【実施例】
【0104】
以下、本発明の実施例を、
図3〜
図17を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0105】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例を、
図3〜
図14を参照して説明する。
【0106】
図3には、第1実施例に係る画像処理装置としてのナビゲーション装置100の概略的な構成が示されている。このナビゲーション装置100は、上述した第1実施形態の画像処理装置700(
図1参照)の一態様となっている。
【0107】
図3に示されるように、ナビゲーション装置100は、電気モータを駆動機構とし、道路上を走行する移動体MVとしての車両CR内に配置される。本第1実施例では、車両CRには、蓄電池210と、ECU220と、空調装置290とが装備されている。
【0108】
上記の蓄電池210には、車両CRの駆動用エネルギが蓄えられる。かかる駆動用エネルギを利用して車両CRが走行する。この蓄電池210には、各所で開設されている充電施設、自宅等で駆動用エネルギを充電可能となっている。
【0109】
上記のECU220は、車両CRの状態を検出する各種のセンサによる検出結果を収集する。そして、ECU220は、収集された検出結果に基づいて、車両CRの走行の制御に有用な様々なパラメータ値を逐次導出しつつ、車両CRの走行の制御や管理を行う。
【0110】
本第1実施例では、ECU220により導出されるパラメータ値には、蓄電池210のエネルギ残量の現在値が含まれている。そして、ECU220は、CAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルによって動作する車内通信網を利用して、蓄電池210のエネルギ残量の現在値をナビゲーション装置100へ送る。
【0111】
上記の空調装置290は、車両CRの車室空間の温度、湿度等を調整する。この空調装置290の動作エネルギは、蓄電池210から供給されるようになっている。
【0112】
図3に示されるように、ナビゲーション装置100は、制御ユニット110Aと、記録部740としての記憶ユニット120とを備えている。また、ナビゲーション装置100は、音出力ユニット130と、表示部770としての表示ユニット140と、入力部710としての入力ユニット150とを備えている。さらに、ナビゲーション装置100は、センサユニット160と、位置検出部720の一部としてのGPS(Global Positioning System)受信ユニット170と、無線通信ユニット180とを備えている。
【0113】
上記の制御ユニット110Aは、ナビゲーション装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110Aについては、後述する。
【0114】
上記の記憶ユニット120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、ナビゲーション装置100において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、地図情報、道路情報、車両情報、BIF情報、EIF情報等が含まれている。
【0115】
ここで、地図情報には、道路の形状をリンクやノード(交差点等)で表す道路形状データ、建物、河川、地表面(フィーチャ)等を表す背景データが含まれている。また、道路情報には、法定速度、勾配、道路幅、信号の有無等、及び、これらによって分類される道路の種類である道路種別が含まれている。ここで、「道路種別」としては、一般国道、高速道路、一般道路、市街地等を通る細街路等がある。
【0116】
また、車両情報としては、車両CRの重量、並びに、加速時及び減速時における消費エネルギ及び回収エネルギに関する情報、空調装置290の単位時間当たりのエネルギ消費量等が含まれている。ここで、空調装置290の単位時間当たりのエネルギ消費量としては、季節別の平均的な空調装置290の単位時間当たりのエネルギ消費量となっている。
【0117】
BIF情報には、本第1実施例では、空調装置290を動作させない場合に、BIF情報の算出時点における現在位置(すなわち、現在地点)から、地図情報に特定可能な複数の分割領域それぞれまで走行する際のエネルギ消費量及び所要時間が含まれるようになっている。また、EIF情報には、後述する到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する当該複数の分割領域それぞれまで走行する際に必要とされるエネルギ消費量が含まれるようになっている。
【0118】
なお、BIF情報には、BIF情報の算出時点における現在位置の情報が含まれるようになっている。
【0119】
上記の音出力ユニット130は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット110Aから受信した音声データに対応する音声を出力する。この音出力ユニット130は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、ナビゲーション処理に関する車両CRの進行方向、走行状況、交通状況等の案内音声を出力する。
【0120】
上記の表示ユニット140は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット110Aから受信した表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット140は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、ナビゲーション処理に際して、地図情報、経路情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。また、表示ユニット140は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、到達可能範囲に関する情報を表示する。
【0121】
上記の入力ユニット150は、ナビゲーション装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット140の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0122】
