【実施例1】
【0009】
図2は第1の実施例におけるファクシミリシステムの構成を示すブロック図である。
図2において、ファクシミリシステム4は、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆電話回線網)に接続されたファクシミリ装置1およびファクシミリ装置2から構成されている。
第1のファクシミリ装置としてのファクシミリ装置1および第2のファクシミリ装置としてのファクシミリ装置2は、本発明が適用されたファクシミリ装置であり、ファクシミリ通信により受信した画像情報を一旦蓄積した後、その画像情報を予め登録された転送先である電話番号にファクシミリ送信する転送機能を備えるファクシミリ装置である。このファクシミリ装置1およびファクシミリ装置2は、共に同じ構成を有しており、その構成は後述する。
【0010】
また、PSTNには、さらに他の一般のファクシミリ装置が接続されており、本実施例では、ファクシミリ装置3が接続されているものとする。ファクシミリ装置3は、本発明が適用されたファクシミリ装置であるとは限らず、例えば従来技術として特開平5−327997号公報に開示されたファクシミリ装置等であっても良い。
なお、本実施例におけるすべてのファクシミリ装置は、ITU(国際電気通信連合)により定められたT.30勧告に基づいてファクシミリ通信を行うものとする。
【0011】
図1は第1の実施例におけるファクシミリ装置の構成を示すブロック図であり、
図2に示すファクシミリ装置1およびファクシミリ装置2の構成を示している。本実施例では、ファクシミリ装置1の構成を代表して説明する。
図1において、ファクシミリ装置1は、制御部101と、操作パネル102と、RAM(Random Access Memory)103と、RTC(Real Time Clock)104と、プリンタ105と、ファクシミリインタフェース106と、スキャナ107とから構成されている。
【0012】
制御部101は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)および記憶手段としてのROM(Read Only Memory)を備え、ROMに記憶された制御プログラム(ソフトウェア)をCPUが実行する。制御部101は、システムバスを介し、操作パネル102、RAM103、RTC104、プリンタ105、ファクシミリインタフェース106、およびスキャナ107を制御し、ファクシミリ装置1全体の動作を制御する。
制御部101は、操作処理部201と、印刷処理部202と、ファクシミリ受信処理部203と、ファクシミリ転送処理部204と、ファクシミリ送信処理部205とから構成されている。
【0013】
操作パネル102は、ディスプレイ等の表示手段およびキーやタッチパネル等の入力手段を備え、操作者に対する情報の表示および操作者による入力操作の受付を行う。
RAM103は、記憶手段であり、制御部101のCPUによる制御プログラムの実行時に発生する一時的な作業用データを記憶する。
RTC104は、時刻を計測する計時手段である。
プリンタ105は、画像情報を媒体に印刷する印刷手段である。
ファクシミリインタフェース106は、PSTNを介してファクシミリ通信を行う通信手段である。
【0014】
スキャナ107は、原稿を読み取り、画像情報を生成する画像読み取り手段である。
制御部101の操作処理部201は、操作パネル102を用いて操作者の要求を受付け、その要求を処理するものであり、自局番号入力処理部231と、転送先入力処理部232と、転送モード入力処理部233とから構成されている。
自局番号入力処理部231は、自局電話番号の入力を操作者から受付ける自局番号入力処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
転送先入力処理部232は、ファクシミリ受信した画像情報を転送する宛先の入力を操作者から受付ける転送先入力処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
【0015】
転送モード入力処理部233は、ファクシミリ受信した画像情報を転送するか否かの設定操作を操作者から受付ける転送モード入力処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
印刷処理部202は、プリンタ105を用いて画像情報を印刷する印刷処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
ファクシミリ受信処理部203は、ファクシミリインタフェース106を用いてファクシミリ受信処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
【0016】
転送部としてのファクシミリ転送処理部204は、ファクシミリ受信した画像情報を予め登録された電話番号へ転送するファクシミリ転送処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
