識的に作用させる操作者によってのみ生じる出来事であることを発見する。しかしながら、より大きな押し込み力を克服すると、押し込み位置の第2サブスイッチ4904を維持するために必要な力は減少し、操作者により高電力モードのままであることを可能にし、すなわち、操作者の指を疲れさせることなくボタンを押し込まれたままにしておく。この複合弓タイプの作用は様々な方法で実現することが可能である。例は、ピンの力又は他の障害物に打ち勝つオフセットカム、ソフトウェア制御、ドームスイッチおよびその他を含む。
【0259】
本発明の例示の一実施形態では、スイッチ4702は、スイッチ4702が第1モードから第2高電力モードに移動する時に可聴音を生成する。例えば可聴音は、ボタン自体から、又は、ブザー802から発せられる。音は、操作者に高電力モードに入ったことを通知する。通知は、本発明の超音波装置の意図しない作動を好都合に回避することができる。
【0261】
本発明の例示的実施形態によれば、
図57に示すように、少なくとも1つのバンプ5710が、超音波
導波管1502の節(単数または複数)に設けられる。換言すれば、導波管1502が共振周波数において超音波運動を示さない導波管1502に沿った位置ににおいて、バンプ5710が配置される。これらのバンプ5710は放射方向かつ長手方向において対称であるため、各バンプ5710の直径およびその物理的導波管特性が変化して振動伝達が低減して(放射方向に大きくなり)そして増加して(放射方向に小さくなった)場合も、超音波周波数において共振する導波管の能力と、遠位刃端部において所望の振動を伝達する導波管の能力とへの悪影響は無い。これらのバンプについて、
図76を参照してさらに詳述する。
【0263】
ここで
図61〜
図64を参照すると、可変圧力トリガが示されて説明される。可変圧力トリガの構成要素は、
図61〜
図64の各々に示すハンドルアセンブリ302の右側の部分斜視図で見ることができる。この図では、ハンドルアセンブリ302の大部分のシェルがないので、内側構成要素のいくつかが露出して見ることができる。実際には、
図61〜
図64に示す多くの構成要素は、シェルによってカバーされており、保護されて見えない。
【0264】
最初に
図61を参照すると、トリガ旋回アセンブリ6102の少なくとも一部が示されている。アセンブリ6102は、第1旋回部材6104と第2旋回部材6106とを有している。以下の説明では、トリガ4606が操作者によって連続的に押し下げられる際に第1旋回部材6104と第2旋回部材6106との間の相互作用を示す
図61と
図62〜
図64の各々との比較が説明される。
【0265】
第1旋回部材6104は、細長構造であり、第1端6112および第2端6114を有している。第1旋回部材6104の第1端6112は第1旋回ピン6116に回転可能に連結される一方で第2端6114は第2旋回ピン6118に回転可能に連結される。
図61の正面図では、第1旋回部材6104の例示の実施形態は、2つの別個の半部分を有することが分かり、各半部分は、第1旋回ピン6116および第2旋回ピン6118に連結されており、中央節にともに連結されている。本実施形態において、中央ピボットは、2つのリンクによって捕獲されたトリガ上の円形ボスを含む。これら2つのリンクは両性部品であり、共に押圧されることで、前記ボスが2つの穴部によって拘束される。これらの2つの穴部はそれぞれ、各リンク上に設けられる。この構成により、第3の旋回部が得られる。しかしながら、この旋回部材がこの構成を備えている必要はない。旋回部材は、2つの旋回ピン6116および6118を連結するとともにエンドエフェクタ118のためのアクチュエータを並進させるために第1旋回ピン6116に近接して方向付けられた力を提供する任意の構造であってよく、エンドエフェクタ118は以下にさらに詳細に説明される。
図61〜
図64で分かるように、第1旋回ピン6116は、ハンドルアセンブリ302の左本体半部分4603に示される縦方向に延在する案内トラック6130内に乗っており、その鏡像は、対向する右本体半部分4503上にも同様にある。トリガ4606が押し込まれると、
図61、
図62、
図63、
図64の経過に示されるように、第1旋回ピン6116は、停止位置(
図61の第1旋回ピン位置によって示される)から完全に動いた位置(
図64の第1旋回ピン位置によって示される)までエンドエフェクタ118を動かすために近接方向に十分な距離を並進する。
【0266】
示される例示の実施形態によれば、第2旋回ピン6118はトリガ4606に連結されてトリガ4606の一部である。特に、旋回ピン6118を含む第2旋回部材6106の全体は、トリガ4606の最も遠い範囲を実際に備えている。トリガ4606の最も遠い範囲(第2旋回部材6106)は、それ自体、ハンドルアセンブリ302内で第3(固定された)旋回ピン6110に回転可能に連結されている。この第3旋回ピン6110は、ハンドルアセンブリ302に対してトリガ4606が回転する軸線を画定する。第3旋回ピン6110は、回転ロックアウト刃と協働するスライド回転ロックアウト部材6508によって共有されている。回転ロックアウト刃の目的および詳細は以下の節で説明される。
【0267】
第3旋回ピン6110の位置はハンドルアセンブリ302に対して固定されているので、トリガ4606が操作者によって押し込められた時、第1旋回ピン6116は第3旋回ピン6110から離れて移動する。さらに、第1旋回ピン6116が第3旋回ピン6110から離れて移動すると、第2旋回ピン6118は、第1旋回ピン6116を第3旋回ピン6110に接続する仮想線6120よりも十分に下にある
図61に示す位置で始まる円弧であって、第2旋回ピン6118が、第1旋回ピン6116を第3旋回ピン6110に依然として接続している仮想線6120にさらにより近い
図64に示す位置まで延びる円弧を横切る。
【0268】
図61に示す位置から
図62〜
図64に示す位置を通るトリガ4606の動きは、導波管1502に向かう方向におけるエンドエフェクタ118のクランプ動作を生じさせる。言い替えれば、トリガ4606を押し込むことは、エンドエフェクタ118を、開き位置から閉じ位置に(以下に説明する外側管7302の動きを介して)移動させる。有利には、第1旋回部材6104と第2旋回部材6106との間の相互作用は、
図61〜
図64の比較に示すように、トリガの押し込みを維持するために必要な圧力を変化させることによってトリガの動きを提供する。この可変圧力リンク(6110、6106、6118、6104、6116)は、完全に押し込まれると、例えば
図62に示すようなトリガ4606を部分的に押し込むための圧力と比較して押し込み位置にトリガ4606を保持するためのはるかに小さい圧力しか必要としないので、操作者の手の疲れを有利に低減させる。
【0269】
より具体的には、操作者が最初にトリガ4606に圧力を作用させた時、第1力は、第2旋回ピン6118(
図61に示す方向付けに関連して)を上方に移動させることが必要である。第1旋回ピン6116が近位に移動しなければならないので、エンドエフェクタ118を作動させるために必要な力は実際には縦方向である。この力は円弧に沿って第2旋回ピン6118を移動させ、第2旋回ピン6118は、結果として、第1旋回ピン6116を第3旋回ピン6110から離れて移動させ、旋回部材6104、6106に沿って2つの力ベクトルを規定する。
図61に示す位置での2つの力ベクトルは、約100°の角度6122であり、左に位置する黒いベクトルと右に位置する白いベクトルとを明確化のために示している。
【0270】
ここで
図62を参照すると、トリガ4606が
図61に示す停止位置から移動したことが分かる。この部分的な移動は、第1の組織との接触時に一般的な医療処置中に押し込められたときに生じる。トリガ4606が押し下げられる際、すなわち、トリガ4606がハンドルアセンブリ302に向かって移動する際、第1旋回ピン6116、第1旋回部材6104、第2旋回部材6106および第2旋回ピン6118はすべて位置を変化させる。より具体的には、第2旋回部材6106は、その位置に固定される第3旋回ピン6110周りに回転する。第3旋回ピン6110は固定されているので、第2旋回ピン6118は上方にすなわち仮想線6120に向かって揺動し始める。第2旋回ピン6118が上方に揺動すると、力は、第1旋回部材6104に作用し、第1旋回部材6104に沿って移動して第1旋回ピン6116に作用する。それに応じて、第1旋回ピン6116は、導波管アセンブリ304から離れる方向に近接してスライドする。
図62に示す移動のこの第1段階では、力ベクトル6122の角度が、
図61に示すものから増大していることが分かる。
【0271】
図63では、トリガ4606はさらに閉じられている。その結果、第1旋回部材6104、第2旋回部材6106、第1旋回ピン6116および第2旋回ピン6118のさらなる移動が生じる。この移動が生じると、第2旋回ピン6118は仮想線6120にさらに近づいて移動する、すなわち、第1および第3旋回ピン6116および6110とほぼ同一線上にある。力ベクトル6122によって示されるように、旋回部材6104、6106に作用する力は相互に顕著に反対に向き始める。ベクトル6122の間の例示の角度はこの位置では約150°である。
【0272】
最後に、
図64では、トリガ4606は、ハンドルアセンブリ302のバッテリアセンブリ保持部分に接触するまで押し込められている。これは、第1旋回部材6104、第2旋回部材6106および第1旋回ピン6116の最大移動の点である。ここでは、力ベクトルは相互にほぼ反対向きであり、それによって、トリガ4606で感知される力の量は減少する。すなわち、力学の技術分野では公知であるように、最大の力は、2つのベクトルの力が加法である時、すなわち、同じ方向の位置である時に必要とされ、最小の力は、2つのベクトルの力が減法である時、すなわち、反対の方向の位置である時に必要とされる。
図64に示す方向付けでは、ベクトルは加法よりもより減法になるので、ユーザにとって、
図61に示す位置に比べてトリガ4606を押し込んだまま維持することが非常に簡単になる。
図64に示す最後の閉じ位置は、「ニアオーバーセンタ」位置又は「ニアオーバーセンタリング」位置として本明細書では参照される。トリガ4606がニアオーバーセンタ位置にある時、トリガを押し込まれた位置で維持するために必要とされる力は、約
図61に示す位置からトリガが最初に離れて押し込まれるために必要とされる力の45%、又は、それより小さい。
【0274】
本発明は、超音波運動が導波管1502に作用する時はいつでも導波管アセンブリ304の回転を防止する本発明のさらに別の特徴を提供する。この回転ロックアウトの特徴は、手術処置中に切断刃の意図しない回転運動を防止することによってさらに向上した安全性を提供する。さらに、回転を防止することによって、装置300の作動中、しっかりとした電気接続を維持することを確実にする。より具体的には、振動子の接点リング5406、5408に沿って1つの位置で固定された電気接続が手術中に回転ロックアウトによって維持されるので、電気接点維持のために電気接点5402、5404(例えば、ポゴピン)が発振器および振動子の間で接点リング5406、5408に沿ってスライドする必要はない。本発明の例示の一実施形態によれば、回転ロックアウトは、
図65および
図66に示す回転ロックアウト部材6508の使用を通じて実現される。
【0275】
最初に
図65を参照すると、ハンドルアセンブリ302の右側の拡大斜視図が右側のカバーが取り外されて示されている。この図では、回転ロックアウト部材6508は、回転防止ホイール6502に隣接して位置決めされていることが分かる(回転防止ホイール6502は、導波管回転スピンドル3704に回転して固定されており、それによって、導波管アセンブリ304に固定されている)。従って、導波管アセンブリ304は、回転防止ホイール6502が邪魔されずにその縦軸線上で回転することができる場合のみその縦軸線に沿って回転することができる。
【0276】
回転防止ホイール6502の回転を防止するため、回転ロックアウト部材6508は、当該回転ロックアウト部材6508から回転防止ホイール6502に向かう方向に延びるホイール係合刃6504を有している。
図65に示す位置では、回転ロックアウト部材6508は、ホイール係合刃6504がその外周から所定の距離にあるので、回転防止ホイール6502とは干渉しない。そうした刃6504の方向付けでは、回転防止ホイール6502は、導波管アセンブリ304と同様に、導波管アセンブリ304の縦軸線上で自由に回転する。
【0277】
ここで
図66を参照すると、回転ロックアウト部材6508は回転ブロック位置に配置されている。この位置では、ホイール係合刃6504が、回転防止ホイール6502の外周上の2つの隣接する壁6602の間の空間に進入して、回転防止ホイール6502が回転する場合に壁6602の側面に係合する。回転ロックアウト部材6508はハンドルアセンブリ302内のその位置に固定され、この接続のため、ホイール係合刃6504と回転防止ホイール6502との間の係合が、回転防止ホイール6502の導波管アセンブリ304の縦軸線回りの回転を完全に防止する。例えば、72個の外周上の壁6602を有することによって、回転防止ホイール6502は回転がロックされた時に回転の遊びがほぼない。
図67〜
図69は、ホイール係合刃6504が、ボタン4608が押し込まれた時のみに回転防止ホイール6502に係合して、それによって、導波管1502の超音波振動が生じた時に導波管アセンブリ304のほぼすべての回転運動を防止する。
【0278】