この入力ユニット150を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100の動作内容の設定や動作命令が行われる。例えば、ナビゲーション処理におけるルート探索に関する目的地等の設定を、利用者が入力ユニット150を利用して行う。また、到達可能範囲の表示命令等の動作命令を、利用者が入力ユニット150を利用して行う。なお、到達可能範囲の表示命令には、空調装置290の動作の有無の指定、及び、片道到達範囲又は往復到達範囲のいずれかの指定が含まれるようになっている。
【0123】
上記のセンサユニット160は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ等を備えて構成されている。センサユニット160が備える各種センサによる検出結果は、センサデータとして制御ユニット110Aへ送られる。
【0124】
上記のGPS受信ユニット170は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CRの現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置及び現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット110Aへ送られる。
【0125】
上記の無線通信ユニット180は、制御ユニット110Aが、車外との通信を行う際のインターフェースとして機能する。かかる車外通信としては、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用した通信が挙げられる。この無線通信ユニット180を利用して、車外の各種サーバと通信を行うことにより、制御ユニット110Aは、交通規制情報、渋滞情報、気象情報等を取得できるようになっている。
【0126】
次に、上記の制御ユニット110Aについて説明する。この制御ユニット110Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110Aが様々なプログラムを実行することにより、ナビゲーション装置100としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第1実施形態における位置検出部720の一部、取得部730、推定部750及び表示制御部760としての機能も含まれている。また、制御ユニット110Aは、計時機能を有しており、現時点の日付及び時刻を特定できるようになっている。
【0127】
なお、制御ユニット110Aが実行するプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0128】
この制御ユニット110Aは、センサユニット160から送られたセンサデータ及びGPS受信ユニット170から受けたGPSデータに基づいて、記憶ユニット120中の地図情報等を適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(i)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット140の表示デバイスに表示するための地図表示、(ii)車両CRが地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出するマップマッチング、(iii)車両CRが現在存在する位置から、利用者が指定する任意の位置である目的地までの経路検索が含まれている。また、当該ナビゲーション処理には、(iv)現時点でのエネルギ残量で到達可能な領域の範囲を算出し、表示ユニット140の表示デバイスに表示される処理、(v)設定された経路に沿って目的地まで運転するときの、目的地への到着予測時刻の算出、(vi)マップマッチング結果、算出された到着予測時刻、及び、進行すべき方向を提示するために行われる、表示ユニット140の表示デバイスへの案内表示のための制御、及び、音出力ユニット130のスピーカから音声案内を出力するための制御の処理が含まれる。
【0129】
<動作>
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置100の動作について、制御ユニット110Aが実行する到達可能範囲の表示に関連する処理に主に着目して説明する。
【0130】
なお、センサユニット160からは、各種センサによる検出結果が、センサデータとして、制御ユニット110Aへ逐次送られているものとする。また、ECU220からは、エネルギ残量の現在値が制御ユニット110Aへ逐次送られているものとする。また、GPS受信ユニット170からは、現在位置及び現在時刻に関する情報が、GPSデータとして制御ユニット110Aへ逐次送られているものとする。
【0131】
そして、制御ユニット110Aは、センサユニット160から送られたセンサデータ、及び、GPS受信ユニット170から送られたGPSデータに基づくマップマッチングを逐次行っているものとする。なお、制御ユニット110Aは、マップマッチングにより得られる地図上の位置を、車両CRの現在位置として採用するようになっている。
【0132】
かかる動作環境のもとで、制御ユニット110Aにより到達可能範囲の情報の表示処理(以下、「到達可能範囲の表示処理」という)が実行される。この到達可能範囲の表示処理では、
図4に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット110Aが、入力ユニット150に対して新たに到達可能範囲の表示命令の入力が行われたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0133】
入力ユニット150に対して新たに到達可能範囲の表示命令の入力が行われ、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、制御ユニット110Aが、現時点で記憶ユニット120に記憶されているBIF情報が利用可能か否かを判定する。かかる判定に際して、制御ユニット110Aは、新たに到達可能範囲の表示命令の入力が行われた時点の現在位置を基準とし、かつ、現時点のエネルギ残量以上のエネルギ残量を基準として算出されたものであるか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS12:Y)には、処理は、後述するステップS14へ進む。
【0134】