ファクシミリ送信処理部205は、スキャナ107を用いて生成した画像情報を、ファクシミリインタフェース106を用いてファクシミリ送信するファクシミリ送信処理を行うものであり、その処理の詳細は後述する。
【0017】
図3は第1の実施例におけるRAMの構成を示す説明図である。
図3において、RAM103は、自局番号記憶部301と、転送先記憶部302と、転送有効フラグ303と、設定更新時刻記憶部304と、受信ジョブリスト305と、転送対象ジョブポインタ306とにより構成されている。
自局情報記憶部としての自局番号記憶部301は、自局の受信先である自局情報としての自局の電話番号を記憶する領域である。
【0018】
転送先記憶部302は、ファクシミリ受信した画像情報を転送する転送先の転送先情報としての宛先の電話番号を記憶する領域である。
転送設定記憶部としての転送有効フラグ303は、ファクシミリ受信した画像情報を転送するか否かを示す設定情報、すなわち転送機能の有効または無効を表す設定情報を記憶する領域である。なお、転送先記憶部302と、転送有効フラグ303とを総称して「転送設定」と呼ぶこととする
更新時刻記憶部としての設定更新時刻記憶部304は、転送先記憶部302の転送先情報または転送有効フラグ303の設定情報が最後に変更された時刻を記憶する領域である。
【0019】
上述した転送部としてのファクシミリ転送処理部204は、転送有効フラグ303に有効を表す設定情報が記憶されていた場合に、受信した画像を転送先記憶部302の転送先情報で示される転送先へ転送する。
受信ジョブリスト305は、ファクシミリ受信した画像情報と、当該画像情報に係る管理情報とを関連付けて記憶する領域である。
【0020】
ここで、受信ジョブリスト305の構成を
図4に基づいて説明する。
図4において、受信ジョブリスト305は、画像アドレス列401と、状態列402とにより構成され、1度のファクシミリ受信につき1つの受信ジョブが生成され、生成された1つの受信ジョブは受信ジョブリスト305の画像アドレス列401および状態列402に1行として記憶される。
【0021】
画像アドレス列401は、ファクシミリ受信した画像情報が記憶されたRAM103上のアドレスを記憶する領域である。
状態列402は、ファクシミリ受信した画像情報が次に施される処理を示す情報を記憶する領域である。
このように、1つの受信ジョブについて1つの画像アドレス列401および状態列402が対応付けて記憶され、受信ジョブリスト305を構成している。
【0022】
図3の説明に戻り、転送対象ジョブポインタ306は、転送の対象である受信ジョブを指し示すアドレスを記憶する領域である。
図5は第1の実施例におけるFIFの構成を示す説明図であり、
図2に示すファクシミリ装置1およびファクシミリ装置2が送出する、T.30勧告に規定された信号であるNSFに含まれるFIF(Facsimile Information Field)の構成を示している。
【0023】
図5において、FIF500の先頭から第10バイト目の領域501に、
図3に示す転送有効フラグ303の内容を配置する。
FIF500の先頭から第11バイト目から第50バイトの領域502に、
図3に示す転送先記憶部302に記憶された転送先電話番号を配置する。
FIF500の先頭から第51バイト目から第62バイトの領域503に、
図3に示す設定更新時刻記憶部304に記憶された時刻を配置する。
【0024】
本実施例では、ファクシミリ装置1は、転送先記憶部302を第1の転送先情報を記憶する第1の転送先記憶部、転送有効フラグ303を第1の設定情報を記憶する第1の転送設定記憶部、設定更新時刻記憶部304を第1の更新時刻を記憶する第1の更新時刻記憶部として備えている。
また、ファクシミリ装置2は、転送先記憶部302を第2の転送先情報を記憶する第2の転送先記憶部、転送有効フラグ303を第2の設定情報を記憶する第2の転送設定記憶部、設定更新時刻記憶部304を第2の更新時刻を記憶する第2の更新時刻記憶部として備えている。
【0025】
さらに、ファクシミリ装置1は、ファクシミリ転送処理部204を、ファクシミリ装置2から第2の転送先情報と、第2の設定情報と、第2の更新時刻とを含む転送設定信号としてのT.30勧告に規定されたNSFを受信する転送設定受信部、および受信した第2の転送先情報が自局番号記憶部301に記憶された自局情報と一致し、かつ受信した第2の設定情報が有効を表し、かつ受信した第2の更新時刻が設定更新時刻記憶部304に記憶された第1の更新時刻より現在時刻に近いことを判断する判断部として備え、そのファクシミリ転送処理部204はファクシミリ送信された画像情報の転送に際し、その判断結果に基づいて画像情報の転送の中断または継続を決定する。
【0026】
上述した構成の作用について説明する。