図67は、ハンドルアセンブリ302内の回転ロックアウト部材6508の下側の斜視図を示している。再び、ハンドルアセンブリ302の右側のカバーが取り外されており、それによって、ハンドルアセンブリ302の内部機械的構成要素のいくつかを露出させている。これらの構成要素は、ここでは透視図で示すボタン4608と、回転ロックアウト部材6508とスライド可能に係合するU字形状部材6702と、回転ロックアウト部材6508のボタン部分から離れる方向にU字形状部材6702を付勢するばね6704と、を有している。
図67は、回転ロックアウト部材6508と、U字形状部材6702と、ばね6704と、を示している。
図67に示す位置では、ばね6704は、U字形状部材6702によって発揮される圧力によって予め負荷が掛けられている。回転ロックアウト部材6508は、ハンドルアセンブリ302に固定して連結された旋回ピン6706に回転可能に連結されて旋回ピン6706周りを旋回する。
【0279】
さらに、
図67は、回転防止ホイール6502の壁6602から離れる方向に回転ロックアウト部材6508を付勢するねじればね6708を示している。ねじればね6708は、回転ロックアウト部材6508の自然の停止位置が回転防止ホイール6502との係合を解除されることを確実にする。ねじればね6708のばね力は、ばね6704のばね力よりも小さいように選択される。従って、回転ロックアウト部材6508の移動はばね6704が完全に圧縮される前に生じ得る。
【0280】
回転防止システムの作動時、ボタン4608が短距離にわたって押し込まれた時、ボタン4608の後側は、U字形状部材6702に物理的に接触し、さらなる近位ボタン移動が生じるようにU字形状部材6702を移動させる。言い替えれば、押し込まれた時、ボタン4608は、ばね6704の付勢力に抗う方向にU字形状部材6702に近位力を付与する。この近位力は、ばね6704を圧縮させ、U字形状部材6702を回転ロックアウト部材6508に向かう方向に移動させることを可能にする。この移動は
図68に示されており、U字形状部材6702は、
図67に示す位置よりも回転ロックアウト部材6508により接近する。
図68の図では、U字形状部材6702が、回転ロックアウト部材6508に近接して、ロックアウト部材6508がこの図でばね6704を完全に覆い隠す点まで移動するので、ばね6704はもはや見えない。このような堅い接続を用いない接触により、ロックアウト機構によって起動ボタン4608の離脱が妨害されることが無くなる。このような離脱は、装置の安全動作において重要である。さらに、このような接続により、スイッチの離脱に必要な力が最小化され、操作者の疲労も低減する。
【0281】
ボタン4608がさらに押し込まれた時、
図69に示すように、回転ロックアウト部材6508は、旋回ピン6706周りに旋回し、回転防止ホイール6502に向かって上方に揺動する。この上方への揺動が生じると、ホイール係合刃6504は回転防止ホイール6502の壁6602に係合する。言い替えれば、
図69に示す回転ロックアウト部材6508の位置は、
図66に示す回転ロックアウト部材6508の位置に対応する。同様に、
図67に示す回転ロックアウト部材6508の位置は、
図65に示す回転ロックアウト部材6508の位置に対応する。
【0282】
いくつかの状況では、ボタン4608が押し込まれた時、ホイール係合刃6504は、1つの壁6602上に乗り、壁6602の2つの間に落ちない。この発生を保証するため、ストローク距離が、すなわち、回転ロックアウト部材6508に向かってU字形状部材6702が移動することができる距離が、回転ロックアウト部材6508の実際の物理的な移動を必要とせずに装置の電気的起動を可能にする。すなわち、回転ロックアウト部材6508は、わずかに移動するかもしれないが、超音波作動を生じさせるために2つの壁6602の間に嵌合する必要はない。もちろん、任意の回転移動が回転ロックアウト部材6508を上方かつ壁6602内に移動させるので、回転は依然として防止される。
【0283】
本発明のさらなる例示の実施形態では、
図70および
図71に示すように、回転ロックアウト部材7002は、回転防止ホイール7001の外面7008に係合する1以上の刃7004、7006を備え得る。この特定の実施形態では、回転防止ホイール7001は、
図65〜
図69の回転防止ホイール6502の実施形態のようなその外周の歯を有していない。
図70および
図71の実施形態では、回転防止ホイール7001の外面7008は、歯7004、7006が、外面7008に係合すること、例えば回転防止ホイール7001の外周に実際に切れ込むこと、を可能にするのに十分に可鍛性がある。しかしながら、かみそりタイプの歯7004、7006が利用されるある実施形態では、回転防止ホイール7001は、予期される量の力が作用する時に既定の深さ以上に歯7004、7006が貫通することを防止する程度に十分に硬い。さらに、ロックアウト部材6508およびU字型部材6702の代わりに単一のスタンプ型/エッチ型またはワイヤ型のロックアウト部材を用いてもよく、その場合、そのジオメトリ内において、前記ばねのうち少なくとも1つの代わりに可撓性フィーチャを用いる。
図105および
図106において、この別の構成の2つの例示的実施形態を示す。
【0284】
図71に示すように、回転防止ホイール7001の外面7008内に刃7004、7006が食い込むと、回転防止ホイール7001は、導波管アセンブリ304の縦軸線回りに回転することができないようにされる。もちろん、1つの刃又は3つ以上の刃が、回転防止ホイール7001の回転を防止するために使用され得る。刃7004および7006を相互に分離して角度を付けることによって、回転の防止はいずれの回転方向にも高められる。言い替えれば、刃7004および7006が相互に離れて角度付けられた時、いずれかの方向への回転防止ホイール7001の回転は、回転防止ホイール7001内に刃7004又は7006の1つをより深く食い込ませる。例えばボタンリターンばねに起因して前記ボタンから圧力が無くなった場合、ロックアウト部材7002は回転防止ホイール7001から係合解除される。さらに、回転ロックアウト部材7002のこの特定の実施形態では、回転ロックアウト部材7002の一部が第3旋回ピン6110を掴んでもよい。回転時におけるエネルギー付与を回避するための、電気機械技術および電子光技術を用いた他の方法も可能である。センサー(例えば、磁気位置エンコーダまたは光位置センサー)の任意の組み合わせを用いて、回転検出時において導波管1502へのエネルギー付与を停止させることが可能である。あるいは、このような組み合わせをトリガとして用いて、機械的ロックアウト(例えば、ソレノイドまたはナイフスイッチ)を係合させることも可能である。これらの機械的手段は、センサー無しで用いることも可能であり、任意のエネルギー付与時において回転をロックアウトすることができる。光エンコーダを発振器ハウジング内に配置して、窓を通じて外側方向に方向付けることで、振動子ハウジングの運動を監視することができる。磁気エンコーダを筺体中に完全に埋設すれば、リークパスの危険性をさらに低減することができる。
【0286】
図50を参照すると、再使用可能TAGアセンブリ303がハンドルアセンブリ302から分離して示されている。本発明のTAGアセンブリ303は、変換器シャフト5002を有しており、変換器シャフト5002は、導波管をしっかりとそこに取り付けるように形成されるとともに、変換器シャフト5002の起動時、取り付けられた導波管を励磁する、すなわち、導波管の長さに沿って超音波を付与するように形成された超音波導波管連結部5004を有している。
【0287】
この例示の実施形態では、導波管連結部5004は、雌であり、雌ねじを有しており、既定量のトルクで導波管連結部5004のねじ山上に導波管1502の端部をねじ込むことによって、TAGアセンブリ303を導波管1502(例えば
図45を参照)を固定するために使用される。トルクは、当該トルクによって形成される機械的連結が装置の通常作動時に解けないように十分なものであるべきである。同時に、ねじ山を連結するために作用するトルクは、ねじ山がすり減らされたり又は損傷させられたりする力を超えてはならない。変換器902と導波管1502との間の最初の連結中、必要とされるのは、変換器902および導波管1502の一方が他方に対して相対的に固定されたままであることだけである。導波管回転スピンドル3704は、変換器902に回転して固定して連結され、それらは、TAGアセンブリ303の本体5005にともに回転して自由に接続される。そのようにして、導波管回転スピンドル3704および変換器902は両方とも、本体5005に対して自由に回転することができる。従って、導波管−変換器の接続を確立するように、導波管1502は、導波管回転スピンドル3704が、導波管1502の近位端で対応の雄ねじに変換器シャフト5002の雌ねじを連結するために回転させられる際に固定されたままであり得る。好適には、導波管1502は、TAGアセンブリ303から導波管1502に機械的超音波運動を伝達するために機械的接続が十分であるポイントまで、導波管連結部5004のねじに連結される、すなわち、ねじ込まれる。
【0288】
本発明の例示の一実施形態では、トルクレンチ(
図88参照)が、導波管回転スピンドル3704に連結し、ユーザが既定量のトルクまでスピンドル3704を回転させることを可能にする。導波管連結部5004および導波管1502の回転連結圧力が既定量のトルクを超えると、トルクレンチ8810の外側部分が内側部分8820周りおよびそれによってスピンドル3704周りにすべり、スピンドル3704のさらなる回転は生じない。本発明のトルクレンチ8800の使用を通じて、操作者は、導波管1502内でTAGアセンブリ303の間の結合に対して適切な量の張力を精確に作用させることができ、導波管連結部5004上又は導波管1502上のいずれかのねじ山を損傷させることを防止する。
【0289】
トルクレンチのこの実施形態は、TAGアセンブリ303に外力を作用させずにTAGアセンブリ303のレンチの滑り落ちの可能性を排除するためにスピンドル3704上を掴む。より詳細には、
図50を参照して、スピンドル3704にレンチグリップ面5014を設ける。レンチグリップ面5014は、スピンドル3704の近位端の周囲に円周方向に配置される。この例示的実施形態において、レンチグリップ面5014は圧痕である。一方、トルクレンチ8800の内側部8820には、可撓性歯部8822が設けられる。これらの可撓性歯部8822はそれぞれ、スピンドル−グリップ面8824を規定する内側遠位表面を有する。この例示的実施形態において、スピンドルグリップ面8824は、若干凸状に半球型の突起部を有する。これらの突起部は、レンチグリップ面5014の凹状に半球型の圧痕に対応する形状を有する。このようにして、内側部8820がスピンドル3704の近位端へと接続されると、内側部8820の各歯部8822が外側方向に撓んだ後にパチリと戻り、これにより、歯部8822の対応する突起部8824を各圧痕5014内の所定位置へと配置させる。その後、ユーザは、外側部8820を完全に解放することができ、除去が望まれるまでずっとレンチ8800はスピンドル3704上に残留する。
【0290】
所定量のトルクが来るまでトルクレンチ8800の内側部8810および外側部8820が相互に回転接続できるようにするために、外側部8810にラチェットギア8812を設け、内側部8820にラチェット8826を設ける。所定量のトルクにおいてスリップするように、ギア8812の傾斜および内側範囲と、ラチェット8826の外側円周および歯サイズとを選択する。十分な弾性の材料を用いることで、2つの部分8810および8820が相互に滑るトルク値を高精度に設定することが可能になる。新規なトルクレンチ8800を用いることにより、操作者は、導波管1502内のTAGアセンブリ303間の接合部に適切な量の張力を高精度に付与することができ、また、導波管連結部5004または導波管1502のいずれかの上のネジを損傷することもなくなる。トルクレンチのトルクに対抗するために、操作者は、トルクレンチ回転時において回転ホイールを保持しなくてはならない。この動作のため、例示的実施形態において、ロックアウトボタンをハンドル半分部と一体化させることができる。このロックアウトボタンは、操作者によって押圧され、押圧されると、回転防止ホイールを係合させ、これにより、シャフトアセンブリの自由回転を最小の付与力で停止させる。
【0291】
TAGアセンブリ303は、外部から内部作動構成要素を保護してシールする、上側ハウジング部5020および下側ハウジング部5030によって構成されたハウジングを有している。
図50および
図53を参照されたい。TAGアセンブリ303は作動環境の滅菌野にあるので、例えば気相の過酸化水素によって有利に滅菌可能である。従って、上側ハウジング5020および下側ハウジング5030の間のシールは無菌でありかつ/又は密閉される。
【0292】
本発明の例示の図示しない一実施形態によれば、変換器902は、完全にハウジング5006内に配置されており、ハウジング5006は、操作者によって、例えば、導波管アセンブリ304が固定された時に手でしっかりと保持することによって容易に固定されない。そうした実施形態では、TAGアセンブリ303は振動子回転ロックを備えている。例えば、振動子回転ロックは、ハウジング5006内の凹部内にスライドするボタンであってよく、又は、代替として、最大回転、例えば360度の回転に到達した時にさらなる回転が不可能であるとともに導波管アセンブリ304がねじ込まれ得るように最大回転で振動子902の回転を固定させることによる。もちろん、反対方向の最大回転は導波管アセンブリ304が同様に取り外されることを可能にする。別の例示的実施形態において、トルクレンチがハンドルそのものにおいて採用される。この例示的実施形態は図示されていないが、
図87および