ステップS12における判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)には、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、制御ユニット110Aが、BIF情報の算出を行う。そして、制御ユニット110Aは、算出されたBIF情報を記憶ユニット120内に格納する。なお、BIF情報の算出処理については、後述する。
【0135】
次に、ステップS14において、制御ユニット110Aが、記憶ユニット120内のBIF情報を参照しつつ、到達可能範囲の表示命令における空調装置290の動作の有無の指定、及び、片道到達範囲又は往復到達範囲の指定に対応するEIF情報を算出する。そして、制御ユニット110Aは、算出されたEIF情報を記憶ユニット120内に格納する。なお、EIF情報の算出処理については、後述する。
【0136】
次いで、ステップS15において、制御ユニット110Aが、現在位置、エネルギ残量の現在値である初期保有エネルギ量、及び、記憶ユニット120内のEIF情報に基づいて、到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する到達可能範囲に関する情報を表示するための表示データを生成する。なお、当該表示データの生成処理の詳細については、後述する。
【0137】
次に、ステップS16において、制御ユニット110Aが、生成された表示データを表示ユニット140へ送る。この表示データを受けた表示ユニット140は、当該表示データに基づいて、到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する到達可能範囲の情報を表示する。
【0138】
この後、処理はステップS11へ戻る。そして、到達可能範囲の表示命令が入力ユニットに入力されるたびに、ステップS11〜S16の処理が繰り返され、当該到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する到達可能範囲の情報が、表示ユニット140の表示デバイスに表示される。
【0139】
《BIF情報の算出処理》
次に、上述したステップS13におけるBIF情報の算出処理について、説明する。
【0140】
BIF情報の算出に際しては、
図5に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット110Aが、現在地点から移動可能なノードごとに、空調装置290を動作させないとした場合における現在地点からノードまでの走行に際して必要なエネルギ消費量及び所要時間を算出する。かかる算出に際して、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内の地図情報を参照して、車両CRの現在地点から移動可能なリンク、これらのリンクにそれぞれ接続するノード、これらのノードから移動可能なリンクを順に探索する。かかる探索に際して、制御ユニット110Aは、新たな一のリンクを探索するごとに、記憶ユニット120内の道路情報及び車両情報を参照し、当該新たな一のリンクにおける車両CRの走行態様(例えば、走行速度、加減速の態様、リンクの傾斜、空気抵抗等)を推定する。
【0141】
引き続き、制御ユニット110Aは、空調装置290を動作させずに、推定された走行態様で、車両CRが当該新たな一のリンクを走行するためのエネルギ消費量及び所要時間を、所定の算出式を利用して算出する。そして、制御ユニット110Aは、新たな一のリンクを探索するごとに、当該一のリンクが接続している経路の推定エネルギ消費量を累計し、推定エネルギ消費量の累計が最小となるように当該一のリンクに接続するノード及びそのノードに接続する複数のリンクを探索する。
【0142】
すなわち、制御ユニット110Aは、当該一のリンク及び他のリンクが同一のノードに接続されている場合、このノードに接続する複数のリンクのうち、車両CRの現在地点から当該ノードまでの推定エネルギ消費量の累計の少ないリンクの推定エネルギ消費量及び所要時間を使って当該ノードまでの推定エネルギ消費量の累計を及び所要時間の累計を算出する。そして、制御ユニット110Aは、探索されたノード及びリンクで構成される複数の経路において、それぞれ、空調装置290を動作させない場合に推定エネルギ消費量の累計が、車両CRの現時点のエネルギ残量である初期保有エネルギ量の範囲内にある全てのノードを車両CRの到達可能地点として抽出する。
【0143】
なお、本第1実施例では、同一のノードに接続されている複数のリンクのうち、一のリンクの次に選択する他のリンクの重要度が、道路種別に基づいて当該一のリンクの重要度よりも低いと判断される場合には、当該他のリンクを、車両CRのエネルギ消費量及び所要時間を算出する対象とするための候補から除いて探索を行うようになっている。また、本第1実施例では、車両CRの走行が一方通行の逆走となるリンク、時間規制や季節規制により通行禁止区間となるリンク等の車両CRの走行が禁止されたリンクを、車両CRのエネルギ消費量及び所要時間を算出する対象とするための候補から除いて探索を行うようになっている。
【0144】
次に、ステップS22において、制御ユニット110Aが、分割領域を設定する。かかる分割領域の設定に際して、制御ユニット110Aは、まず、ステップS21において探索された複数の到達可能なノードの経度及び緯度の中から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度を特定する。引き続き、制御ユニット110Aは、車両CRの現在地点から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度のそれぞれまでの距離のうちで最大の距離を求める。
【0145】
次いで、制御ユニット110Aは、求められた最大の距離の2倍の1/N(本第1実施例では、Nは奇数)を、分割領域の一辺の長さとして算出する。ここで、値Nは、求められた最大の距離の2倍を一辺とする領域全体を表示ユニット140の表示デバイスの予め定められた表示領域内に極力大きく表示させた場合に、分割領域の一辺の長さに対応するドット数が所定数Mに対応するように定められる。
【0146】
そして、制御ユニット110Aは、上述のようにして求められた最大の距離の2倍を一辺とする領域を、N
2個の分割領域に仮想的に分割する。なお、以下の説明においては、分割領域の配列が行列状となっていることから、分割領域それぞれを個別に表す場合には、分割領域(j,k)(j=−(N−1)/2,…,−1,0,1,(N−1)/2):k=−(N−1)/2,…,−1,0,1,(N−1)/2))と記すものとする。ここで、分割領域(0,0)が、車両CRの現在地点が含まれる分割領域となっている。