本実施例の
図2に示すファクシミリ装置1、2において、ファクシミリ画像の転送機能を利用する場合、操作者は、予め自局電話番号および転送先電話番号を入力して設定し、さらに転送機能を有効に設定する。以下に、ファクシミリ装置が行う、自局電話番号の入力を受付ける自局番号入力処理、転送先電話番号の入力を受付ける転送先入力処理、転送機能を有効に設定する入力を受付ける転送モード入力処理を説明する。
まず、ファクシミリ装置の自局番号入力処理部が行う自局番号入力処理を
図6の第1の実施例における自局番号入力処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
【0027】
S1:自局番号入力処理部231は、操作パネル102を介し、操作者による所定の操作により自局電話番号の入力を受付ける。
S2:自局電話番号の入力を受付けた自局番号入力処理部231は、その自局電話番号を自局番号記憶部301に記憶し、設定して本処理を終了する。
次に、ファクシミリ装置の転送先入力処理部が行う転送先入力処理を
図7の第1の実施例における転送先入力処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
【0028】
S101:転送先入力処理部232は、操作パネル102を介し、操作者による所定の操作により転送先電話番号の入力を受付ける。
S102:転送先電話番号の入力を受付けた転送先入力処理部232は、その転送先電話番号を転送先記憶部302に記憶し、設定する。
S103:転送先電話番号を設定した転送先入力処理部232は、RTC104が示す現在時刻を設定更新時刻記憶部304に記憶し、本処理を終了する。
【0029】
次に、ファクシミリ装置の転送モード入力処理部が行う転送モード入力処理を
図8の第1の実施例における転送モード入力処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S201:転送モード入力処理部233は、操作パネル102を介し、操作者による所定の操作により転送機能の有効を示す情報または転送機能の無効を示す情報の入力を受付ける。
【0030】
S202:転送機能の有効を示す情報または転送機能の無効を示す情報の入力を受付けた転送モード入力処理部233は、入力された情報が転送機能の有効を示す情報である場合は転送有効フラグ303に「真」を記憶し、入力された情報が転送機能の無効を示す情報である場合は転送有効フラグ303に「偽」を記憶し、転送モードとして設定する。
S203:転送モードを設定した転送モード入力処理部233は、RTC104が示す現在時刻を設定更新時刻記憶部304に記憶し、本処理を終了する。
【0031】
次に、ファクシミリ受信したときにファクシミリ装置のファクシミリ受信部が行うファクシミリ受信処理を
図9の第1の実施例におけるファクシミリ受信処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S301:ファクシミリ受信処理部203は、ファクシミリインタフェース106を用いて電話回線に着信が到来しているか否か(着信の有無)を判定し、到来していないと判定すると、所定の時間間隔で本処理(S301)を繰り返し、到来している(着信有り)と判定すると処理をS302へ移行する。
【0032】
S302:着信が到来していると判定したファクシミリ受信処理部203は、電話回線を捕捉する。
S303:電話回線を捕捉したファクシミリ受信処理部203は、T.30勧告に規定された信号であるNSFおよびDISを送出する。ここで、送出するNSFは、
図5に示すFIFを含んでいる。
S304:NSFおよびDISを送出したファクシミリ受信処理部203は、T.30勧告に規定された信号であるDCSを受信したか否かを判定し、受信したと判定すると処理をS305へ移行し、受信しなかったと判定すると処理をS311へ移行する。
【0033】
S305:DCSを受信したと判定したファクシミリ受信処理部203は、通常のファクシミリ受信を行う。通常のファクシミリ受信とは、ファクシミリインタフェース106を介し、T.30勧告に則って画像情報を受信する処理であり、公知の動作であるため詳細な説明は省略する。
S306:ファクシミリ受信を行ったファクシミリ受信処理部203は、電話回線を解放する。
【0034】
S307:電話回線を解放したファクシミリ受信処理部203は、受信した画像情報を受信ジョブとして受信ジョブリスト305に記憶する。すなわち、ファクシミリ受信処理部203は、受信ジョブリスト305に新たな受信ジョブ(行)を追加し、受信した画像情報のRAM103上のアドレスを追加した受信ジョブの
図4に示す画像アドレス列401に記憶する。
S308:受信ジョブを記憶したファクシミリ受信処理部203は、転送有効フラグ303が「真」であるか「偽」であるかを判定し、「真」である、すなわち転送が有効であると判定すると処理をS309へ移行し、「偽」である、すなわち転送が無効であると判定すると処理をS310へ移行する。