図88を参照すれば理解され得る。
図88から分かるように、1つの可能なトルク制限装置を、内側ラチェット部8826およびラチェットギア8812と共に構成する。このラチェット式アセンブリは、回転防止ホイール6502内に構築することができる。その一部を
図87中に示す。この回転防止ホイール6502は、内側ラジアル部および外側ラジアル部によって構成される。これら2つの部分は、相互に回転可能であり、そのうちいずれかを内側ラチェット部8826のうちの1つと共に形成することができ、他方をラチェットギア8812と共に形成することができる。このようにして、ユーザは、振動子の近位ノブを静止状態で保持することができ、スピンドル3704の回転を利用して、導波管および振動子を共に接続することができる。所望のトルクに到達した場合、内側ラチェット部8826およびラチェットギア8812はスリップして、これにより過度のトルクを回避する。前記導波管が正しい量のトルクによって前記振動子へと接続された後は、処置時におけるスピンドル回転は影響を受けない。なぜならば、スピンドル3704を回転させるために必要なポンド数は、トルクラチェット型機能に打ち勝つために必要なポンド数よりもずっと低いからである。
【0293】
ハウジング5006は、ハンドルアセンブリ302の対応のコネクタ部分に選択的に着脱可能に固定するように形作られた固定接続部5012を有している。例えば
図56を参照されたい。接続部5012は、TAGアセンブリ303が、例えば
図50〜
図53および
図56に示す例示の「ダブテール」設計などの任意の連結接続部であってよく、連結接続部は、TAGアセンブリ303がハンドルアセンブリ302に着脱可能に取り付けられて固定されることを可能にする。
図56において、TAG保持装置5604が設けられる。TAG保持装置5604は機械的フィーチャであり、TAGアセンブリ303自重によってハンドルアセンブリ302から滑り落ちないようにするためのものである。保持装置5604から固定接続部5012へと付与される摩擦により、少なくともTAGアセンブリ303の重量よりも高い力に打ち勝つことなくTAGアセンブリを使い捨て部から引き抜くことが困難になる。TAG保持装置5604は、
図61〜
図64および
図86に示すような指型形状であってもよいし、あるいは、スライドレールと干渉する1つ以上のバンプであってもよい。これら2つの部分を分離させるために必要な力により、TAGアセンブリ303が交換または取り外し時に不慮に落下する事態が回避される。ハンドルアセンブリ302とTAGアセンブリ303との間の接触領域を密閉することが可能であり、これにより、手術用流体がTAGアセンブリ303と接触した場合に、ハンドルアセンブリ302およびTAGアセンブリ303に起因して前記流体がTAG取付ドック4502内に侵入する事態が回避される。
【0294】
TAGアセンブリ303がハンドルアセンブリ302から選択的に着脱可能であることが有利である。分離した構成要素として、TAGアセンブリ303は、医療的に消毒され又は滅菌され(例えば、STERRAD(登録商標)、V−PRO(登録商標)のオートクレーブ)、および、複数の手術に再使用され得る一方で、高価でないハンドルアセンブリ302自体が使い捨てであってよい。さらに、TAGアセンブリ303は、廃棄を必要とする前に所望の最大回数まで複数のハンドル又は同じハンドルで使用されることが可能である。さらなる実施形態において、TAGアセンブリ303の振動子902は、発振器904から選択的に着脱することが可能であり、これにより、洗浄時におけるアクセスが向上する。このような実施形態において、振動子を発振器へ整合させる本発明によって提供される恩恵は、振動子の較正係数を発振器へと送るための通信システムと共に振動子を構成することにより、維持することができる。
【0295】
図51および
図52は、TAGアセンブリ303の2つのさらなる斜視図を提供する。
図52は、TAGアセンブリ303のハウジング5005の外面上にユーザディスプレイシステム(例えばRGBのLED906)の例示的ディスプレイウィンドウを示している。上述のように、RGBのLED906は、手術アセンブリ300の状態およびモードを示す様々な信号をユーザに提供する。ユーザへと表示される多様な条件およびモードには、取付時におけるバッテリレベルが不適切である通知(すなわち、始動確認およびソフトウェア起動を行うための十分なエネルギーがバッテリ内に無いかまたは当該バッテリ自体が不良である通知)も含まれ得る。正の表示は、適切な始動を含み得る(すなわち、バッテリがTAGへと接続された際に、バッテリ/TAG通信によって通信された適切な電力があり、恐らくは利用可能なTAG寿命長さがある旨、または、システムが準備完了となっており、利用可能なように待機状態である旨)。低モードおよび高モード双方の起動が表示され得る。TAGについて、寿命切れまたは他のTAG関連故障が表示され得る。バッテリについて、バッテリの接続後またはバッテリ使用時において、低状態が表示され得る。前記表示による指示内容としては、例えば、バッテリの初回取付時において当該バッテリの残り充電量がわずかおよそ20%である旨がある。バッテリ充電の終了または他のバッテリ故障も表示され得る。最後に、多様なシステム故障(例えば、一般的故障、バッテリまたはTAGソフトウェアの非機能)が表示され得る。
【0296】
図53は、ハウジング5020が取り外されたTAGアセンブリ303の平面図を示しており、それによって、TAGアセンブリ303の発振器回路が露出している。例えば
図9を参照されたい。さらに例示の実施形態では、発振器回路は、少なくともTAGアセンブリ303のプロセッサ又はバッテリアセンブリ301内のプロセッサ(またはその任意の回路内に一体化されたもの)に電気的に接続されるメモリを有している。メモリは、例えば、TAGアセンブリ303が使用されるごとの記録を格納するために使用されることが可能である。TAGアセンブリ303および/又は導波管アセンブリ304および/又はハウジングアセンブリ302および/又はバッテリアセンブリ301に関連する他のデータはその後のアクセスおよび解析のために同様に格納され得る。この記録は、装置、特にTAGアセンブリ303自体の有用な又は許容された耐用年数の任意の部分の限度を評価するために有用である。例えば、TAGアセンブリが20回使用されると、TAGアセンブリ303又はバッテリアセンブリ301は、特定のハンドル又はバッテリがその「古い」TAGアセンブリとともに機能することを可能にしないようにプログラムされている(例えば、TAGアセンブリ303はその後「もはや信頼性がない」手術器具であるので)。メモリは、装置のいずれの周辺機器の使用回数をも格納することができる。例示説明の目的のためのみであるが、所定の回数の使用後、装置の部品の1つが、部品同士の間の許容差が限度を越えたものとして考慮され得るため、摩耗したものと考慮され得ることが可能である。この摩耗は、処置中の受け入れられない失敗につながり得る。いくつかの例示の実施形態では、メモリは、装置と組み合わせた部品の記録および各部品が経た使用回数を格納する。
【0297】
場合によっては、TAGアセンブリ303がバッテリアセンブリ301から接続切断された場合においても、フィードバックをユーザへ提供することが望ましい場合がある(例えば、TAGアセンブリ303の「寿命切れ」または「信頼性の喪失」の場合)。このような表示により、TAGアセンブリ303の有効寿命が切れていて使用不可能となっているため当該TAGアセンブリ303を流通から外すべき旨が通知される。このような場合において通常よくあるように、その医師は、当該装置の適切な組み立てや、当該装置からTAGアセンブリ303を取り外す担当者と異なる場合がある。よって、TAGアセンブリ303を持続的インジケータを含むように有用に構成することができ、このインジケータの電源をバッテリアセンブリ301と別個に設けるとよい。このインジケータは、「寿命切れ」終了警告を示した後、TAGアセンブリ303とバッテリアセンブリ301とが最も最近に(または最後に)接続された時期を示し、これにより、TAGアセンブリ303をすぐに廃棄すべき旨を通知する。これにより、これ以上この使用済TAGアセンブリ303を同一のまたは異なるバッテリアセンブリ301を接続してエネルギーが無駄になることを防ぐ。あるいは、その後の別のバッテリアセンブリ301への接続後すぐにインジケータによって警告を通知してもよく、これにより、装置起動前に当該アセンブリを廃棄できるようにする。いずれの実行においても、装置組み立ての担当者に向けて警告が保存される。ユーザへ寿命切れ通知を提供するための複数のスキームが考えられる(例えば、電力を不要とするかまたは電力を引き込む一次電池、スーパーコンデンサまたはディスプレイ)。例えば、スーパーコンデンサおよび超低電力LEDドライブを用いて、点滅インジケータを提供することができる。これらの回路による電力消費はマイクロアンペア範囲内であるため、これらの回路により、複数時間さらには複数日数にわたって信頼性のある通知を得ることが可能である。
【0298】
いくつかの例示の実施形態では、メモリはバッテリアセンブリ301内にあり、ハンドルアセンブリ302は装置識別子を備えており、装置識別子は、少なくともバッテリアセンブリ301に通信可能に連結されており、例えば先の段落で説明した使用履歴、手術ハンドル識別子、以前の使用の履歴、および/又は、導波管識別子などの、超音波手術アセンブリ300に関する情報の少なくとも一部分をスマートバッテリ301に通信するように作動可能である。このようにして、1つのスマートバッテリアセンブリ301は、複数の異なるハンドルアセンブリ302およびTAGアセンブリ303上の使用情報を記録することができる。バッテリアセンブリ301が充電ユニット内に配置された時、そうしたメモリはアクセス可能であり、システム301、302/304、303の各部分に関するデータは、充電器内にダウンロードされ、必要であれば、充電ステーションに(例えウェブを介して)通信可能に連結される中央設備に送信される。
【0299】
図54は、発振器904に対する変換器902の物理的回転が可能であるように発振器904および変換器902がどのようにして電気的かつ物理的に結合されているかの一例を示している。この例では、発振器904は、変換器902に隣接してその下側から突出する1対の接点5402、5404を有している。接点5402および5404は、任意の様態でTAGハウジングへ接続することが可能である。図示の例示的実施形態において、発振器基板とTAGハウジングの一部との間の所定位置において、接点5402および5404が配置される。示されるように、前記TAGハウジングは、上側発振器ハウジング5410と、下側振動子ハウジング5430とによって規定される。発振器ハウジングは、上側ハウジング部5020と、下側ハウジング部5030とを有する。よって、接点5402および5404を取り付けるためには、接点5402および5404を下側ハウジング部5030内に配置した後、oリング(図示)または接着剤によって所定位置に密閉する。その後、発振器基板5460を接点5402および5404の上部上に配置し、電気接触のために接続させる。上側ハウジング部5020は、TAGアセンブリ上に配置されているため、発振器基板5460を所定位置に保持する機能を果たし、これにより接点5402および5404を動かないように捕獲する。上側ハウジング部5020上のこれらのフィーチャは、例えば、指部であり得る。これらの指部は、基板5460そのものに押圧されるか、または、発振器基板5460上のより大型の要素上に押圧される。さらに、圧縮材料を用いることで両者間に許容差を設け、これにより、基板移動に起動して接続部との断続的接触を発生する可能性が低減される。
【0300】
発振器904に対する変換器902の近位には、必要な場合に駆動信号が変換器902に安定して信頼高く適用されるように変換器の本体902上の接点リング5406、5408の対応の対に物理的に連通している1対の接点5402、5404が配置される。有利には、接点5402、5404の対は、変換器902の回転角に拘わらずに電気接続を維持する。従って、この例示的実施形態では、変換器902は、回転の最大角又は数に関するなんらの制限なく回転することができる。さらに、リング5406、5408および接点5402、5404は、トルクレンチが導波管1502に対して変換器902を固定することを停止させる回転位置に拘わらず発振器回路に電気的に接触したままであることを確実にする。接触リングと接点との間の摩擦軽減を支援する例示的実施形態において、これらのリングに、高研磨仕上げされた表面を設ける。また、接触をばね付勢によって行うため、接触ばね力が最小化され、これにより接触力が低下し、最終的に摩擦も低減する。平滑な表面および低ピン押圧力により、摩擦が最小に抑えられ、これにより、これら2つの回転部分間の摩耗が最小化される。上記とめっきプロセスとにより、噛み合い部分間の電気接続の中断が確実に無くなる。
【0301】
振動子ハウジング5430はまた、近位ハウジング部5432および遠位ハウジング部5434の2つの部分によって構成される。
図50に見られるように、下側ハウジング部5030は、2つのハウジングリング5416および5418を有する。これらのハウジングリング5416および5418は、振動子ハウジング5430を発振器ハウジング5410へと回転可能な様態で固定する。近位ハウジングリング5418は、円形外側直径近位振動子部5432を放射方向に捕獲するだけである。振動子902を放射方向かつ長手方向に捕獲するのは、遠位ハウジングリング5416である。より詳細には、遠位ハウジングリング5416の近位側の近位oリング5440は、長手方向捕獲の一部を提供し、遠位ハウジングリング5416の遠位側の締結部5442は、長手方向捕獲の他の部分を提供する。締結部5442は、例えば、1つ以上のスナップリングであり得る。このような確実な長手方向捕獲により、発振器904と振動子902との間の電気接続を確実にするように、2つの振動子接触リング5406および5408が2つの接点5402および5404と長手方向に整列される。