【0147】
次に、ステップS23において、制御ユニット110Aが、空調装置290を動作させない場合に、分割領域ごとに、車両CRが現在地点から分割領域(j,k)まで走行した場合における、空調装置290を動作させずに片道移動する際の推定エネルギ消費量E
j,k及び所要時間T
j,kを算出する。本第1実施例では、制御ユニット110Aは、上述のステップS21で抽出されたノードのうちで分割領域(j,k)に属するノードに対応する推定エネルギ消費量の累計の平均値及び所要時間の平均値を算出することにより、分割領域(j,k)でのエネルギ消費量E
j,k及び所要時間T
j,kの算出を行う。
【0148】
なお、上述のステップS21で抽出されたノードが1つもない分割領域については、エネルギ消費量E
j,k及び所要時間T
j,kに関する有効な情報が存在しないことを、当該分割領域に関する情報とする。
【0149】
次いで、ステップS24において、制御ユニット110Aが、算出されたエネルギ消費量E
j,k及び所要時間T
j,k、並びに、エネルギ消費量E
j,k及び所要時間T
j,kについての有効な情報が存在しない場合にはそのことを、BIF情報として記憶ユニット120に格納する。こうしてBIF情報の記憶ユニット120への格納がなされると、ステップS13の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図4のステップS14へ進む。
【0150】
なお、上述のステップS21において抽出されたノードの地図上の位置を示した例が、
図6に示されている。また、上述のステップS24において格納されたBIF情報の内容の例が、
図7に示されている。
【0151】
《EIF情報の算出処理》
次に、上述したステップS14におけるEIF情報の算出処理について、説明する。
【0152】
EIF情報の算出に際しては、
図8に示されるように、まず、ステップS31において制御ユニット110Aが、空調装置290の動作有の指定がなされているか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、処理はステップS32へ進む。
【0153】
ステップS32では、制御ユニット110Aが、空調装置290を動作させない際のEIF情報の算出処理であるEIF情報の第1算出処理を実行する。かかる第1算出処理では、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内のBIF情報におけるエネルギ消費量E
j,kが、到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する、分割領域(j,k)まで、空調装置290を動作させずに走行する際のエネルギ消費量EC
j,kであると推定する。そして、処理はステップS34へ進む。
【0154】
上述したステップS31における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS31:Y)には、処理はステップS33へ進む。このステップS33では、制御ユニット110Aが、空調装置290を動作させる際のEIF情報の算出処理であるEIF情報の第2算出処理を実行する。
【0155】
かかるEIF情報の第2算出処理では、制御ユニット110Aは、まず、記憶ユニット120内の車両情報における現時点の日付(季節)に対応する空調装置290の単位時間当たりのエネルギ消費量Cを特定する。引き続き、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内のBIF情報における分割領域(j,k)に対応する所要時間T
j,kを読み取り、次の(1)式により、現在地点から分割領域(j,k)まで走行したときにおける空調装置290のエネルギ消費量の推定値EA
j,kを算出する。
EA
j,k=C・T
j,k …(1)
【0156】
次に、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内のBIF情報における分割領域(j,k)に対応するエネルギ消費量E
j,kを読み取る。引き続き、制御ユニット110Aは、次の(2)式により、現在地点から分割領域(j,k)まで、空調装置290を動作させつつ走行する際のエネルギ消費量の推定値EC
j,kを算出する。
EC
j,k=E
j,k+EA
j,k …(2)
そして、処理は、後述するステップS34へ進む。
【0157】
なお、上述のEIF情報の第1及び第2算出処理では、BIF情報において有効な情報が存在しない旨が登録されている分割領域(j,k)については、エネルギ消費量E
j,kを、設定可能な最大値とするようになっている。
【0158】
ステップS34では、制御ユニット110Aが、算出されたエネルギ消費量EC
j,kを、EIF情報として記憶ユニット120に格納する。こうしてEIF情報の記憶ユニット120への格納がなされると、ステップS14の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図4のステップS15へ進む。
【0159】
なお、上述のステップS34において格納されたEIF情報の内容の例が、
図9に示されている。
【0160】
《表示データの生成処理》
次に、上述したステップS15における表示データの生成処理について、説明する。
【0161】
表示データの生成に際しては、
図10に示されるように、まず、ステップS41において、制御ユニット110Aが、到達可能範囲の表示命令において、片道到達範囲の指定がなされているか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS41:Y)には、処理はステップS42へ進む。このステップS42では、制御ユニット110Aが、初期保有エネルギ量を判定閾値に設定する。そして、処理は、後述するステップS44へ進む。
【0162】
一方、ステップS41における判定の結果が否定的であった場合(ステップS41:N)には、処理はステップS43へ進む。このステップS43では、制御ユニット110Aが、初期保有エネルギ量の50%を判定閾値に設定する。そして、処理はステップS44へ進む。
【0163】
ステップS44では、制御ユニット110Aが、記憶ユニット120内のEIF情報を読み取る。引き続き、ステップS45において、制御ユニット110Aが、EIF情報におけるエネルギ消費量EC