【0035】
S309:転送が有効であると判定したファクシミリ受信処理部203は、「転送待ち」状態を表す値をS307において追加した受信ジョブの
図4に示す状態列402に記憶し、処理をS301へ移行する。
S310:転送が無効であると判定したファクシミリ受信処理部203は、「印刷待ち」状態を表す値をS307において追加した受信ジョブの
図4に示す状態列402に記憶し、処理をS301へ移行する。
【0036】
S311:一方、S304において、DCSを受信しなかったと判定したファクシミリ受信処理部203は、T.30勧告に規定された信号であるDCNを受信したか否かを判定し、受信したと判定すると処理をS312へ移行し、受信しなかったと判定すると処理をS313へ移行する。
S312:DCNを受信したファクシミリ受信処理部203は、電話回線を解放し、処理をS301へ移行する。
S313:DCNを受信しなかったファクシミリ受信処理部203は、S302における回線捕捉からT.30勧告に則った所定の時間が経過したか否かを判定し、経過した(タイムアップ)と判定すると処理をS312(電話回線の開放)へ移行し、経過していないと判定すると処理をS303(NSFおよびDISの送出)へ移行する。
【0037】
次に、ファクシミリ装置のファクシミリ転送処理部が行うファクシミリ転送処理を
図10の第1の実施例におけるファクシミリ転送処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S401:ファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブポインタ306の内容をクリアする。
S402:転送対象ジョブポインタ306をクリアしたファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブ探索処理を行う。
【0038】
ここで、ファクシミリ転送処理部204が行う転送対象ジョブ探索処理を
図11の第1の実施例における転送対象ジョブ探索処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S501:ファクシミリ転送処理部204は、転送待ち状態の受信ジョブを探索する。すなわち、ファクシミリ転送処理部204は、受信ジョブリスト305に記憶された受信ジョブを逐次参照し、
図4に示す状態列402が転送待ち状態を表す値である受信ジョブが1つ見つかるか、または受信ジョブリスト305の末尾まで探索しても状態列402が転送待ち状態を表す値である受信ジョブが見つからない場合、受信ジョブリスト305の探索を終了する。
【0039】
S502:受信ジョブリスト305の探索を終了したファクシミリ転送処理部204は、転送待ち状態の受信ジョブの有無を判定し、転送待ち状態の受信ジョブが有ると判定すると処理をS503へ移行し、転送待ち状態の受信ジョブが無いと判定すると本処理を終了する。
S503:転送待ち状態の受信ジョブが有ると判定したファクシミリ転送処理部204は、見つけた受信ジョブのアドレスを転送対象ジョブポインタ306に記憶し、本処理を終了する。
【0040】
図10の説明に戻り、
S403:転送対象ジョブ探索処理を終了したファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブポインタ306に受信ジョブのアドレスが記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定すると処理をS404へ移行し、記憶されていないと判定すると処理をS401へ移行する。
S404:転送対象ジョブポインタ306に受信ジョブのアドレスが記憶されていると判定したファクシミリ転送処理部204は、ファクシミリ転送のためのファクシミリ送信処理を行い、処理をS401へ移行する。
【0041】
次に、ファクシミリ転送処理部204が行うファクシミリ転送のためのファクシミリ送信処理を
図12の第1の実施例におけるファクシミリ送信処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S601:ファクシミリ転送処理部204は、ファクシミリインタフェース106を介して電話回線を捕捉する。
S602:電話回線を捕捉したファクシミリ転送処理部204は、T.30勧告に規定された信号であるCNGを送出する。
【0042】
S603:CNGを送出したファクシミリ転送処理部204は、T.30勧告に規定された信号であるNSFを受信したか否かを判定し、受信したと判定すると処理をS604へ移行し、受信しなかったと判定すると処理をS612へ移行する。
S604:NSFを受信したと判定したファクシミリ転送処理部204は、受信したNSFを解析し、ファクシミリ転送を継続するか否かを判定し、ファクシミリ転送を継続すると判定すると処理をS608へ移行し、ファクシミリ転送を継続しないと判定すると処理をS605へ移行する。