【0302】
図37に示すように、手術ハンドルアセンブリ302は、導波管アセンブリ304に取り付けられたスピンドル3704を有している。スピンドル3704は刻み目を有しており、刻み目によれば、外科医が1以上の指でスピンドル3704を容易に回転させることができ、従って、取り付けられた導波管アセンブリ304と導波管1502に接続される変換器902とを対応して回転させることができる。そうした構成は、手術中に所望の切断刃角を得るために有用である。
【0303】
図55は、本体5005および変換器のシェルが取り外されたTAGアセンブリ303の例示の一実施形態を示している。電圧が圧電結晶スタック1504に印加された時、シャフト5002はハウジング5020および5030に対して縦方向に移動する。この実施形態では、導波管連結装置5004は、雌であり、雌ねじ(この図では見えない)を有しており、雌ねじは、導波管1502を適切な量のトルクでねじにねじ込むことによって、導波管1502(ここでは図示せず)にTAGアセンブリ303を固定するために使用される。
【0304】
TAGアセンブリ303の新規な特徴は、機械的および電気的に同時に接続するその能力である。
図56は、ハンドルアセンブリ302へのドッキング工程時、TAGアセンブリ303の例示の実施形態を示している。変換器902が、(ハンドルアセンブリ302に取り付けられた)導波管1502に連結されると同時に、TAGアセンブリの電気コネクタ5010は、ハンドルアセンブリの電気コネクタ5602に接触する。TAGの電気コネクタ5010とハンドルの電気コネクタ5602の連結は、例えば
図37に示すように、ハンドルアセンブリ302にドックされたバッテリアセンブリ301と圧電結晶スタック1504とを電気的に通信させる(直接又は間接)。このほぼ同時の連結は、本発明のすべての実施形態で生じるように形成され得る。この接続のピンは独自のものであり、
図54の左側にも図示される。ここで、単一の右側角度ピンがプラスチック発振器ハウジング5030内に一体成形され、これにより、コネクタ5010用のピンが一体成形される。同様に、これらのピンはそれぞれ、発振器筺体の内部内に上方に延びて、発振器回路基板5460との接続を提供する。回路基板接続は、半田によって達成することもできるし、あるいは、簡潔な様態で発振器基板5460に取り付けられたソケットを通じて達成することが可能である。このようにして、振動子902の電極(ポゴピン)5402および5404への接続を可能にするソケット組み合わせることにより、アセンブリプロセスが簡略化される。よって、発振器ハウジング5410の組み立ては、垂直ピンのアレイ上に発振器基板5460を配置した後にハウジング5410を密閉するだけの簡単なプロセスとなる。下側ハウジング部5030から上方に延びる突起部は、回路基板5460を横方向に支持し、上側ハウジング部5020に対して類似の突起部を提供する。これらの突起部の間において、発振器基板5460が完全に捕獲される。発振器904からの視覚出力は、上側ハウジング部5410内の半透明窓5410を通じて確認される。LEDを発振器904上に戦略的に配置することで、前記窓からの発光を可能にする。前記LEDと前記窓との間の空間により、より大きな領域上への光拡散が可能となり、前記窓に拡散材料を付加することにより、発光を均等にすることができる。例示的実施形態において、これらの窓は、上側ハウジング部5020の上側曲線状表面の周囲を包囲し、これにより、広範囲の視認角度および動作角度にわたって視認可能となる。
【0305】
本発明のさらなる例示の実施形態によれば、TAGアセンブリ303は、電気接続を確立することに先立って機械的接続を提供する。すなわち、ハンドル302にTAGアセンブリ303を取り付ける際、TAGアセンブリの電気コネクタ5010とハンドルアセンブリのTAG電気コネクタ5602との間の電気接続がなされる前に導波管1502と超音波導波管連結部5004との間に機械的接続が確立される。有利には、機械的接続が確立された後に電気的接続がなされるので、本実施形態では電気的な「跳ね上がり」が防止される。より具体的には、導波管1502のねじ8604が超音波導波管連結部5004に連結すると、しっかりとした機械的接続の後になされた電気的接続は、TAGアセンブリの電気接続5010およびTAGへのハンドルアセンブリ電気コネクタ5602が固定位置関係にあることを保証し、少なくとも瞬間的に、および、電気的接続の即時の取り外しおよび復帰は生じない。同様に、アセンブリ300が分解された時、電気的接続は機械的接続の完全な分離に先立って断たれる。
【0306】
ハンドル302の電気コネクタ5602を
図86および
図108に最良に示す。TAGアセンブリ303がハンドル302へと機械的に接続されると、電気接続が得られる。TAGアセンブリ303の電気コネクタ5010を
図50および
図54に示す。TAGアセンブリ303の電気コネクタ5010に含まれる面取り矩形止まり穴内には導電性ピン5470が設けられ、これらの導電性ピン5470は、穴部の長手方向範囲に沿ってセンタリングされた穴部の下部から延びる。ハンドル302の電気コネクタ5602を
図86および
図108に示す。ハンドル302の電気コネクタ5602は、導体レール8630と、軟性ガスケット8632と、硬質裏打ち部8634とを含む。硬質裏打ち部8634は、フレックス回路ハーネス3516の硬質部でもある。フレックス回路ハーネス3516は、マルチリードハンドル端子アセンブリ3502において、ハンドル302の電気コネクタ5602をフレックス回路基板3514へと電気的に接続させる。
【0307】
先ず、TAGアセンブリ303の電気コネクタ5010と、軟性ガスケット8632とが接触する。さらなる連結によりガスケット8632が圧縮され、可撓ハーネス3516のより硬質な部分8634に対するこの圧縮力により、流体密封シールがコネクタ5010と可撓ハーネス3516との間に得られる。この接続は、コネクタレール8630を完全に包囲し、コネクタ5010と補強材8634との間のいかなる空間内への流体侵入をも回避する。導体レール8630内に挿入されたコネクタ5010のピン5470自体が埋め込まれることにより、発振器904との流体接触が回避される。この同一構成を用いて、ハンドル302と、バッテリ301のハウジングとの間にシールを形成する。
【0308】
本発明の他の例示の実施形態によれば、超音波手術装置300は、複数のタイプの導波管、すなわち異なる寸法を有する導波管を受け入れて駆動させることができる。手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300は、異なるタイプ/寸法の導波管1502を受け入れて駆動させることができる場合、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300は、発振器904に連結された導波管検出器であって、変換器902に取り付けられた導波管1502のタイプ(すなわち、寸法又は特性)を検出するように作動可能であるとともに、検出された導波管のタイプに基づいて駆動波周波数および/又は駆動波電力を発振器904が変化させるように作動可能である導波管検出器を備えている。導波管検出器は、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300に接続された導波管1502の少なくとも1つの性質を識別することができる、任意の装置、一連の構成要素、ソフトウェア、電気的接続、又はその他であり得る。
【0310】
図73〜
図87は、導波管アセンブリ304の例示の実施形態の詳細な図を提供する。導波管アセンブリ304は、導波管1502がTAGアセンブリ303に物理的に連結された時に変換器902から直接的に超音波振動を受け取る。導波管1502の刃部分7304は、扱われる組織にこの超音波エネルギーを伝達する。超音波運動刃部分7304は、有機組織の効率的な切断を容易にし、切断箇所の血管の凝固、すなわち、焼灼を通じて凝固を促進する。
【0311】
図73を参照すると、導波管アセンブリ304の遠位端7306の部分的な斜視図が示される。導波管アセンブリ304は、導波管1502の一部を取り囲む外側管7302を有している。導波管1502の刃部分7304は、外側管7302の遠位端7306から突出している。医療処置中に組織に接触して組織に超音波エネルギーを伝達するのはこの刃部分7304である。導波管アセンブリ304はまた、外側管7302および内側管(この図では見えない)の両方に連結された顎部材7308を有している。顎部材7308は、内側管7302、外側管7402、および刃部分7304と共にエンドエフェクタと称することができる。以下に説明するように、外側管7302および図示しない内側管は相互に縦方向にスライドする。外側管7302と図示しない内側管との間の相対移動が生じると、顎部7308は旋回点7310上で旋回し、それによって、顎部7308を開閉する。閉じられると、顎部7308は、顎部7308および刃部分7304の間に配置された組織上に圧迫力を付与して、刃と組織との明確で効率的な接触を保証する。
【0312】
図74は、外側管7302が取り外された
図73に示す導波管アセンブリ304の遠位端7306の下側の斜視図である。この図では、内側管7402の遠位端7306が顎部7308に連結されて示されている。この連結は、
図74に示す例示の実施形態では、顎部7308がその間に挿入された時にボス7408を掴む対のアーム7418、7420の各々内でボス係合開口部7414を有する顎部7308上の1対のボス7408の結合体によって提供される。この関係は、
図75の下側の断面斜視図により良く示されている。この図から、内側管7402のアーム7418、7420のボス係合開口部7414がくさび形7502にされることが分かる。くさび形のアーム7418、7420は内側管7402と顎部7308との間のしっかりとした接続を提供する。開口部7414をくさび形にすることによって、内側管7402は、構造的圧力/支持のための外側管7302上にあるようにすることなく顎部7308上のボス7408に係合することができる。
【0313】
図75はまた、導波管1502が、顎部7308又は内側管7402から分離している、すなわち、顎部7308又は内側管7402に取り付けられていないことを示している。言い替えれば、導波管1502は、超音波エネルギーによってエネルギーを与えられた時に、内側管7402および顎部7308に対して移動するものの、内側管7402には接触せずに、顎部7308がその間に組織なしで刃部分7304に対して旋回する場合に顎部7308にのみ接触する。導波管1502のこの独立した移動を容易にする本発明の特徴を以下に説明する。
【0314】
図74に戻ると、顎部7308は、その近位端7426に1対のフランジ7422、7424を備えている。フランジ7422、7424は延びてその反対側で導波管1502を取り囲む。フランジ7422、7424の各々1つは、その端部に、旋回制御タブ7411、7412をそれぞれ有しており、旋回制御タブ7411、7412は、顎部7308のボス7408がアーム7418、7420内のボス係合開口部7414内に固定された時に導波管1502の下方に延びる。旋回制御タブ7411、7412が、
図74に示すように導波管1502の下方に延びる必要はない。この構成は例示の実施形態にある。
【0315】
顎部7308を潤滑させることにより、旋回制御タブ7411および7412と、外側管7302との間の摩擦およびボス7408と内側管7402との間の摩擦を低減することができる。このような潤滑により、円滑な作動が可能となり、噛み合い部分間の摩耗が低減する。また、潤滑により、旋回制御タブ7411および7412の近位側をより気密に取り付けることが可能となり、また、外側管7302のプロファイリングをより高精度に行うことも可能となり、その結果、顎部7308上のバックラッシュが低減する。局所的に付加された潤滑剤の高速変位を防ぐために、潤滑剤の1つの例示的実施形態として、PTFE潤滑剤の乾燥がある。顎部の上面上にこのように潤滑剤を露出させることにより、トロカールを通じた装置挿入がさらに支援される。図示の例示的実施形態において、旋回制御タブ7411および7412が2つのアームとして図示されており、導波管1502にまたがっている。しかし、単一のアームによって導波管1502を包囲し、このアームが下部中心線上の外側管7302と相互作用する場合においても、同じ機能を達成することが可能である。どちらの場合においても、制御タブの下部(単数または複数)7411(7412)は、最大シャフト直径と整合するように円形状になっており、トロカール内へ挿入可能であり、また鋭角縁部の存在を低減させる。
【0316】
図73を再び簡潔に参照すると、導波管アセンブリ304の端面立面図は、顎部7308のフランジ7422、7424の旋回制御タブ7411、7412が外側管7302の遠位部分7306の1対の開口部7311、7312に係合することを示している。これらの特徴は、
図77の断片的な断面側面図にさらに良く示されている。
【0317】