j,kが判定閾値以下となっている分割領域を抽出する。そして、制御ユニット110Aは、抽出された分割領域の到達可能フラグ値については、「1」を付与する。また、制御ユニット110Aは、抽出されなかった分割領域については、到達可能フラグ値として「0」を付与する。
【0164】
次に、ステップS46において、制御ユニット110Aが、分割領域(j,k)の2次元配列に対応する到達可能フラグ値の2次元配列を2値化されたラスタデータとして扱い、所定回数のクロージング処理を施す。この結果、車両CRの到達可能範囲に欠損点が生じないように、分割領域(j,k)に対応する到達可能フラグ値が設定される。
【0165】
次いで、ステップS47において、制御ユニット110Aが、到達可能フラグ値として「1」が付与された分割領域と、当該分割領域と隣り合う到達可能フラグ値として「0」が付与された他の分割領域との位置関係に基づいて、車両CRの到達可能範囲の輪郭を抽出する。本第1実施例では、制御ユニット110Aは、フリーマンのチェインコードの手法を用いて、車両CRの到達可能範囲の輪郭を抽出している。
【0166】
次に、ステップS48において、制御ユニット110Aは、抽出された輪郭に基づいて、到達可能範囲に関する情報を表示するための表示データを生成する。表示データが生成されると、ステップS15の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図4のステップS16へ進む。
【0167】
なお、上記のようにして生成された表示データに基づく表示例が、
図11〜
図14に示されている。ここで、
図11には、到達可能範囲の表示命令において、空調装置290の動作無が指定されるとともに、片道到達範囲が指定された場合の到達可能範囲の表示例が示されている。また、
図12には、到達可能範囲の表示命令において、空調装置290の動作有が指定されるとともに、片道到達範囲が指定された場合の到達可能範囲の表示例が示されている。また、
図13には、到達可能範囲の表示命令において、空調装置290の動作無が指定されるとともに、往復到達範囲が指定された場合の到達可能範囲の表示例が示されている。
図14には、到達可能範囲の表示命令において、空調装置290の動作有が指定されるとともに、往復到達範囲が指定された場合の到達可能範囲の表示例が示されている。
【0168】
以上説明したように、本第1実施例では、空調装置290を動作させない場合に、車両CRが現在地点から、地図情報で特定される分割領域(j,k)まで走行したときに消費する推定エネルギ消費量E
j,k及び推定所要時間T
j,kが、分割領域(j,k)それぞれに対応付けたBIF情報として、記憶ユニット120内に記憶される。かかるBIF情報が記憶ユニット120内に記憶されている場合に到達可能範囲の表示命令を受け、かつ、記憶ユニット120内のBIF情報が利用可能である場合には、制御ユニット110Aは、到達可能範囲の表示命令おける空調装置290の動作の有無の指定に従って、指定された状態での現在地点から分割領域(j,k)それぞれまで走行した際のエネルギ消費量EC
j,kを、BIF情報に基づいて推定し、EIF情報を作成する。そして、制御ユニット110Aが、当該EIF情報、及び、エネルギ残量の現在量である初期保有エネルギ量に基づいて、到達可能範囲に関する情報を表示するためのデータを、表示データとして生成する。
【0169】
したがって、本第1実施例によれば、BIF情報の算出後に実質的に走行せず、かつ、新たな充電も行わないで、空調装置290を動作状態の変化に対応して当該装備品のエネルギの消費態様が変化した場合に、車両CRの到達可能範囲に関する情報を、表示ユニット140に迅速に表示させることができる。
【0170】
また、本第1実施例では、空調装置290の動作の有無に加えて、片道到達範囲又は往復到達範囲の選択を指定できるようになっている。このため、片道移動を想定した場合の到達可能範囲の情報の表示と、往復移動を想定した場合の到達可能範囲の情報の表示との切換を迅速に行うことができる。
【0171】
<第1実施例の変形>
上記の第1実施例に対しては、様々な変形を行うことができる。
【0172】
例えば、上記の第1実施例では、車両CRの到達可能範囲に欠損点が生じないように、分割領域(j,k)に対応する到達可能フラグ値を付与する際に、所定回数のクロージング処理を実行するようにした。これに対し、クロージング処理に代えて又は加えて、オープニング処理を採用するようにしてもよい。
【0173】
また、上記の第1実施例では、到達可能範囲の輪郭抽出に際して、フリーマンのチェインコードの手法を用いるようにしたが、他の到達可能範囲の輪郭抽出の手法を用いるようにしてもよい。
【0174】
また、上記の第1実施例では、センサユニット160を備えるようにしたが、ECU220から車速、加速度及び角速度を取得できる場合には、センサユニット160を省略することができる。
【0175】
また、上記の第1実施例に対しては、上述した第1実施形態の場合と同様に様々な変形を行うことができる。
【0176】
すなわち、上記の第1実施例では、ナビゲーション装置100が、記憶ユニット120、音出力ユニット130、表示ユニット140、入力ユニット150、GPS受信ユニット170を備えるようにした。これに対し、これらの要素のうちで、共用可能な要素を他の装置が備えている場合には当該共用可能な要素を利用するようにし、ナビゲーション装置の構成要素として、当該共用可能な要素を省略するようにしてもよい。
【0177】
また、上記の第1実施例では、エネルギ残量が、外部のECU220からナビゲーション装置100に報告されるものとした。これに対し、外部からエネルギ残量の報告を受けることが困難な場合には、エネルギ残量を検出するためのセンサ等を、ナビゲーション装置が備える構成としてもよい。
【0178】
また、上記の第1実施例では、BIF情報の算出処理において、車両CRが現在地点から各ノードまで移動する際のエネルギ消費量の推定量を、地図情報、道路情報及び車両情報に基づいて算出するようにした。これに対し、車両CRの移動の際の空気抵抗、路面抵抗等に関係する気象状況、渋滞状況に更に基づいて、車両CRが現在地点から各ノードまで走行する際のエネルギ消費量の推定量を算出するようにしてもよい。
【0179】