【0043】
ファクシミリ転送を継続するか否かの判定は、次の条件1から条件3のすべての条件が満たされた場合にファクシミリ転送を継続しないと判定し、さもなければファクシミリ転送を継続すると判定するものとする。
(条件1)受信したNSFに含まれる
図5に示すFIF500の転送有効フラグ501が真を示している。
(条件2)受信したNSFに含まれる
図5に示すFIF500の転送先電話番号502が自局番号記憶部301の内容と一致している。
(条件3)受信したNSFに含まれる
図5に示すFIF500の設定更新時刻503が設定更新時刻記憶部304に記憶された時刻よりも現在の時刻に近い時刻を示している。
【0044】
S605:ファクシミリ転送を継続しないと判定したファクシミリ転送処理部204は、T.30勧告に規定された信号であるDCNを送出する。
S606:DCNを送出したファクシミリ転送処理部204は、電話回線を解放する。
S607:電話回線を解放したファクシミリ転送処理部204は、転送失敗処理を行い、ファクシミリ転送を行うことなく本処理を終了する。
【0045】
ここで、ファクシミリ転送処理部204が行う転送失敗処理を
図13の第1の実施例における転送失敗処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S701:ファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブポインタ306が指し示す受信ジョブの
図4に示す状態列402に「印刷待ち」状態を表す値を記憶する。
S702:ファクシミリ転送処理部204は、転送有効フラグ303に「偽」を記憶し、転送機能を無効に設定して本処理を終了する。
【0046】
図12の説明に戻り、
S608:S604において、ファクシミリ転送を継続すると判定したファクシミリ転送処理部204は、T.30勧告に規定された信号であるDCSを送出する。
S609:DCSを送出したファクシミリ転送処理部204は、通常のファクシミリ送信を行う。通常のファクシミリ送信とは、ファクシミリインタフェース106を介し、T.30勧告に則って画像情報を送信する処理であり、公知の動作であるため詳細な説明は省略する。
【0047】
S610:ファクシミリ送信を行ったファクシミリ転送処理部204は、電話回線を解放する。
S611:電話回線を解放したファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブポインタ306が指し示す受信ジョブおよびその受信ジョブに係る画像情報を削除し、本処理を終了する。
【0048】
S612:一方、S603において、NSFを受信しなかったと判定したファクシミリ転送処理部204は、T.30勧告に規定された信号であるDISを受信したか否かを判定し、受信したと判定すると処理をS608へ移行し、受信しなかったと判定すると処理をS613へ移行する。
S613:DISを受信しなかったファクシミリ転送処理部204は、S601における回線捕捉からT.30勧告に則った所定の時間が経過したか否かを判定し、経過した(タイムアップ)と判定すると処理をS605(DCNの送出)へ移行し、経過していないと判定すると処理をS602(CNGの送出)へ移行する。
【0049】
次に、印刷処理部が行う印刷処理を
図14の第1の実施例における印刷処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。
S801:印刷処理部202は、印刷待ち状態の受信ジョブを探索する。すなわち、印刷処理部202は、受信ジョブリスト305に記憶された受信ジョブを逐次参照し、
図4に示す状態列402が印刷待ち状態を表す値である受信ジョブが1つ見つかるか、または受信ジョブリスト305の末尾まで探索しても状態列402が印刷待ち状態を表す値である受信ジョブが見つからない場合、受信ジョブリスト305の探索を終了する。
【0050】
S802:受信ジョブリスト305の探索を終了した印刷処理部202は、印刷待ち状態の受信ジョブの有無を判定し、印刷待ち状態の受信ジョブが有ると判定すると処理をS803へ移行し、印刷待ち状態の受信ジョブが無いと判定すると所定の時間間隔をおいて処理をS801へ移行する。
S803:印刷待ち状態の受信ジョブが有ると判定した印刷処理部202は、見つけた受信ジョブの
図4に示す画像アドレス列401が指し示す画像情報を印刷し、出力する。
S804:画像情報を印刷した印刷処理部202は、当該受信ジョブおよび当該画像情報を削除し、処理を801へ移行して印刷待ち状態の受信ジョブを探索する。
【0051】
続いて、本実施例のファクシミリシステムの動作を説明する。
図15は第1の実施例における動作時のRAMの構成を示す説明図であり、