図77の図は断面図であるので、2つのフランジ7422、7424の1つ7424のみが示されており、示される表面はフランジ7424の内面である。対応して、旋回制御タブ7412の1つのみが、外側管7302の遠位部分7306の1対の開口部7312のうちの1つとともに示されている。この図は、開口部7312が旋回制御タブ7412を取り囲んで掴むことを明確にしている。従って、外側管7302が顎部7308に向かって移動すると、開口部7312もまた顎部7308に対して移動する。反対に、外側管7302が顎部7308から離れて移動すると、開口部7312もまた反対方向に顎部7308に対して移動する。開口部7312内に入れ子状に収まった捕まえられた旋回制御タブ7412は、旋回点7310周りに顎部7308の対応の回転運動を引き起こす。
【0318】
図78は、導波管アセンブリ304のエンドエフェクタの部分側面図である。この図は、外側管7302が、顎部7308のフランジ7422をほぼ覆っており、開口部7311から伸びる旋回制御タブ7411のみを残している。外側管7302が近位方向7702、すなわち、顎部7308から離れる方向にスライドした時、外側管7302は近位方向7702に旋回制御タブ7411、7412を引っ張ることは明らかである。この動作によれば、顎部7308は、導波管1502の刃部分7304に向かって閉じるすなわちクランプするために、
図78の時計回りに旋回点7310回りに旋回する。顎部7308のこの閉じ位置は
図79に示されている。導波管アセンブリ304の例示的実施形態の構成が有利であるのは、リベット打ちまたは溶接を用いずに組み立てを行うことが可能であるからである。すなわち、全部品が機械的に捕獲される(例えば、旋回制御タブ7411および7412が開口部7311内に嵌まることにより、リベット打ちまたは溶接を用いずに導波管を機械的にロックすることができる)。この組み立て手順について、さらに以下に詳述する。
【0319】
図80は、閉じ位置にある顎部7308の遠位端の別の図を提供し、顎部7308は導波管1502の刃部分7304と接触して配置されている。エンドエフェクタは、顎部材7308の内部と、刃部7304の対向表面との間の組織を捕獲する。このような様態で組織を捕獲することにより、導波管1502とのしっかりとした接点において前記組織を有利に配置することができる。よって、導波管1502が超音波により動くと、前記導波管の動きが直接前記組織へと伝達され、その結果、切断、焼灼またはこれら両方が行われる。導波管1502の刃部7304の撓みを発生させる干渉を、エンドエフェクタにおいて発生したクランプ力下において発生させると有用であることが分かっている。導波管1502の撓みは、遠位シール(すなわち、連結スプール8104)の屈曲力および圧縮力が組み合わさって発生する。本発明の遠位シールの構成によりエラストマー支持部の厚さは最小化されるものの、導波管1502の撓みは大幅なものであり得る。刃部7304とエンドエフェクタ顎部7308のライナー7314との間の初期接触が平行である場合、導波管1502の屈折と共に、顎部7308の根元において空間が発生するであろう。そのため、本発明において、顎部7308の根元において力を付加するように初期接触を構成し、フルクランプ力の付加時に刃部7304と平行になるようにする。
図80は、切断刃7304の切断プロファイルの例示的実施形態を示す。所望の組織または血管の切断および焼灼/密閉(クランプ力、変位、および周波数を除く)を達成するために、切断刃7304は、刃部7304のプロファイルと顎部7308のライナー7314との間において、高応力集中部および低応力集中部の複合物を含む。所望の血管密閉を達成するために、血管の上部および下部を相互接続するためのシームを前記血管に設ける必要がある。前記シームの中央を切断する必要があり、また、密閉のためおよび焦げの回避のために逃げ量を設けることで、組織の流動できるようにすることが望まれる。
図80に示すプロファイルにより、双方の所望の特性が得られる。第1に、この刃プロファイルにより、狭くかつ比較的平坦なスパイン部8002が得られ、これにより、クランプ力からの圧力が一定レベルにおいて局所的シームへと集中する。この一定レベルにより、組織が一時的に留まることが可能になり、これにより、凝固および最終的切断が可能となる。この滞留時間(すなわち、密閉プロセス)において、曲線状側プロファイル8004を切断部から遠位方向に設けることにより、隣接組織を変位させる。刃部7304の上部および下部上の高応力シームを用いることで、切開(すなわち、後方切れ目入れ)が支援される。組織または血管の切断/密閉時において、組織/血管の完全性を追跡すると有用であり得る。本発明においては、金属導波管1502を2極電気回路の1極として用いて、特性(例えば、導波管1502の刃部7304における組織のインピーダンスおよび/またはキャパシタンス)を測定する。導電性材料の導波管1502は、既にTAGへと電気的に接続されている。この接続により、2極測定回路のうち第1のものが形成される。反対側の極は、顎部7308内のライナー7314の一部である。例示的実施形態において、ハンドル302内の別個の導電性リードまたは他の導電性要素により、ライナー7314がTAGへと接続される。
【0320】
外側管7302の移動を容易にするため、
図74を再び参照すると、1以上のコルセット7404が内側管7402上に設けられる。コルセット7404は、内側管7402の平均的な外径Dよりも小さい径D’を有する内側管7402の領域である。
図74を参照されたい。本発明の例示の実施形態によれば、コルセット7404は超音波導波管1502の節に設けられる。言い替えれば、コルセット7404は、導波管1502が共振周波数において超音波運動を示さない導波管1502に沿ったポイントに配置される。従って、内側管7402の小径部および外側管7302の内面に対するその物理的連結部とは、超音波周波数で共振する導波管の能力に悪影響を及ぼさない。
図74および
図75にも示すように、例えば、シール7406はコルセット7404内にある。例示の実施形態によれば、シール7406はエラストマーのOリングタイプのシールである。もちろん、様々な他の物質が同様に選択されてよい。シール7406は、シール効果が維持されるものの顎が作動された時に実質的な摩擦なしで外側管7302および内側管7402が相互に移動しないように、7402の外径Dよりも十分に大きな外径を有している。
【0321】
図74および
図75にも示すように、シール7406の厚さは、シール7406があるコルセット7404の縦方向長さよりも小さい。この寸法の相違は、図示するようにほぼ環状断面を有する環として形作られた時にサドル7426の縦方向範囲に沿ってシール7406が移動することを可能にする。特に、シール7406のこの移動特性は、外側管7302が内側管7402に対して並進させられる時に生じる。さらに具体的には、シール7406は、
図75および
図77に示すように、外側管7302の内面および内側管7402のサドル7426の間の隙間を乗り越える寸法すなわち環状高さを有している。この隙間を完全に充填することによって、導波管アセンブリ304の遠位端7306にあるシール7406は、外側管7302と内側管7402との間の領域内に湿気や他の汚染物の侵入を防止する。それにも関わらず、外側管7302が並進すると、外側管7302、内側管7402およびシール7406の間の隙間のない嵌合が、シール7406をサドル7426内で移動(例えば、回転又はスライド)させる一方で、毎回、外側管7302と内側管7402との間の水密のシールを維持する。この並進Tが、例えば、
図77の太字の矢印によって示されている。
【0322】
図81を参照すると、サドル7426にある導波管アセンブリ304の遠位端が断面で示されている。この図は、コルセット7404のサドル7426内でその間に配置された内側管7402およびシール7406を取り囲む外側管7302を示している。説明したように、変形可能シール7406は、シール7406の遠位側8108からシール7406の近位側8110まで湿気や他の汚染物が通過することを防止するために外側管7302の内壁8102およびサドル7426の外面との間の水密接続である。
図81は、連結スプールまたは密閉スプール8104の断面も示す。連結スプール8104は、導波管1502の遠位部分を取り囲んでおり、コルセット7404とほぼ同一の縦方向位置に配置されている。上述のように、コルセット7404は、導波管1502の超音波運動節に配置されているかまたは超音波運動節のほぼ近くに配置されている。従って、連結スプール8104も、導波管1502の節に又はほぼ近くに配置されており、同様に、超音波運動を受け取るようにに導波管1502に連結していない。連結スプール8104は、コルセット7404の内面8106に導波管1502を物理的に連接する支持構造を提供する。
図81の断面図では、連結スプール8104はバーベル形状の縦方向断面を有している。エラストマー材料のこの減少した断面は、クランプされた時に導波管の撓みの量を減少させる。シール8104のバーベル端は比較的厚い断面となってりうため、中間部分がクランプ中に撓む時に水密シールを維持する。非金属材料(例を非限定的に挙げると、Ultem、PTFE、Rulonおよび黒鉛充填材料)を剛性連結スプール8104として用いることができる。連結スプール8104は剛性であるため、非金属導波管による支持および密封を提供しつつ、導波管1502が顎部7308に対してたわむ量を限定することができる。このようなクランプ力下において、導波管1502の撓みを考慮して干渉を設計することが重要である。導波管1502の撓みは、遠位シール(7404および7406)の屈曲力および圧縮力が組み合わさって発生する。この遠位シール構成により、エラストマー支持の厚みは最小化されるが、導波管1502の撓みは実質的なままである。導波管1502と顎部ライナー7314との間の初期接触が平行であった場合、導波管1502が屈曲し、顎部7308の根元において空間が発生する。よって、このクランプアセンブリにより、顎部7308の根元に力を付加した後にフルクランプ力の付加時において導波管1502と平行になる初期接触が構成される。上記の硬質材料を連結スプール8104中に設けることにより、並列の撓みおよび変動が最小化される。
図81中、導波管1502を包囲する内側スリーブ7610も図示される。以下に詳述するように、スリーブ7610により、導波管1502と内側管7402との間の金属間接触の回避が支援される。
【0323】
図82は、連結スプール8104の実施形態の斜視図を示している。この図では、連結スプール8104の内面8202を見ることができる。この内面8202は、例えば
図81に示すように、導波管アセンブリ304が組み立てられた時に導波管1502と直接物理的に接触する。
図82の斜視図はまた、
図81にも示すサドル7426の内側形状にほぼ一致する連結スプール8104の外側サドル形状8204を表している。
【0324】
顎部材7308および導波管1502の間に組織を掴んで保持することを助けるために、顎部材7308は、複数の歯7316を有するライナー7314を有している。このライナー7314は、組織を把持する向上した能力を顎部材7308に提供する。このライナーは、非金属の高温潤滑性材料(例を非限定的に挙げると、VESPEL(登録商標)、RULON(登録商標)、変性PTFE、およびこれらにガラス充填および黒鉛充填したもの)によって構成され得る。ライナー7314の例示の実施形態は、
図84の(ライナー7314の最遠位端からの)斜視図および
図85の(ライナー7314の最近位端からの)斜視図に示されている。複数の歯7316に加えて、ライナー7314は、最遠位面8402、下面8403上の複数の歯7316のうちの第1縦列7316aおよび第2縦列7316bの間に配置された中央平滑路8404、平坦近位クランプ面8405、および、顎部材7308にライナー7314を固定する上側フランジ8406を有している。この中央平滑路8404は、溝部10014も含み得る。この溝部10014は、近位端から始まり、例えば
図100に示すように遠位方向に延びる。この溝部は、ライナー7314と導波管1502との間の整列フィーチャとして機能し、その結果、前記装置の使用時における組織上への効果の均等化が支援される。
図73で分かるように、最遠位面8402は、導波管アセンブリ304の遠位端の露出した短い内面である。
図73は、組み立てられた時にライナー7314が配置される顎部材7308の溝7318を示している。溝7318の内面は、ライナー7314がほぼ動きがないように顎部材7308内に保持され得るように上側フランジ8406の外面にほぼ一致する。図示される溝7318の例示の実施形態では、溝7318の遠位端は、インサート7318が顎部材7308の近位端から溝7318の遠位端を過ぎないところまでスライドし得るように中間部分よりも狭い。
図85の例示の実施形態には、ライナー7314が顎部7308内で全面的に遠位に配置された時に、(ライナー7314に向かって)下向きにライナー7314の上面の下方に折り曲げられる保持タブ8502が示されている。そうした折り曲げ構造では、保持タブ8502の遠位端は、ライナー7314の背面8504および/又はフランジ8406に対向しており、また可能であれば乗っている。そうした対向によれば、ライナー7314が顎部7308から出ることが防止される。この単一の保持タブの代わりに、チャンネル7318のいずれかの側部上の2つのより小型のタブを用いることが可能である。これらのタブは、ライナー7314の下側または上面において下方に屈曲される。あるいは、単一の手術処置を通じてライナー7314を捕獲および保持する機能により、顎部7308の遠位端部から顎部ライナー7314を付勢することも可能である。このような構成の例示的実施形態を