また、上記の第1実施例では、分割領域の設定に際して、探索された複数の到達可能なノードの経度及び緯度の中から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度を特定した後、車両CRの現在地点から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度のそれぞれまでの距離のうちで最大の距離に基づいて、分割領域の一辺の長さを求めるようにした。これに対し、最大緯度と最小緯度の差分および最大経度と最小経度の差分のうち大きい方の距離に基づいて、分割領域の一辺の長さを求めるようにしてもよい。
【0180】
この場合には、例えば、車両の現在位置が半島の先端地点であるときに、到達可能範囲の表示に際して、到達可能でない範囲の表示領域が多くを占めることが防止され、到達可能範囲を表示領域の最適な位置で表示することが可能となる。なお、この場合には、表示領域の中心付近に車両の現在位置があるとは限らない。また、車両の現在位置が属する分割領域の中心位置が、車両の現在位置となるとは限らない。
【0181】
また、上記の第1実施例では、BIF情報の算出処理において、空調装置290を動作させずに片道移動する際に、初期保有エネルギ量の範囲内にある全てのノードを車両の到達可能地点として探索した後に、エネルギ消費量及び所要時間が算出された全てのノードを含む領域を、地図情報により特定可能な複数の分割領域に仮想的に分割するようにした。これに対し、空調装置290を動作させない場合に、初期保有エネルギ量により移動可能な最大距離を半径とし、現在地点を中心とする円に外接する矩形の領域を地図情報により特定される複数の分割領域に仮想的に分割するようにしてもよい。
【0182】
この場合には、複数の分割領域への分割を行った後、現在地点から、当該複数の分割領域それぞれの代表的な少なくとも1つのノードへ走行する際の最小エネルギ消費量の推定値、及び、当該最小エネルギ消費量となる経路に沿って現在地点から各ノードまでの走行に要する所要時間の推定値を算出することにより、BIF情報の算出が算出されることになる。
【0183】
この場合に、BIF情報に含まれるエネルギ消費量の推定値は、空調装置290を動作させる場合であってもよいし、空調装置290を動作させない場合であってよい。そして、BIF情報の算出に際して想定した空調装置290の状態と、到達可能範囲の表示命令で指定された空調装置290の状態との差異、記憶ユニット120に記録されている推定所要時間、並びに、空調装置290により消費されるエネルギに関する情報に基づいて、車両CRが現在地点から複数の分割領域それぞれまで走行したときにおける空調装置290のエネルギ消費量の推定値を算出する。
【0184】
また、上記の第1実施例では、所定の算出式により、ノード間のエネルギ消費量及び所要時間を算出するようにしたが、車両CR又はプローブ情報により取得した他車両の走行履歴による取得結果に基づいて、ノード間のエネルギ消費量及び所要時間を求めるようにしてもよい。
【0185】
また、上記の第1実施例では、車両CRに搭載される装備品のうち、空調装置290の動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしたが、他の装備品の動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしてもよい。さらに、空調装置290を含む複数の装備品それぞれの動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしてもよい。
【0186】
また、上記の第1実施例では、電気エネルギを駆動用のエネルギとする車両CRの到達可能範囲に関する情報の表示に本発明を適用したが、他のエネルギを駆動用のエネルギとする移動体の到達可能範囲の表示に本発明を適用してもよい。
【0187】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例を、
図15〜
図17を参照して説明する。この第2実施例は、上述した第2実施形態(
図2参照)の一態様となっている。
【0188】
<構成>
図15には、第2実施例に係る端末装置300、及び、サーバ装置400との配置位置の関係が示されている。なお、端末装置300は、第2実施形態における端末装置810の一態様であり、サーバ装置400は、第2実施形態における画像処理管理装置820の一態様である。
【0189】
図15に示されるように、端末装置300は、車両CR内に配置されようになっている。この車両CRには、上述した第1実施例の場合と同様に、蓄電池210、ECU220及び空調装置290が装備されている。
【0190】
サーバ装置400は、車両CRの外に配置される。そして、端末装置300とサーバ装置400とは、ネットワーク500を介して、通信可能となっている。
【0191】
なお、サーバ装置400は、端末装置300と同様に構成された他の端末装置とも通信可能となっているが、
図15においては、端末装置300のみが代表的に示されている。
【0192】
《端末装置300の構成》
図16には、端末装置300の概略的な構成が示されている。この
図16に示されるように、端末装置300は、上述した第1実施例のナビゲーション装置100と比べて、制御ユニット110Aに代えて制御ユニット110Bを備える点、記憶ユニット120に代えて記憶ユニット310を備える点、センサユニット160を備えていない点、送信部811及び受信部812としての無線通信ユニット320を更に備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0193】
上記の制御ユニット110Bは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、端末装置300の全体を統括制御する。この制御ユニット110Bが様々なプログラムを実行することにより、端末装置300としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第2実施形態における取得部730及び出力部813としての機能も含まれている。
【0194】
制御ユニット110Bは、GPS受信ユニット170から受けたGPSデータを取得し、取得されたGPSデータに基づいて、現在位置及び現在時刻を特定する。そして、制御ユニット110Bは、無線通信ユニット320を利用し、特定された現在位置を、ネットワーク500を介してサーバ装置400へ送信する。
【0195】
また、制御ユニット110Bは、ECU220から送られたエネルギ残量の現在値を取得する。そして、制御ユニット110Bは、無線通信ユニット320を利用し、取得されたエネルギ残量を、ネットワーク500を介してサーバ装置400へ送信する。