図2に示すファクシミリシステム4のファクシミリ装置1およびファクシミリ装置2のそれぞれの
図1および
図3に示すRAM103の状態を示している。
【0052】
図15において、本実施例では、ファクシミリ装置1の自局番号記憶部301aは電話番号「XXXXXX1234」、転送先記憶部302aは電話番号「XXXXXX6789」、転送有効フラグ303aは「真」、設定更新時刻記憶部304aは時刻2012年3月5日22時00分を示す「201203052200」を記憶し、ファクシミリ装置2の自局番号記憶部301bは電話番号「XXXXXX6789」、転送先記憶部302bは電話番号「XXXXXX1234」、転送有効フラグ303bは「真」、設定更新時刻記憶部304bは時刻2012年3月6日9時00分を示す「201203060900」を記憶しているものとする。
【0053】
すなわち、ファクシミリ装置1とファクシミリ装置2は、互いに他方を転送先として転送機能が設定されている状態である。さらに、ファクシミリ装置1の転送設定に比較してファクシミリ装置2の転送設定がファクシミリ装置1の転送設定よりも後に更新されているため、操作者はファクシミリ装置2からファクシミリ装置1への転送を望んでおり、ファクシミリ装置1からファクシミリ装置2への転送は望んでいないと考えられる。
【0054】
図15に示すように転送設定がされたファクシミリシステムにおいて
図2に示すファクシミリ装置3からファクシミリ装置1に対してファクシミリ送信された場合の動作例を
図16に基づいて説明する。
ファクシミリ装置3からファクシミリ装置1に対してファクシミリ送信されると、ファクシミリ装置1は、ファクシミリ受信(
図9に示すS301〜S306)を行い、受信ジョブを転送待ち状態として受信ジョブリストに記憶(
図9に示すS307〜S309)する。
【0055】
ファクシミリ受信したファクシミリ装置1は、ファクシミリ転送処理(
図10に示すS401〜S404)を開始し、ファクシミリ装置2に対してCNGを送出(
図12に示すS602)する。
ファクシミリ装置2は、着信に応答し、
図5に示すFIF500を含むNSFおよびDISをファクシミリ装置1に対して送出(
図9に示すS301〜S303)する。
【0056】
ファクシミリ装置1は、ファクシミリ装置2からNSFを受信し、そのNSFを解析(
図12に示すS604)する。ファクシミリ装置1は、受信したNSFに含まれるFIFが
図12のS604で説明した条件1〜条件3のすべてを満たすため、DCNを送出して転送失敗処理(
図12に示すS605〜S607)を行い、さらに転送設定の解除(
図13に示すS702)を行う。
このように、ファクシミリ装置3からファクシミリ装置1に対してファクシミリ送信された場合、ファクシミリ装置1はファクシミリ転送処理を行うことなく処理を終了する。
【0057】
次に、
図15に示すように転送設定がされたファクシミリシステムにおいて
図2に示すファクシミリ装置3からファクシミリ装置2に対してファクシミリ送信された場合の動作例を
図17に基づいて説明する。
ファクシミリ装置3からファクシミリ装置2に対してファクシミリ送信されると、ファクシミリ装置2は、ファクシミリ受信(
図9に示すS301〜S306)を行い、受信ジョブを転送待ち状態として受信ジョブリストに記憶(
図9に示すS307〜S309)する。
【0058】
ファクシミリ受信したファクシミリ装置2は、ファクシミリ転送処理(
図10に示すS401〜S404)を開始し、ファクシミリ装置1に対してCNGを送出(
図12に示すS602)する。
ファクシミリ装置1は、着信に応答し、
図5に示すFIF500を含むNSFおよびDISをファクシミリ装置2に対して送出(
図9に示すS301〜S303)する。
【0059】
ファクシミリ装置2は、ファクシミリ装置1からNSFを受信し、そのNSFを解析(
図12に示すS604)する。ファクシミリ装置2は、受信したNSFに含まれるFIFが
図12のS604で説明した条件3が満たされないため、DCSを送出(
図12に示すS608)して通常のファクシミリ送信(
図12に示すS609〜S611)を行う。
このように、ファクシミリ装置3からファクシミリ装置2に対してファクシミリ送信された場合、ファクシミリ装置2は予め設定された転送設定にしたがってファクシミリ転送処理を行う。
【0060】
図16を用いて説明したように、
図12のS604で説明した条件1〜条件3のすべてを満たすとき、ファクシミリ装置1からファクシミリ装置2へのファクシミリ転送は行われないため、ファクシミリ装置1とファクシミリ装置2とが互いに転送しあってしまうことを防ぐことができる。
また、
図12のS604で説明した条件1〜条件3のすべてを満たすファクシミリ装置1は、転送設定を解除するため、電話機を用いてファクシミリ装置1の転送設定を解除する必要がなくなり、ファクシミリ装置1と電話機がつながらない場合に電話をかけ直す必要がなくなる。