図100中に示す。より詳細には、顎部7308は、遠位進入経路またはチャンネル10002と共に形成される。遠位進入経路またはチャンネル10002内において、遠位付勢ライナー10010が付勢される。ライナー10010をチャンネル10002内に固定するために、前記チャンネルによって規定されたオリフィス10004は、ライナー10010の戻り止め10012を内部において捕獲し取り外し可能に保持するような形状である。これらの対向するフィーチャは、ライナー10010を顎部7308内に取り外し可能に固定できる任意の均等な様態において、逆向きにすることまたは変更が可能である。ライナー10010を容易に交換することが可能であるため、前記装置の再処理可能性のためにこの高摩耗部分を容易に変更できるため、ハンドルおよび/または導波管アセンブリを再処理できる可能性が出てくる。
【0325】
図84に示す、最近位面8402とフランジ8406との間のオフセットは、顎部材7308の最遠位部分への最近位面8402の配置を容易にする。すなわち、ライナー7314は、顎部材7308内に完全に着座されるまで顎部材7308内にスライドする。しかしながら、顎部材7308によって物理的に固定されるのはフランジ8406である。より具体的には、
図84および
図85に示すように、フランジ8406はその両面にある複数の歯7316を越えて延びる。しかしながら、フランジ8406は、最近位面8402まで全面的に延びていない。ライナー7314が顎部材7308内にスライドすると、フランジ8402の延在側部分は、顎部材7308内に形成された溝7318内を移動する。フランジ8406は最近位面8402に全面的に延びていないので、フランジ8406が溝7318の端部に到達すると、ライナー7314の最近位面8402は
図73に示す位置まで溝7318を越えて延びる。
【0326】
ここで、歯7316の例示の実施形態に焦点を当てると、歯7316はライナー7314の下面8408を完全に横切って延びていないことが
図84および
図85で分かる。代わりに、
図84および
図85の実施形態では、第1列の歯7316aおよび第1列の歯7316aに対向する第2列の歯7316bは、中央平滑路8404によって分離されている。中央平滑路8404は、導波管1502に対して直接的に並ぶ連続した平滑面を提供する。処置中に超音波運動している導波管1502に接触して、平坦な圧力によって導波管1502の連続した妨げられない超音波運動を促進することによって、組織のシールを助けるのはこの平滑面8404である。ライナー7314は顎部7308の長さ全体にわたって(根元から先端まで)走っているため、導波管1502の処置部(すなわち、刃部7304)の長さ全体における接触に対して均等な圧力が付加される。
【0327】
ここで
図86に移動すると、ハンドル部分302の内部の断片的な斜視図が示されている。この図は、導波管1502をTAGアセンブリ303に連結するために使用される一連のねじ山8604を特徴とする、導波管1502の最近位端8601を示している。上述のように、ハンドル部分302内の導波管1502の最近位端8601の図示した位置は、導波管アセンブリ304がTAGアセンブリ303に連結された時に導波管1502が残る実質的な位置である。TAGアセンブリ303がハンドル部分302内に挿入された時、例えば
図45を参照すると、振動子シャフト5002が配列し、それによって、ねじ山8604および超音波導波管連結部5004の縦方向の連結を固定することを可能にする。
【0328】
導波管1502は内側管7402によって取り囲まれており、そして、外側管7302に取り囲まれる。外側管7302の最近位端8606のこの図は、外側管7302がフレア状区画8608を有するその最近位端8606で終端をなす。フレア状区画8608は、キー溝を形成する1対の溝8610および8612(8612はこの図では完全に示されていない)を特徴とする。これらの溝は、対向して示されているものの、この構成である必要はない。溝8610、8612内にあるのは、導波管1502に固定して連結されたトルクアダプタ8602である。トルクアダプタ8602および導波管1502の連結は以下の
図87にさらに詳細に示されている。
図86を続けて参照すると、トルクアダプタ8602が、溝8610内に延在するボス8616を備えていることが分かる。この図では示されていないが、トルクアダプタ8602は、同様に第2溝8612内に延在する第2ボスを備えている。トルクアダプタ8602のボス8616とフレア状区画8608の溝8610、8612との間の係合は、導波管1502、内側管7402および外側管7302の間の回転ロックの関係を提供する。すなわち、ボスは溝8610、8612に係合するので、導波管1502のあらゆる回転は、内側管7402および外側管7302の両方によって共有される。内側管7402の近位端はトルクアダプタ8602を越えて延びていない。トルクアダプタ8602および内側管7402の間の回転接続は、導波管回転スピンドル3704の内部の特徴を通じて生じる。
【0329】
ここで
図87に焦点を当てると、ハンドル部分302の内部の斜視図が再び示されている。しかしながら、この図では、(導波管回転スピンドル3704の右側半分に加えて)外側管7302が取り外された。取り外された外側管7302は、トルクアダプタ8602の大部分を露出させている。
図86又は
図87のいずれか一方で見ることができないものの、トルクアダプタ8602は、本発明の例示の一実施形態では、第1ボス8616にほぼ直接的に反対の方向に延びる第2ボスと対称である。トルクアダプタ8602がこのような名称になっているのは、トルクレンチ8800を用いて振動子ホーン5002の導波管連結部5004を導波管1502へと接続する際に回転運動に抵抗するための構造がトルクアダプタ8602によって得られるからである。上述のように、トルクレンチ8800を用いて振動子902のスピンドル3704を回転させる際に、導波管1502の回転を回避する必要がある。
【0330】
適切な保持力を得るために、導波管1502を回転的に適合させる必要がある。しかし、回転的に適合された導波管フィーチャの場合、適合フィーチャが導波管1502の節に配置されていない場合、導波管1502に沿った他の支持物と同様、振動が伝達されるという欠陥を免れない。
図86および
図87に示すように、例えば、トルク伝達のための適合フィーチャは、最近位節(すなわち、刃から最も遠くかつネジに最も近い節)に配置される。本発明の例示的実施形態のトルク伝達フィーチャは、ラジアルパターン状の複数のスプラインまたは歯8702であり、導波管1502の周囲において対称に配置される。各スプライン8702は、導波管1502の中央長手方向軸8706から放射方向に延びる。
【0331】
トルクアダプタ8602は複数の内部キー溝8704を備えており、各キー溝8704は、スプライン8702の延在部の1つと配列しており、スプライン8702のそれぞれ1つにほぼ対向する形状を有しており、その結果、示されるように接続された時に、トルクアダプタ8602は導波管1502上の示された縦方向位置に固定されてある。導波管1502上の縦方向位置はまた、運動が最小/存在しない超音波振動節に配置されている。キー溝8704およびスプライン8702の間のこの配列および固定係合は、キー溝8704およびスプライン8702を固定された回転関係に配置する。言い替えれば、導波管1502が回転すると、トルクアダプタ8602も回転しなければならない。
【0332】
スプライン8702はそれぞれ、導波管1502の平均直径を越えて突出する。これらのスプライン8702は矩形列であり得るが、これに限定されない。すなわち、スプライン8702に角度付き面を設けてもよい。スプライン8702の1つの例示的実施形態は、錐台矩形ピラミッド形状を全体的に有するが、上面の2つの側縁部に傾斜がついており、上面の遠位縁部および近位縁部が四角形になっている。最大スプライン外側直径を導波管材料の最大直径内において保持できるようになっており、これにより、最低コストのストック材料の使用が可能になる。導波管1502上のトルク伝達スプライン8702は、対応する形状の雌キー溝8704により、トルクアダプタ8602と噛み合う。トルクアダプタ8602の組立を行うには、トルクアダプタ8602を導波管内に押圧し、キー溝8704を止まり穴として提供する(ここでは、
図87のトルクアダプタの不図示の縁部上)ことにより、最後にスプライン8702のトルク伝達面によって長手方向に同心に制約される。トルクアダプタ8602を導波管1502に対して回転方向にアラインしかつボス8616をスピンドル3704のポケット9504の内部(例えば、
図95を参照)内に常に配置しておくために、例示的実施形態において、スプライン8702のうちいくつかを選択的に除去することで、正しい要素方向付け(すなわち、対称でありかつ0度または180度のみにおいて鍵付け可能な方向)が1方向のみにおいて可能になる。よって、振動子902を導波管1502へと接続する際、スピンドル3704が(例えば、ユーザの手によって)接地され、トルクがトルクレンチ8800によってスピナー3704上に生成される。ボス8616が付勢され、トルクが導波管1502のネジ8604へと伝達される。トルクアダプタ8602の全体的形状および質量は、トルクアダプタ8602を通じた導波管1502とスピンドル3704との音響結合を低減するように、調整される。スピンドル3704およびトルクアダプタ8602の材料は、任意の音響エネルギー結合をさらに離隔するように、異なる材料が選択される。例えば、トルク伝達強度を可能にしつつ音響エネルギーインピーダンスを最良にするために、高温のガラス充填ポリマーRadel(20%ガラス充填ポリフェニルサルホンPPSU)を選択することができる。低摩擦材料(例えば、ナイロンまたはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を充填したポリマーも、音響伝達の最小化において有利である。加えて、エラストマー材料をトルク伝達面においてスピンドル3704にインサート成形することもでき、これにより、音響エネルギーがさらに離隔できる。
【0333】
ここでまた
図66を参照すると、外側管7302のフレア状区画8608の溝8610、8612が、回転防止ホイール6502に係合する特徴を有することが分かる。この係合によれば、ユーザによって導波管回転スピンドル3704上に付与された任意の回転が、回転防止ホイール6502、外側管7302、内側管7402、トルクアダプタ8602および導波管1502の直接的な対応の回転を生じさせる。以下はこの接続構成の結果である。回転ロック部材6508が回転防止ホイール6502に係合した時、回転防止ホイール6502のみが回転を防止されるだけでなく、導波管アセンブリ304、3704、7302、7402、8602、1502のすべての回転が防止される。同じ意味で、回転防止ホイール6502が回転ロックアウト部材6508と係合しない場合、ユーザは、回転防止ホイール6502に物理的に連結されたスピンドル3704を自由に回転させることができるとともに、縦方向軸線8706に沿って導波管アセンブリ304の回転を引き起こすことができる。
【0334】
図95に示すように、スピンドル3704の内部において、楕円形ボス9502が設けられる。これらのボス9502は、管の内側7402および外側7302双方と係合し、これにより、内側管7402のみが長手方向変位を持ちつつ、管7302および7402が回転方向に共にロックされる。ボス9502により管7302および7402がロックされる領域の詳細を
図93に示す。
図93および
図95双方を参照して、ボス9502の突起部は、(内側スリーブ7610と接触するかまたはスリーブ7610を導波管1502内に押圧するために)内側管7402の開口部を通過するが内側管7402は貫通しないように構成されることが分かる。これと同時に、ボス9502の形状は、内側管7402の長手方向変位を回避しつつ顎部7308の並進のための外側管7302の長手方向の(近位から遠位)の移動を可能にするような十分な長手方向長さを有する形状にされる。このような複雑なロック機能と、トルクアダプタ8602と係合するスピンドル3704の近位端上のポケット9504とを併用することにより、管7302および7402ならびに導波管1502が相互にロックされる。例示的実施形態において、トルクアダプタポケット9504の圧壊機能9506により、組み立て時においてトルクアダプタ8602にセンタリングのための力が付加される。また、ポケット9504内のボス9508により導波管1502が捕獲され、導波管1502が近位方向に引き抜かれるのを回避する。よって、スピンドル3704の組み立ては、2つの両性スピンドル半分部を共に押圧することにより、行われる。押圧後、噛み合っている回転面(すなわち、導波管回転スピンドル3704の中間環状溝部4610の外部と、ハンドル半分部4503および4603の環状ボス4605)の間の摩擦を最小にすることが望ましい。
図95および
図99に示すように、溝部4610の外側縁部を面取りして近位サイズ上のキャステレーションおよびスピンドル3704の遠位側上の指部溝部およびをセットバックしかつこれらの接触面を溝部4610の中心において隆起させることにより、噛み合っている回転面の接触領域が最小にされる。同様に、ボス4605の外面もその中心において隆起される。
【0335】
図73、
図74および
図78そして特に
図84から理解されるように、下側表面8403(近位クランプ面8405を含む)は平坦であり、導波管1502の刃部7304の上面に対して平行である。すなわち、顎部7308が介在材料無しでクランプされた場合、
図79および
図80に示すように、クランプ面8405は先ずその近位端において刃部7304と接触する。そのため、導波管1502が超音波作動した場合、刃部7304により、少なくとも