【0196】
また、制御ユニット110Bは、入力ユニット150から送られた入力データを受ける。そして、当該入力データが、到達可能範囲の表示命令であった場合には、制御ユニット110Bは、無線通信ユニット320を利用し、当該到達可能範囲の表示命令を、ネットワーク500を介してサーバ装置400へ送信する。
【0197】
さらに、制御ユニット110Bは、サーバ装置400から送信され、ネットワーク500を介して無線通信ユニット320が受信した表示データを受ける。そして、制御ユニット110Bは、受信した表示データを表示ユニット140へ送る。
【0198】
上記の記憶ユニット310は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、端末装置300において利用される様々な情報データが記憶される。記憶ユニット310には、制御ユニット110Bがアクセスできるようになっている。
【0199】
上記の無線通信ユニット320は、制御ユニット110Bから送られた端末送信データを受ける。そして、無線通信ユニット320は、当該端末送信データを、ネットワーク500を介してサーバ装置400へ送信する。
【0200】
また、無線通信ユニット320は、サーバ装置400からネットワーク500を介して送信されたサーバ送信データを受信する。そして、無線通信ユニット320は、当該サーバ送信データを制御ユニット110Bへ送る。
【0201】
《サーバ装置400の構成》
図17には、サーバ装置400の概略的な構成が示されている。この
図17に示されるように、サーバ装置400は、制御ユニット110Cと、記憶ユニット120と、受信部821及び送信部822の一部としての外部通信ユニット410とを備えている。
【0202】
制御ユニット110Cは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、サーバ装置400の全体を統括制御する。この制御ユニット110Cが様々なプログラムを実行することにより、サーバ装置400としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第2実施形態における推定部750及び送信部822の一部としての機能も含まれている。
【0203】
なお、記憶ユニット120には、制御ユニット110Cがアクセスできるようになっている。
【0204】
上記の外部通信ユニット410は、端末装置300からネットワーク500を介して送信された端末送信データを受信する。そして、外部通信ユニット410は、当該端末送信データを制御ユニット110Cへ送る。
【0205】
また、外部通信ユニット410は、制御ユニット110Cから送られた表示データ等のサーバ送信データを受ける。そして、外部通信ユニット410は、当該サーバ送信データを、ネットワーク500を介して端末装置300へ送る。
【0206】
以上のような端末装置300の構成及びサーバ装置400の構成では、制御ユニット110Bから出力された端末送信データは、無線通信ユニット320、ネットワーク500及び外部通信ユニット410を介して、制御ユニット110Cへ送られることになる。また、制御ユニット110Cから出力されたサーバ送信データは、外部通信ユニット410、ネットワーク500及び無線通信ユニット320を介して、制御ユニット110Bへ送られることになる。
【0207】
<動作>
次に、上記のように構成された端末装置300とサーバ装置400とが協働して実行する到達可能範囲に関する情報の表示処理について説明する。
【0208】
なお、ECU220からは、エネルギ残量が制御ユニット110Bへ逐次送られているものとする。また、GPS受信ユニット170からは、現在位置及び現在時刻に関する情報が、GPSデータとして制御ユニット110Bへ逐次送られているものとする。
【0209】
端末装置300では、制御ユニット110Bは、ECU220から送られたエネルギ残量を受けるたびに、当該エネルギ残量をサーバ装置400の制御ユニット110Cへ送る。また、制御ユニット110Bは、GPS受信ユニット170から送られたGPSデータを受けるたびに、当該GPSデータを制御ユニット110Cへ送る。また、制御ユニット110Bは、入力ユニット150から送られた入力データとして、到達可能範囲の表示命令を受けると、当該到達可能範囲の表示命令を制御ユニット110Cへ送る。
【0210】
制御ユニット110Bから送られた到達可能範囲の表示命令を受けた制御ユニット110Cは、上述した第1実施例における制御ユニット110Aが実行するステップS12〜S15(
図4参照)の処理と同様の処理を実行し、表示データを生成する。そして、制御ユニット110Cは、生成された表示データを制御ユニット110Bへ送る。
【0211】
制御ユニット110Cから送られた表示データを受けた制御ユニット110Bは、当該表示データを表示ユニット140へ送る。この結果、当該到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する到達可能範囲の情報が、表示ユニット140の表示デバイスに表示される。
【0212】
以上説明したように、本第2実施例では、空調装置290を動作させない場合に、車両CRが現在地点から、地図情報で特定される分割領域(j,k)まで走行したときに消費する推定エネルギ消費量E
j,k及び推定所要時間T
j,kが、当該複数の分割領域それぞれに対応付けたBIF情報として、サーバ装置400の記憶ユニット120内に記憶される。また、新たな到達可能範囲の表示命令が入力されると、端末装置300の制御ユニット110Bが、当該新たな到達可能範囲の表示命令をサーバ装置400の制御ユニット110Cへ送る。
【0213】
この到達可能範囲の表示命令を受けた制御ユニット110Cは、記憶ユニット120内のBIF情報が利用可能である場合には、到達可能範囲の表示命令おける空調装置290の動作の有無の指定に従って、指定された状態での現在地点から分割領域(j,k)のそれぞれまで走行した際のエネルギ消費量EC
j,kを、BIF情報に基づいて推定し、EIF情報を作成する。そして、制御ユニット110Cが、当該EIF情報、及び、エネルギ残量の現在量である初期保有エネルギ量に基づいて、到達可能範囲に関する情報を表示するためのデータを、表示データとして生成する。
【0214】
引き続き、制御ユニット110Cは、生成された表示データを制御ユニット110Bへ送る。そして、表示データを受けた制御ユニット110Bは、当該到達可能範囲の表示命令における指定内容に対応する到達可能範囲に関する情報を、表示ユニット140の表示デバイスに表示させる。