【0061】
なお、
図17を用いて説明したように、ファクシミリ装置2からファクシミリ装置1へのファクシミリ転送は行われるため、操作者はファクシミリ装置1へ赴けば転送されたファクシミリ画像を入手することができる。
以上説明したように、第1の実施例では、転送元のファクシミリ装置に転送設定を行なうことにより、転送先のファクシミリ装置からのファクシミリ転送を防止することができ、転送元のファクシミリ装置と転送先のファクシミリ装置とが互いにファクシミリ転送しあってしまうことを防止することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0062】
第2の実施例の構成は、第1の実施例で説明した受信ジョブリストの構成が異なっている。その第2の実施例の構成を
図18の第2の実施例における受信ジョブリストの構成を示す説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図18において、最終試行時刻列451は、当該受信ジョブの転送が最後に試行された時刻を記憶する領域である。
試行回数列452は、当該受信ジョブのファクシミリ転送が試行された回数を記憶する領域である。ここで、ファクシミリ転送が試行された回数とは、ファクシミリ転送処理において転送失敗処理が行われた回数である。
【0063】
上述した構成の作用について説明する。
第2の実施例は、転送対象ジョブ探索処理および転送失敗処理が上述した第1の実施例と異なっており、その第1の実施例と異なる転送対象ジョブ探索処理および転送失敗処理を説明する。なお、転送対象ジョブ探索処理および転送失敗処理以外の処理は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
図1に示すファクシミリ転送処理部204が行う転送対象ジョブ探索処理を
図19の第2の実施例における転送対象ジョブ探索処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。なお、この転送対象ジョブ探索処理は
図10のS402において実行される。
【0064】
S551:ファクシミリ転送処理部204は、転送待ち状態の受信ジョブを探索する。すなわち、ファクシミリ転送処理部204は、受信ジョブリスト305に記憶された受信ジョブを逐次参照し、
図4に示す状態列402が転送待ち状態を表す値である受信ジョブが1つ見つかるか、または受信ジョブリスト305の末尾まで探索しても状態列402が転送待ち状態を表す値である受信ジョブが見つからない場合、受信ジョブリスト305の探索を終了する。
S552:受信ジョブリスト305の探索を終了したファクシミリ転送処理部204は、転送待ち状態の受信ジョブの有無を判定し、転送待ち状態の受信ジョブが有ると判定すると処理をS555へ移行し、転送待ち状態の受信ジョブが無いと判定すると処理をS553へ移行する。
【0065】
S553:S552において、転送待ち状態の受信ジョブが無いと判定したファクシミリ転送処理部204は、転送を再試行すべき受信ジョブを探索する。すなわち、ファクシミリ転送処理部204は、受信ジョブリスト305に記憶された受信ジョブを逐次参照し、下記の2つの条件Aおよび条件Bすべてを満たす受信ジョブが1つ見つかるか、または受信ジョブリスト305の末尾まで探索しても下記の2つの条件すべてを満たす受信ジョブが見つからない場合、受信ジョブリスト305の探索を終了する。
(条件A)受信ジョブリスト305の状態列402の値が「再送待ち」状態である。
(条件B)受信ジョブリスト305の最終試行時刻列451が示す時刻が現在の時刻(RTC104が示す時刻)よりも所定時間(例えば、1時間)以上過去である。
【0066】
S554:受信ジョブリスト305の探索を終了したファクシミリ転送処理部204は、再送待ち状態の受信ジョブの有無を判定し、再送待ち状態の受信ジョブが有ると判定すると処理をS555へ移行し、再送待ち状態の受信ジョブが無いと判定すると本処理を終了する。
S555:転送待ち状態または再送待ちの受信ジョブが有ると判定したファクシミリ転送処理部204は、見つけた受信ジョブのアドレスを転送対象ジョブポインタ306に記憶し、本処理を終了する。
【0067】
次に、
図1に示すファクシミリ転送処理部204が行う転送失敗処理を
図20の第2の実施例における転送失敗処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって
図1および
図3を参照しながら説明する。なお、この転送失敗処理は
図12のS607において実行される。
S751:ファクシミリ転送処理部204は、転送対象ジョブポインタ306が指し示す受信ジョブの
図18に示す試行回数列452の値に「1」を加算して試行回数を更新する。
【0068】