図89に示すように2つの部分が平行である点までライナー7314に切り込むことが可能になる。しかし、顎部制御装置の例示的構成において、顎部7308を導波管1502と平行位置を超えて旋回させることが可能である。そのため、刃部7304によってライナー7314全体を切断することが可能となる。このような場合、金属刃部7304が金属顎部7308に対して振動する。このような状態になると、いずれかの部分または双方の部分が短時間で崩壊するため、このような状態は回避すべきである。
【0336】
本発明によるシステムの例示的実施形態は、オーバーストローク回避装置9002および外側チューブストップ9012を設けることにより、この問題を解決する。前記オーバーストローク回避装置は、ボビン9004、ナット9006、オーバーストロークばね9008、および遠位スライダー9010を含む。ボビン9004は、外側管7302に長手方向に固定され、外側管7302が内側管7402および導波管1502に対して移動するのと共に外側管7302と共に移動する。内側管7402および導波管1502のうち後者は、上述のようにハンドルアセンブリ302に対して所定位置において長手方向において固定される。ボビン9004の取付機構の例示的実施形態を例えば
図86に示す。同図において、2つの対向する窓8614および8618が、外側管8608の近位端に存在する。ボビン9004においては、遠位端にマッシュルーム形状の頭部9602が設けられ、近位端においてネジ部9604が設けられ、ナット9006を受け入れる。これを例えば
図96および
図97に示す。ナット9006およびボビン9004は、ナットを硬質停止部9702に締結できるように構成される。硬質停止部9702は、一貫するばね9008と協働して、一貫したクランプ力を装置間において提供する。ばね9008は低率になっており、これにより、組織厚さが変動しても、類似のクランプ力が得られる。低率によりより平坦な力プロファイルが得られ、これにより、プロファイル上のばね位置に関係無く、ユーザは、最大限に所望の力を得られる。
図97に示すように、マッシュルーム形状の頭部9602は、本例においては対向する2つの窓を通じて、長手方向に外側管7302に接続する。スライダー9010は、ナット9006とボビン9004の遠位頭部との間において、ボビン9004の本体の外面上において長手方向にスライドすることができる。そのため、オーバーストロークばね9008を可動スライダー9010と静止ナット9006との間に配置することにより、スライダー9010の任意の運動に起因してばね9008の圧縮力が発生する。また、導波管1502ならびに管7302および7402の組み立て時において、外側管7302の近位端へと延びる細長チャンネル8610および8612に起因して、外側管7302の近位部が圧縮し得る。外側管7302の圧縮近位端は、ボビン9004の遠位開口部9606内に適合することができ、このような適合により、ロックアウト指部9706を(放射方向に外側に)分離させる力が発生する。全体挿入後、外側管7302は通常のフル直径へと戻る。この時点において、ボビン9004の固定ス9502は、外側管7302内の遠位窓8620と係合する。同時に、ロックアウト指部9706ばねが外側管7302の近位端において対向するチャンネル8610および8612に内側方向に進入するのと共に、ボビン9004の内面から延びる2つの剛性ボス9608は、外側管7302の近位端において2つの対向する窓8614および8618と係合する。このようなロックアウト指部9706の内側への移動により、外側管7302のさらなる圧縮力が回避され、これにより、ボビン9004が外側管7302上へとロックされる。
【0337】
ヨーク9014は、
図90〜
図92に示すようにスライダー9010をトリガ4606へと接続させる。一連の
図90〜
図92は、トリガ4606が押圧されて顎部7308を閉鎖する際に、ヨーク9014、スライダー9010、ばね9008、ボビン9004および外側管7302が移動する様態を示す。ヨーク9014がボビン9004とのインターフェースを取る位置は回転インターフェースであるため、この位置においては、スピンドル3704の回転を妨げないように摩擦力を最小にすることが望ましい。このような摩擦の最小化は、ヨーク9014上にバンプ9802を設けることにより、達成される。これらのバンプ9802により、cボビン/スライダーインターフェースに対する接触領域が大幅に低減して点接触になる。
図90に示すトリガ状態において、トリガ4606は非作動であり、顎部7308は、開口した定常状態位置にある(例えば、
図73を参照)。
図91に示すトリガ状態において、トリガ4606は部分的作動状態であり、顎部7308は閉口位置にある(例えば、
図79に示す)。この位置において、ヨーク9014によりスライダー9010が近位方向に移動し、これによりばね9008を部分的に圧縮させ、これにより、近位方向の力がナット9006へ付与される。前記ナットが長手方向にボビン9004に固定され、ボビン9004が長手方向に外側管7302へと固定されると、トリガ運動に起因して、顎部7308が閉鎖される。
【0338】
この時点において、顎部7308のさらなる閉鎖(導波管に向かう回転)が所望されなくなる。外側管7302のさらなる運動を発生させる力を回避するために、
図93中に最良に示すように、外側チューブストップ9012を内側管7402の外面上に配置する。このような構成においては、外側管7302をさらに近位方向に移動させるためには、内側管7402の対応する運動が必要になる。
【0339】
しかし、顎部7308および刃部7304を用いて、両者間の組織が切断される。すなわち、顎部7308がクランプおよび閉鎖状態である場合、顎部7308またはライナー7314そのものによってクランプされた組織から刃部730へと伝達された負荷に起因して、密閉スプール8104の圧縮および刃部7304の片持ち梁の屈曲の関数として、刃部7304が屈曲する。刃部7304が屈曲すると、刃部7304の超音波運動特性が変化する。そのため、刃部7304の屈曲をできるだけ回避することが望ましい。
【0340】
トリガ4606が閉鎖されている場合、ばね9008は圧縮される。顎部7308と刃部7304との間に何もクランプされていない時の例示的なノミナル力ばね負荷は、およそ24ポンドである。この負荷は、ばね率と共に増加する。なぜならば、顎部7308が組織によって完全にピン支持されている場合、顎部内の組織厚さが最大(この例示的実施形態においておよそ28ポンド)となるからである。クランプされた場合、ライナー7314から刃部7304内へと伝達された負荷に起因して、遠位密閉スプール8104の屈曲およびプローブの片持ち梁の屈曲の関数として、導波管が屈曲する。遠位密閉スプール8104の圧縮力により、圧縮力の開始時において、力対撓み曲線が非線形になる。しかし、負荷が10ポンドを超えると、前記曲線は直線状になる。
図94に示す曲線は、導波管刃部7304の撓みを入力の関数として示す。顎部7308が完全にクランプされかつ組織を把持していない場合、ばねを通じた負荷入力は、ライナー7314の刃部7304へのクランプおよび外側チューブストップ9012内へのクランプに付加される。最大負荷に耐えることが可能な強度で停止部9012が取り付けられる(例えば、溶接される)。前記停止部の配置は、既に組み立てられたシステム内において行われる。前記停止部の調整は、全公差を占有しかつプローブが適切に屈曲するように測定力をシステムに付加した状態で前記停止部を配置することにより、行われる。グラフから分かるように、10ポンドの力において前記刃が屈曲し、負荷がおよそ16ポンドになるまで屈曲し続ける。この時点において、外側管7302は停止部9012と接触する。ばね9008における負荷の増加と共に、停止部9012は、外側管7302のさらなる運動に抵抗し始める。その後さらに負荷が増加した場合、前記負荷は全て停止部9012によって支持され、屈曲している刃部7304へはこれ以上の負荷はかからない。ばね9008上の力がおよそ22ポンドに到達した後は、負荷がさらに増加しても、刃部7304はこれ以上撓まない。しかし、一方、
図94のグラフの直線によって示すように、停止部9012が無いと刃部7304への負荷伝達は線形に継続し、プローブの撓みも同様である。この外側チューブストップは、複数の構成において達成することが可能である。図示の例示的実施形態において、シャフトアセンブリの近位端上に固定停止部9012が配置される。この同一の効果は、遠位端において達成される。例えば、外側管7302または内側管7402の端部上の図示されないタブを所定位置に屈曲させ、顎部7308のさらなる運動を停止させる停止部として機能させる。同様に、顎部7308上の図示されないタブは、この管セットと干渉するように屈曲された管7302および7402のいずれかまたは双方に対向し得る。前記タブにより、顎部を水平方向に移動させかつ組み立て後の顎部の水平運動を回避するような組み立てが可能になる。また、屈曲タブとは対照的に、溶接またはパンチを用いて、停止部として機能するフィーチャを形成することが可能である。さらに、より簡潔な停止フィーチャをハンドルのプラスチック内に用いることが可能である。
【0341】
本発明が処置において用いられると、ライナー7314が摩耗し得る。すなわち、顎部7308は、刃部7304に向かって自由に旋回する。そのため、この摩耗により、外側管7302が近位方向に並進することが可能となる。しかし、停止部9012を所定位置に配置した場合、このような運動は回避され、顎部7308の外側管7302に対する位置が迅速に制限される(すなわち、顎部7308は、刃部7304に近位方向において旋回することができなくなる)。しかし、刃部7304は既に顎部7308から遠位方向に屈曲されているため、ライナー7314の摩耗と共に、刃部7304の顎部からの自由移動が制限される。これが発生すると、撓みを維持するために必要な刃撓みおよび力の量が低下する。このような力の低下に起因して、ライナー7314内における摩擦および熱発生が低下し、ライナー7314の寿命が長くなる。本発明により、刃部7304の最大撓み量は、.030”〜.035”である。ライナー7314の利用可能な厚さも同様にされる。よって、組織が無い状態での使用(すなわち、顎部が空の状態)が頻繁に長引いた酷使状態において、ライナー7314の摩耗に起因して金属顎部が刃部7304と接触し得るが、このような摩耗の後、両者間の力は最小になるかまたは存在しなくなる。
【0342】
本明細書中に既述したように、導波管1502は、トルクアダプタ8602において(導波管1502の近位領域において)ハンドル部302中に機械的に固定され、ハンドル部302および導波管アセンブリ304内において同心に回転方向かつ長手方向に固定される。Bまた、導波管1502は、遠位シールとして機能する連結スプール8104により、導波管1502の遠位領域において同心状に固定される。切断および/または密閉時において導波管1502の刃が負荷下に配置された場合、この比較的長い導波管梁は(例示的実施形態においてチタンで構成されているが)屈曲し、内側管7402と接触し得、このような場合、導波管1052に沿った音響的活性点においてこのような接触が発生する。導波管1502がこのように屈曲され活性である場合、金属間接触が発生する。このような接触に起因して、可聴高周波数音(例えば、キーッという音)が発生し、この接点において発生した熱に起因して大きな電力損失が発生する。このような接触は回避すべきである。そのため、本発明は、導波管1502における導波管バンプ5710の形態をした接触支持部を提供する。より詳細には、導波管1502に沿った多様な位置において、このような接触支持部を提供する。
【0343】
アクティブ導波管1502の長さに沿った接点/支持部の理想的位置は、節位置である。節位置は、高応力点であり、導波管1502中の振動子902によって発生した定常音響波に沿った変位は無い。節長さは、無限に短い部分であり、定在波の共振周波数のドリフトに起因するノミナル(すなわち、自然の)位置の周囲における変位である。これらのバンプ5710は、導波管1502のより大きな直径部分であり、導波管アセンブリ304内の最内側管までずっと実質的に延びる。これらの節は、定在波の共振周波数ドリフトに起因してノートポイント周囲において長手方向に変位するため、各バンプ5710は、ノミナル/自然節位置の周囲においてセンタリングされ、節位置の任意の変位を包含する長手方向長さを有する。導波管1502の外直径に対してバンプ5710の直径が大きくなると、別の有利なフィーチャが得られる。導波管内における超音波振動について理解されるように、直径の増加に起因して、導波管変位が低減する(これを、アンチゲインおよび節位置の低活性化の工程と呼ぶ)。そのため、バンプ5710がかつての接触先へ振動を伝達した場合、前記振動の振幅は、導波管1502の残りのより幅狭部に対して低減する。バンプ5710の数は、選択的に選択され、例えば
図57中に示す本発明の例示的実施形態において導波管1502に沿った節位置数と等しくならないようにされる。
図57において、4つのバンプ5710が存在している。製造を容易にしかつ上記した不利な接触を回避するために、最小数のバンプ5710を選択する。
【0344】
節位置はバンプ5710において低活性となっているが、上記の金属間接触がそれでも問題となり得る。そのため、このような接触をさらに回避するために、本発明は、内側管7402内の導波管1502の部分を包含する内側スリーブ7610を提供する。スリーブ7610は、低摩擦係数の高温材料(例えば、Teflon、PTFE、HDPE、ポリエチレン)によって構成される。
図81および