【0215】
したがって、本第2実施例によれば、第1実施例の場合と同様に、BIF情報の算出後に実質的に走行せず、かつ、新たな充電も行わないで、空調装置290を動作状態の変化に対応して当該装備品のエネルギの消費態様が変化した場合に、車両CRの到達可能範囲に関する情報を、表示ユニット140に迅速に表示させることができる。
【0216】
また、本第2実施例では、第1実施例の場合と同様に、空調装置290の動作の有無に加えて、片道到達範囲又は往復到達範囲の選択を指定できるようになっている。このため、片道移動を想定した場合の到達可能範囲の情報の表示と、往復移動を想定した場合の到達可能範囲の情報の表示との切換を迅速に行うことができる。
【0217】
<第2実施例の変形>
上記の第2実施例に対しては、様々な変形を行うことができる。
【0218】
例えば、上記の第2実施例では、車両CRの到達可能範囲に欠損点が生じないように、分割領域(j,k)に対応する到達可能フラグ値を付与する際に、所定回数のクロージング処理を実行するようにした。これに対し、第1実施例の場合と同様に、クロージング処理に代えて又は加えて、オープニング処理を採用するようにしてもよい。
【0219】
また、上記の第2実施例では、到達可能範囲の輪郭抽出に際して、フリーマンのチェインコードの手法を用いるようにしたが、第1実施例の場合と同様に、他の到達可能範囲の輪郭抽出の手法を用いるようにしてもよい。
【0220】
また、上記の第2実施例では、端末装置300がセンサユニット160を備えない構成としたが、第1実施例のナビゲーション装置100と同様に、センサユニット160を備える構成とし、ナビゲーション装置100と同様のマップマッチングを行うようにしてもよい。
【0221】
また、ECU220から車速、加速度及び角速度を取得できる場合には、端末装置300がセンサユニット160を備える構成とすることなく、センサユニット160を備える場合と同等の処理を行うことができる。
【0222】
上記の第2実施例に対しては、上述した第2実施形態の場合と同様に様々な変形を行うことができる。
【0223】
すなわち、上記の第2実施例では、端末装置300が、音出力ユニット130、表示ユニット140、入力ユニット150、GPS受信ユニット170を備えるようにした。これに対し、これらの要素のうちで、共用可能な要素を、車両CR内に配置された他の装置が備えている場合には当該共用可能な要素を利用するようにし、端末装置の構成要素として、当該共用可能な要素を省略するようにしてもよい。
【0224】
また、上記の第2実施例では、サーバ装置400が、記憶ユニット120を備えるようにした。これに対し、他のサーバ装置が備えている記憶ユニットを、記憶ユニット120として利用可能な場合には、当該利用可能な記憶ユニットを利用するようにし、サーバ装置400の構成要素として、記憶ユニット120を省略するようにしてもよい。
【0225】
また、上記の第2実施例では、エネルギ残量が、外部のECU220から端末装置300に報告されるものとした。これに対し、外部からエネルギ残量の報告を受けることが困難な場合には、エネルギ残量を検出するためのセンサ等を、端末装置が備える構成としてもよい。
【0226】
また、上記の第2実施例では、BIF情報の算出処理において、車両CRが現在地点から各ノードまで移動する際のエネルギ消費量の推定量を、地図情報、道路情報及び車両情報に基づいて算出するようにした。これに対し、車両CRの移動の際の空気抵抗、路面抵抗等に関係する気象状況、渋滞状況に更に基づいて、車両CRが現在地点から各ノードまで走行する際のエネルギ消費量の推定量を算出するようにしてもよい。
【0227】
また、上記の第2実施例では、分割領域の設定に際して、探索された複数の到達可能なノードの経度及び緯度の中から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度を特定した後、車両CRの現在地点から最大経度、最小経度、最大緯度及び最小緯度のそれぞれまでの距離のうちで最大の距離に基づいて、分割領域の一辺の長さを求めるようにした。これに対し、最大緯度と最小緯度の差分および最大経度と最小経度の差分のうち大きい方の距離に基づいて、分割領域の一辺の長さを求めるようにしてもよい。
【0228】
この場合には、例えば、車両の現在位置が半島の先端地点であるときに、到達可能範囲の表示に際して、到達可能でない範囲の表示領域が多くを占めることが防止され、到達可能範囲を表示領域の最適な位置で表示することが可能となる。なお、この場合には、表示領域の中心付近に車両の現在位置があるとは限らない。また、車両の現在位置が属する分割領域の中心位置が、車両の現在位置となるとは限らない。
【0229】
また、上記の第2実施例では、BIF情報の算出処理において、空調装置290を動作させずに片道移動する際に、初期保有エネルギ量の範囲内にある全てのノードを車両の到達可能地点として探索した後に、エネルギ消費量及び所要時間が算出された全てのノードを含む領域を、地図情報により特定可能な複数の分割領域に仮想的に分割するようにした。これに対し、空調装置290を動作させない場合に、初期保有エネルギ量により移動可能な最大距離を半径とし、現在地点を中心とする円に外接する矩形の領域を地図情報により特定される複数の分割領域に仮想的に分割するようにしてもよい。
【0230】
また、上記の第2実施例では、所定の算出式により、ノード間のエネルギ消費量及び所要時間を算出するようにしたが、車両CR又はプローブ情報により取得した他車両の走行履歴による取得結果に基づいて、ノード間のエネルギ消費量及び所要時間を求めるようにしてもよい。
【0231】
また、上記の第2実施例では、車両CRに搭載される装備品のうち、空調装置290の動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしたが、他の装備品の動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしてもよい。さらに、空調装置290を含む複数の装備品それぞれの動作の有無に応じた到達可能範囲の変化を表示するようにしてもよい。
【0232】
また、上記の第2実施例では、電気エネルギを駆動用のエネルギとする車両CRの到達可能範囲に関する情報の表示に本発明を適用したが、他のエネルギを駆動用のエネルギとする移動体の到達可能範囲の表示に本発明を適用してもよい。