S752:試行回数を更新したファクシミリ転送処理部204は、当該試行回数列452の値が3以上であるか否かを判定し、3以上であると判定すると処理をS755へ移行し、3以上でないと判定すると処理をS753へ移行する。
S753:当該試行回数列452の値が3以上でないと判定したファクシミリ転送処理部204は、当該受信ジョブの
図18に示す状態列402に「再送待ち」状態を表す値を記憶し、変更する。
【0069】
S754:さらに、ファクシミリ転送処理部204は、当該受信ジョブの
図18に示す最終試行時刻列451に現在の時刻(RTC104が示す時刻)を記憶して更新し、本処理を終了する。
S755:一方、S752において当該試行回数列452の値が3以上であると判定したファクシミリ転送処理部204は、当該受信ジョブの
図18に示す状態列402に「印刷待ち」状態を表す値を記憶して変更し、本処理を終了する。
【0070】
続いて、本実施例のファクシミリシステムの動作を説明する。
第1の実施例と同様に、
図15に示すように転送設定がされたファクシミリシステムにおいて
図2に示すファクシミリ装置3からファクシミリ装置1に対してファクシミリ送信された場合の動作例を
図21に基づいて説明する。
ファクシミリ装置3からファクシミリ装置1に対してファクシミリ送信されると、ファクシミリ装置1は、ファクシミリ受信(
図9に示すS301〜S306)を行い、受信ジョブを転送待ち状態として受信ジョブリストに記憶(
図9に示すS307〜S309)する。
【0071】
ファクシミリ受信したファクシミリ装置1は、ファクシミリ転送処理(
図10に示すS401〜S404)を開始し、ファクシミリ装置2に対してCNGを送出(
図12に示すS602)する。
ファクシミリ装置2は、着信に応答し、
図5に示すFIF500を含むNSFおよびDISをファクシミリ装置1に対して送出(
図9に示すS301〜S303)する。
【0072】
ファクシミリ装置1は、ファクシミリ装置2からNSFを受信し、そのNSFを解析(
図12に示すS604)する。ファクシミリ装置1は、受信したNSFに含まれるFIFが
図12のS604で説明した条件1〜条件3のすべてを満たすため、DCNを送出(
図12に示すS605)して転送失敗処理(
図12に示すS606〜S607)を行い、さらに当該受信ジョブを再送待ち状態に変更(
図20に示すS753)する。
ここで、ファクシミリ装置2において、操作者が転送設定を解除する(
図8に示すS201〜S203)ものとする。
【0073】
一方、ファクシミリ装置1では、当該受信ジョブの転送失敗から所定時間(例えば、1時間)が経過したものとし、ファクシミリ装置1は、ファクシミリ転送処理を開始(
図19に示すS553〜S555および
図10に示すS404)し、ファクシミリ装置2に対してCNGを送出(
図12に示すS602)する。
ファクシミリ装置2は、着信に応答し、
図5に示すFIF500を含むNSFおよびDISをファクシミリ装置1に対して送出(
図9に示すS301〜S303)する。
【0074】
ファクシミリ装置1は、ファクシミリ装置2からNSFを受信し、そのNSFを解析(
図12に示すS604)する。ファクシミリ装置1は、受信したNSFに含まれるFIFが
図12のS604で説明した条件1が満たされないため、DCSを送出(
図12に示すS608)して通常のファクシミリ送信(
図12に示すS609〜S611)を行う。
このようにしてファクシミリ装置1は、所定時間経過後に再びファクシミリ転送を試行する。
【0075】
図21を用いて説明したように、操作者がファクシミリ装置1へ赴かずにファクシミリ装置2へ赴いた場合、操作者がファクシミリ装置2において転送設定を解除すれば、ファクシミリ装置1からファクシミリ装置2へのファクシミリ転送が行われるため、操作者はファクシミリ装置2において転送されたファクシミリ画像を入手することができる。
例えば、操作者がファクシミリ装置1へ赴くつもりで、ファクシミリ装置2の転送機能を有効に設定してファクシミリ装置2のもとを立ち去った後、その操作者の意図が変わり、ファクシミリ装置1へ赴かずにファクシミリ装置2のもとへ戻った場合であっても、本実施例によれば操作者はファクシミリ装置2においてファクシミリ画像を入手することができる。
【0076】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、転送先のファクシミリ装置において操作者により転送設定が解除されると、転送元のファクシミリ装置から転送設定が解除された転送先のファクシミリ装置へファクシミリ転送を行うようにしたことにより、操作者は転送設定を解除した転送先のファクシミリ装置でファクシミリ画像を入手することができるという効果が得られる。すなわち、操作者は、より確実に望ましい場所でファクシミリ画像を入手することができるという効果が得られる。
なお、本発明は、ファクシミリ通信を行うことができる装置であれば複合機(MFP)などに適用することができる。