図99にそれぞれ示すように、スリーブ7610は、導波管1052の周囲において自然に同心に固定され、スリーブ7610の近位端におけるトルクアダプタ8602およびスリーブ7610の遠位端における密閉スプール8104による長手方向移動に対向するように機械的に固定される。スリーブ7610の内径は、バンプ5710における導波管1502のみと接触するように、選択される。スリーブ5710の外径は、内側管7402の内径と接触可能であるが、若干より小型にされ得る。スリーブ7610の別の構成においては、密閉スプール8104およびスリーブ7610が一体に設けられる。これらの要素は材料を共用することができ、これにより、部品数低減およびより簡潔な組み立てという恩恵が同時に得られる。この例示的実施形態において、一体形成された遠位スプール8104およびスリーブ7610は、内側管7402上のコルセットによって拘束される。
【0345】
組み立て状態において、導波管1502、スリーブ7610、内側管7402および外側管7302の断面直径は、例えばETO滅菌のための空隙が得られるように構成される。バンプ5710に沿って空隙を設けることにより、導波管1502からスリーブ7610に伝わり得る音エネルギー量も低減する。さらに、スリーブ構成材料(例えば、Teflon、PTFE)は低摩擦係数であるため、内側管7302または外側管7402に今まで付与された音エネルギーが実質的に存在しなくなる。単一の平滑な管状スリーブ7610に対する別の実施形態として、より複雑なスリーブを設けることができる。このスリーブにより、バンプ5710を導波管1502上に設ける必要性が全く無くなる。例えば、スリーブ7610は、長手方向に延びる部分(例えば、トルクアダプタ8602と密閉スプール8104との間の導波管1502を包囲する2つのクラムシェル状半分部)を有し得る。各半分部は、内側方向に突出するボスと、外側方向に突出するボスとを持ち得る。前記外側方向に突出するボスは、半分部の2つの外面を部分的に包囲することで、各外側支持点において空間を形成する。これらの空間により、ETO滅菌ガスが遠位端からずっと移動して内側管7402に隣接する外面上のスリーブの近位部まで移動することが可能となる。前記外側方向に突出するボスは、スタガー状に配置され得る。一方前記内側方向に突出するボスは、節のみにおいて導波管1502と接触するように構成される。バンプ5710の長手方向長さは十分に長く、前記内側方向に突出するボスはより短い長手方向長さを持ち得、前記半分部の全体的長手方向長さは、トルクアダプタ8602からずっと延びて密閉スプール8104へ到達し得、所望ならば、1つを密閉スプール8104と一体化させることが可能である。このようにして、導波管節上に配置された内側方向に突出するボスにより、スリーブが長手方向において静止状態となる。別の構成において、スリーブを内側方向に突出するボスおよび外側方向に突出するボス双方と共にブロー成型部とすることができ、さらに別の構成において、密閉スプール8104は、このスリーブと共に一体的にブロー成型される。
【0346】
全ての従来技術節支持部は、数が1つよりも多く、100%接触(押圧、接合、成型)により各導波管の外径に固定される。そのため、音エネルギーが常にこのような支持部に伝わり、その結果、固有の電力取り込みが高くなり、組み立て複雑性および製造コストも高くなる。これとは対照的に、本発明のバンプ5710およびスリーブ7610による導波管支持部は、簡潔でありかつコスト効率が高い。すなわち、これらのスリーブによる拘束およびワンピース構成により、組み立てがずっと簡単かつ高コスト効率となる。また、これらのバンプフィーチャは、導波管1502の平均直径とそれほど異ならず、また導波管1052の最大直径よりも小さいため、追加の作製も問題とならない。
【0347】
導波管アセンブリ304の構造について、
図100〜
図105を参照して説明する。先ず、ライナー顎部7308および10010を顎部7308に挿入および固定する(例えば、
図100および
図101を参照されたい)。内側管7402の形状は、外側管7302の遠位端を越えて十分に離隔方向に延在するような形状になっており、これにより、
図101〜
図102の進行と共に、クレビスアーム7418および7420の(矢印Aによって示すような)可撓性開口が、顎部の対向するボス7408の(矢印B)を内部に受け入れることが可能になる。顎部7308が内側管7402内に組み立てられると、
図13に示すように、顎部7308は管7302および7402の中心線の下側において旋回し、内側管7402は外側管7402内にスライドする。その結果、顎部7308の旋回制御タブ7411および7412は、外側管7302内の位置へと進入する。前記顎部は、
図104に示すように、管7302および7402の中心線の上方において旋回して開口し、旋回制御タブ7411および7412は、外側管7302の開口部7311および7312に挿入される。
【0348】
その後、導波管1502を1組の管7302および7402を通じて挿入することで、顎部7308を内部に捕獲する。なぜならば、導波管1502の存在に起因して、顎部7380はこれ以上長手方向において管7302および7402の中心線に向かって移動することができないからである。最終組み立て位置を多くの図面(例えば、
図73および
図76)中に示す。例えばイソプロピルアルコールを用いることにより、導波管1502を遠位ダンベルシール8104を通じて容易にスライドさせることが可能になる。その後、前記アルコールは蒸発するため、ダンベルシール8104に残留物は残らない。明らかなように、このアセンブリプロセスは、接合部を機械的に配置する以外の動作は不要であるため、独自である。溶接、クリンプまたは変形が発生せず、また、完全組み立て時においていかなる部分においても溶接、クリンプまたは変形は不要である。
【0349】
この組み立てプロセスは、製造において大きな恩恵を提供する。内側管7302および外側管7402の潤滑を、このような接合における汚染を回避するためのクリーンルームのアセンブリラインではなく、管製造業者において行うことが可能である。内側管7302および外側管7402を同軸方向に取り付ける前に、平行移動用oリング7406を内側管7402のコルセット7404内に配置し、その後、外側管7302を内側管7402上にoリング7406までスライドさせる。潤滑剤をoリング7406上に配置し、外側管7302を内側管7402に対して移動させる(かまたはこの逆を行い)、これによりoリング7406を回転させ、コルセット7404内において移動させる。前記潤滑剤中の水分は乾燥して無くなるため、管7302および7402間およびoリング7406の周囲のみに潤滑剤が残る。
【0350】
変位依存型の超音波システムの開発における共通問題として、導波管変位の測定が複雑かつ不正確である点がある。最も高精度な測定システムとしてレーザー振動計があるが、レーザー振動計の場合、相当する高周波数動的標準による較正が不可能であり、高価でもある。1つの粗いかつ簡単な較正方法として、動的高周波数システムの表面上の反射「スポット」の変位を拡大下において観測する方法がある。ピークツーピーク変位が観測され、この変位を既知の長さ標準と相関付けることができる。拡大観測方法に関連する主な問題として、このような「スポット」がランダムでありかつ一貫していない点がある。導波管変位測定の例示的実施形態において、本発明は、制御された視覚フィーチャ(例えば、導波管1502の刃部7304に対する、意図的に付加されたスポット、マーク、図柄、機械加工穴部、溝部など)を用いる。このようなフィーチャを刃7304上に設けることで、拡大変位観測および測定の精度が向上する。
【0352】
本発明の構成のいずれかの例示の安全性の実施形態でも、システムは、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300に対して装置を使用する外科医をアースする安全機構を有してよい。導波管1502が偶然に外科医に接触した場合、手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300は、このアースを検出して導波管1502の運動をすぐさま終了させ、それによって外科医が自分自身を切断することを防止する。手持ち式器具300はアースに接続されていないので、外科医との接触を検出して超音波電力供給を遮断する安全回路を提供することが可能である。例えば、ハンドルアセンブリ302上に配置された容量性接点パッチが、(例えば容量性スイッチングで使用されるおよび従来技術で公知の)容量性タッチ検出回路に接続され、外科医との作動チップの接触を検出するために配置される。そうした接触が検出された時、器具の駆動回路904は、外科医に切断エネルギーを作用させることを回避するために停止される。そうした検出回路は、ハンドピースが、接地アースされた電気器具の大きな部品に接続される従来技術のシステムは実用的ではないであろう。
【0353】
別の例示的実施形態においては、振動子は、受け入れモードにおいて機能する。この受け入れモードにおいて、導波管中の振動を信号に変換することで、前記信号を装置の電子機器によって監視することが可能となる。例えば、血管内を流れる血流と関連する振動を検出し、この振動を用いて、クランプされている組織の種類についてのフィードバックをユーザに提供することができる。例えば、顎部のクランプ時において、この検出により、クランプ直前に大きな血流が有ったか否かを決定することができる。信号により、当該装置が例えば高重量血管系をクランプしており、例えば密閉時に低電力を用いるべきである旨をユーザに警告することができる。あるいは、高重量血管系が検出された場合、安全機構として高エネルギー起動を禁止することも可能である。
【0354】
本発明の別の例示の実施形態では、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に物理的かつ電気的に連結された後、手持ち式手術用焼灼アセンブリ300は、ボタン4608が押し込み状態から離脱状態に変化するまで、すなわち、非押し込み状態に動的に配置されるまで、作動しない。この特徴は、バッテリアセンブリ301がハンドルアセンブリ302に接続された時にすぐさま手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300が作動することを防止しする。これは、そうしなければ、操作者が、バッテリアセンブリ301をハンドルアセンブリ302に接続した時に意図せずボタン4608を押し込んだ場合に生じ得る。
【0355】
本発明は、相互接続されルカ゛分離可能な3つの構成要素(すなわち、バッテリアセンブリ301、ハンドルアセンブリ302、およびTAGアセンブリ303)を含み、各様子が固有にアクセス可能である(かつ選択的に露出される)電気接続を有するため、これら3つの分離可能な要素間において静電放電(ESD)が発生する危険性がある。そのため、別の例示的実施形態において、本発明は、ESD保護戦略を用いて、装置の損傷および潜在故障可能性を回避する。この種の保護を実行するために、本発明の範囲および意図内に収まる広範囲の解法が企図される。例を非限定的に挙げると、別個のESD保護要素および火花間隙の使用がある。
【0356】
装置の電気要素を損傷から保護するためのさらに別の例示的実施形態において、一定の様態で(例えば、逆転した様態で)電池を配置することで、そのコネクタタブが電気基板から離隔方向を向くようにする。この構成により、不慮の短絡の可能性が低下し、電池相互接続基板の使用も可能となり、これにより、電池タブの回路への接続が容易化される。
【0357】
説明したように、本発明は、自己駆動式の小型で効率的な、従って、従来技術の装置で必要とされる高価なセットトップボックスを完全に排除するコードレスの手持ち式超音波切断装置を提供する。有利には、本発明の装置によれば、ユーザは、完全にコードや他のつなぐ装置なしで作動させることができる。コスト削減、サイズの小型化、電力を供給して信号を伝達するつなぎのコードの排除、および、一定の運動電圧を提供することの利点に加えて、本発明は、手術環境内で滅菌状態を維持することができる独自の利点を提供する。説明したように、本発明の装置は、滅菌野内のみで維持される滅菌可能な構成要素から完全に構成されている。さらに、本発明のシステムのすべての電子制御は滅菌野内に存在する。従って、任意のおよびすべてのトラブルシューティングは滅菌野内で生じ得る。すなわち、従来技術で必要とされるように、本発明の装置はデスクトップボックスにつながれていないので、ユーザは、本発明の手持ち式超音波手術用焼灼アセンブリ300によって任意の機能(例えばトラブルシューティング、バッテリの交換、導波管アセンブリの交換など)を実行するために滅菌フィールドから出ることを全く必要としない。さらに、本発明の二段階ボタンは、操作者が器具自体のそれらの視覚的な注意に集中することなしに、任意の手術の仕事の完全な制御を操作者に可能にする。言い替えれば、操作者は、1つのみのボタンが使用されるので、適切なボタンを押す準備を保証するために見る必要がない。
【0358】
本発明はまた、変圧器電圧の上昇段階に先立って、低電圧又はバッテリ電圧スイッチング又は波形形成段階を提供する。周波数に感度の高いすべての構成要素を1箇所(例えばハンドル)内に「固く結合させる」ことによって、本発明は、従来技術のすべての超音波焼灼/切断装置が被る不利益である、従来技術のセットトップボックスとハンドピースとの間で生じるあらゆる誘導損失を排除する。駆動回路と整合ネットワーク1012の間の密接な連結のため、すべての電力変調回路は、より高いQ要因およびより大きな周波数帯に寛容である。
【0359】
本発明の特定の実施形態を開示したが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに特定の実施形態に変更がなされ得ることを理解する。従って、本発明の範囲は特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内で任意のかつすべてのそうした応用例、変形例および実施例を網羅することが意図される。